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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第158話 舞台裏の道具作り<後篇>

<<   作成日時 : 2015/07/12 16:23   >>

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「後は、亡国企業か。以前は連続して仕掛けてきたが、最近は静かだな。明らかにやり方が変わっている。」
 以前との亡国企業の行動方針の違いを、千冬は頭に入れて今後の事を考えている。
「一夏君は何と?」
「おそらく、ごちゃごちゃとした不協和音が原因でごたごたが起こって、首が挿げ替えられた。そう言っていた。私も賛成だな。前回の事を精査して、今度はどうするかを考えているのだろう。連中がそう来るなら、こちらも起こり得る事態に備える必要がある。私のパイプで、既に手配できるところは手配済みだ。」
「あとは、白式の兵装ですね。必要ないとは思いますけど…。」
 世界で唯一の第七世代ISにして、第五形態移行を遂げた次元の違う高性能を誇るISである白式。
 今のままで問題はないだろうし、多くのユダヤ人資産家から提供された莫大な開発費で開発されたオートクチュールも完全に調整が終了している。
 さらに、一夏は専用兵装を開発していたようだった。

「実はな。真耶。こんな物が来ていたよ。私達宛てに。」
 千冬は一通の手紙を渡す。
 それを見た真耶は、驚き、千冬の顔を見る。
「アラビアンナイトでもあるまいに、どこにそんな物があるのやら…。何かあったら遠慮なく言ってきてほしいとはな。いつでも、援助する用意があるとはな。」
 一夏だけではなく、委員会直属の艦隊に必要な各種物資の提供、IS学園の運営資金の援助に関しても言及されていた。
「国を持たず世界中に散らばり、今でもあちこちでビジネスをしているのでその資本は膨大でネットワークは緻密且つ広大。イギリスにも少なからずユダヤ系の事業家たちがいる。感謝していたな。覚えているか?」
「オーダーメイドのロレックスの事ですね。」
 水上艦隊に全体の指揮を任せつつ、IS部隊の中核として最前線で誰よりも勇猛果敢に闘い抜いた一夏に、イギリスと周辺国のユダヤ人資本家たちは、オーダーメイドのロレックスの腕時計と懐中時計を短期間で作らせて一夏に贈っている。
 最高級のプラチナと純金を使用し、一夏の星座である射手座をモチーフにして誕生石である宝石の中でも最高品質の物を惜しげも無く使った物だった。
 傍から見たら下心があると見えるが、純粋に感謝の気持ちだったので一夏も受け取り、添えられていた手紙に書かれていた資本家たちすべてにお礼の手紙を送っている。
 謙虚で礼節を重んじる一夏に、彼等は好意を持ち、できうる限りのバックアップを行う旨の手紙が千冬の元に送られた。
「不思議な物だ、ユダヤ人資本となると、何かと厄介事がセットになる物だが、あれが関わると無縁になる。何故なのやら。」
「おまけにアラブ資本は、公用車に公用機、学園で使用する車両及び航空機の類の燃料の心配は一切しなくていいとまで言ってきましたからね。それに、黄金の鞘と柄。宝石をちりばめた剣を一夏君に贈られましたからね。民族、宗教、歴史、その他で対立しているのに、この点では互いに考えは同じという事でいがみ合いも無い。本当に、一夏君には驚かされます。」
「そうだな…。あれは、上手くいけば、両民族の問題も多少は何とかするかもしれん。」

「PSES−1。全センサー展開終了。太陽光発電パネル作動開始、動力供給問題無し。」
「PWS−1、ファイナルプロセスコンプリート。」
「GOS−1、ファイナルプロセスコンプリート。全システム正常作動。」
「IWRS−1、2。共に問題無し。相互補完可動システム、作動確認。スケジューリング正常。稼動、スケジューリングにリンク確認。」
 宇宙空間を可能な限りリアルに再現した、最終確認エリアで、全ての衛星の最終チェックが終了していた。
「本当に、ご苦労様。2日間と短いが英気を養ってほしい。種子島で会おう。私は一足先に行っているよ。」
「「はい!」」

 極秘スケジュールで空港に運び込まれた衛星は、待機していた空自の輸送機C−2に内部の衛星にダメージを与えない特殊コンテナに収められて、機内に運び込まれる。
 このフライトは長距離訓練となっており、一夏は近々種子島に運び込まれる人工衛星の打ち上げに立ち会うためと、打ち上げ手段の最終チェック等の為に種子島に行く事を空自が知り、ついでに送るという事になっている。
 フライトコースは厳重に索敵が行われており、イギリスの海軍の艦載機としてユーロファイター社、芝崎、三菱が共同開発した「シーファング」艦載マルチロールステルス戦闘機を、ハイスペックだが価格が高い、F−3 ゼロとのハイローミックスで問題ない性能を持つ事が、空自上層部によって確認され配備が始まった、EF−2000J タイフーンUの飛行訓練の一環としてF−3と共同運用及び護衛訓練を兼ねてエスコート役を務める。
 タイフーンの総合性能を引き上げ、レーダー波反射面積を85%削減することに成功、アヴィオニクス系の性能も向上し、優秀なマルチロールステルス戦闘機として生まれ変わったシーファングは、日本だけでなく各国での販売実績も伸ばしている。
 そして、F−15の初期ロットや拡張分を含めて一国の空軍クラスの数を導入することを決定された機体は、新開発された「CAPTOR」AESAレーダーを生産設備を流用して性能を向上させ、電子戦性能も付与した「CAPTORU」AESAレーダーからの情報が、HMDに表示されパイロットは周囲に目を光らせる。
 共同開発とはいえ欧州製のタイフーンがベースであったので、運用面で戸惑いもあったが、ユーロファイター社の手厚いバックアップを受けて整備、運用共に既に問題はない。
 派遣されてきたスタッフたちが舌を巻くほどのスピードで、空自はこの機体を物にした。
 ゼロとタイフーンU、G−TMA隊にIS部隊が、訓練の名目で一部の隙も無く護衛する。
 さらに、P−1 対潜哨戒機が潜水艦の襲撃に備えて爪と牙を研ぎ澄まし、E−2 早期警戒機が護衛の為に発進した部隊を中心に、索敵を行い効率的な部隊運用を行う体制を整えていた。
 そして、一夏は種子島空港に降り立ち、手配されていた車に乗り換えて密かに、だが、厳重に警護されて、JAXA(宇宙航空研究開発機構:Japan Aerospace eXploration Agency)、種子島宇宙センターに着いた。

 やっと着いたか。
 入館証とIDカードを受け取って、ロッカールームで着替える。
 無論、楯無さんも一緒だ。
「例の物はどうですか?」
 今回の打ち上げプロジェクトのJAXA側の主任、竹村さんに状況を訊ねる。
「チェックは順調です。織斑さんがお出でになられたことで、最終フェーズに進みます。」
「そうですか。」
 IDカード、虹彩認証、静脈認証、脳波パターン等、各種チェックをクリアして初めて中に入る事が出来る。
 もし、強引に入り込もうとすれば即座に警報が流れドアの中のエリアは表面に対エネルギー兵器コーティング分厚く施した特殊複合装甲を何重にも重ねた防護壁で前後左右上下が覆われて決して入る事が出来なくなり、高出力小口径衝撃砲と極めて頑丈な合成繊維でできた蜘蛛の巣の様なモノポリマーネットで拘束されて、高圧電流と内部に仕込まれた即効性の睡眠薬が入ったナノシリンジで侵入者を無力化するガードロボットが歓迎する。
 装甲材は、超軽量耐貫通性スライドレイヤー装甲を使用。
 重機関砲にすら耐え抜く、防御力を持つ。
 そして中に入ると、「それ」があった。

「人類初ですね。こんなすごい物で衛星を打ち上げるなんて。」
「多くの技術者の汗と努力と知識、それにアイデアの結晶ですよ。町工場の人達にも本当にいろいろとお世話になりました。」
 日本のハイテク機器は、町工場の技術無くしては作ることなどできはしない。
 にも拘らず、銀行は大企業ばかりに融資しようとし、町工場は門前払いをする。
 一夏の目には、愚かしいとしか映らない。
 日本のハイテクの大黒柱とは何か?
 それを知らないで、事業を行うのだから呆れて物が言えない。
 国産自動車開発が、始まった時期。
 「自動車は海外から買えばいい。日本で作る必要はない。」と平然と言い放った日銀の総裁がいたが、金融界はその時から進歩したのだろうか?
 一夏の目には、到底そうは映らない。
 ビジネスの基本は、目の前の相手をしっかりと見定めること。
 金融だろうが何だろうが、これは変わらない。
 それすらわかっていないのだろう。
 一夏にはそう思える。
 今回にしても、「空想か、妄想。金の無駄。」と金融界では言われる。
『さて、こいつを見たらどう思うか?そして、もう一つの物を見たらどう思うか…。』
 どんなコメントをするのだろうか?
 意地が悪いと言われればそれまでだが、一夏はそれを楽しみにしていた。
 頭から冷水を掛けて、世の中を見まわしてみろ。
 一夏は、今回のプロジェクトの成功にそうメッセージを籠めるつもりでいる・。
 何より、金融界の嘲笑混じりのコメントに憤慨したのは、一夏と共にプロジェクトに関わっている技術者達だった。
 営業面にも関わり、今の金融界に言いたいことが山とある物も少なくないのである。
 だからこそ、今度の事に掛ける意気込みは違う。
 エンジニアとしての、意地と誇り。
 それを掛けている。
 成功させて、自分たちがやっていたことは空想でも妄想でもない。
 ましてや、金の無駄でもない。
 何かを作り、その先にある物を見ない連中に目に物を見せる。
 誰が言いだしたわけでもない。
 だが、共通の認識だった。

 さ〜て、ファイナルチェック行こうか。
 俺は、端末を立ち上げて「それ」の全てのデータを表示する。
 各部の試験データ、組立の状況、組み立てたパーツのチェックの結果。
 全てに、俺は目を通す。
 よし。問題ない。
 後は、もう一つだ。
 こっちも大丈夫だね。
 帰った姫君は、帰りたがっているだろうか?
 ひょっとしたら、余計なお世話かもしれない。
 でも、皆はこっちに来てほしい。
 そう願っている。
 あなたが感じた事を、何かしら知りたいから。
 どんな思いで、この星を眺めているか…。
 何より、帰って欲しくはなかったんだよ。
 きっと…。
 考えている内に、全てを終えた…。
 後は、その日を待つだけ…。

 アルゼンチンでの手術に備えてシミュレートをしていると、俺の携帯が鳴る。
 ん?この番号って…。
「Es Orimura.(はい。織斑です。)」
 アルゼンチンからの、国際電話だ。
「Mi nombre es Beitia de coordinador de organos.De hecho, se encontro donante de organos. Orimura para adaptarse a la llegada del medico, entregara el organo. Pero, si hay un problema….Para obtener mas informacion, por favor visita alli y voy a enviar los datos.(臓器コーディネーターのベイティアと申します。実は、臓器提供者が見つかりました。織斑医師の到着に合わせて、臓器をお届けいたします。ですが、問題がありまして…。詳細は、データを送りますのでそちらをご覧ください。)」
 いい知らせと悪い知らせのカクテルか…。
 嫌だな…。
 けど、せっかくのチャンス。
 これを逃したら、患者さんが持たない。
 何とかするしかない。
「Correcto. Muchas gracias.Disculpeme.(解りました。どうもありがとうございます。失礼いたします。)」
 電話を切って、送られてきたデータに目を通す。

 ………………………………………………………。

 何てこった…。
 難易度上がりまくりどころじゃないぞ…。
 只でさえ、難しい手術なのに…。
 向こうに着くまでに、術式を考えておかないと。
 患者さんの体力を考慮すると、到着したその日にオペが必要になる。
 
 とにかく、明日、出来る限り早く病院に到着する様に手配するか…。
 ヘリポートがあったはずだから、それで飛ばせるだけ飛ばしてもらってすぐに術式をスタッフに説明してオペだ。

 例の事といい、今回の事といい、碌な事ないな。
 ステージに仕掛ける罠は準備できたのがせめてもの、救いか…。

 さて、亡国企業の皆さん。
 そろそろ、お前らに付き合うのも飽きた。
 最後のラウンドに行かせてもらうぜ。

後書き
衛星のチェックを終えた一夏は、C−2輸送機で密かに衛星をJAXAの種子島宇宙センターに持ち込みます。
それを守るは、自衛隊の各基地の航空隊、訓練という名目で護衛を務めます。
そして、今回の打ち上げに使用される「それ」。
相当に革新的な物のようですね。
はてなんでしょう?
一方、アルゼンチンはかなり面倒な事になりそうです。



















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