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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第121話 悩む一夏と、乙女達の想い

<<   作成日時 : 2014/09/27 23:58   >>

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「由香里。任せた。」
「OK。」
 誘導したターゲットを、待ち構えていた由香里が種子島で撃ちぬく。
「第二陣来たわ。牽制する。」
 ターゲットの第二陣を、由香里が付喪神で牽制する。
「はああっ!」
 牽制して足が止まったターゲットを、俺が末那識で撃破する。
 側面から、由香里狙いか。
『ポイントを指定するから、そっちに誘導して。トラップを仕掛けたわ。』
『了解。』
 流星でターゲットを指定されたポイントに行くようにすると、魂振が散布されていて容赦なくターゲットに襲い掛かる。
『ナイス。今度はこっちが牽制するから、由香里が攻めかかってくれ。』
『解ったわ。』
 俺は、八竜でターゲット群を狙う。
 ターゲット群は散開するが、自動追尾機能付きの八竜はターゲットを追尾する。
 八竜の追尾機能の優秀さに気づいたのか、ターゲットはマシンガンとミサイルポッドで弾幕を張る。
 しかし、それをも回避して八竜はターゲット群を仕留める。
 その隙に、由香里は本命のターゲット群を、鞭状にした九尾狐で仕留める。
「よし。朝はこれまで。放課後、また連携を確認しよう。」
「うん。」

 俺は、シャワー室で汗を流しながら、朝の鍛錬の事を考えていた。
 連携は、かなり形になってきたな。
 由香里のスキルも日に日に伸びて、専用機持ちとして恥ずかしくないレベルになっている。
 準専用機持ちの中でも実力者で元々のスキルも中々のレベルだったから、当たり前と言えば当たり前か。
 後は、セシリア達のペアと対戦した時に、一対一にならないようにしないとな。
 俺だったら2人相手でも問題ないけど、まだ由香里じゃセシリア達と一対一は厳しいからな。
 その時は、片方の追撃を俺が振り切って援護すればいいけど、そうならないように注意しないとな。
 特に、ラウラ、シャルロット、箒、クリス、簪は追加パッケージを使ってくるから要注意だ。
 念の為に、俺が以前に作った娑伽羅を装備させているけど、油断はできないな。
 最も警戒するペアは、シャルロットとラウラのコンビだ。
 ラウラは、俺以外では2年生最強。
 シャルロットは、ラウラに僅かに及ばないがほぼ互角といっていい。
 特にラウラは、間違いなく来年にはビッグ3の一角に名を連ねているだろう。
 シャルロットも箒やクリスと並んで、ビッグ3の有力候補だ。
 この辺りは、俺が前面に出て由香里はアシストという形になるしかないな。
 とは言っても、他のペアも十分に強敵だけどな。
 亡国企業対策で、入学当時とは桁違いに強くなっているからな。
 まったく、頭が痛いよ…。

 加えて、それ以上に悩みの種がある。
 2日前に冬菊に結婚の申し込みをされて、さらに昨日菫からも結婚の申し込みを受けた。
 しかも、その事を冬菊に話していると言っていたから驚いた。
 いわば、親友同士で1人の男性を巡って争う事になる。
 あの2人なら、骨肉の争いとまでは行かないだろうけど…。
 俺自身、正直どうしていいか解らない。
 何しろ、告白1つされたことないんだ…。
 正直言って、どう対処したらいいか解らない。
 結局は、俺の心に問いかけるしかないんだが、俺は己が為すべき事で手一杯。
 精神的にも、そんなに余裕はない
 最悪のパターンは、これが学園に知れ渡る事だ。
 この手の話が大好きな女子が、飛びつかない筈がない…。
 とにかく、早く答えを出そう…。

「一夏君。ちょっと、いい?」
 1時間目の授業が終わった後、楯無が1組の教室に来る。
「何か?生徒会の事ですか?」
「ううん。プライベート。お昼ご飯を済ませたら、学園の敷地内のリンデンの木に来て。話があるの。」
『う〜ん。昼休みは、戦術を考えるのに使いたかったんだけどな…。楯無さんはプライベートで話をするのって、あまりないからな…。』
「解りました。なるべく早く行きます。」
「よかった。じゃあ、待ってるわ。」
 ほっとした楯無は、そのまま自分の教室へと戻って行った。

「何の話なのだ?」
 箒が眉間に少し皺を寄せて、聞いてくる。
「解るかよ。俺はエスパーじゃないぞ。」
「私達に、話せないことではあるまいな?」
「だから。解らないって。」
『俺と話すときは、刺々しさは無くなったけど、まるで嫉妬深い女性みたいになってるじゃないか。』
 一夏は席に戻る箒を見ながら小さく溜息をついて、次の授業である世界史の準備を始めた。
 世界史の授業が終わった後の休み時間には一夏が楯無に呼び出しを受けた事がセシリア達に知れ渡り、その後の授業は一夏にとってとにかく居心地が悪かった。

 昼飯の時間。
 俺は、ワインビネガー風味の仔羊のグリルに野菜をたっぷり使ったラビオリ。
 それにパニーニを食べながら、アンジェレラ中将と話をしていた。
「それでは、改修案が二つありますのでどちらとも直ちに送らせていただきます。ええ。念のために、あの後、案を考えていました。はい。では、すぐに。」
 話を終えると、俺は手をナプキンで拭うと端末を立ち上げてローレンス・ハイランドの改修案をすぐに在日米軍司令部に送る。
 これでよしっと。
「食事中まで、仕事?消化に良くないよ。一夏。」
 魚介類をふんだんに使ったボンゴレにクロワッサンをトレーに置いたシャルロットが、話しかけてくる。
「終わってたから、データを送っただけだよ。仕事とは言えないな。」
 話していると、端末に委員会からのメールが来た。

 ………………………………………………………………………………………。

 はあー!!

 量産に適した空中戦闘艦を、設計しろ!?

 また、作るのかよ…。
 つまり、艦隊を編成するわけか?
 金の無駄遣いだってことが、解らないのか?

「織斑君。テレビ、テレビ。」
 谷本さんが、俺に呼びかける。
 とりあえず見てみるか。
 端末に、テレビ放送のウィンドウを表示させる。

「遠州灘での、謎の巨大機動兵器を、空中戦艦アヴァロンが無傷で撃破したことを受けて、IS委員会は空中戦闘艦の有効性を確認し、量産型の空中戦闘艦を建造し艦隊を編成することを、決定いたしました。設計及び艦隊の指揮は、織斑中将が担当することになります。」
 勘弁してくれよ…。
 一隻でも多すぎるくらいなのに、艦隊だあ!?
 歴史に残る無駄遣いをして、どうするんだよ…。
 とはいえ、不安的中…。
 ひょっとしたらあるかと思っていたから、量産に適した艦の設計は終わってるし搭載する機関も開発は終わっている。
 これって、あれかな…。
 俺が念の為に、設計を進めておいたから決まったのか。
 それとも、こういう事に感が鋭いから、念の為に設計をしておいたのか?
 一つ言えることはだ。
 もう、うんざりだって事だな。
 とりあえず、楯無さんの用事を済ませてこよう…。
「まあ…。その…。織斑君…。その内、いいことあるよ。だから、くじけないでがんばろう。ね。あ、そうだ。今度、本音と癒子と一緒に遊びに行こうよ。」
 相川さんが肩に手を置いて、励ましてくれる。
 ううっ。人情がありがたく思える…。

 食事を片付けて、俺は学園の敷地内のリンデンの樹に向かう。
 IS学園は最新鋭の設備ばかりだが、噴水や多くの木々に花壇に芝生と憩いの場になりそうなところを多く設けてある。
 最新鋭の機械の塊の中に居つづけては、メンタルケアによくないと創立時に意見が出た為だそうだ。
 その中でもリンデンの樹は、一際大きい。
 樹の傍にあるベンチに、楯無さんは座って待っていた。

「すいません。待ちましたか。」
「ううん。私もついさっき来たばかりだから。そう言えば、空中戦闘艦の量産型の設計をするんですって?」
 楯無さんも、知ってたか。
「らしいですね。あんな馬鹿馬鹿しい物を量産するなんて、頭がどうかしてますよ。おおかた、あのデカブツに対抗するためでしょうけど、本拠地を攻略する際に大量には出ませんよ。あれは、大量生産にはどう考えても向きません。従来の水上艦艇の量産で、十分ですよ。ドイツ製のMEKO型とかね。主力はズムウォルト級を量産すればいい。対地攻撃を、重視した艦でもありますからね。それに、アメリカ海軍のイージス艦は全てトマホークを装備しています。今更、空中戦闘艦を量産する理由はありませんよ。ま、こういうくだらない事を決める事を想定して、設計は終わっていますし。搭載する機関も、より低コストな物を完成させてますけど。」
 もう、これからそういうの事前に設計するのやめるかな…。
 絶対に必要とか、言われそうだ。
 そう考えると、楯無さんが俺の手に自分の手を重ね肩に寄りかかってくる。

「大変よね。こういう方面では、篠ノ之博士しか織斑君をアシストできる人はいないから、全部一夏君がやるしかない。それに、これからも外交やらIS方面で一夏君は必要になる…。大変だよね。ねえ。支えてくれる人が欲しいって、思わない?」
 頬を染めて、潤んだ瞳で楯無さんが俺を見る。
「技術面はどうしようもないけど、外交とかISでの戦闘とかなら私も少しは力になれるわ。ずっと。一夏君が、その役割についている必要が無くなるまで…。ねえ。私じゃ、一夏君の支えにならないかしら…?」
 そっと立つと、俺を抱きしめる。
 そして、耳元でささやく。

「私。あなたを支えたい。あなたの家族になりたい。そして、あなたに私の家族になってほしい…。」

 えっ…。
 それって…。
 俺が、楯無さんの家族になるって…。
 楯無さんが、俺の家族になるって…。
 俺達が、家族になるって…。
 つまり、そういう事だよな…。
 でも…、そんな…。
 まさか…、楯無さんがそんな風に思ってたなんて…。

「今すぐ、答えを出してなんて言わないわ。神無月家と飛鳥家のお嬢さんからも、結婚を申し込まれているんでしょう。両家と食事をした後、あなたの様子がおかしいってふと耳にしてすぐに分かったの。だから、いきなり答えを出してなんて言わない。待ってるから…。」
 そう言って、楯無さんはその場を去った。

 それから少しして、俺はやっと気持ちが落ち着いた。
 そして、初めて気が付いた。
 周囲に人がいた事を。
 そして、おそらく知られたであろう事を。

 一夏の予感は的中していた。
「ちょっと、ちょっと、ビッグニュース!!正真正銘の!!」
「どうしたんですの?」
 教室に走り込んできたクラスメイトに、セシリアが訊ねる。
「楯無さんが…、楯無さんが…。」
「楯無さんが、どうかしたの?」
 シャルロットも訊ねる。

「織斑君に、プロポーズしたの!!」

「「「「「ええ〜!!」」」」」
「どこでよ!?」
「敷地内のリンデンの樹の下。しかも、他に2人、織斑君にプロポーズしてるんだって!!」
「2人も!!」
「ちょっと、それってどういう事!?」
「そこまでは、解らないけど。とにかく、前代未聞のビッグニュースよ!!」
 楯無の一夏へのプロポーズの話題で1組が大騒ぎになっている頃、一夏が戻ってきた。

「「「「「「織斑君!!」」」」」」
 この雰囲気。やっぱり知られてたか…。
「何が言いたいかは、解る。だから、いまは静かにしていてくれ。」
 とにかく、頭の中が大パニックだ。
 冬菊と菫の事でもどうしていいか解らなかったのに、これに加えて楯無さんだ。
 何で、こうなるんだよ…。

「一夏さん…。」
「一夏…。」
 セシリアにシャルロットか。
「悪い。今は、話は出来ない。」
 そんな余裕は、どこにもない。

「今だから、しておきたい話なのです…。」
「僕もだよ…。」
 話、聞いてなかったのかよ…。
 俺は立って、2人を見る。
「済まない…。とにかく今は…。」
「お話は、楯無さんと同じです。」

 え…。

「一夏さん。私と結婚してください。そして、私を支えて下さい。やっと会えた。理想の殿方。それが一夏さんです。私は、あなたの支えが欲しいのです。あなたという人が欲しいのです。ずっと、傍にいていただきたいのです。ですからお願いです。私と結婚してください。お返事を待っています。」

 教室は静まりかえっていた。
 俺も頭の中は、再び真っ白だ。
 セシリアが、俺にプロポーズ…。
 どういうことだよ…。

「僕も同じだよ…。一夏…。僕の家族になって…。新しい戸籍はもらえたけど、まだ僕一人しかいないんだ…。お母さんが亡くなるまで、僕は母一人、子一人だった…。だから、ずっと笑顔に溢れて賑やかな家庭に憧れていたんだ。花壇があって、可愛い子供たちがいて、そして、最愛の旦那様がいる家庭が、欲しいんだ。それを僕は一夏と作りたい。ううん。一夏とだけ作りたい。会った時から、ずっと一夏だけを見ていた。だから…。待ってる…。」

 2人は席に戻って、俺は全身の力が抜けるように、座る。
 真っ白どころじゃない…。
 無の状態って、感じだ。
 何が一体、どうなってるのか。訳が分からない。
 昼休みに楯無さんに呼ばれて、プロポーズをされた。
 そして、今度はセシリアとシャルロットにプロポーズをされた。
 一体全体、何がどうなっているんだ…。
 もう。訳が分からない…。
 とにかく、精神のスイッチを切り替えよう。
 こういうのが出来る事が、今ほどありがたいと思ったことは無い…。

 午後の授業、生徒会の仕事、放課後の鍛錬もいつも通りにこなし、シャワーを浴びた後、寮に戻る途中で、一夏はナタルに出会った。
「ナタルか。合同演習の打ち合わせか?」
「ええ。イーリが意気込んでいたわよ。リボルバーイグニッションブーストを一夏が身に着けて、ファングクェイクは改修をしたから目に物見せてやるって。」
「そうか。楽しみだな。でも、白式だって小刻みだけどしっかりと性能は向上させてるんだぜ。ちりも積もれば何とやら、以前に比べて性能は確実にアップしている。そう簡単に筋書き通りには、行かないぜ。」
「でしょうね。でも、私達にもネイビーの意地と誇りがあるのだから、全力でぶつかるわよ。」
「ああ。そういうのは大歓迎だよ。大好きなんでね。じゃ。」

「一夏。ちょっと話があるの。いいかしら?」
「うん?何だ?ローレンス・ハイランドの件か?」
「ううん。そっちの方は、もう少し決まるのにかかりそう。既存の技術を使って、さらに性能を向上させた凄くよく出来た改修案だけど、ESSMがいるかいらないかで、もう少し詰めたいって。」
 成程。
 ミサイルやFCSの維持費だって、只じゃない。
 結構、馬鹿にならないしな。
 FCSは可能な限りコストを抑えたけど、ESSMはそうもいかないか。
「それじゃあ。何だ?」

「プロポーズされたんですって…?」
 ナタルの耳にまで、入っていたか…。
 隠しても、意味ないか…。
「ああ…。正直、何が何やら…。」
「でしょうね。で、その…ね…。」
 まさか…。
「アメリカ国籍になるのは、嫌…?つまり、私の人生のパートナーになって欲しいの…。」
 ナタルもか…。
 何で、こうなるんだよ…。
「両親には、あなたの事は話してあるわ。最初は驚いてたけど、あなたがいろんな功績を上げていく事で、立派な人間だって解ってくれた。ああ、社会的地位が高いとかそういうのじゃなくて、誰かを守るために体を張って守る事を厭わない姿勢は、敬意を表するに値するっていう事。他にも国際問題を解決する為にあちこち奔走して一生懸命努力している姿からも、あなたという人間がどういう人かを物語っているって…。」
「そうか…。それは、光栄かな…。」
「正直、去年あなたに一目ぼれした時は、自分に本当に驚いたの。6歳も年下の男の子に心を奪われるなんて思わなかったから…。でも、今は何故あなたを愛しているのかはっきりわかる。誰かの為に、一生懸命になって自分に出来る事をしているあなたに私は魅かれているのよ。でも、それは大変な事だわ。だから、少しでもあなたを支えたいの。人生のパートナーとして。それに、アメリカなら、あなたの力をもっと活かせる。海軍もだけど他の軍や国務省とかも、あなたの力量に相応しい地位と権限を用意するって言っているわ。私は、一生懸命に頑張って世の中を少しでも良くしようというあなたの傍に居たい。アメリカ国籍になるのに躊躇があるのなら、私が軍を退役して国籍も捨ててどこまでもあなたについていく。愛するあなたに…。いきなりこんな事言われて…、迷惑よね…。ごめんなさい…。でも。言わずにはいられなかったの…。返事は、今すぐじゃなくていいわ…。じゃあ、待ってる。」

 ナタルは去って行った。
 とにかく、部屋に戻ろう…。
 研究や仕事をしている方が、まだ気分が楽でいい。
 その間は、プロポーズの事を考えなくていいからな…。
 何とも情けないけどな…。

 一夏が仕事と研究に打ち込んでいる頃、箒はベッドに寝転がっていた。
『一夏が、プロポーズされた…。楯無さん、セシリア、シャルロット。他の2人は正月に会った、あの2人か…。』
 名前は聞かなくとも、一夏にプロポーズした他の2人が誰か箒は女の直感で見抜いていた。
『それに、ファイルス中尉まで…。』
 ナタルが合同演習での打ち合わせの後、一夏にプロポーズしている場を目撃した生徒がいた為に、瞬く間に広まった。
『一夏と最初に出会ったのは、私だ…。無理に引き離されて、あちこちたらいまわしにされても、一日たりとも一夏の事を忘れたことは無い。それなのに、どうして…、こんな事に…。』
 泣きたくなるのを、箒は必死に堪えていた。
 箒もいつかは、一夏と結ばれるのを夢見ていた。
 しかし、結婚まではまだ考えていなかった。
 ところが、先輩とはいえ歳が1つしか違わない楯無は一夏にプロポーズ。
 同い年のセシリアとシャルロットも、プロポーズして、冬菊と菫もプロポーズしている。
 こう言った事態になると、大きく先を越された気分になり焦燥感と一夏が他の女性と結ばれるのではないかという恐怖感を嫌でも感じる。
『嫌だ…。』
 箒の瞳から、涙が零れ落ちる。
『一夏が誰かの物になるなんて、絶対に嫌だ…。一夏は私の心の支え…。ずっと、そうだった…。それなのに…。嫌だ…。』
 箒は、静かに泣き始める…。

「篠ノ之さん。織斑君を好きで誰かに取られなくないなら、泣いていたってしょうがないわよ。」
 ルームメイトの鷹月静寐が、箒のベッドに座って言う。
「でも、どうすれば…。」
「どうするも、こうするも、ないでしょ。今の篠ノ之さんの気持ちをそのまま織斑君に伝える以外に、何かやれる事があるの?」
「私の…、気持ち…?」
 泣き腫らして真っ赤になった瞳を、静寐に向ける。
「楯無さん達は自分の気持ちをありのまま織斑君に伝えて、それが結果的にプロポーズになった。やる事はそれでいいし、それしかないでしょ。このまま何もしなかったら、織斑君、本当に誰かに取られるわよ。私が見るところ、霧島さんも織斑君の事好きなんだから。本当のことを言えば、私だって織斑君の事が好き。この学園の女子は、みんな織斑君とつき合えればって思ってるわよ。だからこそ、その前に楯無さん達は織斑君にプロポーズして、生涯を共にしたいって。自分のありのままの気持ちを、伝えたと思うわ。私が言いたいことは、それだけ。そのまま、うじうじしていたら、私が、織斑君を取っちゃうわよ。どんな手を使ってでも。それこそ、体で織斑君を誘惑してでもね。じゃあ、おやすみ。」
 静寐は、ベッドに入る。

『鷹月まで、そんな事を…。駄目だ…。誰であろうと、一夏は渡せない…。』
 そう考えていると、去年の夏祭りでの叔母の言葉を思い出した。
『織斑君に対して、本当に心の準備ができたのなら、言って頂戴。部屋を用意するから。』
 その意味を考えて、箒は胸元にタオルケットを寄せる。
『それは、つまり…、そういう事…。でも、一夏に拒まれたら…。』
 一夏の真面目さは、最初の幼馴染であった箒はよく知っている。
 遊びや軽い気持ちでそういった事は、しないだろう。
 仮に、雰囲気に流されてそういうことになったとしても、自分を受け入れてくれるとは限らない。
 ひょっとしたら、一度くらいは受け入れるかもしれない。
 だが、学園外には、ナタルがいる。
 日本の女性より、積極的にアタックする印象があるアメリカ人の女性なら、そういう雰囲気に持ち込むことは、充分に考えられた。
『もし、一夏がファイルス中尉とそういう関係になっていたら…。』
 ナタルが一度関係を持ったことで一夏を縛るとは考えにくいが、好きな男性を何としてでも手に入れたいと思ったら話は別になると、箒は思った。
『ファイルス中尉も人間…。理性に感情が勝ったら…。そうならなくても、一夏がファイルス中尉に魅かれる切欠になったら…。そうなってからでは…。』
 箒はある決意をする。
『まずは確かめてからだ…。』

 よし。纏まった。
 早速、明日から白式の改修の準備を始めるか。
 一日で終わらせないと、何が起こるか解らない今の状況では対処しきれないかもしれないな。
 そのあたりは、話を通しておくか。

 後は、プロポーズの問題だよな…。
 はっきり言って、どうしていいか解らない。
 そもそも、結婚なんて考えた事も無い。
 なのに、いきなり結婚してくれは無いだろう…。
 それにしても、俺をそういう目で見ていたとはな…。
 理由は流石に解らないが、人を好きになるってそういう事なのだろうか。
 とにかく、誰かを受け入れるにせよ、全員に断りの返事を入れるにせよ。
 しっかり、考えてからだな。
 とにかく寝よう。
 起きてると色んなこと考えて、とにかく疲れる。

後書き
タッグマッチに向けて練度と連携を高める、一夏と由香里。
しかし、そこに次々と舞い込んでくる思いもよらぬ事態。
まずは、アヴァロンに続く量産型の空中戦闘艦。
現代の水上艦艇やミサイル原潜は地上施設を攻撃するのも、任務に含まれます。
トマホーク等の巡航ミサイルで、事足ります。
地中にあるのなら、戦闘機にバンカーバスターを搭載すればいいだけです。
それでも決定事項である以上、一夏は開発の指揮を執らねばなりません。
そして、楯無、セシリア、シャルロット。それにナタルがプロポーズ。
冬菊にプロポーズされた翌日に、菫からもプロポーズされているのにこれだけ続くと一夏は対応不能。
それでも、自分に向き合って答えを出そうとします。
普通、この年頃なら「結婚なんて、まだ考えていない。」というと思いますが、そう言わないのが一夏の一夏たる所以。
そして、ショックを受ける箒。
最初の幼馴染であり、転向してからもずっと想い続けてきた箒にはこれ以上ない衝撃です。
一夏の出す答え。箒の決断。
一体、どんなものでしょう?










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