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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第138話 守りたいから…<前篇>

<<   作成日時 : 2015/01/31 23:46   >>

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「両翼及び中央。部隊配置完了。」
「各種対空ミサイル及び重砲配備完了。」
「各部隊。対歩兵配置完了。」
 アヴァロンの艦橋ではオペレーターの報告が飛び交い、その都度メインモニターに部隊配備状況が表示される。
 右翼は、春香を中心とする自衛隊のIS部隊に準専用機持ちを半数にイギリスが突貫工事で完成させた、ストライクガンナーを改良した高機動強襲追加兵装パッケージ「ストライク・ブレイカー」を装備したセシリアとイーリが配置。
 左翼にはIS委員会直属部隊を中心に、残りの準専用機持ちに箒とナタルが配置。
 中央は千冬に真耶。相州乱波、雑賀衆、楯無、ダリル、フォルテが直接指揮を執る。
 今回グリフォン隊は、遊撃部隊とし必要に応じて各戦線に投入される。
 IS学園、さらに米軍からナタルとイーリが駆けつけてくれたことで、陣容は厚くなっている。
 それ故に、戦況に応じて遊撃部隊としても問題ないと千冬は判断した。
 さらにロッキード社の傑作輸送機 C−130J スーパーハーキュリーズの最新バージョン C−130Kでアメリカから派遣されてきたMARSOCから第201重装航空小隊“クリムゾンアーチャーズ”、第203重装航空小隊“ブラックナイブズ”が左右両翼に布陣

 地上では、03式中距離地対空誘導弾、パトリオット PAC−3地対空ミサイル、S−400 トリウームフ地対空ミサイル、99式自走榴弾砲、FH70榴弾砲の後継として開発された19式火力戦闘車、ダナ152mm自走榴弾砲等の各種ミサイルや重砲が配置され、照準用野戦レーダーが各所に配置。
 臨戦態勢を整えている。
 榴弾砲には、エヌマ・エリシュ出現で急遽各国が開発した対空砲弾が装填されている。
 さらに、特殊部隊による襲撃に備え各国から派遣された部隊が警戒に当たっている。
 特に一夏が入院している軍病院は、外観こそ変わりない物の精鋭部隊が気配を殺して牙を研いでいる。
 蟻が近づく隙がない程の厳重な警戒が敷かれているが、市民生活に極力影響を与えない様にされている。
 これは、市民に不安を与えない目的もあるが、亡国企業に布陣を気づかせない為でもある。
 但し、テロ行為や市民に対し危害を加えようとすれば、捕縛か各所に配置されているスナイパーの餌食になる。
 軍病院に襲撃を掛けた部隊には、最も悲惨な運命が待ち受ける。
 ハーグ陸戦協定等の国際法の箍が一切ないので、各部隊共に弾丸は威力を最優先し、パーシャルジャケットを急遽調達し配備。相州乱波のクロスボウの矢には、密かに伝えられ一般には解毒剤がない強力な毒が塗られている。
 各部隊には、襲撃する部隊は基本的に射殺。
 捕らえられれば、指揮官クラスは捕縛。
 その他の兵士はよほどのことがない限り、捕縛の必要はないという通達が出されている。
 一夏はICUで今も眠り続けているが、傍らには戦闘用プロテクターを装着した高芳がブレードを装備して備えている。
 無論、高芳は人を殺した経験はないし、基本的には峰打ちに留めるつもりだが一夏を守るためなら相手を殺す事も厭わない覚悟を決めていた。
 この辺りは、さすが一夏の兄弟子と言えるだろう。
 病院内には、他にも丹波乱波、相州乱波が潜んでおり、警備を固めている。
 コサック義勇軍は、イジェマッシ AK−105のカスタムタイプに銃剣が取付けられている物を持ち各地に身を潜めている。

「前方警戒機のレーダーに反応。敵捕捉、エヌマ・エリシュ7。その他多数の機動兵器を確認。」
 オペレーターの報告に、ヴァヒテルは頷く。
「これより、戦闘に入る。先の戦いで司令官閣下は瀕死の状態になられたが、峠を越えられた。だが、今はゆっくりとお休みいただかねばならん。常に先陣に立たれ、我らの支柱であられたが今回はおられぬ。我らが、お守りする番だ。ここで、無様な戦いぶりをみせれば、腰抜け。脳無しと語り継がれるだろう。そのような事があってはならん!何としても、この場を守り抜く。総員、死力を尽くして戦う事を望む。また、学生でありながらも馳せ参じてくれたIS学園の生徒や各軍の兵士には、今回の参戦、厚くお礼を申し上げる。その力、しばし我らにお貸しいただければ幸いである。」
 ヴァヒテルが、通信を終えマイクを置く。

「いい!?ここからは、私達が織斑君を守る。その為に私達は来た。いつもいつも頼りっきりだったけど、今回は私達を頼ってくれた織斑君の信頼に報いる番よ。全力を尽くしましょう。後輩の1人も守れない先輩達なんて、物笑いの種にしかならないわ。いいわね。」
 薫子の檄を聞きながら、整備科の生徒達はシステムをチェックしたり、腕まくりをしたりして、備えていた。
「「はい!」」
「ハッキングスタート!」
「各モジュールブート!ハッキングスタートします。」
 アヴァロンのコンピュータールームでは、整備科の中でもシステム関係に強い生徒達が配置され、束が解析した白式のシステムログから組み上げられたハッキングシステムを操作していた。
「こちらハンガー。グリフォン隊、発進準備完了。ISの整備もいつでもいけるわ!」
「OK!頼んだわよ。艦長。こちらは準備が整いました。現在、ハッキングを開始しています。」
 薫子は艦橋で、全体を総括して指示を出す。
 補修が必要になったISの受け入れ準備と、ハッキングが開始した事をヴァヒテルに伝える。
「了解。感謝する。」
「今回は、私達が全員志願しました。皆で力を合わせれば、せめて後輩1人くらいは守れる。そう思って。」
「そうか。学園には改めてお礼に伺わせていただく。よろしくお願いする。」
「お任せください。IS学園整備科の実力、しかとお確かめください。」
 そう言って、薫子は全体の状況に目を通し始める。
「艦長。彼女は私の後輩で、2年から整備科の首席です。実力は保証します。整備には2年の主席がいますが、私の妹でもある専用機持ち。司令官が設計なさったISを、駆る人間です。学園では司令官の護衛を務めていますので、いざとなれば出撃して必ずや戦力となります。その他の生徒達の実力も、私が保証します。」
「そうか。少佐のお墨付きとあれば、問題ないな。これで我々は戦闘に専念できる。」

「聞け!マリーンの猛者たち。間もなく敵が襲ってくる。例のデカブツだけではない。十中八九、地上からも部隊が来るだろう。だが、何があっても敵を通すな。アドミラルオリムラは、嘗ては在日米軍司令部のある地域に攻め込んできた敵を、試験中の最新鋭機とそのテストパイロットと共に迎え撃ち見事に撃破した。その前には、ノーフォーク、ニューヨークを守り抜いた方。我らが戦友も同然。そして、このポーランドを命懸けで守り抜き、今は疲れ切った体を休めておられる。今度は、我らの番だ!マリーンは、仲間を見捨てはしない!そして、マリーンは必ず任務を遂行する。今回のミッションは、そのアドミラルを守り切る事だ!傷ついた仲間を守る戦い!何があっても、負けるわけにはいかん!合衆国軍の切り込み隊である精鋭USマリーンの誇りに賭けて、この戦いに勝利する!ここにいる、多くの戦友たちと共にな!」
「「「「Semper Fi!Do or Die!(常に忠誠を)」」」」
 派遣された海兵隊の指揮官ブライアン・ボードラルト少将が司令部から檄を飛ばす。
 ボードラルト自身、既に自分の装備を傍らに置いている。
 
「敵部隊、射程内に入りました。」
「全砲門、斉射。叩き落とせ!」
 アヴァロンの全砲門が開かれて、重荷電粒子砲、レールガン、速射砲、ミサイルが一斉に発射される。

「目標、レーダーで捕捉!」
「全砲門、仰角調整終了。」
「ミサイル、データ入力完了。」
「撃て!」
 地上からも、攻撃が始まる。
「弾薬は山の様にある!残弾など気にするな!撃って撃って、撃ちまくれ!」

「よし、各部隊。迎撃開始。部品レベルにまで解体して、リサイクル業者に売り飛ばしてやれ!」
 千冬が散桜を手にして、IS部隊に指示を出す。

『もう、始まっているのね…。』
 一夏に授乳しながら、冬菊は戦いが始まっていると考えていた。
『もしいざとなれば、私が一夏さんを守る…。一秒でも長く。』
 帯に挟んでいる、袋に包まれた小刀を見る。
『ですから、一夏さん。ゆっくり直してくださいね…。』
 額に優しくキスをする。

「ハッキングコンプリート。敵シールド無力化。各種スペックも引き下げました。」
「ご苦労様。引き続き、敵の状況を監視して。」
「了解。」
「織斑先生。相手は丸裸です。存分に戦ってください。」
「解った。各部隊聞いての通りだ。補給も万全だ。たっぷりと攻撃をぶち込んでやれ。」
 空裂で、数十体のゴーレムを撃破すると、零落白夜でエヌマ・エリシュを両断する。
「さて、次は…。」

「逃げられると、お思いかしら?」
 ストライク・ブレイカーの主兵装高収束偏向重荷電粒子ライフル「スターウルフ」の偏向射撃が10数体のゴーレムに風穴を空ける。
「続かせてもらうわ。」
 春香はペンドラゴンでゴーレムを次々と撃破すると、震電と蒼翼の攻撃で装甲にかなりの損傷を受けたエヌマ・エリシュにエクスカリバーの長剣モードでの雨月の一点集中砲撃を浴びせて、撃破する。
「オルコットさん。一体ずつよ。一夏は、私が手塩にかけて育て上げた生徒でもあるのだから。小物ばかりでは、私の怒りは収まらないの。理解してね。」
「解っています。本当は私が止めを刺して操っている者達に存分に煮え湯を飲ませたいのですが、半分はお譲りしますわ。」
「やれやれっと。」
 追加兵装パック「サンダーバード」を装備しているイーリが、ウェンディゴとジャージーデビルで残ったゴーレムを一掃する。
「しゃあねえ。ザコで我慢してやる。きっちり仕留めろ。」

「はあっ!」
 極夜でゴーレムの一群を戦闘不能にし、幻影を映し出しながら攻撃する紅玉で箒はエヌマ・エリシュへの道を開いていく。
 絢爛舞踏を発動させているので、エネルギー切れの心配はいらない。
 さらに第三形態移行したことで、紅椿の性能も格段に向上していた。
 箒も数多の戦いで、経験を積んでいる。
 ゴーレムで、どうこう出来る相手ではなかった。
「多い…。だが、一夏は最後には1人で相手にしていた。弱音を吐いていては、私達を信頼してくれた一夏に会わせる顔が無い!」
 箒が配置されている左翼は、中央に比べて数は少ない。
 一夏に比べれば、確かに楽である。
 だからこそ、箒は弱音を吐く事を赦せなかった。
 他のゴーレムを相手にしようとすると、デバステーターから発射された20mm高速徹甲榴弾がゴーレムを文字通りなぎ倒す。
「ザコは私達に。後ろの大物を。」
「助かります。」
「じゃあお願い。」
 パラダイスロストを装備したナタルと共に、エヌマ・エリシュの周囲にいたゴーレムを蹴散らし、それぞれ武装を展開する。
「喰らえ!」

「まずは、装甲に大穴を開けさせてもらうわ。」
 ナタルはローテーツ・フレイミング・ソードとカインで、装甲に穴を開ける。
「受けなさい!!」
 そして、シルバー・ネメシスが発射されて、破壊という天罰が下される。

「そんな攻撃が、当たるか!」
 現影の幻影を巧みに利用して、箒は胡喜媚でエヌマ・エリシュの装甲に風穴を空け強力なEMPで様々な機能を使用不能にする。
「沈め!!」
 最大出力にした穿千を発射して、エヌマ・エリシュに致命傷を与えて破壊する。

「さあてと、このザコどもから掃除すっぞ。」
「了解ッス。楯無。デカブツ頼む。」
「解ったわ。」
 ダリル、フォルテが先行し、楯無が後に続く形で左側面を突く。
「んじゃ、行くぜ!」
 ダリルの専用機ケルベロスは、主兵装のガトリングライアットキャノンのバレルの数が増え全体的に大型になっている。
 さらにライフルも大型になり、肩部のミサイルも倍の8連装になっている。
 その分全備重量も増えるのでスラスターの推力は向上している。変わっている点として機動性は通常より引き上げられており全体的に性能は向上している。
「喰らいやがれ!!」
 ガトリングライアットキャノンが、散弾とスラッグショットを周囲にばら撒く。
 発射弾数、威力共に向上しており、その火力で斉射した範囲のゴーレムの装甲はちぎられる様に吹き飛ばされ、各部が抉られてゴーレムは海に落ちていく。
「逃がすかよ!!たっぷり味わいな!!」
 重荷電粒子砲と低圧砲からの高速徹甲弾で追撃しながら、白兵戦用として装備されている高出力振動ブレードで下がろうとするゴーレムを撃破する。
「そんじゃ、近接でやろうや。」
 BT兵器の技術を応用したケルベロスの特殊兵装ドールプレイヤーで大型ライフルを遠隔操作しつつ、先が三つ又に分かれた多目的ブレードで、広範囲に雨月をまき散らし各スラスターにダメージを与えると、各部から多目的型近接兵装が展開されてゴーレムを上回るCQCのスキルで確実に撃破していく。
「逃げんなっつってるだろうが!!えーと、おい、フォルテ!こいつらには、何語で話しかけりゃいいんだよ!?」
「ああ…。とりあえず英語でいいんじゃないスか?てか、やりすぎッス…。」
 呆れた口調で、フォルテが答える。
 あまりの壊しっぷりに、リサイクル業者にも断られると結論付けたのが大半だった。
 どこに売ろうか考えていたが、大半が海に沈んだのでどうしようもないなと考えていたが、嘗て常にコンビを組んでいたフォルテの実力の向上を見て相変わらずの実力者ぶりに、驚いてもいた。
「へえ。お前も人間が丸くなってきたじゃん。ま、いい事だけどさ。」
「こっちの取り分取られるのが、嫌なだけッス。織斑の礼をするのは、先輩だけじゃないんで。」
「ああ。そうかい。じゃ、半分で手を打ってやるよ。」
 肩部のミサイルを発射しつつ、メインスラスターであるウィングスラスターから、大量の熱線が発射されて装甲を飴細工の様に溶かして、大量に撃破する。
「じゃあ。後はお前にやる。」
「へいへい。相変わらず、慈悲深いこって。」
「私の後輩は凄腕だから、開発する物はとびきりの極上品。こんなの、的だ。的。つか、暇すぎるぞ。こいつら。なるほど、数出さなきゃならんわけだな。相当、出してきたんだろ?しかも、いまより少ない戦力。織斑が自分の身を省みずに踏んばらなきゃならなかったのが、良く理解できたよ。」
 機動性、近接性能、そして火力。
 全ての性能が大きく高められて、高いレベルで均衡が取れている。
 通常、このコンセプトでは中途半端なパッケージになるが、設計者が一夏となれば話は違う。
 しかも、いつもどおりにケルベロスを運用するだけで絶大なスペックを発揮する。
「にしても、気に入らねえな。こういうやり口はよ。まあいい。きっちり可愛がってやるさ。おあつらえ向きに海の上だ。女王の裁きを受けてもらうぜ。」
 ケルベロス高機動強襲用オートクチュール「セドナ」。
 イヌイット神話に登場する海の女王が亡国企業に下した裁きは、極めて明確で冷酷であった。

「そんじゃ、私だな。楯無、準備しとけよ。」
「そうね。地上でも始まったらしいわ。」
「状況は?」
「聞かなきゃ解らない?」
「なわけ、ねえだろう。両翼、さくっといってるな。右翼にいるのは、確か織斑の学園入学前のIS戦の教官か。いい腕してるな。オルコットは、去年使ってた追加パッケージの再設計版なのにたいしたもんだ。追い上げられてんな。マジやばいわ。せめて雑魚くらいはさくっといかないとな。」
 両肩の兵装が光の槍を放つと、射線上のゴーレムは貫かれて一斉に爆発する。
「相変わらず、鬼畜な奴…。」
「どこかの誰かさんにだけは、言われたくないっすね。っと。」
 プラズマ砲を発射した際の電光を纏った弾丸が、容赦なくゴーレムを破壊する。
「そら!」
 腰部の砲身から、肩部の兵装をも上回る光の槍が放たれる。
「さあてと。行くぜ!!」
 10連装ミサイルポッド4基から、それぞれミサイルが発射されるとカバーが外れて内部に内蔵されているミサイルが広範囲に発射される。
 HEAT弾、自己鍛造弾、短距離レーザー砲等複数の種類のミサイルが容赦なく襲い掛かり、そこに各部から多目的ブレードを展開したフォルテが殴り込みをかけて次々と餌食にしていく。

「人の事言えるかっつの…。つか、織斑ってなんだかんだ言って、請け負った仕事で絶対手を抜かないからな。あいつも性能に満足して、テンション高いねえ…。」
「では、私も行ってきます。」
 エインガナ高機動重砲撃戦用オートクチュール「カソワリー」。
 エインガナの機体特性をそのままに、機動力と火力の向上に重点を置いたオートクチュールである。
 大火力での制圧に重点を置いた結果、機動力に難があったのが元々のフォルテの専用機コールドブラッドだった。
 それを改善しつつスペックの底上げをしたのがエインガナだが、元々オーストラリア製ISが火力重視なのでそれに沿ったISについて一夏が示した答えが大火力と高機動性能を兼ね備えたISである。
 そして、エインガナをその通りのISとして運用させる為に開発したオートクチュールがカワソリー。
 脚力と鋭い爪を備えた、ヒクイドリの名を持つオートクチュールである。

「さて。じゃあ、締めと行きましょうか。一夏君をあんなにした代償は高いわよ…。とんでもなくね…。あなたたちに相応しい曲をお送りするわ…。葬送曲をね…。」
 一回り大きくなった、水龍槍。
 しかし、アクアドラゴンの数が増え半数は色がルビーの様になっている。
 VLSからミサイルが発射される。
「そんなもの…。」
 背部から、水が蛇の様にミサイルめがけて空を舞う。
「効かないわよ。」
 ミステリアスレイディは、ケルベロスやエインガナに比べて外見上さほど変化はない。
 背部機構と、両腕の小型シールド。
 そして、槍程度しか変更されていない。
 それだけに、何が追加されているのかが解らない。
 まして、ハッキングでスペックが低下したエヌマ・エリシュの解析能力ではなおさらである。
 故に、エヌマ・エリシュは通常通りに対応するしかない。
 しかし火器管制の大半は制御化になく、たいして何かが出来るわけではない。
 CIWSとミサイル程度しか使用できず、ミサイルはミステリアスレイディには通用されない事は証明された。
「無駄ね。神の前には、あなたは無力。」
 蛇腹剣発生機構「セマルグル」
 スラブ神話に登場する、7つの頭を持つ神である。
「そして、奏でられるのは葬送曲。逝きなさい。往生際は良くする物よ。ただし、安らかに逝けるとは思わないでもらうわ…。」
 アクアクリスタルが生成された水が、霧の様にエヌマ・エリシュを包み込む。
 途端に、姿勢制御だけで手一杯の状態になる。
「さすがは、一夏君ね。母国で完成させようが無かったワンオフを、いとも簡単に完成させてしまうのだから。これであなたは何もできない。呪われたものにできるのは、逝く事のみ…。」
 シールドから水弾が発射されて、兵装を破壊する。
「さようなら。」
 通常のアクアドラゴンから生成された水がエヌマ・エリシュを凍結させて、ルビーのようなアクアドラゴンから生成された水が通常のクリアパッションとは比較にならない破壊力で砕く。
「怒りの日に逝く切欠を作った事を、悔やみなさい…。織斑先生と山田先生も片付けたか。流石ね。」
 ミステリアスレイディ特殊戦闘オートクチュール「レークヴィエム」。
 ロシア語で葬送曲を意味するオートクチュールは、アクアクリスタルの用途を広げて戦闘力を強化することを主眼に設計され、自動化技術・水理学中央科学研究所とスホーイ社で開発された。
 その戦闘力を存分に見せつけて、エヌマ・エリシュを破壊していた。

「うわ。どれも、エグいっすね。」
「まあ。普段は使わないけどな。つか、使ったらとんでもないことになるしな。」
「ですね。よほどの緊急事態にならないとしようしない事を絶対条件に、一夏君は首を縦にふったわけですから。私も、普通のIS戦闘でこんなの使いたくないですね。正直、考えるだけでぞっとします。」
 楯無の言葉は、3人の本音だった。
 アラスカ条約で軍事利用しない取り決めがあるからこそ、IS開発が可能になっている。
 もし、それがなければ日本はあらゆる手段を駆使して、開発技術の譲渡を拒んだだろう。
 そうなれば、通常戦力でも核戦力でも日本を制圧しようとしても無駄である。
 膨大な戦費で、他国の財政は破綻し講和条約で日本はどのような条項も盛り込み放題である。
 無論、日本政府も国民も帝国主義の時代に時計の針を戻す気は、毛頭ない。
 だが、ISが運用された戦場を見たがるほど、物好きでもない。
 アラスカ条約締結の舞台裏で担当者は、胃が溶解するほどのストレスに襲われながら条約締結に心血を注いだ。
 その反動か、日本の外交センスは鈍くなっている事を楯無は複雑に思わざるをえない。

「了解した。」
 補給を終えた千冬は、アヴァロンからの通信を切った。
「第二波ですか?」
「ああ。下も、準備は完了したそうだ。なにしろ弾薬は山の様にある。」
「物凄い、砲撃でしたからね。」
 各国の砲兵が発射した対空砲弾と対空ミサイルで、エヌマ・エリシュやゴーレムは少なからぬ損害を被っていた。
 既に、レーダーは目標を捕える為に目と耳を研ぎ澄ませている。
 そして、千冬の目は怖気がするほど冷たい炎を灯していた。
 やがて、レーダーが目標を捕捉する。
「行くぞ。舞桜…。暮桜…。」
 千冬は、今の自分の愛機と嘗ての自分の愛機の名を口にした。

後書き
自らの命を削ってポーランドを守り、今は病床にある一夏を守る為の戦い。
何よりの宝である弟を守る為に。
最愛の人を守る為に。
誇りの教え子を守る為に。
先輩として後背を守る為に。
戦友を守る為に。
それぞれの思いを胸に、各地から集結した部隊が亡国企業と相見えます。
束が作ったハッキングシステムにより、整備科のシステム関係の精鋭が後方支援を担当。
最前線で戦う千冬達を、バックアップします。
両翼では、追加兵装パッケージを搭載したセシリアや箒。
春香にナタルがエヌマ・エリシュを沈めます。
中央部隊は、大切な宝物である一夏を守る為に千冬がエヌマ・エリシュを撃破。
そして、一夏が開発したオートクチュールを使い、後輩を守る為に旧ビッグ3が多数のゴーレムとエヌマ・エリシュを撃破。
地上からは、対空弾頭を使用した自走砲に榴弾砲、対空ミサイルが猛烈な攻撃を加えます。
そして、第二波が。
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