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zoom RSS ヨルムンガンド二次創作 第38話 Requiem to the past Phase5

<<   作成日時 : 2014/05/29 22:29   >>

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「デルタフォース、デブグルー。エンドライン突破。邸宅内に侵入。戦闘を継続中。狙撃部隊が後方より支援を継続中。」
 正面で陽動を行っているデルタとデブグルーは、邸宅突入に成功し抵抗するマフィアを掃討している。
「念の為、迫撃砲部隊の援護もね。相手の機関砲厄介だし。」
「了解。」
『いいペースで進んでるね。こっちが陽動なんだけど、お嬢さんと若様の部隊の練度も半端じゃないからそっちにも戦力を裂いた結果、こっちの仕事がやり易くなってる。』
 プレデターから送られてくるデータを見ながら、ブックマンは戦況を整理していた。
「チーム2より入電。重火器を装備した、マフィアの掃討終了。各国に売られる前の少年兵及び、誘拐された少年少女がいるエリアを発見したようです。少年兵は戦闘を仕掛ける可能性があるので、拘束したのちに保護するとの事です。」
『キャスパーの私兵か。思いもよらぬ戦果じゃないか。』
 メガネのフレームを直しながら、ブックマンはにやりと笑う。
「チーム2最上階の4割を制圧。援護の狙撃と連携しつつ、さらに制圧を進めています。」
「引き続き戦闘を継続。」
『予想以上に、よくやってくれてるね。今回だけだけど、組んだのは正解だな。』
 自分の予想を上回る、ココとソフィの部隊の戦果にブックマンは満足していた。

「アール、マオ、前に出ろ。ウゴは援護を続けろ。アーキンとワイリは、後方を警戒。」
「「「「「了解!」」」」」
 ウゴの援護を受けながら、アールとマオは最上階のマフィアを次々と片付けていく。
「今のところ、部屋に伏兵はいませんね。ルツさんとミロさんがしっかり片付けてくれていますよ。」
 バリー、ヴィリー、フェリと共に、最上階の部屋の残的掃討を兼任していたソフィは、レームに連絡を入れる。
「あいつらに任せときゃ、問題ないだろうさ。そろそろ、また増えてくる可能性がある。そっちから誰か回してくれないか。」
「ヴィリーさんとフェリさんを回します。確認に、そんなに人を割く必要はないようですから。」
「悪いな。下のドンチャン騒ぎは圧倒的に優勢みたいだが、逃げてきたのがこっちと合流する可能性があるからな。」
「数が増えるのは、勘弁ですね。」
 順調に制圧しているが、些細な油断が命取りになるのはソフィも熟知しているので、ヴィリーとフェリを援護に向かわせながらも、バリーと共に周囲の警戒を入念に行っていた。

「了解。じゃあ、そっちはお願いします。正面も余裕が出来たと思いますから、僕が交渉しておきますので。じゃあ、よろしく。」
「どうしたの?兄さん。」
 ココは機嫌が良さそうなキャスパーに、理由を訊ねる。
「チェキータさん達が、売られる前の少年兵と誘拐された子供たちを見つけて保護したんだよ。後は米軍に引き渡して、引き揚げさせるよ。」
「いずれにせよ。ソフィみたいのが減るのは幸いだね。後はいろいろ大変だろうけど…。」
 保護された少年兵は、そこからの人生も過酷な場合が多いのは広く知られている。
 戦闘の記憶がトラウマとして残り、悪夢を見続け、最悪、様々な精神疾患を発症する。
 それを考えると、喜びもあるが彼らに対する憐憫の情もココにはあった。
『ソフィも、当然それを知ってる。よくなってくれるのを祈るよ。』
 小さく深呼吸をすると、ココは気分を入れ替える。
「トージョ。状況は?」
「下のドンパチは、ぼちぼち終わるな。上の方もボスに大分迫ってる。待ち伏せをしていたマフィア共は、ルツとミロが片っ端から地獄行きにしてる。特にルツが凄いな。」
 プレデターを通じて、ルツの狙撃を見ていたトージョは、ルツが何人ものマフィアの脳を吹き飛ばしていたかを良く知っていた。

「くそったれ!!何て奴らだ!」
 不安になりそうな自分を奮い立たせるために、バーボンをラッパ飲みするサンクレアだが、不安感と焦燥感は一向に消えなかった。
「ボス。商品が奴らに奪われました。誘拐したガキ共も…。」
「下の連中はどうした!?遊んでいやがったのか!!」
「全員、死体です。半分はナイフで切り刻まれたらしいとしか解りません。下の行ったのも始末されたみたいです。」
 サンクレアの耳に入るのは、凶報ばかりだった。

「ま。少しは、鬱憤晴らしになったかしらね。帰ったら、シャワーを浴びてシャンパンで乾杯するとしましょうか。」
 サバイバルナイフに付着した血と脂肪に肉片を拭い、迷彩服を血まみれにしながら、チェキータはすっきりしたという感じの笑顔を浮かべる。
『本当はボスも切り刻みたいけど、今回は譲るわ。』
 そう考えながら、チェキータ達は撤収する。

 最上階の戦闘は、一方的な殺戮になっていた。
 アール、マオ、ウゴ、ヴィリー、フェリに碌に抵抗できずに、後方からRPKで支援しようとすると、SCAR−Hを手にしたレームが額に風穴を開ける。
「散々、少年兵で稼いできた割にその程度か?後ろでぬくぬくしていやがるから、腕が鈍るんだぜ。地獄で反省してこい。よし、先に進むぞ。とっととボスを始末するからな。」
「「「了解!」」」
 レームに率いられて、アールたちはさらにマフィア達を射的の人形を撃つかのように掃除していく。
 後方を警戒しているソフィとバリーも加わり、マフィア達はさらに抗う力を失っていく。

「くそ!何やっていやがる。とっとと、殺しやがれ!」
 最上階の全ての部屋は、電子ロックの隠し扉で繋がっている。
 それを使って逃げながら、数少ない部下達にサンクレアは命令する。
 その時、サンクレアの携帯の着信音が鳴る。
「よう…。てめえがボスか…?」
 ブルートゥースのイヤホンマイクを使って電話を掛けたのは、ルツだった。
「護衛は2人です。」
「見えてる。」
 新しいマガジンを交換していたルツは、即座に狙撃で護衛を仕留める。

「だ、誰だ!?手前は!!」
 サンクレアにも、国内最大のアルバニアンマフィアのボスとしての誇りがある。
 どこの誰とも知れない人間に、怯えていることを知られる訳にはいかなかった。
「死神だ…。わざわざ、手前を地獄行きにするために出張ってやったんだよ。感謝しながら、地獄に落ちな…。」
 言い終えると、AKSを持つ右手を狙ってトリガーを引く。
 小口径高速弾の5.56mmNATOと7.62mmNATOとでは、威力が違う。
 凄まじい苦痛を感じて、サンクレアはAKSを床に落とす。
「右手に命中。床におちたAKSを左手で拾おうとしています。」
「させるかよ…。」
 次は、左手に命中する。
 サンクレアは、苦痛に満ちた叫びを上げながら、今いる部屋を出ようとする。
「逃げられると思ってるのか…?」
 スコープの中心に映った左膝を、撃ちぬく。

『くそっ…!何がどうなっていやがる…。』
 痛みをこらえながらも、サンクレアは左足を引きずって必死に部屋を出ようとする。
 次は、右膝に命中する。

「どうだ?こうやって、痛めつけられていく気分は、手前がくたばるまでこの地獄のショータイムは続くぜ。主演は手前だからな…。」
 床に落ちた携帯から、ルツの声が聞こえてくる。
「手前…!後で、どうなるか解っていやがるのか…!?」
「手前がくたばる事は、よく知ってるぜ。」
 ルツの返答は、冷酷そのものだった。
『クソッタレが…。』
 腕を必死に動かして、サンクレアは床を這って逃げようとする。
「逃げられると、思っていやがるのか…?」
 携帯から、ルツの冷たい声が聞こえた途端、右肩が撃ち抜かれる。
 額から脂汗を流しながらも、サンクレアは左腕で這おうとするが間髪入れずに左肩が撃ち抜かれる。
「どうだ?逃げられずに、迫る死を待つ気分は?こういうのを地獄っていうんだぜ。」
 サンクレアの体の銃創からは、血が流れつづけ体力も消耗している。
 加えて、四肢の関節が撃ち抜かれては逃げることも出来なくなっていた。
「助けてくれ…。金ならいくらでも払う。お前の給料いくらだ?それの5倍。いや、10倍払う。俺につけ。酒も金も女もヤクも不自由しねえぞ。だから…。」
 携帯電話を通じて声が届く事を祈って、サンクレアは必死に命乞いをする。
「残念だったな。俺にその気はねえんだ。俺が欲しいのは、手前の命だ。クライマックスだ。地獄で自分の悪行を償ってこい…。」
 トリガーが引かれ、銃弾は脳幹を吹き飛ばしてサンクレアは国内最大のアルバニアンマフィアのボスから、只の死体になった。

「また、派手にやりやがったな。ルツの野郎。」
 サンクレアの死体を見たレームは、半ば呆れながら煙草に火をつける。
 最上階のマフィアのメンバーは、全滅。
 幹部は、半分は射殺。
 半分は命に別状がない程度に痛めつけて、応急処置を施し放置している。
「さてと、引き上げるとするか。」
「はい…。」
 自分を少年兵にした組織は、壊滅。
 本当なら喜ぶのが普通だが、ソフィは喜びを感じているように見えなかった。

「チーム2より入電。イズマイル・サンクレアは射殺。他の幹部の半分は射殺。残り半分は、負傷はしていますが命に別状はないとの事です。」
「下のチームに確保させてくれ。チーム2は撤退を許可する。」
「了解。チーム2。撤退を許可する。」
『これで終わりか。思ったより、楽だったな。』
 そう考えていると、指揮を執っているブックマンに次々と報告が入る。
「後で、纏めて報告書にしておいて。」
 そう言って、オペレーションルームを出た。
「まずは、腹ごしらえしないとね。後始末もあるし。」
 オペレーション・レクイエムはこうして、終了した。

「ソフィは?」
 レーム達は、マケドニアのホテルに戻ってからシャワーを浴びて血と硝煙の匂いを落としてから、祝杯を挙げていた。
 が、ソフィの姿はそこにはなかった。
「眠ってるよ。お嬢が添い寝している。」
 嘗て宣言した通りに、サンクレアを地獄に送ったルツはソフィの事が気になって部屋に様子を見に行っていた。
「嬉しそうにしてなかったよな。アイツ。」
「ある意味。当然かもしれない。奴らを潰した所で時が戻る訳じゃないし、今までの過去がなかったことになるわけでもない。それを考えれば、喜ぶ気にはなれないのかもな。」
 天井を見上げるアールに、マオが言う。
 今回の事で、気持ちに区切りに付けられるのではないかとマオは考え、願ってもいたが、それが甘かったことを痛感していた。
「北欧に行って、それからどうなるんだろうな。アイツ。正直言って、不安だね。ボスとしてのあいつは信頼しているが、何だかんだでまだガキだ。脆い部分がある。そこが気がかりでならねえ。」
 グラスの中のフォアローゼスを流し込みながら、バリーが考え込む。
「悪い事が起きない事を祈るしか、ないわね。それしかできない事が、とても歯がゆいけど…。」
 エリが、無意識に親指の爪を噛む。

 レーム達がソフィの事で話している頃、ココはソフィを胸に抱きしめて幼子を寝かしつけるように優しく肩を叩いていた。
 戻ってきてから、ソフィはシャワーを浴びてマケドニア産のワインを浴びるほど飲んだがそれでも眠気が来ずに、結局、ベッドに入ってずっと目を閉じていた。
 その様が、まるで暗闇で悪夢を怖がる子供のように思えて、昨夜のようにココは添い寝をしていた。
 しばらくして、ようやくソフィは眠り始めたが眠りながら涙を流し続け、顔にはその痕が残っている。

 いつも、誰の前でも笑顔のココだが今のソフィを見て、その表情は悲しみに満ちていた。
 結局、ソフィの為に自分は何かをやれたのだろうか?
 ボディーガードとして雇って以来、ソフィはその卓越した戦闘能力と頭脳でココを守りビジネスに関しても貢献してきた。
 だが、そんなソフィに自分は何をしてきたのか、ココは何も思いつかなかった。
『結局は、只の自己満足だったのかもしれない…。』
 ソフィを少年兵にした組織を潰せば、ソフィも前に進めるのではないか?
 マオ達と同様に考えていた。
 だが、それは考え違いも甚だしかったのではないだろうか?
 そう考えると、ココは何かできることはないかと必死に探して、結局は見つからなかった…。

 涙の痕をそのままに眠るソフィを見て胸が締め付けられる感触を覚えたココは、ソフィの口に自分の乳首をそっと含ませる。
『ごめんね…。ソフィ…。』
 自分の涙を拭って、ココはソフィを優しく抱きしめて目を閉じ眠りについた。

後書き
アルバニアンマフィアへの鎮魂曲は、奏で終わりました。
デブグルー、デルタフォースという世界有数の特殊部隊に加えて、百戦錬磨のココとソフィの部隊の前に壊滅。
商品として出荷するために誘拐してきた子供たちの所にいたマフィアは、チェキータに切り刻まれ、諸悪の根源であるサンクレアはルツの狙撃でこの世の生き地獄を存分に味わって、本当の地獄に叩き落とされました。
残った幹部が裁判でどんな判決になるかは、皆さんの想像にお任せします。
一方ソフィは、今回の事で気持ちが切り替わった様子は無し。
ココは、今のソフィにしてやれる事がないことを実感しています。
ココとソフィ。
この2人の関係は、どうなるのでしょうね?
そして、北欧に旅立ってソフィが目にする物は?








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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
次作楽しみに待ってます。
ヨルムンガンドの二次小説ここのしか知らないので楽しませて貰ってます。
十六夜
2014/09/09 04:35
十六夜さん。
コメントありがとうございます。

>ヨルムンガンドの二次小説ここのしか知ら
>ないので楽しませて貰ってます。
 他の方々からもうかがっていますけど、本
 当にないようですね。
 ガンアクションものは、結構好きな人いる
 から二次小説書く人いると思ってたんです
 けど。
 楽しんでいただいて、幸いです。
CIC担当
2014/09/09 23:38

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