cogito,ergo sum

アクセスカウンタ

zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第165話 臨海学校<後編>

<<   作成日時 : 2016/07/23 23:59   >>

面白い ブログ気持玉 5 / トラックバック 0 / コメント 0

「こういう時でも仕事?」
「ったく。相変わらずのワーカーホリックだな…。」
 ん?
 この声は。

「そっか。来てたのか。」
「ええ。ボノム・リシャールに相乗りしてね。」
 ナタルから、事情を聞いていた。
 マリーンだけでなく、ネイビーからも。
 しかも、最新鋭機のファングクェイクと福音もか。
 第7艦隊本隊は横須賀に残っているとはいえ、随分と戦力をつぎ込んできたな。
 ボノム・リシャールからは第214攻撃飛行隊ブラックシープ所属のF−35Bに加えて、現在主力ISのワイルドキャットUにネプチューンの先行量産型が哨戒に出ている。
 ナタルとイーリは、俺やラウラ達と一緒にして精鋭扱いかな。
 ま、この2人がいてくれると何かと助かる。
 何かあった時の布陣は、先生達を後詰にして、俺達が前衛に出て迎撃。
 去年とは事情が大きく異なるから、さすがに蘭達を前線に立たせるわけにはいかない。
 主力艦艇には、後方からの支援砲撃を頼むか。
 端末を操作して、迎撃時の陣形を考える。
 基本的には、鶴翼の陣。
 後は、状況に応じて雁行の陣や飛鳥の陣を使い分ける。
 これでいくか。
 戦術コンピューターに作戦案を入力しながら、俺はいざという時の戦術を立案していく。
 こういうのがあるから、ビーチに出ても結局はゆっくりする暇はないんだよな。
 何だかんだで、リラックスはしてるけど。
 ナタルの水着は水色のフレンチスリーブに、デニム風のカバーパンツ。
 ナタルにしては、大人しい感じかな?
 でも、よく似合ってる。
 イーリは、スポーティーな感じのビキニ。
 アグレッシブなイーリには、ぴったりだ。
「ふ〜ん。一夏はブラックか。髪に合わせたのね。綺麗な黒髪によく似合うわ。」
「ありがとう。ナタルは大人しめな感じだけど、よく似合ってるな。」
 スタイルいいからな。
 足とか腕、綺麗だし。
「水着は、後のお楽しみよ。泳がないの?」
「ああ。状況はリアルタイムで目を通しておきたいし、読みかけの論文も山の様にあるからな。他にもやることは、山の様にある。遊んでる暇はないさ。俺の事は気にしないで、楽しんで来いよ。」
 そう言って、俺はディスプレイに目を戻す。
 ラウラにも、羽を伸ばすよう言ってある。
 俺の護衛で気を張ってばかりじゃ、疲れるからな。
「私は、ここにいる。任務を放棄はできん。」
 いや。俺はいいから楽しんで来いって。
「せっかく、可愛い水着着てるんだから、楽しんで来いよ。俺は大丈夫だし。周囲にも護衛はいるしな。」
 ちなみにラウラは、黒と白のゴス風の水着。
 髪は、三つ編みにしている。
 ちょっと古臭い感じの髪型に見えるけど、ラウラの場合どういう訳かすごく可愛い。
 いつものストレートは、綺麗って感じだけど、おさげは可愛い。
 本当に、ドイツの男は何やってんだよ。
 甲斐性が無いな。
「いや…、でも…。」
 頬を真っ赤にして、ラウラは俺のパーカーに指を伸ばしておねだりをするような目で見る。
 いや、そういう目で見られると…。
「じゃあ、切りのいい所で1時間位休憩入れるか。監視網は広げるだけ広げたし。後は、戦術コンピューターに、いざという時の戦術を入力しておくだけだしな。」
 メガフロートの人工島には、各種迎撃兵装が大量に配置されているし、防御シールド発生装置も搭載されている。
 それに加えて、各国の水上艦艇にIS部隊。
 他にも、俺の方で保険は掛けてある。
 亡国企業の侵攻ルートに関しても、予想できる物には全て網を張っている。
 事実上、奇襲は不可能だ。
 と言っても、気は緩めないけどな。
 端末にロックを掛けてドリンクを飲み干すと、俺はパーカーを脱いでサマーベッドの上に置いて海に歩いていく。
 海の方では、ナタルがフレンチスリーブとカバーパンツを脱いでいた。
 下は、アクアブルーのビキニだった。
 結構というか、かなり大胆なデザインだな。
 1年生が自分と比べて、溜息をついている。
 やっぱり、女性は気にするかね?
 他人は他人。
 自分は自分だと、思うけどな。
 俺は。

