cogito,ergo sum

アクセスカウンタ

zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第146話 見えないカードゲーム<前篇>

<<   作成日時 : 2015/04/11 23:49   >>

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

「いよいよ。ですな。閣下。」
「そうだな。いよいよだ。」
 一夏はアヴァロンの指揮官席に座って、空中投影ディスプレイに表示された複数の艦の状態を注視していた。
「艦長。アヴァロンは任せる。私は、他の艦の方に集中したい。」
「はっ!了解しました。」

 各地の造船所から日本まで来たけど、本格的に艦隊での観艦式は初めてだからやっぱり緊張するな。
 アヴァロンを旗艦として、副司令官が座乗するメサイア級空中戦艦と量産艦として建造されたカムラン級空中戦闘艦。
 計9隻で編成される空中機動艦隊。
 そのお披露目のイベントである観艦式が、行われようとしていた。
 メサイアは旗艦がアヴァロンの物をスケールダウンした物だから心配ないけど、カムラン級はさらにコストダウンを狙って開発した機関だけにやっぱり緊張する。

「カムラン級全艦機関作動シークエンス開始。補機波動エンジン始動。」
 ブリッジから、7隻のカムラン級に指示を出す。
 搭載されている機関の補機は、波動エンジン。
 別に、宇宙戦艦ヤマトを再現したかったわけじゃない。
 いかにコストを下げるかを考えている際に思いついて開発したのが、この機関だった。
「チェレンコフ放射光機構問題無し。タキオン生成率80、90、100を突破。」
「炉心部に伝達。動力変換に入れ。」
「動力変換に入ります。変換率問題無し。70%に達しました。」
「サブフライホイール始動。」
「サブフライホイール始動します。エネルギー変換、安定しています。炉心内圧力上昇。変換率100%。」
「メインフライホイール始動。」
「メインフライホイール始動。エネルギー変換率、最大のまま安定。補機波動エンジン問題無し。」
 いよいよか。
「モノポールエンジンへの、エネルギー伝達回路開け。」
「伝達回路開きます。エネルギー伝達順調。」
 よし。問題ないな。
 各艦への搭載前に様々なケースを想定してテストをしておいたけど、実際に積んで稼働したのを確認しないとな。
「エンジン圧縮臨界へ、モノポールエンジン起動。」
「モノポールエンジン起動。擬似ビッグバン開始。モノポール生成開始。」
 モノポール。
 宇宙のビッグバンの際に生れた、素粒子だ。
 これをエネルギー源とする機関の基礎理論の研究は、各国の素粒子研究機関で行われている。
 大変なのは、モノポールは宇宙のビッグバンの際に生れた素粒子だという点だ。
 つまり、それに匹敵する現象を起こし、持続させない限り増えない。
 一回こっきりの現象で取り出せる量では、動力・発電源にはなり得ない。
 故に、モノポール機関には起動装置となるエンジンが必要になる。
 これがあって、初めてモノポールが持続的に生成可能になる環境が整う。
 後は、どう生み出すかを考えて出来上がり。
 俺は、擬似的にビッグバンを起こす事を考えた。
 そもそも、宇宙は非常に小さかった
 それが爆発する事により、膨大なエネルギーが解放され、一気に広がり続けている。
 これが、ビッグバンだ。
 波動エンジンで生み出したエネルギーを圧縮し、刺激を加えて制御された爆発を起こす。
 これが、俺が考えた擬似的なビッグバンだ。
 これにより、モノポールの生成が持続して機関になる。

「モノポール生成率70%。エネルギー変換異常無し。各艦、問題ありません。」
「サブフライホイール始動。」
「了解。各艦、サブフライホイール始動。」
 7割に達した各艦のモノポールの生成率とエネルギー変換を安定させる為に、サブフライホイールが始動する。
 その間、一夏は各艦の機関のモニタリングに余念がない。
 考え得る限りの事態を想定し、入念にテストを行って、安全対策も厳重に施してあるとはいえやはり気は抜けない。
「モノポールエンジン。モノポール生成及びエネルギー変換率臨界点に達しました。」
「メインフライホイール始動。」
「了解、各艦メインフライホイール始動。」
 各艦のメインフライホイールが始動して、機関が臨界点に達した状態を維持・安定させる。
「各セクションへ動力伝達。艦隊微速前進。速力0.5%」
 ドックから、艦がゆっくりと姿を現す。

「皆さん。私は、この歴史的瞬間に立ち会えたことを誇りに思います。一昔前までは、SFの産物でしかなかった空中艦隊が、今、現実のものとなり、我々の前に姿を現しました。旗艦アヴァロンを中心に、9隻で編成されるIS委員会直属空中艦隊。その観艦式が今、開かれました。」
 式典には、IS学園から千冬と真耶が招待されている。
 が、千冬は不機嫌の泥沼に沈んだ心情を決して周囲に悟られまいと必死に努力している。
『無駄な物を、作らせる…。水上艦隊の編成を決定し、艦の建造を行うくらいならこんな物に無駄金をつぎ込むな。馬鹿共が!!』
 科学の進歩という点で言えば、大きな一歩だろう。
 空中艦隊の創設の過程で生み出された多くの技術は、人類に多大な恩恵を与える。
 兵器の設計をしながらも、一夏はそうなるように開発を進めてきた。
 だが、艦隊自体は無駄以外の何物でもない。
 強大な面制圧力が欲しいのなら、ISの技術を流用した砲艦でも作ればいい。
 既存の技術で、充分建造が可能である。
 目の前で喝采を浴びている艦に比べれば、遥かにコストは安い。
 まして、空中艦隊を創設したのに、今度は水上艦隊。
 しかも、戦艦と原子力空母を凌ぐ大型空母を中心とする艦隊である。
 その編成を最初に決定する事に、何の不都合があるというのだろうか。
 だが、一夏や千冬程委員会の委員たちは、頑強な精神構造をしてはいない。
 保険を掛けたくなる。
 それが、空中艦隊であり水上艦隊である。
『どうせすぐ使わなくなる。その時に、精々、後悔しろ。』
 心の中で吐き捨てながら、観艦式から訓練航海に出発する艦隊を見送る。

「閣下。各艦隊の現状です。」
「うん。」
 どれどれ。
 問題無しか。
 航行は大丈夫だな。
 クルーも、訓練の成果が出てる。
 途中で、実弾を使用した訓練がある。
 その時にどうなるか。
 そこまで行って、この艦隊がどこまで使えるかが解る。
 個人的には、この艦隊の編成には大反対だった。
 だから、既存の水上艦艇での艦隊編成の有効性を盛り込んだ上申書も出したが、結局は決まった。
 世の中、うまくはいかないよなあ…。
 おまけに、アメリカはアイオワ級を徹底的に近代化改修して、再度就役。
 日本に歩調を合わせる事を強く求め、数度の会談で了承を取り付けて、海自の各護衛艦隊に大型護衛艦つくば型が配備された。
 これで終わるかと思いきや、今度は水上艦隊の編成を求められた。
 結局、各国が連携して強く働きかけて決定。
 建造が始まり、既に進水。
 艦橋や兵装の設置作業が、半分以上進んでいる。
 今回は、何の設計もしていなかったが、結局することになった。
 おまけに、空母に無茶な要求突きつけてくれるしなあ…。
 あんなデカい空母の設計するとは、思わなかったよ。俺は。
 心の中でいろんなことに愚痴りながら、目を通してサインする。
「航海長。航路に間違いはないな?」
「はっ。予定の航路を航行しております。」
「うん。参謀長。実戦訓練の用意は?」
「既に。」
 各国の全面的な協力を得て、優秀な人材を集める事が出来た。
 中には、引退してゆっくり暮らす予定だったのに、お願いして現役復帰してもらった人も少なからずいる。
 嫌がるかと思ったら、喜んで了承してくれた。
 あれかね?
 やっぱり、空中艦隊は男の冒険心とかロマンをくすぐるのかね?
 まあ。いい。
 そこまで、踏み込む事もないだろう。
 政治的思惑の可能性も、充分にあるしな。
 今は、優秀な人材が集まった事を喜んでおくか。
「これより、実戦訓練に入る。全艦模擬弾頭装填。エネルギー兵器はリミッターを設定。」
 さて、いよいよ実戦を想定した演習だ。

 空中艦隊の訓練航海と実戦を想定した訓練を終えて帰還した翌日、一夏は、ラウラを護衛として特別調査局に向かっていた。
 公用車には、ドイツから派遣された護衛が乗る車がついており、中で兵士がいつでも公用車を護衛できるように備えている。

「こうして、顔を合わせるのは久しぶりだな。ハックマン大佐。」
「お久しぶりです。閣下。」
 目の前には、大佐の階級を着けたがっちりした体格の軍人がいた。
 ジーン・ハックマン大佐。
 IS委員会が密かに建造した核融合炉搭載型潜水艦、クラーケン級。
 その艦長が、ハックマンである。
 隠密裏に世界中で情報を収集する際に、移動していることすら悟られないようにするにはどうすればいいかを議論した結果。
 各国が探知できない深度での航行を可能にする潜水艦が、望ましいという結論が出た。
 その際、他国の原子力潜水艦の性能を大きく引き離すために、一夏に核融合炉の開発が可能かを打診。
 可能という結論を得て、一夏が設計。
 密かに設計した、潜水艦である。
 浮上時排水量19000t、水中排水量39000t、全長205m、水線幅25.7m、吃水13mと排水量こそ、ロシアが保有する世界最大の原子力潜水艦タイフーン級に劣るものの、大きさでは上回っており、速力等の性能では、大きく引き離している。
 一夏としては、小型で隠密性の高い艦が良いと考えたが、亡国企業が潜水艦で各地に攻撃を加える可能性を考慮した際に、これを未然に阻止できるだけの重武装艦であることを求められ、これだけの排水量となった。
 今回は、これからの任務を伝えることを兼ねてクルーに陸地で羽を伸ばさせてやろうという一夏の気遣いもあるが、情報収集で何か有益な情報がないかどうかを直接聞きたかったと言うのもあった。

「謎の熱反応ですか…。」
 ハックマンは、一夏からの用件を聞いて考え始めた。
「思い過ごしであれば、勿論それに越したことはない。ただ、精査した結果、どうもきな臭くてね。これが精査した結果だ。」
「ふむ。確かに閣下が疑念を持たれるのも解りますな。どちらとも言えるし、どちらとも言えませんが、何かが起こった事を考えさせるに十分な結果です。関係するか解りませんが、こちらも奇妙なデータを入手しました。通信で伝えようと思いましたが、帰還命令もありましたので直接お知らせしようと思いまして持ってまいりました。こちらになります。」
 渡されたメモリーカードの中に入っていたのは、欧州に発生した非常に微弱ながらも明らかに地中の振動を示すデータだった。
「地震と見えなくもないが、それにしては奇妙だな。艦の解析プログラムも示唆しているし、比較データと突き合わせた結果にも、どことなく違和感はある。震源に依ってもデータは変わるとはいえ、気になるな。」
 地中の構造物を破壊する爆弾であるバンカーバスター等で、地下の爆発や地震に関しても、知識を持つ一夏はハックマンが持ってきたデータを見て何かを感じた。
 そこで一夏は、端末にデータを入れて高度解析用プログラムを立ち上げる。
 そして、少しして結果が出る。
「爆破の可能性ありか…。ひょっとしたらこのデータ、亡国企業の重要な手掛かりになるかもしれないな…。」
 正確な位置は示されていないが、一夏は結論を出した。
「大佐。委員会から少将への昇進の辞令を、預かっている。新造潜水艦を指揮して今後も情報収集に当たってくれ。3隻の艦を麾下に加える。後で、艦長達と会って訓練スケジュールや今後の行動について話し合ってくれ。」
「ドッグで目にしてもしやと思いましたが、やはりそうでしたか。それにしても、よく3隻もの建造を外部に気取られぬようにできましたな。」
「色々と鍛えられてね。こういった事は得意になったよ。とはいえ、今後はあんなものを建造するのは御免こうむりたいね。」
 一夏は、核廃絶団体の創設者でも一員でもないが可能な限り核動力や核を用いた発電施設は作るべきではないと考えていた。
 空中艦隊の艦の設計には辟易していたが、それを通じて核に代わる発電方式の構想はほぼ出来上がっている。
 任務の性格と、多数の艦の建造、前々から艦の設計を進めていたので、新造潜水艦も核融合炉を搭載しているが、これからはそうでない方式の潜水艦を進めるべきだと考えている。
 事実、海自のせいりゅう型でそれは実証されている。
 後は、燃料電池の改良を進めていけばいい。
 そして、それはガソリンを必要としない車両の開発に弾みをつける。
 石油という必要欠くべからざるエネルギー源をほとんどもたない日本にとっては充分にメリットになる。
 主な発電方式として広めることは、可能だと考えている。

