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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第108話 ガールズ・プライド<後篇>

<<   作成日時 : 2014/06/29 02:36   >>

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「さあ。最後のカード。最上級生たる3年生の決勝戦。2組のクラス代表にして前生徒会長。現ロシアの国家代表たる更識楯無さん。対するは3組のクラス代表にして、オーストラリア代表候補の筆頭フォルテ・サファイアさん。過去。ビッグ3ではナンバー1とナンバー3の座にいたIS学園屈強の生徒。更識さんの専用機ミステリアスレイディは、織斑君の手によって二度の改修が施されたハイスペックなIS。サファイアさんの専用機エインガナは、織斑君が直々に設計開発を行い、展開装甲を除けばスペックは第四世代に匹敵する高性能IS。ISのスペックにほとんど差はありません。後は、両選手の操縦技術が物を言います。さあ。勝利の女神はどちらに微笑むでしょうか?」
「両者とも、去年からは織斑君とトレーニングを共にし、元々高かった技術にさらに磨きがかかっているだけに、白熱した試合になるのは間違いありませんね。大いに観客を沸かせて欲しい物です。」

「こういうのも面白いわね?フォルテ。」
「そうだな。楯無。入学してから、何回かお前とやり合ったが黒星続き。そいつを止めるチャンスかもな。」
 フォルテの言う事は、虚言とは言い切れない。
 亡国企業の襲来から、一夏とのトレーニングを経てスキルは格段に上昇しており、本国では国家代表の座は確実視され、既に実力は国家代表クラスと十分に言える。
 エインガナは、第四世代に匹敵するスペックを持つ高性能IS。
 そして、以前、専用機としていたコールドブラッドの設計思想を受け継ぎつつ性能を強化し弱点だった機動性も格段に引き上げられ、高機動砲撃戦においては世界でも有数の性能を誇る。
 ミステリアスレイディがアクアクリスタルから生成する水で変幻自在の攻撃を仕掛けて来ても、そう遅れは取らない。
 フォルテには、その自信があった。

「3年生決勝戦。始め!」
 最後の決勝戦の火ぶたが、切って落とされた。

「行くぜ!」
 バニップ、ウィラジュリ、ランギをダーラマランで初速を増して一斉斉射する。
 すかさず、水のヴェールが防ぐ。
『威力は流石ね。向こうのホームグラウンドで戦えば、ちょっときついか。』
 射撃兵装の威力は、速度の二乗に比例する。
 ダーラマランは、一夏がそこに目を付けて開発した特殊兵装である。
 厄介な所は、威力が増すだけでなく、初速が増すので回避が困難になり、初速によっては衝撃波も生み出され、それ自体も兵装となる。
 水のヴェールはあくまで水。
 100℃を越えれば蒸発し、衝撃波が至近距離を通過すれば影響を受けヴェールの形状が変化して、隙になりかねない。
 如何に密度が通常の水の3割増しの重水といえども、ダーラマランは無視できない脅威であった。
「高機動砲撃戦は、あなたの専売特許じゃないわよ!」
 水龍槍に装備されている、速射荷電粒子砲と中口径ガトリングレールガンでフォルテを狙う。
「そう簡単には、当たらねえよ!」
 優れた機動性を駆使して回避しながら、エオラを発射する。
「重武装型って、これだから厄介なのよね!」
 水のヴェールを槍状にして、全て撃破する。
 が、それは罠だった。
 爆発で生じた煙から、ビラングヌルを展開したフォルテがイグニッションブーストで迫る。
 機動性が優れているが故に、イグニッションブーストの加速性能も当然優れている。
 否が応でも、楯無は近接戦闘に持ち込まざるを得なくなった。

「さすがに、凄い試合ですね。嘗ては、IS学園最強だった楯無さん相手に…。」
 フォルテと楯無の凄まじい近接戦闘に、真耶は息をのむ。
「サファイアも、一夏やブッフバルト先生相手の厳しい訓練で、腕を磨いていた。既に実力は、紛れも無く国家代表クラスだ。いくら楯無とはいえ、そう簡単に勝つことは出来んよ。それにビラングヌルは、CQCの訓練成果を十二分に活かす事が出来る白兵戦兵装だ。腕部だけでなく脚部にまであると、楯無にとっても厄介だろうな。」
 CQCはボクシングではない。
 パンチ、キック、サブミッション等様々な要素が含まれる。
 それを活かせるビラングヌルは、CQCの達人が使うと恐ろしい兵装になる。
 そして、オーストラリアは英連邦の一つ。
 本家であるイギリスのSASを手本にし、ベトナム戦争においては「ジャングルの亡霊」と恐れられたオーストラリアSAS連隊がある。
 本国に戻るたびに、フォルテはそこで厳しい訓練を受けていた。
 当然のことながら、CQCの技術は極めて高い。
 楯無といえども、楽に勝てるレベルではなかった。

『参ったわね。エインガナもそうだけど、フォルテの技術も相当に厄介だわ。一夏君の高いIS開発技術も、考え物ね。敵になるとこんなに厄介になるとは、思わなかったわ。』
 味方だと心強い事この上ないが、敵に回すとこの上なく厄介。
 それが一夏が開発したISを専用機とする、高い操縦技術を持つISパイロットだった。
『こっちも、あまり出し惜しみは出来ないわね。ミストルティンの槍とレバンティンは使えないけど、クリアパッションとヴェールのバリエーションでフォルテを凌駕する。水龍槍は基本的には高機動砲撃ね。回避された後に懐に飛び込まれると、厄介だわ。』
 ビラングヌルの攻撃を水龍槍で防ぎながら、楯無は戦術を考える。
『エネルギー消費量は激しいけど、これしかないわね。』
 楯無は、取るべき戦術を決定した。

 うん?楯無さんが、いったん距離を開けた?
 CQCの能力を活かしたビラングヌルの攻撃に堪りかねた、という感じじゃないな。
 あれか?
 今までの戦いが激しかったから、リスクも高いがこのままじゃ突破口を見出すのが難しいと見たか。
 俺達が入学する前の、ビッグ3同士の戦い。
 激戦になるのは予想していたけど、ここまでとはな。
 サファイア先輩の射撃の腕が上達しているのは予想していたけど、CQCは予想以上だ。
 ビラングヌルを十二分に活かすためとはいえ、オーストラリアSAS連隊での訓練は相当にハードだったはず。
 ここまで上達するのは、当然か。
 さて、どう来るかな。

「離れたら離れたで、砲撃戦で行くまでよ。」
 フォルテがバニップとウィラジュリで、楯無の背後に回り込みながら攻撃を仕掛ける。
「さあ。そう上手く行くかしら。」
 楯無の後方を覆っている水のヴェールから、石つぶてのようにフォルテめがけて飛んでいく。
「何だ?これ!?」
 フォルテはエオラを発射して弾幕を張りつつ回避するが、数があまりにも多いので少なからずダメージを受ける。

 やっぱり使ったか。
 ナノマシンに付与した新しい機能。
 ヴェールを形成する水を球状に変化させて発射する、水弾発射機構「ヴァダープーリャ」。
 エネルギー消費が激しいから使いどころが難しいが、上手く使えば相手に対して相当なプレッシャーになる。
 白兵戦をしながらでも、使えるからな。
 けど、これで大人しくやられてくれるような柔な人じゃないからな、サファイア先輩は。

『あんな、隠し玉を用意してたのかよ。多分、至近距離でも使える。下手に近づく事もできねえな。』
 一度見て、フォルテはヴァダープーリャの特徴を大体見抜いていた。
『ちょっと、試すか。』
 フォルテはある事を確認するために、ハイパーセンサーを調整する。

「行くぜ!」
 全ての兵装を発射しつつ、フォルテはイグニッションブーストで突撃する。
「そう簡単に近づかせないわ!」
 楯無はヴァダープーリャの濃密な弾幕で、フォルテの接近を防ごうとする。
『それじゃあ、行くか。』
 フォルテは、そのまま突撃する。
『まさか、捨て身?』
 ダメージを無視して接近するフォルテを見て、何か捨て身の策があるのではと楯無は考えた。
 しかし、それを考えた時は遅かった。

『やっぱりな、思った通りだ。危ない橋を渡って正解だったぜ。』
 バニップ、ウィラジュリ、ランギをあるポイントを狙ってダーラマランを発射して、そのまま突撃する。
『しまった!!』
 通常以上のダメージを受けて、楯無はフォルテの狙いを理解した。
「おまけだ。」
 脚部のビラングヌルが、ミステリアスレイディのシールドエネルギーを大きく削る。

「成程な…。あの兵装。単機で使うには、あまり向かんか…。」
 千冬はモニター越しに試合を見ながら、ヴァダープーリャの弱点を見抜いていた。
 周囲の水を弾幕とするために、使用後の僅かな時間は防御力が落ちる。
 防御専用のアクアテンプルがあるとはいえ、他の水のヴェールも防御に使用している為にどうしてもこの弱点はつきまとう。
「この兵装を使う時には、アシストをするISがいなければ多用して墓穴を掘ってしまう。今まで使わなかっただけに、楯無さんはそれに注意していなかったんですね。」
「そういうことだ。頭で理解していても、実際に体感しないと弱点という物は理解できんものだからな。一度で見抜いたサファイアの観察眼も、見事だがな。シールドエネルギーの残量はほぼ互角。さて、どうなるかな?」
 既に弱点を知られた以上、ヴァダープーリャの多用は却って危険である。
 それだけに、楯無は知恵を絞る必要があった。

『まいったなあ…。一度、きちんと戦闘で使っておくべきだったわ。フォルテも流石だわ。一度で弱点を見抜くなんて…。』
 切り札のヴァダープーリャで仕留めるのが難しくなった以上、高機動砲撃戦か近接戦闘で仕留めるしかない。
 だが、双方ともほぼ互角。
 決定打に欠ける。
『せめて、次につなげる手があれば…。繋げる…。そうか…。あったわ。たった一つだけ…。』
 楯無はある事を思いついて、水龍槍を構え直す。
『さすがに、取って置きの弱点を見抜かれたぐらいで、精神はぐらつかないか。稼働エネルギーも厳しいし。次で決めないとな。一か八かの繋ぎだな。これが最後の手だ。』
 フォルテは最後のミサイルをエオラに装填して、全ての兵装を使って勝負を付けようと決意する。

「行くわよ!」
「行くぜ!」
 2人とも、最後の力を振り絞る様にイグニッションブーストで突撃する。
『狙いはほんの一瞬の時間。』
 楯無は、神経を極限まで集中する。
『もし、それを逃したら…。』
 フォルテも同様に、限界まで精神を研ぎ澄ませる。
『『負ける!』』

 そして、その時は来た。

「いけえっ!」
 楯無がヴァダープーリャで、弾幕を張る。
「負けるか!!」
 ハイパーセンサーが最も防御が弱くなると判断したポイントに、フォルテはエオラを全弾発射する。
「貰ったぞ!楯無!!」
 ヴァダープーリャの弾幕を突っ切り、フォルテはダーラマランで全兵装を発射する準備を整えていた。
「いいえ。勝つのは私よ。」
『何?…!しまった!』
 エインガナのハイパーセンサーが、周囲の湿度が高くなっているのをフォルテに知らせる。
「クリアパッション!」
 その瞬間、エインガナのシールドエネルギーがゼロになった。

「勝者。更識楯無。」
 最後の決勝戦の幕が、下りた。

「ヴァダープーリャの攻撃力の高さ自体を目くらましにして、クリアパッションで止めを刺す。さすがは楯無さんですね。」
「とはいえ、きわどい勝負だった。タイミングが難しかったからな。少しでもタイミングを間違えていたら、負けていたのは楯無だったろう。サファイアも見事だった。最上級生の決勝に相応しい試合だった。」
「そうですね。」
 楯無とフォルテにとっては、最後のクラス対抗戦である。
 全力を出し切っての戦いに、双方とも満足しているだろう。
 千冬と真耶は、そう確信していた。

「すぐに、補修と整備をお願い。」
 渡されたスポーツドリンクを飲みながら、整備科とロシアから来たスタッフに補修と整備を頼む。
 決勝戦が終わって、皆少なからず疲労している。
 言ってみれば、戦力が低下している状態。
 こういう時に、亡国企業が来る可能性はある。
 一夏君がいろいろ手を打ってくれているけど、最上級生としては下級生にまかせっきりじゃ立つ瀬がない物ね。
「さほど、酷い損傷は認められません。交換するパーツはありますが後は通常のメンテナンスで問題はありません。」
「ありがとう。とにかく急いで。去年のような事があると堪らないわ。」
「はい。」
「フォルテ。そっちはどう?」
 ミステリアスレイディの整備が行われている間、私はフォルテに連絡を入れる。
「ちょっと時間食いそうだな。今、整備科で手の空いている奴らが手伝いに来ているから短縮できると思うけどな。」
「できるかぎり、急いで。去年みたいなことが起こらないとは限らないわ。備えておきたいの。」
「解った。」

「終わったようだな。こちらの準備もあと1時間ほどで終わる。」
「終わり次第。行くわよ。ケートスはこのまま。悟られないようにね。」
「了解しました。」
 エムと話していたスコールは、ケートスの艦長に指示を出す。
「スノー。準備は。」
「いつでも行ける。データ収集が主目的とはいえ、それなりに借りは返す。」
 エムとスコールだけでなく、エムもISスーツを着ていた。

 ふう。終わった終わった。
 優勝したクラス代表に賞状を渡して、閉会宣言をして終わりだ。
 にしても、全員が俺にキスをねだるとは思わなかった。
 何の徳があるんだ?
 俺の方は徳どころか、怖くてたまらなかった。
 セシリア達は、魔○気を漲らせてくるし…。
 その内、経絡○孔をつかれて、スプラッタな死体になるのかな?俺…。
 それは、ちょっとやだなあ…。

 その時、白式のハイパーセンサーに通信が入る。
 やっぱり来やがったか。
 しかも、凄い数だな。
 整備状況は…。
 楯無先輩と、サファイア先輩はもう少しかかるか。
 保険を掛けて、おいてよかったぜ。

『山田先生。来てほしくないのが来ました。』
『もうですか…?困りましたね…。楯無さん達は、もう少しかかるのに…。』
 山田先生が、少し不安そうになっているみたいだ。
『楯無さんと、サファイア先輩は増援として来てもらってください。状況によっては、学園の守りに。俺の方で保険はかけていますから、洋上で迎撃できます。2年生の専用機持ちは、いつでも出れます。1年生は、山田先生達と学園の守りをしてもらえばこっちも安心です。』
 大分成長したとはいえ、蘭達をフォワードにはできないからな。
 山田先生達と一緒に、学園の防衛システムの支援を受けながら守りに専念してもらった方がいいだろう。
『私だ。至急、コンディションレッドに移行。機は用意してある。直ちに現場に急行しろ。』
『解りました。』
 疲労を完全に取り去る為に、各種ビタミンとアミノ酸を配合したアンプルを圧搾式注射器で注射する。
 格闘家等のアスリートが早期に疲労を回復するために使ういわゆるにんにく注射をさらに強化したやつで、疲労の回復スピードがずっと速い。
 よし。OK。

 学園にはヘリポートの他にも、ビジネスジェットなんかを使用する空港がある。
 そこには、セシリア達と1機の小型ジェット機があった。
 ガルフストリーム G550。
 アメリカの航空機メーカーガルフストリーム社製のプライベートジェットで、G550はG500シリーズのハイエンド機だ。
 さらに、IS学園専用に各部を強化しエンジンは推力を増した結果、超音速機に改修されている。
 航続距離も長いので高速を活かして、緊急に専用機持ちや訓練機を使用する教官を運んで有事に備える事が出来る。
 亡国企業の襲来を受けて、去年3機が配備された。
 現場に行くのは、2年の専用機持ちに千冬姉。
 学園の指揮は、ブッフバルト先生に任せられた。

「よし、最大速度で頼む。」
「了解しました。」
 チューンされた、ロールスロイスBR715−58 ターボファンエンジンに火が入り、目的地に向けて出発する。

後書き
前後編となったクラス代表対抗戦の後篇は、最上級生の決勝戦。
嘗てのビッグ3筆頭の楯無と、ナンバー3のフォルテ。
一夏が入学してから、学園最強の証たる生徒会長になりはしましたが、別に2人が弱くなったわけではありません。
さらに、一夏とヘンリエッテが加わっての厳しい訓練で、実力は凄まじいスピードで伸びました。
そして、互いに専用機持ち。
楯無の専用機ミステリアスレイディは、一夏が2回の改修を行って当初とは比べものにならないハイスペックなISに。
フォルテは、当初は第二世代IS コールドブラッドを専用機としていましたが、亡国企業対策としてコールドブラッドのコンセプトを継承しつつ、基本スペックを格段に向上させ、優れた射撃兵装、近接戦兵装を備えた、ハイスペックなISとして一夏が開発した第三世代IS エインガナを今は専用機としています。
ISのスペックには、ほとんど差は無く後は技量と気力が勝敗を分けます。
最上級生としての格を見せつけるかのような激戦が続き、楯無が切り札を出すもフォルテは弱点を看破。そこを突きます。
互いにさほど余力がなくなり、あと一撃が精いっぱいの状態。
そして、シールドもほとんど残っていない状態での、最後の一撃。
僅かな差で、楯無が激闘を制しました。
しかし、これでめでたしめでたしとはいかずに、去年のようにアクシデント。
去年の事もあって備えをしていた一夏達、直ちに戦力を割り振り迎撃に向かいます。



















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