機動戦士Zガンダム~ネオ・ジオン戦役~ 第52話 彼女について。彼らの今後。

 サダラーンのMSデッキで、ハマーンは発進準備を整えていた。
「お待ちください。何故、キュベレイに…?ヴィルジンヴァイスは、いつでも発進できます。」
 メカニックの言葉を聞いて、ハマーンは隣にたたずむもう一つの愛機を見た。
「やはり、こちらの方が思い入れは強くてな。只の感傷でしかないが、決着はこのキュベレイでつけたい。」
「ならば、せめてノーマルスーツを。」
「案ずるな。クワトロの。シャアのMSならば、一度降している。」
 小さく笑いながらそう言って、ハマーンはキュベレイのハッチを閉じた。
『尤も、比べものにならぬほど性能が向上しているがな。だが、このキュベレイとて、最初の頃と同じではないぞ。』
 キュベレイは、外見が当初とは変わっている。
 腰部のアーマーが増設されてスラスターが内蔵されており、姿勢制御スラスターも増設されている。
 腕部のビームサーベル兼用のビームガンは、ビームキャノンに換装されビームサーベルは個別に装備している。
 さらに、高い火力と近接戦闘も可能なフェダーインライフルをネオジオンで独自に開発した物の他、兵装も追加され基本性能を引き上げられている。
 胸部には、57mm5連装ガトリング砲が2基装備され、腰部には4連装ミサイルポッドが2基装備されている。
 装甲は新型のガンダリウムコンポジットに、対ビームコーティングを入念に施し、表面は磨き抜かれた鏡の様になり、光を当てると輝くように見える。
 さらに、サイコミュも今まで蓄積したノウハウを基に性能を向上させ、総合性能も向上している。
 AMX-004L キュベレイ・ルーチェ。
 地球のある地方の言葉で、光を意味する言葉を冠せられたキュベレイの新たな名である。
『シャア…。最後の決着は、お前と私で着けるとしよう…。』
「キュベレイ、出るぞ!」
 サダラーンのカタパルトから、キュベレイが発進する。

『この感覚…。』
 コンソールを操作して、プレッシャーを感じた方向の映像を、倍率を上げて確認する。
「やはり来たか。ハマーン。」
 経過がどうあれ、最後はハマーンが出てくる。
 クワトロは、そう確信していた。

「久しいな。シャア。グリプス戦役が終わって以来か。よく生きていた物だ。しぶとさに感心するよ。」
 通信で、ハマーンが挑発と解釈できるように話しかけてくる。
「生憎と、そう簡単に死ねんよ。若者に、我々が背負う重荷を背負わせるわけにはいかん。新しい時代を作るための礎を築いて、我々は死ぬ事が出来る。いや、それまで死ぬわけにはいかんのでな。」
 激昂せずに、クワトロは言葉を返す。
「安心しろ、礎を築くのも、新しい時代を築くのも、我らジオンとミネバ様がやる。お前は死んでゆけ。」
 キュベレイが腕部ビームキャノンを発射すると、ファンネルを射出する。
「あの時と同じに行くと思わんことだ。ハマーン。」
 グリプス戦役の百式と、今の百式では性能に格段の差がある。
 ワンオフ機であることから、コストを無視してカミーユ達の機体は改修を続けられてきた。
 機体にはサイコミュが搭載され、出力が向上し稼動も安定した高性能ジェネレーターと大推力スラスター、各部の姿勢制御スラスターで、高い機動力を誇る百式はさらに機動性が向上している。
 また、サイコミュによって機体の追従性も飛躍的に高まり、クワトロの意のままに動く。
 さらに、今は機動力を重視しているとはいえ増設した装甲も搭載されていて防御力も向上し、ある程度兵装も追加されている。
 嘗ては敗れたが、数度の改修を経て性能が向上し続けた百式とクワトロの組合せは危険極まりない。
『MSの性能ならば、互角であってほしい物だ…。』
 そう思ったハマーンだが、次の瞬間には精神のスイッチを切り替えた。
「今度こそ、葬ってやるぞ!シャア!」
「まだ、終わらんよ!ハマーン!」
 嘗て、「赤い彗星」と呼ばれたジオンのエース。
 臥薪嘗胆の時を過ごして決起した、ネオジオンの指導者。
 本来ならば、共に肩を並べている筈の2人は敵同士としてこの戦争の戦いに終止符を打つ為に矛先を交える時が来た。

「始まったか…。」
 予備戦力を含めて多くの戦力を失いながらも、懸命に戦うネオジオンの戦力を削り取っていたアムロは、最後の戦いが始まった事を悟った。

「カミーユ!」
「ああ。解ってる。俺達は手を出しちゃいけない。今は、やるべき事をやるだけだ。」
 フォウとカミーユも火ぶたが切って落とされた事を感じていたが、課せられた役目を果たす事に集中して、共に愛機を駆り続けた。

『うん?…。そうか、解った…。手を出す気はないよ。始めからな…。』
 グリプス戦争時、ララァというトラウマの事もあり地上にいたアムロは話でしかクワトロとハマーンの関係を知らない。
 それでも、互いの決着を着ける際に手を出してはならない事は、熟練の戦士として知っていた。
 戦いぶりに、一切迷いはない。
 この戦争に決着を着ける為の、作戦。
 成功させなければ、今までの戦いも、流した血も無意味になる。
 それだけは、何としても避けたかった。

 クワトロとハマーンの戦いは、激しさを増していた。
 互いのMSがNT専用という事を差し引けば高機動戦闘で実力を発揮するという共通点を持ち、それぞれ自機の特性を知り尽くしており最大限に発揮する高いNT能力とMSパイロットとしての技術を有している。

「ぬうっ!」
「死ねっ!」
 百式のビームサーベルを受け止めると、キュベレイ専用に新開発されたフェダーインライフルのストックに搭載されているビームサーベルを槍の様に使用してコックピットを貫通しようとする。
 それを、頭部バルカンで牽制。
 双方が絶妙に相手のファンネルを牽制し合う内に、使用できるのはあと一基になっていた。
 キュベレイは十二基のファンネルを装備しているが、常に最前線で戦い続けてきたクワトロが有利になるのを許さずに先手を打ち、装備されているEファンネルに防御能力があった事がそれを可能にした。
 この時期ネオジオンの技術陣は、軍の組織の完成度を高めるためにNT専用MSの開発を続けていても、通常の量産型MS開発を主にせざるをえなかった事と、1機単位のNT専用MSにどれだけファンネルを装備できるかを突き詰めている途中だった結果である。
 サイコミュシステムのモジュールの重要部である、ファンネルの制御OSの完成度に置いてエゥーゴに劣ってしまったのである。
 当初から小型空中砲台として開発されたジオンのファンネルに対して、連邦はサイコミュ自体の完成度を高めつつ、様々な試みを経てファンネルを完成させようとしていた。
 結果が、ジオン系のファンネルより大型であるが、単なる小型空中砲台でなく小型多機能攻撃モジュールとして開発された、準サイコミュ兵装のインコムにリフレクターインコム。
 Mファンネルと発展型のEファンネルの完成である。
 そして、システム面でも様々なアプローチが行われた結果、成熟した制御システムが完成。
 総合的に、ジオンを凌いだのである。
 ジオン系と連邦系の、ファンネルの定義の違い。
 それをうまく利用したクワトロに軍配は上がり、数が多いキュベレイのファンネルを事実上封印することに成功した。

 その結果、ニュータイプとしての能力はMSの性能を、100%以上でどこまで高めるかの要素となった。
 後は技量が勝敗を決する。
『常に、最前線に居続けた結果か…。私が遅れを取るとは…。』
 戦いながらハマーンは、はっきりと実感していた。
 MSパイロットとしての技量が、クワトロに劣ると。
 MSのような特殊な機動兵器は、定期的な訓練と実戦経験が非常に重要視される。
 Head、Hand、Heart。
 パイロットに特に重要な、三つのH。
 士官学校や、MSパイロット訓練校で最初に教えられる事柄である。
 知識、技術、精神力や心構えを指すが、ある程度教えられた後、それを維持し高めるのはあくまで本人である。
 知識と精神力に関しては、様々な形の研鑽等である程度磨き抜く事が出来る。
 しかしながら、技術に関しては常日頃の訓練と戦場を生き抜いた経験が無ければ維持は非常に困難となる。
 さらに、ブランクがあれば、それを取り戻すのは容易ではない。
 知識を活かす事に関しても、実戦経験は重視される。
 三つのHを実戦経験抜きで維持し高められる部分は、4割5分までいけばよい方と言われる。5割以上は戦場で戦い生き抜くしかない。
 だからこそ、MSは高価な装備であるに拘わらず、有事ともなれば短期間で数多くのMSが戦場に出る。
 少しでもMSパイロットの生存率を高める為であり、エースパイロットともなればカスタム機が開発され、ニュータイプともなれば、少しでも高性能のMSにサイコミュを実装し、改良できる部分は改良され続ける。
 それ程に、MSパイロットは貴重な軍用資源であり、戦いの勝敗を決める要素となる。
 事実、ハマーンは自軍のパイロットの練度の低さが、作戦の足枷になり続けた。

『せめて…!せめて…、お前がいれば…。お前さえいてくれれば…!私は、このままで良かったのだ…!!お前に軍のほとんどを委ね、私は内政だけを考えている事が出来た!!コロニーを連合させて、各地の残党を結集させて、腐った連邦を一掃する事が出来た…!!』

 摂政として、内政を固める為に専念するハマーン。
 それを支えるのが、専用の赤い鮮やかな専用の軍服を纏う、軍の最高責任者にして、ネオジオン最強のニュータイプでありMSパイロット。
 最前線で真紅のNT専用MSを駆り、多くの実戦経験に裏打ちされた優れた指揮能力で勝利を収め続け、ジオンの赤い彗星からネオジオンの赤い彗星となり、そのカリスマ性で軍の士気を高め、各地で反連邦活動を続けてきた熟練兵達をサイド3に集結させて兵の教育体制を確立。
 他のコロニーの潜在的な親ジオン派と接触し彼らを中心にして各コロニーとサイド3を結び付け、優れた指揮官たちと戦略を練る、頼りになる半身。
 それが、ハマーンにとってのあるべきシャア・アズナブル。
 今敵対している、クワトロ・バジーナという存在だった。

『何だ!?この怨念とも深い悲しみとも取れるプレッシャーは!?』
 今までに感じた事のないプレッシャーをキュベレイから感じたクワトロは、一旦下がり隕石に隠れビームライフルのエネルギーパックを交換する。
 機体の制御系及びサイコミュに、なんら問題は無い。
『では、やはりハマーンか…。だが…。』
 嘗て、アクシズにいた時からの関係であるクワトロは、ハマーンの事もその父マハラジャ・カーンの事もよく知っている。
 しかし、このプレッシャーから想像できるハマーンは、クワトロが知っているハマーンではなかった。

「…まえ…が、お…が、い…れ…ば…。」
 酷いノイズ混じりだが、確かにハマーンの声をクワトロは聞いた。
「通信回線か…。無意識に、ハマーンが回線を開いたのか…?」
 回線のチャンネル数の調整をすると、ハマーンの声が鮮明に聞こえてくる。

「お前さえいてくれれば、腐った連邦など恐れるに足らなかった!カミーユ・ビダンを始めとする優秀な人材をこちらに引き抜く事も出来た!そうすれば、内輪揉めでガタガタになり、統治機構が腐敗した連邦など敵ではなかった!お前の…。お前のせいだ!どうして、エゥーゴについた!?」
 血を吐く様なハマーンの叫び声が、通信回線を通して鮮明に聞こえる。
 ティターンズとの戦いの後、アーガマはエゥーゴの数少ない実働戦力として各地を転戦しつつ戦況を有利に持っていった。
 スポンサーであるアナハイムによる装備面の援助が大きな理由だが、それ以上に優れた人材が残っていたのが理由だった。
 嘗ての部下達が倒れていく中、ゼータを駆ってエゥーゴの象徴となってハマーンをも苦戦させ、シロッコを倒したカミーユ。
 アーガマの艦長として、どのような不利な状況でも沈着冷静・的確な指揮を執るブライト。
 地球でカミーユと想いを育み、今は将来を誓った恋人同士として互いを支え続けるフォウ。
 嘗てのティターンズのエースパイロットであったが奇妙な縁で、アーガマのパイロットに加わったヤザン達。
 何より、一年戦争では幾度も死闘を演じた連邦の伝説のエースパイロットであるアムロ。
 サイド4で、MS隊を指揮しながら、最前線で戦い続けるウラキ。
 支援組織であるカラバや連邦の一部の部隊での出会いが、クワトロにある物を与えた。
 若者たちが持つ可能性を。
 それに掛けてみようと。
 その為の土台を自分達の世代が作ろうと、思わせた。
 これからの新しい時代を創るのは、これから老いていく自分達ではなく、カミーユ達の様な若い世代。
 彼らの為に、出来る限りのことをしようとクワトロは決意した。
 暗殺されて、自分に後を託したブレックス・フォーラのような人物もいる。
 彼らの想いを、無駄にする事は出来ない。
 いつしか、クワトロは変わっていった。
 気が付けば、自分を縛っていたジオン・ズム・ダイクンの子という呪縛から解き放れていき、独自にこれからの事を考えていた。
 その為にも、この戦いで死ぬわけにはいかない。
 やる事は山の様にあった。
 だからこそ、ハマーンの元に戻る訳にもいかず、ハマーンに討たれるわけにはいかなかった。

