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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第147話 若き重鎮の悩み<後篇>

<<   作成日時 : 2015/04/19 02:35   >>

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「しかしながら、これはあくまで東欧諸国の問題。他国がどうこう言う事ではありますまい。かの国々が決める事であって、我らが決める事ではありません。日本は技術的に協力してはいますが、それ以外何もしておりませんし、日本としても東欧の自主的な動きを尊重すると私は解釈しております。委員会において、以前から空白地帯であった東欧の件は議題に上っていましたが、これも事態がどうなるのかは、あくまでかの国々次第。主権を侵すような真似をするつもりは毛頭ございません。これは、委員長にも確認済みです。」
 委員会は、各地に直属のIS部隊を駐屯させているが好き勝手に置いてはいない。
 あくまで駐屯先の意見こそが、尊重される。
 どのような、国際機関であろうと国際法を破る事は決して許されない。
 これは、当たり前のことだからな。
 さて、ロシア側はどう来るかな。

「仰る通り。ですが、外から見た我々の方が、第三者として冷静な見方が出来る事もありましょう。その立場から得た結論を提示するというのも時には必要ではありませんかな?」
 上品なオブラートで包みこんでいるが、脅しに近くないか?
 尤も、只でさえ、嘗ての東欧の共産主義国家がEUやNATOへの加盟、もしくは加盟希望をして承認されるのを、首を長くして待っている現状を見ると自国の方まで西側。
 さらに言えば、西側の盟主たるアメリカの勢力が国境にせまるのは勘弁してほしいんだろう。
 この辺りは、中国も同じだな。
 とは言え、俺としてはバルト海に展開しているロシア海軍の戦力を売り込むのを手伝う気はさらさらない。
「いずれにせよ。全ては東欧が決めること。現在建造中の艦艇で編成される水上艦隊も、バルト海と言うよりは世界各地での展開を考慮しての事。とまあ、口で言うよりかは、実際に見ていただいた方がよいかもしれませんな。私がご案内します。如何ですかな?」
「是非とも。」
 俺は、大使と大佐を伴ってドッグに向かった。

 ドッグでの各艦の説明を終えた後、呆然としたまま大使たちは戻った。
『うまくいったな。』
 一夏の狙いは、編成される艦隊の性能を見せつけて、牽制する事にあった。
 バルト艦隊に配属されるロシアの新造重航空巡洋艦アドミラル・イサコフ級は、全長310m、水線幅42m、飛行甲板幅76m、基準排水量58000t、満載排水量70100t。
 リニアカタパルトを搭載した正規空母で、PAK FAステルス戦闘機の艦載機バージョンに、Mig−35 スーパーファルクラムの艦載機バージョンがそれぞれ16機。計32機。
 ロシアの悲願でもあった、艦載早期警戒機Il−220を4機。
 対潜哨戒ヘリKa−27PL8機に、捜索・救難ヘリとしてKa−27PS8機。
 固定翼機36機。ヘリコプター16機。と固定翼機が主役の艦隊正規空母である。
 アドミラルクズネツォフ級は、予算不足から艦載機が変更され、ヘリが多数を占めたが、アドミラル・イサコフ級は、固定翼機が主力の当初旧ソ連海軍上層部が計画していた空母として竣工した。
 さらに、艦隊防空を担当するステパン・マカロフ級ミサイルフリゲート。
 対潜任務を主とするフォン・エッセン級対潜フリゲート。
 どちらも高性能な艦だが、アドミラル・イサコフ級はFRAMを終えたキティーホーク級には及ばない。
 特に戦闘システムはレーダーシステムの性能から、差が開いている。
 空母を旗艦とする艦隊の運用ノウハウも、アメリカの方が豊富だ。
 そして、IS委員会の水上艦隊にはさらに勝てない。
 旗艦である空母の能力の差は、歴然。
 おまけに戦艦まである。
 そして、護衛艦艇。
 戦艦は大量のVLSを搭載しているし、対空防御も抜かりない。
 何より、装甲材は初期の白式の物を採用しているので、そこらのミサイルで沈めるのは楽ではない。
 空母も同様で、コストを抑えながらISの装甲材に使用された素材を使用して船体の強度を高めながら、重量を抑える事に成功している。
 安全対策も万全を期しているし、防御力も高い。
 これは、護衛艦艇を含めて、IS委員会水上艦隊の戦闘艦艇の基本となっている。
 多くの資金が投じられているのもあるが、多くの兵が乗る船である。
 簡単に、沈ませるわけにはいかない。
 故に一夏は、沈みにくくコストを抑えて、高性能な艦艇を設計する事を重視した。
 今までの軍用艦艇とは、防御力は段違い。
 故に、ロシア海軍の艦艇と一戦交えることになっても、結果は目に見えている。

 さて、これで下手に動く事はないだろう。
 とはいえ、安心はできない。
 東欧の組織がきちっとするまでは、しばらく落ち着けないな。
 ロシアとしては、ワルシャワ条約機構が崩壊したことでロシアを中心とする東欧の安全保障体制が崩れた事で東欧に対する影響力はがた落ち。
 そこに、東欧がロシアを始めから枠組みに入れないで自分達で安全保障体制を築くとなると、NATOとの連携を盛り込まれているので面白くはないだろう。
 今の内に、影響力を確立して自分達も枠組みに入れたがって当然。
 ここから考えると、NATO諸国のIS委員会直属の水上艦隊は、対ロシア対策の意味も兼ねていそうだな。
 決定してから、人海戦術でメガフロートでの本拠地建設は驚くほどスムーズになったしな。
 後は、艦隊の訓練を終えて配備か。
 この辺りは、東欧も同じだ。
 やれやれ、また面倒なことになった。
 1つ救いがあるとすれば、亡国企業が関与している形跡がない事だ。
 けど、逆にそこが妙に気になる。
 今までとは違いすぎるんだよな…。
 沈着冷静な思考力というか、ただ戦力の大量投入をする準備すらも今の所は見受けられない。
 気づいていない可能性を考慮しても、実戦部隊のやり方が変わったと言わざるをえない。
 何があったんだ?

 そっちは後で考えよう。
 どうにも、ロシアの態度が理解できない。
 バルト海艦隊は、対潜艦艇がメインとはいえそれなりの規模がある。
 けど、太平洋艦隊に至っては昔日の面影はほとんどない。
 嘗てはキエフ級ミンスクを旗艦とする機動部隊だったが、ミンスクは退役他の艦はソ連崩壊後、ロシアになった後の慢性的な財政破たんで解体する金も無くて野ざらし状態。
 なのに、海自がステルス機を艦載機とする空母を主力とした機動部隊を編成を開始した事で、ある程度回復した経済力を太平洋艦隊の増強に回して、人海戦術でアドミラル・イサコフ級を始めとする部隊の配備にまでこぎつけたのに、バルト海に配備。
 以前に比べて弱体化しているとはいえ、今のバルト海艦隊なら問題はない筈…。
 東欧への牽制と考えていたが、早計すぎたかもしれないな…。
 第一、日本との関係は悪くない。
 これは、ロシアの国民も日本の国民も共通して持っている認識だ。
 それを考慮すると…。

 可能性ありか…。
 俺は、調査局にある調査を命じた。

 翌日。
 一夏は、学園で休み時間に東欧関係の状況を見ていた。

『東欧は、哨戒艇を兼ねたミサイル艇がかなり竣工してきたな。手堅く作った設計だから信頼性は高いし、使い勝手もいい。東欧向けの艦艇も明日には竣工する。陸軍と空軍は既に訓練がかなり進んでいるな。よしよし。』
 一夏は、東欧に創設される東欧諸国連合部隊。
 EEDF(東欧防衛同盟軍:Eastern Europe Defense alliance Forces)の状況を確認し、進捗状況が良好な事に満足していた。
『例の装置も完成しているし、向こうへの航路の時間はかなり短縮できる。』
 日本からポーランドまでの航路は約2万4千km。
 スエズ運河を通る最短ルートで、巡航速度18ノットで航海を続けても、1カ月はかかる。
 これを出来る限り短縮する為に、船にかかる水の抵抗を大幅に少なくする装置を搭載。
 10日程度にまで、圧縮する事に成功した。
 後は、現地で装置を外して訓練を始める。
 シミュレーションによる訓練をする環境を整えることで、予定を変更していた。

 艦艇の引き渡しは、これでいい。
 後は、整備に慣れてもらう。
 何しろ、機関は世界で初めてのPEM燃料電池とガスタービンを併用した、COHPAG方式(水素分離補充型PEM燃料電池及びガスタービン併用:COmbined Hydrogen separation replenishment type Pem fuel cell And Gas turbine)。
 つまり、PEMとガスタービンを併用。通常航行はPEMを使用。
 高速航行時に、ガスタービンを併用する。
 これで、燃料はかなり抑えられる。
 燃料電池のコストが、まだ東欧諸国には辛い値段だから今回この方式にしてみた。
 この方式のメリットは、燃料が尽きても巡航速度迄の航行なら問題がない所にある。
 漂流のリスクは、かなり下がるってわけだ。
 艦内設備の発電用燃料電池も別系統だから、壊れない限り電気も問題ない。
 燃料費もぐっと安くなる。
 東欧諸国への経済負担も抑制できる。
 後は、燃料電池の価格を抑える研究だな。
 ある程度までの出力ならもう確立していて、これから治験が始まる人工心臓にも用いることができるけど、まだまだ研究する事は多い。

「織斑君。」
「あ。黛先輩。どうしました?新聞部の取材ですか?」
「違うの。姉さんの雑誌の取材、また受けてくれないかな?ほら、前のも凄い売れ行きだったでしょう。そのせいで、またリクエストが来てるんだって。借りた倉庫が埋まる位に。ここらでやっておかないと冗談抜きで危ないから、なんとか引き受けてくれないかな?」
 うわ。そっちか…。
 碌な事ないんだよな。
 何しろ、禍々しい気に魔闘気が漂ってくるし…。
 断ろう。

「すいません。もう、そういうのはちょっと…。こっちも今は忙しくて。最近技術系の取材を受けましたけど、それも仕事の合間の休み時間を使ってなんですよ。しばらくは、休みも情報分析に使いたいので…。」
 これは、本当だ。
 ソ連の方が、どうも引っかかる。
 何か、見落としてるような気がするんだよな。
 それを、見つけないと。

「そこを何とか、お願い。織斑君、写真写りいいし、美人で大人っぽいから、凄く絵になるのよ。カメラマンも気合入るって言ってるし。いつでも仕事が入っていい様に、専用のカメラとかレンズも用意して、丹念に手入れしながらいつでも仕事が入っていい様にしてるの。階級は大将だから、忙しいのは凄くよく解る。噂だけど、IS委員会は元帥へ昇進させて、軍事組織を織斑君の指揮下に置く事も考えてるらしいし。それでなくても、学園でも合間を見ては、仕事に回して、それに加えていつも通りに仕事もしてる。普通なら、倒れてるくらいの多忙ぶりだけど、何とかお願い。中学の同級生からも、頼まれちゃってるの。インタビューだけでもなんとかならないかな?それも含めて、姉さんと一度食事をしながら考えて欲しいのよ。この通り。」
 両手拝みで深々と頭を下げて、黛先輩が頼み込んでくる。
 周囲も、引き受けて欲しいオーラ全開だな…。
 魔闘気があちこちから漂ってくるけど…。
「まあ。会うだけなら…。但し、引き受けるかどうかは別の問題になります。それが絶対条件です。」
「解ったわ。必ず伝える。それと…。ごめんなさい…。凄く忙しくて…。凄く大変なのに…。」
 深々と頭を下げて謝罪してから、黛先輩は教室を出る。
 まあ。薫子さんとは、友人同士みたいな物だし。
 気分転換とでも、思えばいいか…。
 授業始まるな。
 頭の中を、切り替えないと。

 放課後。
 鍛錬を終えた一夏は、1機のISの組み立てを行っていた。
 既に、メインフレームは組み上げられており、各兵装の組み立ても順調に進んでいる。
 いくつもの空中投影型端末を操作しながら、一夏は進捗状況をチェックする。
 委員会の制式ISを更新するにあたって、機密保持の面から最も信頼できるIS学園が選ばれ、一夏が担当している。
 既に多くのISの開発及び改修を担当して、一夏は助手が居なくとも作業に支障はない。
 ある程度進むと、細部を細かくチェックする。
 想定通りであることを確認して、次の作業に移る。

 よし。進みは順調だな。
 第三世代ISで更新するが、委員会としては第四世代で更新したかったらしい。
 けど、第四世代の特徴である展開装甲は、どの国も基礎理論すら確立できていない。
 その中で、委員会に第四世代が多く配備されるとそれはそれで問題になる。
 無論、第四世代も無敵じゃない。
 事実、ラウラ、楯無さん、サファイア先輩に箒は勝てない。
 最後は、パイロットの腕なんだけど、各国のお偉方はハードウェアの性能に目が行きがちだからそれを説明してもあんまり意味がない状況になっている。
 困ったもんだね。本当。
 まあ。基本性能を第四世代クラスにする事は充分に可能だから、今開発しているISの基本スペックはかなり高い。
 各国もその気になれば、展開装甲を開発できなくても基本スペックを第四世代クラスにする事は出来るはずなんだけど、何だかね。
 どうも、開発の基本方針がずれてるというか、歪んでいる気がするね。
 それだけ、第四世代ISの登場が各国に衝撃を与えたという事なんだろうけどな。
 よし。今日はこの辺にしておくか。
 俺はファクトリーの電源を落として、作業を中止する。
 ファクトリーは学園の敷地内にあるので、中に入ってくる馬鹿もいない。
 作業に集中できて助かるよ。
 さて、病院からの呼び出しに備えて部屋で待機しているか。

「隙がないな…。」
 アジトで、各国の状況を調べていたエムは苦虫を噛み潰す様に言った。
「多少はあるわよ。最近、出てきた物だけど。」
 あるデータを、スコールは表示させる。
「今となっては、使えるとは思えんが…。」
「多少でいいのよ。目に見えて大きな成果は、期待していないのよ。あくまで下ごしらえ。あれを使うためのね。本当の目的は別にあるのよ。説明するわ。」
 そう言って、スコールは自分の策を説明し始めた。

後書き
案の定、ロシアは東欧へ勢力を伸ばす事を企図していました。
旧共産圏の国々が、NATOやEUに加盟する事を快く思っていないのは、以前からですからこれがエスカレートすれば何らかの手を打つのは至極当然。
それに対して、一夏は砲艦外交を応用した牽制で一先ず対処。
しかしながら、バルト海方面のロシア艦隊は対潜能力を重視していても、弱いとは言えず。
にも拘らず、増強。
何かを感じた一夏は、調査を開始。
即座に手を打ちます。
起こり得る事態を想定して、それを確認しどうするかを考える。
一夏の重要な仕事です。
本来なら亡国企業関係に専念したくても、世界規模となると他国の動きがどんな影響を及ぼすのか解りませんので気にしないわけにもいきません。
まだ、学生とはいえ既に委員会の直属艦隊と情報収集機関の長という重鎮。
いろいろと悩みも多いのが一夏です。
そんな中、亡国企業も動き出します。
しばらく、悩みから解放される事はないようです。
前篇でもお知らせしましたが、目次が一杯になりましたので、新しい目次が追加でできました。






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