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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第141話 多事多難<後篇>

<<   作成日時 : 2015/02/22 00:03   >>

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「オートクチュールですか?」
「はい。今回の事を受けて、白式のサポートをするオートクチュールを作る様にと通達が来たんです。まあ。それ自体は問題じゃないんです。それ自体は。」
「他に、何かあるのか?」
 委員会から通達が来た、白式サポート用のオートクチュール作成通達。
 幻影輪舞の中で、電子戦に特化した形態「高天原」
 その最大の兵装である、多用途特殊高精度ハイパーセンサー「天孫降臨」
 これが、フル稼動するための条件。
 それは、俺の脳も演算装置として使用する事。
 これにより、仮想的に人間の脳の柔軟さとハイパーセンサーの処理速度を備えた、ある意味、究極のコンピューターを再現する。
 ただ、この場合、脳は大量のエネルギー。
 つまり、ブドウ糖だ。
 血中のブドウ糖だけでなく、肝臓に蓄えられた分もほぼ使い果たす諸刃の剣。
 処置中に検査をしていれば、ある程度の結論にたどり着いても何の不思議もない。
 そして、委員会が出した結論。
 専用のオートクチュールを開発して、俺の負担を無くす。
 そこまではいい。
「「予算は、いくら掛かっても構わない。」そう言って来たよ。」
「成程。それなら、お前が考え込むのも頷ける。」
 当たり前だよ。
 委員会の予算は、IS保有国の経済力やISとコアの保有数を考慮して分担金を回収して賄っている。
 馬鹿言うんじゃねえっつーの!
 それなら、俺の財産から出すよ。
 そんな厚顔無恥な真似、俺にはできない。

「束さんからの研究費と、俺の稼ぎから十分出せる。委員会にはそう伝えておくよ。」
 通達と言っても、とどのつまりは命令。
 しかも、今回のは厳命と言っていいだろう。
 だからと言って、湯水のように委員会の予算を使いこむ気にはなれない。
 ただでさえ、空中戦闘艦という金食い虫。
 しかも、量産艦もある。
 どれだけの運用コストがかかるか、考えるのも恐ろしい。
「それ以前に、今の白式はオートクチュールどころか追加パッケージを開発するのは、かなり骨だよ。」
「確かに、そうですね。第四世代以降のISの大きな特徴は、追加パッケージを必要としない所ですし…。」
 山田先生が俺の言いたいことを、すぐに理解する。
 第四世代ISの最大の特徴である、展開装甲。
 状況に応じて様々な使用方法があるこれを全身に実装したISは、いわば機体自体がオートクチュールみたいな物だからな。
 紅椿用に最初に作った追加パッケージ、「天の羽衣」にしても大変だった。
 ヘビーなんてもんじゃ、なかったぜ。
 まあ、今の段階でもないわけじゃないけどさ…。
「いずれにしても、今回は第六世代だけじゃない、第四世代以降のISが装備する追加パッケージとはどうあるべきか。それについて、俺なりの答えを出すつもりです。つまり、研究の一環でもあるんです。」
 これは、本当だ。
 十中八九、束さんは俺にいろいろと依頼をしてくるだろう。
 今でも、膨大な開発費が振り込まれていることが何よりの証拠だ。
 束さんは、専用機「伊邪那美」とクロエさんの「黒鍵」の事で手一杯か。
 事と次第によっては、伊邪那美は強化改修をする可能性もある。
 黒鍵も、同様だ。
 となると、陽炎に関しても俺が面倒を見ることになりそうだな。
 他国のは、俺が開発したもの以外は大丈夫だろう。
 正直、そこまで任されると体が持たない。

「失礼いたします。閣下。イスラエルから、レヴィ・アイゼンシュタットという方がお見えです。」
 対防諜モードを解除してしばらくすると、虚さんが来客を知らせる。
 こりゃ、また。
 大物が来たな。

「ביקור פתאומי. אנא סלח לי. מאז שהגעתי לכאן היום בעסקה, ואני רציתי לפגוש אותך בכל מקרה.(突然の来訪。お許しください。取引で今日こちらに到着しましたので、どうしてもお会いしたいと思っていたのです。)」
 レヴィ・アイゼンシュタット。
 イスラエル屈指の大財閥のトップ。
 金融、通信、ITを事業の柱とするが、宝石、各種鉱山等様々な事業を手広く行っている人だ。
 個人資産は37億ドル。
 日本円で、約4400億の文句なしの大富豪だ。
 ちなみに芝崎とも、取引があるし俺個人の特許を使ってもいるので俺個人も面識がある。
「מר אייזנשטדט. מפריע לי הביקור שלך, תודה לך. ובכל זאת, כפי שהיה תושב על המיטה, אנא סלח לנו שאתם נמצאים בשמלה כזאת. (ミスターアイゼンシュタット。わざわざご訪問いただき、ありがとうございます。まだ、ベッドの上の住人でして、この様な服装でいる事を御許し下さい。)」
 事業で来た以上は、こちらにいる時の時間は1秒たりとも無駄にしたくない筈だ。
 にも拘らず、俺の所に来て下さったのにこんな恰好じゃ、非礼に当たるからな。
「אתה חתיכת החיים גם נלחמו עם, האחרונה שמר הרבה אנשים שהוא מקופל כדי להפוך אתעצמך לטיפול רפואי. אין צורך לNasaru מחשבות שלך כל כך. בבקשה לעשות, את עצמך קל.(貴方は命の最後の欠片も使って戦われ、多くの人々を守られ療養をなさっておられる。そのようにお考えなさる必要はありません。どうぞ、楽になさってください。)」
 そう言ってくれたアイゼンシュタット氏に、俺は頭を下げて椅子に座る様に勧める。

「למעשה, היום זה התקבל שבקר כאן, אבל יש גם את האהדה שנקראה, זה בגלל שלא היה דבר שהייתי רוצה לקבל אותך. חבילת חימוש נוסף של המטוסים שלך. או פיתוח לא נעשה? אם, ויותר מלהיות יותר קל. גם מהיכרות של יחסי תעשייה צבאיים, יש לי קול רם ושאנחנו צריכים לעשות.וכדי שאני, אבל אני רוצה לקבל את זה.(実は、今日ここに訪問させていただいたのはお見舞いというのもありますが、貴方に受け取っていただきたいものがあったからなのです。貴方の機体の追加兵装パッケージ。開発はなされないのですか?あれば、もっと楽になるのでは。軍需産業関係の知り合いからも、作るべきだという声が大きいのです。それでなのですが、これを受け取っていただきたい。)」
 アイゼンシュタット氏が取り出したのは、封筒に小さな箱と長方形の箱。
 俺は、箱を開ける。
 そこには、アレキサンドライト、ダイヤモンドを贅沢に使ったプラチナの台座の指輪と、プラチナの台座にダイヤモンドで縁取ったホワイトオパールのプラチネチェーンの中性的なデザインのペンダント。
 ダイヤは、どうやらかなり質の高い物を使ってるみたいだ。
 以前、会食でお会いしたある企業の重役の奥様が指に嵌めていたのは、ダイヤ等をふんだんに使った指輪で、たしか0.5カラットで80万を下る事は無かったはず。アレキサンドライトも最高品質となると1カラットで180万はいく。真珠に至っては、色がゴールドとなると市場ではかなり高値で取引される。
 大まかに価格を出すと、そうだな…。
 指輪がざっと700万。
 ペンダントにしても、400万はいくぞ…。
「מילות אבן של אלכסנדריט, אמיץ. יהלומים, עשוי ללא חת. לבן האופל יהיה כמו כל מילות אבן אלוהים יברכו אותך. לא מתפשר על איכות, זה דבר שנעשה. אנחנו לא נוכל לתת לך מדליה על. אז, בסעיף ואמר צורה, ואני רוצה לכבד חלק מפעולת האומץ שלך. אם, בבקשה לקבל.(アレキサンドライトの石言葉は、勇敢。ダイヤモンドは、不屈。ホワイトオパールは、神の御加護をそれぞれ石言葉として持ちます。品質に妥協せず、作らせた物です。私達にはあなたに勲章を贈る事は出来ません。ですので、こういった形で、あなたの勇気ある行動を讃えたいと思いました。どうか、お受け取りください。)」
 その、お気持ちはありがたいですけれど…。
『織斑君。先方のご好意ですし、受け取って構わないと思いますよ。感謝や称賛の気持ちの表し方は、人それぞれですから。』
 コアネットワークで、山田先生が俺に話しかけてくる。
 そうですね…。その通りですね…。
「אתה מרגיש. אני קיבלתי בתודה.(お気持ち。ありがたく受け取らせていただきます。)」
 深々と頭を下げて、お礼を言う。
「あら?ここに文章が…。」
 山田先生が、指輪を見るとヘブライ語で何かが文章で彫られているのを見つける。
「1人の人間の命を救う者は、世界を救う。ユダヤの聖典タルムードの言葉ですね。」
「織斑君にぴったりですね。目の前に困っている人や苦しんでいる人を救おうと一生懸命に頑張って、結果、多くの人を救っているのですから。」
 山田先生が、にっこり笑って俺を見る。
 何か、恥ずかしいんですけど。
 次に、ペーパーナイフで開封した封筒には小切手と、多くのユダヤ人の方のお名前と簡単なメッセージが書かれている。
「אם מכיר את עזרתו של הקרב שלך, זה מזל. זה לא חוקי לכל בעיה, אתה כן בוא לקח בזהירות אישור לחלק העליון של הזהירות. אנא אל תדאג.(貴方の戦いの助けとなれば、幸いです。法的に何ら問題ないことは、慎重の上に慎重に確認を取らせてあります。ご安心ください。)」
 小切手に書かれていたのは、額面にして50億ドル以上。
 日本円にして、約6000億円を超える。
 ユダヤ人の国際資本ネットワークの財力は膨大な事は知っているけど、いきなりこれかよ…。
「לעתים קרובות של אדיבות. אין מילות תודה.(重ね重ねのご好意。感謝の言葉もありません。)」
「יש לי גם הפקיד הודעה מנשיא ישראל. על ידי העבודה האמיצה שלך, לא פחד מותו של זה, חיים של אחים רבים של אירופה נשמרו. בניגוד לכך, המדינה שלנו הייתי רוצה להעניק את מדליית אזרחות הכבוד. זה המסר שכבר הופקד.(私は、イスラエル大統領からのメッセージも預かっております。今回の貴方の死をも恐れぬ勇敢な働きによって、欧州の多くの同胞の命が救われました。それに対して、我が国は名誉市民勲章を授与したい。それが、預かってきたメッセージです。)」
 名誉市民勲章っていえば、イスラエル最高位の勲章だぞ…。
「כבוד איני ראוי. אני קיבלתי בתודה. אם יש לך הזדמנות לפגוש אדוני נשיא, אני אעריך לספר כל כך.(身に余る栄誉。ありがたく受け取らせていただきます。もし、大統領閣下にお会いする機会がありましたら、そうお伝えいただければ幸いです。)」
「אם יש לך את ההזדמנות, אני אגיד לך תמיד. אז, אני אהיה גס רוח בזה. כי מה שהופך מהר יותר ההתאוששות שלך, אתה מתפלל לאלוהים.(機会がありましたら、必ずお伝えします。それでは、私はこれで失礼いたします。早くご回復なさることを、神に祈らせていただきます。)」
 そう言って、アイゼンシュタット氏は帰られた。

「無駄にはできないな…。頑張っていいのを、作らないと。」
 俺は端末を立ち上げて、すぐに設計を始める。
 傍から見たら、思いっきり風変りだけど前から考えていたアイデアがあるからそれを使おう。
 設計図を引き始めると、山田先生が俺を抱きしめる。
「おめでとう。本当に、織斑君は先生の誇りだわ。できれば、来年は担任になりたい。心からそう思える。他にも、沢山の誇れる生徒達がいる…。教師として、これ以上の幸福はないわ…。」
 噛みしめるように言って、しばらくの間、俺を抱きしめていた。
 まあ…。
 そう思ってくれるのは、嬉しい。
 嬉しいんだけど…。

 色々と、事が複雑になってきたな…。
 勲章授与、爵位、そして、資金提供の件…。
 どれも、断れなかったからな…。
 パラダイス・ロストで、武器密売ルートも締め上げたからそう簡単にイスラム過激派が騒ぐとは思っていない。
 と言うより、国以上に軍需産業の方が、自社製品がテロリストや過激派に渡らないように目を光らせている。
 イメージダウンが、ビジネスに影響するのをひどく嫌っているのは一目瞭然だ。
 回ってきた資料に目を通してみると、武器密売ルートの摘発以外で国家と合同で使われなくなった武器をどうするかで緻密に連携して来ている。
 廃棄する時には、部品レベルで分解した後にリサイクル。
 各国も武器密造工場の摘発及び壊滅には、相当に力を入れている。
 正規ルート以外で武器を手に入れるのは、今や至難の業。
 それどころか、予備パーツ自体も手に入らなくなってきている。
 罰則も、格段に厳しくなってきているしな。

 それでも、亡国企業がこれだけの兵器を装備出来る事から、つくづく壊滅するのは相当に骨が折れるのが身に染みて解る。
 とにかく、出来る限り早く日本に戻って今後の方針を決定。
 ルートの解明から、本拠地を絞りこみにさらに力を入れないと。
 幸い、体調はかなり良くなってきているのは実感できる。
 主治医の先生と相談して、仕事の時間を増やせるか交渉しよう。
 後は、改修後の白式の微調整か。
 これも、帰りに時間を取ってどこかでやるか。
 スパイの類を、シャットアウトできればだけど。

 今回の危機は去ったけど、結局はまだまだ楽にはならないか…。
 こういうのを、多事多難っていうんだろうな…。
 本当に…。
 それに、最近の箒の様子も気になる。
 十中八九、冬菊とだな…。
 微妙な空気から、間違いない…。
 どうして、俺なんかを愛するんだよ…。
 揃いも揃って、男を見る目が無さすぎだよ…。
 きっぱり断るか。
 日本に戻ったら、そうするべきだ…。
 今後の為にも…。

 4日後。
 一夏が全快したことが確認され、帰国が決定。
 盛大なパーティーと勲章授与の式典が行われた翌日、政府閣僚、軍の高官らに見送られて、アヴァロンは日本への帰途に着いた。
『帰国してからは、竣工した量産艦の観艦式を終えた後訓練航海か。それに幕僚も選ばないとな。』
 一夏の元には、強力な海軍を要する国家から幕僚選定に当たっては全面的に協力する事を約束する旨が記された親書が届いていた。
 無論、それぞれ将来自国での空中戦闘艦保有を可能にするための情報を得る事を、目的としている。
 それを理解している為に、一夏は密かに溜息をつきつつも幕僚リストを作成し始めていた。

後書き
委員会からの通達。
それは、白式のオートクチュールの開発依頼でした。
命の最後の一滴までも振り絞って戦う力に変えて戦い、瀕死の状態になりどうにか息を吹き返した一夏。
委員会も騒ぐのでしょう。
金に糸目は付けないでいいから、最高の性能の物を作って欲しい。
しかし、一夏はそれができるほど厚顔無恥ではありません。
憤慨して、自分の私財で作る事を決めます。
そこに訪れたのは、はるばるイスラエルから一夏を訪ねてきたユダヤ人の事業家。
御存じの通り、ユダヤ人は世界各国で生活し事業や投資を行っています。
国際的なネットワークと言っていい資本は、膨大な財力を誇ります。
アメリカでも、影響力は無視できません。
そのユダヤ人富豪たちからの、一夏への贈り物。
ユダヤ人の聖典からの一節を掘り込んだ指輪と、ペンダント。
使われている宝石の石言葉には、今回の一夏の戦いを見て相応しいと思った物が込められています。
ただ高価な訳ではありません。
資金も、純粋に一夏の役に立てればという思いからです。
それを理解しているからこそ、一夏も感謝の意を示して受け取りますがこれはこれでまた頭痛の種です。
ユダヤとアラブの問題。
最悪、過激派から一夏が狙われる可能性もあります。
ですが、断れるものでもありません。
以前に、麻薬組織と一緒に武器密売もかなり片付けて、その後は国家と軍需産業のスクラムで事に当たっているので大丈夫な様ですが…。
そして、ようやくの帰国。
しかし、これから色々と頭痛の種が待ち構えているようです。
今回で、何と140話を突破。
目次へのアクセス数も、つい最近10万を突破したかと思えば、最近は13万を突破。
ありがたいことです。
恋に対してどう向き合うか、亡国企業をどう壊滅するか。
様々な問題を抱える一夏。
これからもお楽しみいただければ、幸いです。






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