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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第142話 帰国は外交と共に<後篇>

<<   作成日時 : 2015/02/28 23:44   >>

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 晩餐会と舞踏会の前に、千冬姉たちは勲章を授与された。
 千冬姉は、シッスル勲章デイム・グランド・クロス。
 俺もそうだけど、千冬姉にも大盤振る舞いだよなあ…。
 山田先生と少佐は、バス勲章デイム・コマンダー。
 箒、楯無さん、ケイシー先輩、フォルテ先輩、準専用機持ちとIS委員会直属のパイロットに、丹波乱波達はコンパニオン。
 黛先輩達はルテナントをそれぞれ授与された。
 加えて、千冬姉、山田先輩達を始めとする専用機持ち、準専用機持ちにはヴィクトリア十字章。黛先輩達はジョージクロス。
 が、授与された。
 ちなみに、他国でも勲章が授与されている。
 これから、アメリカを始めとする国での式典も待っているけど、そこでも千冬姉たちは勲章を授与されるだろうな。

 その後は、晩餐会と舞踏会が開かれた。
 来ているのは、当然英国の上流階級の人間ばかり。
 で、今回は俺が主役みたいな物だから、全員から挨拶されて、舞踏会では何人もの女性とダンスを踊った。
 この時ほど、きちんと礼儀作法を勉強しておいてよかったなと思う事は無かったね。
 できなければ、大恥だったよ。
 こういう場は、どちらかというと好きじゃないんだが仕事の内だし、少しすると慣れた。
 仕事に役に立つかは解らないけれど、随分人間関係の構築も出来た。
 面倒なことになる可能性もあるが、こういう時にきちんと関係を作っておくのも俺の仕事だ。
 千冬姉たちは、次々とダンスを申し込まれている。
 弟の俺が言うのもなんだが、千冬姉はやっぱり美人だよな。
 山田先生達も、また然り。
 俺のこと気にしないでいいから、早く結婚して自分の幸せを掴んでくれよ。千冬姉。
 今まで苦労してきたんだから、もう少しエゴイストになっても罰は当たらないぜ。

「少し、酔われましたかな?」
 ちょっと外の空気を吸いたくなってテラスに出ていた俺は、後ろから声を掛けられる。
「これは、第一海軍卿。いえ。少し、外の空気を吸いたくなりまして。」
 俺に声をかけて来たのは、イギリス海軍の制服組のトップ、第一海軍卿マーク・スタナップ大将だった。
「ああ。君。グラスを2つ頼む。」
 従僕が、シャンパンの入ったグラスを2つ持ってくる。
「どうも。」
 シャンパングラスを受け取りながら、俺はスタナップ大将の表情を見る。
 予想はしていたけど、イギリスの集まり方はちょっと尋常じゃない。
 俺自身が、ヘミングス外務大臣と距離を置いているのは社交界で広く知れ渡っているのは聞いていた。
 なら、より親しい関係になろうとする人間も出てくることは充分に予測していた。
 そうなろうとしたわけじゃないが、俺自身それだけの価値のある人間になっているからな。
 そこは、まあ。やむを得ない。
 けど、予想を随分上回っている。
 目を見て解ったけど、皆それぞれに思惑を持っている。
 事業家や投資家はビジネス関係で、俺と関係を深くしようとしている。
 他は、俺と縁戚関係になって家のステータスを上げようとしている。
 さて、スタナップ大将はどうかな?
「少し、よろしいですかな?別室で、お話があります。」
 やっぱりそう来たか。
 さて、どんな話やら…。

 別室にいたのは、マイケル・ファロン国防大臣だった。
 それに、モルダー=ブラウンSIS長官もだ。
「何か、重要なお話がある。そうお見受けしましたが、よろしいでしょうか?」
「ええ。まだ公にはなっていないのですが、ぜひとも貴方のご意見をお聞きしたく御足労戴いた次第です。」
 大将に昇進した俺は、IS委員会直属艦隊司令長官に任命された。
 いわば、委員会が持つ機動戦力の全てを指揮する身だ。
 こういう形で呼ばれる事も、当然あるか。
「成程。では、伺わせていただきましょう。」
 国防大臣が頷くと、テーブルの上にある鈴を鳴らす。
 外で待っていた従僕が、紅茶を入れて部屋を出る。
「よろしければ、ブランデーをどうぞ。」
 サイドボードにあるブランデーを、勧めてくる。
「では、少し戴きましょう。」
 ブランデーを入れたダージリンの最高級の紅茶を、一口飲む。

「成程。委員会に海軍。ですか…。」
「はい。先程もお話しましたとおり公ではありませんが、NATO諸国から、意見が出ています。」
 そう来たか…。
 けど、空中艦隊だけでも維持費はかなりの物だ。
 この上、艦隊を増やす意味が解らない。
 海上艦艇だと、どうしてもスピードの問題がついて回る。
 精々、時速30ノットじゃ、速やかな展開とはいかない。
 幾つかの部隊に分かれて分散配置という手もあるが、それこそ維持費を自分達で吊り上げる様な物なので俺個人としては反対だ。
「こう言った話が出たのも、理由があります。現在、世界でも最先端の艦載戦闘指揮システムを開発できる国は、欧州では、我がイギリス、イタリア、フランス、ドイツ、オランダ。そして、アメリカ、ロシア、アジアでは中国と日本。ですが、開発費の関係から欧州は共同開発。中国は経験がまだ少ない。実質、予算面も含めて自国のみの開発が出来るのは、日本、アメリカ、ロシアの3か国になります。」
 欧州には、強力な海軍を擁する国は少なからずあるが、イギリス、フランス、イタリアは空母を保有した結果、そちらに予算のかなりの部分が割かれて他の護衛艦艇の数が少ない。
 イギリスは、最新鋭の45型フリゲートと主力の23型フリゲートを合計して18隻。
 フランスはシャルル・ド・ゴールの他には、フォルバン級、カサール級、アキテーヌ級、ジョルジュ・レイグ級、ラファイエット級、デスティエンヌ・ドルヴ級、フロレアル級。合計41隻と規模は大きいが、小型だったり旧型だったりと、前線で戦えるのは、フォルバン級、カサール級、アキテーヌ級、ラファイエット級。次点でジョルジュ・レイグ級。合計22隻。
 イタリア海軍は、ジュセッペ・ガリヴァルディ、カヴールの2隻の軽空母の他には、アンドレア・ドリア級、デ・ラ・ペンネ級、ベルガミーニ級、マエストラーレ級。合計18隻。
 ドイツは、空母は有していないが地政学的に陸軍にも力を注ぐ必要がある為に、ブランデンブルク級、ザクセン級、バーデン・ヴュルテンベルク級に次点でリューベック級。合計で19隻。
 オランダ海軍は、デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級、カレル・ドールマン級。計6隻。冷戦終結後、急速に軍縮が進んでいるので規模は小さい。
 イギリス、フランスは攻撃型、戦略ミサイル型原子力潜水艦も配備されているので総合的な戦力は高いが、ローテーションを考えると他国に長期間派遣するとなると、厳しい注文になる。
 派遣専門の艦を配備するという手もあるけど、各国で戦闘システムを共通化させるというのは、中々に難しい。
 事実、NATOで試みられたが各国の運用思想の違いから、イギリス、イタリア、フランスのPAAMS。
 オランダ、ドイツのNAAWSと別れてしまった。
 また開発をするとしても、成功するかどうかは怪しい。
 成程な…。
 ちなみに海自は護衛隊群が護衛艦隊に再編成されて、航空機搭載護衛艦。要するに空母なんだが、大型と小型が1隻ずつ。ヘリコプター搭載護衛艦。そして、エヌマ・エリシュの出現で建造された大型護衛艦。
 これを護衛する2個直衛隊で編成される司令隊群と護衛隊群で護衛艦隊が編成され、1個護衛艦隊は総数19隻で編成される、これにせいりゅう型潜水艦が護衛として配備され、補助艦艇として、ふうれん型補給艦、たかまつ型潜水艦救難母艦が配備される。
 総数22隻の大所帯だ。
 これに、潜水艦部隊、地方部隊用の護衛艦とミサイル艇で編成された地方護衛隊、各基地所属の航空隊を合わせれば相当な戦力になる。
 さすがに、規模ではアメリカ海軍が上だけどな。
 それでも海上戦力としては、ロシアや中国を完全に上回っている。
 けど、欧州に日本の海自クラスの海軍力を持つ国はない。
 仮に戦闘システムの共通化に成功しても、派遣部隊を常備するのも台所事情を考えると決して楽じゃない。
 空母や原潜は、かなりの金食い虫だからな。
 それで、IS委員会か。
 というか、むしろ国連。とはいかないよなあ…。
 国連軍の編成は、いろいろ時間がかかる。
 となると、残るはIS委員会に必然的になる。
 亡国企業の事が、充分理由になるしな。
 それで、機動艦隊の長である俺に意見を聞こうという事か。
 ここは公の場ではないとはいえ、慎重にいかないとな…。

「お話は解りました。ですが、空中艦隊がようやく量産艦が竣工したのに続き、水上艦隊も編成するとなると、莫大な資金が必要になります。運用費も、また然りです。それに、通常の水上艦艇であの機動兵器に対抗できるかが疑問です。編成したはよいが、初陣で壊滅的被害をこうむる可能性もあります。その辺りをご一考いただければと思います。」
 今の水上艦艇建造の技術水準で、ゴーレムやディースに対抗できるか?
 これが、水上艦艇の大きな問題だ。
 亡国企業の拠点が判明して、それを攻撃する時。
 つまり、拠点攻略となればトマホーク等の巡航ミサイルが役に立つ。
 けど、それを差し引けば、水上艦艇に必要性があるかと言うと俺は疑問を持つ。
 今年の受験生護衛作戦では、IS部隊の護衛があったからこそ大丈夫だったが、それがないと被害続出だ。
 それに、どこの軍需産業が関わるかでまた揉めるだろう。
 いろいろトラブルも起きかねないし、今となっては俺個人は否定的だな。

「仰る通りです。だからこそ、IS委員会の直属部隊なのです。ラーデヤール候。あなたがおられるのですから…。」
「つまり、課題の解決は私にしろ。そうおっしゃられるのですね…。」
 自分でも、視線が鋭くなり、漂う空気の温度が下がるのを感じる。
 とどのつまりは、俺の技術で何とかしろ。
 そういう事だ。
 あまり愉快な気分じゃないな。
 それに、俺の技術を巡って軍需産業どころか、各国の思惑が絡まる可能性はかなり高い。
 ちょっと、ボールを投げてみるか。

「それで、仮に編成が決まった所で、建造はどこで行いますかな?IS委員会は建造ドックはありませんが…。」
 ある程度の艦を建造する能力がる建造ドックを持つ国は、限られる。
 無論、その中にはイギリスも含まれる。
 まさか授与された勲章には、建造で得る俺の技術の前払いとしての意味まであるんじゃないだろうな?
 もしそうだったら、全部返すぜ。
「我々としては、各国の建造ドックを貸与するつもりでおります。設計段階から各国の軍需産業が関わるか否かは、委員会にお任せする所存。この場ではっきり申し上げておきますが、侯爵の技術を少しでも得ようという気は毛頭ありません。最終的に配備するか否かは委員会の決定になりますが、肩代わりしていただく以上、協力は惜しまずとも何かを得ようとは思っておりません。それに関しましては、誓書をしたため委員会に送る用意が出来ております。我が国からは、国王陛下から親書が届く事になっております。」
 成程…。
 今回は、かなり真剣に考えている。
 そう解釈して、いいようだな。
 とは言っても、掌は返すためにあるのが政治の世界。
 信頼と疑いの割合は、半々と言った所か。
 今回に限っては、7:3の割合でも良さそうだが、それなりの注意はするべきだろう。

「各国のお考えと誠意は、私なりによく理解できました。後は委員会が決定するか否かになりますが、私案は考えさせていただきます。可能な限り建造費を抑えた上での。」
「よろしくお願いします。それから、東欧の動きに関しては、承認いたします。後は、連携ですが、その時には色々と御助力をお願いしたい。」
「承知しました。」
 東欧に関しての承認と連携の意思を確認できたのは、収穫だったな。
 そっちはスムーズに進むか。
 さて、残るは一番面倒なアメリカだけだ。
 それまでに、艦の設計は行っておくか。

「う〜ん。」
 執務室で、一夏は筋肉をほぐしていた。
 IS委員会直属の水上艦隊が配備された際に、運用する艦艇の設計を行っていたからである。
 配備されるかどうかは、委員会で決まる。
 が、それから設計を始めていては配備までに時間がかかる。
 それを短縮する為に、一夏は既に設計を行っていた。
 イギリスでの勲章授与式、晩餐会、舞踏会等の予定をこなして、現在アヴァロンは進路をカナダに向けている。
 カナダでの勲章授与と晩餐会を終えてから、オーストラリア。
 そして、ロシアを回って日本に到着する。
 既に、東欧の件は一夏は根回しを開始しており、さほど面倒にはならずに行きそうだという結論を出してからは、もっぱら亡国企業関係の対策に一夏は長官としての執務以外の時間を割いていた。
 かなり調査が進んでいるとはいえ、本丸に届くまではまだ時間がかかる。
 それを思うと、療養していた事を遅れと感じ体に負担を掛け過ぎない程度に、精力的に執務をこなしていた。

「エム。準備は出来ている?」
「ああ。あのデカブツが使えんとは言わんが、あれだけで奴には勝てん。」
 亡国企業の秘密の地下ドック。
 そこには、艦艇が並んでいた。
 ひびが入った事で、スコール達は犀を投げた。
 水面下で、以前から練っていた計画を発動する事をついに決断したのである。

後書き
華やかな舞踏会の裏で、一夏は外交の世界に。
いまや階級は大将。
IS委員会直属の艦隊司令長官ですから、五本の指に入る高級将校。
そして、国際社会の重鎮でもありますから、ある意味必然でしょう。
内容は、艦艇に余裕がないNATO主要国に代わり、IS委員会に水上艦隊を配備して欲しいとの事。
海自には無くて、イギリスやフランスにない艦艇は、原潜、そして空母。
どちらも、建造費及び維持費は馬鹿高いので自然と他の艦艇にしわ寄せが来てしまいます。
4個護衛隊群の他に、地方護衛隊群、潜水艦群と世界でも有数の水上艦隊を保有する自衛隊も、空母を配備するとその規模は小さくなります。
ですが、この世界ではIS関係の多くの特許や、一夏を筆頭とする技術陣が生み出す数々の高度な技術が莫大な富を産み、2隻の空母とヘリコプター空母、エヌマエリシュ対策として建造した大型護衛艦を中心とする、計20隻以上の護衛艦隊を4つ保有。さらに地方隊に潜水艦隊を保有。
アメリカ海軍に次ぐ海軍力を保有しています。
海自の様にはいかない、NATO諸国。
合同部隊を編成するにも、常時備えるというわけにはいきません。
その分、本国部隊に穴が開きます。
故に、一夏です。
地位と技術者としての力量。
それを見込んで、もし艦隊が建造される際には、全面的なバックアップを約束。
そして、一夏の技術目当てでない事を制約する旨も伝える以上、本気で委員会に要請するのでしょう。
それを感じ取った一夏は、それに備えて艦艇の設計を始めます。
そして、亡国企業では何かが始まる様子です。






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