cogito,ergo sum

アクセスカウンタ

zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第167話 モアザンワーズ<前篇>

<<   作成日時 : 2017/07/29 22:41   >>

面白い ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

 アヴァロンでは、一夏とラウラがISを展開して、いつでも発進できるようにしていた。
 シュヴァルツェアレーゲンは、新しく本国から送られてきた追加パッケージを、展開している。
 サブアームで保持された、高初速中口径レールガンと中口径大出力荷電粒子砲の、8連装複合ガトリングガン。
 ウェポンベイを兼ねたシールドに搭載された、重荷電粒子砲と高出力衝撃砲の、連装複合兵装。
 肩部多連装マイクロミサイルポッド。
 背部連装重散弾砲。
 腰部には10基のビットが装備され、肩部のシールドはウェポンベイを兼ねているらしく、連装の射撃兵装も装備されている。
 一見すると、砲撃戦重視のパッケージにも見えるが、ビットに兵装が装備されていないように思えて、一夏はそこが気になっていた。

「こちら、出撃管制。発進準備整いましたか?」
「こちら、ホワイト1。準備よし。」
「シュヴァルツ1。いつでも。」
 出撃管制からの確認に、俺達は答える。
「出撃管制了解。右舷カタパルトより、出撃してください。」
「ホワイト1、了解。」
 ハンガーから、白式がカタパルトに移動する。
「ホワイト1。カタパルト接続確認。」
「確認。進路クリア。リニアカタパルト出力正常。テイクオフ、レディ。」
「テイクオフ!」
 リニアカタパルトで出撃した俺は、次に出撃したラウラと共に山田先生の元に向かう。
 さて、大改修した白菊の初の実戦。
 山田先生なら問題ないと思うが、念の為、早く合流しよう。

 前衛を短時間で撃破した真耶は、そのままスコールとエムが直接率いる部隊と戦っていた。
 今回は、全てディースだが、真耶が圧倒的に優勢で、基本性能を大幅に向上させたうえで、展開装甲を全身に装備。
 武装を強化した白菊改を駆って、嘗ては最後まで国家代表の座を争った実力を存分に振るっていた。
『白菊とも、そして、改修した陽炎とも性能が格段に違う。まして、陽炎には展開装甲以外の第四世代技術が、導入されているというのに。』
 機動性、運動性。
 操縦に対する、レスポンス。
 動きの滑らかさ。
 駆動効率。
 全てが、今まで自分が駆ってきたISとは、まるで別次元に思えた。
『これが、第四世代型ISの性能。そして、私の専用機。生まれ変わった白菊の力。』
 背部メインスラスターに装備されている、全方位攻撃兵装「稜堡」。
 剣状の多目的攻撃デバイス「斬妖」で包囲しようとするディースを撃破し、高い機動性と運動性を駆使して、エムとスコールの攻撃を回避する。
「はい。そこ。」
 両腕に展開した、偏向重荷電粒子砲と高出力衝撃砲が発射可能なバレルを横に2本装備した、連装ライフル「火尖槍」でエムとスコールの機動を予測し、命中させる。

『さすがに、IS学園の武装教官だけあるか…。いくら、一夏が改修したISだとはいえ、あれほど優勢に…。いや…、圧倒しているな。一夏のオートクチュールのテストの際に残しておいて、自分はアシストに徹するつもりで、地味に戦っているのか。あれを地味というのは、議論の余地があるが…。』
 白菊改を駆り戦っている真耶を見ながら、ラウラは胸を締め付けられる思いがした。
 ラウラとて、ドイツ最強にして、NATO軍屈指の特殊部隊シュヴァルツェハーゼ隊長としての自分の実力に誇りを持っているし、周囲もそれを認めている。
 だが、今、戦っている真耶の技量は、白菊改が第四世代ISである事を差し引いても、明らかにラウラを大きく上回っている。

『卒業すれば、私の任務は終了する。その後は、一夏の護衛は誰が務める…?』
 理由は解らないが、ラウラの心にふと疑問が生じ、心という水面に波紋が生じた。
 理想を言えば、一夏と一緒にいるのが当たり前で、個人としても、ISパイロットとしても一流で、ハイスペックなISを所持する専用機持ち。
『あり得ないと言えるか…?それに…。』
 ラウラもIS学園の生徒である以上、学園内の様々な噂を耳にする。
 その中には、聞き捨てならない噂も少なからず含まれる。
『確かに、相応しい…。それに、卒業すれば、ハードルは取り除かれる…。まして、一夏だ…。』
 ラウラは、一つの結論に至った。

