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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第110話 各部署、多忙也<後篇>

<<   作成日時 : 2014/07/13 11:57   >>

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 俺達は別室に移って、コーヒーを用意させた。
「で、私にお話とは。」
 実は解っているんだけどな。
「ご存知かと思いますが、我がコロンビアもメキシコも、昨今様々な問題でマフィアが再び息を吹き返しつつあります。原因は、先程所長がおっしゃられた通りです。」
 イラゴーリ内務大臣が、要件を言う。
「それは、存じております。私も企業の取締役をしておりますので各国の状況は、頭に入れておりますので。それで、それと私とのお話に何の関係が?」
「国内の治安回復と、他国からの資本投下。特に、日本企業の資本投下を増やす為に、お力添えを戴けないかと。」
 俺の質問に、チョン内務大臣が俺への助力を求めてくる。
「成程。確かに、マフィアの勢力を弱体化し、雇用が増えれば自然と治安も良くなりますし、そうなれば投資に及び腰になっている企業の資本投下も期待できますね。」
 コロンビアとメキシコは、日本とは少なからず経済的な繋がりがある。
 コロンビアへの日系企業の資本投下は約80億円。
 メキシコには、1500億円。
 特に、コロンビアは、もっと日本からの投資を呼び込みたいというのが、本音だろう。
 メキシコにしても、日本の資本投下は魅力的だ。
 IS発祥国である日本は、現在各種企業がしのぎを削り技術の進歩が著しい。
 そして、ISの各種技術を応用して軍需技術も加速度的に進歩して、中型だけど戦後初の国産正規空母「あかぎ」型が、来週には竣工して試験航海に入る。
 艦載機は、純国産ステルス戦闘機F−3 ゼロの艦載機バージョンに早期警戒機が搭載されてCTOL機43機。各種ヘリ10機。IS1個中隊が搭載可能だ。
 これが、4隻。
 即ち、各護衛隊群の1隻ずつ配備される。

 技術進歩が著しい中、特に、ナノマシンの各分野への応用では、世界でも随一だ。
 俺も、それにだいぶ関係している。
 俺が開発した製品は、海外にも広く輸出され莫大な利益を生んでいる。
 これに目を付けた各国は、自国に工場を建設して生産してはどうかとしきりに誘いを掛けている。
 これは、雇用確保だけが目的じゃない。
 うまくいけば、技術も手に入るからだ。
 俺自身、各国企業との会食で出席している政府関係者からそれとなく誘いを掛けられている。
 コロンビアもメキシコもGDPで見れば、決して貧困国とは言えないが格差がインフラにも影響している。
 結果、スラムがあちこちに出来て、治安悪化や犯罪率の増加にさらに拍車を掛けている。
 俺はその状況を考慮して、亡国企業が触手を伸ばす前に手を打つ準備ができるように今回の会議で提案するつもりだった。
 まさか、コロンビアとメキシコから助力を頼まれるとはな。
 俺が思う以上に、状況は深刻という所か。
「詳しく。お話を、聞かせていただけませんでしょうか。」
 現地の状況は、可能な限り正確に掴んでおきたいからな。
 
「成程…。正当防衛の形で、ISを使用しての殲滅のシナリオの提案ですか…。」
 イラゴーリ内務大臣とチョン内務大臣の話を聞いて、俺も穏やかではいられなかった。
 あらかじめ筋書きを用意して、奴らを舞台の上にあげてからISで殲滅。
 アラスカ条約でISの軍事利用は禁止されているとはいえ、マフィアやゲリラの持つ個人携帯式対空ミサイルやRPG等は、ISにとっても無視はできない。
 闇市場では、型の古いスティンガーの発射機は容易に手に入る。
 ミサイルにしても、金さえあれば最新型を手に入れることが出来る。
 RPGなんか、お手軽に調達できる対戦車兵器の筆頭。
 そこらのゲリラは、山のように持ってる。
 加えて、最近は中国のQW−4にロシアの9K338 イグラ−S。
 こういったのも、取引されている。
 いまや、核以外闇市場で手に入らない武器は無いとすら言われる。
 世も末だよ。
 そのせいで、南米のゲリラは政府軍でも制圧するのは難しい。
 そうなると、多くの犠牲者を出すよりISでとっとと終わらせたくもなる。
 けど、そうなれば戦闘というよりただの虐殺。
 ISの潜在的な軍事的脅威が一層アピールされて、所有しない国が所有する国に対していい感情を持たなくなり紛争の種になる可能性もある。
 世界を見渡せば、揉め事の種は石ころみたいに転がってるからな。
 そうさせない為に、俺はクラス対抗戦前にあちこちを駆け回っていろいろ準備をしてきたんだ。

「それに関しては、国連事務総長と会談をして協力を取り付けてあります。さらに、ユーロポールやインターポールとも協議を済ませて下準備は済ませました。後は、細部を詰めるだけです。違法薬物と貧困の問題は、それ自体が世界にとっては危険因子。可能な限り、早く解決する必要があります。休憩後にお解りになりますが、実を申しますと今回はマフィアの掃討作戦に関しての協議が一番重要な議題なのです。」
 イラゴーリとチョンは、驚きを隠せなかった。
 自分たちが協力を要請する前に一夏は既に様々な準備を終えて、今日、掃討作戦を立案するためのお膳立てを済ませていたのだ。
 各国へのパイプに、卓越した外交センスを持っているのは理解していたが、想像の域を大きく超えていた。
「それでは、我々は部隊の編成を密かに進めるように本国に伝えておきます。」
 イラゴーリが一夏に言うと、チョンも頷く。
「よろしくお願いいたします。さて、コーヒーを飲むとしましょう。コロンビアの最上級品。冷ましてしまうには、あまりに勿体ない。」
 そう言って、一夏は目の前のコロンビア産コーヒーの芳香を楽しむ。

「さて、ミレニアム開発目標に関しての協議と現在の違法薬物への対策会議も終了しましたが、今回は、各地の違法薬物密売組織の鎮圧作戦の立案も行いたく存じます。これは、ニルセン国連事務総長からの依頼であり、織斑特別理事が既に細部の準備を整えております。」
 出席者が、一斉に一夏の方を向く。
「それは既に、より精密な情報を各機関と共有し、作戦立案の準備は済んでいると解釈してよろしいのでしょうか?織斑特別理事。」
 アメリカのサリー・ジュウェル内務長官が訊ねる。
「そう解釈していただいて、結構です。現在、我がIS委員会特別調査部においてさらなる情報収集と分析を行っております。」
「では、直ちに作戦立案にかかるべきだと考えますが、出席者各位は如何でしょうか?」
「賛成。」
「異議なし。」
「本国に伝え、部隊派遣が可能な国は、迅速に部隊編成を行うべきと考えます。」
 どの国でも、違法薬物は頭の痛い問題なのでできうる限り片付けたい。
 そして、一夏がその為の準備の大部分を終えているとなれば、直ちに作戦を立案するべきだと考えた。

 乗ってきてくれたか。
 ここまでは、順調だな。
 後は、立案段階で揉め事が起きないかだな…。
「そこで提案なのですが、あまり会議が長引くとマスコミの興味を引き、外部に情報が漏れる可能性があります。幸い。少しすれば、安保理の定例会議ですし。そこで、最終決定をするというのはどうでしょう。」
 グレッグソン=ウィリアムズ内務大臣が、提案する。
 成程。ここは、作戦立案の場としては不向きだからな。
「ところで、織斑特別理事にお尋ねしたいのですが。」
「何でしょうか?」
 アメリカのジュウェル内務長官が、何を聞きたいのか、俺に質問をする。
「既に様々な準備を整えて、さらに精密な情報収集及び分析を継続中という事は、既に作戦案をお持ちではないでしょうか?」
 そう来たか。
 俺としては、揉めた時に備えての作戦案のつもりだったんだがな。
「はい。あくまで私個人が立案した物ですが。」
「では、それを各国で検討。その上で修正を加えて採用という形では如何でしょうか?」
 おいおい。そんなに俺の作戦案が期待できるのか?
 そりゃ。効率的かもしれないけど。
「それで、よいのではないかな?」
「私も同感です。貴方なら、大丈夫ではないか。そう思えます。以前の受験生の警護の実績もある。貴方の作戦立案計画が優れているのは、間違いない。」
 他国からの出席者も、賛成かよ。
「解りました。それでは、明日中に各国政府に届くように手配いたします。その上で、専門家によるご検討をお願いいたします。」
 何か。妙な事になったな。
 こうして、奇妙な形でUNODCの会議は終了した。
 ま。ミレニアム開発目標の達成には、各国がより力を注ぐ事が全会一致で採択されたし。
 作戦の準備も、想定より早く進みそうだからいいのかな。

「成程。要するに、自分たちで最初からやると揉めに揉めて、進みそうもないから閣下の作戦案があるのならそれを使おうといったところですな。」
 俺は特別調査部本部に戻ってから、部下を招集して会議について話した。
 俺の作戦案を基にするという事に対して、ブラウンの髪をオールバックにして眼鏡をかけた知的な感じがする、SISから派遣されたエージェント。ジェフリー・グリント少佐が肩をすくめながら言う。
「それだけじゃないな。グリント。もし失敗したら、責任を閣下に押し付けるという線もありそうだぜ。」
 同じくSISから派遣されたエージェントで、やや薄めの金髪を長めに伸ばしている芸術家か作家風の外見を持つ、ルシアン・ライリー少佐が続く。
「ありえると言えるのが、憂鬱だな。そもそも、アメリカがコロンビアの麻薬組織壊滅に援助して苦労した過去があるから、苦労は閣下に押し付けたいんだろうさ。」
 ドイツ連邦調査局から派遣された。黒髪を短くした軍人風のエージェント。アーダルベルト・ヴェッセル少佐がやや呆れたように言う。
「にしても、恥ずかしくないのか?閣下におんぶにだっこっていうのは。ユーロポールは各国警察との関係があまりよくないだけでなく、設立に関係した各国が犯人逮捕の権利を与えないので情報収集で有力情報を掴んでも、ユーロポールは独自に動けない。結果、現地警察の初動が遅くなるケースも少なくないから、摘発も思うように進まない。その責任の一端を、閣下に背負わせようっていうのは、いい性格してるぜ。」
 アーダルベルトと共に日本に派遣された、ブラウンの髪を丹念に整えたモデル風のエージェント。クリストフ・ブルムが、呆れるのも馬鹿馬鹿しいという感じで言う。
「今更言ったってしょうがないさ。そういうのは、今年のIS学園の受験生の警護計画が纏まる経緯を見れば、簡単に予測できる。とにかく、作戦案をきっちり仕上げようぜ。ここで連中をこき下ろしても、何の得にもならない。」
 ONI(Office of Naval Intelligence:アメリカ海軍情報局)から派遣された、黒い髪を短く切り、いかにも軍人風のジェームズ・ウォーラムが作戦の仕上げを促す。

「ウォーラムの言う通りだ。とにかく作戦を纏めない事には、こちらとしてもいろいろ面倒だ。亡国企業が根付いてからでは手間がかかる。その前に、南米に資本投下が出来るように環境を整える必要がある。それで、私の作戦案だが。」
 一夏がコンソールを操作すると、大型投影ディスプレイに世界地図が表示され、各地の主なマフィアと違法薬物の流通ルートが表示される。
「流通では、売り手と買い手が存在する。基本構想は双方を摘発する事だ。というより、これ以外の基本構想は無い。だが、私が参加してのカモッラの掃討作戦で各組織は警戒を強めている。正攻法では、犠牲が大きい。それで、今回の作戦では積極的には、攻め込まない。根拠地を包囲。持久戦に持ち込む。向こうは、食料をある程度は貯めこんでいても、構成員全てを長期間食わせるほどの物資はない。いずれ、調達に向かう。各部隊に無線傍受部隊を随伴させ、調達ルートを徹底封鎖。同時に、街の下っ端を片っ端から逮捕する。これで、食料の調達元と連中がコンタクトできないようにする。」
「しかし、その下っ端をどうやって炙り出すかが問題です。今の状況では、日に日に構成員は増えているでしょう。それを全て把握するのは、不可能に近いと思いますが?」
 ヴェッセルが、意見を言う。
「その通りだ。そこで、ミレニアム開発目標を利用する。各スラムの住人に対し、食料を供給すると同時に各国政府での公共事業への資金援助を行い、普通の住民と下っ端を分別できるようにする。一旦組織に加わった以上は、そう簡単に足は洗えない。つまり、公共事業で増えた雇用の恩恵を受けることはない。
給料の支払いは日払いとする。当然、売人となる下っ端は商品を売りつけようとする。各現場に警官を密かに潜入させて、逮捕する。街の下っ端は事前に手配を済ませておくので、これで下っ端は、一網打尽に出来る。」
「後は、部隊展開のタイミングですね。」
「そういうことになる。それは安保理で詰めることになるだろう。それからこの際だ。欧州のマフィアの力も、削いでおきたい。インターポール及びユーロポールと連携しながら、鼻薬を嗅がされた上層部を拘束。これで、警察の動きを活発化させる。焦った下っ端を片っ端から逮捕すると同時に、取引の現場を押さえて欧州からの流通を遮断する。」
「後は、連中の本拠地を如何に潰すかか…。」
 ライリーが考え込む。
「それに、関しては…。」
 こうして、一夏の作戦案を基に各所に細かな修正を加えて、最終的な作戦案が出来上がり各国に密かに送られた。

「お帰りなさいませ。一夏さん。」
「ああ。セシリアか。ただいま。」
 学園の寮に戻ると、偶然セシリアと会った。
「大丈夫ですか?随分、お疲れの様ですけど…。」
 心配そうにセシリアが俺を見る。そんなに、疲れているように見えるか?
「大丈夫。平気だよ。心配してくれてありがとう。セシリアこそ大丈夫か?今日は、ブルーティアーズの各種データの収集だっただろう。」
 第二形態移行を遂げ、ワン・オフ・アビリティまで得た事でイギリス政府は蜂の巣をつついたような大騒ぎになり、IS学園と交渉してアリーナを丸ごと貸切って、ブルーティアーズの各種データを徹底的に収集した。
 俺が2回改修して、性能は大きく向上していたけど、第二形態移行後はさらに向上していたからな。
 その筋から聞いた話だと、これ以上ない程満足した表情で本国に帰ったらしい。
 BT兵器搭載のISは、今までの開発で得たデータと俺の改修データを基に、集大成のISとしてエメラルドエターナルが開発された。
 まだ、BT兵器搭載型ISを開発するとしたら、これでファーストジェネレーション終了といったところかな。
 これから開発するとしたら、BT兵器に対する適性をほとんど気にする必要がないISとしてセカンドジェネレーションのISが始まると、俺は考えている。
 何しろ、イリュジオンとの模擬戦闘のデータがあるからな。
 デューコネサンスを参考にした補助AIの設計は、当然アイデアとして出るだろう。
 まあ。データはたっぷり収集できたから後は自分たちでできるだろう。
 俺としてもそうでないと、はっきり言って困る。
 身が持たないからな。
「いえ。そんな…。一夏さんに比べれば、さほどでもありませんわ。今日はもう、お寝すみになられるんですか?」
「うん?ああ。山田先生の所に行って、ちょっと報告してからな。」
「就寝時間までまだ時間がありますし、クッキーを食べながらお茶でも如何ですか?」
「ああ。いいぞ。じゃあ、報告終ったら、セシリアの部屋でいいのかな?」
「ええ。お待ちしておりますわ。」

「そうですか。作戦案は出来上がりましたか。」
 職員室で、千冬姉と山田先生にUNODCと各地のマフィアの壊滅作戦に関して報告していた。
「成程。よくできているな。これなら、さほど修正の必要はないだろう。」
 作戦案を見ながら、千冬姉が言う。
「いずれにせよ。ご苦労だった。疲れているだろう。ゆっくり休め。」
「そうするよ。では、失礼します。」

「また。織斑君に頼りっきりですね…。特別調査部が立ち上がって負担は軽減されてはいますけど、結局は織斑君が要ですから…。」
 一夏の健康状態は定期的にチェックしているとはいえ、真耶は一夏の事が気がかりでならなかった。
「こちらでも、色々と手を打たねばな。」
 真耶以上に、千冬は一夏の身を案じている。
 自分が持つパイプを最大限に活用して、一夏の負担を減らす手段を既に模索していた。
『このままでは、いられんからな…。』
 空中戦艦のドッグに行った後、千冬は密かに束と会っていた。
 その時の会話を、千冬は思い出していた。

「ちょっと、問題あり過ぎだね。」
 呆れたような口調で、束が言う。
「一夏がか?」
「周り。いっくんは凄い努力家だから、原子炉とかじゃない別の動力源を実用化しているのは予想していたけど、構造相転移機関に縮退炉は凄いよ。努力家のいっくんなら、原子炉以外の動力源でひょっとしたらと思っていたけど。できは予想以上。安全対策も念には念を入れているし、機関出力も相当な物だよ。あれ。けど、周りがちんぷんかんぷん。いっくんより、ずっとキャリアがあるのにね。あれじゃあ、お話にならない。いっくんの手助けには到底ならないなあ。」
 束は空を見上げる。
「要するに、周りの技術者と一夏の差が大きすぎて、アシストできる人材がいない。そう言いたいのだろう。」
 その点は、千冬も十分理解していた。
 HEGや各種医療機器、IS等、一夏は各分野に渡って世界をリードしている。
 今回の空中戦艦計画も、一夏がいなければ立案すらされなかったろう。
 しかし、他の技術者との差があまりにも開き過ぎていて、技術開発面でも一夏に相当な重荷が掛かる事になる。
 束は、それを憂慮していた。
「私が自由に動ければ、いっくんの負担は減るんだけどね。私といっくんがやればいいだけだし。でも、それは、無理だしね…。」
 非常識が人間の形をしているような束だが、自分の立場については十分に熟知していた。
 故に、流浪の身となるのを選び、最愛の妹である箒への力添えも専用IS紅椿の開発に留めている。
 IS委員会だろうがどこだろうが、ISの生みの親である束が一つの組織に所属することは、それだけでとてつもなく大きな問題になる。

「私から一夏に話して、今まで培ったノウハウの中から各国に可能な限り開示する様に言ってみよう。それだけでも、各国の技術は向上する。それに伴う外交問題に関しては、私も自分のルートを使って仲裁に入るつもりだ。これ以上、一夏に負担が掛かればどうなるか…。」
「そうだね…。それくらいしかないね…。本当…。駄目なお姉ちゃんだよ…。私…。」
 一夏や箒には決して見せない表情と口調で千冬にそう言うと、束は飛行艇で去っていく。
「私もな…。だが、駄目な姉なりに出来ることは何かしらある筈…。それを全うする。」

『とにかく。私にできることを見つけ、それを全うする。一夏の姉として…。』
 千冬は、固く誓っていた。
 一夏が、特別調査部のスタッフと共に立案した作戦案に関して最終的な協議をするために、各国に作戦案を送ってから数日後、一夏はニューヨークに出発した。
 ガードはラウラが務め、さらにワルキューレと更識のSPがついている。

「基本的には、これで問題は無いでしょう。後は、投入する部隊ですな。我がアメリカは、第1特殊作戦部隊デルタ分遣隊、第75レンジャー連隊、SEALS、海兵特殊作戦部隊の投入を決定しております。」
「我が英国は、第22SAS連隊、SAS急襲専門班の投入を決定しております。」
「我がフランスは、第13竜騎兵落下傘連隊、GIGN(Groupe d’Intervention de la Gendarmerie Nationale:国家憲兵隊治安介入部隊)の投入を決定しております。」
「我がロシアは、ロシア連邦軍第45自動車化狙撃師団特殊任務大隊、第45独立親衛特殊任務連隊の投入を決定しております。」
「我が中国は、「飛龍」特殊部隊、「雄鷹」特殊部隊の投入を決定しております。」
 五大国はそれぞれ、特殊部隊を大量に投入してきたか。
 アメリカが、一番大規模か。
 裏庭が物騒になったら、一番不利益を被るのはアメリカだしな。
 他にも、ドイツ、イタリア、スペイン等の国々が、それぞれ部隊を投入する。
 後は日本か…。
 憲法九条があるから、難しいだろうな。
「我が日本は、特殊急襲部隊とそれのバックアップとして中央即応連隊を投入いたします。」
 成程。そう来たか。
 うまく理由を作れれば、ソマリアの海賊対策等で派遣実績がある中央即応連隊なら投入できる。SATは元々警視庁の特殊部隊。軍事組織じゃない。それに今回は、理由はミレニアム開発目標に基づく援助国における警備活動。あちこちに対象国があるから、各国の部隊が出動しても怪しまれることはないし、麻薬の供給先で南米がトップクラスなのはよく知られている。
 そういう場所では、危険の一つや二つは転がっているから、警備の為の出動は必要になる。
 状況を逆手に取ったか、日本政府も考えたな。
 一部の野党は騒ぐだろうが、今の日本が「憲法九条があるので、海外に部隊は出せません。」とは簡単には言えない。
 IS先進国にして、配備されているISは全て第三世代。
 研究用のコアと配備されたISを含めて、コアの数は五大国と同数。
 立派な軍事大国だ。
 それに、IS学園の受験生の警備において、アジア方面各国連合艦隊の中核を為し実績も上げている。
 皮肉だが、この実績が自衛隊の精強さを世界に知らしめる結果となって、海外活動に於いて自衛隊にもっと参加してもらいたいという要求は日増しに強くなっている。
 遠からず、憲法九条は改正されるだろう。
 国民にしても、日本が国際社会においてどのような立ち位置にいるか、充分に理解したはずだ。

「それでは最後に、今回の作戦を取りまとめた織斑特別理事に作戦名を決めていただきたいと思います。」
 ニルセン国連事務総長が提案して、各国の理事が賛成する。
 そうだな。う〜ん。
 よし。これでいこう。
「それでは、作戦名を発表させていただきます。作戦名は、“パラダイス・エグザイル”。」
 楽園追放。
 かつて、禁断の実を口にしたアダムとイブは、楽園を追われた。
 麻薬だの覚醒剤だのという禁断の実を口にした奴らを、世間からたたき出すこの作戦にはうってつけだろう。
 こうして、作戦名も決まり各国は早急に準備を整え、記者会見でミレニアム開発目標のより一層の推進と違法薬物の根絶を目標にして、各国への援助がスタート。
 同時に、部隊が護衛の為各地に展開され作戦が開始された。
 さて、俺もさらに忙しくなるか。
 各国とも、連携しつつ事を色々進めなくちゃならないからな。

後書き
後篇です。
南米のマフィアや犯罪組織について調べるのと並行して、武器の闇市場についてもある程度調べてみました。
見てびっくり、聞いてびっくりです。
アサルトライフル、サブマシンガン、マシンガンに拳銃といった小火器はともかくとして、各種ミサイルに攻撃ヘリまで手に入るようです。
よくもまあ、闇とはいえ流通するものですね。
呆れましたよ…。
リアルヨルムンガンドですから…。
さて、作戦案は一夏率いる特別調査部が一夏の物を原案として修正を加え、それがほぼ採用された形になり、各国は精鋭特殊部隊を派遣します。
日本はその辺りは難しいですから、ミレニアム開発と絡めてソマリアの海賊対策で出動した前例がある、陸自の精鋭中央即応連隊に、警察の切り札SATを派遣することにしてみました。
SATは警察系の特殊部隊ですから、ハードルは低いでしょう。
ちなみに、一般市民と組織の構成員の切り離しというプロセスは、唐後期の名政治家にして名将王式のやり方を参考にしました。
いよいよ作戦はスタート。
成功するでしょうか?










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