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zoom RSS 機動戦士Zガンダム〜ネオ・ジオン戦役〜 第49話 大義と善と<前篇>

<<   作成日時 : 2015/05/29 23:58   >>

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 戦場は、混沌としていた。
 グレミーもハマーンも互いを相手にしながら、ロンドベルに側面を突かれ半包囲体制を敷かれつつある。
 だが、双方とも側面に回せる兵力は限られている。
 故に、側面からのロンドベルの攻撃によって、側面を確実に抉られている。
「各部隊の、残存艦を集結させろ!壁を作れ!」
 各部隊の旗艦を撃破され遊兵となっていた残存艦を、急遽編成してグレミーはアムロ達への備えとしていたが、あくまで急場しのぎ。
 すぐに撃破される。
 それでも、残存艦を後方へ回り込ませて防御陣と挟撃を計ろうと指示を出すグレミーの指揮官としての手腕は確かに非凡だった。
 だが、今回は相手が悪い。
 アムロにしろ、カミーユにしろ。味方が優位だった戦いなどほとんどない。
 常に味方は劣勢でその中で状況を打開する術を見出し、戦い抜いてきた。
 軍人としては若手だが、2人とも歴戦の猛者である。
 さらに、優れたニュータイプでもある。
 今回は、数的には劣るが状況をうまく利用して、自分達に艦隊の大半を振り分ける事の出来ない状況の中で側面から襲い掛かり各個撃破している。
 しかも、2人が駆るMSは完成したばかりのNT専用MS。
 歴戦で鍛えられたパイロットとしての技量にニュータイプとしての能力で機体の能力を最大限引き出しているのだから、グレミーとしてはどれだけ的確に指揮をしようとも防御陣を食い破られる。
 ここでも、練度の差が大きく影響している。

 時間が経つごとに自軍が不利になり士気が落ちているので、艦隊がグレミーの指揮通りに動かなくなり始めている。
 ロンドベルに比べて低い練度が、士気の低下でさらに低くなってしまっている。
 既にグレミーの旗艦グランツまでの道の半ばを、通り過ぎている。
『ニュータイプ部隊に、プルにプルツー。どれもこれも、道具の分際で私を裏切りおって…。』
 グレミーは想像力が貧困な人間ではなかったが、プル達を道具扱いしていたが故に自分の元から離れる結果となった事までは想像できなかった。
『こうなれば、最後の手段だ。』

「あれは出せるな?」
 プル達の調整をしていた技術者に、グレミーは訊ねる。
「よろしいのですか?あれは、ハマーンを討つ際の最後の切り札の筈。」
「承知している。だが、ここで出さねばアムロ・レイ達は止める事は出来ん。忌々しい事だがな。すぐに目覚めさせ出撃させろ。大至急だ。」
「承知いたしました。私だ。あれを目覚めさせて出撃させろ。そうだ。グレミー様の命だ。大至急だぞ。いいな。」
『こんな所で、使う羽目になろうとは…。ジオンの大義を、宇宙に知らしめる為。憎きハマーンを討つ為に使う筈であったはずなのに…。』
 グレミーは指揮シートの肘掛を強く握りしめていた。

『うん?何だ。この強いプレッシャーは?シャアか?いや違う。グレミーめ。何かしでかすつもりだな。余程、アムロ・レイとカミーユ・ビダンに手を焼いていると見える。』
 サダラーンの艦橋にいるハマーンは、グレミー軍から今までに感じた事のないプレッシャーを感じていた。
『まあ。それは後回しだ。正直、他にやる事がある。』
 すぐに、意識を切り替える。
 グレミー軍との戦いは、徐々に押し始めていた。
 これは、アムロ、カミーユ、フォウ達が側面から防御陣を次々と撃破した結果、ハマーンと戦っている部隊の士気まで軒並み下げてしまった結果である。
 軍の強さは、訓練と実戦で練度をどれだけ高めるかにもよるが、何より大事なのは士気の高さである。
 士気が低ければ、どれほど強力な軍隊であろうと実力は出し切れない。
 だからこそ、指揮官は全軍の士気を高いレベルで保つことに力を割く。
「我が軍の側面の、戦況は?」
「マシュマー艦隊が、粘り強く抑えています。」
「戦況をモニターに。」
「はっ!」
 モニターにマシュマーの艦隊とシャアとカジマの部隊の戦況が、表示される。
「マシュマー。よく持ち堪えてくれているな。つくづく頼りになる。」
 ハマーンが、マシュマーを称賛する。
 その行動が、ブリッジの空気を少し明るくした。
『だが、限界までさほど時間はあるまい。その間に、何か手を打たなくてはな。』
 ハマーンが見るところ、確かにマシュマーは粘り強くシャアとカジマの部隊の侵攻を抑え込んでいる。
 が、少しずつ限界に近づいていた。
『それに、コウ・ウラキの事も気になる…。』
 単機で、ソロモンを陥落させたウラキが戦線に加われば、防衛線は一気に瓦解する。
 その前に、可能な限り部隊を割いて守りを厚くする必要があった。
 即座にハマーンは、全軍の状況を見て増援の編成に取り掛かった。

「限界か。後退し、後方で整備・補給を受けろ。」
 損害が大きくなった部隊に、マシュマーは指示を出し後方に控えていた部隊が前面に出る。
「また、次か。際限がない。」
 ある程度損害が出たら、後方の部隊と交代。後方で整備・補給を受けてから前線に復帰する。
 一つの部隊を後退させても次と現れるマシュマーの部隊にクワトロは、うんざりし始めていた。
 だが、冷静さは失っていない。
 マシュマーが狙っているのは、無限の回復力を持つように見せかけ、連戦を繰り返させてクワトロとカジマの部隊に身心両面から消耗を強いる事だった。
 交代するタイミングも見事と認めるしかなく、今クワトロたちに出来ることは、出来る限り相手を消耗させる事だった。
『敵も、消耗していることは確かだ。加えて、向かってくる部隊はマシュマー麾下の部隊から見れば少数。ならば、手はある。それまで、忍耐が必要だがな。』
 ミサイルを回避しロングビームライフルでガ・ゾウム2機を落としながら作戦を立案し、機を伺い始めた。
『何だ?グレミーから、強いプレッシャーを放つ者が出た…。誰だ…?』
 以前から感じていた、強いプレッシャーが発進した様子を感じたクワトロは、相手の正体を考えた。
『向こうにいるのは、アムロ、カミーユ、フォウ少尉だ。大丈夫だとは思うが。死ぬなよ。』

「何だ?部隊の損耗率が急激に増加している。」
「アムロ少佐。前から感じていたプレッシャーでは?」
「私も、そう思います。」
「おそらくな。グレミーも、とうとう最後の切り札を出さざるをえなくなったか。来るぞ!」
「!あれは。まさか…、ジ・O!?いや違う。何だ。くっ。」

 現れたプレッシャーの正体は、嘗てパプテマス・シロッコの愛機に酷似していた。
 PMX−004 ジ・O。
 乗艦たるジュピトリス内の工廠で、シロッコが専用機として開発された重MSである。
 各部に独創的な技術が投入され、大推力スラスターに多数の姿勢制御スラスター。独自のサイコミュシステムを搭載し、パイロットの操縦を確実に反映させるインターフェースを搭載し、圧倒的な機動性と運動性で、クワトロを苦しめた名機である。
 目の前に現れたMSは、その機体の面影を確かに残している。

「アムロ少佐は、グレミーを倒してください。ここは、僕とフォウで何とかします。」
「相手の実力は未知数だぞ。危険すぎる。」
 新たに表れたMSのファンネルの攻撃を回避し反撃しながらカミーユはアムロに先に行くように促すが、目の前のMSの力が未知数であることからリスクが大きいと主張する。
「このままでは、全員足止めです。それに、少佐にはどうしてもグレミーを倒していただかないと困るんです。あいつの大義が間違っている事を証明して欲しいんです。フォウも同じ考えだと思います。」
「カミーユ…。」
「少佐。カミーユの言う通りです。私もグレミーの大義を否定したい。それ以上に、間違っていると証明したいんです。私も…、ティターンズの大義の為に利用されていたかもしれないんです。こんな事は、もう終わりにしたいんです。ここは、私とカミーユで大丈夫です。」
「フォウ少尉…。」
「だから、行ってください。早く。」
 カミーユが、アムロに早く行くように促す。
「解った。好意に甘えさせてもらう。2人とも、死ぬなよ…。お前たちの結婚式には喜んで出席させてもらうが、葬式に参列するのは真っ平御免だからな。」
「大丈夫ですよ。」
「私達は、家族みんなで幸せになるって決めているんです。だから大丈夫です。」
「解った。後は頼む。」
 アムロはλのフットペダルを踏み込むと、グランツに向かう。
「さあ。始めよう。本当は、結婚式で最初にしたかったけどね。2人の共同作業は。」
 カミーユが拳をポキポキとならし、筋肉をほぐす。
「あら。共同作業はもうしてるでしょ。」
「ん?何だい?」
「ベッドの上での演習。本番では、ノルマは3人ね。頑張ってもらうから。そのつもりで。」
「了解。それじゃあ。その前に、こいつを片付けて臨時手当をゲットしないとね。今の世の中、出産費用も安くないし。ま、3人位ならプールしている分で余裕だけど。」
 そう言って、モニターに映るフォウにウィンクするとカミーユの表情は戦士に戻る。
「行くぞ。この戦い。終わらせて見せる。」
「ええ。」

「パノウキラ。Zタイプ2機と戦闘に入りました。」
「カミーユ・ビダンの抑えにはなったか。切り札なのだから、その程度はしてもらわねばな。どれだけ、金が掛かったか。パノウキラにしても安い機体ではない。」
 NZ−003 パノウキラ
 それが、カミーユとフォウが相手をしているMSの名である。
 入手したジ・Oの戦闘データを解析し、各部を強化。
 サイコミュを抜きにしても、非常に高性能なMSである。
 そして、サイコミュを搭載した結果、高性能なNT専用MSとして完成した。
 パイロットは、旧ジオン公国のNT研究機関であるフラナガン機関で、当時机上のプランでしかなかった強化人間としての措置を受け始めていた少年である。
 現在、グレミーの元で強化人間の調整を担当しているスタッフが密かに入手し、理論を完成させつつ培養装置の中で可能な限りのMS戦闘スキルを学習させ続けて完成した、NT専用MSのパイロットとしては最も完成形に近い存在である。
 プルとプルのクローンであるマリーダ達の調整で得られたノウハウも活かされているので非常に安定し、高い能力を誇る。
 強力で使いやすい。
 それが、グレミーにとっての最後の切り札たる所以である。
「他の部隊の戦況はどうか?」
「ロンドベル旗艦周辺が、若干手薄ですが2体の強力なMSがこちらの行く手を阻んでいます。」
「可能な限り割け。相手の脊髄を両断すれば戦況はこちらに傾く。」
「はっ!」

「λガンダムがグレミー軍旗艦に向かっていますが、突出気味です!」
「他のMS部隊はどうしてるの!?」
「こちらが優勢ですが、敵も必死です。追随できるMS隊がありません。」
 元々、漁夫の利を狙っての部隊を二手に分けての作戦である。
 短期決戦で、敵の中枢を叩かなければ不利になるのは、ロンドベルである。
 直援部隊は、ラーカイラムを守る為に戦闘を続けており、支援に向かうどころではなかった。

後書き
久方ぶりの更新です。
混沌とする戦場。
互いに戦いながらも、ロンドベルに側面を突かれるグレミーとハマーン。
麾下の部隊を率い奮戦するマシュマーがいるハマーンに対して、腹心と言える優秀な部下がいないグレミー。
とうとう最後の切り札を投入します。
嘗て、シロッコの最後の愛機としてカミーユとクワトロを苦しめたジ・Oのデータをベースに開発された、NT専用MS。
常にカミーユ達に強力なプレッシャーを与え続けた存在は、その力を振るいロンドベルにも少なからぬ損害を与えます。
これを倒さない限りは、グレミーは倒せない。
決意したカミーユとフォウに背中を押される形で、アムロはグレミーに引導を渡すべく先を急ぎます。
一方、グレミーはある程度手薄になっているラーカイラムを沈めるべく部隊を編制。
ロンドベルその物の崩壊を、狙います。
三つ巴の戦場は、さらに混沌としていきます。







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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ネオ・ジオン戦役連載復活、待ってました!! 遂に、グレミーの切り札が出てきましたが、Gジェネシリーズのタイタニアとは異なる、ジ・Oの発展機という事に驚かされました。 後編にも、コメントを入れますので、そちらも拝見して下さい。
ZEST
2015/05/30 00:16
ZESTさん。
コメントありがとうございます。

>Gジェネシリーズのタイタニアとは異なる、
>ジ・Oの発展機という事に驚かされました。
 クィンマンサ以外のラスボスに相応しいM
 Sは何だろうかと考えていて、頭に思い浮
 かんだのがジ・Oだったんです。
 武装は平凡ですけど、機動性は高いしパイ
 ロットの操作を確実にMSに反映させるコ
 ンセプトも好みでしたので、これにジオン
 系の技術を加えたらどうなるかと考えて、
 設定が完成しました。
 サプライズ成功ですね。
CIC担当
2015/06/01 00:54

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