テーマ:一次創作

第二次世界大戦異史 第29話 剣の戦い、ペンの戦い

「すでに、全軍の1割が凍死。他の兵も、飢えと弾薬不足の為、戦える状態ではありません。」  ソ連首都モスクワ。  クレムリン宮殿。  閣議の中で、ソ連陸軍参謀総長ボリス・シャポシニコフが、フィンランド戦線の状況を報告する。  物資が焼き払われた後、直ちに補給物資を送ったが、積もった雪と荒れ狂う吹雪に行く手を阻まれ、思うように前線に…
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第二次世界大戦異史 第28話 混迷の世界

「フィンランドを狙ってきたか。」 「バルト三国にも、圧力をかけている様子です。」 「外務省から、杉原千畝リトアニア領事から、ポーランドから流入してきた、ユダヤ難民に関してのこと以外に、領事館を閉鎖するようにとの、圧力をかけてきているとの、報告が入っています。」  統合情報局は様々な情報が、飛び込んでくる。  事に、北欧調査部と東…
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第二次世界大戦異史 第27話 ポーランド侵攻作戦

「第8軍、ポーランド軍の防衛線を突破。ビドゴーシチまで1日半の位置に駐留するポーランド軍と、戦闘に入る模様。」 「第14軍、ポズナニを陥落せしめ、首都ワルシャワまで100kmの地点まで進出。補給整備の為に、現地にて、一時駐屯します。」 「補給部隊が、合流するまでの時間は?」 「あと、4時間後の予定。」 「グデーリアン大将に打電。…
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第二次世界大戦異史 第26話 大戦勃発 後篇

「調査の結果、ドイツ国境警備隊駐屯地周辺に、襲撃の痕跡は一切見つかっておりません。これについては、周辺住民への調査の結果、銃声はあったものの、それはドイツ側からポーランド側への発砲の結果と判明いたしました。したがって、ドイツの主張は真実とは言えません。貴国は国連から脱退してはいます が、国連はあえて申し上げます。ポーランドへの要求を取…
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第二次世界大戦異史 第26話 大戦勃発 前篇

「最悪の事態が起きてしまったな。ポーランド侵攻の可能性が出てきたか。」  広田が深い溜息をつく。 「東の土地。ヒトラーはいよいよそれを手に入れるための、行動に出たということですな。」  木戸が掌を組んで、その上に顎を乗せて、気難しい表情になる。 「ポーランドにチェコスロバキア。特に、チェコスロバキアのズデーデンの軍需工業地帯は、…
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第二次世界大戦異史 第25話 燃え広がる炎

「まさか、こういう形で、火が着くとはな・・・。」  発足して、間もない広田内閣の閣僚たちの表情は、皆、暗かった。  ドイツを最も警戒していたが為に、まさか、ユーゴスラビアがイタリアに宣戦布告をするとは、夢にも思っていなかったのである。 「ですが、考えてみると、起こるべくして、起こった戦いとも、言えますな。」 「どういうことかね。…
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第二次世界大戦異史 第24話 炎再び

「イタリアが?」 「はっ。以前から進めてきた、戦車や軍用機の配備を、さらに進めています。」 「成る程。君は、どう思うかね?栗林少将。」  イギリスでの駐在武官勤務を経て、少将に昇進後、兵站や作戦立案を主な任務とする、大本営兵站総監部参謀長を兼任し、陸軍参謀本部第1部部長を務める栗林に、今回の事態について、どう思うかを、訊ねる。 …
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第二次世界大戦異史 第23話 水面下の序曲

「訓練も終了し、我が第四艦隊も、事ある時には、御国の為に戦えますな。司令官。」  1939年5月半ば。  洋上訓練が終了した、日本海軍第四艦隊は、母港である呉に、向っていた。  旗艦榛名の艦橋で、第四艦隊司令官の小沢治三郎中将に、参謀長の杉山六蔵少将が嬉しそうに話しかける。 「できれば、そういう機会は無い方がいいが、確かに兵の練…
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第二次世界大戦異史 第22話 虐げる者と手を差し伸べる者

「で、何で、あのようなことをしたのかね?ヘルシェル・グリュンシュパン。」  パリ警察署の取調室で、1人のポーランド系ユダヤ人の青年が、取調べを受けていた。 「刑事さん、新聞は読みますか?」 「それなりにね。」  何を言い出すかと思えばという表情と口調で、刑事は質問に答える。 「今、我々、ポーランド系ユダヤ人が、どんな扱いを受け…
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第二次世界大戦異史 第21話 仮面をつけた譲歩

「ふん!やはり、あの男はどうにも好きになれん。それに、リッベントロップといったか。何だ?あの男は。」  ヒトラーに対していい印象を持ち合わせていないムッソリーニは、グラスの中のモーゼルワインを一気に飲み干す。  本来ならば、こういった会談で酒を飲むことはできないが、この会議では、飲めることになっていた。  もっとも、他の国の首相や…
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第二次世界大戦異史 第20話 ミュンヘン会談

