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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第142話 帰国は外交と共に<前篇>

<<   作成日時 : 2015/02/28 23:39   >>

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 各国での勲章授与式と、盛大な舞踏会。
 それに、ノルウェーでは爵位の授与式もあって、大急ぎで回っても10日以上かかって、今、イギリスにいる。
 朝起きてから、最高級のダマスクスローズの花弁とオイルをふんだんに使った風呂に入って、入念に髪を整えて肌の手入れもする。
 朝食後、IS委員会直属の軍人の礼装を着せてもらい、各国で授与された勲章を佩用する。
 白鷲勲章。レオポルド一世勲章グランド・コルドン。聖オラフ勲章グランド・クロス。ダンネブロ勲章グランド・クロス。剣勲章ナイト・グランド・クロス。レジオンドヌール勲章グラン・クロワ。ドイツ連邦共和国功労勲章特装大十字章。イタリア共和国功労勲章カヴァリエーレ・ディ・グラン・クローチェ・デコラート・ディ・グラン・コルドーネ。マルタ騎士団勲章。白薔薇勲章グランド・クロス。聖シルベストロ教皇騎士団勲章ナイト・グランド・クロス。
 今まで一夏が贈呈された勲章は膨大な数になるので、大半を略綬と呼ばれる物にしている。
 全てを星章とするとゴテゴテとしてむしろ下品になるので、略綬でないのはマルタ騎士団勲章だけである。
 それでも、軍服に多くの勲章を佩用した一夏を見るとセシリアは心臓の鼓動が早くなるのを感じる。
 特に、イタリアから授与されたイタリア共和国功労勲章カヴァリエーレ・ディ・グラン・クローチェ・デコラート・ディ・グラン・コルドーネは、国家元首に授与されるのが慣例である。
 にも拘らず、一夏に授与した。
 以前のカモッラ掃討作戦に、スナッフムービーを売りさばいていたローマの組織を潰したことも併せて、カヴァリエーレ・ディ・グラン・クローチェでは不足という世論が形成されていた。
 それを受けて閣議を開いた結果、全員の意見が一致して授与が決定。
 民間では、フェラーリが自社のスーパーカー、ラ フェラーリを100台限定で再生産した中の1台を一夏に贈った。
 加えて、嘗てのイタリア王家であったサヴォイア家から、聖マウリッツィオ・ラザロ勲章グラン・クローチェ、武功黄金記章が授与されている。
 さらに子爵号を授与する筈が、一夏は10世紀後半のノルウェー最高の統治者と言われるハーコン・シグルザルソンを輩出したラーデヤール候家を継承する形で叙せられ、当初の予定より大きい城と領地を与えられた。
 どちらも、民間の不動産として売り出されていた物を国が買い取った物である。
 領地の広さは、4ku。
 居城のスティクレスター城の、庭を含めた面積は52000u。
 東京ドーム4個分に、匹敵する。
 社会的立場と、芝崎インダストリーの経営陣のトップの1人としての収入。
 一夏自身の、特許からの収入。
 それらを合計すると、既に一夏はいわゆる億万長者であり、今回ラーデヤール侯に叙せられたことで名実ともに貴族の仲間入りを果たした。
 しかも、臣下とはいえ事実上ノルウェーの嘗ての国王を輩出した名門の当主である。
『もし、私と結婚しても誰も文句は言わない…。』
 セシリアは、イギリスの名門オルコット家の当主。
 2人の間に生まれた子がそれぞれの家督を継ぐにしても、血統は申し分ない。
 嘗てほどではないものの、階級意識が残るイギリスではそういった事にはいろいろと口を出される。
 無論、爵位を与えられなかったとしても一夏はその程度は軽く排除できる。
 が、ある程度は騒動になるのを覚悟しなければならない。
 だが、今の一夏ならその問題は起きることはない。
『後は、私が一夏さんの心を掴むだけ…。』
 礼装を着て、勲章を佩用した一夏は文句のつけようのない貴公子。
 さらに、魅力を増した一夏が自分以外の人間の物になるなど、セシリアは耐えられなかった。
『負けません…。どんな手を使ってでも…。』

「お支度が整いました。」
「ご苦労様。下がって結構ですわよ。」
 恭しく一礼して、メイドが部屋を出ていく。
「素敵ですわ。本当に…。IS委員会直属の大将に相応しい殿方におなりになりましたわね。凛々しくて、でも雰囲気は清々しくて、どこか柔らかく暖かい…。」
 熱病に罹ったようなうるんだ瞳と赤みが差した頬のセシリアは、そっと一夏の胸に寄り掛かる。
「おっと。危ないぞ。」
 一夏が、優しくセシリアの肩を抱く。
 強く抱きしめるというわけではないが、両肩に置かれた手は優しくそしてしっかりとセシリアの体を支える。
「一夏さん…。」
 堪らなくなったセシリアは、一夏の唇に自分のそれを重ねる。

 おいおい。
 何、考えてるんだよ。
 ポーランドを後にして、俺はすぐに皆に気持ちを拒否する事を伝えた。
 だが、それを皆は拒否した。
 今、俺がどう思っていようと自分の気持ちは変わらない。
 そう返された。
 正直、頭痛がしたね。
 仕方ない。
 その日を、待ってもらうしかないか…。
「さあ。時間ですわよ。チェルシー。リムジンは?」
「既に、ラーデヤール候の護衛の方々も、ご到着なさっています。」
 俺より前に清掃に着替えていたセシリアが、静かに頷く。
 セシリアの象徴的な色になってきた、青の極上のシルクを使ったドレスを着ている。
 そして、昨日授与されたメリット勲章を佩用している。
 セシリアはイギリス代表候補で、軍人扱い。
 そのセシリアがメリット勲章を授与されるというのは、軍人ではルイス・マウントバッテン海軍元帥以来なので、大変な名誉だ。
 この勲章は爵位は与えられないが、授与されたことを示す“OM”を名前の後に付けて名乗る事を認められる。
 つまり、今のセシリアのフルネームは、セシリア・OM・オルコットとなる。

 ガーター勲章は、イギリス王室の居城であるバッキンガム宮殿ではなく郊外の都市ウィンザーにあるウィンザー城で行われる。
 季節は6月。
 毎年、6月にガーターセレモニーが行われ、新たな叙勲者が現れればガーター勲章を授与される。
 ガーター勲章者で構成されるガーター騎士団は、人数が決められており、基本的にはイギリス人が授与の対象となり、それ以外はキリスト教を国教とする国家の君主に贈られる。
 例外としては、イギリスと特別な関係にある非キリスト教系国家の君主に贈られることがあるが、日本以外ぐらいな物である。
 さらに、2人以上のガーター騎士団のメンバー2人以上の推薦が必要である。
 これらの条件を満たして、初めてガーター勲章が授与される。
 今回は、騎士団のメンバー全ての推薦があった事。
 一夏の功績が、極めて大である事。
 ブルーティアーズの改修に携わり、イギリスへの貢献も極めて大である事から日本の皇室以上の特例として、授与が決定した。

 何だか、人が凄いな。
 あの、黒のふさふさの長い帽子をかぶってL85を持っているのは、衛兵。
 微動だにせず、だが周囲に目を光らせている。
 亡国企業の最優先目標である一夏にイギリスで万が一の事があれば、国家の威信に多大な影響がある。
 さらに、MI6、SAS、ロンドン警視庁からはテロ対策指揮部隊に護衛課も動員されてるな。
 最近配備が進んだ、MP7を装備し防弾ベストを着込んでサブアームとして、FN FNP45を装備している。
 周囲には、多数のスナイパー。
 上空は、プレデターが飛行して監視かな。
 厳重だな。まあ、当然か。
 どこの国でも、警備は厳重だったからもう慣れた。
 ウィンザー城に着くと、燕尾服をきちんと着こなし、白の手袋をつけた侍従らしい人がリムジンのドアを開ける。
 いよいよ。授与式か。

「ラーデヤール候イチカ殿。」
 ウィンザー城、ガーターの玉座の間の扉が開かれ、一夏は現イギリス国王ウィリアム4世の前まで歩くと恭しく一礼する。
 エリザベス2世の存命中、チャールズ皇太子が急逝した後皇太子となり、去年イギリス国王となっている。

「ラーデヤール侯爵。貴公の獅子奮迅の働きにより、多くの国家が救われた。その中には、我が英国も含まれる。一時期、助からない確率が大きいと知らされた時には気が気でなかったが、こうして回復した姿を見る事が出来た事を心より嬉しく思う。」
 ウィリアム4世が、一夏の奮戦を讃えて回復したことに祝いの言葉を掛ける。
「私こそ、こうして陛下の御前で御意を得る栄誉を賜り、恐悦至極に存じます。そして、英国国民を始めとする多くの人々を救う事が出来て、心より安堵しております。困難な戦いではありましたが、戦う価値、そして、命を賭する価値はあった。それを再認識しております。」
 一夏は、ことさら自分の武勲を誇るような事はしない。
 誇るような事でもないと、心より思っているからである。
 やや謙虚過ぎるようにも思えたが、慎み深い一夏の為人にウィリアム4世は好意を持った。
「貴公の武勇を勇気に対し、我が国はガーター勲章を授与する。今後も世界の為に苦労を掛けるとは思うが、それに対し英国国民は感謝の心を忘れることはないだろう。」
 ガーターを小姓が勲爵士の左膝に着け、ウィリアム4世が大綬章を掛け、星章を左胸に着ける。そして紹介者の1人故エリザベス2世の従姉弟にあたるグロスター公リチャードがガーターローブをかぶせ、最後に頸飾を掛けウィリアム4世と握手をする。
 こうして、一夏はガーター騎士団の一員となった

「さらに、軍部からもいくつかの勲章が来ている。どうか受け取って欲しい。」
「はっ。ガーター勲章だけでなく他の勲章も賜れる事。この上ない栄誉でございます。」
 ヴィクトリア十字章、ジョージクロス。
 そして、一夏が各国で勲章を授与されている間に、追加で決まったディスティンギッシュト・サービス・オーダー、ディスティンギッシュト・フライング・クロスがウィリアム4世の手によって着けられる。
 こうして勲章授与式典は終わり、セント・ジョージ・チャペルへの行進が始まる。
 僅か16歳でガーター騎士団の一員となり、絶世の美少年である一夏を一目見ようと、セント・ジョージ・チャペルまでの道には多くの英国国民が詰めかけ、中には日本から来ているビジネスマンや留学生の顔も見える。
 手を振るよう勧められて、笑顔と共に一夏は周囲の祝福に応える。

「お疲れ様でした。一夏さん。」
「そうでもないさ。疲れはあったけど、純粋に嬉しかったよ。これだけの人を守る事が出来たんだなって。そう考えるとただただ嬉しかった。」
 勿論、勲章を授与していただけたことは嬉しい。
 けど、何より多くの人々を守れたことが嬉しい。
 俺は、その喜びを噛みしめていた。
 でだ…。
「何、じろじろ見てるんだよ。千冬姉。」
「何。中々、様になっているなと思ってな。」
「ええ。本当に良く似合うわ。また、自慢話が増えたわ。」
 ガーター騎士団の正装を纏った一夏を見て、千冬と真耶が嬉しそうな表情になる。
「夜の舞踏会の前には、千冬姉たちも勲章を授与されるだろう。きっと似合うよ。後で、ドレスを買いに行かないとな。」
 こういうことになるとは思っていなかったので、千冬姉も山田先生もドレスを持っていない。
 というわけで、俺がプレゼントする事にした。
 千冬姉には、ダークネービー。
 山田先生には、セージ。
 それぞれの色のドレスを、俺が見立てて買った。
 素材は、上質のシルク。
 今回の様な場での女性の服装は、上質で厚手のシルクのドレスになる。
 何しろ、ここはイギリス。
 伝統と、決まり事の国だからな。
 ちなみにセシリアは、ジェイドグリーンの落ち着いたデザインのドレス。
 場馴れしているし、ドレスも多く持っているのでこういう時には困らない。
 ちなみに俺は軍人なので礼装を着るが、晩餐会や舞踏会用のを着て勲章を佩用する。
 少佐や虚さん達は軍の礼装があるが、箒はドレスを持っていないのでラベンダーのドレスでいいのがあったからそれをプレゼントした。
 シャルロットは、フランスに立ち寄った時にカナリアの落ち着いたデザインのドレスの他、幾つかのドレスを持って来ている。
 後は、マナーの類とダンスだが、IS学園ではきちんとカリキュラムに組み込まれている。
 就職後、海外に出張したりして会食や舞踏会の機会もあるので、できないと大恥をかくのでみっちり仕込まれる。
 IS学園は、海外からエリートが集まった学校であると同時に、礼儀作法全般に社交ダンス等を身に付けさせるいわゆる淑女の養成校という側面も持っているわけである。

後書き
ポーランドの軍病院を退院してから、一夏は各国で勲章を授与され歓迎の舞踏会にも出る事となり、慌ただしい日が続いて、いよいよイギリス。
イギリス王室やイギリスの政治家や軍人で特に功績のあった人や、各国の国家元首といった人から現騎士団員の2人以上の推薦が無ければ授与される事が無いガーター勲章の授与の為イギリスを訪れます。
文字通り、終盤では万の軍勢にたった一人で挑み、全身全霊の力を振り絞ってポーランドを守り抜き、周辺国への被害を防いだ一夏の武勲は文字通り比類なき物。
一騎当千どころではない、武勇の持ち主である一夏にガーター勲章以外に、特に功績を立てた軍人や勇敢に戦った軍人たちに授与される勲章も授与され、文字通り英雄扱い。
尤も、一夏は別に変ってはいません。
それでも、煌びやかなガーター騎士団の正装を纏った一夏は、千冬や真耶たちにとって誇りであることは事実。
それぞれ嬉しさを噛みしめます。
さあ、いよいよ舞踏会です。






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