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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第125話 想いが通じて欲しいから…

<<   作成日時 : 2014/10/25 23:57   >>

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「最初の難関は、準々決勝。セシリアと鈴のペアだな。」
 俺は自分の部屋で、由香里と一緒に明日の戦術について話し合っていた。
 ちなみに傍らには、俺が試作した一般ユーザー向けのスーパーコンピューターの試作機が置いてある。
「それにしても、一夏は凄いよね。まさか、一般家庭でも買えるスーパーコンピューターを作っちゃうんだから。」
 試作機を見ながら、由香里は驚く。
「ネタは普通の自作だよ。ヒントなんて、あちこちに転がってるぜ。」
 この試作機は、グラフィックボード並みのマザーボードにCPUとメモリーを搭載して冷却器を兼ねたカバーを被せて、専用マザーボードのスロットに着ける。これで、1つのCPUと見立てる。
 そして、ユーザーの好みで好きな数だけ搭載する。
 今は試作段階で設計思想の最終確認なので、ワークステーションレベルの性能で試している
 使っているCPUは、価格ドットコムの1番人気のCPUとメモリーを搭載している。
 これを、今は5つ専用マザーボードに搭載している。
 この専用マザーボードには、デュアルCPUのマザーボードを使っているように性能をアップする為のODPの概念をさらに発展させたチップが搭載されている。
 今の構成は、カタログスペックではクロック5GHzの6コア12スレッドのCPUを5基搭載して並列動作している。それぞれのコアの数は6。スレッド数は12。メモリーは80GB。
 けど、搭載されているチップで、クロック数とスレッド数を5倍に引き上げる。
 インテル社のODPは、1.7倍のスペックアップだったのでさらに上を目指した。
 実質、25GHzで30コア、60スレッドのCPUを5つ搭載して150コア、300スレッドで480GBのSSDに、6TBハードディスクを搭載したスーパーコンピューターと言う訳だ。
 ちなみに、販売価格はCPUとメモリーを搭載するマザーボードは3000円。
 それを着けるマザーボードは、20000円で価格設定している。
 この試作機は、CPUが36000円。メモリーが16000円。
 1スロットの価格は、55000円。
 これを5つで、275000円。
 マザーボードの規格はATXやm−ATX等様々な物を揃えているし、様々なCPUに対応できるようにボードのラインナップも豊富にすることが決まっている。
 ケースは、一番安いので5千円くらいか。
 ちなみに俺は、ケースはかなりこだわるタイプなので、14cmファンが側面と上部に2つずつ搭載されているタイプを選んだ。
 ドライブベイは、5インチと3.5インチが4つずつ。内部はシャドウベイで2.5インチが2つ。3.5インチベイが6つと充実している。
 また、ドライブを冷やすための大型ファンが搭載されている。
 素材は、軽量なアルミ製。
 ちなみに値段は、28000円と高かった。
 けど、変に妥協するとドライブの交換の時にかなり面倒な思いをする事もあるのでここは妥協しない。
 電源は、余裕を見て850Wのを搭載している。
 ビデオカードはミドルエンドとはいえ、CPUを5つ搭載してるんだ。相当に電力は消費するのは間違いないからな。
 電源とビデオカードとドライブで45000円。
 合計348000円也。
 スーパーコンピューターがこれ位で作れるなら、安いもんだろう。
 最近のCPUはグラフィック機能も中々だから、マザーボードと合わされば業務用グラフィックボードを買う必要はない。
 まあ、仮に買っても8万ぐらい増えて、50万には届かないけどな。
 よし。設計思想は問題ない。
 正常に動いている。
 後は、搭載するCPUの開発だな。
 スーパーコンピューター並みの性能で、値段も自作をやっている人でも手が届くレベルにして、普通に自作をしても、WindowsやMacOS等の市販のOSをインストールして使えるようにするつもりだ。

「やっぱり、セシリア達相当に腕を上げてるよな。セシリアの高機動砲撃での射撃精度の高さは、前よりずっと上がってきているし射撃までの時間も短い。」
「ブルーティアーズは、中遠距離射撃型だから当たり前と言えば当たり前だけど。超一流のスナイパーの精度で、アサルトライフルを撃っているようなものだわ。ダメージを負わないようにするだけでも一苦労ね。」
 高機動砲撃時のセシリアを様々な観点から分析したデータを見ながら、由香里は渋い顔をする。
「そこは、牽制と近接戦闘で崩す。懐に飛び込まれたら、射撃も何もないからな。近接戦闘では、セシリアは敵じゃない。鈴の動きをある程度止めた時に、セシリアに可能な限りダメージを与える。これで行こう。」
「そうね。要は射撃をさせない事ね。」
「そういう事だ。次はアンナとシルヴィのペアに、クリスとラシェルのペアのデータ解析行くか。」
 準決勝で俺達はどちらかのペアと、戦うことになる。
 どちらのペアも想定する必要があるので、解析は必要だ。
 その後、ラウラ達のペアのデータ解析を終えて俺達は戦術の立案を終えた。

「とりあえず、終わったか。」
 カモミールティーを飲みながら、俺と由香里は一息つく。
 にしても、あれ使えるな。
 デスクトップタイプとしてなら、充分問題ない。
 今はスロットを5つ搭載しているけど、最大8つまで搭載できる。
 今の各スロットの構成で最大までやると、16万5000円増えて513000円か。
 そこまで行くと、さすがに電源も余裕を見て1500Wはないとな。
 相場で、だいたい合計54万ってとこか…。
 さすがに個人で持ってると、ブレーカーがヤバそうだからアンペア数も増やす必要がある。電気代は、ドカ食い決定。それにUPS(無停電電源装置)も、いいのが欲しいところだよな。
 2万円程度じゃ、10分も持たない。
 2、30分持つタイプはラック式で、おまけに値段は10万以上する。
 ちなみに、俺は自分で作った自家発電システムを、家の地下に設置してある。
 おっと。今は、準々決勝からの事を考えないとな。
「うまく、作戦通りにいくといいね。」
「いかせるんだよ。こういう時はな。相手をこっちの思惑に嵌めてな。」
 作戦を上手く行かせるには、どうすればいいか?
 上手く行く状況を作るに、限る。

「さて、明日に備えるか。」
 そういうと、一夏は机に座って研究を始める。
「そう言いながら、研究してたら説得力無いわよ。」
 由香里が、呆れたように言う。
「変に意識して、いつもと違う事はしないんだよ。俺は。いつも通りの生活リズムを守るのが明日に備えることになるのさ。」
 事実、全国模試でも定期テストでも、一夏は慌てて勉強したりすることは無い。
 いつも通りにしている。
 授業で習った事は、授業中に全て物にするのが一夏の勉強方法だったからだ。
 さすがにIS学園に入学してからは変わったが、それ以外は変わっていない。
 故に、一夏は今日は早く寝るという事をする気はなかった。
「時間は守ってね。一夏。じゃあ、お寝すみ。」
「お寝すみ。」
 由香里が一夏の部屋を出た時、既に一夏は芝崎独自の新型CPUの設計を進めていた。
 試作している、個人用のスーパーコンピューターで使用する事を前提にしているCPUだが、従来のOSでも使えるようにマザーボードも並行で設計している。
 価格は、ハイエンドクラスで30コア60スレッド。クロック数は5.2GHzからのラインアップ、ミドルエンドは20コア40スレッド。クロック数は4.2GHzからのラインアップ。ローエンドは10コア20スレッド。クロック数は3.2GHzからのラインアップ。
 ちなみに最大消費電力は、30〜45Wに抑える。
 価格は、ローエンドは8000円から1万3000円。ミドルエンドは1万4000円から1万9000円。ハイエンドは2万から2万5000円。
 コア名は、そうだな…。アルキメデスの原理を発見したアルキメデスにしよう。
 一応、IntelのXeonに当たる、サーバーやスーパーコンピューター
に使うさらにハイエンドのCPUにマザーボードも設計するか。
 コアあたりのスレッド数は…、4つまでなら価格はだいぶ抑え込めるな。
 ローエンドで、30コア120スレッド。クロック数は10GHzからで、4万7千円から6万円。
 ミドルエンドで、50コア200スレッド。クロック数は20GHzからで、7万から〜8万7千円
 ハイエンドで、70コア280スレッド。クロック数は30GHzからで、9万から〜10万7千円
 こっちのコア名は、「幾何学の父」ユークリッドにするか。

「学年別タッグマッチ2日目。ベスト16を終えて、いよいよ準々決勝。どの学年も、見応えのある試合ばかりでした。特に、全てのクラスに専用機持ちがいる2年は準専用機持ちも一般生徒も、負けじとばかりに立ち向かって素晴らしい試合ばかり。1年生もライブラリにある映像を研究し、連携精度は中々です。3年生は、最上級生に恥じぬ今までの研鑽ぶりを見せてくれました。」
 1年生は、蘭とコリーナ、レイラとシャーリー、フリーマンさんと飯塚さんのペアが当然のごとくベスト8に駒を進めた。
 後は1年生の一般生徒の実力派同士のペアが、ベスト8に駒を進めている。
 連携精度や各人の技能は、蘭達には大きく劣るからベスト4はないけどな。
 それでも、今後に期待は持てそうだ。
 この頃、試作型第三世代ISの開発に成功したメーカーは、展開装甲の解析と量産型第三世代ISの雛形となる機体の開発に持てる資金と人材の全てを投入している。
 秋ごろ。つまり文化祭には何機か、ロールアウトするだろう。
 日本は既に量産型第三世代ISとして、震電を配備している。
 打鉄、打鉄二式のノウハウを利用して、倉持技研が開発に成功した機体だ。
 特殊兵装を装備し、各所に新技術を投入しながらも堅実な設計で稼働時間も長く操作性もいい。
 各部の信頼性も高い事に加え整備性も良好で各種オプションを換装することで、様々な状況に対応できる汎用性の高い機体だ。
 これで、倉持技研は量産型第三世代ISの製造技術を物にしたので、現在は展開装甲を解析して、これを実装した次世代試作機の開発計画を進めている。
 ま。そう簡単には、いかないけどな。
 臨海学校で紅椿が初めて使っているのを始めてみてから、夏休みに宿題とフランスの学会にイギリスでのブルーティアーズの改修に、ドイツでの訓練とシュヴァルツェアレーゲンの改修。
 帰ってからは、鈴に頼まれて甲龍の改修。それに、ミステリアスレイディとヘルハウンドとコールドブラッドの改修をして、空いた時間で白式の消費エネルギーの最適化をして、その合間に展開装甲の解析をして理解した。
 一応理解するのに費やした時間は、2カ月だが実質2週間に満たない。
 それだけ、去年の夏は忙しかった。
 今年は、ある意味もっと忙しいだろう。
 何しろ、南米、南欧でのビジネス展開に本社での防衛事業を一任されている。
 南米と、南欧支社のCEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)を兼任している。
 加えて、芝崎全体のCTO(最高技術責任者)、CKO(最高知識責任者)、CIO(最高情報責任者)にも就任している。
 いくらなんでも多すぎだろう。
 比例して、役員報酬も6億4千万と社長の6億8千万と会長の7億5千万についで、第3位。
 最近、マ○サの女が来そうで怖い…。
 脱税はしてないけどさ…。
 それとも、また何か売りに来るのかなあ…。
 億ション、高級スポーツカー、高級バイク、本物の戦国時代の甲冑に、ガダニーニのヴァイオリン。マホガニー製の高級家具。寮にあるのは、ロココ調のイタリア製高級家具。
 これ以上、何を買えというのやら。
 はっきり言って、買う気はないぞ。
 ピアスはする気無いし、他にアクセサリーを買うつもりもない。
 まあ、家には週に1度しか帰らないから、大丈夫だろう。
 何かあったら、渚子さんから情報が来るし。

「さあ、最も白熱した試合が繰り広げられている2年生。前代未聞。14人の専用機持ちが、集結しています。さらに、日本、フランス、ドイツは新型の兵装パッケージを届けています。中国は、以前の改良版ですが攻撃力は、かなりの物のようです。ベスト8が出揃い、準々決勝第一試合は篠ノ之箒・高階玲子組が格の違いを見せつけて勝利。最初に準決勝へ駒を勧めました。いよいよ準々決勝第二試合更識簪・布仏本音組とシャルロット・デュノア・ラウラ・ボーデヴィッヒ組の試合が始まります。」
 観客席の生徒達が、歓声を上げる。

「いよいよか…。」
 一夏は、ピットのモニターを見ながら呟く。
 本当の戦いが始まる、準々決勝。
 一方は、世の暗部を処理してきた更識家の次女にして日本代表候補の簪と更識家に使える布仏家の血筋の本音。
 双方とも、実力は本物。
 更に、本音はディースと互角以上に渡り合う程の実力者だ。
 そして、簪はミサイルポッドと荷電粒子砲2門を装備する追加兵装パッケージを装備。
 大量のミサイルは、針鼠を思わせる。
 もう一方は、フランス代表候補のシャルロットと、ドイツ最強のIS特殊部隊隊長のラウラ。
 シャルロットは、ディースと互角に渡り合う実力の持ち主。
 ラウラは、ディースと互角以上に渡り合う実力の持ち主であり、代表候補の訓練を一夏と共に指導してきた、2年では一夏に次ぐ実力者だ。
 そして、双方とも追加兵装パッケージを装備している。
 シャルロットは、大出力スラスターを装備し、長大な荷電粒子砲とミサイルポッドと戦車砲らしき砲を2基ずつ装備。
 さらに、サブアームを2基と肩部の装甲に何かが追加されている。
 エネルギー兵器も実弾兵器も装備され、大出力スラスターを装備してイリュジオンの機動性と汎用性がさらに活かされるタイプのパッケージと言っていいだろう。
 一方ラウラは、高出力スラスターまではシャルロットと似ているが、背部にレーザー砲とレールカノンの混合型ガトリング砲を2基。両腕部には大型のスタンスティック。脚部には8連装ミサイルポッドと近中距離戦を重視した兵装で高機動戦闘を非常に重視している印象がある。

 う〜ん。
 不知火用の追加パッケージ作っといたほうが、よかったかな?
 後で、千冬姉と相談するか。
 まさか、タッグマッチに持ち込むとは思ってもいなかったからな。
 簪は、まさに針鼠。
 20連装ミサイルポッドを4基。
 それに、春雷を改良したと見ていい荷電粒子砲が2基。
 火力重視型に見えるけど、高出力スラスターを装備して機動力の低下を極力抑える事も十分に考えられている。
 倉持技研は、震電の開発に打鉄弐式のデータを随分役立てたと聞いていたけど、さらにデータを収集。
 とどのつまり打鉄弐式を様々な兵器のテストベッドにしつつ、収拾したデータで性能を向上させるつもりかな。
 デュノア社の方は、イリュジオンの最大の武器である高機動性と汎用性をさらに追及するのが狙いか。
 あのサブアーム。何に使うつもりなのかね?
 シュヴァルツェアレーゲンを開発した、クラウス=マッファイ社、ラインメタル社、EADSドイツ。それに陸軍の軍備計画を担当するドイツ陸軍局第3部。
 ドイツのISは、陸軍局の軍備計画に基づいて複数の軍需産業が合同で開発して、国内で性能を調査してどれを採用するかを決める。
 確か、第三世代はクラウス=マッファイ社が中心になったシュヴァルツェアレーゲンと、ティッセン・ヘンシェル社が中心になって開発した第三世代の争いになって、シュヴァルツェアレーゲンが選ばれた。
 AICの開発は、相当苦労したって聞いてるからな。
 ここで、さらにシュヴァルツェアレーゲンの性能強化や追加兵装の開発を通じてさらに技術を蓄積して、ドイツ陸軍の量産型第三世代ISの制式採用も勝ち取るつもりなんだろう。
 フランスは、デュノア社が現在は1人勝ち同然でさらに他社を突き放しているけど、ドイツは競争が激しい。
 日本に似て職人気質の国だから、優れた技術を持った企業が多いのが理由だ。
 日本も倉持技研が技術力では国内トップだったが、芝崎にその座を奪われた。
 震電の制式配備を勝ち取ったとはいえ、空自と海自の運用思想に合せたISの採用についてはまだ決まっていない。
 既に、芝崎でも開発は山場に入っている。
 倉持も、総力戦で新型の開発をしている。
 辻島重工は、瑞鳳の開発経験と俺の整備・調整データを基に開発計画がスタートして、本社の敷地に宿泊施設まで作って総力戦になっていると聞いている。
 競争が激しい国は、技術者も大変だね。ホント。
 ちなみに、IS開発に関しては俺が責任者だったりする。
 瑞鶴で試したいことは、全部試したのでそれを活かしたISになる。
 さて、試合はどうなるかな。
 ん?
 簪が、通信回線を広域モードにしたな。
 何だ?
 プロレスのマイクパフォーマンスでもやるのか?
 まさかな。

「一夏。聞こえてるよね?」
 え?俺。
 ん?由香里の表情が、ちょっと険しくなったような…。

「去年の文化祭の時、お姉ちゃんに対するコンプレックスで自分の殻に閉じこもって、誰かと接することを怖がっていた時私達は会った。専用機の打鉄弐式の開発を手伝ってもらって、陣中見舞いでカップケーキとハーブティーを持っていった時、一夏は言ってくれたよね?「お姉ちゃんの事を意識する必要はない。私の道を進めって。」私、今でもよく覚えてるよ。あの言葉が、私を救ってくれたから…。私の殻を破って、外に出ていく切欠をくれたから…。お姉ちゃんとも普通の姉妹に戻れた。全部一夏のお蔭。ありがとう。」
 別に礼を言われるような事は、してないよ。
 歩き始めたのも、楯無さんと姉妹関係を取り戻したのもあくまで簪だ。
 俺は、ちょっとアドバイスしただけだし。

「そう言えばそうでしたね。織斑君が打鉄弐式に関わったお蔭で、今の更識さんがいるんですから。本当に、よくやってくれましたよ。」
 当時の事を思い出した真耶が、しみじみと言う。
「あれは、ああいう奴だ。いまさら、不思議に思う事もない。あれも、自分が殊更何かをしたとは思ってもいないだろう。」
 どうという事もないと、千冬は言う。
 しかし、次の言葉でオペレーティングルームの雰囲気は一変する。

「あの時から。私は、一夏の事を好きだった。ううん。大好きだった。今もその気持ちは変わっていない。皆の為に、顔も知らない沢山の色んな病気に苦しんでいる人や大怪我を負った人の為に、一生懸命に頑張る優しい一夏の事を知るたびに、ますます大好きになったの。それでね…。今は…。」
 おい…。何でこう言う展開になる…。
 成程、由香里の表情の理由はそういう事か…。
 で、今は何なのだろうか?
 嫌な予感がするのは、俺の気のせいだろうか。

「今は、一夏の事愛しているの!はっきりそう言える。一夏は初恋の人から、初めて愛した人になったの!私は、まだまだ弱い。誰かに傍にいて欲しい。もちろん。弱いままでいるつもりはないわ。でも、それまで誰かに傍にいて欲しいの。ねえ。一夏。私の傍にいて、ずっと私の傍にいて。私のお婿さんになって!私を…。」
 簪は、大きく深呼吸する。

「私を、一夏のお嫁さんにして!!」

 観客席からは黄色い歓声が聞こえてきて、4組の方からは「簪、頑張ったね。」とか「よく言ったわね。女の子はそうじゃなくちゃ。」とか、聞こえてくる。
 ていうか。
 俺は、ちょっとアドバイスしただけだぞ…?
 何で、こういう事態になる…?
 誰か教えてくれ…?
 ちなみに貴賓席の方は、呆然となっている人もいれば、「若いというのは、いい物ですなあ。」なんて言っている人もいる。
 何なんだよ。この状況…。

「あの馬鹿者…。好きにさせるだけではなく、結婚願望まで持たせおって…。どうして、そういう風になる…。お前はどうして、女をそういう風な気持ちにさせるのだ…。」
 真耶に教えてもらった頭痛薬を飲み、千冬は頭痛を必死に堪える。
「それだけ、織斑君は魅力のある男の子なんですよ。私だって…。ひっ…!!」
 リ○グの貞○のような凄まじい千冬の視線が、真耶の心臓を串刺しにする。
「あら、ボーデヴィッヒさんも。」
 今度はラウラが、通信回線を開く。

「一夏。私は去年の学年別タッグマッチの時に、嫁にするといった。私はそもそもIS委員会からお前の護衛を命じられ、任務の為にこの学園に来た。お前の護衛も、任務として行う物と思っていた。だが、今はそうではない。私自身、お前を守りたい。例え、私が死ぬことになってもだ。愛した男の為なら、私は命の一つや二つかける事に何らためらいはない。だが、お前の護衛の任務が終わった後は、生涯と共に過ごす夫婦としてお前と一緒に居たい。だから、私はお前を手に入れる。必ずだ!」
 今度は、1組の方から黄色い歓声が聞こえてくる。

「あのボーデヴィッヒまで…。日本に来いなどと言った私が、愚かだった…。あのボーデヴィッヒまでこのようになるとは…。」
 千冬はさらに酷くなった頭痛を、必死に堪えていた。
「油断できませんね。ボーデヴィッヒさんまで…。ひいっ!」
 警戒感を漂わせながら真耶が呟くと、千冬の手が真耶の首を締め上げようとしていた。
「試合開始!」
 逃げ出すように、真耶は試合開始のアナウンスをしてオペレーターのシートに座る。

『本音。打合せ通りにね。』
『りょうか〜い。』
 簪が追加兵装パッケージのミサイルを一斉に発射すると同時に、荷電粒子砲も発射する。
「ちっ!多すぎる!!」
「いくらなんでもね!」
 改良されたAICでミサイルを停止させようとするが、ミサイルはAICから逃れるように回避運動をしつつ強力なECMを展開する。
「この動き…。山嵐の改良型か!!」
「大丈夫。迎撃するだけなら、何とかなる。」
 シャルロットが、フロワ・アンジュ・デシュとサント・シュヴァリーズ。
 追加兵装パッケージの多連装ミサイルポッド、重荷電粒子砲。そして、サブアームにレインオブサタデイで迎撃を始める。
「迎撃は頼む!こっちはこっちで厄介だ。」
 不知火で側面から迫った本音と、ラウラは交戦状態に入っていた。
「了解。こっちも楽は出来ないみたいだね。」
 春雷を撃ちながら、薙刀にした幻月で迫ってくる簪とシャルロットは戦闘に入っていた。

 成程。
 ラウラをのほほんさんに抑えさせて、シャルロットは簪が抑えるか。
 ん?今度はのほほんさんが閃電壱型丙の雨月でラウラを牽制して、簪を援護したぞ。
 成程、一対一の状況を作って相手の連携を封じる。
 同時に、状況を見てどちらかが片方を援護するか。
 これって援護する際に高い状況判断力とそれを可能にするだけの実力が求められるんだけど、簪ものほほんさんも相当に訓練して来ているな。息がぴったりだ。
 個人戦闘のスキルが、格段に伸びてる。
 のほほんさんはラウラと互角にやり合える腕前だったから不思議じゃないし、不知火は第四世代に匹敵する性能を持ってるISだから、ここまでやれても不思議じゃない。
 驚いたのが、簪だ。
 打鉄弐式は、シュヴァルツェアレーゲン、イリュジオンと同時期に改修しているから性能は互角。
 となると、後は機体特性を熟知した上で性能を引き出す操縦者の腕次第。
 まさか、シャルロットとここまでやり合えるとは思わなかった。
 さすがにシャルロットも、そう簡単に隙は与えないけどな。
 イリュジオンは1年の1学期から使っているISだし、追加パッケージのサブアームはラピッドスイッチで兵装を状況に応じて柔軟に変えている。
 それでも何回か命中したけど、防御システムを搭載しているらしくシャルロットを完璧にガードしている。
 しかも、専用の自動制御システムを搭載しているな。
 プロテクションリュミエールは、限界まで小型化した物理・エネルギー防御システムを両方とも搭載していたが、今使っているのはシステムがどちらを使用するかを判断して、対応するシールドを展開している。
 向こうも、システムの小型化に成功したか。
 サイントエールのデータを、大分物にしてきたな。
 そうなると、曲輪以外の防御システムを装備していない簪の方が防御面では不利かな。
 でも、簪はシャルロットの攻撃に適切に反応して、最小限の動きで回避し、或いは曲輪で防御してダメージを与える。
 勿論、シャルロットも簪にダメージを与えているから、戦況はほぼ互角かな。
 山嵐の改良型に、銀竹、春雷に、春雷の改良型。
 それに幻月に雷切と、射撃兵装の手数ではそう劣らない。
 となると、近接戦闘が決め手になる。
 そうなると、小さい頃から武術の修練を積んできた簪に分がある。
 総合的な実力でシャルロットが上回っていても、簪を相手にしての近接戦闘ではいつもシャルロットは劣勢だったからな。
 のほほんさんとラウラは、かなりの激戦だな。
 ラウラはAICを使うと却って隙が出来ると判断したのか、今は使っていない。
 ベスティエでオールレンジ戦闘を仕掛けながら、ツヴィリングツヴァイにシャープファングをメインに高機動砲撃戦を戦い、近接戦闘ではヤークトフントとシュベルトプファイルツヴァイで迎え撃つ。
 のほほんさんは、高機動砲撃戦では雷と雷電。近接戦闘では閃電壱型丙で戦う。
 その上で、簪とのほほんさんは互いを援護し合う。
 連携精度では、簪たちが上か。
 布仏家は、代々更識家に仕える家。
 虚さんは、楯無さんに。
 のほほんさんは、簪に小さなころから仕えてきたと聞いている。
 主従の関係だけど、実質幼なじみの関係だ。
 互いを知るという面では、ラウラ達の比じゃない。
 こうなっても不思議じゃないし、山嵐のマルチロックオンが改良されたミサイルとBT兵器の概念を導入している銀竹を使用すれば、パートナーの支援は十分可能だ。
 のほほんさんにしても、仕える相手を守れなかったら本末転倒だから自分が戦っている最中でも簪を守れるように鍛錬を積んできているのは明白。
 それは、IS戦でも変わらない筈だ。
 個々のスキルではラウラ達が上だけど、集団戦となると簪たちが有利か。
 たとえペア同士の戦いでも、戦術次第で1+1は3にも4にもなる。2とは限らない。
 だからこそ、連携戦術は今も研究され続けているんだからな。
 これは、解らなくなってきたぞ…。
     
後書き
いよいよ、準々決勝。
遂に、専用機持ち同士が激突します。
が、その前に乙女達が想いを一夏にぶつけます。
突然の事態に一夏は困惑し、千冬は頭を抱え、山田先生も警戒のち恐怖(笑)。
しかし、試合が始まると激闘が始まります。
針鼠の様に装備された簪の追加パックから発射される山嵐の改良型に対応している際に、のほほんさんに側面を突かれシャルロットとラウラは連携が取れません。
逆に、簪とのほほんさんはこれが戦術、互いに支援できる時に支援をする。
幼少の頃から一緒にいる、簪とのほほんさんだから出来る戦術です。
これに、シャルロットとラウラはどう対抗するのでしょうか?
















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