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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第85話 海洋の決戦

<<   作成日時 : 2014/01/19 00:04   >>

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 南北米連合艦隊が襲撃を受けた頃と同時刻、NATO艦隊も襲撃を受けていた。
「右舷60度より、ミサイル来ます!」
「取り舵70。ESSM発射!」
 ザクセン級フリゲート、ハンブルクからESSM対空ミサイルが発射され、ゴーレムのミサイルを迎撃する。
「敵機動兵器来ます!低高度。」
「ハープーン発射!発射弾数2。艦首76mmスーパーラピッド砲。撃っ!」
 通常艦艇の兵器でも、命中さえすればゴーレムのシールドエネルギーを削る事は可能である。
 これは、ISも同様である。
 但し、ISやゴーレム相手に命中させるのは困難を極める。
 これが、ISが核以上の抑止効果を持つ兵器である理由である。
 それでも、NATO海軍は何もせずに沈められるような無抵抗主義者ではない。
 各艦が艦砲とミサイルで弾幕を張り、艦載機及びIS部隊と連携して受験生を守るべく奮戦していた。

「はっ!」
 桃色の装甲を展開したISパイロットが、小太刀より若干長めのブレードでゴーレムを両断しビットで牽制しつつ射撃兵装で撃破する。
「さすがね。第三世代とは、到底思えないわ。それにこれ…。」
 脚部の装甲が展開してホーミングレーザーが発射され、背部メインスラスター付近の装甲を展開して機動力を向上させ、包囲網を築こうとするゴーレムの裏をかく。
「第四世代の技術を第三世代向けにデチューンしたとはいえ、十分に使えるわ。さすがに千冬自慢の弟お手製の、ISだわ。こっちは問題ないわね。後は、他の部隊か。確か、海上自衛隊を主力とする艦隊にも、彼お手製のISが配備されているのよね。南北米艦隊には、本人がいるし。大丈夫か。」
 見事なブロンドとプロポーションを持つ、千冬と同年代の女性が駆るIS。
 第三世代IS「桃始華」。
 巴御前の擬似展開装甲戦衣を発展させ、マルチロール性を持つ擬似展開装甲を全身に装備したISである。
 一夏が去年から開発していた、2機のIS委員会直属ISの内の1機である。
「おっと。危ない。」
 艦隊旗艦シャルル・ド・ゴールを狙った荷電粒子砲の一撃を、射撃兵装が展開したエネルギーシールドで防御する。
 物理・エネルギー双方に対応したシールドを発生する防御機構と荷電粒子砲、レールガンが一体化した複合兵装「燃実」。
 そして、桃始華に装備されたビット「桃華」で攻撃を仕掛け、二段階圧縮式のイグニッションブーストが可能な特殊兵装、高機動ウィングスラスター「白鳳」で肉薄して衝撃砲、レーザー砲が発射可能な、多目的ブレード「浄剣」で一気に叩く。
 そして、桃始華のワンオフ・アビリティー。
 鞭やワイヤーのように使用が可能な、フレキシブルビーム「連枝」でダメージを与える。
「さ。頑張らないとね。日本に着いたら千冬に合わせる顔が無いなんて、御免だし。」
 桃始華の専任パイロットは、千冬とは旧知の仲だった。

「相変わらずのレベルの低さね。退屈しのぎにもならないわ。」
 第2〜4護衛隊群の支援を受けつつ、ゴーレムを次々と撃破する春香はつまらなさそうに呟いた。
 実戦と訓練で経験を積む中でペンドラゴンの機体特性を完全に把握し、性能を活かしきる春香にとってゴーレムは敵にもならなかった。
 さらに、自衛隊の主力ISは最新鋭第三世代IS「震電」。
 IS発祥国という事もあり、既に実用段階に達している。
 試験機は運用段階において不具合が頻発することが珍しくもないが、既に出尽くした上で配備されているので日々の訓練で練度を高めているパイロット達は不安を感じることなくゴーレムを迎撃していた。
「各機、輪形陣を崩さないように。自衛隊にちょっかいを掛けた事を、きっちり後悔させてやりなさい。」
「「「了解!」」」
『後は、各国の部隊のカバーね。』
 インド海軍は、新鋭空母「ヴィクラント」。
 護衛艦艇として、最新鋭ミサイル駆逐艦コルタカ級2番艦チェンナイ。最新鋭フリゲートシヴァリク級から1番艦シヴァリク、2番艦サツプラ。タルワー級フリゲートから2番艦トリシュル、3番艦タバール。が、動員されている。
 シンガポール海軍からは、フォーミダブル級フリゲートから1番艦フォーミダブル、2番艦イントレピッドが派遣されている。
 マレーシア海軍からは、レキウ級フリゲートが全て派遣されている。
 他国にも海軍はあるが小型であったり旧式であったりして、今回の任務に参加させるのは危険すぎる。
 結果。海自の護衛隊群が主力となっている。
 IS部隊も、日本以外の国では第二世代が主力である。
 故に、春香の責任は重大であったが自分の技術と海自IS部隊の練度に自信を持っていたので、完全にゴーレムを押し込んでいた。

「15式SAM。41番から44番。発射!」
 日本の新鋭ミサイル護衛艦はるな型2番艦たかおが、日本で開発された個艦対空ミサイル15式SAMを発射する。
 他の艦も奮戦して、中核戦力としての役割を見事に果たしていた。
 特にはるな型に搭載されている、FCS−4は日本版イージスシステムと海外で言われるほどに性能が高く、索敵・各種兵装のコントロールを行っていた。
『日本版イージス艦。十分に戦力になるわね。』
 127mm砲こそ、オート・メラーラ社との共同開発だがそれ以外はレーダーや通信システムに電子戦装備。各種兵装に至るまで国産である。
 必ずしも国産が良いというわけではないが、積み上げてきた研究開発の成果が花開いたことは喜ぶべき事だと春香は考えていた。

 嫌なタイミングを、狙って来てくれたな。
 日本本土には、第1護衛隊群以外に主要な海上戦力は無い。
 地方部隊じゃ、話にならないからな。
 空自と陸自にしても、本土を空にする訳にはいかない。
 それを見越してか。
 幸い、状況は有利。
 NATO艦隊、海自を中核とした東南アジア・インドとの連合艦隊双方に、IS委員会直属の腕利きが行っている。
 護衛隊群には岩本一尉がいる。
 NATO艦隊も大丈夫だ。
 とにかく。俺は俺のやる事をやる。
 にしても、数だけは凄いな。
 海洋戦闘に特化した玄帝に白式が最適化されているから、海中戦闘でも遅れは取らない。
 蛟で足を止めて、管弦と水虎でダメージを与え神札で稼働不能にする。
 他のゴーレムにもダメージを与えて、原潜部隊と艦隊にデータを送る。
 後は、神札を付与された式神と上の部隊を連携させて、上空及び海上戦力を駆逐する。

「1番から4番。データ入力完了。」
「魚雷発射。」
 ミネソタ艦長ジョン・リサーランド大佐の命令で、Mk.48通常魚雷が全ての魚雷発射管から発射される。
「ある程度の援護位は出来なくては、データを提供してくれたオリムラ大佐に申し訳ないからな。」
 ミネソタ、ノースダコタ、ジョン・ウォーナーは、冷戦時に計画されたシーウルフ級よりコストを抑えた設計であるとはいえ、ソナーシステム等は世界でもトップクラスである。
 一夏が提供した、詳細なデータを使用した戦闘にも充分に耐えられる。
 それを最大限に活かして、リサーランドは魚雷のデータを入力させた。
 そして、魚雷はシールドを大きく削られたゴーレムに命中し多大なダメージを与える。
 そこに、一夏の攻撃が命中する。
「艦長。ホワイト1よりモールス。「救援を感謝する。」以上。」
「返信。「貴官のデータに感謝する。本艦及び僚艦は、引き続き水中での貴官の援護を続ける。存分に戦われたし。」間違えるなよ。」
「はっ!」
 その間にも、僚艦のノースダコタ、ジョン・ウォーナーと共に隙を見せたゴーレムに魚雷を発射する。

 引き続き援護を続けるか。
 ありがたいぜ。
 潜水艦搭載の魚雷となると、その威力は半端じゃない。
 ISやゴーレムでも、喰らったら只じゃすまないからな。
 よし。撃破しながら、ゴーレムの戦闘力を削いで向こうが戦いやすくするか。

「艦長。相手の動きが鈍くなりました。」
「この機を逃すな。魚雷発射。」
 ノースダコタ艦長デヴィッド・A・ソルムズ大佐が、すぐさま魚雷発射の命令を出す。
「艦長。ノースダコタからの魚雷発射を確認。」
「こちらも行くぞ。魚雷発射。」
 ジョン・ウォーナー艦長マーク・E・ディヴィス大佐が魚雷発射の命令を出す。

「ほう。原潜部隊も頑張っているな。」
 ジェラルド・R・フォードでは、ウィルコックスが戦況を見て原潜部隊の奮戦を評価していた。
「彼らにも、合衆国海軍の意地があります。いつまでもオリムラ大佐におんぶにだっこでは情けないにも、程がありますからな。」
 洋上では、IS部隊を艦載機と各艦の砲撃やミサイルが支援し、着実にゴーレムを駆逐していく。

「おらよ!」
 式神の神札で稼働を停止したゴーレムをファングクェイクが、SMIで破壊する。
 追加兵装パッケージを装備したファングクェイクは四肢の装甲形状が重厚さをまし、各部に追加スラスターを装備。
「うぜえんだよ!!」
 メインスラスターに追加された兵装から、シルバーベルに類似したエネルギー弾が広い範囲に発射され大きなダメージを与えると、ミサイルが着弾し止めを刺す。
 ファングクェイク専用高機動戦闘用追加兵装パッケージ「サンダーバード」。
 インディアンに伝わる神鳥の名を持つ追加兵装パッケージには、SMIの威力を向上させると共に収束及び拡散を自在にする能力を与える四肢への追加装甲状特殊攻撃システム「カーバンクル」、メインスラスターに装備された、シルバーベルを参考にした広域エネルギー攻撃システム「ウェンディゴ」、8連装高性能誘導ミサイル「ジャージー・デビル」が装備され、ファングクェイクの持ち味であるCQC能力を高めると共に射撃兵装も強化され、機動性及び運動性も格段に増している。
 去年の一夏の改修結果を見て、危機感を感じた開発メーカーたるノースロップ・グラマン社が、特別チームを結成。
 社の威信を掛けて開発したそれは、その力を存分に発揮していた。

「甘いわね!」
 ナタルは福音の追加兵装パックに装備された多連装高出力レーザー砲を一斉に発射し、ダメージを負ったゴーレムを一掃する。
 さらに、シルバーベルと実弾兵器を併用した大型ガトリング砲タイプのビットを縦横無尽に操り、攻撃を仕掛ける。
 その際、奇妙な事に実体弾が誘導機能を持つかのようにゴーレムを追尾して着弾する。
 AGS(Advanced Gun System:先進砲システム)。
 アメリカの最新鋭ミサイル駆逐艦ズムウォルト級に採用された、新型砲で弾頭自体が誘導機能を持っている。
 それを小型化してIS用の装備としている。
 さらに、右手に持ったプラズマブレードで止めを刺していく。
 福音専用高機動制圧戦闘用追加兵装パッケージ「パラダイス・ロスト」。
 1928年に紹介されたビーフェルド−ブラウン効果を実用化した、イオンクラフトを追加スラスターとして採用。
安全性と燃費を確保しつつ、機動性の向上に成功している。
主兵装は、多連装高出力レーザー砲「ローテーツ・フレイミング・ソード」、シルバーベルとAGS(Advanced Gun System:先進砲システム)を併用した大型ガトリング砲タイプのビット「カイン」4基。白兵戦用兵装として、高出力プラズマブレード「レメク」を装備している。
 イスラエルとの福音共同開発の際、アメリカ側の開発陣の中核となったDARPAにロッキード・マーティン社が加わり開発された。
「水中は、粗方終わったみたいね。さすがは一夏だわ。海洋戦闘用追加兵装パッケージ迄用意しているなんてね。」
 以前から、一夏はISの海洋や湖畔における戦闘を考慮した追加兵装パックを開発していたとナタルは見ていた。
『追加兵装パックを考慮すると、白式はあらゆる状況において不利になる事のないISになったわけね。そして、世界の頂点に近い乗り手を得ている。ちょっかいを掛けてきたのが誰かは知らないけれど、よりにもよって最悪のジョーカーを引いたわけか。ゲームから手を引いた方が身の為だわ。』
 ナタルは、亡国企業にかすかな憐憫の情を抱いていた。

 さすがに世界に冠たる、USネイビーの原潜部隊。
 練度高いね。
 おかげで、予定より早く片付いた。
 じゃあ、次は洋上の敵を片付けるか。
 洋上に出て、玄帝から月数に兵装パックを換える。
 すぐさま、天下春命が白式を月数に合わせて最適化する。
 立ちはだかるゴーレム2体を、神札を発動させた天之尾羽張で無効化。
 出力を抑えた鳳笙で性能を大幅に抑える。
 それだけでも、十分に援護になる。
 さらに、天上火、乙矢、火箭を撃ちまくって撃破する。
 改良して、シールドも弱体化するからな。
 各艦から発射されたミサイルでダメージを負った所を、追加兵装パックを装備したナタルの広域砲撃で破壊される。
 よし。いいペースだ。
 ん?いい事と悪い事が来たか…。

「敵部隊。掃討完了。」
「各機に通信。今の内に、補給を済ませるようにと。全周囲警戒。索敵を怠るなよ。」
「はっ!」
 ウィルコックスは、IS部隊に補給を命じる。
「このまま、日本に着けば万々歳ですが…。」
「半々だよ。参謀長。何が起きるか解らん。」
「ですな…。」
 CICに集められた情報を見ながら、ウィルコックスとスウィーニーは意見交換を続けた。

 よし、食ったぞ。
 海自とインド海軍を主力とする艦隊、NATO艦隊は日本に無事到着。
 今は、本土部隊と合同で警戒に当たっている。
 受験生たちは、宿舎に割り当てられたホテルに向かっており警護には各国の特殊部隊が当たっている。
 こっちは、OKか。
 残りは、極めつけに悪い知らせだな…。
 後にしよう。
 今は、目の前の仕事に専念したい。
 で、こういう時に悪い事は重なるんだよなあ…。

「これは…、新たな敵接近!7時方向。高度5000。質量…。質量及び大きさ極めて大!!」
「極めて大だと?」
 ズムウォルト艦長デビッド・クロケット大佐が、CICでオペレーターに確認する。
「正確に報告しろ!曖昧すぎるぞ!!」
「推定、全長630ないし640m。全幅250mないし260m。全高約200m。重量45〜50万tと推定!!」
 適温に保たれている筈のCICにいるオペレーター全員とクロケッドの額に、汗が滲む。
 戦史上、これだけの大きさの機動兵器はどの国の士官学校の教科書にも載っていないし目撃された例もない。
「全艦とデータを共有せよ!旗艦に緊急連絡!!」
「イエス・サー!」

 おいおい。とんでもない物持ってきやがったな…。
 おまけに、ゴーレムとは違うようだから神札も鳳笙もどこまで通用するか。
 それに、これだけのデカブツだ。
 兵装も、たっぷりと搭載されているな。
 艦隊に直援部隊をつけて逃がしてから、撃破か。
 幸い補給の後だから、20kt以上出しても本土で補給が受けられる。
 何より、こんなのを本土に近づけさせるわけにはいかない。
「一夏。どうする?」
「こっちが聞きたいよ。とにかく、スクラップにする。直衛部隊のみを残して、他は殿。艦隊は艦列から離れる艦が出ないように速力をギリギリまで上げて、離脱だな。横須賀には、俺が話をしておく。」
 出迎えが無いと、今回はキツイからな。
 さあ。片付けるか。
 て。え?
 何、やってるんだ?ナタル。
 早く、直衛のポジションについてくれよ。
「あなたの事だから、殿は自分だけで務めるつもりでしょう。できなくはないでしょうけど、いつまでもあなたにおんぶにだっこじゃこっちの面子が丸つぶれだわ。司令官の命令で私と2個小隊が、残る事になったわ。」
 そりゃ、いてくれた方がいいけど向こうの直衛は、多くついてほしいのが本音なんだよな。
 て、考えている内に来たか。
 式神に銀蘭のビット。瑠璃翼の重荷電粒子砲、八竜で一斉に攻撃を仕掛ける。
 固いな。おい。
 こんだけくらって、ぴんしゃんしてやがる。
「全機!一斉攻撃。兵器使用自由!直ちに撃破!」
 ナタルと共に殿を務める、海軍のIS部隊も一斉に攻撃を開始するが分厚い装甲と強力なシールド、巨体からは想像もできない機動性でこちらを押し切ろうとする。
 シルバーベルをたっぷり喰らっても、そう簡単に落ちないなんてどんな装甲だよ?
 戦いながら、解析させるか。
 俺は、天上火と八竜を一斉に斉射する。
 さて、どういった結果が出るかな。
 て。おいおい。マジかよ…。
 耐貫通性スライド・レイヤー装甲と反衝撃性硬化装甲の、ハイブリッドだと!?
 打鉄の装甲とファングクェイクや福音に使われている最新鋭装甲材のハイブリッドなんて、聞いたことないぞ。
 研究ならしている可能性は、あるだろうけどな。
 けど、反衝撃性硬化装甲の研究開発を担当したのは、DARPA。
 そう簡単に、素材の製造方法が漏れるわけがない。
 いや。待てよ。そういう事か…。
 水中用ゴーレムといいこんなデカブツといい、差し向けられたのはこっちだけなのは確認を取ってある。
 それを併せて考えると、答えは自ずと出る。
 たく。勘弁願いたいぜ…。
 やっぱ、アメリカに協力を要請しなかったのは正解か。
 壁に耳あり障子に目あり。
 人の口に戸は立てられず。
 却って、ろくなことにならなかったろうな。
 いずれにせよ。こいつをぶっ壊して細部を調べ上げる。
 後は、それからだ。
 とはいえ、厄介なんだよな…。
 っと、危な!
 胸部には、大口径の高出力荷電粒子砲が2門搭載されている。
 それが、発射された。
 ISでも、あれを喰らったら一堪りもない。
 零落白夜で相殺できなくもないが、後がキツイ。
 さらに、40mmCIWSが20基。
 接近するのもキツいのは、見ていてすぐに解る
 イタリアのダルドシステムじゃあるまいし、40mmは勘弁だぜ。
 これも、喰らったら洒落じゃすまない。
 他にも、大口径レールカノンが4基。
 実弾兵装として、60連装VLSが4基に20連装大型VLSが機体後部に1基。
 今はさほどじゃないが、ミサイルのカーニバルが始まったらこれまた洒落じゃすまない。
 さらに、荷電粒子砲、30mmチェーンガンを搭載した大型ビットが14基。
 第一、そこらのECMや赤外線ジャマー、DIRCM(Directional Infrared Counter Measures:指向性赤外線妨害装置)でどこまで防げるか解ったもんじゃない。
 そこまで、高度なミサイルの妨害手段を持ったISはない。
 福音と白式で撃ち落とすという手もあるが、それでも万全じゃない。
 システムに強制的にハッキングするって手もあるが、そんな特殊なパッケージまで用意していない。
 幻影輪舞にも、そんなのはない。
 弾幕を掻い潜って、零落白夜で止めを刺すか雷公で押し切るか。さて、どっちにするか…。

ワンオフ・アビリティー:自己進化機能、天照発動。
ワンオフ・アビリティー幻影輪舞に新たな形態が追加されました。
対特殊電子戦形態「高天原」。
既存のISを大きく凌ぐ極めて高度な電子戦が可能。
全システムオールグリーン

 エクソルツィストの影響を、受けたのか?
 成程。確かに電子戦の性能は半端じゃないな。
 けど、攻撃力は幻影輪舞の中じゃ、最低ランク。
 ほとんど完全に、電子戦に特化したタイプか。
 でも、これで一気にチェックメイトといけるな。

「ナタル。チェックメイトにしようぜ。いい加減、あれに関わるのも飽きた。」
「何か、手があるのね?」
 確証もなく、大言壮語を口にする趣味は一夏にはない。
 知り合ったのは去年の夏だが、ナタルはその事をよく理解していた。
「ああ。ただ、攻撃はそっちに任せる。訳ありで、こっちは攻撃できないんだ。」
「OK。任せて、あなたは十分に戦ってくれた。後は任せて頂戴。」
「頼む。それと、下の原潜部隊にも手伝ってもらうよ。対潜ミサイルならこっちで防げる。」
 さてと、通信を入れるか。

「ふむ。成程。これは中々痛快そうだな。」
 リサーランドが、楽しそうだと言わんばかりの笑みを浮かべて顎髭を撫でる。
「水雷長。Mk.45 VLS全基。タクティカル・トマホークデータ入力。」
「はっ。急がせます。」
「どこの誰かは知らんが、USネイビーを舐めた事をきっちり後悔させてやるぞ。」
 ノースダコタ、ジョン・ウォーナーも、同様に準備を進めていた。

 よし。お膳立ては整った。
 原潜部隊は、海中。
 バージニア級の最大潜航震度はカタログスペックで、488m。
 水中からタクティカル・トマホークを発射するために、浅深度に浮上する必要はあるが距離というアドバンテージは十分に活かせる。
 誘導に対する妨害は、こっちで排除すればいい。
 よし。始めるか。

 ナタル達が見たのは、最上級のアメジストが装甲になったような外見の白式だった。
『天孫降臨作動。』
 多用途特殊高精度ハイパーセンサー「天孫降臨」が稼働を始めると、装甲が輝き始める。
 すると、殿を務めるIS部隊を苦戦させていたCIWSを始めとする兵装の正確な照準が一斉に狂い始める。
 さらに、シールドの能力も低下し始める。
『やれる。今なら。一夏がくれた時間。無駄にはしない。』
 目の前の、巨大な機動兵器の能力を抑える事に専念している最愛の少年。
 その行為を無にするなど、ナタルに出来るはずもない。
 パラダイス・ロストの全兵装とシルバーベルを発射しつつ、レメクで斬りかかる。
 他のISもここぞとばかりに、撃ちまくる。

「データ入力完了。いつでも行けます。」
「発射!」
 原潜部隊の全てのVLSから、タクティカル・トマホークが発射され巨大機動兵器に向かう。
 弾頭重量400kgを超える強化型徹甲弾頭を搭載した、36発の巡航ミサイルが、シールドに絶対防御が高天原によって弱体化された巨大機動兵器に、全弾命中する。

 よっしゃ!
 ナイスショット!
 俺は、腕部多機能デバイス「天津神」から重レーザー砲を連続で命中させる。
 ナタルと他のIS部隊も、次々と攻撃を命中させて巨大機動兵器は遂にその機能を停止させる。
 やれやれ。
 とんだ護衛任務だったぜ。

「そうか。了解した。」
 学園で千冬は、護衛任務が無事成功したとの真耶から報告を受けていた。
「後は、受験が無事に終わるのを、見届けるのみですね。」
「そうだな。さすがにここまで叩かれては、帰りは安心だろう。向こうに手出しをする余力があるとは、到底思えん。それにしても…。」
 一夏からの報告書に、千冬は目を通した。
 例の巨大機動兵器である。
「とんでもない物を、持ち出した物ですね。ゴーレムでは、勝てないと踏んでこれを大量投入されると…。」
 残骸を調査し、正確な大きさと重量及び兵装が記されたレポートに目を通す。
「全長 632.84m。全幅 259m。全高 200m。全備重量 47万t。兵装として胸部大出力荷電粒子砲2基。60連装VLS4基。20連装大型VLS。大口径レールカノン4基。40mmCIWS20基。荷電粒子砲に30mmチェーンガン2基を装備した、大型ビット14基。もはや航空要塞と表現した方が、適切ですね。」
 ヘンリエッテが、呆れた様にスペックを読み上げる。
「それに、アメリカの最高機密のイオンクラフトに、反衝撃性硬化装甲と耐貫通性スライド・レイヤー装甲とのハイブリッド装甲材。アメリカの国家機密のセキュリティは、穴の開いたバケツですね。だだ漏れもいい所です。」
 真耶が、大きな溜息をつく。
「そちらに関しては、一夏が対処をする。それより、例の件が空振りになった事が痛いな…。」
「国内の、亡国企業のアジトですか…。織斑君の地道な調査が実を結ぶかと思ったらこれですから、さぞがっかりするでしょうね…。」
「覆水盆に返らずだ。各国に警戒を促すとともに、拠点となる地域を絞り込むしかあるまい。」
 真耶にそう言って、千冬は話を終わらせる。

「物の見事に、ドクターは大失敗ね。襲撃部隊は全滅。」
「IS委員会直属のパイロットは、奴が開発した新型だ。こうなって当然だろう。パイロットの技量も高い。まして、海洋戦闘用の追加兵装パッケージまで用意していた。水中用ゴーレムというアイデアは悪くないが、それだけでは無理だな。エヌマ・エリシュと言ったか?例のデカブツにしてもそれだけでは、奴には勝てん。」
「アジトを引き払うことに、利用できた。今回はそれでよしとしましょう。」
 スノーの意見に、スコールとエムが同意する。
「狭い場所だけど、今は我慢だわ。」
 スコールは、今いる部屋の天井を見る。
 今いるのは、新しいアジトだが地上ではなく海中だった。
 ステルス戦略原子力潜水艦「ケートス」。
 亡国企業が密かに建造した、高性能原子力潜水艦である。
 省力化が進められており、ダメージコントロールの人員を充分に確保しつつも既存の原潜より乗員の数は少ない。
 故に、スコール達の生活スペースは豪華客船に劣らない豪華さと広さを備えているが、どこか閉塞感を感じさせた。
『いずれにせよ。全体的に作戦行動の見直しが必要ね。こちらのネットワークは大分潰された。今回の件でアメリカも使えなくなるわ。今後の事を考えると、実行部隊の人員をこの艦に集結させたのは正解ね。』
 そう遠くない内にアジトが判明することを考慮して、スコールは数少ない実行部隊のメンバーをケートスに集結させていた。
 それは、実行部隊がグレイに動かされることを封じる意味合いもある。
 だが、それ以外にも思惑があった。
『幹部会はどう出るかしらね?答えは出ているけど、念の為にきちんと答えあわせをしておきたいところだわ。作戦の見直しと同時並行は、楽ではないけれど。』
 スコールはソファに座って、今後の事を考え始めた。

 アメリカ合衆国首都ワシントンD.C.ペンシルバニア通り。
 合衆国大統領の住居であり執務を執り行う場でもあるホワイトハウスで、主人たるジョー・バイデンは、一通の手紙を何度も読み直しながらスタッフと協議していた。
「Even horses four legs, there when you stumble.The reason for this blood flowing through the body cloudy.If you do not phlebotomy, you will stumble again.(四本足の馬でも、躓く時はある。その原因は、体内を流れる濁った血。瀉血をしなければ、再び躓くだろう。)」
「もはや、やむなしか…。」
「既に、別件逮捕の証拠は掴んでおります。」
「そうか。では、そのように。」
 エリック・ホルダー司法長官の言葉を聞いて、バイデンは腹を括った。
『掴んだではなく、提供された。この手紙の送り主によってな…。』
 合衆国という人体を流れる、濁った血。
 それは、合衆国政府に巣食う亡国企業に関わりのある人間だった。
『トーマス・E・ドニロン次席補佐官に、アシュトン・B・カーター国防副長官…。この2人なら、我が国の重要機密が漏れて当然だ…。』
 アメリカ側の亡国企業のスパイとも言える、2人の政治家。
 1人は、国家安全保障問題担当の大統領次席補佐官。
 もう1人は、ペンタゴンのナンバー2。
 事の重大さに、バイデンは頭痛を必死に堪えていた。
『だが、ここでやらなければどうなるか…。それに、可能な限り穏便に事を収められるようにお膳立てをしてくれた彼の好意を無視すると、今後の悪影響が大きすぎる。それに、こちらの方でもできうる限り穏便に済ませたい…。』
 翌日、ドロニン次席補佐官とカーター国防副長官は、贈賄の現行犯で逮捕された。
 無論、隠れ蓑である。

 話題になっているな。
 次席補佐官に、ペンタゴンのナンバー2だ。
 話題性が、あり過ぎるからな。
 本当は、本来の罪状でしょっぴいて欲しいが時期的に早すぎる。
 全てが、終わってからだな。
 後は、日本から逃げた実行部隊の逃亡先の追跡か。
 とは言え、向こうも慎重になっているだろう。
 それに、俺が向こうならそう簡単に陸には上がらないね。
 おそらくは、海。
 極秘裏に建造した、高性能原潜だな。
 当分は、尻尾を掴めないだろう。
 捜索しつつ、向こうのネットワークを潰しておくか。
 そうすれば、自ずと尻尾も掴める。
 それ以前に、グレイの奴の新技術の解明が先だ。
 マッドドクターどころじゃない。
 とっくに、人間やめてるぜ。こいつ。
 あの有人型機動兵器を開発した、連中もだけどな。
 いずれにせよ。とっ捕まえてきっちり罪を償わせてやる。
 そう決意して、俺は資料に目を通す。

後書き
受験生の護衛任務。
無事に成功です。
各国海軍の力を結集した、大作戦。
軍の面子もかかっているだけに、失敗も許されませんしね。
そして、一夏が去年から開発していたもう1機のIS。
展開装甲のスペックを落として第三世代に搭載できるようにした、野心的な設計のISです。
元ネタはSEED DESTINYのレジェンドガンダムです。
ラスボスは、巨大機動兵器をどうしても出したかったので出しました。
やっぱり、男のロマンですからね。
元ネタは、マブラヴ・オルタネイティブの凄乃皇です。
18禁ゲームですが、非常にストーリーが重厚でしっかりしているので大好きです。
最後に、一夏の予想は大当たり。
アメリカにも、亡国企業の触手は伸びていました。
これを踏まえると、一夏もいろいろ考えざるを得ないでしょう。
頭が痛い所です。









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IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第85話 海洋の決戦 cogito,ergo sum/BIGLOBEウェブリブログ
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