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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第161話 ムーンクライシス<後篇>

<<   作成日時 : 2015/08/08 23:52   >>

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「現在、クレオストラトスは衛星を全基射出後、特別ミッションについております。それは…。」
 今回のプロジェクトリーダーが、記者会見の場で記者たちを見まわす。
「月周回衛星かぐやの回収です。」

 かぐや。
 正式名称SELENE。
 21世紀初頭に打ち上げられた、日本の月探査衛星である。
 ロケットの打ち上げの失敗等々のアクシデントで計画実現が危ぶまれたが、その後の各国の月探査計画の一つとなり、計画は実現。
 様々な貴重なデータを、大量に収集することに成功。
 膨大なデータは、現在も解析中である。
 予定より長く運用されたかぐやは、遂に力尽き月面に落下して地球を見守る事となった。
 クレオストラトスの航続距離が、月と地球を往復するに十分であることからサプライズミッションとして計画された。
 地球と月の距離は、約384000km。
 クレオストラトスは、宇宙空間では推力が引き上げられても月までは6時間以上かかる。
 月に到着して、かぐや本体と搭載されていた小型衛星を回収して、地球に帰還する。
 予定では、帰還まで16時間程度と見られている。
 但し、無事に作業が進めばの、話である。

 2時間後に起きた俺は、航行時の記録とその間の各部の状況に全て目を通す。
 よし。これで航行システムは、ほぼ問題ないな。
 これから進めるとしたら、やっぱり燃費か…。
 月と地球の往復が、今は限界だ。
 エンジンをもっとコンパクトにして、且つ燃費を大幅に向上させつつ推力を引き上げる。
 機体の大型化は、ある程度は仕方ないな。
 燃料のスペースも、作らないといけないし。
 クレオストラトスの燃料搭載量は、555000l。
 これに大型PIC4基を搭載して、今の航続距離を実現している。
 もし、PICがなかったら、ざっくり見積もって2倍は必要になる。
 結構、PICにおんぶにだっこしてるのがきついよな…。
 燃料消費は、想定通り。
 さて、俺は回収の準備と。

「こちら織斑。コックピット、聞こえますか?」
「こちらコックピット、感度良好。マーカーもきちんと受信しています。」
「それじゃあ、よろしくお願いします。これより、かぐや回収作業に入ります。」
 ちなみに、今回はISを使用していない。
 今までのISやゴーレムのノウハウをHEGに投入して開発した、スペースアーマー。
 正式名称、宇宙活動用装着式防御装甲(SPACE activities for wearable defense ARMOR)。
 宇宙放射線、紫外線、高熱、それにデブリからもパイロットを守るべく、新型複合装甲を採用。
 背部に高出力ヒッグス粒子スラスターを搭載。PICと併用することにより、自由に活動することが可能だ。
 ちなみに、装甲は太陽光発電パネルも兼ねている。
 様々なオプションも搭載可能で、汎用性も高い。
 俺が頭に描いていた、ISのあるべき姿として設計した。
 ちなみにこれは、性別関係なく運用が可能。
 稼働可能時間は6時間。
 月での活動では短いように感じるかもしれないが、これで十分すぎるだけのスペックを誇る。
 えーと、たしか…。
 お、あった、あった。
 月の裏側に落下した小型衛星「おきな」を回収。
 その後、おうなを回収。
 さ、ラスト。
 かぐや本体を回収する。
 かぐや姫のお迎えか。
 ロマンを感じるね。
 お姫様は月にいたいかもしれないけど、男どもはやっぱ姫君に帰ってきてほしいわけだな。うん。俺もそうだし。

 え〜と、落下地点はと…。
 ちなみに、かぐやと付随する小型衛星を回収しながら、俺は超低高度での月面観測を行っている。
 高度が低い程。
 つまり月の表面との距離が近い程、豊富なデータを取れる。
 と、あった…。
 衝突のショックを受けてはいるけど、形はほとんど留めているな。
 にしても、大きいよな。
 ロケットの打ち上げ失敗や、衛星の故障が原因の運用停止が続いた数年の間、計画された物の実行に移されるか解らなかったかぐやは、数年がかりでも解析が終了しない大量の貴重なデータを地球に送り、そして、こうして月から地球を見ている。
 今度は、地球の皆を見て声を聞いてくれ。
 スペースアーマーに搭載した、ISと同様のバススロットに格納する。

「こちら織斑。目標の回収に成功した。繰り返す。回収に成功した。」
「こちらクレオストラトス。これで、ミッションは終わりましたな。さて、地球に戻るとしますか。」
「ですね。これより帰投します。」
 一夏は、クレオストラトスに帰投する旨の連絡を入れる。
 その時、空中投影ディスプレイの三次元レーダーが、接近してくる物体を捕捉した事を表示する。
 熱源反応も、同じことを示す。
『大きさは、こっちと同程度。今、宇宙でISを運用している国はない。ましてこれと同コンセプトの兵器の情報も来ていない。デブリだったら、怖すぎる。結論は。あれしかないよな…。』

「はろ〜。いっくん。お仕事ご苦労さん。」
 通信が来たと思ったら、束さんだった。
 すでに、臨戦態勢は整っていたわけですか。
 こういう勤勉さを、いつも発揮してくれると嬉しいんですけどね。
「あ、束さん。どうも。来たようですね。」
「そうだね〜。この束さんが黙っているわけないのに、お馬鹿さんだよね〜。そんじゃあ、始めるから気を付けて帰るんだよ〜。あ、念の為に用心はしておいてね〜。」
「解ってますよ。それでは、また。」
「今度、スペースプレーンを見に行くからね〜。」
 束さんからの通信が切れると、大気圏外で戦闘が始まったようだ。
 うん?何だ。あれ。
 俺は、モニターを最大倍率にする。
 あ。作ったのか。
 やれやれ。
 コアは増やさないでくださいよ。
 後々、大変なんですから。
 まあ、束さんがどこかの国家に帰属しなければ、問題はありませんけど。

 それは、ISによく似ていた。
 だが、全身装甲でPICを備えていたとしても到底並みのパイロットが耐えられる機動ではなかった。
『第二世代と第三世代の中間ぐらいか。自立思考プログラムが優秀だし、適性値がSランクのパイロットが乗っていることを再現した、無人のISか。束さんなら、これ位はできるか。多分、コアもいじくってるな。』
 ゴーレムの腕部レーザーの攻撃を軽々とかわしながら、逆に脚部の多連装ミサイルポッドのミサイルと腕部シールドに増設してあるシールド・ピアースが、ゴーレムに風穴を開けて肩部にある超高温の熱線を機体前面に浴びせて蹴り飛ばす。
 既に装甲が少なからず溶けていたゴーレムは、大気圏突入時の高熱に耐えきれずに溶けて塵になっていく。
 衝撃砲をアレンジしたやつか。
 原理的には、衝撃砲に比べれば難しくないから第三世代兵装とは言えないけど、背中に大気圏があると脅威だ。
 突入角度を間違えると、途端に溶けちまう。
 さすがに、大気圏突入時の高熱に耐え得る装甲とシールドは実用化できなかったか。
 宇宙空間での戦闘を考慮して、姿勢制御スラスターを増やしつつ機動性を向上させて、肩部衝撃砲と腕部レーザー。
 それに、マニピュレーターの指ごとに搭載されているプラズマクロー。
 足にはプラズマクローになる、プラズマナイフを搭載。
 レーザービットと、ブレードビットを搭載。
 さらに、性能が向上しているが、機体を含めて、無人の自立思考機動兵器として最適な設計をされた束さんの無人ISには歯が立たない。
 せめて、中枢部をもう少し手を加えれば結構違うんだけどな。
 おっと。意外に増えてきた。
 こっちも、念の為だそう。
 4機ずつだけど、大丈夫だろう。
 俺は、それをコールする。

 束の無人ISを援護する様に、後方からミサイルが発射され、中口径重荷電粒子砲と中口径レールガンがゴーレムの装甲にダメージを与える。
 さらに、戦闘機から変形した機体が高い機動性を活かしながら、レールガンと重荷電粒子砲を撃ち分けるライフルと機首を構成するビームキャノンで第二波となる。

 OK。
 いけるな。
 BT兵器の延長として、パイロットが自在に操作可能な無人機動兵器の構想を以前から考えていて、完成した計8機を持って来ていた。
 何かあっても不思議じゃないから、持って来てよかったよ。
 束さんが備えてくれているとはいえ、念には念を入れておきたかったしな。
 こっちにくる気配なしか。
 状況を見て、連中がこっちに来ようとしたら即座に頭を押さえる様に指示を出して、俺は帰還する。

「回収作業終了。」
「織斑さん。戦闘が発生しているようですが…?」
 モニターしていたか。
「そちらは、篠ノ之博士が対処してくれています。大丈夫ですよ。こちらも手を打っていますしね。」
 技術的トラブルだけじゃなくて、こういうアクシデントもあるからいろんなことに備える必要がある。
 本当に、面倒な奴らだよ。
 まったく。
 回収したかぐやを格納してから、補給を整備を急いで済ませて、俺は念の為に周囲を警戒する。
 けど、結局は束さんと俺が持ってきた8機で全て撃破した。
 ふう。
 やっと帰れるぜ。
 俺は中に戻って、各部のチェックに入る。
 よし。OK。
 燃料も十分にある。
 他の機動兵器の反応も無し。
「機長。帰還に支障はありません。」
「了解。ただちに帰還する。何もないとは思うができるかぎり急ごう。」
「そうですね。私も賛成です。」
 すぐさま、エンジンを始動させてクレオストラトスは発進して地球への帰路につく。
 大気圏周辺までは、束さんが作った機動兵器もエスコートしてくれた。
 さて、最後か。
「大気圏突入準備。突入角修正開始。」
 現在の位置から、帰還地点に到着する際の突入角を航行プログラムが割出して、俺が検算する。
「突入角。問題無し。」
「了解。大気圏突入。」
 無理な突入角で帰還する事も想定して、機体は設計されているが、最適な突入角で帰還するのが最も理想的なので、俺が検算を行って間違いがない事を確認して、大気圏に突入する。

「滑走路、確認。着陸態勢に入ります。」
「機体表面、エンジンに問題無し。航行システム、エンジン制御システム正常稼働中。」
 さあ。これでラストだ。
 機体は絶好調。
 これなら、うまく着陸できる。
 気は抜けないけどな。
「スラストリバーサー、スタンバイ。」
「スラストリバーサー、スタンバイOK。いつでもどうぞ。」
 戦闘機やスペースシャトルが着陸する際は、速度を落とすが方法は2つある。
 1つは、ドラッグシュート。
 スペースシャトルでも使用されている、パラシュートをエアブレーキとして減速し、着陸する。
 もう一つは、旅客機に使用されるスラストリバーサー。
 エンジンから噴射される噴流とは逆方向に噴流を噴射して、減速する。
 一夏は、後者を採用した。
 より多くの技術の蓄積を、狙っていたからである。
「着陸開始。」
 ランディングギアが出て、滑走路に降り立った時のショックをやわらげる。
「スラストリバーサー、オン。」
 スラストリバーサーが作動して、徐々に機体の速度が落ちていき、やがて泊まる。
「着陸成功。機体各部及びシステム異常無し。」
 帰還と。
 数時間、俺達は地球の重力に体を慣らして、シャワーを浴びた後精密検査を受ける。
 初めてだったからな。
 念の為だ。
 その後、記者会見に出てから、俺は整備状況の確認に出る。
 機体は特に問題無し。
 エンジンもOK。
 かなり余裕を見て、耐久度を持たせたのは正解だったな。
 それでも、あちこち整備をする必要はあるが。
 きちんとやれば、問題ない。

「ふう。」
 祝賀パーティーを終えた後、一夏は部屋でくつろいでいた。
 ミッションを無事に成功させなければというプレッシャーは、それに比例して一夏を披露させたが、その後のパーティーの方が一夏は疲れた。
 どう考えても関係のない政治家が、ゾロゾロといたからである。
『関係ある人間だけいろよ。ったく。』
 溜息をつきながら、一夏は端末を操作する。
『OK。衛星は全基正常稼働。さすがに、面単位だとデータの量が違う。』
 さまざまな分析結果が、衛星からもたらされるのを見て一夏は満足j曹な表情を浮かべる。
『これで、奴らを追い込めるな。あれも正常に稼動しているし。』
 かぐやの回収がサプライズミッションとしてあったが、一夏は今回極秘にある事を行っていた。
 その成果も、充分だったので尚更満足していた。
『危機感を感じてちょっかい掛けたんだろうが、それ位予測してるよ。ご愁傷様。首を洗って待っていろよ。』

後書き
サプライズミッションは、稼働を停止し月へ降り立ったままずっと地球を見続けてきたかぐや姫をお連れすること。
何度も何度も、計画がつぶれそうになりながら現実のものとなり、多くの貴重なデータをもたらして現在も研究者の人達は解析していますが、まだまだ終わりそうもありません。
想定より長く稼働した事で、より高度を落としてさらに精密なデータの収集に成功したら、データの多い事多い事。
何年かかるか解らないそうです。
良かったんだか、悪かったんだか(笑)。
そして、やっぱりでてきました亡国企業。
それに対しては、束がしっかり対策を練っており、一夏も数が少ないながらも量産したある機動兵器を投入。
撃破して、無事に地球に到着します。
記者会見にパーティーと忙しい一夏は、夜になって膨大なデータが入手できていることを確認して満足そう。
そして、何やら人知れずまた手を打っているようです。
点でなく、宇宙空間から地球を可能な限り広い面でとらえ、且つ衛星に搭載した様々なセンサーが精密なデータを収集します。
ようやく本拠地を突き止める体制が整いました。
あとは、金の流れや亡国企業の正体に関する詳細な調査とやることは山積み。
ですが確実に大きな一歩を踏みしめたと言えるでしょう。
さらに、本来は宇宙で運用することを想定していたISの代わりに、性別関わりなく宇宙空間で活動が可能な機動兵器のノウハウを活用したデバイスも運用可能な事が確認されました。
ひょっとして、一夏の過労フラグが立つんでしょうか?










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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
最新刊読んできました。ネタバレになるので多くは語れませんが(笑) 集合写真を撮った後『全員がそろうことはなかった』的の語りの後の展開に衝撃です。
ヴァルバジア
2015/08/10 15:12
ヴァルバジアさん。
コメントありがとうございます。

最新刊は衝撃的でしたね。
ああ来るとは思いませんでした。
それと、のほほんさんの意外な一面も驚きで
す。
やっぱり女の子なんですね。
他にも、いろいろと画策している所があるよ
うで。
スコールの言葉も、気がかり。
何より、束です。
今は、亡国企業よりですからね。
マドカがいる限りは。
一夏達を助けることは、おそらくないでしょ
う。
何を考えているか解りませんが、独自に動く
ようですし。
それと、新刊の発売のペースを早くしてほし
いです。
CIC担当
2015/08/15 20:02

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