 ズデーテン地方は、約28%がドイツ系住民である。  チェコスロバキア政府は、ドイツ系住民の独立運動を警戒して、ドイツ系住民の公務員登用を禁止する措置をとるなどしていた。 無論、これに対して、ドイツ系住民は不満を覚え、コンラート・ヘンラインを党首とするズデーテンドイツ人党は、ズデーテン地方の分離・ドイツへの併合を求めていた。 ヒト…
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第二次世界大戦異史 第19話 鉤十字の胎動

「だいぶ整ってきましたな。委員長。」 「はい。これならば、スケジュール通りにいきそうです。」  年が明けて、1938年2月。 官邸で、若槻と広田はある人物と怪談をしていた。  呉心屈。  現役の日本陸軍大将として、台湾総督を務め、台湾独立のための組織「台湾独立委員会」の委員長を務めている。  1930年代から、台湾独立の…
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第二次世界大戦異史 第18話 戦いの後

「ドイツの義勇兵たちが、消えた?」  バルセロナのホテルを借りて設けた司令部で、岡村は思いもよらぬ報告を受けた。 「はっ!イタリアの義勇軍は散り散りに逃げて、フランスを経由して母国に帰還し、捕虜についても、返還に関して、スペイン、イタリア両国で会談が行われるとの事です。」  本間から渡された資料に目を通しながら、岡村は考え込んだ。…
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第二次世界大戦異史 第17話 バルセロナ攻防戦

「トハチェフスキー?赤い、ナポレオンがか?」  トハチェフスキー率いる、ソビエト軍の使者から義勇軍と共に合流したいという知らせを副官の矢部光利少佐から聞かされた岡村は、耳を疑った。  全満州を狙うスターリンを警戒して、日本は遼寧省に関東軍を駐在させ、北部にはアメリカ軍がいる。  事実上、睨みあいに近い状態にあるソビエト軍が、フラン…
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第二次世界大戦異史 第16話 軍と時間という敵

「静かだな…。」  作戦会議が終了し、外の空気を吸いたくなった岡村は、そう呟いた…。  目の前には、機関銃、迫撃砲、対戦車砲。 さらに、野砲、榴弾砲、加農砲といった重砲の陣地が作り終えられている。 担当する兵士たちは土嚢に横たわり、眠っている。その両翼は、戦車と機動歩兵が布陣その後方に、トラックに乗った歩兵部隊。 さらに飛行場…
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第二次世界大戦異史 第15話 日本軍参戦

「レーダーに反応。9時方向。数4。その内1隻は大型艦です。距離20000。こちらに向かってきます。」  金剛の艦橋に、緊張が走る。 「敵艦より電文。停戦セヨ。シカラザレバ攻撃ス。ドイツ海軍少将ヴィルヘルム・マルシャル。以上。」 「海軍まで、おでましか。最近では正規の海軍を、義勇兵というのかね?」  山口が、参謀達に訊ねる。 「…
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第二次世界大戦異史 第14話 スペイン内乱

 7月半ば。 大西洋上で合流した、フィンランド親善訪問艦隊、岡本率いる混成軍団、航空機技術支援団、エチオピア軍事顧問団は大西洋上で、イギリスからの重油、水、食料等の補給を受けていた。  訪問艦隊司令官、山口多聞少将は旗艦金剛の艦橋の防空指揮所から、大西洋を見ていた。 改装が決定した金剛級の中で、最も早く、1月下旬に改装が終了し、親…
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第二次世界大戦異史 第13話 開幕の時

 1937年の元旦は、ことさら大きな事件もなく訪れた。  酒を飲みすぎたり、餅を喉につまらせて、病院に運び込まれる人騒がせな連中がいるのも、例年通りである。  それを除けば、若槻家の元旦は穏やかだった。  しかし、家主は穏やかな雰囲気の私邸で、十数枚の書類に目を通していた。その合間に、雑煮を食べ、おせちをつまみ、お気に入りの地酒の…
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第二次世界大戦異史 第12話 1936年

 春が、終りを告げようとしていた。 「スペインの右派と左派が、それぞれ分裂して、抗争?」  官邸に到着した若槻に届いた知らせは、スペイン大使館の物で、スペインで争っている右派と左派がそれぞれ、内部抗争に入ったという知らせだった。 「全く、安定という言葉とは、程遠いですな。あの国の政情は。」  川崎は、呆れたように言う。 「そも…
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第二次世界大戦異史 第11話 怯える世界

 1936年3月7日。  ラインラントのアーヘンに住む老人は、欠伸をしながら、新聞を取りにいった。  まだ、世界恐慌から、完全に抜け切ってはいないものの、職を失うことなく定年退職を迎え、長年連れ添った妻と慎ましやかに暮らしていた。  その時、耳は信じられない音を聞き、目は信じられない物を見た。  軍歌を鳴らしてアーヘンに入ってく…
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第二次世界大戦異史 第10話 ナチス・ドイツ

「ドイツが遂に、再軍備を宣言いたしましたな。」  高橋内閣の総辞職を受けて発足した若槻内閣の大蔵大臣、結城豊太郎が溜息をつきながら言った。  日銀に就職後、様々な役職を経験し、アメリカ勤務、欧米各国の視察等も経験し、金融に関しては経験豊富で国際経済にも明るい人物である。  高橋の次の首相として、若槻が決まった際に、国内の金融経済政…
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第二次世界大戦異史 第9話 最後の務め

「これが、ヒトラーの答えか…。」  ヒトラーのユダヤ人迫害に対する、高橋のメッセージが送られたのと同時に、各国もメッセージを送った。  これに対して、ヒトラーは激怒。  以下のようなメッセージを、発した。 「わが愛する祖国が、先の大戦で敗れ、それから、ドイツ人以上に祖国にのさばっているのは何か?それこそが、ユダヤ人である。私…
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第二次世界大戦異史 第8話 雲に覆われし時

「会談は、明日、行われるそうです。」  高橋達は、宿泊所であり会談が行われる、クイリナーレ宮殿にいた  クイリナーレ宮殿は、元々教皇グレゴリウス13世の夏の住居として建設され、その後、イタリア国王の公式な宮殿となったが、現国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ三世は他の場所を住居としている為、現在は公務の場として使用されている。 「そう…
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第二次世界大戦異史 第7話 小さき大国の難題

「ご苦労。大役を、よく務めてくれた。」  第二次ロンドン海軍軍縮条約が締結され、若槻ら日本交渉団は、5月に日本に帰国した。  その夜、高橋は神楽坂の料亭で、ささやかながら祝いの席を設けた。 「ねぎらいのお言葉、ありがとうございます。無事に条約が締結されて、ほっとしております。」  潜水艦の制限から始まって意見はことごとく対立した…
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第二次世界大戦異史 第6話 軍縮条約締結

「やれやれ。ここまで面倒な事になるとは、思いませんでしたな。」  中橋が、渋い表情でつぶやく。  ロンドンから日本に、政治レベルでの協議を一時ストップして、軍人同士の協議を行った後に、政治レベルで協議を目指すという日本とアメリカが発案した方式が採用された事が外交電報で送られ、閣議では予想を大きく上回る会議の難航ぶりに、皆が中橋同様に…
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第二次世界大戦異史 第5話 第二次ロンドン軍縮会議

「こんな形で、再びロンドンに来るとはな…。」  1934年2月。  軍縮会議のために、若槻を全権大使とする日本の交渉団は、ロンドンの地を訪れた。  イギリスが意図的に流した、貿易関税引き下げ案で足並みをそろえた後、アメリカを初めとする5カ国は、パリで予備交渉を開始。  軍縮会議が開かれることが、決定した。 「ドイツが、どんな提…
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第二次世界大戦異史 第4話 軍縮条約破棄

「フランスが軍縮条約を、破棄するだと!?」  海軍省で、斉藤が驚きのあまり席を立つ。 「イタリアも同様の内容の通達を、我が国の他に、アメリカ、イギリスに大使館を通じて通告してきました。」  1923年のワシントン軍縮条約。  そして、1930年のロンドン軍縮条約と、国際的な軍備削減の流れが作られた。  建艦競争で財政が圧迫され…
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第二次世界大戦異史 第3話 会談と憂鬱と

「ほう。ルーズベルト大統領からの、親書か。」  官邸の執務室で、高橋は、アメリカ大使館を通じて届けられた、親書の封を切る。 「これは、ありがたい。向こうが機会を提供してくれたか…。」  高橋は、嬉しそうにうなずく。 「大統領は、何と?」  広田が訊ねる。 「私を、アメリカに、招待してくださるそうだ。ちょうどいい、これからの世…
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第二次世界大戦異史 第2話 日米の懸念の差異

「遅れて申し訳ありませんな。グルー大使。」 「いえ。内閣総理大臣の忙しさは、知っているつもりです。お気づかいなく。」  総理官邸の一室で、高橋は1人のアメリカ人と握手をした。  ジョゼフ・グルー  昨年、在日アメリカ大使として赴任してきた、外交官である。 「貴国は、不況から立ち直り、国内も安定していますな。まずは、お祝い申…
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第二次世界大戦異史 第1話 1933年

 一人の老人が、一冊の書物を閉じた。  「わが闘争。」  それが、書物の題名である。  老人の名は、高橋是清。  最近まで、犬養内閣において大蔵大臣を務め、かつては総理大臣も務めた事がある政治家である。  総理大臣犬養毅が、急病で総理を辞任。  後を引きつぐ形で、大蔵大臣を兼任したまま内閣総理大臣の任に着く事に、なった。 …
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