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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第166話 戦場に咲く白菊<前編>

<<   作成日時 : 2017/01/14 23:06   >>

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 朝。
 交代で24時間体制の哨戒及び待機が終了して、長めの休みを摂っている。
 来る確率は無いに等しい程低かったとはいえ、何が起きるか解らない。
 相手は、理性と非理性がこんがらがっているような連中だからな。
 いずれにせよ。
 来たら、叩き潰すのみだ。
 さて、各地の状況は…。
 ふうん。
 そういう事か、少々芸がないが意表はつける手ではある。
 尤も、既に備えをしているので、どうという事は無い。

「という訳だ。ほぼ間違いなく、今日ちょっかいを掛けてくる。」
 士官食堂で、艦長に副官の虚。
 他の主だった幕僚と朝食を摂りながら、一夏は監視状況の説明をしてこれからの予想を話す。
「下が駄目なら上。平凡すぎて、却って頭に浮かびにくいですな。可能性の一つには含めていましたが…。」
 意表を突かれたという口調で、ジョンストンがため息交じりに言う。
「ですが、幸い、司令官が手を打ってくださっていました。反省は後でするとして、我々は備えて、生徒達を守らなければなりません。」
 ヴァヒテルが、重くなりがちな雰囲気を変える為に、発言する。
「そうだな。艦長の言う通りだ。」
 他艦の艦長も頷く。
「それでは、朝食再開といこう。きちんと食べないと、戦いで思わぬ不覚を取りかねない。幕僚会議は、0900より開始とする。」
 一夏がハッシュドポテトにナイフを入れると、皆も朝食を再開する。

 やっぱり、手を打っておいてよかったな。
 アヴァロンを始めとする各艦のレーダーをフルに稼動させて索敵をしつつ、シーカーをステルスモードで配置して上空監視。
 そして、俺が気付かないように準備した手。
 相手にいかに気づかれないかを考慮して、必要なナノマシンを白式に作らせて海。
 より正確に言えば、海の中の金属成分を利用して連中を監視する手だ。
 通常の光学監視では手に入らない情報が手に入る、手段。
 電波望遠鏡。
 パラボラアンテナを大量に並べるか、巨大なパラボラアンテナを作るかして電波を受信してそのデータを解析して観測結果を出す望遠鏡。
 これで天体が放射する微弱な電磁波やガス雲も、光学望遠鏡に比べてより正確に観測できる。
 これを使用して、亡国企業のゴーレムやディースが放出した電磁波、姿勢制御時に放出する不可視性ガスを観測する為に、海水に微量だが含まれる金属成分を集めて目には見えない小規模なパラボラアンテナを、大量に作成。そのデータを暗号化して、転送。
 分析して、状況を把握する監視網を形成した。
 電波望遠鏡を設置するのは、大気が薄くて乾燥していて人口密度が少ない高山地帯が最も望ましいが、それこそ遠い宇宙の観測をするわけでもないので、ここでも十分だった。
 ちなみに必要なくなれば分解して、また海水に含まれる金属成分に戻る。
 ナノマシンも然りだ。
 海を汚すのは、ごめんだしな。

「結局、お前の考えた手が、奴らの尻尾を掴んだか…。」
 ISスーツを着て、上に待機するISパイロット用の夏の軍服を着たラウラが複雑な表情で、司令官室に入ってくる。
「そんな顔するなよ。艦のレーダーとシーカーでも、かなりの高度で発見は出来たさ。ただ、念には念を入れて、先手を取った上で、戦闘の主導権を取る事ができる確率を上げたかった。それだけだよ。」
 俺は別に、幕僚たちを責める気は毛頭なかった。
 参謀長たちは、軍事の専門家として物事を考えるのが仕事だ。
 むしろ、俺みたいなやり方の方が、邪道だからな。
 軍人は、あくまで軍人。
 科学者じゃない。
「お前がそう言うなら、この話は終わりにしよう。IS部隊、G−TMA、グリフォン隊、いつでも発進できる。本国から送られてきたシュヴァルツェアレーゲンの追加兵装パッケージも、量子化は終了している。艦隊のIS部隊も、同様だ。それから、例の部隊だが役に立つのか?」
 一夏は、芝崎インダストリーの技術部門の責任者として、組織改編の結果技術研究本部を統合して発足した防衛装備庁の研究部門と共同である兵器を開発していた。
 結果は上々であり、陸自では部隊編成が進み訓練も始まっている。
 それを受けて、空中艦隊にも配備されている。
 ちなみに、最近、アメリカが似たような兵器の試作品を、完成させている。
 ISという抑止力が生まれた結果、その技術を応用しての兵器開発が先進国の軍での開発のメインになっているが、日本がアメリカをも抜き去って先を行っている。
 アメリカがそれを追いかけ、それを欧州諸国や中国、インドが追いかけているという状況だった。
 一方、IS開発では追加兵装パッケージの開発で、ドイツが確実にデータを蓄積している。
 アメリカは、ネプチューン、ナイトダイバーと新型の第三世代ISを開発しているが、ドイツのシュヴァルツェアレーゲンで蓄積したノウハウを、姉妹機であるシュヴァルツェアツヴァイクにフィードバックして、改良を続けている。
 さらに、ドイツ最強の特殊部隊であるシュヴァルツェハーゼに配備されている第二世代ISシュヴァルツェアランツェも、幾度も改修が行われて、特殊兵器を除けば性能は第三世代に迫る勢いだ。
 日本に職人魂があれば、ドイツにはマイスター魂があるといったところだろう。
 そして、他の部隊のISの改修も行っている。
 ドイツでは、今までの開発・改修で蓄積した技術と経験を投入した、量産型第三世代ISの開発計画について協議が続いている。
 他にも、IS学園で学ぶ専用機持ち達の母国では、技術を蓄積する為に運用データの解析やそれを活かした装備の開発等、IS関連部門は活発に動いている。
 結果、ISとそれに関する技術は日進月歩で、学園に入学してくる専用機持ちのISのスペックは高い。
 だが、皮肉なことに、それも亡国企業が襲撃する理由の一つになっている。
『進歩は、時として諸刃の剣となるか…。考えても仕方ない。まずは、目の前の敵を追っ払う事から考えよう。』
 司令官室で一休みして、一夏は幕僚会議が開かれる会議室に行く。

