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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第109話 Dies iraeー怒りの日ー<前篇>

<<   作成日時 : 2014/07/05 23:28   >>

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「状況を説明する。敵はIS学園から約500kmの海域に、まもなく到達する。すでに織斑が保険を掛けておいたので、横須賀に配備されていた福音と海兵隊の試作型第三世代IS3機が敵と会敵する海域で待機している。会敵予想時刻まで後10分。我々がその海域に到着するのは、今から15分後。もちろん可能な限り急ぐ。到着したら、すぐに戦闘になるだろう。全員、気を引き締めてもらいたい。」
「「「「はい!」」」」
 セシリア達は何度も実戦を経験しているから、臆してはいないな。
 ラシェルは、元特殊部隊員でIS委員会直属のISパイロットだから、大丈夫そうだ。
 後は、5分間向こうがどれだけ頑張ってくれているかだ。
 衛星と、白式のハイパーセンサーによると向こうはISが3機いる。
 1機はサイレントゼフィルスとみて間違いないだろうけど、残り2機が何かが解らないのはちょっと気になるな。
 それに、数も半端じゃない。

「では、作戦を説明する。前衛は、私に織斑。篠ノ之。布仏。ブレーメ。中盤はデュノア。鳳。高階。更識。オルコット。マールバラ。後衛は、エデン。ルグローン。ボーデヴィッヒ。前衛は、敵を減らす事だけをとにかく考えろ。中盤はデュノアを中心に戦局を見極めて、時に前衛に合流。時に後衛と連動しつつ援護射撃。尚、ボーデヴィッヒには拠点戦闘用パッケージを使用してもらう。イェリダーとエムブラは、砲撃戦に近接戦闘。どちらも行える。よって、いざという時には後衛を潰しに掛かる敵を食い止めてもらう。援護射撃を活かせるかは、お前たちに掛かっている。いいな。」
「「はい!」」
 ツェアシュテーラーを使用すると、どうしてもシュヴァルツェアレーゲンの機動力は大幅に落ちる。単独にさせるのはリスクがあるからな。この2人ならラウラと共に援護射撃も出来るし、ガードも務まるか。中盤も今のシャルロットなら、リーダー役は十分に務まるだろう。シルヴィが上手くサポートしてくれるはずだ。
 前衛は俺と千冬姉を中心に、箒にのほほんさんとクリス。このメンバーなら問題ない。

「それから、篠ノ之にブレーメは以前に織斑が開発した追加パッケージを使用してもらう。大至急量子化を済ませておけ。いいな。」
「「はい!」」
「よし。各自準備に入れ。到着次第、戦闘に入る。」
 箒とクリスは追加パッケージの量子化を大急ぎで開始し、一夏達もISのチェックを始める。

 一方、大島から南に数十キロ先にある利島に前線基地を設けて、亡国企業の部隊を食い止めているIS部隊があった。
「数が多い。どれだけ叩けば、減るのよ。」
「泣き言言いなさんな。泣く子も黙る福音の専任の名が泣くよ。」
「私は、怖がられたいわけじゃないのよ。花も恥じらう乙女なんだから。一夏が怖がったら責任とってくれるの!?そこらの男なんて願い下げよ。私。」
「そりゃ、厳しいね。っと。」
 福音を駆るナタルと、アメリカ海兵隊のエムブレムが描かれているファングクェイクの面影を残すIS3機が、戦っていた。
 第三世代IS ネプチューン。
 ファングクェイクをベースに、汎用性を重視して再設計されたISである。
 近接戦闘、砲撃戦双方に対応可能でエネルギー兵器も実弾兵器もバランスよく搭載されている。
「うっとうしいんだよ。このクソ共が!!」
 肩のやや下あたりまで赤毛の髪を伸ばしたパイロット。アデル・メイスン海兵隊中尉が、腕部及び脚部に装備されている多連装ミサイル「シージャベリン」の内、脚部の物を一斉に発射し、荷電粒子砲と長射程レールガンの上下連装長距離精密狙撃ランチャー「シーバリスタ」で、撃墜していく。
「ちっ。脚部のミサイルは打ち止めかい。残弾がそろそろヤバくなってきたね。」
 ネプチューンは、テストのため横須賀に配属されアデル達もローレンス・ハイランドを母艦とするテストパイロットだけあって腕前は確かだが、如何せん数が多すぎる。
 ナタルも、一夏が改修した福音の性能を最大限に活かして、ゴーレムを撃破しているが、撃破するたびにゴーレムは向かってくる。
「きりがないわ。一夏達がこっちに向かってくれているから、もうすぐ救援がくるはずだけど、このままじゃ。」
 さすがのナタルも、弱音を吐き始める。
 その時、一本の太い光の槍がゴーレムに大きなダメージを与える。
「来てくれたの?一夏…。」
 発射ポイントに、ナタルは目を向ける。

 よし。大当たり。
 芝崎インダストリーで開発された、40mmプラズマインパルススナイパーライフル「火竜」の命中精度と威力に俺は満足していた。
 短いサイクルで、臨界状態まで圧縮したプラズマ照射し続けるプラズマインパルス砲。
 それを改良して、射程距離、命中精度を高めた火竜で俺は牽制射撃をしながら、ナタル達を援護する。
「よし。行くぞ!」
「「「「はい!」」」」
 ISを展開し、千冬姉と俺を先頭にナタル達の救援に向かう。
「各機。敵を殲滅。フォーメーションを崩すなよ。」
「はい。」
「了解しました。」
 中盤はシャルロットを。
 後衛はラウラをリーダーとして、フォーメーションを組んで戦闘に参加する。
「箒、クリス。「花風」と「ユグドラシル」は?」
「問題ない。」
「良好です。」
 紅椿とエクソルツィスト用に開発した追加パッケージは、実戦で使うのは初めてなので、念の為に状態を確認しておく。
「前衛。一気に突撃して、敵を蹴散らせ!」
「「「はい!」」」
「は〜い。」
 のほほんさんは、相変わらずだな。
 ま、やることやってくれるならいいか。
 それじゃあ、片づけさえてもらうぜ!

「一夏。」
「ナタルか。ごめん。遅くなった。大丈夫か。」
「エネルギーと弾薬が厳しいけど、機体に問題はないわ。」
 良かった。補給すれば問題ないな。
 ヘリだったら、ヤバかったな。
「ファイルス。お前たちは、一旦補給に戻れ。その間は、我々で戦線を支える。それくらいは、何の問題もない。」
「解りました。出来る限り早く戻ります。」
 千冬姉と話として、ナタル達は一旦補給に戻る。
「それじゃあ、いくぜ!!」
 両手の末那識を零落白夜にして、雨月で数機のゴーレムを一気に稼働不能にする。
 数多いな。
 ナタルといえども、手こずるか。
 瑠璃翼の重荷電粒子砲を一斉に発射して、式神で追撃しつつ俺はゴーレムの群れに突っ込む。
 千冬姉は、春陽との連携で次々とゴーレムを屠っている。
 この辺りは流石だよな。
 近接戦闘能力を最優先したシンプルな設計思想だけど、加速性能、機動性、運動性を極限まで高められた舞桜に千冬姉の技量が重なると、まあ、こうなる。
 ゴーレムが完全に動きについて行っていない。
 ディースも投入されたが、まるで敵になっていない。
 ま、ディースが敵になっていないのは、俺も同じだけどな。
 と、箒とクリスにのほほんさんはどうかな?

『速い!通常の紅椿よりずっと速い。これなら、充分にいける。』
 紅椿超高機動戦闘パッケージ「花風」。
 一夏が実用化した、磁気推進スラスターを採用。
 紅椿の機動力が格段に高められ、箒の剣技を今まで以上に活かしている。
「はあっ!」
 金鵄で、ゴーレムを斬るがその威力も向上しEMP機能も当然ながら強化され、ゴーレムはシステムが磁気で稼働不能になって海に墜落していく。
 前方から、荷電粒子砲が発射されるが箒は軽々と回避して、穿千を発射する。
 直撃したゴーレムは、戦闘不能になる程のダメージを受けて墜落する。
「いけるぞ。花風は。」
 花風は紅椿の機動力を格段に高めるだけでなく、絢爛舞踏のエネルギーバイパスを金鵄と穿千に直結させることにより威力を増すように設計されている。
 機動力と兵装の威力を高める。
 それが、花風の特徴だった。
 それを最大限に活かして、箒は紅椿を駆り次々とゴーレムを撃破していく。

「そこ!」
 ガイストとグングニルを発射しつつ、ウェポンコンテナのような物から大量のミサイルが発射される。
 元々、複合探査システム ヴォルスパーにより高い射撃精度を誇るのがエクソルツィストであるが、今日のエクソルツィストの射撃精度は通常のそれを大きく上回る。
「これが、ユグドラシルの性能…。」
 クリスが、追加パッケージの性能に驚く。
 エクソルツィスト性能強化パッケージ「ユグドラシル」。
 それぞれが独立した拡張領域を持つ大型BT多機能ウェポンシステム「ヘクサグラム」が追加され攻撃力を高めるとともに、デュー・コネサンスを改良した補助制御システム「ヴァイスハイト・デア・ウルチマチヴ」も機体の制御をおこない、エクソルツィストの制御システムの性能を大幅に引き上げている。
 特殊且つ高性能な制御OSと特殊探査システムで、装備された兵装を効率的に運用するのがエクソルツィストのコンセプトであるが、ユグドラシルを装備したことにより、その能力はさらに高まっている。
 今のゴーレムの性能では、ロックオンされたら回避するのはほぼ不可能だった。

 よし。花風とユグドラシルは、うまく稼働しているな。
 どちらも、機体の性能をさらに高めることを念頭に設計しているから、かなり戦いやすくなっているはずだ。
 シャルロット達中盤は、ラウラ達後衛と合流して援護射撃をしている。
 鈴と簪を左右に配して側面攻撃にも備えた、堅実な布陣だ。
 成長したな。
 向こうは、心配しなくて良さそうだ。
 俺は、ディースを優先的に始末するか。
 あれは残しておくと、面倒だからな。

『予想を遥かに上回るわ。第1陣が壊滅して、第2陣のダメージも深い…。軽く手合わせして撤退するしかないわね…。』
『そのようだな。』
『やむをえないわね…。』
 一夏達の戦力を過小評価していたと結論を出して、スコールは作戦を変更する。
『スコール。撤退の下拵えは私がやろう。ブルーティアーズは私が前に出れば、必ず食いつく。』
 エムのISは、イギリスから奪取したサイレントゼフィルス。
 イギリス代表候補として、セシリアが是が非でも取り戻したいISである。
 無論、エムはセシリアの実力を甘く見てはいない。
 しかし、今のサイレントゼフィルスは亡国企業の技術陣によって、改良されている。
 相手を混乱させて、撤退する時間を作る事は可能だと考えていた。

『あれは…。サイレントゼフィルス…!!』
 ハイパーセンサーが捕捉したISを見たセシリアは、血が沸騰するのを感じた。
『我が英国の最新鋭IS。私が取り戻さなければ、祖国の名に傷がついてしまう…。』
 叱責も反省文も懲罰トレーニングも覚悟の上で、セシリアはエムの方に向かって行った。
「セシリア!離れないで!」
「すいません!でも、あの相手には私が勝たなければならないのです!行かせていただきます!」
 シャルロットにそう言って、セシリアはさらにスピードを上げる。
『織斑先生!セシリアが。』
 戻る気配のないセシリアを見て、シャルロットは千冬に連絡を入れる。
『何?成程…。やむをえんな。あれは訳ありだ。オルコットはこちらで引き受ける。お前は、引き続き中盤の指揮を執れ。』
 イギリスとしては、サイレントゼフィルスが他国の専用機持ちに奪還されるのだけは避けたい。
 最新鋭ISを奪取されるというのは、国の名誉に大きな傷がつく。
 今回、セシリアが奪還したとしても、何かがあった事に各国は気づくだろう。
 それでも、最悪の事態を避けるためにセシリアは、イギリス代表候補の自分が奪還しなければという義務感に基づいて行動した。

「用件はお解りですわよね?返していただきますわ。よろしくて?」
 セシリアは、スターライトアローUとスパローを手にする。
「できるのならばな。織斑一夏や織斑千冬に比べれば、貴様など只の雑魚。恐れるまでもない!」
 エムが手にするライフルから、多弾頭ミサイルが発射される。
「雑魚と判断するのは、早計ですわよ!」
 テンペストと8基に増加されたビットでミサイルを悉く撃ち落として、スターライトUをバーストモードで発射する。
「ほう?少しはできるな。」
 回避しながら、エムは肩部のビットを自分の前面に展開させる。
 セシリアは偏向射撃でビットを破壊しようとするが、エムはコースを的確に読んでビットのポジションを変える。
『やはり。そうですのね。』
 セシリアは、ビットの正体を読んでいた。
 次の瞬間、ビットの高出力荷電粒子砲はサイレントゼフィルスが展開した4基のビットを破壊した。
『何!?』
 さらに攻撃を加えるセシリアの攻撃を回避しながら、ハイパーセンサーの情報を見てエムは舌打ちする。
「外部からの慣性干渉により、ビームシールド展開を阻止されました。」
 サイレントゼフィルスの肩部には、エネルギーアンブレラを改良したシールドビット「バックラー」が搭載されておりその防御力は優れていた。
 が、それはシールドが展開できればの話である。
 サンクチュアリでそれを阻まれては、只の的になる。
 セシリアは着弾するギリギリのタイミングで発動して、バックラーを撃破した。
「そちらも改修されているようですが、私のブルーティアーズもまた改修されていますわ。一夏さんの手によって。そして、それには大きな差があります。技術力以上の、決定的な差が。それを教えて差し上げますわ。」
「調子に乗るな!」
 激昂したエムは、腰部に装備されている、偏向射撃システムを最適化したビット「タイラント」を展開し一斉に偏向射撃で複雑な軌道でセシリアを狙う。
「そちらには、シールドビットはあるまい!そう簡単に、逃げられると思うなよ!」
「誰が逃げると言いましたか?偏向射撃には、こういう使い方もありますのよ。」
 ビットから荷電粒子砲が発射されるとビットの前面で渦を巻く様な軌道を描きタイラントのビームを防ぐ。
「偏向射撃を利用しての、防御だと?」
 あくまでビットは攻撃用の兵装と考えていたエムは、セシリアの技に驚く。

「あなたのは、ただ改修されただけ。命令して、それを受けて技術陣が改修した。ただそれだけ。しかし、ブルーティアーズは違いますわよ。不愉快な思いをしつつも、一夏さんが私の事を思って様々なアイデアを盛り込んで改修してくださった。戦っている時は、その一夏さんの気持ちが私の背中を押して更なる力を与えてくれる。だから、私は以前とは比べものにならない程、自分の技量をさらに高めようという気になれます。馬鹿馬鹿しいと思うでしょうけど、この差は大きいですわよ。少なくとも、命令されて機械的に改修されたISに負けては、私、一夏さんに顔向けできませんの。どんなに不愉快な思いをしても。私達英国人を嫌いになる程の嫌な思いをしても、私を大事な仲間だと優しい笑顔で言ってくれた一夏さんに。少なくとも、私は貴方には負けるわけにはいきませんわ。」
「ほざいていろ!!」
 エムは、多弾頭ミサイルを装備し高出力ビームと高初速レールガンに換装された多目的ライフルに改修された「スターブレイカーU」を、セシリアに向けて撃つが、優れた機動性を誇るブルーティアーズにはかすりもしなかった。
「はあっ!」
「おのれ!」
 スパローの一撃を、エムはスターブレイカーUの銃剣でエムは受け止める。
『こんな物まで…。それに鋭い…。』
 近接兵装としてスパローが追加されてから、セシリアはフェンシングのテクニックに磨きを掛けつつ、時折一夏と手合わせをしていた。
 相手もフェンシングで戦うとは、限らない。
 故に、日本刀、槍、銃剣と様々な状況を想定してトレーニングを行っていたのである。
 そして、今、その成果を存分に活かしていた。

「くっ!」
 防ぐのが厳しくなってダメージが蓄積したので、エムは仕切り直すために距離を取る。
「距離を取れば仕切り直せるとは、限りませんわよ!」
 左手と右肩のスターライトU。
 腰部のムーンライトUを一斉に発射する。
 無論偏向射撃なので、どこまでも追尾してくる。
 そこに、ビットの攻撃が襲い掛かる。
「いい気になるな!」
 エムもビットで迎撃しつつスターブレイカーUで、反撃する。
『強いですわね。ほぼ、互角というところですか…。』
 エムの実力を冷静に判断しつつ、セシリアは取るべき戦術を模索していた。

 開くわ。貴方の花が。貴方の想いの花が。

『えっ。この声は…。』
 セシリアは、どこからともなく声が聞こえてきたのを感じた。

 さあ、願って。花開くのを…。

 そして、セシリアの脳裏にイメージが浮かぶ。

『そういう事だったのですね…。』

 セシリアがビットを戻し、距離を取る。

『何のつもりだ?何かの策か?』
 理解不能な行動に、エムは一旦攻撃を中止し様子を見る。

「咲きなさい!私の花!私の想いの花!」
 セシリアの声に応えるように、ブルーティアーズが輝く。
 
 何だ?この反応。
 ブルーティアーズか。

 BLUE TEARS SECOND FORM
 ”BLUE ROSE”

 ハイパーセンサーの情報に、俺は驚いた。
 ブルーティアーズ第二形態、ブルーローズ。
 まさか、ブルーティアーズが最初に第二形態移行をするとは思わなかったぜ。

 ブルーローズ。
 青い薔薇の名のごとく、各部の装甲はどこか薔薇の花びらを思わせる形状になっている。
 そう言えば、青い薔薇の花言葉は「神の祝福。奇跡。夢がかなう。」だったか。
 元々、青い薔薇は自然界になくて、品種改良によって作られたがそれまで作るのは不可能とされてきた。
 ISにしても、必ず第二形態に移行するとは限らない。
 まさに、奇跡かな。
 おーおー。サイレントゼフィルスのパイロット。驚いてるな。

「第二形態移行だと…。」
 セシリアがブルーティアーズと共にIS学園に入学して、1年以上が経つ。
 その間に、幾多の実戦を経験しデータも蓄積しているとはいえ、それだけで形態移行するわけではない。
 そもそも、形態移行のメカニズムがまだ解明されていないのである。
 故に、どういった切欠で第二形態に移行するのか誰も予測できないので、驚くのも、無理はない。
 統計的には、ある程度稼働データを蓄積すると第二形態に移行するので、機体が蓄積した経験が関わりがあると考えられているが、結局の所、パズルのピースの様な物で、まだまだ解明すべき点が山の様にある。
「私の想い。そして、改修してくださった一夏さんの想い。それに、ブルーティアーズは応えてくれたのです。決着の時ですわよ!」
 スターライトアローUがパワーアップした多目的ライフル「アスカロン」に高出力プラズマブレード「コルブラント」を構え、複合ビット「ブルーローズ」を展開し、エムに狙いを定める。

「第二形態移行したからといって、勝てると思うなよ!!」
 エムがスターブレイカーUを撃ちまくりながら、突撃してくる。
 しかし、強化された機動性を活かした優雅な機動で回避しつつ、ブルーローズとアスカロンで多大なダメージを与える。
「舐めるな!」
 サイレントゼフィルスの全力射撃が、セシリアを襲うがフィールドに阻まれダメージを与えることはできなかった。
 広域多目的フィールド発生機構「プリトウェン」。
「貴方は、私には勝てません。もう、お解りの筈です。」
 背部多連装高出力衝撃砲「ブリューナク」、腰部にマウントされている多機能拳銃「アロンダイト」が発射され、サイレントゼフィルスのシールドエネルギーを大きく削る。
「これで終わりですわ。お行きなさい。」
 コルブラントを掲げると、ナノマシンで構成された白い竜が止めを刺し、サイレントゼフィルスの待機状態であるイヤリングをセシリアは回収した。
 ブルーティアーズのワンオフアビリティ。特殊なナノマシンが群体となって形成した純白の竜「グウィバー」。
 発生する確率が天文学的なワンオフアビリティも手に入れたブルーティアーズは、格段に強力なISとなり、セシリアは遂にサイレントゼフィルスの奪還に成功した。
 が、エムはディースが回収して後方に連れ去ったために捕縛することが出来なかった。
『オルコット。元の位置に戻れ。』
『はい。その…、勝手な事をして、申し訳ありません…。』
『やむを得んだろう。今回は不問とする。だが、次はないぞ。』
 サイレントゼフィルスを奪還できるチャンスがあれば、それをふいにすることはできないのは千冬も理解していたので、ペナルティを課す気はなかった。

『エムが負けるなんて、想定外だわ…。おまけにサイレントゼフィルスが奪還されたのは痛いわね…。』
 想定外の事態にスコールは、撤退することを考えていた。
 亡国企業の技術陣はISを設計・開発することは出来るが、コアがあればこそである。
 現在、コアの作成が出来るのは束に、一夏だけである。
 つまり、ただでさえ貴重なISが奪還され、実戦データを取るどころか、ブルーティアーズが第二形態移行を遂げるという、何も得る物がない状態になりつつあった。
 今回の作戦に投入したゴーレムとディースも、かなりの数が撃破されている。
 主な原因は、一夏と千冬の圧倒的な実力であるが、中盤を指揮するシャルロットの的確な指示による後衛との連動した援護射撃により戦力を削り取られているのも痛かった。
『そっちには、スノーが行っている筈…。致命的な事態になる前に、撤退させないと…。』
 考えている最中に、補給を終えたナタル達が戦線に加わる。

『鈴。そっちはどう?』
 重レーザーとレールガンを上下連装式にしたスナイパーライフル「ロンボウ」でゴーレムとディースに確実にダメージを与えつつ、シャルロットは新型らしいISを駆っているスノーと対峙している鈴に、連絡を入れる。
『どういうわけか。投入してきた新型。結構手強いわね。ちょっと手間がかかるかも。大丈夫、勝てない相手じゃないわ。臨海学校の時より、私達はずっと強くなっているんだから。』
 鈴はシャルロットにそう答えて、龍王を握り直す。
『でも、こんなIS見た事ないわ。どこかの国で新型が開発されたら、情報が入ってくるのに。』
 アラスカ条約には、新型ISを開発した際の申告義務が存在する。
 当然、その情報は代表候補もチェックするので、中国代表候補たる鈴がしらないというのは、通常ありえない。
 目の前のISは両腕がプラズマブレードとレーザー砲に物理シールドが一体になった蠍の鋏の様な形状をしており、背中からはビームダガーが装備されている蠍の尻尾の様な機構が搭載され、胸部パーツには小口径速射衝撃砲が搭載されており、外見は蠍を思わせる
 手には、高出力プラズマブレードが握られている。
「去年の夏のお返しを、させてもらうわ。このスコルピウスでね。」
 スノーが駆っているISは、第三世代IS スコルピウス。
 亡国企業が新たに解決した、第三世代ISである。
「どうかしらね。私の甲龍は、一夏が二度改修しているわ。そんじょそこらの技術者で一夏を凌ぐことが出来るの?それに、臨海学校の時の私と思ったら大火傷するわよ。」
「いい気にならないことね!」
 尻尾上の機構のビームダガーが消えると、大出力荷電粒子砲が発射される。
「攻め方に、工夫がないのよね!」
 両肩の百龍を発射し、片方を偏向射撃で後方に回り込ませてから、両方を一気に拡散させる。
「くっ!」
 全面からの百龍はフィールドで防ぐが、後方からの百龍は直撃を喰らい、少なからずシールドを削られる。
「小娘が!!」
 激昂したスノーは、両腕のレーザー砲を連射するが鈴は甲龍を巧みに操って、回避する。
 そこに、先端がビームダガーになった尻尾上の機構が襲い掛かるが、龍王で受け流す。
『前方にフィールドを発生させる事が出来るとなると、正面からダメージを与えるのは難しいわね。相手にその隙を与えないようにしないと。』

『ふむ。皆、上手くやっているな。』
 ディースを撃破した千冬は、戦闘状況を確認する。
 前衛は一夏を中心に次々と相手を減らし、中盤はシャルロットの指揮とラウラの援護射撃がうまく連携して、一夏達を援護している。攻め込もうとするゴーレムやディースには、セシリア達が対応しているが互角以上の勝負をしている。
 状況を確認している間に、舞桜のハイパーセンサーがある情報を伝える。
『見つかったか…。』
「織斑。ここは任せる。前衛の指揮を執れ。」
 千冬はゴーレムとディースの部隊を迂回しつつ、戦闘を最小限に留めながら目的のポイントに向かった。

『最悪の事態ね…。』
 後方に控えているディースを全て、向かってくる千冬に向かわせる。
 しかし、最小限の戦闘で千冬は目的のポイントに到着する。

後書き
2週連続の前後編です。
作戦を開始したスコール達と、一夏達が激突。
予め一夏が保険を掛けて置いたために、到着するまでの時間稼ぎができました。
相変わらず、いざという時の備えに余念のない一夏です。
相手の数が今までになく多い為に、箒とクリスは以前に一夏が開発した追加パッケージを装備。
戦闘を有利に進めます。
リベンジを誓ったスノーは鈴と対決。
そして、セシリアとエムの激戦の最中、ブルーティアーズは第二形態移行を遂げます。
格段に増した性能と、ワン・オフ・アビリティ。
そして、今までの訓練で向上した実力の相乗効果で、遂にサイレントゼフィルスの奪還に成功します。
そして、千冬が何かというか誰かを見つけたようですが…。さて、どうなりますか?
尚、品種改良で青い薔薇を作り出す事に成功したのは、サントリーの研究所だったりします。
















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