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zoom RSS ガールズ&パンツァー 二次創作 第13話 「第2試合開始です!」

<<   作成日時 : 2015/02/03 23:39   >>

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 準決勝第1試合。大洗女子学園対プラウダ高校の試合の2日後、聖グロリアーナ女学院対黒森峰女学院の試合の日が来た。

「雪原ですけど、私たちの時とは状況が違いますね。」
「うん。私たちの時とは、どっちとも戦術は大分違ってくる。」
 優花里の言葉通り、雪原ではあるが遮蔽物と言えるのは森林のみである。
『こうなると、雪原での経験が物を言うか…。』
 聖グロリアーナも黒森峰も共に、戦車道の名門校。
 去年の準決勝は、第1試合はサンダース付属対プラウダ高校。
 第2試合は聖グロリアーナ女学院対黒森峰女学院。
 これまでも、ほとんどこの4校が準決勝に駒を進めている。
 故に、様々な環境での試合を経験し、雪原での経験も豊富である。
『後は、戦車と指揮官の能力。この試合、どちらが勝ってもおかしくないけど、それ以上にどちらが勝つか解らない。』
 決勝戦への切符を手にした翌日から、どちらが駒を進めても大丈夫なように、本格的に作戦立案を行っているみほだが、その際でもどうしても勝敗が気になったので、どちらが勝つかを予想したが、結論は出なかった。

「奇しくもというべきでしょうか。また、準決勝で手合わせをするとは、思いませんでしたわ。まほさん。」
「そうだな。ダージリン。」
「けれど、結果は逆になる。私は、大事な約束があります。友と認めた人との、大事な約束が。故に負けません。」
 常に優雅さを崩さないダージリンの瞳に、闘志の炎が灯っていた。
「そう。でも、私にも。いえ、私達にも負けられない理由がる。何としても決勝に進み、そして優勝する。皆、そう決意している。」
『みほさんの事ね。』
 まほの言う事を、ダージリンは即座に理解した。

「一同、礼。」
「「よろしくおねがいします!」」

「聖グロリアーナのフラッグ車は、ダージリンさんのチャーチル。トータス重突撃戦車が2両。コメットが、1両増えて8両。それに、センチュリオンとレオポンチームが使っているブラック・プリンスが2両ずつ。重戦車を追加して、防御力と火力を高めてきましたね。」
「うん。」
 センチュリオンは、現在でも改修を重ねつつ運用されている傑作戦車であり、ブラック・プリンスは、大洗女子の主力戦車の1つである。
 この、2つの傑作戦車を、ダージリンは黒森峰との戦いに投入した。
「黒森峰は、みぽりんのお姉さんのティーガーがフラッグ車か。それにエレファント重突撃砲が3両。ヤークトパンターが、2両。ケーニヒス・ティーガーに、パンターのG型が8両。」
 戦車道を始めてから、各国の戦車について勉強していた沙織が、黒森峰の戦車を見る。
「ヤークトパンターで、火力を。パンターで火力、機動力双方を。いかにも、黒森峰らしい、編成ですね。」
 ヤークトパンターは、対戦車車両として高い火力を持つと共に、防御力にも優れている。
 エレファント重突撃砲も機動力に難があるが、やはり高い攻撃力と防御力を持つ。
 堅い守りと、磨きぬいた砲撃の正確さ、機動力で勝利をつかみ取る。
 それが、黒森峰の戦車道である。
 今の編成は、それを具現化した物だった。
 しかし、聖グロリアーナは、緻密な連携と堅い守りが持ち味である。
 駆逐戦車が、その守りを崩せるか?
 機動力を最大限に利用して、連携を崩せるか?
 それが、聖グロリアーナに勝てるかどうかの、重要な要素だった。

「全車、前進。」
「パンツァー・フォー。」
 決勝への切符、残り1枚をかけた試合の火ぶたが、切って落とされた。

 聖グロリアーナは、一糸乱れぬ戦列を組み、車長が厳重に周囲を双眼鏡で調べる。
『みほさんもそうだけど、まほさんが相手でも僅かな綻びを見せたら、一気に突き崩される。それだけは避けなければ…。おそらく…。』
「隊長。左の森に、パンター4両及びケーニヒス・ティーガー、ヤークトパンターを確認。」
「右の森に、パンター4両及びティーガー1両、遅れてヤークトパンター及びエレファントを確認。」
『来た…。』
「気づかぬふりをして、前進を続けて。但し、警戒は怠らないように、各車、いつでも砲撃が可能なように。」
 ダージリンが、指示を出す。
 チャーチルは隊列の中央に位置し、要所をセンチュリオンとブラック・プリンスが固め、トータスが前方に目を光らせる。
『さあ。いらっしゃい。』