「静かすぎる…。」
「確かにな…。」
 奇襲の準備を整え、作戦開始時刻を待ちながらメガフロートに動きが無いのを見て、スコールが訝しみ、エムも頷く。
 今回の奇襲を読んでいようがいなかろうが、一夏なら万全の警備体制を敷いて蟻一匹見逃さないように指示を出している筈。
 しかしながら、昨日と変わりがない。
 無論、現段階でも十分すぎる程に厳重で、各所の連携に至るまで考え抜かれた鉄壁の防御陣である。
 だが、今日は、非限定空間における追加兵装パッケージを使用しての訓練。
 最も、獲物が肥え太っている、日である。
 当然、狙われると考える筈。
 にも拘わらず、その気配がない。

『備えていないと見せかけて、既に備えているの?けど、今、何もしていないように見えるこの状況では、先手を取ろうとするのも考え物だわ。仕掛けるのも手ではあるけど、藪をつついて蛇どころか、コブラでも出られたらたまらないわ…。どうすれば…。』
 攻め方を考えている時、部隊の一部が降下を開始した。
「何をやっている…。阿呆共!」
 エムが、頭を抱える。
 相手がどんな策でこちらを迎え撃とうとしているかが予想もできずに攻めかかるのは、愚策以外の何物でもない。
「負け続きで精神的に脆くなっていたのと、睨み合いに耐えかねたのね。仕方ないわ。」
 予備兵力がどの程度必要かを計算し、スコール達も部隊を動かす。

