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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第145話 灰色の真実

<<   作成日時 : 2015/04/04 23:44   >>

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「αからδ各小隊、予定通りにスケジュールを消化。このまま進みます。」
「ヘッドクォータ了解。奇襲成功だけど気を付けて。向こうも馬鹿じゃないわ。」
「了解しました。」
 エムと共にディースを率いるスコールは、1個中隊計160人の特殊部隊からの報告を受けて、警戒しつつ進撃する様に指示を出す。
「アメリカ陸軍が開発を中止したやつだが、なかなかどうして使えるな。こちらの技術あればこそだが。」
 今回特殊部隊が装備しているのは、XM29という名のアサルトライフルである。
 M16やM4の後継となる次世代歩兵用個人火器という呼称で開発が進められていたが、あちこちに不具合が出て重量もとても携帯火器として使える重量ではなくなり、開発は中止された。
 データを手に入れたスコールは直属の技術部に命じて、再設計を命じた。
 技術陣は各部を再設計し、強度に優れた新型軽量ポリマー素材を各所に使用。
 アメリカ陸軍が目標としていた5.5kgを大きく下回る3.6kgにまで重量を軽減させ、レーザー測距儀、夜間射撃装置等を含めた射撃ユニットを改良。実用化にこぎつけた。
 さらに、グレネードを、20mmから40mmに。
 アサルトライフルを、5.56mmNATO弾を、6.8mmSPCに使用弾を変更し攻撃力を強化。
 それでも、重量を4kg以下に押さえこんだのは、技術陣の努力の証であった。
 これを手に、スコールが投入した特殊部隊は目標まで確実に進んでいく。
 細部のデータは、既に入手していたとはいえ初期段階から順調に事が進んでいたのは、特殊部隊の練度とスコール達の実力の高さの表れである。
 そもそも、一夏達IS学園の戦力が常識を嘲笑う程に強力な為、弱く見えていたが、スコール達は決して弱くはないのである。

「どうする?連中、ゴーレムを出す可能性がある。先に対処するか?事実上、ファクトリーを潰すことになるが?」
「かなり手垢が付いたわ。これ以上使うと、尻尾をかなり掴まれる。いい機会だから使うのをやめましょう。」
 スコールは、以前からゴーレムの調査が進むことにより、亡国企業の中枢について一夏がかなりの部分を把握する事に危惧を懐いていた。
 各国から、優秀な人材があつまりあちこちから、既に調査の手が伸びている。
 ゴーレムは、出すたびに帰還率ゼロ。
 調査する過程で、かなりの情報を得ている可能性は十分にある。
 最悪の事態になる前に、全て消す必要を考えていたのである。
「了解した。やれ。」
「はっ。」
 ハッキング等に長けた部隊が、ゴーレムのファクトリーのシステムにハッキングを仕掛けて製造ラインにウィルスを投入。
 ラインの作業ロボットが、製造途中のゴーレムだけでなく、完成したゴーレムも破壊し始める。
 さらに、ゴーレムの起動コマンドを入力するシステムも無力化する。
「ε中隊突入。ファクトリーを完全破壊。ζ小隊支援。」
 高い戦闘技術を身に着けた戦闘工兵であるε中隊が、支援小隊と共にファクトリーを完全破壊する為に突入する。

「何が起こっている?」
 今後の方針を話し合っていた幹部達の1人が、眉を潜める。
「クーデターです!」
 護衛の1人が、MP7A1を手にしたまま状況を報告する。
「クーデターだと?首謀者は誰だ?」
 さすがに、幹部だけあって神経は太い。
 落ち着いて、状況を把握しようとする。
「スコール・ミューゼル麾下の部隊です。不意を突かれ、こちらはかなり攻め込まれています。」
「あの女か…。」
 最近の亡国企業の方針に反対していたことを感づいていたのか、妙に納得したような表情になる。

「戦力は?」
 他の幹部が、スコールが投入してきた戦力を訊ねる。
「特殊部隊5個小隊。さらに戦闘工兵1個中隊です。さらに、ディースを確認。」
「ゴーレムは?」
「ハッキングを掛けられ、ウィルスをばら撒かれた結果、ファクトリーの作業ロボットが破壊。起動コマンドを入力するシステムも、完全に破壊され発進不能。機動兵器は全滅です。」
 ディースに対抗できる唯一のカードであるゴーレムが使えない事を知り、さすがに幹部達も浮き足立つ。
「対歩兵用機動兵器を投入。特殊部隊を全滅させろ。それから、ここへの道の全隔壁を閉鎖。時間を稼ぐ。脱出の用意を。」
「はっ!」

「あの女狐。やってくれたものだ。」
「いまさら言っても、始まらん。ここを出てその後だ。奴らは、こちらの拠点すべてを知っているわけではない。」
 憤慨する幹部の1人を、他の幹部が落ち着かせる。
「いずれにせよ。体勢を立て直す。全てはそれからだ。設計データはこちらにある以上、戦力の立て直しは可能だ。EOSを再設計した機動兵器の性能を試す良い機会とも言える。」
「だといいがな。EOSは所詮、自分たちの地位を保つ為に開発した只のガラクタ。いかに改良しようと、さして役に立つとは思えんが…。」
 いずれにせよ。時間を稼いで脱出しなければ身の破滅。
 運を天に任せる以外にない。
 それを、幹部達は知っていた。
 それを知ったうえで、冷静さを保っていた。
 そうでなければ、亡国企業の幹部の座にいることは不可能だった。

「爆薬設置完了。」
「よし。起爆しろ。」
「はっ。起爆。」
 設置されたHNIW(ヘキサニトロヘキサアザイソウルチタン:HexaNItrohexaazaisoWurtzitane)爆弾が起爆して、ゴーレムの製造ファクトリー完全に破壊する。
 非常に強力な爆薬なので、最悪自分達まで吹き飛ぶことになりかねないがそうならないように厳密に爆薬の量や設置位置を短い時間で計算できる精鋭をスコールは投入していた。

「私よ。ゴーレムの製造ファクトリーは、吹き飛ばしたわ。そっちは?」
「順調だ。今のところはな。そろそろ、連中の玩具が出てくるころだろう。そちらを始末して、私は正面突破。」
「じゃあ、私は計画通りね。第二陣を出す準備をしておくわ。」
「任せた。」
 エムとの通信を終えたスコールは、本拠地のマップを表示して現在の部隊展開状況を確認する。

「エム様。前方に金属及び熱反応。何かの機動兵器の様です。」
「ふん。連中の玩具か。焼夷弾を使用。着ている服を燃やしてやれ。」
「はっ!」
 信号拳銃にナパーム弾を装填して、撃つ。
 すると、何かに燃え移り激しく燃焼した後、機動兵器が姿を現す。
 それは、嘗て一夏がアメリカで見た物に大幅な改良を施したタイプだった。

「散開!」
 機動兵器に装備されているM61 20mmバルカンから大量の弾丸が発射される。
 全員が防弾装備を使用しているが、20mm弾の前では薄紙も同然である。
 故に、退避させた。
 エムは、ディースの絶対防御に守られているので問題はない。
「多少は、マシになったようだな。だが、所詮は…。」
 両腕に持っているライフルから重レーザーが発射されて、バルカンを破壊する。
 すると、両肩に装備されているミサイルポッドから、ミサイルがエムめがけて発射される。
「武装はそれなりか…。」
 両腕に装備されているシールドに内蔵されている重機関砲で、ミサイルを全て迎撃する。
「だが、こういった場所でも機動力を発揮できんとただのガラクタだな。」
 重レーザー砲を撃ちこんで、破壊する。
 残骸からは、被弾箇所が炭化したパイロットが見えた。
「笑わせる。ゴーレムの代わりかしらんが、この程度で織斑一夏に対抗するつもりだったのか?奴にとってはこんな物は玩具にも値しない。資源の無駄遣い以外の何物でもないな。」
 残骸を見て嘲笑したエムは、隔壁を兵装で破壊して先に進む。

「何を考えているのかしらね。学園内部に送り込めれば、使いようがあるとでも思ったのかしら。それともテロでも起こす気?それなりに使えても、販売ルートを抑えられてお終いね。」
 送られた映像を見ながら嘲笑したスコールは、そこで何かが引っかかった。
『この程度が解らないのは、可笑しいわね…。性能不足を感じたからこそゴーレムの性能向上を図ってきたというのに…。それとも、単なる対人兵器として配備していただけ?』
 あまりにお粗末な性能を見て、今までゴーレムの性能強化をしてきた意味がないと考えたスコールは、作戦を進めながら幹部達が何を考えているかを考え始めた。
『本当に、只の前座かもしれないわね…。本命は後の様ね。』
 スコールは今後の事を考えて、スケジュールを繰り上げる決断をした。