「気づいていないわね。全車、全速。ヤークトパンターは、前面に展開する準備を。半包囲に持ち込む。」
 聖グロリアーナ側が気付いていないと考え、別働隊を率いるエリカは半包囲して、有利な状況を作ろうとしていた。

「聖グロリアーナは、気づいていないでしょうか?西住殿。」
 大型スクリーンには、両チームの状態が表示されている。
 半包囲態勢が完成しつつあるのを見て、優花里はみほに尋ねる。
「ダージリンさんは気づいてる。でも、敢えて、気づかないふりをしてるの。」
「罠ですか?」
「うん。駆逐戦車はなるべく早く仕留めたいだろうし、出鼻をくじいておきたいんだと思う。」
 華に答えて、みほはスクリーンに目を戻す。

「敵。さらに前進。半包囲態勢を試みる模様。」
「敵は前面に、ヤークトパンターを展開します。前衛は、これを撃破。左翼部隊は、森の中の部隊に砲撃。右翼は警戒しつつ、本隊が迫ってきたら、砲撃。」
 てきぱきと指示を与えて、ダージリンは紅茶を一口飲む。
 そして、ダージリンの予想通りにヤークトパンターが前面に現れ、88mm砲で聖グロリアーナにダメージを与えようとする。
 その瞬間、前衛のトータスとセンチュリオンが砲撃を開始。
 集中砲火を浴びせられた、黒森峰のヤークトパンターは一気に撃破される。
「気づいていた!?」
 半包囲態勢が崩されたことを知った時、コメットの77mm砲が一斉に発射され、付近に着弾する。
「すぐに森を脱出。その後、合流する。」
「了解。申し訳ありません。」
 エリカ率いる別働隊の残りが、全速で森を離脱していく。
「全車、森の中へ。本隊の攻撃をやり過ごしつつ、敵の側面を狙います。」
「出鼻をくじけましたね。」
 次弾の装填を済ませたオレンジペコが、新しい紅茶を入れる。
「ひとまずはね。でも、肝心なのはこれから。相手が合流した時からが、勝負よ。まほさんがこのままでいる訳がないもの。」

 その後、黒森峰チームは合流し、前面に展開し、警戒しつつ聖グロリアーナチームを待ち構えていた。
「先手を取れたという事でしょうか?隊長。」
「そう考えるのは、まだ早計だ。そんな単純な相手なら、さっきのお前の指示で、こっちが主導権を取れたはず。フラッグ車より各車へ。引き続き警戒は厳重に。」
『どこから来る?ダージリン。』
 隊長であるダージリンを中心に、一糸乱れぬ隊列を組み、堅固な防御と連携が持ち味の聖グロリアーナの従来の戦い方とは、どこかが違う。
 まほは、そんな感じを抱いていた。
『落ち着け。ここで焦れたら、主導権を取られる。』 
 自らに忍耐を課して、まほは今までの経験から、あらゆる可能性を想定しようとした。

「どこなのよ…。」
 エレファント突撃砲の車長の1人が、焦りを顔に出したまま。
 双眼鏡の倍率を最大にして、周囲を警戒する。
 その時、周囲に多くの砲弾が着弾する。
「後方2000より、センチュリオン2両、ブラック・プリンス1両、トータス2両にチャーチル。」
 車内に退避してまほに通信を入れるが、次の瞬間、ブラック・プリンスの17ポンド砲が後面装甲に命中する。
「右側面2400よりブラック・プリンス1両にコメット8両。」
 パンターの車長の1人から通信が入る。
「全車、目の前の敵に攻撃。操縦手はいつでも、動けるように。」
『動きが速い。エンジンを換装してきている…。』

「コメットは、打ち合わせ通り両翼を展開、右側面を包囲。トータス以外は砲撃しつつ、合流します。」
『相手を焦らすくらいはできないと、みほさんと戦う資格はなくってよ。まほさん。』
 みほの作戦の特徴として、相手の判断力を鈍らせて隙を作るというのがある。
 去年の準決勝、ダージリンはそれで隙を突かれ、結果、みほの掌の上で踊らされた。
 故に、同じ轍は踏まないと誓い、自分たちの戦術に、相手を焦らすやり方を加えている。
 まほほどの指揮官となると忍耐も可能だが、他の車長もそうだとは限らない。
 本来ならば、回避なり後退するなりして、隊形が乱れた味方に危険を知らせたうえでまほに通信を入れるべきだった。

「黒森峰が押されている…?」
 桃は、信じられないものを見たという、顔をする。
 自他共に日本最強と認められた黒森峰が、聖グロリアーナに押されている。
 完全に包囲され、なんとか状況を打開しようとしても、聖グロリアーナの持ち味である緻密な連携の前に、きっかけが掴めないでいる。

「最初に、行動で危険を伝えなかったのが、痛かった。そうすれば、状況は違っていた。」
「でも、黒森峰がこのままやられっぱなしでいるとは、思えません。西住殿ならどうしますか。」
「ハイリスクだけど、一つあるよ。優花里さん。」
 いつも通り、微笑みながら優花里に話し始める。

「エリカ。4両のパンターで、フラッグ車に奇襲を。」
「しかし。それでは、隊長に砲火が集中します。リスクが高すぎます!」
「その前に、仕留められればこちらの勝ち。そこまでいかなくても、こちらが包囲網を突破するなり、後退して体勢を立て直せればいい。それまでは、持ちこたえてみせる。急げ。時間がない。」
「…。了解。ご武運を。」
 エリカは、パンターを率いて直ちに行動を開始する。

「一時的に、数が不利になってでも、体勢を立て直すきっかけを作る。それしかないの。数の上では差があっても、体勢を立て直せれば、勝機を見出すことができるから。」
「西住ちゃんの言うとおりに、なってきてるね。でも、黒森峰の隊長も簡単にやられるつもりないみたい、エレファントを前面に出して盾にしながら、残りの戦力でよく持ちこたえてるよ。聖グロリアーナもコメットが1両撃破されたし。」
 みほ達の会話に杏が加わっている内に、エリカ率いる別働隊が、ダージリンのチャーチルに全速で向かう。

「本隊は、別働隊の攻撃を受け流しつつ後退。右翼は、道を開けて。後に再び合流を。」
 ダージリンは自ら率いる本隊の火力と防御力を活かしながら、エリカ率いる別働隊の攻撃を受け流しながら後退し、右翼を移動させていつでも合流できるようにしながらも、黒森峰を再集結させる。
 しかし、それが罠だとは、まほもエリカも、気づいていなかった。
 気づいていたのは、作戦を立案したダージリン率いる聖グロリアーナとみほだけだった。

「嵌った…。」
「どういう事ですか?西住殿。」
「西住ちゃん。」
 不思議そうな顔で、優花里と杏がみほの顔を見る。
 みほは、勝負の先が見えたような顔をしていた。
『多分、誰も予想していないと思う。でも、このまま行けば、おそらく…。』

後書き
諸々の事情があってかなり久しぶりの、更新です。
準決勝第二試合。
黒森峰女学院対聖グロリアーナ女学院です。
共に、強豪同士。どちらが勝ってもおかしくありません。
そして、互いに負けられない理由があります。
友との再戦を誓った、ダージリン。
妹のみほをあるべき場所に戻すと誓った、まほ。
それぞれに譲れぬ想いを掛けて戦う戦場は、再び雪原。
ですが、遮蔽物はほとんど森林。
つまり、大洗対プラウダより開けた空間が多くあります。
戦車は開けた空間で最大限に威力を発揮しますから、双方共にやりやすい様に見えます。
が、遮蔽物があるという事はそれを使った戦術も実行できますので、冷静且つ的確に相手の行動を読んだ上で動かないと致命傷を負います。
序盤は、黒森峰が半包囲を読まれて逆に罠にはまり、次はまほがリスクを負いつつも相手に打撃を与えます。
それぞれの戦いぶりを的確に予想しながら戦況を見守る、みほ。
何かに気づいたようです?
余談ですが、先月下旬。
嘗てミハエル・ヴィットマンと並ぶドイツのタンクエースだったオットー・カリウス氏が92歳で亡くなられました。
各戦線を転戦し、終戦後は薬剤師の資格を取得して戦場を掛けたティーガー戦車の名を付けた薬局を経営。
地元の名物おじいさんだったそうです。
心からご冥福をお祈りします。























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