「敵部隊、動き始めました。」
 メガフロートの防衛施設の中央制御室で指揮を執るべく、詰めていると状況が動き始めた。
 睨み合っていたと思ったら、一部が急に動き出したな。
 タイムラグを置いて斜線陣を敷いて半包囲を仕掛けて来るかとも思ったが、これは違うな。
 秩序がなくて、いかにも場当たり的。
 部隊間の連携が、取れていない。
 成程…。
 内部で、いろいろと問題があるって事か?
 こっちはこっちで、いろいろ大変だけど、向こうもか。
 しかも、こっちより酷そうだ。
 場当たり的に攻め始めた部隊と、もう一つ後方に今後のことを想定して、予備兵力を残している部隊がある。
 こっちは、部隊の秩序がしっかりしている。
 千冬姉がボコった、奴だな。
「THHAD(終末高高度防衛ミサイル:Terminal High Altitude Area Defense missile)ミサイル。発射用意。全水上艦艇及び空中艦隊に打電。SM−3を射程に入り次第発射。こちらも準備。」
「了解。」
「敵部隊高度300km。メガフロートのレーダー敵全部隊を捕捉。AN/TPY−2レーダーも間もなく捕捉します。」
「電波望遠鏡のデータと、リンク終了。発射準備完了。」
 さて、出迎えのクラッカーを鳴らす準備はできた。
 きっちり、おもてなししてやるぜ。
 もう、来る気が無くなるくらいにな。
 ちなみに、俺は今、ISスーツの上にISパイロットの夏用軍服の上着だけを羽織っている。
 いつでも、迎撃できるようにしていたいからな。
「THHAD射程圏内に入りました。」
「発射。」
 ミサイル格納エリアから、THHADが発射される。
 パトリオット以上の高々度での迎撃に特化しているだけに、高々度の迎撃性能は高い。
 さらに、使用されるAN/TPY−2レーダーの性能も高い。
 加えて、迎撃施設のレーダーに、電波望遠鏡で捉えた通常の光学監視ではとらえられない映像から相手の動きや配置を把握してデータを入力している。
「着弾まで、10、9、8、7、6、5、4、3、2、スタンバイ。マークインターセプト。」
 THAADが、次々と目標を撃破する。
「目標、全て撃破。しかしガスに紛れて、他の部隊が一斉に降下してきます。」
 成程、大気圏突入の際に使用していただろう耐熱素材が、摩擦熱で溶けた際に濃いガス状になる性質を持っていたのか。
 迎撃された時を、見越していたな。
 技術面だけはいい線行ってるのに、運用面は駄目駄目なんだよな。
「SM−3。マークインターセプト。」
 日本の弾道ミサイルに対する、防衛の要の一つ。
 どうかな…?
「目標撃破、しかしながら対処可能な目標数を超えた部隊は尚も降下中。」
「パトリオット、SM−2、その他各種対空ミサイル用意。各部隊の準備は?」
「いつでも。」
 虚さんの返事を聞いた俺は頷くと、メインスクリーンに目を戻す。
 各種ミサイル、実体弾、エネルギー兵器それぞれの高角砲が、弾幕を張る。
 だが、高角砲。
 特にエネルギー兵器の方が、撃破率が低い。
「シーカー最大望遠。敵部隊の映像を。」
「はっ。」
 電波望遠鏡では、弾かれたような観測結果。
 十中八九、エネルギー兵器に対するコーティングが施されてるのは、間違いない。
 が、どうしても実物を見たかった。
「映像出ます。」
 成程な。
 ボールの下を切り取ったような形状の降下ユニットに、耐熱も兼ねた特殊コーティングを施してゴーレムが乗っていたわけか。
 エネルギー兵器の高い温度による、ダメージも防ぐ。
 考えたな。
 他にも、いろいろな形状の物が降下しているな。
 それも、わざと海に落ちる様な物もある。
 けど、こっちに手が無いわけじゃないぜ。
「46cm砲稼動。三式弾改装填。ミサイルと連動して奴らをパニックにしてやれ。射線が通ったら、エネルギー兵器の高射砲で狙い打て。」
 材質工学が戦前とは天と地ほどの差がある事に目をつけて、造船設備を応用して当時の46cm砲より数段優れた性能の物を作った。
 無論、その他の弾丸もより性能が向上している。
 自動装填機構も大幅に改良されて、装填時間も早い。
 4基の50口径46cm砲は、仰角を最大にする。
「砲撃準備完了。」
「撃て!」
 凄まじい発射音と共に、三式弾改が発射される。
 敵部隊の近くで破裂すると、半径数百mに物凄い爆風と内部に充填された子爆弾が散布される。
 直撃を受ければ、ゴーレムといえどもただじゃすまない。
 そして、爆風であおられてどうにかバランスを取ろうとするが、どうしても姿勢が崩れるのがほとんど。
 それを狙って、高角砲が発射され撃破する。
 始めは配備する気なかったけれど、各国の閣僚達を安心させるいわば精神安定剤として配備させたのが46cm砲。
 どれくらい使えるか疑問だったけど、物は使いようか。
 デカブツが出てきたら、どうなのかな?
 1.5tの、高速徹甲弾。
 しかも、最先端の材質工学で作られた弾頭。
 当時の大和級の主砲なんて、目じゃないぞ。
 FRAM後のアイオワ級の装甲だって、薄紙みたいに貫いて轟沈だからな。
 照準も最新式のレーダーと、光学照準。
 精度は高い。
 高確率で、狙った場所に当たるぜ。

「敵部隊。降下地点が、大きくずれています。」
「高速推進器音探知。魚雷ではありません。水中用機動兵器と思われます。」
『やっぱり出てきたか。準備は、しておくもんだな。』
 オペレーターの報告を聞きながら、一夏は、相手のカードを予想しての準備が適切だったことを確認していた。
「水中の方は、気にしなくていい。既に手は打ってある。場合によっては、私が行って片付けてくる。空中はどうだ?」
「戦闘に入っています。我が方が有利。」
 報告を聞いて、一夏は黙ってうなずく。
 水中の様子をモニターに表示させるが、そちらも有利だった。
『お前たちには負けないよ。その為に、今まで歯を食いしばって頑張ってきたんだからな。』

後書き
かなり久しぶりの更新だけでなく、ブログの記事です。
メンタル面で、相当に参ってしまい、記事が書けませんでした。
さらに、激化する両足の痛みとの戦いもあり、拍車が掛かってしまいました。
そして、ここの所、やたらに風邪をひきます。
去年の年末は、ベッドの上で過ごしていました。
さて、蘭との事がありましたが、それで心を乱すわけにはいきません。
事前に張り巡らした索敵網で、亡国企業の部隊を細くして攻撃を開始。
状況は、一夏たちに有利。
さて、これからどうなるでしょうか?

























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後編へ続く。

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お久しぶりッス!待ってました!体、大変そうですね。無理だけはなさらないでくださいませ。
ヴァルバジア
2017/01/21 23:33

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