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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第146話 見えないカードゲーム<後篇>

<<   作成日時 : 2015/04/11 23:52   >>

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 例の手堅い投資情報という糸の端はしっかりつかんで離していないけど、相変わらず解らずじまいか。
「西欧はシロ。そう見てよろしいのではないでしょうか?閣下。」
「そうだな。ここまで徹底的に調べて、何も出てこないとすればそう見てもいいようだな。」
 グリント達は優秀な人材だ。
 ありとあらゆる視点から情報の解析をしているのは、間違いない。
 報告書を見ていて、それはよく解る。
「後は、南欧、東欧、北欧か…。」
「しかし、東欧はマフィアその他の犯罪組織の大掃除をした後に、調査をしたがやはり何も出なかったぞ。」
 マネーロンダリング等の調査に天賦の才を持つライリーが、意見を言う。
 俺自身も、東欧はないと見ている。
 経済規模がまるで違うから、連中が本拠地を構えるにはちょっと都合が悪すぎる。
 何しろ、共産圏ときたら経済的にガタガタ。
 共産圏の優等生と言われた東ドイツですら、惨憺たる有様だった。
 改善傾向にあるけど、未だに格差が問題になっている。
 となると、芝崎を始めとする日本企業の投資で経済が息を吹き返し始めている南欧に、金融関係が発展している国が少なからずある北欧か…。
「本日をもって、西欧並びに東欧の調査は終了とする。無論、これから事が起こらないという可能性はないので監視は続行。調査のリソースは、北欧、南欧に振り向ける。明日は、その点を議論する。」
 いつまでも、あちこちに戦力を分散させるのはよろしくない。
 可能な限り、集中すべきだからな。
 にしても、こういう相手が見えないカードゲームだと、向こうの手の内の裏の裏を読みつつ、こっちの手の内は読ませない。
 きつい心理戦だな。
 向こうも、散々ボコられたから、そろそろ理性的になってくる筈。
 これからの、亡国企業との戦いは単純な物じゃない。
 高度な心理戦になる。
 精神的にキツイな。
 メンタルケアについて、考えておくべきだな。
 さて、向こうはどう出てくるやら。

 翌日、病院での急患対応とオペ、人手が足りない科の応援を終えて寮に戻って朝の鍛錬の前に情報に目を通し始めた俺は、思わずつっぷした。
 マジかよ…。

 キティーホークをFRAM後に再就役。タイコンデロガ級イージス艦ベースライン0及び1の艦も同様にFRAM後に再就役。大西洋方面に配属か…。ロスアンゼルス級原潜のトマホーク用VLS装備した艦で2番目に古いピッツバーグを引っこ抜いて、護衛ね。
 あくまでアメリカ海軍としての行動と来たか。
 本音と建前の解離が、目に見えて理解できる。
 大統領の考えはどうあれ、アメリカの政治家は東欧方面でのアメリカの影響力が小さくなるのをよしとしなかったか…。
 それにしても、よりにもよってキティーホークと来たか。
 よく、あんな古いのを再就役させる気になったな。
 ま、原子力空母に空きがないから、こうなった訳だが…。
 おまけに、F−14 トムキャットを運用していた部隊の中でもっとも有名で、今はF/A−18F アドバンスド・スーパーホーネットを運用する第103戦闘攻撃飛行隊「ジョリーロジャース」を、配備させている。
 イージスシステムの対空迎撃能力は最新型のアーレイバーク級をも凌ぐから、護衛としては問題ない。
 兵装も最新型。
 戦力としては、申し分ない。
 徒に軍事力を誇示して、口を差し挟むことはない。
 少なくとも現段階ではだ。
 問題は、ロシアか。

 日本が中型正規空母、小型空母を各護衛隊群に配備。
 原子力空母を中心としないものの、空母を中心とした機動部隊を編成し始めたロシアに対する牽制に対抗する意味で建造を進め竣工した、アドミラル・クズネツォフ級重航空巡洋艦。
 早い話が空母だが、ボスポラス海峡を通過する際の件で空母ではなく重航空巡洋艦となっている。
 それを改設計して、リニアカタパルトを3基装備し、船体と飛行甲板、格納庫も大型化して、PAK FAの艦載機仕様、Mig−35 スーパーファルクラムの艦載機仕様に各種ヘリを搭載した、アドミラル・イサコフ級重航空巡洋艦にアドミラル・マカロフ級ミサイルフリゲート3隻、フォン・エッセン級対潜フリゲート2隻が、バルト海艦隊に配属された。
 目的は、アメリカと同じ。
 アメリカよりかなり露骨な面もあるので、こっちの方が性質が悪い。
 今の所は、アメリカや委員会、国連の存在が牽制になっているけど、これ以上、亡国企業に好き放題やられると、かなり厄介な事になる。
 幸い、東欧諸国のまとまりが予想以上にしっかりしているから、そう簡単に好きにはさせないだろうけど、亡国企業の本拠地。
 何としても見つけて潰さないとな。
 揉め事でも起きたら、こっちに何らかの悪影響が無いとは言えない。
 今は、大統領への信頼が頼りか…。
 何だか、心許ないな…。
 東欧の頑張りがどの程度かも、状況を左右するけどな…。

 一夏が、アメリカとロシアの海軍展開の資料を見ながら、今後の事を考えている間。
 スコールとエムは、新しいアジトで今後の方策を練っていた。
「何をしている?」
 さっきから、何度もトランプを並べ、終わっては、再び並べ終えるスコールを見て、エムは半ばあきれたように声を掛ける。
「使えるカードが何かを考えていたのよ。東欧は急ピッチで合同の即応軍事組織。しかも、その組織は軸足を国家にはおいていないわ。これはこれで面倒なことになる。他国の軍ならお断りでも、IS委員会なら受け入れるのは確実。現に、アメリカもロシアも艦隊を増派しているけれど、思ったより積極性に欠ける。織斑一夏を気にかけているのは確実よ。両方とも、借りが大きい物。迂闊にちょっかいを掛けるのは愚行だわ。NATOに加盟している国が少なからずあるから、共同歩調を取ることを明言しているから、その線で交渉の類を出来てもやりすぎれば、それはそれで問題になるわ。アメリカはアメリカ。欧州は欧州。他のNATO諸国が欧州にアメリカの力が今以上に及んでアメリカの基地が増えるのを喜ぶとは思えない。トラブルも少なからず起きている物。利用するのは、ほぼ無理ね。」
 アメリカとロシア。
 双方とも、IS関連で一夏の技術の恩恵を多大に受けている。
 もし、国益を得ようという野心を剥き出しにすれば、一夏がどのような印象を受けるか。
 特にロシアは、国家代表が自由国籍の楯無という日本人。
 最悪、楯無が自由国籍権を行使して、ロシアから去る可能性もある。
 ミステリアスレイディを技術部に解析させたが、高性能になった代償は搭乗者の高い操縦技術。
 そして、今の楯無を凌ぐロシア人のIS操縦者はいない。
 楯無が去った後には、性能を完全に引き出す事が出来ないパイロットだけになり、ミステリアスレイディは性能を活かせないお荷物となり、ただの解析資料になる可能性がかなり高い。
 一夏が今の状況を危惧していることは、スコール達は知らないが、それを知ればさらに考え込んだだろう。
 見方を換えれば、一夏は亡国企業が再び活動する事も想定していると見ることが可能だからだ。

「例の、IS委員会直属の艦隊の事もある。9隻で編成される空中艦隊の量産艦は、旗艦であるアヴァロン程の性能は有していない。例の無人機がゴーレムシリーズを凌駕しているのは既に解っているわ。戦力不足を補うための苦肉の策でしょうけど、織斑一夏が手掛けるとその性能はさすがにかなりの物だわ。おまけに可変型の機動兵器。ロボットアニメじゃあるまいし、人型への変形機構まで持っているなんて予想外よ。艦隊の補助戦力として、かなり有効だわ。戦術次第ではゴーレムやディースにもそれなりのダメージを与えられる。そして、水上艦隊。着々と戦力を整えているわ。」
「6万トン級超ド級戦艦に、全長396m、全幅114m。三胴型でステルス性も強く意識した巨大空母。ISの搭載も可能と見るべきだな。竣工していないとはいえ、防空兵装も万全だろう。そして、護衛艦艇も高性能だ。高いなどという表現ですら足りん戦闘スキルの持ち主であると同時に、篠ノ之束以外に右に出る者はいない天才科学者。どちらかであるだけでも面倒なのに、どちらも兼ね備えていると手のつけようがない程性質が悪い。おまけに、政戦両略で経験を積んでそちらでも才能を開花させた。あちこちに太いパイプまで持つ。しばらくは大人しくしているしかないだろう。こちらも相応に戦力を整えねば、どうしようもない。」
「幸い、資材も機材も揃っている。それで行きましょう。技術部は既に準備を終えているわ。以前に用意した分はあるけど、今回解った分を考慮すると、性能面で対抗するのは、ほぼ無理だもの。」
 幹部達の粛清で動いた際に完成していた水上艦艇はあるが、性能面では一夏が設計した艦に対抗するのは無理と言う結論に達していた。
 艦の性能を左右する戦闘システムやレーダーの性能に、大きな差がある。
 それを考慮して、さらなる高性能艦の建造を決定していた。
 決して見えないカードゲーム。
 その中で、一夏も亡国企業も互いに切れるカードを蓄えていた。

「全艦、各部チェック終了。異常ありません。」
 艦隊副司令官として、フランス海軍から来てもらったフレデリック・モーリス少将から艦隊整備の結果をタブレットで見せてもらう。
 うん。どの艦も問題無し。
 いつでも、全艦隊で出動できるな。
「ご苦労。当直の士官や兵を含めて、労ってやってくれ。食事にはグラスワインをつけてね。」
 グラスワイン1杯なら少しすれば、アルコールもかなり抜ける。
 空中艦隊の基地の守りは厳重にしてあるし、これ位はいいだろう。
 艦隊としての、初めての行動だったしな。
「皆も喜びましょう。」
「だといいがね。少将も休んでくれ。」
 敬礼をして、少将は去っていく。

「これで万全な状態に、整いましたな。問題があるとすれば…。」
「何かあるのか?参謀長。」
 ジョンストン少将が言った事が気になって、俺は訊く。
「閣下が、ISやグリフォン隊の先陣となって出撃なさる事です。今後は慎んでいただきませんと、困りますぞ。艦隊司令官であられるのであれば、艦隊の指揮をこそ第一にお考えください。」
 それか…。
 確かに、今まではアヴァロンだけだったから、出撃しても艦長が上手くやってくれたけど、今はそうはいかないもんな。
 そこは、俺も自制しないと。

「解っているよ。よほどのことがない限りは、艦隊の指揮に専念する。出撃した際も艦隊の指揮はきちんとやるけれどね。そこは弁えているつもりだよ。」
「ご理解いただければ、結構です。マクドネル大佐もそこを随分気にしていましたので。」
 マクドネル大佐は、副参謀長とISや機動兵器を含む航空部隊の作戦立案をする参謀チームのリーダーである航空参謀長も兼ねている。
 臨海学校以来の付き合いだから、俺の事よく知っているもんな。
 そりゃ、懸念の一つや二つはするか…。
 その後、訓練航海と実戦演習の結果について幕僚達と議論してから、俺は自宅へと帰った。
 とは言っても、既に当初とは似ても似つかないというか、近くにショッピングモールを作るはずが急遽変更になったので空き地になった土地に、ユニット方式で邸宅が作られて、今やお屋敷になっている。

「「「お帰りなさいませ。旦那様。」」」
 使用人たちが、俺を迎えるわけだ。
 全員、丹波乱波や雑賀衆と言った忍者の末裔から派遣されている。
 表向きは使用人だが、実態は俺の護衛だ。
 俺の引っ越しに伴い、近くのマンションには、ドイツから派遣された護衛と住んでいる。
 つまり、ここら一帯、俺のボディーガードが固めているわけだ。
 映画かよ。

「本日は、前菜に鰹のカルパッチョ地中海風。魚介類と夏野菜のサラダ。メインディッシュは松坂牛のロッシーヌになります。ワインは如何なさいますか?」
「前菜に合わせて、白ワインを。イタリア産で最近教えて貰ったのがあっただろう。それからメインディッシュに合わせて、赤ワインを見繕ってくれ。」
「畏まりました。」
 俺は、碌に料理も出来なくなった…。
 何しろ、侯爵家の当主という事もあり、家事はさせてもらえない。
 体面というやつがあるからだが、正直馬鹿馬鹿しいとしかいいようがない。

 食事を終えた一夏は、千冬に空中艦隊の処女航海と実戦演習の事について話していた。
「戦力として整ったか。後は、東欧とIS委員会の艦隊だな。」
 防諜モードに設定して、千冬はデータに目を通し始める。
「航空戦力に、地上戦力は向こうで生産は順調。各国からの人員も集まっている。始められる訓練から始まってるよ。問題があるとすれば、アメリカとロシアの動きだな。ポーランド大使が来てその事について俺に話をしに来たよ。やっぱり懸念してるな。アメリカはとりあえず大丈夫だと思いたいけど、ロシアがな…。ことさら問題のないバルト海方面に、太平洋艦隊に配属される予定だった多数の艦艇を配備した事で魂胆は見え見えだけど、自国の都合と言われたら干渉は難しい。内政干渉は、明確な国際法違反だ。事と次第によっては、委員会で対応する必要が出てくる可能性もある。」
「それについてだが、束が何か考えているらしい。後で連絡を寄越すと言ってきた。」
 束からの連絡と言う事で、一夏はだいたいの察しがついた。
 だが、事と次第によっては火種になる。
 事は、慎重に進めなければならない。
 自室に戻った一夏は、さっそく今後の事について考え始めた。

後書き
亡国企業の本拠地を見つけようとする一夏と、これからどう動こうか考える幹部になったスコールの心理戦。
可能性の薄い地域を対象から外して、可能性の高い地域に人的資源の集中を決めた一夏。
そして、着々と整う戦力。
当然、その情報はスコールの耳にも入ります。
とにかく、亡国企業にとって厄介極まる相手の一夏。
どれだけの損害を被ったかは、数えるだけで胃が溶解するほど。
しばらくは戦力を整えつつ、大人しくする模様。
一方、アメリカは議会の方が大統領の考えを良しとせずに、戦力を増強。
いくら東欧の組織が戦力として整ってきたとはいえ、アメリカがその気になれば差は歴然。
ロシアの動きも気になるところで、一夏も今後の事を考慮し始めます。
どうやら束もそれなりに動くようですね。
ようやく、重荷がそれなりになくなったスコールに対して、毎度のごとく重荷のある一夏。
誰かが幸福になると、誰かが不幸になるのが世の中ですが、国際社会の事情がいつもつきまとう一夏は誰が幸福になろうが、誰が不幸になろうが、いつも大変です。
それでも、なんとかしてしまうのでそれが一番亡国企業にとっては厄介な所なのでしょう。









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