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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第167話 モアザンワーズ<後篇>

<<   作成日時 : 2017/07/29 23:07   >>

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「もらい!」
 追加兵装パッケージを量子化したアサルトキャットを展開したシャーリーが、大型のプラズマサボットバズーカでゴーレムを捉える。
 発射されたのはフレシェット弾だが、勿論只のフレシェット弾ではない。
 小型ロケットブースターを搭載し、新型の高性能炸薬を使用した炸裂弾を内蔵した特殊なベースブリード弾である。
 ロケットブースターでさらに初速を増した弾体は、ゴーレムの装甲を食い破って炸裂。
 内部機構を、容赦なく破壊する。
「はあっ!」
「隙あり!」
 荷電粒子で包まれたような剣を両手に持ったレイラと、両手持ちの大型プラズマメイスを振り上げたコリーナが、爆発の閃光で一瞬動きが止まったゴーレムに一撃を叩き込む。
 レイラの剣は斬りつけてからさらに荷電粒子が迸り、ゴーレムを真っ二つにする。
 コリーナの大型プラズマメイスは、ゴーレムの装甲を砕き、通常、近接戦闘で使用しているプラズマメイス「イフェスティオ」を上回る大出力のプラズマが、ゴーレムを内部から粉砕し、バラバラになった装甲の破片や各種パーツが、海に落ちる。
「ちょっと。海を汚さないでよ。」
「そっちも、似たような物でしょう。」
「私は、真っ二つにしただけで、後ですぐに拾えるわ。コリーナは随分と苦労しそうでしょ。」
 傍から見たら似た者同士のレイラとコリーナは言い合いながら、メインスラスターに搭載されたミサイルを一斉に発射して、ビットで追撃する。

「似た者同士で、漫才やっていない。ヘマしたら後で一夏さんに会わせる顔が無いでしょ。」
 カービン程度に小型化された特殊偏向ライフル「光雷」で攻撃しつつ、追加兵装パッケージで増設された瑞鶴のウィングスラスターに内蔵された、マイクロミサイルとレーザーで広範囲に攻撃をしてゴーレムを牽制する蘭が、レイラとコリーナに言う。
「解ってるわよ。」
「了解。」
 蘭にそう答えたレイラとコリーナはシャーリーの援護を受けて、再びゴーレムとの戦闘に参加する。

『私も、頑張らなくちゃ…。一夏さんが…。私が身も心も捧げた、大切な人が作った瑞鶴の専属パイロットなんだもの。』
 各部の装甲が、何かの機構の様に展開すると、そこから荷電粒子砲が大量に発射される。
『よし。命中。頑張ってくれた、開発部の人達に感謝ね。』
 自らも、前線に出て、ビットを射出する。
 すると、そのビットから小型のビットのような物が射出され、最初に射出したビットは、1年生たちを守る様に前面に展開する。
「当たれえー!」
 小型のビットがシャープな機動で動き、荷電粒子砲を発射し、機構の一部が展開し近接用のブレードとなって、ゴーレムの装甲を斬り裂く。
 蘭を危険と見たゴーレムが、包囲するが、各部の装甲が再び展開。
 ビームソードが出現し、ゴーレムを串刺しにして、小型のビットが止めを刺す。
 さらに、後方のビットが展開し、ペアを作って大出力重荷電粒子砲を発射する。

 倉持技研が防御と機動性に関して、展開装甲の劣化コピーを開発したのと同時期、芝崎の開発部は、やはり劣化コピーではあるが、攻撃と防御の機能を再現した物を開発することに成功した。
 即時対応迄の時間も想定より短くする事に成功したので、これを各部に使用した追加兵装パッケージを開発。
 機体に使用するだけでなく、ビットにも搭載している。
 これにより、本体のバレルの一部を、ビットとして採用。
 本体のビットも、無論兵装として使用可能。
 フィールドの生成に、他の兵装の威力を引き上げる事が出来る。
 今までにない、特殊多目的ビット「天鶴」が完成した。
 それら各種兵装を搭載して完成したのが、多目的対応追加兵装パッケージ 「舞鶴」である。
 技量だけでなく、パイロットのセンスも問われるが、蘭は使いこなしていた。

