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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第113話 ハーフタイム

<<   作成日時 : 2014/08/03 00:00   >>

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「美味しい。」
「そうか。よかった。」
 俺と簪は、あるイタリア料理店に来ている。
 クラス代表対抗戦の優勝者及び2年生の準優勝者の特典として、俺とのデートの権利があった。
 はっきり言えば、俺個人としては忘れていて欲しかった。
 とにかく忙しい。
 パラダイス・エグザイルで、マフィアや犯罪組織は事実上壊滅したけど、小規模の組織が少し出始めている。
 そっちの方は現地の警察で十分に対応できているし、今までに比べればささやかな物だ。
 ただ、文化にコカが深く関係しているボリビアやペルーでの、コカの法的扱い。
 アマゾン南部やアメリカ在住のブラジル人の間で宗教的儀式のみ使用を許可されている、アルカロイド系の成分を含む植物で作った、ヤヘと呼ばれる煮汁も問題に挙げられて、それらについての国際会議が開かれることになって、作戦立案者の俺も出席することになっている。
 文化に関係することなので、相当に議論が紛糾することが明白なのでこちらでも事態を想定して準備が色々と必要になる。
 なので、忘れてくれていると非常に助かったが、神様は許してくれなかった。
 と言う訳で、何とか時間をキープして皆とのデートをしている。
 今日の、簪とのデートで最後になる。

 簪はアニメが好きなので、アニメ映画を見に行ったが中々面白かった。
 最近は、アニメに限らず小説や映画もほとんど見ていない。
 書物は、医学書や技術書。それに論文集。
 それに、鍛錬、研究、仕事だ。
 ちょっと、余裕なさすぎるかな?
 少し、考えるか。

「今日の映画どうだった…?面白かったかな…?」
 自分はアニメ好きだが、一夏はほとんど見ないので簪は不安げに訊ねた。
「結構、面白かったよ。最近は、映画の類もほとんど見ないからいい気分転換になった。」
 笑顔で答える一夏を見て、簪が嬉しそうな表情になる。
『一生懸命おしゃれして来て、良かった…。』
 今日の簪の服装は、アイボリーのフリル衿のチュニックブラウスにピンクのフレアスカート。
 踵が少々高めで、花をあしらった装飾が女性らしさを演出する、アイボリーのパンプス。
 夏物の新作で、リボンが可愛らしい純白の帽子。
 それに、肩に掛けるタイプの小さなバッグである。

『一夏…、今日も素敵…。』
 一夏は白のドレスシャツに、象牙のブローチとスカーフ。
 色合いが柔らかい紺のスラックスと、同色のツーボタンのジャケットである。
 髪は、打ち紐で結い上げている。
 全体的にやや地味だが、一夏の魅力を十分に引き立てるように組み合わせている。
 無論、どれもブランド品。
 一夏はごく普通の服で構わないと思っているが、常に武器を携帯することを義務付けられているのと社会的な立場故に、携帯する武器を隠す事が可能で且つきちんとしたブランドの服を着ることを要求される。

「うん?これ。香水だな。ええっと…。」
 簪から香水の香りがしたので、俺は何かを思い出そうとする。
「パルファンサトリの睡蓮か。自己主張し過ぎないけど、落ち着くいい香りだな。」
「えっ?一夏、少し香りをかいだだけで種類解るの?」
「会食とかで、企業の重役の人とか各国のVIPの人とかと会っていると、夫人を同伴している時があるから、それで覚えたんだ。俺もある程度は、香水使うし。」
 ちなみに、今日俺が使っているのはプレミアムパヒュームのストーリア。
 最近、人気のメンズ用の香水で取り寄せてみたら、爽やかな感じが俺好みだったので気に入った。
「一夏の香水もいい香り…。凄く似合う。」
「そっか?ありがとな。」

『やっぱり、一夏って凄く素敵…。』
 ドルチェを食べ終えてカプチーノを飲みながら、簪は一夏を見る。
 テーブルマナーを完璧に身につけている一夏は、食べ方もとても洗練されていて気品すら感じさせる。
 使っている香水も、一夏の魅力をしっかりと引き立たせている。
 ファッションセンスがいい事は知っていたが、香水選びまでセンスがいい事に簪は驚いていた。
『私…。見劣りしていないかな…?』
 店の女性客の視線は、皆、一夏の方を向いている。
 それほど一夏は、女性を惹きつける少年である。
 その一夏と、今、自分はデートをしている。
 以前に比べてすっかり明るくなった簪だが、一夏と自分が釣り合っているかを考えるとどうしても落ち着けない。

「香水もいいけど、今日の簪の服。可愛いな。今年の新作か?」
 どこか、しゅんとしているようなので俺は簪に話しかける。
「う。うん…。カタログ見てて、いいなって思ったから。買ったの。」
「そっか。凄く似合ってる。可愛いよ。」
「そ、そう…。ありがとう。」
 頬を染めて、笑顔になる。
 周囲を気にしていたみたいだけど、簪だって十分可愛いんだからもうちょっと自分に自信をもっていいと思うんだけどな。
 渚子さんに聞いたけど、簪の取材をした時の売り上げも上々だったそうだし、もう少し自信を持てればいいな。
 まあ。そういうのは、中々難しいか。
 楯無さんが姉だからな。
 今更ながら、お姉さんが美人で優秀だと弟や妹は大変だよ。
 本当。
「さて。どこか行きたい所あるか?」
「え?あの、その…。服とか、香水とか見たいかな…。」
「じゃあ。そっちに行くか。品ぞろえのいい所が、この近くにあるんだ。最近、パンケーキの専門店が出来て評判良いみたいだから、簪が良ければ寄ろうぜ。」
「うん。」
 うん。ようやく自然体になれたか。
 その方が、ずっと可愛いぞ。簪は。

『簪ちゃん。楽しそうね。頑張った甲斐はあったか。』
 シード戦で勝利して決勝戦に駒を進めた簪だが、相手はフランス陸軍の特殊部隊出身で現在はIS委員会直属のラシェルだったので、当然苦戦を強いられた。
 それでも今までの訓練の成果を発揮して、見事に勝利して一夏とのデートの権利を勝ち取ったのである。
「個人戦だったら、あそこにいたのは私だったのに…。」
 ラウラが、恨めしそうに簪を見ている。
「こらこら。ラウラちゃん。今は任務中よ。」
「解っている。周囲に、不審者の影は無い。連中、散々に叩きのめされて懲りたのだろう。」
 悔しがっていてもしっかり護衛の任務をこなしているのは、ラウラが任務を疎かにしない模範的な軍人の証拠である。
「だが、次はタッグマッチだ。私が一夏とペアを組む。そうすれば、他のペアを蹴散らして優勝決定だ。そうすれば…。」
 デート位はしてくれる。
 ラウラは、そんな期待を持っていた。
「でも、選ぶのは一夏君よ。誰を選ぶのかは解らないわね。」
「必ず、私を選ばせる!」
 ラウラは断言して、周囲の警戒を続ける。

「どう…、かな…?」
 ブルーシフォンの半袖ツーピースを着た簪が、試着室から出てくる。
「いいよ。凄く似合ってる。」
 簪は性格は穏やかで静かな湖のようなイメージがあるから、淡いブルー系の服が良く似合うと思っていたけど、予想以上によく似合うな。
「うん…。ありがとう…。」
 頬を染めて、嬉しそうにしている簪を見ていると俺も嬉しい。
 クラスこそ変わらない物の、最近はクラスメイトと遊びに行ったりすることも増えたし、おしゃれを楽しんでもいいだろう。
 なんと言っても、女の子だしな。
 本人はあまり自覚していないけど、簪だって十分に美少女だしな。
「簪は3月生まれだよな?」
「うん。そうだけど。どうしたの?」
「ん?さっき、いいデザインのアクアマリンのイヤリングがあったからさ。似合うと思うんだよ。それと、パンプスも選ぼうぜ。」
「え?いいの…?映画のチケットも、食事代も一夏が出してくれたのに…。」
「デートの時くらい、男にいい恰好をさせてくれよ。じゃあ、ツーピースの会計済ませようぜ。」
 別に、俺が金持っていることを見せつけたいわけじゃないけど、こういう時に女の子にお金を払わせるのは、結構抵抗あるんだよな。俺。
 多分、千冬姉に苦労を掛けさせちゃったのが、影響してるんだろうな。
 あの時ほど、自分に歯がゆさを覚えたことは無かったしな。
「じゃあ、次行こうぜ。」

「一夏め…。私の嫁だという事を完全に忘れて…!」
 ラウラはUSPを抜きたい衝動を抑えるのに、必死だった。
 ラウラも以前に一夏に服やアクセサリーをプレゼントしてもらったり、食事をご馳走して貰った事はあるが、他の女子に一夏が同じことをしているのを見ているのはいい気分がしない。
 それは、他の恋のライバル達もそうだろう。
 誰もが、自分以外の女の子に興味を持たないようになって欲しい。
 しかし、一夏が世界遺産級の唐変木で恋愛にも全く興味を示さない事から、望みがかなう確率は絶望的な程に低い。
 それは全員が理解しているのだが、目の前で自分以外の女子と楽しくしている一夏を見ると、どうしても独占欲が抑えられなくなる。
『とにかく。タッグマッチだ。絶対に、パートナーになってみせる!』
 本来は、学年別の個人戦だったが亡国企業の襲来を受けて専用機持ちの全般的な能力。特に連携戦の基礎能力を向上させるために、タッグマッチとなった。
 そして、今年もタッグマッチとなる事が既に決定している。
 2年生の専用機持ち計14人。
 本音を除く12人の専用機持ちの少女たちは、一夏のパートナーになる事を決意していた。

「ありがとう。今日は、凄く楽しかった。」
「そう言ってくれると、嬉しいよ。」
 服やアクセサリーとかを買った後に、俺達は学園の近くで別れた。
 さて、仕事に頭を切り替えるか。
 帰りながら、俺は今後の事を考え始める。
 ウィーンにあるUNODCの本部で、新たな国際的な違法薬物取締についての指針が話し合われる。
 問題が、コカインの原料となるコカが文化に深く結びついているアンデス周辺の国家だ。
 さらに、アルカロイド系等の植物を使った民間療法や宗教の儀式に使われる物も、議題に上る可能性が十分考えられる。
 代表的なのがヤヘだな。
 アマゾン南部で、宗教的儀式や民間療法で用いられているが、幻覚作用があるので無視できない国家が必ず出る。
 けど、それが文化と結びつきが強いと話がかなりややこしくなる。
 テロとまでいかなくても、外交問題位には発展するだろう。
 正直に言って外交問題は、各国連携の妨げになり兼ねないので可能な限り減らしたい。
 議論になった時の仲裁案を、考えないとな。
 やれやれ。
 いつの間にか、仲裁案を出す役割を担っている気がするのは気のせいか?
 コスタ所長と、事前の打ち合わせしておけばよかった。
 けど、こっちはこっちで多忙だったから無理だったんだよな…。
 とにかく、考え得る全ての事態に備えて対応策を用意しておくか。
 他にも、目を通しておかないといけない資料も多いし、研究もあるしな。

『予想以上に、一夏の情報網が張り巡らされているな…。』
 一夏が帰途に着いている頃、千冬は独自のパイプを使って亡国企業の本拠地の割り出しを行っていた。
 その過程で目にしたのは、一夏が各国に張り巡らした広大な情報網だった。
『結局。そこらの大人より、一夏の方が優秀な訳か…。嬉しいが、これは大きな問題だな…。』
 一夏の情報網は各国との協力の産物ではあるが、実際は一夏が各国の機関に助力して対価として助力を得て構築されたという形がほとんどある。
 唯一、一夏に助力できているのは国連事務総長のニルセンだけになっている。
 本来なら、一夏に各国が力を貸した上で構築されるのがあるべき姿だ。
 専門家である大人が、自分達より若く経験も少ない子供の一夏に助けられて、その結果、協力という対価を支払うというのは本末転倒の極みである。
 少なくとも、千冬はそう思っていた。
『どこの国にも、歳だけ食った無為徒食の輩が多いという事か…。』
 パラダイス・エグザイルにしても、一夏の力に負うところが非常に多い。
 CIAには麻薬対策の専門部署もあるのだから、そちらに主導して欲しかったというのが千冬の本音であった。
 最終的に、何でもかんでも一夏が問題を解決するのはどう考えても問題であることは誰でも解る。
 今でさえ、多忙な毎日を送る一夏にこれ以上負担が掛かれば、疲労とストレスがどのような形で牙を剥くか想像が出来ない。
 この点に関して、博子は千冬に念を押すように話をしておいた。
『とにかく。何とかせねばな。これ以上、一夏に負担を増やすわけにはいかん。』
 千冬は情報収集を、再開した。

「では、取締役会を始めます。今回の議題は、治安が安定した南米への投資についてです。」
 簪とのデートの翌日の、月曜日。
 俺は、取締役会に出席していた。
 議題は、南米への投資。
 以前から案としてはあったが、何せ治安が悪かったので決定は去れていなかった。
 マフィアや犯罪組織は、ほぼ壊滅状態。
 軍が出動するような事態にはなっておらず、治安も安定している。
 最終作戦の前に、町の下っ端を片っ端から逮捕したのが功を奏したな。
 物資調達や連絡を絶つという意味もあったが、作戦終了後こういったチンピラが違法薬物の密売を始められては溜まらないので、それを可能な限りゼロにするためでもあった。
 ちょこちょこチンピラが出てはいるが、警察が対応しているので投資には問題ないレベルだと判断され、今後の事業展開についての会議が開かれることになった。
 予定されているのは、製造工場がメイン。
 重要な部分の部品は日本で生産して、現地に輸送。
 その他の部品は現地で製造して、最終的に組み立てる。
 南米諸国としては、重要部分の部品もやりたいのが本音だろうがそこまでの技術が育っていないので無理だし、企業としても重要な部分の技術をそう簡単に流出させるわけにはいかない。
 そういった事を考慮しながら、現地の技術レベルを天秤に掛けてどの程度のレベルの部品を組み立てるかも検討する。
 最終的には、やはり重要部品は日本でという結論に達した。
 それでも、現地の技術レベルは上がるから向こうにも十分メリットはある。
 後は、現地に赴いての交渉。
 土地及び労働者の確保だ。
 それについても話し合いが、行われた。

「では、次の議題に移ります。ブラジル政府から申し出がありました、各種兵器の改修及び開発についてですが…。」
 これか…。
 世界第4位の旅客機メーカーでもあり軍用機も開発しているエンブラエル社を持つブラジルだが、戦闘機等はお世辞にも高性能とは言えない。
 空軍の主力戦闘機は、フランスのミラージュ2000が12機。
 F−5 タイガーUが改修型を含めて55機。
 攻撃機は、イタリアと共同開発したA−1攻撃機が53機。
 他にも各種軍用機を装備しているけど老朽化が進み、近代化もほとんどされていないばかりか運用不能の機体もある。
 陸軍の主力戦車はレオパルト1にM48と、これまた古い。
 海軍は長い海岸線を守る必要があるのに艦艇数は30隻に満たずに、艦も古い。
 主力は、イギリスの22型フリゲートを退役後に買い取った3隻に、イギリスに発注したニテロイ級フリゲート6隻。
 虎の子の空母として、フランスのクレマンソー級空母の2番艦を買い取ったサン・パウロがあるが、艦載機は古い。
 とまあ、こんな感じである。
 勿論、ブラジルとしても装備の近代化を行いたいし、近代化改修で使える物は使いたいが予算が不足している。
 そこで、芝崎インダストリーにミラージュ2000の近代化改修とF−5 タイガーUと、艦載機のA−4スカイホークの後継機の開発をなるべく廉価で依頼したいという申し出が来た。
「ブラジル側の事情は十分に理解しているが、これはハードルが高すぎますな…。」
 本社の谷村常務が、書類に目を通して難色を示す。
「特に、タイガーUとスカイホークの後継機種を1機種にするつまり高性能なマルチロール戦闘機で、艦載機としても運用可能となると楽ではありませんぞ。」
 A−4 スカイホークはアメリカ製の艦載機で1950年代半ばから生産され、アメリカでは既に退役しているが今も幾つかの国では運用されている機体だ。
 しかし、さすがに老朽化が加速し既に他の運用国も後継機を選定している。
 確かに、常識的に考えればキツイなんてもんじゃないな。
 皆が、頭痛を堪えるような表情になった。

「グリペンとほぼ同等の導入・運用コストなら、私に案があります。」
 俺が発言すると、出席している他の取締役が俺を見る。
 そして、俺が作成した設計図と各種スペックに導入・運用コストを見る。
 今度は、しきりに近くにいる出席者と話し始める。
「これならば、いけますな。ひょっとして、ミラージュ2000の近代化改修案も…?」
「このエンジンは、ミラージュ2000のエンジンマウントに合うように設計してあります。尤も、ミラージュ2000用のエンジンは推力を上げなければなりませんが、パーツそのものは大部分が共通しています。製造コストもさほどかかりませんよ。アヴィオニクスも、搭載できるように考慮して開発していますしね。」
 実を言うと、以前にブラジルから内々に打診されていたりする。
 その時から、準備を進めていたんだよな。
 というか、ダイレクトに俺に話を通してから会社に、打診するというのはどうだかね…。
「陸軍と海軍に関しては、如何でしょうか?」
「それに関しましては…。」
 俺は、説明を続ける。
 結局、陸軍と海軍の件も俺の案でブラジル政府と話し合いをして決定するのは後日談だったりする。
 まあ。ぱっぱと進むのはいい事だけどさ。
 ちなみに、新型機の製造はブラックボックス以外はアヴィオニクスもある程度は、ブラジルで生産。
 最終的な組み立ては、エンブラエル社で行われることになった。
 戦車の方は、以前にブラジルで開発され制式採用と各国への輸出間近でおじゃんになった、EE-T1オソリオ戦車に新技術を盛り込みながらも価格を抑えた物を設計。
 さらにオソリオをベースにして、装甲車を装軌式と装輪式の2種類。
 ハイローミックスで、装甲車の部隊を編成できるように設計。
 ベースが同じだから、部品もかなり共通化できる。
 さらに、これをベースに対空ミサイル搭載型。兵員輸送型。対空自走砲型。
対戦車砲搭載型。迫撃砲搭載型を生産できるから、1台当たりのコストをぐっと抑える事が出来る。
 ヘリもこの方向で、兵員輸送ヘリ。偵察ヘリ。対地攻撃ヘリとファミリー化が可能な機種を設計。
 後は、海軍艦艇。
 これに関しても、必要な性能を備えながらも価格を抑えたフリゲートを設計している。
 最終的に、ブラジル政府の要求に応えることに成功。
 設計は芝崎だが、戦車や各種車両、ヘリの製造。フリゲートの建造は現地で行われる。
 ブラックボックスはどうしても出てしまうが、それを差し引けばほとんどの部品はブラジルで製造し最終的な組み立てもブラジルで行われる。
 嘗て戦車を製造していたメーカーであるエンゲサ社は倒産してしまったので、ブラジル政府と芝崎の合同出資で再びエンゲサ社を立ち上げる事になった。
 今度は、民間関係。
 例えば、土木工事や農業に使う機械やトラクター等も事業に加えて、軍事部門が駄目になっても破産しないような構造にする。
 エンブラエル社には、ヘリコプター開発部門の技術者を派遣して技術を習得してもらおう。
 なんだかんだで、航空機部門の世界シェアは大きいからメリットも大きい。
 最終的に全てが決まった後は、大忙しだった。
 エンゲサ社の立ち上げに伴う各種手続きに、工場の建造、エンブラエル社の新規工場の建造。
 それらに伴い、従業員を集める必要もあったが人数が半端じゃなかったから、もう終わったころにはクタクタだった。
 本社ビルや工場は、ユニット工法の派遣したHEGでぱっぱと進んだとはいえ、人の手はどうしても必要だからな。
 ユニット生産は、芝崎のラインをフル稼働。
 輸送は、取引先。
 特に飛鳥商事の高速コンテナ船を、可能な限り動員してもらった。
 結局、製造体制が整う頃には日本・ブラジル双方でクタクタになった人間が続出するという、ほとんどコントみたいなことになった。
 やれやれだ…。
 ちなみに、日本政府からも援助がおこなわれて、ブラジル政府の財政的負担も少なからず抑制された。
 そして、復活したエンゲサ社で製造ラインが動きだし、海軍工廠ではフリゲートが建造開始。エンブラエル社でも、戦闘機の製造とミラージュ2000の近代化改修が開始された。
 ここまでの準備と、企業活動の本格化に伴い予想以上に雇用が確保されて、経済も活性化。
 失業率もかなり抑え込まれて、治安も安定した。
 それに伴い、犯罪も減少。
 狙い通りだな。

「成程。とどのつまりは、政治的思惑もあった訳か。」
「そういう事。」
 一段落してから、俺は千冬姉の奢りでイタリア料理のレストランで食事をしていた。
 俺の政治的な思惑は、南米の安定化とアメリカに貸しをなるべく作らない事だった。
 アメリカの裏庭である南米は、歴史的に安定化させるためにアメリカの様々な援助が行われた。
 が、その結果がいつもいいとは限らずに、まるで自分たちの国をいいようにされているように各国の国民が感じる事もあり、資源ナショナリズムと反米感情が結びついて、却ってアメリカにとって不都合なことになった事もある。
 俺としては、それが繰り返されて南米が不安定になって亡国企業に付け入る隙を与えるのは御免だった。
 今回のブラジルの申し出を受けた事で、ブラジル軍の装備は近代化が進む。
 そして、それは南米各国に波及する可能性も期待できる。
 それが、俺の狙いだった。
「いずれにせよ。平穏が一番だよ。誰だって、自分の国が貧困に陥って犯罪が増えて、違法薬物が蔓延して欲しいなんて思わないだろう?少なくとも、俺は嫌だよ…。」
「そうだな…。その通りだ…。」
 千冬姉が、空になった俺のグラスにワインを注いだ。
 とりあえず、一仕事終わった。
 他にも仕事は山ほどあるけど、南米は大丈夫だろう。
 道は平坦じゃないけど、そこに住む人たちが力を合わせて頑張ってくれる。
 俺は、そう信じている。

 その後は、南米各国への日本企業の投資が少しずつ活発化して、それに伴い南米も穏やかになって行った。
 そして、どういう訳か俺の家とIS学園。芝崎インダストリー。特別調査部。自衛隊横須賀病院に南米産の最高級のコーヒー豆が届いた。
 何で…?

 不思議に思っている俺を、皆は面白そうに見ていた。
 何が面白いんだか…。
 まあ、仕事の合間や食後のコーヒーが美味いのはいい事だけどな。
 俺は、各国政府にお礼の手紙を書いた。
 言葉にするのがとにかく難しい思いを、胸の中にしまいながら…。

後書き
ハーフタイムとタイトルを書きながら、相変わらず忙しい一夏です。
物事という物は、始めるより終わらせる事の方が難しいと言います。
戦いの後には、その後処理が残りますからそれだってやらなければならないわけです。
様々な理由で、コカやその他の幻覚作用を持つ植物が生活や文化に溶け込んでいると、その扱いは極めて面倒。
欧米との温度差はかなりの物ですからね。
そして、ブラジルからの依頼を利用してのアメリカに可能な限り借りを作らないようにしつつの、南米を独立させる為の計画も静かに確実に進んでいます。
こういった事をしっかりと行い、亡国企業の本拠地も探す。
まだまだ、大変な日々が続く一夏です。










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