 真耶が一夏と結婚して、妻として傍にいながら護衛する。

 真耶が、一夏に1人の女性として想いを寄せているというのは、1年の時から噂になっている。
 3学期に、一夏にプロポーズする専用機持ちが増えてから、真耶もプロポーズするのではと、生徒達の間では話題になっている。
 子供っぽいルックスだが、真耶は間違いなく美人と言える。
 優しく穏やかな笑顔と、いつもの柔らかい雰囲気は充分にチャームポイントである。
 スタイルも抜群で、臨海学校時のビキニの水着は、多くの生徒達に溜息を吐かせた。
 兵士としてもISパイロットとしても、自分を凌ぎ、女性としての魅力も十分に持ち合わせる真耶。
 一夏が卒業し、その時も一夏がフリーであれば、猛アタックを掛けるかもしれない。
 そして、その結果…。

『嫌だ…。』
 ラウラは、胸が締め付けられるように感じた。
「ラウラ?大丈夫か。」
 気になった一夏が、声を掛ける。
「大丈夫だ。2、3分で射程内に入るぞ…。」
 ラウラが答えるのを聞いて、怪訝に思いながらもラウラが戦闘に精神状態を切り替えたのでそれ以上は聞かなかった。

『済まんな。一夏…。』
 精神状態を切り替えた事で、集中を乱さないように配慮して一夏はそれ以上聞こうとはしなかった。
 聞くべき時、聞いてはならない時、それを相手の心の機微から適切に判断できる一夏の為人をラウラは利用した。
 後ろめたさがあったが、それでもこれ以上聞かれては戦闘の際に一夏の足かせになりかねない。
 それだけは、ラウラには耐えられなかった。

 では、どうする?

 ラウラの頭の中に、声が響く。

『誰だ…?』
 一夏の声ではない。
 かといって、ラウラが知る他の専用機持ちの声でもない。
 途端に、ラウラの意識に黒一色の戦装束を着た女性が現れる。
 漆黒の長い髪で、目のあたりは隠れており、雪のように白い肌の鼻から下半分しか顔は見えない。
 明らかに、ラウラの知己ではなかった。

『そうか。お前が…。』
 シュヴァルツェアレーゲンの、深層意識。
 直感的に、ラウラはそう悟った。
『何の用だ?お前と、じゃれている暇はない。』

 心配しないでいい。
 私との邂逅は、瞬きほどの時間にも満たない、刹那の時間。
 して、どうする?
 このままでは、お前の愛しい男は、場合によっては他の女に奪われるかもしれんな。
 女としての魅力を十分に備え、兵士としても一流ならば、ありえるか…。
 そして、双方共に貴女より上とあらば、平静ではいられまい…。
 では、どうする?
 指をくわえて、見ているかな?

『渡さない…。一夏は、誰にも渡さない…。何があっても…。だが、卑怯な手は使わない…。そんな女、一夏の視界には入らないからな…。』
 他に一夏を愛する人間がいても、正々堂々、一夏を自分の物にする。
 そうでなければ、ラウラのプライドが許さなかった。

 ならば、どうこう考える必要はないだろう。
 自分に、守るだけの力がある事を示せばいい。
 その為の新たな剣は、その手にある。

 ふと、ラウラが自分の手を見ると、英雄譚らしい絵を装飾にした鞘に納まった剣がある。
 ラウラが一息に抜くと、眩い光と共に目の前の女性は消えた。

「これは…。シュヴァルツェアレーゲンに、高エネルギー反応。」
「何ですって?司令部。こちらIS学園武装教官ベル・バスティア。シュヴァルツェアレーゲンに、高エネルギー反応確認。確認願います。」
 ベルマンが使用していた端末を見たバスティアが、メガフロートの司令部に急遽通信を入れる。

 シュヴァルツェアレーゲンの反応は、司令部でも捉えていた。
「エネルギー反応。ライブラリにて照合。微妙な差異はありますが、間違いなく形態移行のパターンと断定できます。」
「去年に続いてか…。」
 去年の臨海学校で、白式が第二形態移行を遂げたのはIS保有国の高級将校ならば、知っていて当然である。
 モーリスも、元フランス海軍少将として各方面の司令官を歴任した、将校である。
 当然ながら、知っていた。
『だが、司令官が二度にわたり改修をして、ドイツが議会を説得して膨大な予算で追加兵装パッケージを開発。実戦データを収集した後となると、少々面倒になるかもしれんな。』
 天文学的な確率で発生する、ISの形態移行。
 まして、今は第三世代ISの実用化を目指して、各国が莫大な予算を投じている。
 それを考慮すると、白式ほどではなくても一騒動起こる可能性は高い。
 手を打つ必要を感じて、モーリスは顎に手をやった。

 SCHWARZER REGEN SECOND FORM.
 ”ALSVIDR”

「シュヴァルツェアレーゲン第二形態、アルスヴィズ…。」
 声を出せたのはクリッツェンだけで、他の武装教官と楯無は黙り込んでいた。
『一夏君の、二度にわたる高度な改修。それに、今までの多くの追加兵装パッケージによる実戦データ…。この二つが大きな糧になっているのは、間違いない…。織斑先生の目があるし、一夏君の今の立場を考えると妙な真似はしないと思うけど…。』
 真那が出たことと、自分とラウラ、麾下の戦力で問題ないと考えた一夏は、楯無には守りに専念するよう依頼していた。
『出るべきだったわ。とにかく、周囲の動きに目を光らせておかないと…。』
 一夏の周囲の動きに、いっそう注意して問題の芽を早く摘み取ることを、楯無は決めた。

「さて、私も一暴れするか。一夏、守りのほうは問題ない。追加兵装パッケージは、そちらも考えられている。」
 背部の大型連装砲。
 6基の大型ビット。
 腰部のレールガン。
 両腕部に装備されている、腕部多機能兵装システム。
 背部ウィングスラスターには、何かの発射機構が搭載されているように見える。
 それに追加兵装パッケージを搭載したシュヴァルツェアレーゲンを駆って、ラウラは戦線に加わる。

 何だ?
 妙に、逸っている感じがする。
 ラウラに限って、ヘマはしないと思うが、精神状態を常に冷静にできていない場合、どんな達人も致命的なミスをおかすことがある。
 俺もオートクチュールを披露して、さっさと終わらせたほうがいいな。
 1年生のほうにも、別働隊を向かわせたから戻るべきかと考えたけど、向こうの戦況はある意味、こっちより安心できるから、問題ないだろう。
 戦いつつ、逐次指示を出して、IS部隊の指揮はこのままギルバート大尉に任せて大丈夫だろう。

「私の前で…、うろちょろするなあっ…!!」
 実体弾と荷電粒子砲の長距離狙撃ライフルで、簪は次々とゴーレムを撃破していく。
 さらに、多連装ポッドから山嵐の改良型が多数発射され、装甲だけでなく内部機構も容赦なく喰いちぎってゆく。
「こっちは。いいわね。あと、お願い。」
 背部スラスターの一部が展開して、急激に機動力が増す。
 その間にも、目標ポイントでの攻撃に備えて、射撃パラメータを入力し、ポイントで一気に全砲火を叩き込む。
 さらに、攻撃用ビットが追撃をかける。
 攻撃時の射程は、明らかに未だにギネスブックに載っている長距離狙撃用オートクチュール「撃鉄」を上回っている。
 追加強襲兵装パッケージ「撃鉄弐式」。
 第四世代ISの特徴である、展開装甲の粗悪な劣化コピーだが、状況に応じての機動力と防御力の強化に成功した展開装甲を搭載した、倉持技研の最新型追加兵装パッケージである。
 高硬度・重質量の新開発した専用合金を使用した超高初速自己鍛造弾ライフル「監物」。
 低減衰高出力長距離荷電粒子砲「火雷」。
 この2つの兵装には、ビームバヨネットが装備され、白兵戦も可能である。
 さらに、山嵐改20連装ポッド2基。大口径アサルトライフルと、ビームライフル、ビームバヨネットを搭載した砲撃用ビット「十二神将」12基。
 これらの兵装を最大限に活かすために、倉持技研システム開発部が総力を結集して開発した複合高精度射撃管制システム「黄幡神」。
 有効射程は、撃鉄の最大射程をも凌ぎ、各種妨害手段に対する防御力も大幅に向上させた、現状、一夏と束を除く技術者たちによって開発された中では、最高性能といえるシステムである。

『好きにさせない…。好きにさせないんだから…!』
 簪の脳裏には、ポーランドでの戦いで一夏が生死の狭間を彷徨っており、軍病院の医師達が全力で治療しているが、予断は許されない大変厳しい状態であることが知らされた時のことが、浮かんでいた。
 常に、学園を襲う脅威から、学園と生徒達を守り続けてきた一夏。
 学園の外で、多くの敵を前にしても常に勝利してきた一夏。
 常に、厳しい鍛錬を自らに課し、自分を鍛え抜き、その実力はブリュンヒルデクラスとお墨付きの一夏。
 その一夏が、生死を彷徨う極めて危険な状態におちいっている。
 悪い冗談だと、思いたかった。
 だが、それが現実だった。
 一夏が目覚めるまで、生徒達は一夏の回復を必死に願っていた。
 そして、手の施しようがなくなる寸前に、一夏は回復。
 その後、ポーランドで療養して軍病院を退院。
 再び、学園に戻ってきた。
 一夏が意識を回復した後、周辺の守りはさらに固められ、IS学園は整備課の生徒全員が志願。
 無論、専用機持ち達も全員志願した。
 だが、学園の守りを疎かにする事はできないので、ビッグ3の残りの2人である、楯無とフォルテ。
 加えて、セシリア、箒が選抜されて同行。
 卒業し、正式にカナダ国家代表になったダリルも、カナダの特殊部隊から選び抜かれた精鋭と共に駆けつけた。
 アメリカは、IS戦力としては切り札ともいえる、ナタルとイーリを派遣。
 海兵隊特殊部隊の精鋭も、派遣された。
 一夏が帰国するまでの間、簪は他の専用機持ちや準専用機持ちの生徒達と守りを固めながら、一夏の帰りをずっと待っていた。
 それが、簪たちの役目だった。

『行きたかった…。一夏の傍に…。私に翼をくれた一夏を、守りたかった…。』
 退院したと聞かされても、簪たちはどこか不安を持っていた。
 急に、悪化するのではないか?
 また、襲撃があって、一夏が瀕死の状態になるまで戦うのではないか?
 その不安が解消されたのは、学園に戻って、元気な姿の一夏を見た時だった。

『今度は、あの時とは違う…。1年生達を守りながら、一夏も守れる…。』
 簪は、一夏によって改修を重ねられた打鉄二式と撃鉄弐式の性能を最大限に活かして、堅固な盾となってゴーレムが近づくのを、赦さなかった。
『守ってみせる…。一夏を…。初めて、私が愛した人を…。絶対に…!』
 ロックオンしたゴーレムに向けて、簪はトリガーを引く。

後書き
ここの所、メンタル面がボロボロで更新したいのに、前のようにアイデアが浮かびません。
何か、気分転換が必要なんですかね?
何がいいのやら。
第四世代ISとして生まれ変わった愛機白菊を駆る真耶の実力は、ラウラの予想をはるかに上回り、恋の行方に暗雲が立ち込めた気に…。
その時、話しかけてきた存在。
手にした剣をラウラが抜く時、シュヴァルツェアレーゲンは、第二形態に。
打鉄弐式が完成していなかった事で、去年の臨海学校に参加できなかった簪は、一年生を守りつつ、新型追加兵装パッケージの性能を活かし、大暴れ。
モアザンワーズ。
坂本真綾さんの曲で、コードギアスの劇場版亡国のアキトの主題歌でもあります。
沢山の言葉よりもという意味だそうですが、言葉より行動で一夏への想いを表す、専用機持ち達に相応しいと思い、タイトルにしました。
亡国企業は押されるばかり、さてその後は…。

ブログ村のランキングに参加しております。
来てくださった方は、よろしければクリックをお願いいたします。
励みになりますので。

にほんブログ村 アニメブログへ

相互リンクはいつでも大歓迎です。
リンクをしてくださる方は、コメント欄にお書き下さい。
リンクの設定をした後に、お知らせします。














モアザンワーズ【初回限定盤】
フライングドッグ
2012-07-25
坂本真綾

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by モアザンワーズ【初回限定盤】 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル







後篇へ続く。

目次2へ戻る。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
面白い 面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
ブログランキング・にほんブログ村へ
IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第167話 モアザンワーズ<前篇> cogito,ergo sum/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる