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zoom RSS ヨルムンガンド二次創作 第43話 Bomb man and fool both Phase3

<<   作成日時 : 2015/06/08 23:58   >>

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「はい?あのですね。こっちはこっちで、取り込み中なんですよ。そうです。睨み合ってるんですよ。片付けるのは時間の問題ですけど、だからって片手間ってわけにはいかないでしょう?そうですか。解りました。努力します。では。」
 イリジウム電話を切ったソフィは、溜息をついて指先で髪の毛をいじくる。
「何かあったのか?厄介そうだったけどよ。」
 レームが、溜息をつくソフィに話しかける。
「まあ。ちょっと。あの爆発だと、多分要件も消えたと思いますけど。連中を片付けたら見に行きましょう。まったくもう…。」

「おい。社長達の方が、爆弾で吹っ飛んだぞ!連絡入れろ。生きてる奴いるか確認しろ。」
「誰も出ねえよ!」
 後方のエクスカリバーの社員達が、IEDの爆発を見て慌てながら生存者がいるか確認を取る。
「クソ!クソが!!袋の鼠にするはずが、あっという間に袋が破れやがった!!」
「こうなりゃ、意地でも奴らで一儲けしてやる!!」
「よし。途中でとっ捕まえたあれ使うぞ。」
 後方のエクスカリバー側から、誰かが歩き出してくる。

「PGC社全員発砲禁止。繰り返す発砲禁止。ミスヘクマティアル。まずいですよ。やつら手段を選ばずに、あなたで一儲けする腹積もりだ。人間爆弾を出してきましたよ。」
「マジかよ!?」
「マジだ。あいつら…。」
 驚いたアールに、苦虫を噛み潰したような表情でルツがスコープで確かめた結果を話す。

「そこまでやりますか?普通…。」
「ここらあたりじゃ、偶にいるんですよ。そういうのがね。」
 PGC社の社員の返答に、ソフィは溜息をつく。
「片付けられるかも。やるだけやるか…。ココさん。僕に考えがあります。ワイリさんに、人間爆弾の爆弾を解除できるか聞いてください。」
「できるよ。どうするの?」
「ええ。ちょっと。こっちに来たら、相手の人に転んでもらって手早く起爆装置を解体してもらってください。」
「了解。」
 ココとの通信を終えると、ソフィはARX−160を手にして立ち上がる。
「おい。そっち2人ついてけ。」
「アイ・サー。」
 ステアー AUG A3を持ったPGC社の社員を連れて、ソフィは爆発の痕に向かう。

「神よ…。どうして、私がこのような目に…。」
 典型的なイスラム教徒の服装をした中年男性が、自らの運命を呪いながら両手を上げてココ達の所へ歩いていく。
「オジさん。道にコケて。それから、こっちに来る。」
「え?」
 聞こえないように小さな声で話しかけるココの声に気づいた男が、ココの顔を見る。
「いいから。こっちにコケて。助けるから。」
「でも…。爆発するんじゃ…?」
「大丈夫だ。解除する。」
 ワイリが工具をそっと見せて、解除することを伝える。

「酷え…。」
「全滅じゃねえか…。」
 PGC社の社員が、爆発痕を見て顔をしかめる。
 ほぼ全員があちこちに吹き飛んで、即死していた。
「すいません。あの岩の所にいるのを拘束して、連れて行ってください。まだ生きてますから。それと…。特徴から、あいつかな?」
 ソフィは、ノートパソコンの画像を見ながら倒れている中の1人の所に行く。
「間違いない。外傷はあるけど、命に別状はないか。」
 銃と予備マガジンを含む武器の全てを放り投げて拘束した後、ソフィは男を担ぐ。

「あの野郎。コケやがった!」
「何やってやがる!」
「仕方ねえ!金儲けは諦める。起爆しろ!」
「お、おう!」
 しかし、一向に起爆せずに起爆装置に繋がっていた携帯が取り外されて着信音を鳴らしていた。
「はい。もしもし。フフーフ。残念だったね。この程度の爆弾。ワイリなら簡単に無効化しちゃうよ。もう大丈夫だよ。オジさん。」
「ありがとうございます…。ありがとうございます…。」
 助けられた男が、繰り返しココに礼を言う。
「で、何で人間爆弾に?」
「私は、トラックの運転手です。荷物を運んでいる途中、あいつらに攫われて爆弾を付けられたんです。」
 男から事情を聞かされたココは、頭を掻く。
「典型的な、外道だな。」
 呆れながら、ワイリが爆薬を取り外す。

「ココさん。そっちはどうです?」
 ココのインカムに、ソフィからの連絡が入る。
「終わったよ。爆弾解除作業終了。」
「それでなんですけど。」
 ソフィは、自分の策を話す。
「了解。準備させとく。」
 ココは、ワイリにある準備をさせておく。

 焼けるような、砂漠の暑さの下。
 エクスカリバーの社員は車に隠れて、ひたすら動かないようにする。
 しかし、いつでも自分達を狩れる事態が精神をすり減らし、暑さが体力を消耗させる。

「よし。終了。」
「どうも。はい。お帰りはあちらですよ。」
 捕まえた男の1人を解放すると、ソフィはARX−160にサイレンサーを取付ける。

「な、何だ!?」
 盾にしていた車やピックアップトラックが、次々とがくんと傾く。
「チキショウ!連中、タイヤを狙いやがった。」
「どうするんだよ!?これじゃあ、逃げられねえぞ。」
 足として使っていた車やトラックが走行不能になった事で、逃げる事も出来なくなったことを悟った。
 さらに、水や食料もほとんど積んでいない。
 最悪、ココ達がこの周辺は危険だと地元警察に通報したら、人の通りもほとんどなくなり飢え死にか乾き死に。
 もしくは、気化熱で温度が急激に下がった砂漠で凍えることになる。
 人に会う可能性があるとしたら、間違いなく重武装の警察か雇われたPMC。
 軍から派遣された部隊の可能性も、ある。
 今までの自分たちの悪行が知られれば、さぞ素晴らしい運命が待っているだろう。
 それを考えると、絶望的な気持ちになる。
「お、おい。見ろ。」
 自分たちの所に向かって、誰かが歩いてくる。
 大柄で腕に派手なタトゥーがある男に、エクスカリバーのメンバーは見覚えがあった。
「社長じゃね?」
 ソフィが確保した男の1人は、エクスカリバー社の社長だったのである。
 ある連絡が来た時にデータが送信されてきたので、生きていて使いようがあったので確保したのである。
「なあ…。お前ら…。これ…、外せる…?」
 爆発で飛び散った石礫で額を切り、鼻血を出した顔で自分の体に巻きつけられたスプレー容器状の物を指さす。
 密かにつけた小型マイクが拾った音で合流した事を知ったソフィは、ワイリに合図する。
 そして、巻きつけられた爆弾が爆発し、全員跡形も無く吹き飛んだ。

 そうなるはずだったが、見えたのは大量の赤い煙であった。
 社長を含めるエクスカリバー社の男達が、目や鼻の粘膜に強力な刺激を受けてのた打ち回る。

「うわ。超悶絶してるぜ。こりゃ凄えな…。」
 アールが双眼鏡で、赤い煙の方向を見る。
「つーか。こっちまで、悶絶しそうだぜ。」
「食べます?」
「喰うわけねえだろ…。」
「美味しいんですけどね…。何でかなあ…?」
 ソフィは、形は苺に似た感じの唐辛子を食べる。
「やっぱり、美味しいですよ?」
 ソフィを除く全員が、顔を見合わせた。

 赤い煙とのた打ち回る姿を見ると、大抵は護身用の唐辛子スプレーを思い浮かべるだろう。
 だが、ソフィがエクスカリバー社の社長に巻きつけた物は、そんなに生易しい物ではなかった。
 カロライナ・リーパー。
 アメリカのサウスカロライナ州で栽培されている、世界一辛い唐辛子。
 これを使用した、護身用スプレーの試作品である。
 辛い唐辛子でメジャーなのは中南米で栽培されるハバネロだが、カロライナ・リーパーは辛さを表す単位スコヴィルで300万とハバネロの25万から45万を遥かに上回る。
 直接手で触れたら、後で洗わないとやけどのようになる危険な唐辛子である。
 無論、ソフィも直接は触れずにへたから伸びた細い茎の部分を持って食べる。
 まともな人間なら、とても食べられたものではない。
 だが、砂漠等の気温の高い場所で辛い料理を多く食べていく内に慣れてしまい、本人もエスニック料理は大好物でもある。
 そして、口腔外科で味覚の検査を受けても全く問題なく、鋭敏な味覚を持っていることが確認されている。

「おい。美味そうに食ってるとこ申し訳ないがな。泡吹いて、気絶したぞ。ああ、白目も剥いてるっぽいな…。」
 憐れみを込めた口調で、アールが話しかける。
「じゃあ、確保してきますか。そうだ。水用意しておいてくださいね。」
「はいはい。」
 バリー達を連れてソフィは全員を確保して戻ってくると、水で洗う等処置を施して武器を奪い拘束した。
「よし。終わりと。あ、来ましたね。」
 4WD車の一団が来て、車から降りる。

「確保しましたよ。ナザル大尉。」
「助かりました。連中は性質が悪いですので、早めに手を打ちたいと思っていたのです。貴方に頼んで正解でしたね。報酬は既に振り込んでありますので、ご確認ください。それから、水や食料の類をお持ちしました。」
 アラブ系の人のよさそうな表情だが、鋭さを持つ男性にソフィはエクスカリバー社の男達を引き渡す。
 ソフィが口座を確認している間に、水や食料等が引き渡される。
「では。これで。何かありましたら、ご連絡ください。便宜を図らせていただきます。」
 ナザル達は、その場を去った。

「なあ。さっきの電話って、あいつからか?」
「ええ。以前、こっちで戦っていた時に知り合いましてね。で、エクスカリバー社の社員の内、ある人間を最優先で確保して、できれば社長も確保して欲しいと頼まれたんですよ。」
 ソフィは、ルツに電話の内容を答える。
「ふうん。で、最優先の奴って誰なんだ?」
「イギリス内務省高官の息子さんだそうです。取引に使うんでしょうね。湾岸戦争、イラク戦争と散々な目にあったのに、逞しい事ですよ。エクスカリバー社も、きっちり裁いてくれるそうです。」
 訊ねられたソフィは、アールに最優先で確保する対象の事を話した。
「死体をどう裁くんだ?ああ、殲滅しましたって証拠か。」
「そんな所でしょうね。さて、行きましょうか。それにしても、この土地の人達も、一筋縄じゃ行きませんね。さすが、世界四大文明の一つを築いた国の末裔と言ったところですか。」
「だね。」
 ソフィとココは笑いながら、話してそれぞれのコンボイに乗り込んだ。
 人間爆弾にされた男性は、運転していたトラックを爆破されたので次の街でトラックを提供することにして、HCLIのコンボイの集団は再び目的地を目指した。

『少しは、大丈夫になったのかな…?』
 リハビリ代わりの仕事を終え、夜にセックスをした後、ココは静かに寝息を立てているソフィを抱きしめて髪を撫でていた。
 幾度もベッドを共にしているが、今のソフィはどこか本心を隠しているように思えて仕方が無かった。
『大丈夫。あれが発動すれば、ソフィのような人間はいなくなる。そうすれば…、きっと…。』
 スウェーデンにある、嘗て両親と共に過ごしていた地を訪れた時の事が嫌でも思いだされる。
 自分の今。
 両親の死。
 自分の身に降りかかった理不尽の理由を世界に問いかけ、呪い、恨み、血を吐くように言葉にして大粒の涙を流していたソフィの姿。
 全ては、性根の腐り果てた大人が原因。
 自分もまた、ある意味そんな大人の1人。
 でも、さして何かをしてやれているわけでもない。
 そんな自分に、何が出来るだろうか。
 ココは、それを考えていた。

『それでも、眠っている間は私が傍にいる。悪い夢を見ない様に…。ソフィ…。』
 ココは優しく、額にキスをして心臓の鼓動が聞こえる様に優しく抱きしめてそっと呟く。

 愛してるよ…。

 と。

後書き
中東編最終話です。
そのままでは面白くないので、オチをちょっとアレンジしました。
爆弾の炸薬量をコントロールして真っ黒けっけも面白いかなと思いましたが、動画を見て思い出した世界一辛い唐辛子を思い出してそれを使ってみました。
にしても、ハバネロの数倍の辛さの唐辛子なんてあったんですね。
辛さを競うのはいいですけど、食べないのならある意味労力の無駄だと思うんですが世界一じゃないと嫌なんですかね?
う〜ん。解りません。
そもそも、食べられるのかすら疑問です。
物凄い数の人間が食べる料理に入れるなら食べられるかもしれませんが、普通に食べたら全員悶絶ですし。
仕事が終わってからは、ソフィに寄り添うココ。
とうとう、胸の内をそっと明かします。
想いは届くでしょうか?








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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
お久です、

今作だと残党は生き残りですか、まあある意味死ぬより辛い生き地獄を味わいましたが、、しかしキャロライナリーパーって・・・(笑

そして少しずつ近づくヨルムンガンド計画の進行、ココもソフィーの存在で原作よりも決意をより強固にしてるみたいですね。

あと、・・・え?セックス?いつの間に?!
X兵隊元帥(曹長)
2015/06/09 17:08
X兵隊元帥(曹長)さん。
お久しぶりです。
コメントありがとうございます。

>まあある意味死ぬより辛い生き地獄を味わ
>いましたが、、しかしキャロライナリーパ
>ーって・・・(笑
 生きているだけ、めっけもんですって(笑)。
 きちんと、アフターケアもしてますし(笑)。
 にしても、こんな使いようのない唐辛子作
 って農家の人達は、何かメリットになるん
 でしょうか?
 アメリカの人達は、やっぱりナンバー1が
 好きなんですかね?

>あと、・・・え?セックス?いつの間に?!
 結構、前からです。
 そういう関係があることを予想する描写を
 ちりばめてます。
CIC担当
2015/06/14 12:17

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