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zoom RSS 機動戦士Zガンダム〜ネオ・ジオン戦役〜 第48話 プル達

<<   作成日時 : 2015/01/09 23:48   >>

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「クィンマンサの戦況はどうか?」
「押されています。3機とも、NT専用ガンダムタイプと思われます。その中の1機は、侵攻コースからアムロ・レイ専用機の可能性が極めて濃厚。」
『どこまでも、苦渋を飲ませてくれる…!』
 ダカールでの戦い。
 そして今回の戦いでも、戦略を崩したアムロ達にグレミーは毒づく。
「他の戦線はどうか!?」
「Zタイプ2機を、止められません!」
『カミーユ・ビダン…!大義も知らぬ分際で、この私の邪魔をするか!』
「後方予備部隊を出せ!何としても、落とすのだ!!」
「はっ!」

 グランツを目指すカミーユとフォウは、グレミー軍の陣容が厚くなるのを感じていた。
「あのプレッシャーがあるにしても、向こうは私達をとっとと落としたいらしいわね。カミーユ。」
「それだけ邪魔だって事だよ。フォウ。背中は預ける。MS隊は手近な機と連携しつつ、各個撃破。孤立するな。」
「「了解!」」
 グレミー軍の予備部隊がカミーユ達を落とそうとするが、数々の激戦を生き抜いてきたロンド・ベルのパイロットとは練度に差がある。
 さらに、支援機としても汎用機としても運用可能なジムVカスタムの性能を活かされて、明らかに不利であった。
 それでもカミーユとフォウを落とそうとするが、2人の連携の前に悉く落とされる。
 通常戦力では虎の子の予備部隊は、短時間で損害を大きな損害を出していく。

『向こうは問題ないな。あとは、こっちか。』
 クィンマンサの猛攻は続いていたが、狙いはまるで出鱈目だった。
『完全に、駄々をこねる子供だな…。いや、子供なんだ…。本当に…。なら、やることは一つだな。』
 アムロは自分が何を為すべきかを理解して、実行することを決めた。
「やめろ。もう、やめるんだ。そんな出鱈目な攻撃で、俺には勝てない。ますます、自分を苦しめるだけだぞ。」
「うるさい!お前が悪いんだ!お前が私を苦しめるんだ!だから!」
 クィンマンサのファンネルコンテナから、一斉にファンネルが発射される。
 しかし、相変わらず狙いは出鱈目でλにはかすりもしない。
 逆に、バルカン砲で落とされる。
「大丈夫だ!」
 アムロの思念が、サイコミュを通じて強くプルツーに伝わる。

「えっ…?」
 自分でも理解不能だったが、プルツーは攻撃の手を止めた。
「俺は、お前を苦しめない。プルもマリーダも、お前を苦しめない。約束する。お前を苦しめる存在があるのなら、俺が叩きのめす。」
 機体を接触させて、直接アムロは話しかける。
「何でだ?私は敵だぞ!?それとも、同情か!?」
『解らない!どうして、そんな事が言える!?私はお前の敵なのに!!』
 クィンマンサのコックピットの中で、プルツーは涙を流していた。
 今まで、こんな言葉を掛けられたことはない。
 グレミーは、あくまで自分たちを道具としてみていなかった。
 求めていたのは、戦場で敵を倒す事。
 その為に、MSを与えられた。
 生きる為ではなく、敵を倒すために…。
「何故だ!?答えろ!アムロ・レイ!」

「俺は人間で、何より大人だ。それが理由だ。」
 アムロは静かに、だが優しく語りかけた。
「そんな事が、理由になるか!!」
 胸部のメガ粒子砲が拡散して発射されるが、相変わらず狙いは出鱈目だった。
「なるさ。子供を守るのが、大人の役目だ。俺の両親はそうじゃなかったけど、俺はそうでありたい。それは理由にならないか?」
 アムロのいう事が、プルツーには理解できなかった。
 周囲の大人が、自分を守ってくれたことなどなかった。
 ただ、自分を利用するだけ。
 自分を守るのは、MSという鎧と己の力。
 それ以外の事など、考えた事もない。
 だが、アムロは自分を守ると言っている。
『何故だ?何故、そう言える?何故、そう考える?』
 プルツーはアムロのいう事が理解できずに、サイコニュートライザーの影響を抜きにしてもクィンマンサのサイコミュは異常をきたしていた。

「これは?」
「どうした?何があった。」
 グランツの艦橋、プルツーのデータを監視していた科学者にグレミーは訊ねる。
「クィンマンサのサイコミュが、異常稼働しています。処理が滅茶苦茶です。プルツーの脳波パターンが、今までにない物に…。」
「原因は?」
「不明です。こんなケースは、初めてです!」
 自分の知識では手の付けようがなく、科学者も混乱していた。
「クィンマンサを中心とした周辺宙域の、IFFシグナルを表示せよ。」
「はっ!」
 舌打ちをしながらオペレーターに指示を出したグレミーは、結果を見て指揮官席に拳を叩き付ける。
「ロンド・ベルだと!?」
「はっ!」
『カミーユ・ビダン?いや。奴は、こっちに向かっている。とすれば残るは…。』
 解答を導き出したグレミーの表情は、憎悪と怒りに満ちていた。
「アムロ・レイ…!どこまで、ジオンの理想を踏みにじるか!!クィンマンサのサイコミュに割り込みを掛けろ!奴らの小細工を遮断!プルツーに洗脳処置を!」
 グレミーはプルツーを人間扱いしていないので、当然信頼もしていない。
 故に、密かに保険を掛けていた。
 それが、サイコミュに対する外部操作と強力な催眠システムによって、より戦闘的にする措置だった。
「駄目です!システムにアクセスできません!催眠も効果なし!おそらく、外部からの脳波が遮断していると思われます。プルツーと同じDNAを持つ者の脳波と、思われます。」
「プル達か!飼い主の手を噛んでくれるとはな!」
 掛けていた保険に全く効果が無いと理解したグレミーは、今までの自分のプル達への接し方がこの事態を招いたと全く考えていなかった。
「クィンマンサの通信に割り込みを掛けろ!」
「は、はっ!」
『人形如きが、私の指示に従わぬなど許さん!』

「戦え、プルツー!奴の戯言に、耳を貸すな!」
 クィンマンサの通信に、グランツの通信が割り込みを掛けてグレミーが命令する。
「私は…。私は…。」
「お前の創造主は、この私だ!お前は、私の命令に従う人形。それ以外の事など、考えるな!」
 アムロは、クローン技術と遺伝子操作で生み出された自分を1人の人間として見て話しかけた。
 だが、グレミーはあくまでプルツーを、物と見て命令した。
「私は…。私は…、どうすれば…。ぐっ…!頭が…!!」
 アムロとグレミー。
 自分に対する態度が、正反対の存在。
 それに対する戸惑い。
 それが、プルツーをパニックにして強烈な頭痛をもたらした。

『おかしい…。プルツーの様子が何か…。』
 ニュータイプとしてのアムロの感覚が、プルツーに生じた異常を感じた。
「リスクがないわけじゃないが…。プル。マリーダ。済まないが、ここを守ってくれ。」
「「了解。」」
 アムロは、ハッチを開けてクィンマンサの頭部に取りつく。
『俺だ。アムロだ。頼む。伝わっているのなら、ハッチを開けてくれ。』
 アムロは祈る様に、思念を送る。

『何だ?痛みが、少しやわらいだ…。』
 激しい頭痛が少しやわらいだ事で、プルツーは少し平穏さを取り戻した。
『プルツー。俺だ。アムロだ。頼む。開けてくれ。俺と直接話してくれ。』
『アムロ…、レイ…。お前なのか?』
 コックピットのモニターには、頭部に取りついたアムロが映っていた。
『何故だ?何故、そこまでできる?私は、お前の敵だぞ!?次の瞬間、お前を握りつぶすかもしれないんだぞ!それでも…。』
『それでも、放っておけない。敵味方とか、そういう問題じゃない。俺は、人間だ。お前を放っておけない。』
 思念を通して、アムロの気持ちが伝わってくる。
 そして、プルとマリーダが自分達を守るように必死に戦っていた。
『プルツー。アムロを信じて。大丈夫。私が保証するから。グレミーよりも何百倍も優しい人なんだから。』
『私は、アムロさんから名前を貰いました。新しい名前を。だから…。』
 アムロに加えてプルとマリーダの思念を感じ、知らず知らずのうちにプルツーはクィンマンサのハッチを開放していた。
「やっと会えたな。お姫様。」
 間近で目にしたアムロの笑顔は、プルツーの知らない優しさに満ちていた。

「おのれ!おのれ!おのれ!」
 グランツのブリッジのクルーが見たグレミーの顔は、いつものそれとは違った。
 只の道具でしかないプル達に、裏切られた怒り。
 どこまでも、自分たちの邪魔をするアムロ達への怒り。
 その二つが、未知のカクテルを作りだしグレミーの血管を流れているようだった。
「敵MS部隊。さらに防衛線を食い破ります!」
 オペレーターの報告を聞いて、グレミーはようやく冷静さを取り戻す。
「出せるMSは全て出せ。進路上のMS部隊は消耗させることに専念せよ。息切れさせるのだ。しかる後に殲滅。クィンマンサは反旗を翻した。撃破せよ。これは命令である。」
 もはや、プルツーを戦力としては数えられない。
 ならば、アムロもろとも撃墜する。
 グレミーは、そう決断した。

 クィンマンサを撃墜すべく、MS隊が迫ってくるのはクィンマンサのコックピットにいるアムロとプルツーからも当然見えた。
「借りるぞ。後ろに。」
「あ、ああ…。」
 アムロがシートに座り、プルツーは後ろに下がる。
「ファンネル!」
 残ったファンネルをコンテナから射出して、アムロは次々とMSを撃破していく。
「グレミー・トト!聞こえているな!この子たちは、お前の道具じゃない!自由になる権利を持っている!」
 通信回線を通じて、アムロはグレミーに怒鳴る。
「戦場で、何を寝ぼけている。裏切り者は粛清する。当然だろう。貴様もついでに葬ってやろう。大義も知らずに戦う愚か者が。」
 グレミーの言葉が、アムロの怒りの導火線に火を点けた。
「何が大義だ!罪も無い人々を毒ガスで虐殺し、コロニーを落として地球とそこに住む人々を痛めつけるのが大義か!?何も知らない子供たちもそこにいたんだぞ!その子達に、何の罪がある!?」
「大義に犠牲はつきものだ。地球に住むウジ虫どもの目を覚まさせて、導く為のな!」
「ふざけたことを抜かすな!それがザビ家の大義か!貴様たちがやっていることは、虐殺行為に厚化粧をしてごまかしているだけだ!人々を導くとか大言壮語を口にするなら、もう少しましなやり方を見せて見ろ!まして、プル達を!子供を強化人間に仕立て上げて、戦場に送り出す事のどこに大義や正義がある!お前のどこに、そんな権利がある!?もしあるというのなら、俺はそれを嘲笑って叩き潰してやる!」
「面白い。やれるものならな。」
「よし。そこで待っていろ。貴様の下らん大義や正義を土産に、地獄への道案内をしてやる。」
 クィンマンサの通信装置のスイッチを切ると、アムロはプルツーを見る。
「済まない。話が出来なかったな。どうする?」
「もう、グレミーの所には戻れない。お前のせいだ。責任を取れ。」
 拗ねながらも、嬉しさを垣間見せてプルツーはアムロを見る。
「解った。プル。マリーダ。いったん戻ってくれ。プルツーを…。」
 言いかけて、アムロは少し考えた。
「ライムをネェルアーガマに連れて帰って、2人とも直衛に回れ。」
 プルとマリーダに通信を入れると、アムロはプルツーを見る。
「さし当たっては、君に新しい名前を贈るよ。ライム。ライム・クレーメルス。それが、君の新しい名前だ。」
「悪くないな。受け取ってやる。」
「そうか。」
 アムロはλに戻って、ネェルアーガマに戻るプル達を見届ける。
「さて。首を洗って待っていろよ。グレミー・トト。」
 アムロはフットペダルを力強く踏み込んで、グランツに向かった。

