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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第165話 臨海学校<前編>

<<   作成日時 : 2016/07/23 23:55   >>

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「バスタード1号機から3号機。所定の空域にて警戒中。高度32808フィート。348マイルをホールド。コンディショングリーン。繰り返す。コンディショングリーン。」
「航空隊の状況は?」
「百里基地より、310スコードロン。第7艦隊より115スコードロンが発進。警戒に当たっております。さらに、IS及びG−TMA部隊の発進体制が整っております。」

 OK。
 目的地までの警戒は、これで問題ない。
 いざとなれば、アヴァロンからも出せる。
 空中艦隊からは、アヴァロン、ジャンヌ・ダルク、ローランが。
 第7艦隊からは、ワスプ級強襲揚陸艦「ボノム・リシャール」に、F−35B ライトニングUの主翼を折り畳み式に改修したタイプを2個飛行隊に、多用途ヘリを搭載。
 護衛として、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦アンティータム、ラルフ・ジョンソン級ミサイル駆逐艦から、ルイス・デンフェルド、ロバート・クーンツ、シーウルフ級攻撃型原子力潜水艦のネームシップで、トマホークVLS8基搭載、ソナー、潜望鏡、スクリュー等の換装といった改修を終えたシーウルフが付く。
 第1護衛艦隊は、まつまえ型多用途輸送艦まつまえに、護衛としてふぶき型護衛艦からしらゆきとはつゆきが付く。
 どちらも、空母じゃないが戦闘機を搭載可能な艦を出してきたか。
 ISとじゃ喧嘩にもならないが、援護に徹したり攻撃を受けた後のゴーレムなら、機銃なりミサイルを叩き込める。
 あるのとないのとじゃ、やっぱり違うからな。
 臨海学校の訓練をするメガフロートには、各種対空兵装に派遣された飛行隊、S.H.アーマー、G−TMA、アーメント。
 特殊部隊に備えて、特殊作戦群にSEALS。
 さらに、日米とも似たコンセプトの新兵器を投入している。
 これは、対人兵装としては強力だから期待できるな。
 それでも、来ないに越した事は無い。
 臨海学校の思い出に、炸薬の匂いが加わるのはいい気分はしないからな。

「衛星による偵察状況は?」
 精密海域探査衛星「みなぞこ」によって、警戒すべき海域を探査し、さらにトリスメギストス級海洋調査艦に、NATO諸国にも調査艦の派遣を依頼。
 以前からの根回しもあって、協議はスムーズに進んで警戒海域には各国の調査艦に無人探査艇をフルに使って、探査をしている。もし、動く気配があれば、こちらで迎撃する。
 どれだけの規模か解らないけど、各国の軍備じゃ損害が物凄い。
 俺達が片付ける方が犠牲も少ないし、確実だ。
 ちなみに、メガフロートにはナタルとイーリも到着して待機しているし、マリーンからもIS部隊が待機している。
 これだけいれば、充分だろう。
 それに、他にも手は打っている。
 警戒状況を頭に入れつつ、密かに打ち上げた「ハーミット」からのデータにも、目を通す。

 一方、真耶たちも警戒は怠ってはいない。
 日本の衛星ネットワークとアメリカのリンク16にアクセスして、臨海学校に向かう学園のバス一行を中心として、警戒を続けている。
 さらに、陸上自衛隊東部方面隊に配備されている、E−1早期警戒機が上空から睨みを利かせている。
 敵の反応があれば、すぐさま駐屯地から長距離巡航用増槽を搭載した震電が発進するよう準備が整っている。
 9個師団と5個旅団から成り立っていた陸上自衛隊は、15個師団と18個旅団。
 計216000迄増強されている。
 師団は約6000から9000。
 旅団は最大3500から4500。
 これに国境である沖縄、対馬、北海道と言った重要な地域を守る、水際での防衛、遅滞防御、ゲリラ戦等に長けた部隊、特殊守備旅団8個旅団計28000の育成も進んでいる。
 奪還された際に備えて、まつまえ型やおおすみ型を使用して奪還する、離島奪還専門の部隊、強襲揚陸師団も4個師団24000の厳しい訓練が続けられている。
 この2つの部隊は、特殊部隊に分類される。

 他にも、陸海空と、対テロ部隊を始め各種特殊部隊の創設が議論されている。
 以前からも、徐々に拡充されてきたが、ここの所、志願者が激増。
 倍率が緩和されても、それでも10数倍。
 相変わらず、狭き門である。
 防衛大学も例外ではなく、入学してからも訓練に様々な座学と学園生活は濃密である。
 精兵を求める傾向に、今も昔も変わりはない。
 空自も海自も変わらずに、精兵が揃って訓練では腕を競い合っている。
 それを知っている真耶は、一夏が目を光らせていることもあり不安を覚える事は無かった。

 今の所、異常無しか。
 結構。
 さて、出てきた場合どうなるかか。
 通常兵器は、あくまでアシスト。
 幸い、イギリスでの戦闘から様々な教訓が得られて、G−TMAや無人戦闘機とISが連携しての戦闘に関しては、ノウハウはほぼ確立されている。
 共同戦線を張っても、殊更不安はない。
 後は、やっぱり数だな。
 洒落じゃすまない数が出られると、さすがに俺が出る必要がある。
 さほどの戦力でなければ、俺が出る必要はない。
 というか、参謀長に釘を刺されているからな…。
 それに、俺は総指揮官として、全体の指揮を執る必要がある。
 ISの総指揮は…。
 マリーンのギルバート大尉に、お願いしよう。
 俺が出た時は、俺が総指揮を執る。
 艦隊の指揮も必要だが、ま、それ位はやれないとな。

 しばらくして、バスが着いた。
 今は、宿に入っている最中だ。
 後は、このまま水着に着替えて、今日は遊びだな。
 ま。今日はゆっくり遊んでくれ。
 明日が、本番だし。

「閣下。各国の輸送艦の状況です。」
「ご苦労様。」
 マクドネル大佐が、タブレットを俺に渡す。
 さてと。
 アメリカは、サン・アントニオ級ニューオリンズ。
 ギリシャはヒオス級揚陸艦から、ネームシップのヒオスに揚陸艇を搭載できるように改修して派遣。
 護衛として、イドラ級フリゲートからプサラとサラミスを付けている。
 今年のクラス代表対抗戦の準決勝前の改修で、晴れて第三世代ISになったアルパクティコ・デュオ。コリーナは変わらずアルパクティコで通してる。
 第三世代用の追加兵装パックの現場は、活気に溢れていると聞いているから、何としても無事に届けようという意思だろうな。
 補給艦も同伴させて、ギリシャから日本への航行も問題無し。
 補給艦プロメテウスは最近改修して、ギリシャ海軍の中で最も燃費の良い艦。
 つまり、最も航続距離の長い艦になった訳だ。

「さて、私はニミュアのテストに行ってくるよ。」
 今回の任務には新型G−TMA、ニミュアのテストも組み込まれていた。
 無論、これにも意味はある。
「お気をつけて。」
 参謀長のジョンストン少将が敬礼しながらラウラに護衛されながら格納庫に向かう一夏を身送る。

 俺はロッカールームで、各種特殊繊維を何種類も重ねたインナースーツを着て、グラブを嵌めてブーツを履く。
 このインナースーツは、防弾・防刃・衝撃吸収機能は勿論のこと、下半身は対Gスーツの機能を備えている。
 グラブのスイッチを押すと、インナーは俺の体に密着する。
 その上から、丈の短いコートの様な上着を着る。
 これは、パイロットのフィジカルデータを収集して、機体に伝達する役目と、防御の役目を持つ。
 そして、新型の個人携帯用プラズマナイフとプラズマブレードの2つから、ブレードの柄を選んで上着の収納ケースに収める。
 そして、陸海空で統一して採用したファイブセブンをホルスターに収める。
 本当は、自衛隊で共通して使用する国産拳銃を開発するという話もあったが、FNハースタルが、何としても自社のファイブセブンを採用させようと、今までにない程のロビー活動を展開し、実包と銃自体の性能をアピールして最終的に通常部隊はファイブセブンとし、特殊作戦群、空挺部隊、離島の守備隊、奪還部隊には国産拳銃を配備しようという事で、各部隊の意見を集めながら仕様を考えている。
 すると今度は、H&K、ベレッタ、グロック、コルト、ワルサー、シグザウエル、S&W、さらにFNハースタルが特殊部隊にも売り込もうとしている。
 勘弁してくれよ…。
 個人的には、H&K、ベレッタはクオリティ高いし、コルトガバメント系もいい銃だと思っている。
 グロックもバリエーションが広くて、あらゆる状況で対応可能な銃を配備できるだろう。
 けど、国産の拳銃はある意味悲願なんだから、今回は遠慮して欲しいね。
 パイロットスーツに着替え終わった俺は、ハンガーに向かってテスト対象であるG−TMA ニミュアの整備状況に目を通して機体のコックピットハッチを開ける。