「さて、今後の情報収集だがやはり欧州だろう。各地に金融が発達した都市があるこの地域は奴らが本拠地にするには絶好の場所だ。」
 皆と昼食を共にした後、俺はグリントらと今後の方針を議論していた。
「各国の金融犯罪調査機関に諜報機関との連携を密にしながら調査を進めていますが、シロばかりです。クロばかりよりかはよいのですが…。」
 別の言い方をすれば、手掛かりが相変わらず掴めていないという事だからな…。

後書き
いよいよ、空中艦隊の本格稼働です。
量産艦の機関は、アヴァロンと同じものにしようか別の物にしようか考えて、別の方がおもしろそうだと考えた結果、いきなり頭に浮かんだのが波動エンジンとモノポールエンジンでした。
ヤマトは、テレビシリーズも劇場版も全部見てますし、未完のOVAであるYAMATO2520も発売された分は見ていましたのでその影響でしょう。
幸い波動エンジンもモノポールエンジンもキーワードになるネタは見つかりましたので、そこから始動シークエンスも思いつきました。
さすがに、波動砲はありませんが(笑)。
さて、亡国企業の調査は思った様に進みません。
そんな中、隠密捜査をしていた核融合炉搭載型潜水艦が帰投。
その艦が、何か情報を得たようです。
にしても、最近の様々なメカが趣味に走りまくりなのは気のせいでしょうか(笑)?










IS < インフィニット・ストラトス > コンプリート Blu-ray BOX
メディアファクトリー
2013-10-02

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by IS < インフィニット・ストラトス > コンプリート Blu-ray BOX の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



1/700 メカニックヤマト (宇宙戦艦ヤマト)
バンダイ
2005-02-27

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 1/700 メカニックヤマト (宇宙戦艦ヤマト) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



ヤマト2520 (宇宙戦艦ヤマト)
バンダイ
1995-08-01

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ヤマト2520 (宇宙戦艦ヤマト) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



宇宙はどうして始まったのか (光文社新書)
光文社
2015-02-17
松原隆彦

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 宇宙はどうして始まったのか (光文社新書) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル






相互リンクはいつでも大歓迎です。
リンクをしてくださる方は、コメント欄にお書き下さい。
リンクの設定をした後に、お知らせします。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

ブログ村のランキングに参加しております。
来てくださった方は、よろしければクリックをお願いいたします。
励みになりますので。

後篇へ続く。

目次2へ戻る。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
ブログランキング・にほんブログ村へ
IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第146話 見えないカードゲーム<前篇> cogito,ergo sum/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる