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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第107話 ガールズ・ビー・アンビシャス

<<   作成日時 : 2014/06/21 23:58   >>

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「さあ!いよいよ、準決勝!愛しの王子様との甘いデートの権利を掴むまで、あと一歩!各学年とも、実力者が出揃ってさらに試合は盛り上がるでしょう!まずは、1年生準決勝!4組クラス代表にして、フィンランド代表候補。継続戦争におけるフィンランド空軍ナンバー2の撃墜王ハンス・ウィンド氏の孫にあたる、レイラ・クリスティーナ・ウィンドさん。対するは、2組クラス代表にして、ギリシャ代表候補のコリーナ・カラマンリスさん。双方共に、3学期に他の生徒より先にIS学園で織斑生徒会長の教えを受けてきました。いわば同門対決。決勝への切符を手にするのは、どちらでしょうか?両選手の入場です。」
 遂にって、感じかな。
 レイラは高機動戦闘を得意として、ルミ・リタリも真骨頂は高機動戦闘。
 専用機が自分の戦い方とマッチしているだけに、存分に力を発揮するだろう。
 コリーナは、各種ユニットを使い分けて戦うかな?
 それとも、高機動ユニットで対抗するか。
 アルパクティコは第二世代に分類されているけど、機動ユニットを換装すれば、機動力や火力は第三世代にも匹敵する。
 レイラも、その事は知っているから侮りはしないだろう。
 侮ったら、負けるからな。
 コリーナは、当初は自分の専用機だけ第二世代であることにコンプレックスを持っていたけど、今はそれから解放されて伸び伸びとしている。
 スキルも随分伸びたし、どっちが勝ってもおかしくない。
 はっきり言って、予測は不可能。
 さて、どうなるかね?

「1年生準決勝。始め。」

「はあっ!」
 レイラが、スピードを活かして、高出力エネルギーサーベル「スヴォルド・フィケ」でコリーナに迫る。
 コリーナは落ち着いてシールドで防ぎ、至近距離からイフェスティオの一撃を加える。
 紙一重で一撃をもらうまえにレイラは離脱するが、コリーナはフィズィとスフェラで追撃する。
「そう簡単に、ダメージを与えるのは無理か。」
「当然でしょう。」
「そうね。」
 レイラはコリーナの背後に回り込みつつ、肩部ホーミングレーザー「メテオリ」と背部ミサイルポッド「ラケート」で反撃する。
 コリーナは高機動ユニットの機動力を活かしつつ、回避しシールドで防御してオルカでラケートを迎撃しながら、隙を見つけてイフェスティオのプラズマ砲で攻撃する。

「好勝負になりますね。確実に。」
「ああ。どちらも、自分のISの持ち味を活かしている。この時期としては想像以上だ。一夏が良く仕込んだな。カラマンリスも、自分のISが第二世代というコンプレックスは微塵もない。的確に攻めている。これは、どちらが勝つか解らんな。実力にもほとんど差がない。後は、どちらが先に隙を見せるかか。それが勝敗を分けるだろう。」

 勝負は、近接戦闘に移行していた。
 やがて、レイラはルミ・リタリの機動性を活かして、近接戦闘と射撃戦をランダムに仕掛ける一撃離脱戦を仕掛けていた。
 スヴォルド・フィケとエクサルファでは、間合いに差がある。
 しかし、コリーナは冷静にレイラの攻撃を時に防ぎ時に回避して、ダメージを最小限にとどめ、重砲撃ユニットに換装し、有線誘導荷電粒子砲「デオス・キニゴス」でオールレンジ攻撃を仕掛け、回避するポイントを読んで重機関砲「ドリ」でダメージを与えていく。
 機動力は落ちるが、火力と射撃精度では明らかに上なので、それで差を埋める。

『厄介ね。ユニット換装は。追加兵装パックをいつでも使えるような物だもの。』
 今は、高機動ユニットと重砲撃ユニットだけだが、これからどのようなユニットが開発されるか解らない。
 それ次第で、戦いはさらに不利になっていく。
『奥の手を、使うしかないわね。』

「おっと。これは、ルミ・リタリの機動性が一気に高まりました。イグニッションブーストまでとはいきませんが、通常のルミ・リタリの機動性を大きく凌いでいます。ブッフバルト先生。これはどういう事でしょうか?」
「ルミ・リタリの特殊兵装ですね。機動性と運動性を重視したルミ・リタリは、イグニッションブースト迄とはいかなくても、大幅に機動性を高めた高機動戦闘が可能だと聞いたことがあります。」
「つまり、一気に勝負に出たと?」
「そうなりますね。カラマンリスさんも専用機持ち。1回戦の様には行きませんから。」
「成程。さあ!準決勝、このままウィンドさんが押し切るか?それとも、カラマンリスさんの逆転なるか!?」
 黛先輩の実況に、熱が入る。
 ブッフバルト先生の言う通り、レイラも勝負に出ざるをえなかったか。
 アルパクティコは、第三世代ではないけど機動ユニットの換装でリヴァイブ以上の汎用性を発揮することが出来るからな。
 コリーナも、レイラが勝負に出た事を悟って高機動ユニットに換装し直したか。
 まあ、重砲撃ユニットだと不利だからな。
 にしても、厄介だな。
 ルミ・リタリの特殊兵装。高速機動機構「ヴァルコイネン・ロヒカールメ」。
 イグニッションブーストの8割の機動性を発揮する。
 言ってしまえば、IS版スーパークルーズ機能だ。
 スピードを最重視した、ルミ・リタリならではの特殊兵装。
 さて、このままレイラの勝利と行くかな?
 コリーナが、何かを狙っているように思えるんだよな。

「やるわね。ここまで持ち堪えるとは思わなかったわ。コリーナ。」
「私だって、一夏さんに指導してもらったのよ。レイラ。」
 右手のイフェスティオを、レインオブサタデイに持ち替えて発射するが、狙いをずらして散布界を広げる。
 予想もしていなかったコリーナの攻撃手段の変化に、ルミ・リタリのシールドエネルギーが少なからず削られる。
「止まっているのは、命取りよ!」
 スフェラで、さらに追撃を掛ける。
 高機動ユニットでは、ヴァルコイネン・ロヒカールメには及ばない。
 だが、回避に専念すれば、ダメージは最小限に抑えることが出来る。
 そして、僅かな隙を狙ってショットガンとガトリング砲の波状攻撃でダメージを与える。

 成程。考えたな。
 アルパクティコは、拡張領域にはまだ少し余裕があるから他に兵装を2、3個なら搭載できる。
 それを利用したのか。
 でも、それだけかな?
 本当の狙いがある様に、俺には思えてならなかった。

『思ったより、しぶとい…。』
 確実にダメージを与えながらも、レイラは苛立ちを感じ始めていた。
 イグニッションブーストよりエネルギー消費量は少ないとはいえ、ヴァルコイネン・ロヒカールメも第三世代兵装。
 通常より、エネルギー消費量は激しい。
『守りに入ったコリーナも、楽じゃない筈だわ。落ち着いて対処するにも、精神的なスタミナはかなり必要になるし。』
 レイラは冷静に戦うように努めているコリーナが精神的に、大分消耗していると考えていた。
『ある意味賭けだけど、ここで勝負を決める。』
 雌雄を決すべく、レイラがコリーナに向かってくる。

『来たわね。チャンスは一度きり、逃せば勝ち目はないわ。』
 レイラの予想通り、コリーナは精神的に消耗していた。
 だが、その中でも最後のカードを持っていることまでは、予想しえなかった。
『今!』
 重砲撃ユニットに換装して、レイラが振り下ろしたスヴォルド・フィケを左脇で抑える。
「まだよ!」
 デオス・キニゴスでレイラを抱きしめるようにして、動きを封じる。
 無論、コリーナもただでは済まない。
 挟み込んだスヴォルド・フィケは、アルパクティコに確実にダメージを与えている。
 それを気にせず、レインオブサタデイをイフェスティオに持ち替えて至近距離からプラズマ砲を発射し、スフェラとエクサルファも打ちまくる。

「勝者。コリーナ・カラマンリス。」
 コリーナが決勝に、駒を進めた瞬間であった。

 相手の動きを封じての、一斉ゼロ距離射撃か。
 とはいえ、きわどい勝負だったな。
 肉を切らせて、骨を断つか。
 考えたな。
 にしても、2人ともよくやったな。
 1月に来た頃より、本当に成長した。
 指導した身としては、本当に嬉しいよ。
 決勝は、蘭とか。
 こっちも、白熱しそうだな。

「決勝に駒を進めたのは、カラマンリスさん。文字通り、肉を切らせて骨を断つ。の、勝利でした。ブッフバルト先生。如何でしたか?」
「IS戦で最も大事なのは、結局は乗り手。どんなに高性能なISでも、乗り手が性能を活かせなくては、ただのなまくら。1年生の専用機持ちを指導した織斑君が言った言葉でしたが、まさにその通りでしたね。自分の機体の長所と短所を把握した上で、最後まであきらめなかったカラマンリスさんは本当に見事でした。ウィンドさんも敗れたとはいえ、素晴らしい試合でしたね。これからが、本当に楽しみです。」
 アリーナからは、2人の健闘をたたえる惜しみない拍手が響いていた。

「いい試合でしたね。」
「そうだな。タッグマッチではどうなるか、面白そうだ。」
 オペレーションルームの真耶と千冬も、2人の健闘を讃えていた。
「よく、ここまで育て上げてくれましたね。一夏君は。」
「朱に染まれば何とやら。あの真面目ぶりに、感化されたのだろう。このままいけば、1年生の専用機持ちも相当な実力者になるな。母国にいる代表候補も油断していれば、寝首を掛かれるだろうよ。いい刺激になるな。」
「ええ。」
 真耶は、1年の専用機持ちを指導すると決まってから、一生懸命に準備をしていた一夏を思い出していた。
 そして、熱心に親身になって指導する一夏の影響を受けて、4人は日に日に成長していった。
 このままいけば、どこまで成長するのだろうか?
 真耶の楽しみが、また一つ増えていた。

「さて、次は2年生準決勝。2組クラス代表凰鈴音さんと、1組クラス代表にして、学園最強の生徒会長の織斑一夏君。ブッフバルト先生。今度の試合はどう見ますか。」
「実力の差は極めて大きいですが、鳳さんにはそれに臆することなく試合をしてほしいですね。そこに光明がないとは言えないのですから。」
「というわけで、試合開始です!」

「いくわよ!一夏!」
 鈴は百龍を拡散モードで発射して、一夏の機動領域を狭めて近接戦闘にもちこもうとする。
 しかし、一夏は巧みに回避して鈴の左側面から斬りかかる。
「くっ!」
 龍王で、決定的な一撃こそ避けたものの、失ったシールドエネルギーは少なくない。
 いったん距離を取って仕切り直そうとするが、一夏はそれを許さずシールドエネルギーを削り続ける。
「これはすごい!織斑君。怒涛の連撃!鳳さんも仕切り直そうとしますが、その隙を与えません!」
「織斑君も鳳さんの実力を知っているだけに、仕切り直す時間を与えないように、していますね。真骨頂たる近接戦闘で、勝負を決める気でしょう。」
 ヘンリエッテの解説は、正解だった。
 甲龍の改修に当たり、一夏は近接戦闘の強化以外に衝撃砲の改良を含めた砲撃性能の強化にも重点を置いたので、距離を開けると少し面倒なことになると考えて、近接戦闘で勝負をつけることにしていた。

『まずい。このままじゃ、ジリ貧だわ。近接戦闘は、一夏が最も得意とする分野。ある程度ダメージを喰らっても、距離を開けないと…。』
 鈴は火剣を投げつけて鉄蛇で一夏の動きを封じようとするが、一夏の想定内で悉く躱される。
『やっぱりね。次はこっちよ。』
 拡散モードの百龍と銀漢を、至近距離から発射する。

 成程、奇襲兵装の火剣と鉄蛇から、百龍に銀漢を繋げて距離を取ろうとしたか。
 連携はいいけど、それならそれで対処法はあるぜ?
 白式は、汎用型になったとはいえ元々近接戦闘型。
 今でも、その特色は強く残っている。
 つまり、相手の懐に飛び込んだり自分の間合いに仕切り直すために、加速性能がかなり高い。
 俺は、それを活かしつつ身を低くして、下から剣技を繰り出す。
 明王流伏竜覚。
 優れた才能を持つ人物を例える言葉として、伏竜という言葉がある。
 三国志に登場する諸葛孔明なんかが、例えられるな。
 その伏竜が目覚め、天に駆け上がる様を模した剣技。
 下方から、相手を斬り上げる技だ。
 パワー型の鈴でも、こいつは受け止められないだろう。
 懸命に受け止めようとするが、吹き飛ぶ。
「掛かったわね!これを狙っていたのよ。」
 あ。そういう事か。
 一本、取られたな。

『よし。やっと距離が取れた。』
 伏竜覚を受け止めきれなかった事で、シールドエネルギーはさらに削られたが、距離を取れた代償としては安い。
「反撃開始よ!一夏。」
 百龍、銀漢、金翅蜂。
 射撃兵装で、全力攻撃を仕掛ける。

「鳳さんも、思い切った事をしましたね。リスクも相当あったはずなんですけど。」
 鈴の距離の取り方に、真耶は目を丸くする。
 白式のパワーと、一夏の鍛えぬいた筋肉が合わさった時に繰り出される剣技の攻撃力はかなりの物になる。
 青龍刀を白兵戦兵装とする、パワーファイター型の鈴といえども受け止めきるのは不可能だ。
 それを証明するかのように、シールドエネルギーが削られている。
「こうでもしなければ、距離は取れなかったからな。後は、絶え間ない砲撃でダメージを与えるつもりだろう。射撃精度は、入学時に比べれば格段に上がっているからな。」
 一見博打じみた行為に見えた鈴の行動の裏の計算を、千冬は見抜いていた。
 それが出来るほどに、鈴は格段に成長している。
「厳しいトレーニングにも、一生懸命ついてきていますからね。皆。」
 ヘンリエッテが来てからの一件以来、セシリア達のトレーニングは真耶と千冬が担当している。
 日に日に伸びているのを見て、最近、内容をさらにハードにしたがそれにもついてきていた。
「もう少し、ハードにしてもよさそうだな。正直、育てていて楽しい。さらに伸ばしたくなった。」
 試合を見ながら、千冬は楽しげな笑みを浮かべた。

 鈴も、思い切ったことするよな。
 青龍刀は剣の中でも重量のある武器だから、ああいうやり方もありなんだが上手く力を散らしながら飛ばされ過ぎないようにしていた。
 千冬姉たちが、みっちり鍛え上げたな。
 そっちがそうなら、こっちもそれなりに戦わせてもらうぜ。
 瑠璃翼から、一斉に重荷電粒子砲を発射する。
「それなら!」
 百龍を拡散モードで発射して、相殺する。
 さらに、銀漢も発射して、相殺できない分は距離を保ちながら回避し続ける。
 回避技術伸びたな。
 予想以上だ。
 なら、あれをやるか。
 試そうと思っていたから、ちょうどいい。

「織斑君。イグニッションブーストで、鳳さんとの距離を詰めようとします。加速性能では、他のISの追随を許さない白式。さあ、鳳さんはどう対処するでしょうか!?」
 戦況は一夏が優勢だが、鈴の予想以上の奮戦に観戦している生徒たちは声援を送り、中国からの来賓も興奮している。

「そう簡単に、距離は詰めさせないわよ。…え?」
 俺の一撃が、鈴に決まった。
 上手くいっている。上手くいっている。
「これはどうしたことでしょう!?白式の加速が一気に伸びました。反転して再び鳳さんに迫りますが、さらにスピードがアップしています!」
「ちょっと!何よ!?これ!!」
 そりゃ、驚くか。こいつには。
 よし、いい手応えだ。
「一転して、鳳さん大ピンチ!あと一撃で敗北は必死です。イグニッションブーストで距離を開けて体勢を立て直そうとしますが、織斑君。さらに加速!」
 止めだ!

「勝者。織斑一夏。」
 よし。決勝進出。
 上手く行ったな。

「織斑先生。あれって…。」
 真耶が、唖然となる。
「個別連続イグニッションブースト(リボルバーイグニッションブースト)。ファングクェイクの、特殊兵装。機動スキルとして、身につけたか。見ろ。ペンタゴンから来たのが、呆然としているぞ。」
 複数のスラスターごとにイグニッションブーストを行って爆発的な加速を得る、アメリカ製第三世代ISファングクェイクの特殊兵装リボルバーイグニッションブースト。
 しかし、ファングクェイクのような機構は、白式には装備されていない。
 故に、一夏は機動スキルとして再現して見せた。
 呆然とするのも、無理はないだろう。
「これで、白式は…。」
「正確には、一夏だがな。さらに爆発的な加速能力を、手に入れた事になる訳だ。さて、逃げられるかどうか。私も不安だな。正直に言って。それに、今のはほんの試しだ。本格的に使ったら、どうなるのやら。授業で手合わせをした際に使うつもりなら、その前に叩きのめすしかないか…。面白いな。久方ぶりに本気になれる。」
 千冬が、今まで真耶が見た事がない程好戦的な笑みを浮かべる。

「一夏さん。さっきのって…。ファングクェイクの…。」
 プロテインドリンクとサプリメントを飲んでいると、セシリア達が来る。
「やっぱり解ったか。今までの白式のイグニッションブーストでも問題なかったけど、前から興味あったからさ。可能な限り燃費を抑える方法を模索しながら、特訓してたんだよ。で、試してみたら、無事成功。めでたし、めでたしだ。継続は力なりだな。」
 セシリアが唖然とする。
「一夏。あれは、普通のイグニッションブーストとは訳が違うんだよ。だからこそ、アメリカは特殊兵装にしたんだから。それを機動スキルとして再現するのは、常識を逸脱するにも程があるよ。」
 シャルロットが、呆れたように言う。
「シャルロットだって、何度も録画見て訓練すれば出来ると思うぞ。呑み込みいいから。」
 シャルロットは、筋がいいしな。
 他人のスキルを自分の物にするのだって、うまくできるだろう。
「さすがに、あれは無理だろう。シャルロットの言う通り、特殊すぎる。」
 おい。ラウラ。何気に人の事、化け物か何かに例えてなかったか?
「私も無理。あれは、ちょっとねえ。」
 玲子もかよ。
「あれは、相当に繊細な技術が必要でしょうから、相当な熟練者でないと…。ですが、それでも難しいと思います。」
「私もクリスに同感だな。あれができるとしたら、織斑先生かブッフバルト先生くらいだ。」
 そりゃ、あの2人なら出来ると思うぞ。俺が、出来るんだから。
 でも、クリスもラウラも努力すれば出来ると思うぞ。
 というか、もうみんなイグニッションブーストのアレンジは、自分で考えてやれると思うんだが。
 おっと、3年生の準決勝だ。
 結果は見えているけど、やっぱり見ておきたい。

 やっぱり楯無さんが、かなり優勢に試合を運んでいるな。
 6組のクラス代表の人は、オリオーネ・ドゥエを専用機とする準専用機持ち。
 白兵戦兵装として、高出力プラズマパルチザン「ソーレフラメント」を装備。
 パルチザンは突きだけでなく斬る事にも適しているから、攻め手の数が増えるが相手が楯無さんだとやっぱり厳しいな。
 それでも、よく持ち堪えている。
 両腕部内蔵3連装レーザー砲「ルーチェフレッチャ」、背部滑腔砲「ティラトーレ」、レーザーサイトを兼ねた小口径レーザーと小型の銃剣を搭載した2丁の拳銃型複合兵装「アルキミーア」を状況ごとに使い分けて、あの手この手でミステリアスレイディの防御を崩そうとしているが、そう簡単に崩れない。
 アクアクリスタルの防御を崩しても、防御専用に開発したアクアテンプルが最終防衛ラインとして楯無さんを守っているから、もっと大変なんだよな。
 加えて、アクアドラゴンが容赦なく襲い掛かる。
 でも、これですら楯無さんはだいぶ手加減している。
 毎日、ブッフバルト先生と手合わせした成果か。
 相当に、腕を上げてるな。

「勝者。更識楯無。」

 6組の人もかなり善戦したけど、実力の差は大きいか。
 でも、いい試合だったな。

「準決勝ともなると、白熱しましたね。」
「専用機持ち。準専用機持ち。双方とも、予想以上に力をつけている。喜ばしいな。こちらも、しっかり指導せねばな。」
「はい。」
 専用機持ち達は、背に負った責任に押しつぶされまいと訓練を重ね、準専用機持ち達は、いつか準の字が取れる事を夢見て訓練を重ねている。
 それにより、予想以上に力をつけていることを真耶と千冬は喜ばしく感じ、実力を伸ばすために指導の質を上げようと思っていた。
『亡国企業が脅威であることは事実だが、同時に成長促進剤にもなっているのかもしれんな。対策の結果、生徒達が日々実力を伸ばしているのだから。』
 決勝を前に、千冬は今までにないくらい楽しみを覚えていた。

「では、決勝前に1時間の休憩に入ります。各クラス代表の皆さんは、機体の整備に万全を尽くしてください。」
 もう、決勝か。
 去年は、俺と鈴の1回戦だったけど、今年は内容が濃いな。
 どの試合も、来年以降の新入生にとっていい教材になる。
 後は、決勝で勝つだけだな。
 その前に、白式の整備を万全にしておかないと。

「ここで、緊急ニュースです。ギリシャからアルパクティコの新規兵装と改修パーツが到着。改修が行われます。1年生の決勝の結果がさらに解らなくなってきました。皆さん。楽しみにしましょう。」
 へえ。
 新規兵装に改修パーツね。
 多分、今日に間に合わせようとしたけど、昨日でパーツの調整が間に合わないで今日になった。
 けど、コリーナが勝ち進んで決勝に進んだことで、改修したアルパクティコをお披露目することが可能になったという事か。
 これは、楽しみだな。
 1年生の決勝。
 さらに予想が、出来なくなったな。
 指導した身としては、滅茶苦茶楽しみだな。
 さあて、どうなるかね。
 さ、整備。整備。
 連中も今のところは、動きなしか。

『山田先生。織斑です。今のところは、まだのようですが俺の試合の時は、防衛システムのコントロールをそちらに引き受けていただきたいのですが如何でしょうか?』
『了解しました。任せてください。』
『それから、例の物は?』
 防衛システムのコントロールの一時以降をお願いしてから、以前打合せしておいたある事について確認をした。
『全て用意している。お前は、決勝の事に専念しろ。生徒達も来賓も大いに楽しんでいる。これを維持するのもお前の仕事だ。』
 それもそうか。
『了解。では。』
 よし。白式の整備終了。
 ベストコンディションで、決勝に臨めるな。

「五反田さん。瑞鶴、いつでも行けるわよ。」
「ありがとうございます。」
 スポーツドリンクを飲んでいた蘭が、整備科の生徒に頭を下げる。
「五反田さん。頑張ってね。」
「ファイト!」
 クラスメイトも、応援に駆けつけた。
「うん。ありがとう。頑張る。」
『絶対。優勝するんだから!そうして、また一夏さんとデートするんだもん!』
 入学前に、一夏とのデートを堪能した蘭はその時の事を思い出して自分を奮い立たせる。

「これが…。生まれ変わったアルパクティコ…。」
 コリーナが、改修が終了したアルパクティコを見上げる。
「そうだ。ナムコ社とギリシャ軍IS研究所の努力の結晶だよ。頑張ってくれたまえ。勝ってくれればもちろん嬉しいが、とにかく素晴らしい結果を上げてほしい。皆も喜ぶからな。」
「はい!」
 ギリシャは、農業、観光業、海運業を基幹産業とする国であり、製造業は盛んとはお世辞にも言えない。
 それ故に、コアの数が8個とはいえISは他国製を導入せざるをえず、自国製のISの開発は悲願だった。
 だが、周辺の先進国が試験型第三世代ISの開発に成功したのに対して、初の自国産ISテュランノスは、性能を欲張り過ぎて欠陥品の烙印を押された。
 それを教訓にしても、アルパクティコは第二世代の域を出ることはできなかった。
 それ故に、他国の第三世代との訓練データを用いて第三世代に改修するという計画が立案され、コリーナはIS学園に入学した。
 アメリカ、フィンランドの第三世代ISに加えて、一夏が開発を担当した瑞鶴との訓練データ。
 さらに一夏の訓練メニューは、金額に換算することが不可能な程貴重なデータをギリシャにもたらし、技術者たちは不眠不休で知恵を絞り、新規兵装と改修パーツを開発。
 遂に、アルパクティコを、第三世代ISに生まれ変わらせることに成功した。
『頑張ろう…。一生懸命頑張ってくれた技術者の人達に報いる為にも…。ここまで私を指導してくれた一夏さんに恩返しするためにも…。』
 コリーナは決勝戦を全力で戦い抜く事を、誓った。

「かんちゃ〜ん。終わったよ〜。」
「ありがとう。本音。」
「どういたしまして〜。かんちゃん。がんばれ〜。ふぁいとお〜。」
 手を振りながら、本音はピットを出る。
『優勝すれば、一夏と旅行に行ける…。私に空を自由に飛ぶ翼をくれた一夏と…。』
 更識家当主であり、現役の国家代表。
 優秀な姉の楯無へのコンプレックス故に内向的になり、クラスの中でも孤立してしまっていた日々。
 そんな時、コンプレックスから解き放って、自由に羽ばたく翼をくれたのが一夏だった。
 その時に、恋をして。
 ずっと、想い続けている。
『2人きりの旅行なら、気づいてくれるよね…。一夏。』
 整備が終了して、戦闘準備が整った打鉄弐式を見て他のピットにいる一夏に心の中で語りかける。

「よし。整備終了。いつでもいけるわよ。」
「サンキュ。薫子。」
 整備を終えた薫子に、楯無はペットボトルに入ったコーラを渡す。
「で、勝てるの?フォルテに。私の目から見ても、エインガナのスペックは相当な物よ。機動性と運動性では、ミステリアスレイディとほぼ互角。さらに、砲撃戦も近接戦も考慮した設計になっている。大抵こういうISは、器用貧乏になりがちだけど、さすがは織斑君の設計ね。そんな要素は無い。ダリルは機体特性を完全に物にしているから、いくらあなたでも相当に苦戦するわよ。」
「でしょうね。でも、勝つわよ。まだ使っていない能力もあるし。いつか使おうと思ってとっておいたのよ。今まで学園にちょっかい掛けて来たのも弱くは無かったけど、使うほどでもなかったから使わなかったけど。今回は、全力で勝ちをもぎ取るわ。ま。見てなさいって。」
 薫子にそう言って、スポーツドリンクを飲む。
『これは、凄い試合になりそうね。何日かに分けないと、記事が書ききれないわ。』
 フォルテと楯無。
 双方の友人として、激戦になるのは必至と判断した薫子は、早速、対抗戦の記事の大まかな作成を頭の中で始めた。

「OK!戦闘準備完了よ。」
「ご苦労さん。これで心置きなく戦えるぜ。」
 3年生整備科次席の友人フィオナ・グランドに、フォルテは礼を言う。
 フィオナの両親は、シドニー大学の工学科で教鞭をとっており、彼女もいずれは研究者の道に入るつもりでいる。
 その前段階として、IS学園に入学した。
「で、いけそう?仮にも、相手はあの楯無よ。」
「エインガナなら、ミステリアスレイディにもそう遅れは取らない。後は、搭乗者次第だな。私だって、織斑との訓練でスキルは伸ばしてきたんだぜ。1年の頃からとにかくとんでもない化け物だったからな。ま、とにかくやるだけだよ。」
「そう。で、狙ってるわけ?織斑君とのデート。」
 学年が違うだけでなく、芝崎インダストリーの技術顧問兼外部取締役。国連安保理特別理事。IS委員会特別顧問。自衛隊横須賀病院総合診療科部長兼高度救命センター長。
 多くの肩書を持ち、多忙な毎日を送っているので専用機持ち以外は、碌に接点がない。
 そして、専用機持ちといえども学年が違うと、接する機会がかなり減る。
 一夏に憧れる生徒達は、何とか接点を持とうとするが適わないまま日々が過ぎている。
「ま。狙っていないって言えば、嘘になるかな。あいつ可愛くてさ。だから、当然勝ちに行くぜ。全力でな。」
「だと思った。じゃ、頑張ってね。」
「ああ。」
 一夏とのデート。
 その権利を得るのは、恋する少女たちにとっては立派な大志だった。
 そして、それを形にする最後の戦いの時間が来ようとしていた。

後書き
タイトルの元ネタは、クラーク博士のボーイズ・ビー・アンビシャス(少年たちよ。大使を抱け。)です。
皆さん。すぐにお解りになったでしょうけど。
まあ、常識的に考えれば、1人の男子生徒とのデートの権利を得るのは大志とは甚だ言い難いのですけれど、まあ、一夏ですので(笑)。
さすがに準決勝ともなると、接戦です。
肉を切らせて骨を断つの覚悟で、決勝に駒を進めたコリーナ。
圧倒的な技量の差と、ファングクェイクの特殊兵装リボルバーイグニッションブーストを機動スキルとして再現して圧勝した一夏。
前生徒会長として準決勝でも格の違いを見せつけ、相手は善戦しながらも勝利した楯無。
決勝の組み合わせが決まり、最後の休憩とISの整備。
それぞれ勝利を勝ち取る為に全力で戦う誓いを胸に秘め、決勝に臨みます。
一番気になるのは、やはりアルパクティコ。
改修を施され新規兵装を手に入れて生まれ変わったアルパクティコの力は、どんなものでしょうか?










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