cogito,ergo sum

アクセスカウンタ

zoom RSS ヨルムンガンド二次創作 第40話 go for it

<<   作成日時 : 2014/11/26 23:59   >>

面白い ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

「久しぶり。南。」
「ココも元気そうじゃん。あ、例の件は順調だよ。いい知らせが出来る。で、どうしたの、ソフィ?何か、凄く脆い感じじゃん。」
 蝶を優先してはスケジュールをないがしろにして、みっちり説教をされる南はソフィが大の苦手だった。
 だが、今のソフィにいつもの印象はない。
 魂は抜け、酷く脆く儚げな感じだった。
「気分転換は、そういうことか…。」
 煙草に火をつけた南は、頭を掻きながら事情を大体把握した。
「詳しい事は、中で話すよ。」
「了解。マリーンさん。最上階に連れて行ってあげて。風景が一番よく見えるのはあそこだからね。それと、アイスティーとお菓子を適当に見繕って。」
「はい。ドクター。ご案内します。」
「はい…。」
 マリーンに連れられて、ソフィはメルヒェン社の工場に入った。
「んじゃ。私達も話ししようよ。進行状況の報告もあるけど、今のソフィも気になるしさ。」
 少し遅れて、ココと南も工場に入った。

「何?ヘクマティアル達が、ドクターマイアミの所に来ただ?南アの軍との取引じゃねえのか?」
「それらしい気配は、一切ないッスよ。途中で、荷物を増やしてもいないようですし。」
 ロンドンで、別件の資料を読んでいたスケアクロウは、南の監視をしていたショコラーデの連絡を受けて考え始めた。
『どういうことだ。ドクターマイアミが、ただの玩具工場のエンジニアじゃねえくらい解っていたが、ヘクマティアルと関係がありすぎだろ…。』
 ココに関する資料を、引出から取り出す。
『奴が儲けた金が、メルヒェン社に株式やら融資の形で流れ込んでいるのは知っていたが、増資した分を全部買い漁りやがった。あの工場。一体、何だってんだ?』
 考えたが、ここにある資料だけでは答えには辿り着かなかった。
「手前は、引き続き監視続けろ。ドクターマイアミだけじゃねえ。ヘクマティアル達の監視も忘れるなよ。何かあったら、連絡寄越せ。」
「了解ッス。」
 イリジウム携帯のスイッチを切って、別の番号にかけ直す。
「俺だ。ラースンを大至急俺んとこに来させろ。ああ?理由?手前が知る必要はねえ。とにかく、明日、朝一番の便でロンドンに来させろ。いいな。」
 CIA本部に電話を掛けると、スケアクロウは仕事を中断して、考え込む。
『ヘクマティアル、ドクターマイアミ、そして、玩具工場。加えて、あのガキときていやがる。解らねえ事だらけだ。おまけに、あのガキが来てからヘクマティアルの金の流れの解明が恐ろしい程に難しくなりやがった。傍に専門家がいねえと、差が開くばかりだ!見てろよ。必ず、追いついて有り金分捕ってやるぜ。』

「成程ね〜。そういう事があった訳か…。」
 煙草に火を付けながら、南はどこか思う所があるような口調で言った。
「ま。当然と言えば、当然じゃない。別に本人に落ち度がある訳でもないのに、両親殺されて殺しの技術を仕込まれて、あとは商品として戦場に売られて、ずっと戦って戦って戦い続ける。子供の頃からそれじゃあ、心が軋むし、世界に恨み言の一つも言いたくなるよ。普通。」
「言われなくても解ってる。一番の問題は、あのダメージの大きさ…。ある程度は予想していたけど、あそこまでとはね…。」
 ココは溜息をつきながら、コーラを飲む。
「で、これからどうするの?なんなら、こっちで引き取るよ。事務処理能力はピカイチだし腕も立つ。有能な秘書はいくらいても困らないし、その方があの子の為かもね…。」
 本人の希望次第だけど。と、付け加えて、南はココにこれからの事を聞く。
「皆でしばらくここにいるよ。環境が違う所にいれば、少し心が安らぐだろうし、整理も出来ると思う。」
「そうだね。それでもいいんじゃない。温泉もあるし、ゆっくり休んでゆっくり考えればいいよ。」
「うん。面倒掛けるね。」
「水臭い事言うなよ。ココ。私はあんたのたった一人の親友だろ?私がここで好き勝手やれるのも、あんたのお蔭だし。」
 気にするなと言わんばかりに、南が手をヒラヒラと振る。
「じゃ。本題に入るよ。」
 その言葉で、ココの表情が変わる。

 その頃、ソフィは最上階でアイスティーを飲みながら、風景を眺めていた。
 何かを考えようとはしたが、考える前に結論は一つだという確信を持った。
『結局、道は一つだけ…。それ以外にはない…。僕に出来ることは、ただ一つ…。』
 ソフィは自分の手を見つめる。
『そう。たった、一つ…。もう、他に歩ける道はない…。歩いていい筈もない…。』
 クッキーを幾つかつまむと、ソフィは傍に置いてあるバックの中にある銃とノートパソコンを取り出す。
「まずは、遅れを取り戻さないとね…。それに、前々からやっておこうと準備していたこともあるし…。」
 銃を分解して整備を始めながら、ソフィはこれからのプランを考えていた。

「あの…。ドクター。」
「ん?どうしたの。マリーンさん。」
 心配そうな顔つきで、マリーンがココと南の部屋に来る。
「ミスターアルムフェルトなんですけれど、その…。」
「ソフィが、どうかしたの…?」
「いえ、お部屋にはいらっしゃるんです。けど…、銃の整備をしていらっしゃって…。一応、お知らせした方がいいと思って…。」
「御免。ちょっと、行ってくる。マリーンさん。ありがと。」
 ココは、部屋を出る。
「な〜んか、変わったね。ココ。ま、変わるのが必ずしも悪いとは言えないけどさ。」
 南は、意外な物を見たという顔になる。

「ああ。ココさん。御心配をおかけしました。もう、大丈夫ですから。」
 そう言って、ソフィは手入れを終わった銃をしまい、手を洗ってからデスクのノートパソコンに向き合う。
 作業をしようとした時、ココはソフィに抱きつく。
「やめよう…。少なくとも今は…。休まないと…。ね…?」
「平気ですよ…。少し休んで理解したんです…。結局、僕には他に道なんてないんだって…。今更、他の道を歩くなんて、赦されないんだって…。」
 抱きついてきたココの手をそっと握りながら、ソフィは言う。
「だから。もう、大丈夫です…。心配してくれて、ありがとうございます。でも…。もう、平気です…。やる事も、一杯ありますからね…。」
「駄目。ここにいる間は、仕事は禁止…。ソフィは気づいていないかもしれないけど、自分に嘘ついたままだと、いつか…。」
「大丈夫です。今までどおりですよ。心配ありません。」
「とにかく、禁止。こっちにいる間は、ゆっくり休む。ここには温泉もあるから、ゆっくり休もう…。ね…。」
「はい…。」
 ここまで言われると、ソフィも折れざるをえなかった。
「うん。そのまえに、ちょっと散歩行こう…。気分転換になるよ。」
「解りました。けど、拳銃は持っていきますよ。何があるか解りませんから…。」
 ホルスターを身につけてベレッタを入れ、予備マガジンを2つ入れて、ココとソフィは散歩に出かける。

「いい景色でしょう?ここいらは、南がいっつも蝶を追いかけに来る場なんだよ。ソフィにとっては、南が蝶を追いかけすぎるのは勘弁してもらいたいところかな。私との約束、平気ですっぽかすし。」
「きちんと約束を守ってくれれば、蝶だろうがなんだろうが追いかけてもどうこう言いませんよ。ココさんが進めていることに、支障が出るのが困るから、約束を守って欲しいだけですし…。」
「大丈夫。大丈夫。ソフィがびしっと言えば、約束は守るよ。カレンもいるしね。」
 ココは、とにかく自然に触れさせたりして気分転換をさせようとしていた。
 精神医学でいう、行動療法である。
 とにかく、気持ちの切り替えが出来なければソフィの心は持たない。
 それだけは、防がねばならなかった。
「カレンさんは、まだ甘いですね。ドクターの行動の先の先を読めるようにならないと、きちんと仕事に着かせるなんて無理ですよ。本業のおもちゃ開発だってあるんですし、前に玩具業界の資料を見ましたけど人気ありますから、待っている子供たちも大勢いますよ。」
「ソフィは、興味無いの?メルヒェン社は大人向けのゲームとかも販売しているし、南はゲームのプログラムも作ってるよ?少し疲れたね。あそこの樹の所に座って休もうか…。」
 ココは、おもちゃの話題が出た事をチャンスと思って、ソフィに話しを振る。
 が、ソフィは静かに顔を横に振る。
「興味を持ったことがないですからね…。そもそも、そういう事に興味を持つという事が、よく解らないんですよ…。だから、ゲームで遊ぼうとか、遊びたいとか砂粒ほども思わないんです…。きっと…。」
 ソフィは傍の草をむしって、手を離すと風に乗って草は飛んでいく。
「こうやって、どこかに飛んで行ったんでしょうね…。いつ頃かは解りません…。多分、戦っている間にでしょう…。」
 そう言ってソフィは、小さく笑う。
 それは、自分の何かを笑っているようにココには見えた。
「ココさんのお気遣いには、心から感謝しています…。でも、もう、本当に大丈夫です…。自分が何かを思い出しましたから、僕は、所詮は只の殺人機械。キラーマシーンなんですよ。それ以外の生き方を、僕は何も知らない…。いまさら人生をやり直そうとしても、この体に染みついた多くの血が赦してくれる筈もありません…。それを思い出したから、もう平気ですよ。あの時の…、両親の墓にいた時の僕に必要だったのは…、自分を思い出す事…。自分がキラーマシーンだと思いだす事だったんですよ。なのに、あんな無様に泣きじゃくって…。」
 言い続けようとすると、ココが抱きしめる。
「違うよ…。ソフィは、キラーマシーンなんかじゃない…。だって、ご両親の死をあんなに悲しんでいたじゃない…。本当にキラーマシンだったら…、何も思わないよ…。墓なんて、行く必要もない筈なんだから…。」
 抱きしめられているソフィに、ココの涙が零れ落ちる。

「ねえ。お願いだから、自分をそんなふうに思わないで…。誰もそんな事望んでいない…。皆、ソフィをキラーマシーンだなんて思っていない…。だから、自分をそんなふうに思うのやめようよ…。ソフィは、人殺し以外にも人の命を救う事も出来るんだよ…。お医者さんなんだから…。忘れたの…?確かに、ソフィはたくさんの人を殺してきた。その事実は消せない。でも、殺したくて殺したわけじゃない…。少年兵にしたやつらが、ソフィに罪を犯す事しかできないようにしたんだよ…。攫われていなければ、ソフィは学者さんになって今頃研究資料に埋もれていたかもしれない…。医師の仕事に、専念していたかもしれない。過去はもう奪われて、取戻しようがないけれど未来は違うでしょう?だから、違う自分が、違う未来があるんだって思って…。きっと何とかなるから。私も出来ることはするから、だから、ね。もう少しだけ、頑張ってみようよ。ソフィにとっては、辛いことかもしれないけど、出来る限り、私も背負うから。」
「ココさん。何で、そんなに僕の事を気に掛けるんですか?そんな必要ないのに…。」
 ソフィは、不思議そうにココを見る。
 最初は、ボディガードとしてココに雇われ、フロイド・ヘクマティアルが何を考えているかは解らないが、コンテナ船と部隊を率いる権限を与えられ、ココと共にウェポンディーラーをしている。
 今のココとソフィの関係は、会社の同僚に近いとソフィは考えていた。
 それだけの関係で、ココが自分の事をここまで気にするとは考えられなかった。
「必要あるよ。そうしたいから…。」
 そう言って、ココはソフィにキスをした。

「ココが、お前の事をどう思っているって?さあな。俺にも解らねえよ。1つ言えることはだ…。」
 夜、ソフィはレームに、ココが自分の事をどう思っているか意見を聞いた。
「言えることは?」
「俺達とは、違う視線で見てるってこったな。最近までは弟を見るように見ていたが、それがどうも変化しているらしいのは解る。そこからは、俺にも解らんね。自分で考えるこった。」
 そう言って、レームはバーボンを流し込む。
「ま。一つ言えることはだ。」
 アールが、ソフィのグラスにブランデーを注ぐ。
「言えることは?」
「悪い事しかない人生は、無いって事だ。月並みだけどよ、生きてりゃいつかはいいことあるんじゃないのか?だから、もう少し人生経験積んでみろよ。死にたくなったんなら、その後でいくらでも死ねるんだしな。」
「そう…、かも、しれませんね…。」
 グラスの中のブランデーを見つめていたソフィは、静かにそう言った。
「まっ、何にせよ。まだ終わりにしちまうなよ。いろいろ楽しいことがあるもんだぞ。世の中にはな。いい事がないと思うんなら、楽しい事を見つけてみろよ。贅沢するのもいいし、派手に女遊びをするもいいし。いい事も、楽しいことも、いろいろあるんじゃねえのか?生きてる内は。」
「参考にさせてもらいます…。じゃあ、お寝すみなさい…。今日は、少し疲れましたから…。」
 そう言って、グラスの中のブランデーを飲み干して寝室に向かおうとする。

「ソフィ。」
「はい?」
 声を掛けたが、何を言えばいいのか解らなくなったのか頭を掻いた後ルツはウィスキーを飲み干して、ソフィの顔を見る。
「もうすこし、生きてみろ。とりあえず、俺くらいになるまででもいいじゃねえか。人間なんざ、死ぬときはあっという間だ。でも生きるのはあっという間じゃねえだろ?その、何だ。悪いことばっかじゃねえよ…。幸運の一つや二つはどっかに転がってるかもしれないぜ。そう思ってろよ。お前の歳から俺の今の歳まで生きてきた感想はそれだ。」
「そうですね…。」
「そうだ…。」
 部屋を出る時のソフィの顔は、どこか心が軽くなったようだった。

「ソフィは?さっきまで、ここにいたんじゃないの?」
 ソフィが寝室に行ってから、ココがソフィを探しに来た。
「もう、寝てるんじゃねえのか?ついさっきまでここにいたけどな。」
「じゃあ。傍にいないとね。そう言えば、何か、話でもした?」
 ココはレームにソフィがどこにいるかを聞いてから、何か話したかを訊いた。
「何てことない話だぜ。お嬢。生きてりゃいい事あるとか、人生悪い事ばかりじゃないとか。そんな、何てことない話さ。」
 レームに代わって、アールが答える。
「そう…。そうだね…。」
 そう言って、ココは寝室に向かう。

「どうなってんのかね?あの2人。」
 アールが、肩をすくめる。
「さあな。1つ言えることはだ。」
 部屋にいる全員が、レームを見る。
「面白そうだって事だわな。」
 そう言って、レームはバーボンを一口飲む。

後書き
久しぶりの更新です。
タイトルは悩みました。
悩んだ末で決定したのが、この話のタイトルです。
一見すると、ドリカムの曲を思い浮かべる方が多いと思います。
あの曲、私も大好きですからね。
このタイトルには、「何とかなる。」という意味もあります。
そこから、決めました。
両親を殺されひたすら殺しのテクニックを叩き込まれて、商品として戦場に出されてから血と硝煙の匂いにむせ返りそうになりそうな日々を過ごしてきたソフィ。
根が優しい性格なので、今の自分を酷く忌まわしい存在と見ています。
そんなソフィに、生き方は色々あると話すのが周囲の年長者達。
ソフィが、独立して武器商人になるまではココの私兵として共に過ごしてきた仲です。
その中で、ソフィに対しては本人とは違った考えを持っています。
特にココは、ソフィを誰よりも案じてその心を癒そうとあれこれ考えます。
ココの行動が実を結ぶか否か。
それも私の二次創作のテーマみたいなものです。











ヨルムンガンド オリジナルサウンドトラック
ジェネオン・ユニバーサル
2012-06-27
(オリジナルサウンドトラック)

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ヨルムンガンド オリジナルサウンドトラック の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



ヨルムンガンド PERFECT ORDER オリジナルサウンドトラック
ジェネオン・ユニバーサル
2012-12-21
サントラ

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ヨルムンガンド PERFECT ORDER オリジナルサウンドトラック の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



戦場から生きのびて ぼくは少年兵士だった
河出書房新社
イシメール・ベア

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 戦場から生きのびて ぼくは少年兵士だった の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



No54 M9A1 (18歳以上ガスブローバックガン)
東京マルイ
2012-08-26

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by No54 M9A1 (18歳以上ガスブローバックガン) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



ブログ村のランキングに参加しております。
来てくださった方は、よろしければクリックをお願いいたします。
励みになりますので。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

相互リンクはいつでも大歓迎です。
リンクをしてくださる方は、コメント欄にお書き下さい。
リンクの設定をした後に、お知らせします。

目次へ戻る。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
面白い
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
ブログランキング・にほんブログ村へ
ヨルムンガンド二次創作 第40話 go for it cogito,ergo sum/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる