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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第127話 想いを力に<前篇>

<<   作成日時 : 2014/11/09 23:03   >>

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「はあっ!!」
 龍王の一撃が、俺に襲い掛かる。
 やっぱり、格段に腕を上げてるよな。
 去年使った、攻撃特化追加兵装パッケージ「崩山」。
 中国語で地鳴りを意味する名のごとく、増設されて4門になった衝撃砲の威力は凄まじい。
 けど、弱点がある。
 衝撃砲を追加した分、甲龍の総重量が増えて機体のバランスも悪くなったのも加わって機動性と運動性能が落ちていた。
 さらに、燃費も悪く稼働時間がだいぶ短くなっている。
 開発陣も、それは承知の上だったんだろう。
 バランスがよく稼働時間が長くて信頼性も高いが、パンチ力に掛ける部分がある。
 そこは、ボクシングで言えばジャブで徐々にダメージを蓄積させて、最後に止めを刺す。
 キックボクシングで言えば、ローキックで太ももにダメージを与えて蓄積したダメージで相手が自滅するように戦う。
 崩山を量子化した時の戦い方は、真逆だ。
 スピーディーとは言えないし細かいテクニックを駆使するタイプじゃないけど、相手が少しでも怯んで隙を見せたら一気にラッシュでKOするタイプの選手だ。
 俺なんかは、通常の甲龍より崩山を使用した甲龍の方がやりやすい。
 
 けど、今回鈴が使用している崩山は、メインスラスターだけじゃなくて各部に姿勢制御スラスターを搭載して、機動性と運動性もさほど落ちていない。
 ウィークポイントだった燃費の悪化も、充分に考慮されている。
 オペレーションエクステンダーの技術を、ふんだんに使用しているな。
 元々は、白式や紅椿の燃費の悪さに頭を抱えて、戦闘機の増槽にヒントを得て開発した、IS版増槽だ。
 概念的には目新しいものじゃないから、物にしやすかったんだな。
 甲龍の1回目の改修から、使ってたしな。
 おまけに腕部中口径衝撃砲は、消費エネルギー据え置きでしっかり威力が向上しているから困ったもんだ。
 当たらなければいいんだが、近接戦でも使用できるから注意する必要がある。
 甲龍は兵装の大部分が固定兵装だから、その気になれば近接戦闘をしながら機を見てゼロ距離からの一斉射撃もできる。
 固定射撃兵装は射角が限られるのがたまに傷だが、近接戦闘をしながら攻撃ができるのが嫌な所なんだよな。
 特に、俺みたいなインファイターの傾向が強いタイプは、嫌いなんだよな。
 甲龍みたいなISが。
 幸い実戦経験はたっぷり積んでいるので対応できるし、鈴との模擬戦を通じて衝撃砲と同様の原理の兵器に対しては、大気の極めて微妙な変化も解るようになったからハイパーセンサーが警告する前に解るようになった。
 白式の瑠璃翼も近接戦闘をしながらのゼロ距離射撃ができる。
 銀蘭に、鳳仙花もあるしな。
 さらに言えば、鈴が如何に伸びているとはいえ俺にはまだまだ及ばない。
 勿論、気は抜かないけどな。
 隙あり!
 それと、由香里の援護しないとな。
 八竜と流星で、セシリアを牽制する。
「くっ!しまった!!」
「かかったわね!セシリア!」
 由香里が散布した魂振が、セシリアに一斉に襲い掛かる。
 魂振はレーダー波、エンジン音、赤外線等に反応するパッシブ方式がデフォルトだから、迂闊に散布されたポイントに行くと一斉に喰らう。
 静粛性や赤外線抑制を追求したISでも、瑞鳳が目標を指示し続けるモードもある。
 辻島重工も考えたな。
 機雷っていうありふれた兵装にアイデアを詰め込んで、これだけ使える兵装にしたのは見事だ。
 炸薬も新型で強力な物を使用しているから、近距離で撃ち落とすと爆発した際に視界がふさがって隙が出来る。
 そして、その隙を魂振は見逃さない。
 もちろん魂振の搭載量も制限はあるから、よく考えて使う必要はある。
 けど、由香里自身魂振の使い方は自分でも十分に研究して、過去の戦争における機雷の運用に関する記録も何度も目を通している。

『あの機雷。厄介ですわね。親を潰さない事には、どうしようもありませんわ。ライフルを破壊すればいいのですけれど、予備のライフルも最低1基はある筈。隙を与えないようにするしかないですわね。』
 実力で言えば由香里はまだセシリアには及ばないが、一夏の牽制や援護が非常に嫌なタイミングで来るので予想以上に苦戦していた。
 追加パッケージの娑伽羅は第二世代迄の技術で開発された追加パッケージだが、一夏が開発しただけあって各所に様々なアイデアが盛り込まれて由香里とセシリアの実力差を予想以上に埋めていた。
『鈴さんが一夏さんを抑えて下さらないと、このままでは…。』
 娑伽羅の兵装の一斉斉射を避けながらセシリアも反撃するが、由香里は落ち着いて回避してダメージをほとんど負わないでいる。
 そこに、背後から八竜が襲い掛かりブルーティアーズは直撃を喰らう。
 その間も、一夏は鈴を相手に圧倒的に優勢のまま試合を進めていた。

「霧島さんも随分スキルが伸びましたけど、やはり…。」
「一夏の存在が大きい。鳳を圧倒しながらオルコットを牽制し、霧島を的確に援護している。事実上、オルコットは2対1で戦っているのも同じだ。それに、娑伽羅といったか。枯れた技術で作ったにしては、第三世代クラスの追加兵装パッケージと同クラスの性能だ。大事なのは最新技術を使うのではなく、最新の技術を含めた今ある技術を、如何に活かすかか…。見ろ。各国のISメーカーの上層部が、娑伽羅をかなり真剣な目で見ているぞ。
「衝撃は大きいでしょうね。」
「だろうな。」
 IS先進国では第三世代ISを実用化すべく研究開発が進められているが、同時に第三世代IS用に従来より強力な追加パッケージの開発も進められている。
 そして、どのメーカーも最新技術を盛り込んでいるが、逆にそれが足かせとなって開発が進んでいないメーカーも少なからずある。
 そんなメーカーにとって娑伽羅は大きな衝撃を与えられる追加兵装パッケージであり、今後の開発のヒントにしようと真剣な目で見ている。

 思ったよりセシリアが前に出ているのは予定外だが、こちらの作戦通りに試合は進んでるな。
 近接戦闘を挑んでくる鈴の相手をしながら、俺がセシリアを牽制、由香里の援護もする。
 娑伽羅に使っている技術は枯れた物だけどそれだけに信頼性は高いから、完成度も高い。
 あちこちいろいろ工夫して、スペックは第三世代ISの追加パッケージにも負けてない。
 だから、由香里も何の不安も無く戦える。
 最新技術を導入した物の、リスクファクターがあるようじゃ使う側としては結構戦々恐々だからな。
 由香里も、このタッグマッチで大分経験を積んでスキルも向上した。
 まだ、セシリア達には及ばないけどそう簡単に負けはしない。
 俺の援護があれば、充分に戦える。
 後は、俺が鈴を戦闘不能にしてチェックメイトだ。
 それじゃあ、もうちょっとトルクを上げるか。

『一夏が、勝負を決めに来た…。性能が増した崩山を使っても、まるで歯が立たない…。』
 甲龍の追加兵装パッケージ崩山は、去年の臨海学校での亡国企業の襲撃のデータを基に各部に手を加えられ、今回のタッグマッチ前に鈴の要求を受けて改修されている。
 特に一夏の相手をすることを考慮すると機動性と燃費の向上は絶対条件だったので、改修の最重要項目に鈴は上げていた。
 本国では、それを基に改修と調整が行われ鈴に送られている。
 強大な火力、機動性、甲龍の特徴である燃費と高い稼働率。
 これらを備えている今の甲龍は、他のペアにとっては強敵出会うことは間違いない。
 だが、一夏にとってはさしたる脅威ではなかった。
 性能の差もそうだが、一夏と鈴の技量に絶望的な差がある。
 鈴の剣戟はかすりもせずに、その後の刹那の瞬間に出来る隙に一夏は攻撃して甲龍のシールドは削られ続けている。
 ゼロ距離での百龍の攻撃すら、一夏は大気の変化を察して軽々とかわす。
 人間が持つ全ての感覚を研ぎ澄ませ、それに今までの鍛錬で磨いた技量を反映させる一夏の攻撃の鋭さは他の生徒の追随を許さない。
 歴代生徒会長の中でも、一夏は最強と誰もが認める。
 その一夏と一対一では、いくら近接戦を重視した甲龍を駆る鈴とといえども劣勢を覆すのは不可能と言ってもいい。
『でも、負けたくない…。一夏達に勝って、優勝して1つでいいから御願いをかなえてもらって二人きりでデートしてその後…。』
 既に、セシリアもプロポーズしている。
 試合前にプロポーズはしたが、離れていた距離を縮めたに過ぎない。
 だからこそ、さらに離す必要があった。
 そのプランを、鈴は立てていた。
『けど、このままじゃ…。』
 既にシールドエネルギーは、3割を切りそうになっている。
 しかも、トーナメントという長期戦を考慮して、一夏は零落白夜を使っていない。
 使っていれば、とっくに勝負はついている。
 白式になるべく無理をさせない。
 つまり、ダメージを蓄積させないで準決勝、決勝で存分に戦えるようにしている事は明白だ。

 龍は天に昇る。
 今こそ、その時。
 娘よ。更なる高みに昇るを望むか?

 鈴の頭の中に、声が響く。
 浮かんだイメージでは、一匹の龍と向き合っていた。

『昇るわ。昇りたいから…。勝つ為に…。』

 何故に勝利を求める…?

『力が欲しいから、あいつの為に。あいつを支える為に。私の想いを伝えるために。』
 鈴は、力を欲する理由を嘘偽りなく答える・。

 解った。
 では、昇るがいい…。

 なんだ?このエネルギー反応…。
 説明しがたい何かを感じて、俺はいったん距離を取る。

「甲龍にエネルギー変性を確認!このパターンは…。」
「オルコットに続いてか…。バーゲンセールだな。まるで。」

 SYENRON SECOND FORM
 “INNON”

「甲龍第二形態、応竜…。」
 ディスプレイの表示を見て、真耶は表情が変わる。
 クラス代表対抗戦の際のブルーティアーズに続いての、第二形態移行。
 原因は特定できないが、IS学園の現在の環境。
 特に、白式と何らかの因果関係があると考えるだろう。
 2年生の専用機持ちでは、セシリアと鈴は最古参。
 白式との戦闘データの蓄積も、多い。
 本国での機体の調整でも、白式との模擬戦のデータは様々な教訓を技術陣にもたらし貴重な財産となっている。
 1年生の専用機持ちは、現在5人。
 事と次第によっては、6人目が転入しかねない。
『織斑君の立場が、また微妙な物になるわ…。今日中に、織斑先生と対策を話し合わないと…。』
 いつもどおりのポーカーフェースで試合の状況を見る千冬を、真耶は一瞬見て試合に視線を戻す。

 ここで、甲龍が第二形態かよ…。
 何か、全体的に変わってるな…。
 肩部のパーツが、最大の特徴だな。
 衝撃砲が左右それぞれ連装に、つまり4門になっている。
 各部の装甲形状も若干スマートになっているし、メインスラスターの推力が相当向上していると見て間違いない。
 姿勢制御スラスターも、あちこちにある。
 腕部には、衝撃砲に加えてクロスボウ状の射撃兵装がある。
 何かは解らないが、危険と見てよさそうだ。
 鉄蛇の発展型らしい兵装は、先端がビームダガーになっている。それだけじゃないだろうけどな。
 他の射撃兵装も、危険な香りが嫌になる程してくる。
 メインの近接兵装の青龍刀は、刃事態がビームブレードの発生装置になっている。
 質量自体が武器になる青龍刀の特性をそのままに、出力の高そうなビームブレードのおまけつきかよ。
 はっきりいって、ぞっとしない。
 しかも、シールドエネルギーも稼働エネルギーも完全回復。
 十中八九、甲龍の最大の持ち味である燃費の良さと稼働率の高さは向上しているだろう。
 こういう事態は、勘弁してほしいぜ…。

「な、何と。ここで鳳さんの専用機甲龍が第二形態に移行。ええ。こちらに入ってきた情報によりますと、第二形態応竜。名の由来は、四霊と呼ばれる特別な霊獣の一つとの事です。圧倒的優位に立っていた織斑生徒会長ですが、ここで一気に巻き返しとなるのでしょうか?」
 各国のVIP。
 特に、中国からVIPのあたりが賑やかだ。
 そりゃ、第二形態移行したんだから当然だよな。
 問題は、ワンオフアビリティがあるか否かだ。
 なくても、面倒なことに変わりはないけどな。

『これなら…。今の甲龍なら、一夏とも今以上に戦える…。』
 機体のデータを見た鈴は、勝負を巻き返せる可能性を見出したように感じた。
『なら、戦うだけだわ!』

『セシリア。一気に攻めましょう。こっちは稼働エネルギーもシールドエネルギーも完全回復。一夏もそれなりに疲労はあるはずだし、霧島さんのスタミナはそれほどじゃない筈よ。チャンスだわ。』
『そのようですわね。一夏さんを、可能な限り抑えて下さい。私も出来るだけ早く勝負を付けます。』
『お願いね。』
 通信を終えると、鈴は呼吸を整える。

「いくわよ!一夏!!」
 ビームブレードタイプの青龍刀「驪竜」で、一夏に斬りかかる。
『スピードもそうだけど、パワーも増してるな。それに青龍刀の重さまで来る。第二形態移行で、かなりスペックがアップしてるな。でもな…。』
 受け流して、一夏は横薙ぎでダメージを与える。
『次の一撃に繋げるスピードは、こっちが上なんだよ。』
 青龍刀の様な武器は、切れ味よりもむしろその重量が武器になる。
 斧や鉈に、武器の性格は似る。
 一撃必殺。
 重量級の武器に共通する、特性だ。
 一方、日本刀は次の一撃も考慮した形状と重量になる。日本刀の切れ味は世界でもトップクラスだがそれを次の一撃に活かせるようになって、初めて日本刀を完全に使いこなせるようになる。
 一夏は青龍刀のような重量級の武器の性格は、今までの鈴との模擬戦で熟知しているのでそれを逆手に取った戦い方も既に身に着けている。
















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後書き
準々決勝最後の試合です。
一夏達が優勢に進めていましたが、何とここで鈴の想いに答えるが如く甲龍が第二形態移行。
稼働エネルギー、シールドエネルギーが回復し、なにやら物騒な物もありそうな。
特に衝撃砲が4基になったのは、何かと大変かもしれません。
そして、問題はワンオフアビリティがあるか否か。
それ次第によって、試合の流れは違ってくるでしょう。
特に、由香里はセシリアと1対1になると不利になるのは、自明の理。
一夏はどう出るでしょうか?
そして、第二形態移行後の甲龍の性能は?

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