後書き
今回のメインは、プル達とアムロです。
アムロとプルツーを引き会わせるのはいいとして、さあどうしようかと考えましたがシンプルに行く事にしました。
どれほど強力なNT能力を持っていても、プル達は子供です。
その子供に必要なのは、守ってやる大人の暖かさと愛情。
それを与えられない子供が、幸せでしょうか?
私の家は、決して豊かではありませんでしたが両親がいて愛情を注いでくれて不幸だと思った事はありません。
逆に言えば、裕福な家に生まれても愛情を与えられなければ、幸福とは言えないでしょう。
子供の健やかな成長に、親の愛情は絶対条件ですからね。
その点で言うと、アムロはあまり家庭的に恵まれてはいません。
これは、原作を見れば解るかと。
ガンダムを始めて動かしたときに、父は行方不明。
母親と再会するも、親子とは思えない関係。
父はコロニーの外に放り出されて低酸素症になったせいで、脳をやられていました。
だから、親の愛情の貴重さを普通より知っていると思うんですよね。
だからこそ、ブライトやミライ。他の仲間達がいるホワイトベースは「帰れる場所」だったのではと思います。
家族と住む「家」も同然なのですから。
それと比べて、グレミーがプル達に優しく接していたでしょうか、お世辞にも言えませんね。
だから、アムロを受け入れた理由を理解できなかった。
これで、プル達はアムロの元に。
プルツーも、ライム・クレーメルスという新しい名前を貰いました。
名の由来は、ラトビア語で幸せを意味する単語のライムと、ラトビア出身の音楽家の人からです。
え〜、ちょっとツンデレ気味のライムですが、敢えてそうしました。
普通にデレるより、ツンデレっぽい方が似合っていると思いましたので(笑)。












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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
ネオジオン戦役最新話を拝見しました、ZESTです。 グレミー君、見事なド外道自滅フラグ発言をありがとう。 そしてアムロさんの@ガ@ス@@拳で冥府へ墜ちるがいい(オイ)。 冗談はさておき、今回でプルツーが救済されて良かったですね。 ただ、戦後にベルトーチカやエキストラ出演で出ると思われるクェスと修羅場になりそうですが(苦笑)。
ZEST
2015/01/14 07:26
コメント(2) 今小説のグレミーは、種運命時のラクスやキラに考え方が似ていましたね。 キラもフレイを目の前で殺されたのに、シンからステラを奪い、ラクスも暗殺されかけただけで自分がオーブにいた間にプラントを治めていたデュランダルとミーアを悪と決めつけたのを大人になって見直した時には、アスランを除く三隻同盟の面々を好きにはなれなくなりました。
ZEST
2015/01/14 07:39
コメント(3) 今回の話を読んで、本多知恵子さんが天国に逝ってしまった事を考えると、切なくなってしまいました・・・。第3次スパロボZでは、プルとプルツー、マリーダの共演が見たかったなぁ・・・。
ZEST
2015/01/14 07:44
ZESTさん。
コメントありがとうございます。

>グレミー君、見事なド外道自滅フラグ発言を
>ありがとう。 そしてアムロさんのガス
>拳で冥府へ墜ちるがいい(オイ)
 え?流○拳程度でいいんですか?
 私は彗○拳でも足りないので、射○座の黄
 ○聖○を纏って、アト○ックサン○ーボ○
 トと、ブライト艦長の廬○百○覇のダブル
 コンボでも物足りないですけど。
 さあて、どう料理してくれようか。
 フフフ…。楽しいなあ…。

>戦後にベルトーチカやエキストラ出演で出
>ると思われるクェスと修羅場になりそうで
>すが
 この二次創作では、嫉妬深いベル。
 さあて、数時間で済むのか?
 アムロは、生き延びる事が出来るか?
CIC担当
2015/01/20 22:10
コメントその2です。
>今小説のグレミーは、種運命時のラクスやキ
>ラに考え方が似ていましたね。
 そうですか?
 ひょっとしたら、独善という面では似通っ
 ているのかもしれませんが、キラ達の場合
 は「正しい」とは何かという答えを考えな
 がら行動していたように思えましたよ。
 むしろ、シンの方が酷かったですね。
 ステラを助けたかったのは解ります。
 しかし、結果はどうでしょうか?
 都市を焼き、何の罪もない一般市民を生き
 ながら蒸発させる地獄絵図をこの世に生み
 出してしまいました。
 少し広く見ると、シンの方がより罪は深い
 ですよ。
 キラはそれを一貫して止めようとした。
 それだけなのに、シンは自分が正しいから
 処分なしと思っている時点で、見事にピエ
 ロになっていましたからね。
 自分が誰かに利用される。
 それを考えなかった段階で、阿呆と言われ
 ても仕方なかったですよ。
 それに、議長の怪しさをうかがわせる点は
 多くありました。
 少し冷静になれば、それに気づくのは難し
 くなかったですね。
 私はシンの独りよがりの方が、よほどひど
 いと思いましたよ。
CIC担当
2015/01/20 22:10

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