『了解した。あまり時間がかかると後が面倒だ。織斑一夏なら、監視衛星を幾つも打ち上げている可能性がある。あれも数が多いわけではないからな。』
『解っているわ。とっくに退避の手配は済んでいる。あれなら、衛星では負えないもの。』
 エムはスコールと通信をすると、さらに先に進む。

『あれから、特に何も感知できてはいないのか?』
 会議の休憩時間に、一夏は特別調査局に連絡を入れていた。
『はっ。特には。』
 報告を聞いて、一夏は考え始める。
 衛星のデータを精査して見たが、自然物では明らかに無い。
 明らかに人工物。
 しかも、何かの機械。
 ただ、あまりに微弱で正確な観測データとは言えなかった。
 それでも、何かあった事は事実と結論を出していた。
『マークしていた地域。やはり何かあったと見るべきか…。』
 一夏は、今後どんな些細な物でもいいからデータを入手すべきだと決断した。
『特別調査局の監視衛星を、可能な限り回してデータを入手。後に精査に入る。私は、こちらが済んだら大急ぎで帰国する。』
『了解しました。』
 一夏は通信を終えると、再び考え始めた。
『テロなら、とっくに一報が入っている筈。隠蔽しようとすれば、どの国でも政権へのダメージが無視しがたい。だとすると何だ…。』
 一夏は、ある結論に達した。
『もしそうなら、海老で鯛を釣れるかな…。尤も海老を手に入れられなければ、只の皮算用だけどな…。さて、後半戦か。』
 一夏は、最後のクッキーを食べると会議に赴いた。

「脱出の準備は間に合うのだろうな?」
「勿論です。奴らの突破力は想定以上ですが、それでもこちらの防御を破る頃には、退避は完了します。ここは、爆破する事になりますが、その際も細心の注意を払います。奴らが尻尾を掴むことはありますまい。次の拠点の準備は既に…。」
「そうありたいものだな。そうでなければ、お前もただでは済まん。」
「心得ております。」
 護衛を指揮する隊長は、恭しく一礼する。
 事実、幹部達が集まっている部屋にたどり着くまでは、幾重もの防御線を突破し、特殊鋼製の分厚い隔壁を破らなければならない。
 例え、ディースであっても、突破するにはそれなりの労力が必要になる。
 それは紛れもない事実だったからである。

 その頃、エムが率いる特殊部隊と幹部達を守る護衛部隊の間で、激しい戦闘が繰り広げられていた。
 さすがに、亡国企業の幹部を守るための部隊だけあって練度は高い。
 武器弾薬類の備蓄も、多い。
 FN SCAR−LにEOTech553ホロサイトを搭載して、正確に射撃をする護衛部隊にエムが率いる部隊も手こずっていた。
「向こうも必死か。多少、手荒くなっても構わん。先を考慮しつつ使える物は使え。」
「はっ!」
 XM29のグレネードが、一斉に発射される。
 全ての兵に装備されているので、その威力は想像以上でそこに分隊支援火器としてミニミが斉射され、護衛側がなぎ倒される。
「またか…。真正面だ。やれ。」
 対戦車弾頭を搭載した、SMAW ロケットランチャーが発射される。
 あくまで対人兵器として考慮されているので、戦車の分厚い装甲を貫く事を目的に開発された対戦車弾頭では一堪りもない。
 そして、隔壁をエムが吹き飛ばす。
「うっとうしい…。一応、こちらにもスケジュールがあるのでな…。」
 エムが両腕のシールドに搭載されている重機関砲からHEIAP弾を斉射して、護衛側の兵士たちをなぎ倒す。
「お前たちは援護を。掃除は私が主に行う。」
 そして、隔壁を吹き飛ばし、兵を薙ぎ払いながらエムは目的とする幹部達の部屋を目指す。

「思ったより早いわね。まあ、数が多いし時間も押しているし当たり前といえば当たり前かしら…。」
 現在の状況を見ながら、スコールはエムが力押しに出た事に納得していた。
 僅かでも、情報を一夏が入手していないとは限らない。
 入念に準備をしていたとはいえ、一夏も情報収集技術を進歩させている事は容易に予想できる。
 無論、本拠地を割り出させない様に出撃を隠蔽する技術には多額の資金と労力を費やしているので、今の所は気づかれずに攻撃を仕掛けられる。
 ファクトリーも、数年がかりで計画を練って建造された。
 そう簡単には見つからないだろう。
 だが、一夏の捜索の手が間近に伸びている以上、いつまでも安心とは言えない。
 まして、ジェームズ・グレイが好き勝手にやった結果、実行部隊のメンバーは次々と捕縛されている。
 さすがに、スコールやエムクラスでなければ、詳しい情報は知らないが断片的な情報から一夏が推理しないとは言えない。
 ISに関わり始め、その天賦の才が知られるようになり国際社会でも注目され、政治や国際社会とも関わる様になってから一夏の隠れた才能は開花し、凄まじいスピードで成長している。
 ISや個人での戦闘力を差し引いても、一夏は恐ろしい敵となっている。
 それに対する認識が甘い結果、今のスコール達の危機的状況が生まれている。
『これ以上は、好きにさせないわよ。』
「ここでいいわね。初めてちょうだい。」
 スコールの指示に従って、戦闘工兵達が何かの機材を目の前の壁に取り付けスイッチを入れる。

「地震か?」
 飲んでいた最上級のブルーマウンテンの珈琲の表面に僅かに波が立ったのを見て、幹部の1人は何かあったのかと考える。
「外は大立ち回りだ。揺れの一つくらいはあるだろう。」
 気にする必要はないと言いたげに、他の幹部は珈琲を口にする。
「いや。自信かどうかは解らんが、外から振動が来ている…。」
 ティーカップを見ると明らかに波は外側から来ているのが、確認できた。
「まさか…。」

「そのまさかよ。お久しぶり。幹部の皆々様。あら、ブルーマウンテン。しかもこの香りは最上級品ですわね。こんな時に余裕ですこと。」
 幹部達の前には、ディースを率いたスコールがいた。

「貴様…。」
「どうしてと言いたいのでしょう?答える義務はないけど、知らないのも不憫だから教えてあげるわ。衝撃砲を使ったの。外に衝撃が行かない様にしながらね。」
 スコールは戦闘工兵達に、衝撃砲の発生装置を使用させて幹部達の部屋に至るまでの隔壁を全て破壊した。
 その際、外部に振動が可能な限り漏れないようにする為に、相殺用の衝撃砲を使用。
 僅かでも振動が外に漏れないように、細心の注意を払っていた。

「ほう。早かったな。予定を大幅に繰り上げたか。」
 少しして、エムも到着する。そして、スコールが率いてきたディース逃げ道を塞ぐ。
「さて、終わりにしましょうか。幹部の皆々様方。いえ。ジェームズ・グレイの皆々様方。」

 スコールは以前からの技術部の独断専行に頭を痛めながら、不思議に思っていた。
 何故、幹部達はこうも自由にやらせるのだろうか?と。
 スコールは実働部隊の人間だが、それでも幹部に準ずる地位にある。
 逮捕されて、情報を引き出されれば最終的に幹部達も逮捕され、亡国企業という組織自体が終焉を迎える。
 にも拘らず、まるで実働部隊の損害を無視するかのような作戦を承認し、その度に亡国企業の部隊は全滅。
 実働部隊の残りは、極僅かになっている。
 実働部隊を粛清し全てを技術部に任せるとう仮説を立てたが、解答とは思えなかった。
 そして、密かに情報を収集し分析した結果。
 ある解答を得た。
 今までのどんな仮説よりも、納得のいく仮説だった。

「ジェームズ・グレイなんて、始めからいない。そうでしょ?」

 その仮説が頭に浮かんでから、極秘裏に経歴を徹底的に調査した。
 確かに、記録は残っている。
 出生届、教育機関の卒業者名簿。
 博士号授与に関する、記録。
 全てが完璧だった。
 だが、一つだけ完璧でないものがあった。

「関係者。つまりジェームズ・グレイを知る人間が1人もいなかった。性格に関しての情報はあるのに、それを知る人間はいなかった。となれば、答えは簡単。情報によってつくられた人間。それがジェームズ・グレイ。技術部にいるのは、単なる人形。ジェームズ・グレイだと思いこんでいるね。遺伝子操作技術、クローン技術、そして、MKウルトラによる洗脳技術とそれを応用した学習技術。人の形をした、作られた技術開発用コンピューターと言うべきかしら。それが、ジェームズ・グレイ。」
 スコールの言う事に、幹部達は反論できなかった。
「技術部さえあれば、計画は進められる。大方、必要な手駒とあなたたちの個人情報も嘘だらけ。だからこそ、今まで好き放題にデータ収集ができた。真実にたどり着くまで長い時間がかかる。けれど、見方を変えてご覧なさい。あなたたちが作り上げた運営システムさえあれば、組織は存続する。つまり、あなたたちは用済みよ。」

「そう。うまくいくかね?まだ、カードはあるぞ。隣に来るといい。尤も、来なければ我々はここを悠々と去るだけだがね。」
 そう言って、隣の部屋に幹部と共に行くと地下へのエレベーターが作動する。
『完全には、情報を入手できていなかったのね。こんな部屋があるなんて…。』

「さあ。着いたぞ。役者は、待ちわびているよ。」
 そこは、機動兵器の実戦テスト用のフロアで周囲は分厚い特殊鋼で覆われ防御フィールドが展開されている。
『遂に出してきたわね。』
 全身装甲の機動兵器。
 しかし、今まで相手にしてきた物とは重厚感も兵装も違う。
 肩部のミサイルランチャーは、間違いなくISやゴーレムといった防御力の高い機動兵器を相手にする事を想定されている。
 背部には、重レーザー砲2基。
 両腕部には高初速レールキャノンらしき兵装に、シールド。
 脚部にも、ミサイルランチャーが搭載されている。
 そして、シールドには重機関砲とプラズマブレードが搭載されていた。
 スラスターもかなり推力が高く、高機動戦闘を想定していることが理解できる。

「EOSというのは、実に興味深い。あのままだとガラクタだが、我らが手を加えれば、この通り、性別に関わりなく操縦できる重武装、重装甲の機動兵器となる。1機では、ISには対抗できんが数で圧倒できるぞ。今回は12機。1個中隊分を揃えた。勝てるかね?」
 12機の機動兵器は、スコールとエムを6機ずつで包囲する。
「では、始めよう。始末したまえ。」
 至近距離から、ミサイルとレーザーが発射される。
 袋の鼠になり、ISを即座に展開したとしても間に合わない。
 エムが登場している機動兵器が気にはなったが、既に手持ちのISはトパージオン以外にはない。
 詳細は解らないが、怖れる必要はない。
 そう考えていた。

「簡単に始末されると思ったのか?馬鹿共が…。所詮は二流の脚本しか書けん間抜け共か…。」
「舐められたものね…。」
 呆れ、嘲笑する2人の声が聞こえた。
 スコールは、既にISを展開し、パッケージらしきものを追加している。
 エムは、専用のディースの背部に搭載されている防御兵装でまったくの無傷だった。

「では、始末しましょうか。エム。」
「ああ。」
 スコールは今回装備したオートクチュールの兵装モジュールから多連装レーザーマシンガンと大出力重レーザー砲で、周囲の機動兵器。
 HGW(重装汎用高機動兵装:Heavy General purpose high mobility Weapons)を文字通り吹き飛ばし、エムはビットの重レーザーを発射してダメージを与えて、プラズマカッターで機体を貫通。
 わずかな間に、全機が撃破された。
「次は、あなたたちの番よ。もう、あなたたちの時代は終わったわ。消えなさい。」
 エムは、迷わず幹部達を消し飛ばした。

「ふん。「プロジェクト・グレイ」か。そんな物に振り回された我々は、とんだピエロだな。清々した。」
「これで、冷静に事を進められるわ、それでよしとしましょう。ここを破棄して、撤収するわよ。」

「いやいや。中々、面白い劇だった。連中も、そろそろ捨て時だと思っていたからね。」
 アナウンスがフロアに響くと、1人の老紳士。
 嘗て、一夏と千冬がジェームズ・グレイだったと思った人間が歩いてきた。
「まさか。プロジェクト・グレイを、ここまで見破るとは思わなかった。詰めが少々甘かったがね。まあ、君たちが優秀だと解ったのでそれでよしとしよう。ゴーレムを作っているのは、君たちに従順であるようにしておこう。私にとっては、どうという事ではないのでね。これからは、君たちが幹部となって事を進めたまえ。どうすればいいかは、解っているだろう?織斑一夏がかなりこちらに迫っている。注意してくれたまえ。君たちがここを後にしたのを確認して、放棄する。連絡方法や本拠は後に知らせるよ。アジトも用意してある。連絡後にいくといい。」
 そう言って、老紳士はフロアを後にする。

「どうする?」
「とりあえず。ここを離れるわよ。全てはそれからね。」
 エムはスコールの意見に賛成し、部隊と共に離れた。
 そして、本拠地だった場所にあった物は全て地中に葬り去られた。

「向こうが1枚上手。今回の事は、私達が踊らされた結果だわ。粛清をするつもりがさせられていた。仕方がないわ。しばらくは言うとおりにするしかなさそうね。」
「愉快な気分ではないがな。我々を幹部にするという言葉に嘘が無ければ、これからはやりやすいだろう。」
 ケートスで水中を航行しながら、スコールとエムは今後の方針を決定していた。

 その頃、一夏はスイスでの会議を終えて帰国の途についていた。

 疲れた、疲れた…。
 それでも、思ったより早く終わったな。
 もう少しかかると、思ったんだけどな。
 後は、装備品を揃えるか。
 艦船は例の設備をフル稼働させれば、大丈夫だろう。
 起工から進水まで、文字通りあっという間だからな。
 特殊な装備は何一つないし、装備は同種類をやりくりできるようにしてある。
 艦の建造に関しては、アメリカは自国で使う艦の建造で手一杯だから、こればかりは日本でやるしかない。
 信じられない話だが、竣工までごく普通の水上艦なら1週間と少しあれば問題ない。
 後は、届けて終わりだ。
 それは、訓練航海を兼ねて向こうからクルーが来て行う事になっている。
 そして、例の情報か…。
 亡国企業関係の気がする…。
 何しろ、最近の世界の面倒事はあそこがほぼ全部絡んでいるしな。
 それから、そろそろあれも公開する事になるな。
 それに、IS委員会の水上艦隊の建造も始めなきゃならないし、これに空中艦隊の観艦式に訓練航海だ。
 今の内に寝ておこう。
 俺は、専用機の寝室に移ってベッドに入って睡眠をとり始めた。

 亡国企業の、密かなダンスパーティー。
 スイスでの、会議というダンスパーティー。
 この内、密かなダンスパーティーが、どのような影響を及ぼすか。
 一夏も、理解していなかった。

後書き
仏の顔も三度まで。
堪忍袋の緒が切れる。
我慢の限界を超えて、とうとうスコール達が行動を開始。
どうみても破滅しか待っていない行動を指示する上層部に不信感を持ち、極秘裏に調査を進めた結果突き止めた真実。

「ジェームズ・グレイはいない。」

個人が存在する証明は、存在している事です。
ですが、存在する事を作り出す事はできます。
例えば、役所のコンピューターに本当はいない市民のデータをねつ造する事で、いない筈の人間がいるように見せかける事が出来ます。
ペーパーメディアにしても、捏造したデータが記されている物とすりかえればいないはずの人間がいるように見せかける事が出来ます。
それに基づき、いないはずのキャラクターを作った幹部を粛清。
亡国企業が滅びへと転げ落ちることと、自分達が愚行に巻き込まれる事を防いだつもりが、物の見事に裏を掛かれていました。
ねつ造していたのは、幹部達でなく、幹部達を操っていた人物。
不要になった幹部達の粛清を行わせる為に、スコール達は物の見事に利用されたことになります。
それでも、スコール達が幹部になったのである意味利益も得ました。
これからは、彼女たちが作戦を進めていきます。
とは言え、一夏の捜索の手が近くまで迫りつつある状況に変わりは無し。
それに対しては、どう対抗するのでしょうか?









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グレイがやりたい放題の状況で幹部たちは黙認(?)の流れ。『もしかしてグレイは存在するのか?』と考えていた時期がありましたが、やはり存在はしなかったのですね。でも一夏と千冬がグレイと思った奴はいる。この先どうなるのやら。
ヴァルバジア
2015/04/05 16:49
ヴァルバジアさん。
コメントありがとうございます。

>やはり存在はしなかったのですね。でも一
>夏と千冬がグレイと思った奴はいる。この
>先どうなるのやら。
 スコール達の部下の筈のグレイが、かなり
 やりたい放題やっていましたから、気づく
 人は気づくと思っていました。
 幹部達の席には、スコールが。
 実戦部隊も効率的に運用するでしょうから、
 ゴーレムの大軍より厄介でしょう。
 しかし、今回の幹部の捨て方を見ると結構
 きわどい立場ではありますが。
CIC担当
2015/04/08 21:43

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