「私には、若い世代が主役となるまでにやる事がある。だからこそ、お前の傍にいることは出来ない。」
「シャア…。…。いつの間にか、通信回線を開いていたのか…。」
 ハマーンは誰に向けてか、複雑な笑みを浮かべた。
「焼きが回ったとはこういうことか…。この私が、戦場で敵に向かって愚痴をこぼすとはな…。この私が…。」
 だが、次の瞬間戦士に戻る。
「さあ。決着を着けよう。互いにこれ以上の問答は不要。勝敗が全てに決着を着ける。」
 キュベレイと百式が、ビームサーベルを構える。

 そして、光の剣が刹那の時間軌跡を残し、すれ違った。

「私の…、負けか…。」
 致命的ダメージを負ったキュベレイの通信回線から、ハマーンの声が聞こえてくる。
「嘗ての…、私が知るお前は…。それほどかたくなでもなかったし、執着心もなかった…。何がお前をこれほど変えたのだ…?どうして、変わってしまったのだ…?」
 まるで別人のように変わってしまった、嘗ての知人に向かってクワトロは話しかけた。
「さてな…。私にもよく解らん…。だが、昔も今も連邦を妥当し腐った社会を変える意思に変わりはなかった…。貴様たちエゥーゴが立ちはだかりしなければ、それも叶ったというのに…。憎たらしい連中だ…。ネオジオンよりエゥーゴの方がそれほど居心地が良かったか…?」
 吐血したらしい音が混じったハマーンの声を聴いて、時間がないことを悟った。
『お前がいるネオジオンに執着したなど、死んでもいえぬな…。我ながら、意固地なことだ…。』
 恋愛感情なのか、それとは別なのか。
 ハマーン自身にも、解答は出なかった。
 だが、クワトロが大きな原因だという自覚は、間違いないと感じていた。
「いずれにせよ。貴様の勝ちだ。これから何があるかは解らんが、せいぜい絶望し後悔しろ。お前がいるべき場所は、腐敗し内輪もめにうつつを抜かしている連邦ではなく、統一され規律あるネオジオンだった。そう遠くないうちに、思い知るだろうよ…。」
 ハマーンは最期が間近に迫っていることを悟りながら、最後の意地を張った。
「私には、多くの同志たちがいる。例え絶望することがあろうとも、立ち上がることができる。これから、新たな戦いが待っているが私は戦い抜ける。そう確信している。」
 力強く、クワトロは言い返す。
「そうか。向こうで父と共にそれを見物させてもらうよ…。」
 キュベレイのバーニアが点火して百式から離れると、宇宙の星となった。

 ハマーン戦死の報が伝わると、サイド4駐留艦隊はウラキが駆るパフィオペディウムを戦闘として進軍を開始すると、残存戦力はすべて降伏。
 ネオジオン抗争は終了した。

「それは間違いないのか?少佐。」
 ラー・カイラムの執務室で、ブライトはある報告をクワトロから受けていた。
「間違いない。遺伝子は間違いなくミネバ・ザビであることを示している。だが、テロメアに異常が見られた。他にも人工的な面が見受けられるそうだ。これが、指し示す事実は…。」
「ミネバ・ザビは、何処かへ消えたか…。」
 ザビ家の正当な血を引くミネバを押さえておけば、ジオンを支持する勢力は錦の御旗を失いMSを新型に更新した各地の連邦軍で撃破可能である。
 だが、ミネバが行方不明となると後に新たなネオジオンが生まれることとなる。
 クワトロとブライトは、それを痛感していた。
「新たな戦いが起きるな。いつかは解らんが…。」
 ブライトは、深い溜息をつく。
「だが、時間があることは確かだ。私は私なりに備える方法を考えているさ。」
 そう言って、窓から星々をみるクワトロの横顔を見て、ブライトは一旦話を終えた。
 少なくとも、クワトロは根拠もなくそのような事をいう人間ではないことを、知っていたからである。

 その頃。
 宇宙の何処かに、彼らはいた。

「グレミーも、ハマーンも敗れたか。準備をしたのに空しい物だ。」
「赤い彗星、白い悪魔、エゥーゴの中核。それを率いていたのは、士官候補生でありながら逆境を跳ねのけ続けてきた百戦錬磨の指揮官。いたし方ありますまい。それに、我々は十分な実りを得ることができました。」
「エルピー・プル達の育成データを反映して、優れた個体に仕上がることが確実となったからな。その面だけは、感謝しておこう。ミネバ様がいないのは痛いが。その点は、ハマーンに一本取られたな。反連邦の戦力を集めることはできよう。さて、名を決めねばな。」
 ネオジオンの敗北が刻一刻と近づいているのを感じたハマーンは、独自に信頼できる者と生活するのに困らないだけの金品を収めた貸金庫を持たせてミネバを連れて逃していた。
 その点は、彼らが足元をすくわれたがいつまでも気に病んでいても仕方がないので、気分を入れ替えた。
 そして、少し考えて、リーダー格の男はこう名付けた。

「フル・フロンタル」と。

 ネオジオン抗争から一年後。
 ロンド・ベル隊の根拠地であるサイド1のコロニー「ロンデニオン」で、二組のカップルが華燭の典を挙げていた。
 カミーユとフォウ。
 アムロとベルトーチカ。
 それをブライト達ロンド・ベルの同僚たちに、ウラキ達サイド4駐留艦隊の人間が祝う。
 その中に、スーツを着込み髪形を整えてトレードマークともいえるサングラスを外したクワトロ。
 今は本来の名であるキャスバル・レム・ダイクンとしてサイド1から立候補し連邦議会に席を占め、コロニー出身議員だけでなく、地球出身の議員たちを集めて改革勢力の中核として、様々な改革を行う政治家である彼がいた。

「アムロ。カミーユ。おめでとう。幸せになってくれ。嘗て肩を並べて戦った戦友としてまた親友として心から祝福させてもらうよ。フォウ、ベルトーチカ。今日は本当に素敵だね。」
 カミーユとフォウは初々しく頬を染め、アムロとベルトーチカも照れ臭そうに笑う。
「そっちは忙しそうだな。地球環境再生法の一環である、連邦首都の移転に関して、フォン・ブラウンとダ・カールを行ったり来たり。軍の最適化も議会で話し合われるのだろう?」
 汚染され、生命力を失った地球を再生すべくキャスバルは、様々な案をまとめた地球環境再生法を議会に提出。
 各勢力に根回しをして議会を通過させ、実務の中心になっていた。
「各地のジオン残党の動きを押さえないことには、地球再生もままならない。いつまでもジム系やネモを使っているようではな。ジェガンを地上用に改修したものを配備するのが最適だと考えている。その件で、オクトバー氏の意見を聞きに行く。どうぜ、フォン・ブラウンにいる時間も長いのだから、物のついでという事だ。ジェガンへの更新も可能な限り早く終わらせたいのでね。」
 傍らには、グラナダのアナハイムの材質工学の研究所で主任研究員を務め、系列の高等専門学校の教授を務める、キャスバルにとって友人と恋人の中間的な存在であるナナイ・ミゲルがいる。

「そっちはそろそろかい?キャスバル。」
 アムロがベルトーチカを連れて、キャスバルとナナイの元に来た。
「しばらくは、仕事が我が妻だよ。まあ、結婚は詰まる所、縁だからね。縁があれば、結婚するだろうさ。」
 キャスバルの答えに、アムロは肩を竦めた。

「平和ね。ずっと、続けばいい…。平和で、穏やかで、幸せな日々が…。」
 ウェディングドレス姿のフォウがカミーユの方に頭を乗せて心から今の幸せを実感する。
 嘗て、強化人間としてサイコガンダムを駆っていた時は、考えたこともなかったので尚更だった。
「壊そうとする連中が出てきたら、俺が叩きのめす。約束する。俺たちの幸せは必ず守るって。」
 優しくフォウの手を握りながら、カミーユは誓う。
 その光景をアナハイム系の学校に通っているプル達は、羨ましそうに見ていた。

 歴史上、数多ある戦争が終えた後の幸せ。
 再び、争いが起こるかもしれない。
 が、今は平和を幸せを人類は享受していた。

後書き
やっと、完結です…。
終わりはどうなるかは決まっていたのですが、ハマーンというキャラクターをどう書くかでずいぶん悩みました。
一体どんな立ち位置のキャラクターなのか?
結論は、孤独な人物でした。
考えてみれば、ダブルZでもそうでした。
ジュドー達は孤立無援でも皆で上も下もなく助け合い、戦ってきた。
しかし、ハマーンには盟友と呼べる相手はいなかった。
本来は、クワトロことシャアがその位置にいるはずだった。
それを基に、地球圏に帰ってきた理由やZでもシャアに固執していた理由を作りました。
そして、この二次創作では逆襲のシャアはないので、その先であるユニコーンにつながる伏線を張りました。
あとは、ハッピーウェディングとその後の彼ら。
Zのジャブロー襲撃の時に、一年戦争後にジャーナリストに転身したカイが、シャアは何年かかろうとも連邦の大統領を目指すべきだとメッセージを残したことをヒントに、本来の名で政治家に転身して、地球の再生と治安維持で多忙を極めるシャアを書きました。
カミーユとフォウ。
アムロとベルトーチカ。
二人ともめでたくゴールイン。
カミーユ達は、さぞや甘い夫婦生活でしょう。
ともかくも完結です。
いままで読んでくださった方、ありがとうございました。


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この記事へのコメント

ZEST
2018年10月19日 17:41
かーなーりお久し振りになります、ZESTです。
ネオジオン戦役完結おめでとうございます!!

クワトロとハマーンとの最終決戦は、本当に熱かったですね。
カミーユとフォウ、アムロとベルトーチカも結婚おめでとう!!

4人の未来に幸あらん事と、クワトロがセイラさんと和解出来る事を祈ります。
ZEST
2018年10月19日 17:48
コメ(2)

ZZ同様、ミネバは替え玉と入れ替わって逃れていた様ですね。

宇宙世紀ガンダムシリーズでは、クローンのテロメアの問題が挙げられなかっただけに、描写してくれて良かったです。
2018年10月22日 12:34
ZESTさん。
大変お久しぶりです。ようやく完結です。

>クワトロとハマーンとの最終決戦は、本当
>に熱かったですね。
 ありがとうございます。
 ZZの最終回での、ZZとキュベレイの
 戦いが激戦でしたから、やはり最後は熱
 く激しい戦いで終わらせたかったと思っ
 ていましたので喜んでいただければあり
 がたいです。

>4人の未来に幸あらん事と、クワトロがセ
>イラさんと和解出来る事を祈ります。
 カミーユ達はさぞかし甘い夫婦生活にな
 るでしょう。書いてるうちに砂糖を吐き
 そうになるほど。
 アムロ達は、大人の雰囲気がある夫婦で
 すかね。
 エゥーゴへの出資者の一人であるセイラ
 ことアルテイシアさん。
 キャスバルに会ったらどうなるか、興味
 深いですね。

>宇宙世紀ガンダムシリーズでは、クロー
>ンのテロメアの問題が挙げられなかった
 SEEDシリーズではクルーゼやレイを通じ
 て、クローンを作る事の罪深さを描写し
 ていましたし、反映させてみようと思い
 ました。
 フル・フロンタルを作ったお歴々を登場
 させましたし、出しやすかったですね。
 個人的には、クローン作りを平気で行う
 事の罪深さを書いていいと思いましたの
 で、それも理由です。
ユエ
2018年12月12日 21:50
まずは完結、おめでとうございます!!

なんか欲を張ればもうちょっと見たかったりします
カミーユとフォウのR18とか(笑)あとハマーンとシャア……昔は愛し合っていたらしい話も聞いていただけにやっぱやりきれないのはシャアも同じなのかな?って気がするのでそこもまたどんなんだか気になったり……
ユニコーンに繋がる付箋か………きいててユニコーンの二次もみたくなりそう

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