「そう簡単に、逃がさないわよ。」
 従来以上の命中性能で、ドロシーは各種兵装を使用していた。
 高い機動力はさらに高められ、高速で動きながら面制圧を行う。
 オーストラリア製ISの特徴は、火力と機動力。
 去年の冬に、一夏はフォルテの専用機第二世代ISコールドブラッドをさらに高性能にした、新型第三世代ISエインガナを開発。
 それ自体は、亡国企業の動きを考慮してだが、結果としてオーストラリアに様々な最新技術を提供する形になった。
 一夏が一度改修したコールドブラッドと、エインガナの最新技術。
 これらを解析して、ドロシーの専用機である第三世代ISミルリアナは完成した。
 初の国産第三世代ISは、オーストラリア製ISのコンセプトをそのままに、機動性に難があったコールドブラッドとは違い、火力、機動性、運動性、全ての要素で優れた第三世代ISとして完成した。
 追加兵装パッケージは、その大火力をさらに高め、命中精度を高める事をコンセプトに設計された。
 ミルリアナ高機動精密砲撃追加兵装パッケージ「アテア」
 ポリネシアの天空神の名を持つ追加兵装パッケージは、新開発された精密射撃用ハイパーセンサー「デンゲイ」を搭載。
 フィジーの創造神の名をつけられ、命中精度を大幅に高めていた。
 だが、アテアも一夏の技術の断片を使用したに過ぎない。
 それですら、これだけの性能を発揮する。
 
『私のサポートは、いらないかな。』
 蘭達の戦いぶりを見ながら、葉月はそう考えて数を減らす事に専念することにした。
 葉月の専用機フンターは、機体の加速性、運動性を重視して開発されており、パッケージも機体の基本性能を高めつつ、各種兵装を搭載している。
 腕部シールドは、防御フィールドを発生させると共に荷電粒子砲を使用することが可能で、さらに、ビームソードが内蔵されている。
 荷電粒子砲とビームソードを使い分けつつ、脚部のミサイルを発射し、腰部の、偏向射撃が可能な荷電粒子砲を発射する。
 だが、今回もスコールとエムは大量にゴーレムとディースを動員しており、隙をついて近接戦闘を挑もうとする。
「甘いわね!」
 両肩部に装備されている円形のシールドをそれぞれ手にすると、まるで不可視の鎖がついているように、装備されているビームエッジ、全方位レーザー、ミサイルでゴーレムとディースを次々と墜としていく。
 さらに、背後のウィングスラスターに装備されているビットで、追撃する。
 フンター専用高機動汎用追加兵装パッケージ「ユングリング」。
 スウェーデンを支配した最古の王家の名を持ち、機体特性を活かしつつ、兵装を追加することを目的としたパッケージは、フンターの性能を狙い通りに高め、葉月はそれを活かしていた。

「葉月さんがいるとはいえ、一年生もがんばってるわね。私もうかうかしていられないかも。」
 油断大敵と書かれた扇子を広げつつ、楯無はゴーレムとディースを迎撃して、次々と撃破していく。
 今回のミステリアスレイディの追加兵装パッケージの開発は、自動化技術・水理学中央科学研究所、スホーイ社、サトゥールン科学製造合同、ヴィーンペル科学製造連合、N・D・クズネツォフ記念サマーラ科学技術複合といった、ロシアの軍需産業の重鎮とも言える企業が参加し、一夏が短期間で性能を向上させたアクアクリスタルを最大限に活かすべく、開発が始まった。
 機動性を向上させつつ、攻撃力、防御力を高めるべくスホーイ社、サトゥールン科学製造合同、自動化技術・水理学中央科学研究所は、攻防一体のスラスターユニットを開発し、多連装型にすることにより、高機動性と高い攻撃力、防御力を備えたユニットを開発した。
 防御力を高める面でもより力を入れて、アクアテンプルを大量に使用した水のドレスのような防御兵装を、自動化技術・水理学中央科学研究所が開発。
 両腕の攻防一体の盾状防御兵装を、N・D・クズネツォフ記念サマーラ科学技術複合、自動化技術・水理学中央科学研究所が開発。
 近接戦闘用兵装として、当初ミステリアスレイディの奥の手であったクリアパッションに着目し、ヴィーンペル科学製造連合、自動化技術・水理学中央科学研究所が合同で、クリアパッションを発動した際の高温と、それとは別に気化熱を利用した低温を利用した攻撃を可能とする大型ランスを開発。
 水を利用した多彩な戦術を信条とした、ミステリアスレイディの戦闘力を向上させた追加兵装パック「ベロボーグ」を開発。
 スラブ神話の善を司る神の名を与えられた追加兵装パッケージを搭載したミステリアスレイディを駆る楯無は、自分にとって明確なる悪である亡国企業の戦闘兵器たるゴーレムとディースを、通常より威力が向上した水の槍で串刺しにし、水の弾丸を大量に発射し撃破し、あるいは太い水柱を鞭のように使用して薙ぎ払った。
 無論、ゴーレムとディースも反撃するが、機動性、運動性共に向上したミステリアスレイディを捉えることはほとんどできず、ごく稀に命中する攻撃は、厚い防御に阻まれる。
『凄い性能ね。でも、一夏君がアクアテンプルとアクアドラゴンを完成させなければ、これは開発できなかったでしょうね。』
 一年の夏季休暇でミステリアスレイディを改修した一夏は、アクアクリスタルを小型化し従来より水の生成量を大幅に多くして、二学期に攻撃用のアクアドラゴンと防御用のアクアテンプルを開発。
 半年にも満たない期間で、格段に性能を向上させた。
 だからこそ、今のミステリアスレイディがある。
『嫌な思いをしながらも、一夏君はミステリアスレイディをここまで強力なISにしてくれた。なら、私はそれに報いる。絶対に一夏君を亡国企業から守り抜いてみせる…!』
 大型ランスから高濃度の水がゴーレムとディースを覆い、一瞬で氷像と化す。
「はあっ!」
 ランスの一撃で、氷像は粉砕される。
「一夏君の髪一本でも傷つけたら、この程度では済まさない…。」
 大型ランスを構えた楯無は、冷たさと熱さ両方を感じさせる気を纏っており、それを感じたのか、ディースが後ろに下がり始める。
 その時、今までとは比べものにならない程のクリアパッションが、ゴーレムとディースに襲い掛かる。
 ゴーレムは、装甲も内部機構も溶岩の様に溶け落ちて、海水で冷やされて金属の塊の「何かだったもの」となる。
 ディースは擬似ISと言っていい機体が、同様に溶岩の様になり、体を構成するたんぱく質は瞬時に分解、変性して、血液中の水分は沸騰し、ディースを構成する物質は、それが何だったのかすら解らぬほどに状態が変化し、砂のような物が海に落ちていく。

 向こうは大丈夫か。
 と、言うより心配する方が馬鹿馬鹿しくなるほどに、相手をボコボコにしている。
 蘭達は連携して、数と個々人のスキル以上の戦力となって、ゴーレムを大量に撃破していく、葉月は心配ないか。国家代表だし。
 簪は、蘭達をサポートしつつ連携。
 時には、個人戦闘で次々と撃破していく。
 さすがに、日本代表候補で更識家の次女。
 コンプレックスから解き放たれれば、自然と実力を発揮し伸びていく。
 それを確認した感じで、少し嬉しくなる。
 楯無さんは、やりすぎ。
 核兵器を使ってないとはいえ、物凄い火力と技術でゴーレムとディースを圧倒している。
 さすがに最上級生で、ビッグ3のナンバー2。
 そして、現役のロシア国家代表。
 最近聞いたが、自由国籍だった楯無さんを国家代表にする為に、ロシア側はルーブルの札束を山と積んで、交渉したらしい。
 楯無さんは、その時、ロシアで処理する案件が多くあったので渡りに船だったそうだ。
 そして、俺と出会って、ミステリアスレイディは、二度の改修で格段に性能が向上。
 大半が理解不能だが、多くの貴重なデータがロシア側の手に入った。
 アクアドラゴンとアクアテンプルは作れないと話にならないので、設計図を渡して技術指導をしたので、ロシア側で製作できる。
 それを、最大限に活かす追加パッケージか…。
 ロシアの名だたる軍需関係企業が、結集しているな。
 各企業の癖が、あちこちに見受けられる。
 データ分析も、総力戦かな。
 考えながら、俺は新開発したオートクチュールを量子変換した白式を駆って、戦っている。

 白式の各所には、何らかのデバイスが装着されていて、背部には大型のジェネレーターらしきものが搭載されている。
 肩部には、鳥の足に似た大型の追加装甲かデバイスと思われる物が、装着されている。
 それ以外に、これといった追加兵装は無い。
 だが、一夏は通常の戦闘以上に、スコールが一夏に備えて温存していた戦力を圧倒している。

『何なの?一体…!』
 スコールは愕然としていた。
 スピード、パワー、一夏が攻撃に反応してからの行動迄のスピード、兵装の火力。
 全てが、格段に向上している。
『ワンオフアビリティ?いえ、使ったような素振りは一切なかった…。じゃあ、何なの…?』
 目の前の状況を、スコールは理解できなかった。
 毎日、厳しい鍛錬を課して、日に日にその強さを増しているのは理解していた。
 ただ、今の一夏はそれでは説明できない強さで、自分達の戦力を容赦なく潰していく。
『何を、したというの…?何を、開発したの…?』
 後方に下がり、前面の守りを厚くしながら、スコールはどうにか自分を奮い立たせようとする。

 甘いな。
 肩部のデバイスが変形して、囲もうとしたディースにビーム状の零落白夜が命中し、機体のエネルギーがゼロになり、海に落ちていく。
 よし。うまくいったな。
 アイゼンシュタット氏達、ユダヤ人の財界重鎮の人達が出して下さったとはいえ、六千億以上の開発費が掛かっているんだ。
 失敗作を作るなんて、絶対にあっちゃいけない。
 正直言って、今回のオートクチュールの設計は滅茶苦茶悩んだ。
 機体のパラメータは、大まかに分ければ3つ。
 攻撃、防御、スピード。
 オートクチュールも、大部分はこれらのどれかを特化してそれを最大限に活かして勝利することを目的とすることが多い。
 他には、特殊な機能や兵装。
 例えば、ミステリアスレイディ。
 アクアクリスタルが生成する水の特殊性を、最大限に活かして時に強力な、時に虚をつく攻撃、防御が可能な物。
 例外的なのは、コアと機体その物をパッケージにする、舞桜の暮桜。
 機体を暮桜の性能を向上させるように、大改装。
 そして、暮桜と舞桜のコア。
 2つを使用して、スペックを引き上げる。
 コア自体が貴重だから、これを作る国はまずないだろうし、開発技術も難しいから、束さんならではのパッケージだな。
 そして、白式の場合は一番ポピュラーな設計思想は、展開式プラント装甲があるのではっきり言って作る必要性が無い。
 そこで、俺は発想のスタート地点を変えてみた。
 どれかに特化したオートクチュールではなく、白式の基本性能を引き上げることに特化したオートクチュール。
 外付けの大出力ジェネレーター、大量のオペレーションエクステンダー、生命維持装置を一つのモジュールにして、搭載。
 白式自身のジェネレーター出力、稼働時間、限界を引き上げる。
 そして、プラント装甲の性能を引き上げるモジュールを開発する。
 後は念の為に様々な用途に使用できる、可変型多目的モジュールを搭載する。
 こうして、白式専用性能強化オートクチュール「双睛(そうせい)」が、完成した。
 シンプルなアーキテクチャーだけど、白式の性能を大幅に引き上げてくれる優れものだ。
 今までより、ずっと戦いやすい。
 とはいえ、他にオートクチュールを作れとか言われたら、かなり難しいけどな。