 一夏が小休止を入れている時、新たなアジトでスコールとエムは一夏が敷いた監視網のデータを見ていた。
「隙が無いわ。メガフロート周辺は、艦艇から哨戒機を常時飛ばして警戒している。他にもあちこちに対潜哨戒機に測量艦で、海中の僅かな変化も見過ごすまいとしている。こんな中でいくのは、自殺行為ね。」
 スコールが、頭痛を堪える表情になる。
「だからこそ、奴は例の作戦で行くのだろうが…。」
「それで裏をかけるとは、素直に思えないわね。確かに、そっち方面に対する監視網は確認できないけれど…。」
 今までの経験で、一夏は自分達の行動を想定して万全の態勢で備えをしているのはすぐに解った。
 故に、スコールたちは一夏がどのような監視網を敷いているかを突き止めて、隙を見つけようとした。
 だが、細部まで考え抜かれた一夏の監視網に隙と呼べる物は、何一つ見つからなかった。
「いずれにせよ。既に賽は投げられた。後は、成功を祈るだけだ。」
 部屋には、亡国企業側の戦力配置を表示した大型ディスプレイに、オペレーターがいた。

『よし。今日は大丈夫と見ていいだろうな。』
 夕方。
 サマーベッド等を片付けた一夏は、海を見ていた。
『本命は明日か…。こっちの備えはしっかりと固めた。好き放題はさせないさ。』
 本来であれば一夏は学園にいるはずだったが、去年の事を思い出した各国政府とIS関係者は、一夏に生徒達を守るように依頼してきた。
 亡国企業の戦力が増強されている以上、去年のように専用機持ち達だけでは支えられないのは明らか。
 かといって、各国のIS部隊を派遣するにしても様々な調整が必要になるし、性能面で不安がある。
 そうなると、世界でただ1機の第七世代にして第五形態に形態移行した白式を駆る一夏と麾下の戦力が最も確実に生徒達を守れる戦力だった。
 そして、一夏は委員会からの命令で、各地に監視網を敷いて亡国企業の動きを察知できるようにし、艦隊の一部を率いて警備にあたっている。
 財界のユダヤ人たちの資金提供を受けて開発したオートクチュールも持参しており、他にも備えをしている。
 既に、戦術コンピューターには様々な作戦案をインプットしている為に、すぐに作戦行動に移れる。
 また、深夜も交代で周辺の警戒を行う。
 一夏も多少仮眠を取るが、ISパイロットの待機所に詰める事にしている。
『早く、連中を潰さないとな…。』
 一刻も早く亡国企業を壊滅させる。
 その為に、一夏は様々な線から本拠地を突き止めるべく指揮を執っている。
 その責任の重さたるや凄まじい物で、常人なら倒れているほどである。
『にしても、浴衣を着るとはな…。』
 あの日以来、仕事が重なり会っていない一夏に冬菊は浴衣を贈っており、千冬が少しでもリラックスできるように博子と相談した結果、虚に密かに渡していた。
 無論、一夏は何かあった時の為に、拳銃を潜ませている。
 履いているのは草履だが、剣術家でもある一夏にとって不都合は何もない。

