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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第136話 氷の瞳<後篇>

<<   作成日時 : 2015/01/17 23:53   >>

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「援軍か。来てもらって申し訳ないが…。」
 さらに現れた亡国企業の兵士たちを、ブレードで斬り捨てながら千冬は近くで待機しているリーマ分隊に話しかける。
「この連中は、私の獲物だ。私が始末する。手出しは無用に願いたいな。」
 ナイフでの攻撃を軽くかわすと、膝を腹部に叩き込む。
 倒れた兵士は大量の血を吐きながら苦しそうに悶えると、やがて息絶える。
「ふん…!その程度で内臓が破裂するのか…?鍛え方が足りんな…。一夏の相手など、愚行の極みだぞ…?あいつは、素手で人間を解体する…。易々とな…。尤も…。」
 千冬はブレードで、他の兵士の上半身と下半身に別れを告げさせる。
「その前に、お前たちはここで死ぬ…。さあ…。どうした…?任務を果たさずに逃げるか…?敵前逃亡は、重罪だという事を知らんのか…?それ以前に…、私は逃がす気はないが…。」
 千冬がアスファルトの地面を踏む音が、静かに響く。
 亡国企業の兵士にとっては、それは死神の足音。
 否、死そのものが近づいてくる音だった。
 千冬がブレードを一振りすると、血液、肉片、内蔵の欠片が兵士に掛かる。
 肉片と内臓は、僅かに動いていて兵士たちが感じている恐怖心に拍車をかける。
 どうにか生存のチャンスを掴もうとするが無論不可能で、千冬に全員斬り捨てられた。

「戦闘とは呼べんな。一方的な、殺戮。初代ブリュンヒルデにして、未だその実力は衰えを知らず世界最強の座にいるチフユ・オリムラの実力か…。そして、日本の剣術の何と恐ろしい事か…。斬れ味を究極まで求めた、日本刀は普通に使えるようになるまで相応の訓練がいると聞くが、それを極めるとこうなるのか…。我が軍でも、取り入れることを考えるべきだろうな…。その前に、日本刀の金属工学的な解析が終了してからだが…。」
 日本刀は、玉鋼という特殊な鋼鉄の中でも心金と呼ばれる軟鋼を中心に固い玉鋼で覆って鍛える。
 だが、打ち終えた日本刀がどういった過程で出来上がるのかは、現在の金属工学ですら解明できていない。
 いわば日本刀は、刀の形をしたオーパーツでもある。
 そして、業物と呼ばれる質の高い日本刀でなくても、ある程度剣術を習うと日本刀は凄まじい斬れ味を発揮する。
 アメリカで剣術を修める青年が在宅していた際、強盗に襲われた時があったが居合で手首を切断し、頸動脈を両断して返り討ちにした事がある。
 無論、犯人は即死。
 青年は、正当防衛を認められた。
 この事件は、日米双方で日本刀の斬れ味を改めて知らしめる結果となった。
『織斑一夏だけでなく、紅椿の専任である篠ノ之箒もかなりの技量の持ち主と聞く。日本との関係、悪化させるのは愚行以外の何物でもない。上申しておくべきだろうな。軍事技術の発展も凄まじい。同盟をより堅固な物として、関係も良好な物とせねば…。確か、陸軍の第三世代も日本刀型のブレードを兵装に持つ。今回、試験運用された海軍用もだ…。そして、日本の剣術には武器である日本刀を防具にする技もあると聞く。ナイフでどうにかなるだろうか…。』
 千冬を通じて見た、日本の剣術の恐ろしさ。
 そして、剣術を修めているのが当たり前の自衛隊の専用機持ち。
 その他の軍事技術の進歩を考えると、日本との関係悪化は絶対に避けねばならない。
 ホワイトイーグルの指揮官は、強く感じた。
『沿岸防衛用艦艇の共同開発計画が、あったはずだな。軌道に乗せる必要がある。』
 今後の日米関係をさらに強める為の計画を、算段し始めた。

 ブレードが空を斬る音と共に、血と、肉片、内臓の欠片が飛び散る。
 亡国企業が部隊を差し向ける度に、千冬が全滅させていた。
 途中で失神した指揮官は、何故かそのままにしていた。
 周囲には、人間の一部だった物が散乱してあたかも地獄絵図のようになっている。
 ホワイトイーグルの面々も、千冬の戦いぶりに戦慄していた。
 大統領直属部隊として極めて困難な任務に投入される百戦錬磨の部隊でも、首や四肢が飛び散る戦場はほとんど経験がない。
 全員が、千冬と戦わないでよかったと思い。同時に、敵に回した時のことを思うと体が震える。
「了解した…。では、頼む。」
 千冬は通信を終えると、真耶の方を向く。
「グロムから増員が来るそうだ。ここの警備を担当する。私達は、一夏の元へ戻るぞ。行く前に、シャワーを浴びて着替えてだがな…。」
「はい。」
 多くの死体を後に、千冬と真耶はその場を去った。
「そいつには、土産を持たせて向こうに戻らせる。私からのメッセージを添えてな…。」
 去り際に指揮官を見て、千冬はある事を依頼した。

「良かった。間に合ったようだ…。お急ぎを…。」
 シャワーで体を洗い着替えてからICUに向かうと、主治医が重い表情で千冬達に一夏の元へ来るように促す。
「まだ。意識は回復しませんか…?」
「はい…。それから、徐々にですが、ヴァイタルが低くなっています…。あと2時間。全力を尽くしますが。傍にいてあげてください。」
「血圧、さらに低下。」
「ノルアドレナリン、10γ。アデノシン4mg静注。」
 何とか血圧を上げようと、医師は薬剤の投与を増やす。
「ドブタミンは?」
「もうなくなります。」
「200に450mg入れて、1分に15適。酸素を30リットルオーダーしておいてくれ。」
 時計の針は10時を過ぎた、それでも一夏の意識は回復せずにヴァイタルは少しずつ低くなっている。
 刻一刻と、一夏は死に向かっているように見えた。
 それでも医師団は懸命に治療を続け、千冬達は一夏が意識を回復するのを待っていた。

 午後11時50分。
 依然、一夏の意識が目覚める気配はなかった。
 ヴァイタルの低下は緩やかになったとはいえ、確実に低くなっているのは事実である。
 懸命に打開策を探る医師たちの顔に、諦めの色が濃くなってくる。
『何か…。何か…、打つ手は…。』
 医師は懸命に考える。
「待てよ…。あれなら、ひょっとして…。ゾルピデム10mgを静注する。」
「どうするんですか…?」
「いいから、持って来い!!ひょっとすると、ひょっとするかもしれないんだ!!」
 疑問を持った看護師に、主治医が持ってくるように強く言う。

「行くぞ…。」
 医師が、呼吸を落ち着けて注射針を静脈にさして薬剤を投与する。
『うまくいってくれよ…。』
 理論的裏付けがあるわけではないが、主治医は以前に読んだ論文から最後の手を考えついた。
 無論、上手くいく保証はない。
 だがあと10分以内に意識を回復しなければ、一夏を助けるのは不可能になる。
 どんなに細い希望の光でも、それに縋るしかなかった。
 が、一夏の容態に変化はない。
 午前11時59分30秒。
 一夏の意識は回復しない。
『駄目か…。』
 医師が悔しそうに肩を落とすと、一夏の手が僅かに動く。

「一…夏…?」
 それを見た千冬が、顔を寄せる。
 一夏の瞼が、僅かに動く。
 そして、閉じていた瞳が開かれた。

「千…冬…姉…?」
 ぼやっとしか見えなかったけど、少しずつ視界がクリアになっていく。
 やっぱり、千冬姉だ…。
「山…田…先生…?」
 山田先生もいるのか…。
「冬…菊…?」
 あれ?
 何で、冬菊がいるんだ…?
 というか、ここは病院だよな…?
 ベッドアイソレータがあるって事は、無菌治療か…。
 しかも、ICUで…。
 おまけに、人工呼吸器にセントラルラインを通しての高カロリー輸液。
 鼻の違和感は、経鼻胃菅か?流動食か…。
 そして、あちこちに点滴がある…。
 どんだけ、薬剤使ったんだよ…。

「失礼。」
 医師が、聴診器で一夏の心臓と肺。そして腹の音を確かめる。
 ライトで瞳孔の反応を見て、安心したように息を吐く。
「精密検査が必要ではありますが、最後の峠は越えたと見ていいでしょう。後は、出来る限り早く通常の食事が摂れるようになれば、回復します。最初は、消化の良い物になりますが。」

「良かった…。一夏さん…。私…、もう…、駄目かと…。」
 冬菊が、膝から崩れ落ちる。
「あまり…、心配…させないでくださいね…。一夏君…。」
 真耶は必死に涙をこらえて、笑顔になる。
「一夏…。」
 手を握りしめて、千冬はただただ一夏の顔を見つめる。
 タイムリミットの8秒前。
 一夏は、意識を回復した。
 その知らせは、迎賓館にいる大統領と病院を警護している各国の特殊部隊。
 アヴァロンのクルー達。
 そして、IS学園に知らされた。

「ファイルス中尉、コーリング中尉をポーランドに派遣。それから、MARSOC(アメリカ海兵隊特殊部隊:MARine Special Operations Command)から兵を選抜。守りをさらに固めろ。フォースリーコンからも派遣。偵察活動に入らせろ。いつまた、襲撃が来るか解らんからな。その前にマークする。ポーランドへのホットラインを繋げ。話を纏める」
 ホワイトハウスでは、大統領命令でナタルとイーリ。
 それに、海兵隊の特殊部隊であるMARSOCから精鋭を選抜してポーランドに派遣する様に命令が下された。

 IS学園では、MLA−Vが離陸していた。
「いい。今まで織斑君に頼りっぱなしだったけど、今度は私達が織斑君を助ける番よ。また襲撃があった際には、敵を引っ掻き回す。整備も出来る限り早く終わらせる。それが私達のやる事よ。IS学園整備科の、意地と誇りに賭けてね。何より私達最上級生は、後輩を守るのも仕事なんだから。私達に出来ることは、全部やる。他の専用機持ちの子も、頼むわよ。いいわね!」
「「はい!!」」
 薫子達整備科の生徒達に、ヘンリエッテ達と協議の結果、連れて行けるだけの専用機持ちと準専用機持ちがポーランドに向かっていた。
 その他、ポーランドに部隊を派遣した国も協議の結果、必要に応じて様々な手を打つ。
 九死に一生を得た一夏を守る為、それぞれの国がやれる事をやる為に行動を起こしていた。
『一夏。待っていてくれ。すぐに行く。お前が体を癒している間、何としても守り抜いて見せる。この命に代えても…。』
 緋宵に加えて、ついさっき実家から届いた刀を箒は握りしめていた。
『一夏さん。私がすぐに参ります。どうか。ゆっくり体をお寝すみになられて下さい。』
 セシリアは、手を握りしめてポーランドの軍病院にいる一夏に心の中で語りかけた。

「先輩。来るってさ。オートクチュール付きで。」
「何よりね。私も送られてきたわ。オートクチュール。」
「奇遇だな。私もだ。寝る間も惜しんで、開発したんだと。とは言っても、大部分は織斑が担当してるんだけどな…。」
「こっちもよ…。ケイシー先輩のもだそうよ…。」
 フォルテと楯無は、溜息をつく。
 二度にわたって改修された、ミステリアスレイディ。
 一夏によって設計された、ケルベロスとエインガナ。
 どれも、高度な技術が使用された第四世代ISに匹敵する、ハイスペックな機体である。
 故に、パッケージやオートクチュールを開発するにしても、一夏の力がまだ必要な段階だった。
『一夏君。待ってて。すぐに行くから…。』
 調整がついて、ロシア国家代表である楯無もポーランドへ行くメンバーに加わっていた。
 さらに、ロシア軍からも部隊が派遣されている。

 カナダ空軍ガンダー空軍基地。
 民間空港としても機能しているこの基地から、エアバス A310MRTT。
 カナダ空軍では、CC−150 ポラリスと呼ばれている輸送機がポーランドに向けて離陸した。
『待ってろよ。織斑。すぐに、そっちに行くからな。』
 シートに座り、ダリルは静かに到着を待っていた。
 他には、JTF−2(統合タスクフォース2:Joint Task Force−2)から選び抜かれた精鋭もいた。
『去年、コード249の対象になった糞野郎どもか…。織斑を可愛がってくれた落とし前は、きっちりつけてやる…!楽しみにしてろよ…!私の後輩が作ったオートクチュールの凄さは、半端じゃないぞ…。』
 地獄の番犬の名を冠せられた専用機のオートクチュールの性能を思い浮かべながら、ダリルは静かに闘志を燃やしていた。

 一夏が最後の峠を越えた事が各国に伝わると同時に、嘗て一夏と共にIS学園で学んだダリルの母国カナダを始め、各国から精鋭たちがポーランドへ向かっていた。

後書き
怒りを全身に宿した千冬によって、次々と解体されていく亡国企業の兵士たち。
そして、その戦いぶりに恐怖を覚える百戦錬磨のSEALSの極秘部隊の兵士たちと指揮官。
日米関係をより堅固にすべく、指揮官は今後の事を考えます。
紡がれる怒りの曲。
増援に後の守りをゆだねて、生き残りの指揮官に何かを持たせて逃がした後、千冬と真耶は一夏の元へ。
刻一刻と迫るタイムリミット。
確実に小さくなる一夏の命の灯火。
それでも、医師は最後まで手を突くし、嘗て読んだ論文から最後の手を打ちます。
しかし、それも効果を表さずもう万策尽きたと思った時、一夏の意識が回復します。
カウントダウンで10を切った中での、本当にきわどい中での回復でした。
各国に知らされた後、今後の事を考えてさらに各国は守りを固める事を指示し、調整を済ませます。
IS学園からは、整備科と箒たちを始めとする何人かの専用機持ちと準専用機持ち。
今迄助けられっぱなしだった。
今度は、自分たちが助けて見せる。
そう心に誓った乙女達は、ポーランドへ向かいます。
そして、カナダからもダリルを始めとする精鋭たちが、派遣されます。
これで、旧IS学園ビッグ3が勢ぞろい、しかもオートクチュール付きです。
ISは一夏の手によってチューンされ、新たに開発されて、オートクチュールも一夏が設計を手掛けた物です。
さらに固くなる守りに対して、亡国企業はどう動くでしょうか?
ちなみに、アメリカでの強盗返り討ちは実話です。
知った時に、改めて日本刀の斬れ味の凄まじさを知りました。
















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