『スコール。殿は私が務める。先に離脱しろ。このままでは、揃って拘束される。』
 予備部隊を率いて一夏に攻撃を仕掛けるエムが、スコールに撤退を促す。
『仕方ないわね。一年も予想以上にスキルが向上している。今後の事を考え直す必要もある物ね。じゃあ、後で。』
『ああ。』
 全戦力で混戦状態を作り、ゴーレムとディースを凄まじい勢いで蹴散らし続ける一夏には重点的に戦力をぶつけ、海からも何かが襲ってくる。

 ん?何だ?
 飛行機か?
 卵みたいな胴体に、主翼にターボファンエンジン。
 主翼には、各種ミサイル、ロケット弾、胴体には機銃。いや、口径から見てGAU−22/A 25mmガトリング砲。
 地上車両に、針鼠の様に武装した飛行機、ガンシップに搭載されるGAU−12 イコライザー25mmガトリング砲の軽量化バージョンで、F−35に搭載されている。
 通常、アメリカの戦闘機に搭載されているM61 20mmバルカン砲だと、A−10 サンダーボルトUの代替機とするにしても火力が不足していると考えられて、装備される事が決定した強力な兵器。
 さすがに、これはちょっとな…。
 それに、この機体…。
 ノースロップ XP−56ブラックブレット試作戦闘機か!
 太平洋戦争中に、アメリカ陸軍で迎撃機として開発されていたが、結局完成せずに計画は中止された。
 元になったのは、レシプロの推進式だが、こっちは高推力ターボファンエンジンを搭載している。
 しかも、材質工学が驚異的な進歩を遂げているから、かなり軽量化されているだろう。
 こんなのが大量にうろちょろされたら、正直たまらない。
 片付けるしかないか…。
 メガフロートに命令を出して、俺も目に付いたのは徹底的に撃墜していったが、その頃には撤退していた。
 こちらでも衛星で監視しているから、まだチャンスはあるけど悔しいな。やっぱり。

「シュヴァルツェアレーゲンが、形態移行か…。この学園の専用機持ちの中でも古株の連中のISが、形態移行するケースが連続しているな…。」
 学園で報告書を読みながら、千冬は複雑な心境になっていた。
 戦力増強という面では、非常に頼もしい。
 だが、ISの形態移行の条件が解明されていない状況では、特定のISが関わっているという見方もできなくもない。
 IS学園の専用機持ち達に、共通している状況。
 千冬は、白式の存在という一つの結論に至った。
 ロールアウトした時から、全貌が全く解っていなかった第四世代IS。
 そして、今は第七世代IS。
 IS先進国がようやく、第三世代ISの実用化に達しようとしている中で、未知の領域である第七世代ISとなった白式。
 コアネットワークの性質から考慮すれば、何らかの影響があると考えても不思議はない。
『というよりは、そう考えたくなるだろうな…。今の所、IS学園に新型ISと共に転校生が来る気配はないが、注意はしておくに越した事は無いか…。』
 千冬は、大きな溜息をつく。

 作戦終了後、一夏はアヴァロンの司令官室で、防諜モードをさらに強化した、端末である兵器の状態を確認していた。
『1年生は守れたが、それ以外はほとんど収穫はなしか…。いや…、決してゼロじゃないが…。』
 各種の衛星監視網で、リアルタイムで追跡させた結果、取るに足らないと思われるが、一夏にとっては、亡国企業の本拠地へと迫る観測データを入手していた。
『問題は、その原点…。金の流れでは追い切れないな…。歴史をくまなく調べ上げる必要があるか…。』
 一夏は、目頭をマッサージすると、別のソフトを立ち上げる。
 そこには、人工衛星を打ち上げた際に妨害しようとした亡国企業の部隊を撃破した機動兵器の各種データが、表示されていた。
 TAM(思考制御式追加機動兵装:Thinkingcontrol type Additional Mobility Armament)。
 一夏が開発した、ゴーレムと同コンセプトの機動兵器である。
 機体のスペックは、ゴーレムやディースに比べて高く、機体の中枢には、一夏が開発した擬似的なコアが使用され、入力された戦闘アルゴリズムの量と緻密さでも勝り、総合的な戦闘力は大きく勝る。
 これを、IS側から運用する。
 いわば、BT兵器をさらに進化させた物である。
 今回までは、大まかなフォーメーションの指示を与えて、細かな部分は自律稼動にしていたが、本来は白式専用の兵装である。
 火力を重視した、屠龍。
 戦闘機形態に変形可能で、高機動性を重視した月光。
 この2機が開発されている。
 それぞれの、機体状況をチェックし、戦闘データを基に戦闘アルゴリズムをさらに成長させる。
 これを繰り返す事で、さらにスペックがアップする。
 さらに、潜水艦隊を指揮するハックマン少将に与えた、水中用自立型機動兵器テュポーンのデータにも目を通し、デスクワークをこなして、一夏の執務が終わった。

 やれやれ。
 疲れる一日だったな。
 まさか、シュヴァルツェアレーゲンまで、第二形態になるとはな…。
 今回用意された、追加兵装パッケージ。
 迎撃戦闘用追加兵装パッケージ「パンツァーシェーファーフント」。
 第二形態移行時に量子変換していたとなると、確実に影響を及ぼしている。
 山田先生もだけど、ラウラも全力を出し切っていない。
 次の戦いで、シュヴァルツェアレーゲンの性能が全て明らかになるだろうが、正直いって頭が痛い。
 姉妹機の、シュヴァルツェアツヴァイク。
 コアネットワークを通じて、様々な情報のやり取りをしていると仮定すると、何らかのきっかけで第二形態移行する可能性が、否定できない。
 ドイツが気付かないとは、誰も言えない。
 双方のさらなる進化の為に、チューンや様々なパッケージ、オートクチュールの運用が加速される可能性がある。
 白式に目を付けられると、より俺と手合わせをする機会を作るよう本国から命令が来るかもしれない。
 それを見た他国も、同様の命令を出しかねない。
 自国製ISの、形態移行。
 この甘美な果実の魅力には、抗えないだろう。
 これが、妙な火種にならなきゃいいんだが…。
 さて、夏休みに入ったらコンサートだ。
 そして、奴らの本拠地を突き止めて、チェックメイトと行きたいな…。

後書き
続く戦い。
一年生も追加兵装パッケージを活かし、培い続けた実力で奮戦します。
中でも、展開装甲の粗悪な劣化コピーではあるものの、ある程度の即時対応を実現した瑞鶴のパッケージは、強力。
想像以上の一年生の実力に、実質護衛の様な物である葉月も、気兼ねなく戦います。
そして、楯無も、一夏の技術をベースにロシアの軍需産業の重鎮が威信をかけて開発したパッケージで、猛威を振るいます。
当の一夏は、白式のスペックを引き上げるオートクチュールを使用。
毎度の如く、某国企業は敗北。
ですが、シュヴァルツェアレーゲンの形態移行は、厄介なことになりそうです。
一学期から学園にいる古株の専用機持ちのISが、次々と形態移行を起こしたことについて、千冬は白式という共通事項を考えます。
もし、委員会や各国も気づくと、相当に面倒でしょうから無理もありません。
尤も、今の一夏は亡国企業の撃滅で頭が占められていますが。

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