 ニミュアのフォルムは、従来の戦闘機に比べて非常に変わっている。
 三枚のパドルで構成される三次元ベクタードノズル、尾翼はステルス性を追求した水平尾翼のみ。
 これまでは、変わらない。
 ステルス機が次々と世に出ている現在では、殊更珍しくはない。
 しかし、それ以外は明らかにステルスには向かない箇所が多い。
 左右と機首下にある、ステルス性を考慮した形状のカナード。
 主翼は、明らかにステルス機には向かない前進翼。
 だが、この機体のステルス性は非常に高い。
 レーダー波を妨害して、レーダー探知を妨げるアクティブステルス。
 これを実装しているがゆえに、ニミュアは機体形状に制約がほぼ皆無と言っていい。
 純粋に空力性を考慮して、設計が可能となっている。

 操縦席は非常に変わっており、操縦桿は無く、指ごとに可動するような第一操縦機構が左右にあり、シートには肩を固定する機構があり、正面には空中投影式のコンソールがある。
 明らかに従来の戦闘機とは異なり、戦車等の戦闘車両にISとも異なるコックピットだった。
 これが、G−TMAのコックピットである。

「進路クリアー。発進どうぞ。」
「了解。発進する。」
 リニアカタパルトで射出されたニミュアは、高い加速性能と上昇性能を発揮する。
 そして、前進翼、水平尾翼、左右、下にあるカナード、三次元ベクタードノズルで圧倒的な機動性を発揮して大空を舞う。
 しばらくすると、無人標的機が現れる。
 兵装は出力を大きく抑えたレーザーに、模擬弾頭の実体弾兵装。
 一夏は、コンソールを操作する。
 機体の左右に装備されている、高初速機関砲とレーザーマシンガンが標的機を堕としていく。
 数分後、ニミュアは人型に変形。
 今回搭載した実体弾アサルトライフル、ハードポイントに搭載された各種兵装で、無人機を撃破していく。
 順調に撃破していてもも、一夏は油断しない。
 精神のスイッチは、既に実戦に切り替わっていた。
 標的機は現在襲来しているゴーレムとニミュアのスペックを、引き上げた物である。

「大したものだわ。」
「はい。ISの技術を応用しているとはいえ、通常の機動兵器でゴーレムやディースを撃破。しかも、性能を大幅に引き上げているにも関わらず…。」
 バスティアと真耶が、一夏の訓練を見ながら互いの感想を言う。
 その横には、ベルマンとクリッツェンがいた。
 互いに、特殊部隊出身。
 軍属ではなく、プロの軍人としての目で見て、これがどんな意味を持つのか解り過ぎる程解っていた。

 OK。
 デモンストレーションとしては、十分すぎるだろう。
 この訓練は、あえて亡国企業も見物できるようにしてある。
 ベルマン先生やクリッツェン先生なら、解るだろうな。
 亡国企業のガラクタは、通常の軍隊にも通用しなくなる日が近づきつつあることを。
 元々、どん詰まりなのに、諦め悪くやってるからこういう羽目になる。
 それこそ、アプローチは違えども、ISと同じコンセプトの有人機動兵器の開発に資金と労力を注ぎ込んでいれば、状況も違っていたよ。

「全プログラム終了。これより、帰投する。」
「了解。右舷に着艦願います。」
「了解。」
 戦闘機形態に変形して、俺はニミュアを着艦させて整備とデータ収集を済ませてから、シャワーを浴びて軍服に着替えて艦橋に戻る。
「十分に使えますな。ニミュアは。」
「ああ。テストで制御OSに関するデータを収集して、その内にきちんと訓練を受けたパイロットなら乗りこなせるようになれば、連中がちょっかいを掛けて来ても、充分有利に戦える。後は、きちんと作戦を立案して、指揮を執る事に専念すればいい。」
 マクドネル大佐と、ニミュアについて話しながら現在の状況に目を通す。
 異常無しか…。
 それはそれで嬉しいけど、こうも静かだと逆に不気味さすら覚えるな。
 明日は、パッケージを使用した訓練になる。
「おそらく、今日はないだろう。前座で下手に手を出せば、本番の時のこちらの守りが、固くなる。最近の亡国企業の傾向を考慮すると、それが妥当だな。」
「だろうな。ラウラの言う通りだと思うよ。正直ほっとするな。」
 本番は、明日と見るべきか…。
 指揮官席に座って、俺は明日について考えていた。
 あれは、持ってきている。
 今の白式に装備すれば、総合性能はさらに高くなる。
 一昔なら、戦闘機2種類分の開発費に相当する資金を投入して、一切の妥協無しに開発したからな。
 ちょっかいを掛けてきたら、きっちり後悔させてやるだけだ。
 ラウラも、ドイツで開発された新型の追加兵装パッケージを持って来ているそうだ。
 トライアルで、何とか巻き返すためにデータを収集して、それをフィードバックさせることにより、シュヴァルツェアレーゲンの性能を向上させてEU制式機の座を獲得するためだろう。
 第二形態移行を遂げたブルーティアーズのデータを得た、イギリス。
 ロールアウトした時から、既に実用化されていたと言っていいイリュジオンのデータを去年から収集し続けているフランス。
 ドイツも必死だ。

 さて、連中が来るにしても、何処からかだな。
 すでに、あちこちに監視の目を行き渡らせている。
 出てきたら、進撃ルート上に攻撃を加えて海の底に沈めて漁礁にしてやるだけだが、そんな稚拙な所業を今の亡国企業がするとは到底思えない。
 けど、まさか地球のさらに地下を掘り進んでくるとも思えない。
 待っているのは、灼熱地獄だからな。
 地下のマグマやマントル層に近づけば近づくほど、温度は高くなる。
 正直耐えられるとは、思えないね。
 そもそも、掘り進むハードウェアがあるかも疑わしい。
 とすると…。
 十分にあり得るな…。
 乗組員たちには、交代でデッキに出て息抜きをするように指示している。
 とはいえ、警戒は厳にしている。
 加えて、アヴァロンのレーダーはかなりの高高度でも飛翔体を探知可能。
 来たら来たで、すぐに対応できるし訓練も積んでいる。
 が…。念の為に、手を打っておくか。

「艦長。光学迷彩で、索敵シーカーを射出。」
「はっ!索敵シーカー射出!」
「射出します。」
 艦首多目的発射管から、最近開発した光学迷彩機能を備えた索敵シーカーが射出される。
 レーダー、IRST等高性能な索敵装置を搭載し、レーダーレンジ外での索敵に力を発揮する。
 だが、一夏はレーダーをあえてパッシブにして高精度望遠カメラ、高性能IRSTによる熱源・光学監視に重点を置くよう指示した。
「成程。十分にあり得ますね。」
「そういう事。念の為だけどな。」
 虚さんはすぐに俺の意図を、理解した。
 ラウラも、これから起きうる状況を理解しているな。
 ラウラも虚さんも、本当に優秀だよな。
 ドイツには、ラウラをサポートする副隊長のクラリッサさんがいるが、この人も優秀だ。
 世の中、まだまだ優秀な人材は多くいそうだな。
 さて、テストはまだ残ってるんだよな。
 終わったら、デスクワークもある。

「どうしたの?コリーナ。」
 ハイパーセンサーを展開して何かを見ているコリーナに、蘭が声を掛ける。
「気になるのがね。蘭も見て見たら。」
「うん…。」
 瑞鶴のハイパーセンサーを展開して見えた物は、非常に小型の戦闘機らしき機体だった。
「UAV。ううん、違う。あんな機動性を発揮する機体なんて、どこにも配備されていない。とすると、一夏さんか。」
 蘭の予想は、正解だった。
 G−TMA以外の戦力強化として、一夏は過激な程の高機動性を備えた無人機を開発した。
 自立戦術高機動無人戦闘機(Independence tactics High mobility Fighter)。
 IHF−0 ゼファー。
 ギリシャ神話の西風の神の名を持つ戦闘機は、最新鋭戦闘機だけでなく、第二世代ISでも油断が出来ない程の過激な機動性と運動性を駆使して、装備している兵装で訓練用のターゲットを撃破していく。
 しかも、単機で性能を頼みに戦う事なく、エレメント、プラトゥーン、スコードロンと編成を変えながら状況に応じて柔軟に戦う。
 さらに、装備しているのはIS用の兵装である。
 つまり、この機体と相見えれば、事と次第によってはISとてただでは済まない。
 コリーナと蘭は、それを充分に理解していた。

「使えますな。」
「あれは機体単体での性能にステルス性は問題ないが、ウェポンコンテナが巨大になってしまったからね。見た目は複葉機とも言えるし、何より翼面積が大きい分抵抗も大きい。それを考慮してエンジンを高推力型にしておいたが、大丈夫だね。」
 一夏はマクドネルと共に、ゼファーのテストを見ながら話をしていた。
 最近の戦闘機。
 特に最新型のステルス戦闘機は、機体内部にウェポンコンテナを設置し兵装を内蔵している。
 しかし、ゼファーは内蔵している兵装以外に、外部ウェポンコンテナにも大量の兵装を搭載している。
 無論、コンテナはステルス性を充分に考慮しているが、どうしても巨大になった。
 そこで、一夏は空力パーツを搭載して、空戦性能の低下を抑え推力も引き上げた。
 これにより、大型のウェポンコンテナを搭載しても、圧倒的な機動性と運動性を兼ね備え、巡航速度M2以上、最大速度もM3以上の高性能無人戦闘機となった。
 開発中の事を思い出しながら一夏がテストの状況を見ていると、全ての兵装を使用し、デッドウェイトになったウェポンコンテナを廃棄し、機体の内部兵装と固定兵装のみで戦う状況に移っていた。
 それでも、ゼファーの優位は変わらずに、テストは終了した。
 出来は申し分ない。
 ISとやりあったら、数とISのスペックとパイロットの腕次第かな。

「参謀長。私は整備の状況を見てから、執務室でデスクワークをしている。何かあったら呼んでくれ。」
「はっ。」
 ジョンストン少将に言って、俺は格納庫で整備状況とテストの結果の分析データに目を通してからデスクワークをやろうとすると、どういうわけだか委員会から通信が入る。
 端末に表示させる。
 え〜と、何々。

 ……………………………………………………………。

 何だそりゃ?
 別にいいって。
 それとも、保険か?
 そんな必要ないぞ。
 向こうには、楯無さんがアシストについている。
 仮にも、長きに渡って世の暗部を取り除いてきた、更識一族の当主。
 加えて、生徒会副会長としても優秀だ。
 IS戦の能力は、折り紙つき。
 何で俺が行くんだか。
 逆に、艦隊の即応体制に問題が生じる。
 とはいえ、命令には逆らえないか…。
 やれやれ。
 というわけで、俺は黒のやや長めのトランクスタイプの水着にパーカーを羽織っている。
 銃を収めたホルスターを肩に下げるタイプのバッグに入れて、万が一の時に備える。
 ま、いざとなったら、他にも武器はあるけどできればドンパチになっても穏便に済ませたい。
 髪は、一房に編み込んだ。
 ラウラも、何故かパーカーを羽織っている。
 それに、帽子もだ。
 はて?

「織斑先輩。どうしたんですか?」
 1年の生徒の1人が、一夏を見て訊ねる。
「こっちにいるように、委員会から連絡が来たんだよ。羽を伸ばして来いってね。その気はないけどな。」
 量子空間からビーチパラソル、サマーベッド。丸型のテーブルを出して、テーブルの上に冷たい飲み物を置くと、端末を起動させて空中投影ディスプレイに、監視状況をリアルタイムで見れるようにする。
 俺は警備に来たのであって、遊びに来た訳じゃない。
 まして、艦隊の他の士官に兵士達は交代で休息を取っているとはいえ、今も任務に就いている。
 なら、こうしているのが道理だ。
 結構リラックスしながら、監視も出来るしな。
「一夏…?一夏なの…?」
「簪…。どうして?」
 1年に混ざって、ワンピースの水着にパレオを腰に巻いた簪がいた。

「そっか。去年の穴埋めか。」
 俺は理由を聞いて、納得した。
 打鉄二式がロールアウトしたのは、文化祭前。
 臨海学校での追加兵装パッケージを使用しての訓練は、当然していない。
 何しろ、当時俺も簪の事は知らなかった。
 成程。倉持技研が開発に成功した展開装甲のデッドコピーを使用した、パッケージのテストか。
 しかも、今年の1年は全クラスに専用機持ちがいる。
 開発陣としては、データを取っておきたくなるよな。
 それで、簪が参加できるようにした。
 そんな所か。
 楯無さんは、人知れず警護中か。
 ごく僅かな気配しか感じないが、あちこちに警備の人間がいる。
 相当な腕利きを、連れてきたな。
 さすがは、更識家といったところかな。
 にしても、世話になりっぱなしだな。
 今度、お礼に行くか。

「一夏は、お仕事?」
「ああ。委員会からは羽根を伸ばせって言われたけど、そういう気には慣れないしな。リアルタイムの状況監視。それに、読めなくて溜まる一方だった論文にも目を通しておきたくてさ。今日は、自由行動だし遊んでろよ。俺は俺でリラックスしながら、やってるしな。」
 今の所、特にないな。
 シーカーも、特に何も捉えてない。
 本音を言えば、シーカーのレーダーもアクティブにしたいけど、やりすぎて裏を掻かれたら目も当てられない。
 気づかれずに、厳重な監視か…。
 究極の、パッシブモード。
 僅かな不穏な変化も、見過ごさない…。

 そうか。あれが、あったか。
 よし。早速、設計っと。
 俺はあることを思いついて、すぐに作業に入った。

 端末を操作している一夏を見て、蘭は密かに溜息をついた。
『一夏さん…。いつもお仕事ばっかり…。』
 臨海学校に一夏が来るという、想定外の出来事があった。
 しかしながら、当の一夏は仕事と論文に目を通す事に没頭している。
 せっかく、想い人である一夏と楽しい思い出を作れる好機だというのに、肝心の一夏が仕事に没頭していては、願望は願望のまま。
 それこそ、獏の餌で終わるだけである。
『水着。気合い入れて選んだのにな…。』
 まさか、臨海学校に一夏が来るとは思わなかったが、もしかしたらプールに行く機会があるかもしれないと考えて、蘭は水着選びには力を入れた。

 よし。ナノマシン散布終了。
 稼働状況良好。
 監視スタート。
 さて、こいつに気が付けるかな?
 これで、監視の網は広げられるだけ広げた。
 けど、来ないで欲しいね。
 大切な、思い出づくりの場だしな。

後書き
いよいよ、臨海学校。
今年も多くの専用機持ちと、最新鋭ISが。
手持ちのISが、1機となった亡国企業としては、今後を考えると何とか1機は欲しい所。
無論、一夏は襲撃を想定して、備えを固めています。
哨戒計画を立案し、自らも艦隊の一部を率いてこれを統率。
鉄壁の防御を固め、さらに哨戒網を厳重にして備えます。
さらに、新兵器のデモンストレーション。
これにも、きちんと思惑が。
さらに、委員会からの指示で、一年生の近くで事に備えます。
一夏たちの時は、大立ち回りになった臨海学校。
今年は、どうなるでしょうか?
そして、職務に精励する一夏を見る、蘭の胸の内は?













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