『私の前では、素直になってください。』
 野点に招待された日、肌を重ねた冬菊が一夏に言った言葉だ。
 あの日以来、職務が多忙になり会ってはいない。
 だが、その言葉が一夏の心の中で、小さな、だが確かな温もりになっている。
 気を張り詰めている一夏の心を、その温もりがときほぐしている。
 一夏は、それをはっきりと感じていた。
 懐から、ある物を取り出す。
 愛宕神社の、お守りだった。
 徳川家康が信仰していた、武神勝軍地蔵菩薩を祀って建立された神社である。
 時として自らの命を懸けて自分が守るべきと定めた物を守る、一夏の無事を祈った冬菊が一夏に贈った物である。
 お守りを見ている内に、あの夜の冬菊の肌の温もりと優しさが思い出される。
 本意では、なかった。
 それは、今でも変わりはない。
 だが、冬菊の温もりと優しさ。
 それに癒されたいという想いが僅かながらもあった事は、事実である。
 それが却って、一夏の迷いの原因となっていた。
 箒たちも、一夏を色々と気遣い支えようとしてくれている。
 素直にありがたいと思うし、だからこそ守りたいと思う。
 冬菊にしても、やはり一夏は守りたいと思う。
 だが、冬菊と箒たちに対する想いには、どこか違いがある。
 それが何なのか、一夏は未だに答えを出せていない。
 誰に対しても恋愛感情を抱かぬように、心の奥底で無意識に厳しく戒めていた一夏は、人を愛するという事がまだ完全に理解しきれていない。
 それが理由なのだが、それも理解はしていなかった。

「一夏さん…。」
 ん?
 この声は…。
「蘭…。どうしたんだ?」
 浴衣を着て髪を結いあげた蘭が、俺の後ろにいた。
「それ…。」
「ん?ああ。お守り。愛宕神社の。あそこには、徳川家康が信仰していた、勝軍地蔵菩薩が祀られているからな。軍人の俺にはうってつけってわけだ。」
 そう言ってから、俺はお守りをしまう。
「神無月さんからですか…?」
「よく解ったな。」
 本当によく分かったな。
 女子の情報網は、男の俺では理解できない程広大なのかね。

 一夏は知らなかったが、ポーランドで生死の境を彷徨っていた際、ほとんど一睡もしないで献身的に一夏の看病をして、奇跡的に峠を越えた後、授乳したり、心を籠めて栄養のある食事を作ったりと身の回りの世話をしていた冬菊の事は、IS学園でも広く知られていた。

「優しい人ですよね…。それに凄い美人だし…、物凄いお嬢様ですし…。お料理も、上手なんですよね。凄く…。その浴衣も、多分神無月さんからですよね…。」
 一夏が中学生になった頃からの仲である蘭は、一夏の性格をよく知っている。
 肩書きや身分ではなく、中身で人を見る。
 だが、今や一夏もノルウェーの名門ラーデヤール侯爵家の当主であり、城と領地をもち、国民から目が見えない人、視覚障害者の守護聖人聖ルチアの生まれ変わりとされて大変に慕われている。
 また、ローマ法王自ら勲章を賜り教皇騎士となり、ロザリオを贈られている。
 嘗てのイタリアの王家サヴォイア家からも、勲章を授与され、その他にも各国から多くの勲章を授与され、本来ならイギリス人でも特に国家に対しての功績がある者やキリスト教圏の君主制国家の王にしか授与されないガーター勲章が贈られている。
 世界的企業の芝崎インダストリーの技術顧問兼取締役として様々な役職を兼ね社内のナンバー3の地位にあり、IS委員会特別顧問、IS委員会直属軍上級大将にして機動艦隊司令官、国連安全保障理事会特別理事、自衛隊横須賀病院総合診療科部長、外科部長、高度救命医療センター長、日本ナノマシン学会名誉会長。
 ノルウェーの領地と城に加え、日本の屋敷に、各地の別荘。
 東京の一等地にある高級マンションの最上階全てに、束から勲章授与の祝いとして贈られた、デンマーク、ギリシャ、イタリアの無人島。一夏個人の大量の各種特許。その他にも各種資産を加えれば、莫大な物となり、世界長者番付にも名が載る程である。
 世界有数の財閥である、神無月グループの一人娘である冬菊。
 ノルウェーの名門貴族にして、大富豪の一夏。
 その二人に比べて、ごく普通の一般市民である自分。
 掛け値なしの美丈夫である、一夏。
 名家の令嬢に相応しい美少女の、冬菊。
 その二人と比べると、どうしても蘭はコンプレックスを感じる。
 無論、蘭も十分に美少女だが、蘭自身がそう感じてしまうので外野がどう言おうとあまり意味はない。
 一夏と冬菊がポーランドでの事で、急接近し仲睦まじくなっていると周囲からは認識されているので蘭は気が気でならなかった。

「蘭だって、充分に可愛いよ。もっと自信持てって。」
 どうも蘭て、他人と自分を比べては気後れする傾向が強いんだよな。
 そんな事ないのに。
 隣の芝生は、青いという所かな。
 ま、それはしばらくすれば、大丈夫だろう。
 その内、蘭に似合いの男も現れる。
 そうでないと、困る。
 いつまでも俺ばかり見ているのは、明らかによくない。
 それは、冬菊を含めて全員だ。
 さて、その為にも俺としては仕事に時間を割いて距離を置いて、全員に冷却期間を設けてもらうとしよう。
「それじゃ、行くよ。目を通しておきたい資料や報告書が山ほどあるから。それに、これから警戒態勢で、で緊急出撃に備えて、待機していないといけないしな。」
 ある意味、ここからが本番。
 絶対に、皆は守って見せる。
「待って…!待ってください!!」
 アヴァロンに戻ろうとすると、蘭が必死に俺の腕を掴んで行かせまいとする。
「…。大事な…、お話があります…。」
 声も、体も震えていた。
 けど、俺は…。

「後にしてくれ。俺は、軍務で来ている。司令官たる者がそれを蔑ろにしては、部下に示しがつかないよ。」
 一夏は、あえて蘭を突き放そうとした。
 自分に恋愛感情を向けることは、防がねばならない。
 それが、今、一夏にできる精一杯の愛情だった。
 例え、それが、蘭達が望む物とは違っても、それが一夏の精一杯だった。

「私じゃ…、駄目ですか…?神無月さんみたいに、一夏さんの為に何かできないんですか…。」
 大粒の涙をこぼしながら、蘭は一夏を振り向かせる。
「そんなことないさ。皆が傍にいてくれている。何かあったら、力を貸してくれる。それだけで、本当にありがたいよ。今回は、今までとは比べものにならないくらい激しい戦闘になりかねないから、蘭達は後方で一般生徒を守ってもらうけどな。今回は、オートクチュールも用意してある。あれを上手く使えば、大丈夫だよ。後詰は、任せたぞ。前衛、両翼はこちらで引き受ける。今回は、長距離砲も持ってくることになってる。それを使っての援護射撃も、頼むことになる。役割分担は任せるよ。これも、大事な事だ。だから、信頼できる人間に頼みたい。何より、蘭達は俺が指導した。クラス別対抗戦、タッグトーナメント、実戦。それらを経て、蘭達はレベルアップしている。だから、頼むんだ。まだ、前衛とはいかないけど、背中を任せられる信頼できる仲間がいるのは心強いんだよ。」
 戦闘において、後ろを守りつつ、背後に回られるのを防ぎ、時に貴重な予備兵力になる後詰。
 今の蘭達なら、それができると一夏は判断して、信じていた。
 守りたい対象でもあるが、蘭達は一夏にとって頼れる仲間でもある。
 それで、充分だった。

「そういうことじゃないです…。1人の女として…、一夏さんの為に何かしたい…。おじいちゃんは、一夏さんとならいつでも結婚していいって、言ってくれました。子供ができての結婚なら曾孫の顔も見れるし、一夏さんと一緒に厨房に立てるかもしれないから、尚、いいって。お母さんは、一夏さんがうちに来てから、私と結婚して義理の息子になってくれれば、こんなに嬉しい事は無いって言っています。お兄もなんだかんだで、一夏さんと義理の兄弟になれるのは、嬉しいって言ってますし…。」
 何か、変な方向に話がいってるぞ。
 というか、嫌な予感がする。

「そう思い込む事ないさ。蘭は充分に、よくやってる。それと、あまり滅多な事を口にするなよ。時として、人間は感情に流されやすくなる。それは、少なからず正しいとは言えない時がある。それじゃあな。」
 蘭に限らず、理性の種を心の苗床に植え付けておく必要がある。
 それが芽を出し、伸び始めたら他にいい男を見つけ出すだろう。
 そう考えながら、俺はアヴァロンに足を向けた。
 お。綺麗な貝だな。
 拾おうとしゃがんだ時、俺は押し倒されて蘭が馬乗りになっていた。

「何だ…?冗談にしては、乱暴すぎるぞ。」
 とにかく、一夏は蘭をどかそうとする。
「知ってますよね?浴衣の下には下着を着けないって…。」
 そう言って、一夏の唇に自分の唇を重ねる。

 おい。
 何、考えてるんだ?
 この音…。
 衣擦れの音…。
 まさか…。

「少しの間でいいんです…。少しの間…、このままで…、私に任せていてください…。お願いです…。」
 浴衣越しに、俺の脚の上に布が落ちたのが解る。
 そして、ボディーシャンプーと香水の匂いに混じった、表現し難いが甘い匂い…。
 俺は、この匂いを知っている…。

「んっ…!痛っ…!痛い…!痛い…よぉっ…!あ…。大丈夫…。平気…、ですから…。もう少し待っててくださいね…。すぐですから…。んっ…!」
 そして、きつく抱きしめられるような感覚と、何かに耐えているような蘭の声。
 包まれながらも、奥に進んでいく感触。
 顔を見ようとしたら大粒の涙が、頬に零れ落ちる。
 耐えているのは、痛み…。
 そして、何に耐えているのか。俺は知っている。
 耐えて、泣いているのに、蘭は幸せそうな顔をしている。
 これも、俺は何なのか知っている。
 そうなると俺は。
 いや。より正確には男かもしれない。
 相手の思うがままになってしまう事が、決して少なくない事を、俺なりに理解していた。
 そうしている間に、蘭はさらに腰を落としていく。
 少しして、そこに届いた事を感じる。
「はぁっ…。んっ…。はあっ…。一夏さん…。届きましたから…。私の…、一番…、奥に…。後は、私に任せて…、下さい…。くぅっ…。んっ…。はぁっ…。あぁっ…!一…、夏…、さん…。一夏さん…。今だけは…。今だけは、私の物…。ふあっ…!あぁん…!」
 そのまま、衣擦れの音と蘭の痛みをこらえる様な声と嬉しそうな声が混じって聞こえてくる。
 浴衣の上がどんどん着崩れてきて、胸があらわになる。
「私…、あまり大きくないですけど…。それでも、女の子ですから…。」
 俺の上半身を起こすと、桜色の先端の片方を俺の口に含ませ、片方の手で胸を掴む様にする。
「一夏さん…。一夏さん…。ごめんなさい…。でも、初めて会った時から…、ずっとこうしたかったんです…。やっと、叶った…。」
 蘭は腰を浮かして、再び落とす。
 その度に、抱きしめられる様な感じが強くなり、俺の体で、何かが湧きあがる感じ。
 俺が、何度も経験している感じが強くなる。
 堪えようとするが、蘭はさらに力を入れて早くなる。
 もう、痛みをこらえる声は聞こえなくて、艶っぽい声しか聞こえてこない。
「もうすぐ…。もうすぐですから…。ちゃんと、ピル、飲んできましたから…。」
 やがて、一層大きな声が聞こえて、衣擦れの音が聞こえて、荒い息遣いが聞こえてくる。
 それが何なのか、上半身を反らしながら声を上げた時の表情を見れば解る。
 もう、何度も見てるからな…。

「はあ、はあ…。一夏さんが、私の中に…。今だけは…、一夏さんを私が独占してる…。嬉しい…。」
 浴衣が着くずれして見えた一夏の胸板に頭を乗せて、蘭は荒い呼吸をしている。
 呼吸を整えながら、下腹部を愛おしげに撫でる。
 一夏の鼻に、鉄に似た匂いともう一つの匂いを風が運ぶ。
 それが何なのか。
 今の蘭の胸の内を、一夏は理解していた。

「すいませんでした…。じゃあ行きます。お仕事頑張るのはいいですけど、無理しないでくださいね…。本当にすいませんでした…。でも…。後悔はしていません…。もう、私は身も心も一夏さんの物ですから、私が欲しくなったら、いつでもいいですから…。失礼します…。」
 崩れた身なりを整えて、蘭は宿泊している宿の方に戻る。
 蘭の姿が消えると、一夏は重い溜息をついた。

 俺も行くか…。
 冬菊の時。
 蘭の時。
 状況は、明らかに違う。
 最低なやり方だが、このままにしておけば自然と蘭は俺から離れていくだろう。
 厳さんと弾から、ぶん殴られる覚悟は必要だけどな。
 とにかく、パイロットの待機所で待機していたい。

「これは司令官。」
「交代の時間だ。仮眠をとってくれ。」
 蘭との事を気づかれないように、一夏はいつも通りに振る舞う。
 事前にローテーションで、仮眠を取る順番も決めている。
 さすがに、24時間全員を起こすわけには行かない。
 集中力が、明らかに鈍る。
 仮眠を取る簡易ベッドに向かうのを確認しながら、一夏は書類と報告書に目を通し始める。
『まず、1人か…。』
 そう心に呟いて、書類に目を通し終わってから一夏はリアルタイムで哨戒状況を表示するソフトを立ち上げて、過去の哨戒状況を見つつ現在の哨戒状況を見ていた。

『嫌われちゃったかな…。』
 戻ってきた後、普段通りに振る舞って再度露天風呂で入浴してから消灯時間に布団に入ってから、一夏との海辺の事を思い出して、無意識に下腹部に手を当てていた。
『でも、私、このままじゃ…。』
 蘭は、自分の体を抱きしめる。
 周囲のライバル達。
 今の自分。
 そして、一日ごとに高嶺の花になっていく一夏。
 開いていく、距離。
 色々な事を考えると、蘭は胸がつぶれそうな気持になる。
 蘭は布団の中で、端末のカレンダーを立ち上げる。
『もっと先だったら…。』
 そんな事を、思う。
 同時に、考えたくもない事が頭に思い浮かぶ。
 女性として、充分に魅力的なナタル。
 急接近している、冬菊。
 特に話は聞いていないが、冬菊と同じく、大富豪の令嬢で美少女でもある菫。
 箒や鈴。シャルロットといった上級生のライバル。
 誰かに一夏を取られるかもしれないと考えて、頭に浮かんだ事。
 だが、それはリスクもあった。
『寝よう…。』
 不安を覚えながら、目を閉じた蘭は無意識に下腹部に手を置いていた。

「そうか。今日は異常無しか。」
「はい。一夏君も、明日が本番と考えているようです。哨戒を密にして、いつでも備えられるようにしています。」
 真耶は、学園に詰めている千冬と連絡を取っていた。
「解った。今日は休んでくれ。明日は頼む。明日は、こちらから増援を送ることを考慮して備えておく。」
 電話を切った千冬は、宿直室の椅子に座りこんで腕を組む。
『ここまでは、一夏の予測通り。後は、明日。規模がどの程度になるか。連中にとってみれば、明日は宝の山が目の前にあるも同然。今の一年は、まだ成長過程。向こうのレベルは一層高くなっている。それを考慮すると、やはり厳しいか…。』
 去年の夏のレベルなら、蘭達でも十分に対応できる。
 しかし、今は去年とはレベルが違う。蘭達を後方に回した上で亡国企業を抑え込まねばならない。
 一夏の成長。
 白式の進化。
 莫大な資金を投入して開発した、白式のオートクチュール。
 それらを考慮しても、千冬はどうしても安心できない。
 最初の誘拐。
 学園に入学してからの、一夏の危機。
 一夏の命の灯が消えるかと思った、ポーランドでの死闘。
 今、ここにいることが、酷くもどかしかった。
 だが、学園も守らなければならない。
 それ故に千冬は、ここを離れられない。
『頼むぞ。切り抜けてくれよ…。』

『明日が、本番。敵は去年とは比較にならない。五反田さん達は前線に出すわけには行かない。その上で抑えつつ、殲滅か…。厳しいわね。』
 メガフロートには、多数の防衛設備があり、軍港施設には追加兵装パッケージを運んできた国の水上艦艇や、アヴァロンを旗艦とする空中艦隊の一部も駐屯している。
 それでも、状況は厳しい。
『守ってみせる…。一夏君を、私の愛する人を…。この命に代えても…。』
 誓いを胸に刻んで、真耶は自分の部屋に戻る。

後書き
衝撃の後編。といったところでしょうか。
ナタルとイーリを加えたIS部隊等、各国もそれぞれの国の専用機持ちを守るために、力を入れます。
それでも、一夏は気を緩めず仕事に集中。
少しくらい肩の力を抜いたほうがいいという周囲の声もあり、休憩はしますが、頭の中は襲撃時のシミュレーションが行われている始末。
そんな中で、ふと一夏が冬菊との一夜を思い出しながら、愛宕神社のお守りを見ます。
そこに現れたのは、蘭。
女子の情報網で、冬菊のことはかなり知られている様子。
故に、蘭は心中穏やかならず。
蘭はこういう面でショックを受けやすいところがあるのは、原作の7巻にも書かれています。
美人で優しく、献身的に一夏に尽くし、あまつさえ、名家のお嬢様の冬菊。
比較した蘭は、一夏とのつながりを求めて行動に出てしまいます。
一夏は一夏で、心中複雑ですが、今は己が責務を全うすべく精神のスイッチを切り替えます。
そして、一夏を想い、決意を固める女性がまた一人。
亡国企業だけでなく、一夏をめぐる女性達の戦いにもなにやらただならぬ雰囲気が・・・。




大津絵 手描きストラップ 勝軍地蔵
大津絵の店

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 大津絵 手描きストラップ 勝軍地蔵 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



1/200 P-8 A ポセイドン“VP-45 ペリカンズ"
ハセガワ
2015-11-08

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 1/200 P-8 A ポセイドン“VP-45 ペリカンズ



日本の航空機コレクション2 [1-c.P-1 海上自衛隊](単品)
エフトイズ/F-toys

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 日本の航空機コレクション2 [1-c.P-1 海上自衛隊](単品) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



相互リンクはいつでも大歓迎です。
リンクをしてくださる方は、コメント欄にお書き下さい。
リンクの設定をした後に、お知らせします。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

ブログ村のランキングに参加しております。
来てくださった方は、よろしければクリックをお願いいたします。
励みになりますので。

目次へ戻る。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 5
面白い 面白い 面白い
驚いた
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
ブログランキング・にほんブログ村へ
IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第165話 臨海学校<後編> cogito,ergo sum/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる