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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第74話 厄介事は増えるばかり

<<   作成日時 : 2013/11/03 00:17   >>

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 1時間目から授業出るのって、本当に久しぶりだな。
 まあ、今日は講義が午後からだからなんだが…。
 それに、ちょっとイベントがあるしな。

「いきなりですが、今日から転入生が来る事になりました。入ってください。」
「はい。」
 ドアを開けて入った来たのは真新しい制服を着た、背中の半分より少し上位で黒髪を切りそろえた青い目の女の子だった。
「アンナ・マリア・エデンです。イスラエルから来ました。」
 この時期に転入生か。
 クリスは経緯が複雑だけど、こっちはこっちで複雑だよな…。
 俺は気にしてないけど、周囲がちょっとざわついてるな。
 原因は、あえて言わないけど。

「エデンは、イスラエルの代表候補であり、イスラエル国防軍の少佐でもある。当然のことながら、ISに関する知識・技術は相当な物だ。吸収出来る物は、全て吸収しろ。エデン。相川の隣がお前の席だ。」
「はい。」
 さすがに、素性は全部明かさないか。
 やっぱ、そこら辺は弁えてるよな。千冬姉は。
 正直に言って、公表するのは洒落じゃすまない。
 目的は解っているから、そこら辺は上手くやればいいとはいえ大変だぞ。
 これから。

「厄介なことになりましたね。」
「否定はしない。かと言って、断るわけにもいかんだろう。外交問題に発展する。」
 アンナがイスラエル国防軍所属だという事は、間違いない。
 だが、問題はその後だ。
 所属部隊の名は、サイェレット・マトカル。
 イスラエル国防軍参謀本部所属の直属部隊で、カウンターテロ、偵察、情報分析が主な任務だが、その実、参謀本部諜報局に所属するイスラエル国防軍最高機密の諜報機関だ。
 十中八九、IS学園の専用機の情報を入手するつもりだろうな。
 危惧はしていたけど、こんなに早く来るのは想定外にも程がある。
 しかも、原因が俺だからな…。

 一夏の考えは、当たっていた。
 世界で唯一ISが動かせる男性であり、世界で5本の指に入るパイロット。加えて第四世代ISの開発も可能で、第五世代ISへの改修作業も可能な一夏の技術をイスラエルは欲している。
さらに亡国企業への備えとして高性能なISが20機以上、学園には存在している。
中には、束が自ら開発した紅椿、舞桜。
 そして、未だ各国が実用化に扱ぎ付けていない、量産型第三世代ISである陽炎が配備されている。
 各国の第三世代ISは、一夏が改修を手掛けたり開発を担当している。
 結果、高性能ISがずらりと揃った。
 民族、宗教の関係で、アラブ諸国と緊張状態であり、戦争を繰り返してきたイスラエルがこれを欲しないわけがない。
 イスラエルのISは総数5機。
 主力機である第二世代IS「ガラクスィヤ」がIS学園に提供され、さらに、専用機持ちのアンナが学園に送り込まれてきた。
 それほどに、イスラエルはIS学園に集中している高度な技術を入手しようと、本腰を入れている。
 当然、千冬達もそれを察している。

「お前が足元をすくわれるとは思わんが、相手は諜報のプロだ。ハニートラップを仕掛けてこないとは言えん。注意しろよ。」
「解ってます。」
 引っかかったら、殺されるしな。
 後は、向こう次第か…。
 俺は職員室の席で専用機のスペックに、目を通し始めた。
 これはこれは、また…。
 送り込みたくもなるか…。
 まあ、いい…。
 やる事あった方が、楽だしな…。

「今日からは、チームを変更する。専用機持ちがリーダーであることは変わりないが、メンバーは別だ。エデン。お前もリーダーをやれ。織斑は、従来通りだ。」
 成程ね。
 様々なリーダーの下で、色んな戦い方を経験させるのが狙いか。
 準専用機持ちの選抜材料にも、なるしな。
 セシリア達にとっても、いい経験になる。
 慣れたメンバーでない編成は自ずと負担になって、それをクリアすることで連携戦闘においての指揮能力が底上げされるからな。
 技術の向上には、持ってこいか。
「エデン。ISを展開しろ。」
「解りました。一夏。楽しみにしててね。」
 そう言うと、待機状態であるセフィロトを掘り込まれたペンダントが光りISが展開される。
 外見は独特だった。
 背部に円状のユニットに、ウェポンラックらしきユニット、それに巨大な十字架上のユニット。
 大型の腰部アーマー。掌には、エネルギー兵器の発射口。
 カラーリングは、白と黒のツートンカラー。
 イスラエル製第三世代IS「イェリダー(降臨)」
 アメリカと福音を共同開発した際の経験をベースに独自開発した、次期主力ISの試験機。
 戦争で敗北したら国が無くなるとすら言われるイスラエルが、5機のISで国を守り抜くために性能を追求した広域殲滅型IS。
 アラスカ条約でISの軍事利用は禁止されているが、ISという強力な抑止を背景にした外交の駆け引きは行われている。
 世の中の救いのない一面を、如実に示していると俺は思っている。

「では、組み合わせだが…。」
「織斑先生。」
「何だ?エデン。」
 ん?エデンさん、何か提案であるのか?
「私のチームを、織斑君と戦わせてください。」
 俺か?
「嘘?」
「本当?」
「ちょっと、チャレンジャー過ぎない?」
「いくら何でもねえ…。」
 資料ではスキルも高いとあったけど、さすがに負ける気しないぞ。
 やる分には構わないけどな。
 それとも、さっそくデータ収集か?
 いや。そういう目じゃないな。
 成程ね。
「織斑先生。俺も、エデンさんとは手合わせしてみたいです。イスラエル製第三世代の性能と、その専任操縦者の腕前を見たいですし。」
「ふむ…。まあ、いいだろう。では、エデンのチームと織斑の対戦が最初だ。」
 さて、手並みを拝見させてもらいますかね。

「どう思います?勝敗は。」
「言わんと解らんか?」
「そうですね。」
 千冬も真耶も既に勝敗の行方は、十二分に理解していた。

「行くわよ!一夏。」
 へ?一夏?
 まあ、いいけどさ。
 いや、よくねえ…。
 何だ、この周囲から立ち上るとてつもなくどす黒くて、禍々しくて冷たい“気”は…?
 俺…、何もしてねえぞ…。

「あの、織斑先生…。エデンさんが転入してきたのって…。」
「先を言うな…。何も考えない事で、どうにか頭痛を堪えているんだ…。あの馬鹿者…。何人増やせば気が済む…?二桁越えで時が経っても、どうして気づかない…。」
 国家の思惑以外の転入目的を千冬と真耶は悟り、千冬は今更ながらの一夏の唐変木に頭を抱えながら頭痛を堪えていた。

 最初の武器は、剣にカービンタイプのレーザーライフルか。
 ん?剣の周囲が青白く…。
 成程。超高速振動剣か。
 刀身を超高速震動させる事により、さらに切れ味を増す白兵戦兵装。
 青白い光は、大気との摩擦で生じた熱だ。
 温度が高くなる程、色は青白くなる。
 相当な高温に、なっている証拠だ。
 噂に聞いていた特殊強化多結晶合成ダイヤモンドを、実用化に扱ぎ付けたか。
ダイヤモンドは、硬度は高いが靱性に掛ける。
材質工学分野への波及効果を狙って開発していると聞いていたけど、遂にか。
 楽しまさせてもらえそうだ。
 っと。
 剣の腕も中々だな。
 射撃の腕もいい。
「さすがにやるわね。かすりもしないわ。」
「ま。そう簡単にはな。」
 隙ありだ。
 俺は末那識で、剣を宙へ飛ばした。
「一本だけじゃないわよ!」
「だろうな。」
 レーザーライフルと、新しい剣を纏めて宙へ飛ばす。
「距離の取り方と、取りだす際に無駄があるな。改善点だぜ。」
 銀蘭の荷電粒子砲を立て続けに叩き込んで、エネルギーブレードモードの末那識の一撃を加える。

「腕はよろしいんですけど、一夏さんを相手にするのはまだお早いですわね。」
「ま。相手が一夏だから。」
「現役の軍人だから技量は確かだけど、一夏の言う通り動きにムラがあるんだよね。」
「あれでは、我々にも劣る。恐れを知らんと言うか、なんと言うか…。」
「抜刀が遅い。あれでは、話にならん。」
「IS学園じゃなければ通用したけど、ここじゃ専用機持ち最下位ね。」
「会長。相手の兵装とか性能を、完全に試しているしね〜。」
 セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、箒、玲子、本音が辛い評価をする。
 実際の所、蘭達を除いてIS学園の専用機持ちの技量は非常に高い。
 今までの実戦経験と、2学期に入ってからの対亡国企業対策の自主トレーニングで、皆、急成長している。
 訓練はしてきたが、実戦経験によって培われた地力の差が露呈していた。

『ヘレシャーヘレヴ(断罪の剣)、バラック(雷)は全て喪失。シャヴィット(彗星)も全弾回避されて、喪失。腰部ウェポンベイの兵装は全て喪失した…。どれだけふざけた実力なの。しかも相当に手加減している…。』
 既に2分。
 アンナ以外は、全て撃破されている。
 本来ならば、自分もとうの昔に敗北している。
 それは、アンナも理解していた。
『能力査定か…。どこまでも綺麗で、強い…。本当に魅力的…。私の負けは確実だけど、せめて一矢報いて見せるわ。イェリダーの真の力でね。』
 イェリダーの掌から不可視の弾丸が、発射される。
「衝撃砲か。そういえば構造を簡略化するために、指向性を持たせたのが開発されたっけか。掌に装備するってのも、いいアイデアだ。やりようによっては、虚を突ける。」
「楽々回避しておいて、言うわね。」
「甲龍の衝撃砲を、何度ぶっ放されたか解らないからな。発射タイミングを読むのは楽なもんさ。」
 衝撃砲を回避しながらも、一夏は攻撃の手を休めない。
『残り30%。いよいよ、あれを使う時ね。というより、使うしかない。本当に強すぎるんだから…。』

 気配が変わったな。
 データで読んでるけど、いよいよあれが来る…。

 背部のウェポンユニットから。エネルギー弾が一夏に向けて一斉に発射される。
「っと!とはいかないんだよな。イスラエルの技術者も、やってくれるぜ。」
 発射されたエネルギー弾は、一夏を追尾する。
「シルバーベル!しかも、自動追尾型!?」
「成程…。イスラエルが共同開発に応じたと聞いた時には、何かあると思っていたが、こういう事か…。」
 シャルロットが驚く中、ラウラはアメリカとの共同開発におけるイスラエルの意図を正確に見抜いていた。
 福音は共同開発であるにも関わらずに、アメリカのISとして保有されている。
 普通に考えれば、国際問題に発展するがそうならない理由が何かあると、ラウラは考えていた。
 そして、それを確信した。
「つまり、福音は踏み台ということですの?ラウラさん。」
「そういう事だ。他にも、いろいろと得た物がありそうだぞ。スラスターが一つもないのが、いい例だ。おそらく背部の円状のユニットが、高性能PICユニットだろう。スラスターが搭載される部分にあるのは、小型のPICユニット。アラクネの物を発展させたと見て、間違いない。」
「なかなか、狸よね。イスラエルも。」
「だが、長くは持たんな。自動追尾が、一夏の機動に対応しきれていない。」
 ラウラの意見に鈴が肩をすくめ、箒がアンナの限界が近い事を確信する。

「まだ終わらない!」
 背部の十字架状のユニットが物理シールドを展開して、銀蘭のレールガンを防ぐ。
 次の瞬間、大型のパイルバンカーらしきデバイスが、杭を発射する。
 ニードルガンも、兼ねてるのかよ。
 それでも終らずミサイルポッドからミサイルが発射され、展開した2本のサブアームが片方はレールガンを。もう片方はレーザーマシンガンを発射する。
 可能な限り兵装を搭載したか。
 見たところ、サブアームはその時に応じていろいろと兵装が積めるな。
 おまけに、大出力荷電粒子砲のおまけつき。
 うまく使いこなせると面倒だけど、判断力が甘いんだよな。
 シャルロットだったら、十分に使いこなせるけど。
 ラピッドスイッチとこれが合わさると、結構シャレになんねえし。
 で、ここは俺の間合いなので終わりと。

「イェリダーの特殊兵装。「ヘレシャーシャリアッハ(断罪の使徒)」。シルバーベルの発展型ですね。尤も、今は織斑君が改修していますので、福音のシルバーベルはより高性能になっていますけど。」
「それでも使いようによっては、強力な武器になる。あの複合兵装にしてもな。だが、エデンの技量がついて行っていない。機体を、乗りこなせていない証拠だ。まだまだだな。」
 アンナの腕は見事だが、今のIS学園の専用機持ちの中では高いとは言えない。
 千冬はそこを指摘した。
 その後、再編成したチーム同士の対戦に移った。

「あの〜。やっぱりやるんですか?」
「当然だ。いつまでもお前ばかり、相手が私だけではまずかろう。ブッフバルト先生は相手にはうってつけだ。」
 それはシゴキを通り越して、いじめじゃねえか!千冬姉!
 新旧ブリュンヒルデ相手の、連携戦闘訓練なんて洒落にならないぞ。
 山田先生の顔色も、よくない。
『山田先生。最初の狙いは、ブッフバルト先生です。織斑先生よりかは、何とかなります。』
 マシなだけで、キツイのは変わりないんだけどな…。
 最近、かなり訓練しているらしいし。
 はっきり言って、洒落にならん…。
『織斑先生はどうします?』
『状況に応じて、ポジショニングを変えましょう。』
『解りました。』
 相手が先生で、よかったぜ。
 ここまで高度な連携戦闘は、ラウラ達でもさすがに無理だからな。
 なにしろ、向こうも俺達も阿吽の呼吸が求められる。

「始めてください!」
 流星と八竜で、千冬姉とブッフバルト先生を同時に牽制している隙に、山田先生が、紅炎でブッフバルト先生を狙う。
 が、そう簡単には命中しない。
 回避とツヴァイ・シルトでのディフェンスを織り交ぜて、付け入るすきを与えない。
 最近、スキル上がってるだけに、キツイよなあ…。
 俺は式神を射出し、半分は千冬姉の牽制に。
 もう半分と、俺自身がブッフバルト先生に攻撃を加える。
 無論、ブッフバルト先生が黙っている筈もなく、シャイネン・ランツェのレーザーとドンナー・シュペーアで俺達のポイントを割り出しながら、反撃をしてそれに対処している隙に、リーゼン・シュラークをAICモードにして動きを止めようとする。
 そこに、千冬姉が加わる。
 俺は山田先生に目配せをして、ブッフバルト先生の相手をしに行く。
 シグルーンが防衛線を張るが、この手の兵器の相手は嫌になる程してきたので対処法は骨身に染みこんでいる。
 末那識を唯識に合体させ、阿頼耶識と阿摩羅識を合体させて縁覚にして、短期決戦を挑む。

『さすがですね。織斑君。あのブッフバルト先生が、押されている。私は、少しでも時間をかせがないと。』
 真耶は明王と帝釈を巧みに使い分けて距離を取りつつ、千冬を引きずり回す。
 そこに式神の半数の攻撃が加わり、さしもの千冬も思い通りには行かなくなっていた。

『くっ!なんてパワーなの!!おまけに剣術も槍術も鍛え抜かれているんだから、うんざりするわ…。』
 ヘンリエッテもシャイネン・ランツェを使いこなすために槍術を学んだが、幼い頃から厳しい鍛錬を積み上げてきた一夏とでは地力が違う。
 加えて、鍛え抜かれた筋肉とパワーアシスト機能が生み出すパワーが襲い掛かり、ツヴァイ・シルトで防いでいるにも拘らず骨まで衝撃が伝わる。
『このままじゃ、持たない…。』
 ツヴァイ・シルトを持つ左腕に全力を集中して距離を取ってシグルーンを展開して、以前以上に複雑な機動で一夏に攻撃を仕掛ける。

「はああっ!」
 縁覚を風車の用に回して、シグルーンの攻撃を防ぎつつ急接近した一夏は、零落白夜を発動した唯識でごっそりとシールドを削った上で、式神の一斉攻撃を加える。
「くっ!」
 ヘンリエッテはいったん距離を取ったが、イグニッションブーストで一夏が迫る。
『これ以上、距離を取ったらやられるのはこちらね。いいわ。受けて立ってあげる。』
 ヘンリエッテも、腹を括った。

 腹を括られると、キツイな。
 山田先生も、大分苦しくなっているし。
 一気に決めるか。
 一騎打ちの状態から極僅かに距離を取って、瞬時に距離を戻しながら槍を繰り出す。
「なっ!!これは!」
 さすがのブッフバルト先生も反応しきれずに、シールドエネルギーがゼロになる。
 明王流槍術風砕き。
 僅かに距離を取った時に槍を回転させ、その時の力に抉る様に繰り出した突きにパワーを乗せる。
 これを刹那の瞬間にやる必要があるので難しいが、使いこなせたら相手の虚を突き強烈なダメージを与えることができる。
 さて、山田先生の救援に行かないとな。

「な、何なのよ…。あれは…。」
「一夏は武芸百般。槍の腕前も凄まじい。毎日、厳しい鍛錬を積んでいるからな。」
 ヘンリエッテとの激闘を制した一夏の技量に、アンナは恐怖すら感じていた。
 自分と戦っていた時とは、次元が違う。
 真耶に合流して千冬と戦っている一夏を見ながら、アンナは自分がどれ程の者を相手にしたのかを、認識した。

「ほう。技の切れもパワーも、さらに増しているな。継続は力なりか。骨まで響く。」
 そりゃどうも。
 そのくせ、涼しい顔してんじゃねえっつーの!
 多角攻撃ができる兵装をフル活用し山田先生と連携して攻撃を加えるが、千冬姉相手だと思った様にダメージを与えられない。
 散桜の零落白夜で、流星と銀蘭の荷電粒子砲、式神の攻撃のほとんどを無力化される。
 無論、使いすぎれば自滅するのはよく解っているので時に受け時に回避している。
 それでも、どうにかそれなりのダメージは与えている。

「久方ぶりだが、それなりに本気を出させてもらうぞ…。」

 へ…?

 ちょっと、待てーーー!!
 そればっかりは、洒落どころか、俺達の命に係わる!
 俺達は、呂布や張飛、関羽に挑む一兵卒みたいなもんじゃねえか!!
「案ずるな。お前なら、それなりには渡り合えるだろう。」
 だろうって、なんだよ!
 だろうって!
『山田先生。シールドエネルギーは?』
『どうにか、6割は…。』
 陽動役とはいえ、千冬姉相手だとそうなるよな…。
 ちなみに俺は、どうにか5割。
 ブッフバルト先生とガチでやりあうと、まあそうなる。
 展開装甲使ってるとは言え、千冬姉に対する牽制もしていたので、実質2対1の場面が結構あったからな。
 ちなみに、舞桜のシールドエネルギーは約8割。
 相変わらず、ふざけた強さだ。
『正攻法では、無理でしょう。山田先生は攻撃を受け流して、可能な限りダメージを与えて下さい。その隙を突きます。』
『解りました。』
 久方ぶりだな。こいつを使うのは。
 ワン・オフ・アビリティ 超高機動戦闘形態光皇。
 第三形態移行時に発動した、白式のワンオフ。
 これなら、何とかなる。
 というより、手が無いわけだ。
 やれやれだね。ホント。
 それじゃあ、行くか。

ワン・オフ・アビリティ:自己進化機能、天照発動。
残像発生機構:星彩実装終了。
使用準備完了。

 またかよ…。
 要するに、紅椿の現影の白式版か。
 でも、使えるな。
 じゃあ、勝負だぜ!

『さすがに光皇を使われると、厄介だな。一夏が完璧に使いこなしているから、さらに厄介だ。それにこの残像…。』
 スペックが大幅に底上げされた状態の光皇に加えて、あちこちに現れる残像の前にさしもの千冬も手こずっていた。
 それでも、鍛えぬいた全身の感覚と読みの確かさでダメージを可能な限り抑え込み、時に激しい鍔迫り合いを繰り広げる。
 そこに、真耶の攻撃が加わり明らかに旗色が悪くなっていた。
『舞桜の基本スペックは一夏の手で大きく底上げされているが、天照はそれを考慮した上で発動しているのか…。白式自身も、基本スペックの向上が加速していそうだな。やれやれだ。』
 千冬は舞桜の展開装甲を全て機動性向上に回して、迎撃する。

 くそっ!
 光皇にも、対応しちまうのかよ。
 基本的に舞桜は最新技術を投入しながらも設計思想はシンプルで拡張性も高いから改修しやすいので、基本スペックの底上げは楽だったとはいえ上げ過ぎたか?
 まあ、相手が千冬姉ならこうなって当然だけどな。
 白式の稼働時間も、残り少ない。
 こうなったら、白兵戦オンリーで勝負をつける。
 外部兵装への動力バイパスを全部オフにして、展開装甲に回して機動性を向上させる。
 剣術は、4本に1本は取れるようになった。
 勝てる確率は25%。
 光皇を発動した状態なら、カタログスペックは展開装甲を全て機動性向上に回した舞桜を大きく上回る。
 けど、千冬姉の技量を考慮すると、10%上乗せ位か。
 勝率35%。
 分が悪いが、これしかないな。
 援護頼みますよ。山田先生。

 一夏が唯識と縁覚のみ使用しての戦闘に移った事で、真耶は援護に専念する。
 とは言え、光皇を発動して爆発的に機動性と運動性が向上した白式の援護をするのは並大抵の苦労ではない。
 一発一発、慎重に。
 面制圧ではなく、狙撃に徹して援護をする。

「何よ…。これ…。」
 光皇を発動した白式を駆る一夏と、展開装甲を全て機動性向上に回した千冬の激しい鍔迫り合いを見ながらアンナは言葉を失う。
「この程度で、驚くのは早いぞ。一夏は、白式の全能力を開放していない。いろいろと、面倒な立場だからな。そう簡単には、使えん。今の状態で、5割と言った所か。」
 呆然とするアンナに、ラウラは声を掛ける。
「尤も、今の状態の一夏に勝てるのは、織斑先生くらいだけど。あたしたちじゃ、秒殺決定。」
「シャルロット。シールドエネルギーは?」
「どうにか、一夏が優勢。けど、稼働エネルギーがもう限界だね。持って30秒ってとこ。」
 箒の問いに、シャルロットが答える。
 その間にも、一夏と千冬の壮絶な戦いは続いていた。

 あと、10秒…。
 隙が出来るのは覚悟の上で、大技を決めるしかないな。
 俺は、一切の思考をキャンセルする。
 右の縁覚で、渾身の突きを繰り出す。
 が、千冬姉はそれを受け流す。
「終わりだ。織斑!」
 だが、これで終わりじゃないぜ。千冬姉。
 受け流された槍を手前に引き戻し、瞬時に右薙ぎを繰り出す。

 全てが終わった時、舞桜のシールドエネルギーはゼロになっていた。
「一夏の勝ち…。」
「凄い…。」
「織斑君。連勝よ!」
「凄い!凄い!」
 鈴と箒が呆然とし、他の生徒たちが喜びで大はしゃぎする。

 稼働時間。残り、0.3秒。
 シールドエネルギーは3。
 かなりの紙一重だけど、勝ったか…。
 けど千冬姉がちょっとその気になったら、2対1でも冗談抜きで厳しい。
 一度初心に帰って、白兵戦兵装オンリーのメニューも加えた方が、いいかもな。

「ふむ。全力でないとはいえこうも立て続けに負けると、私達も恰好がつかんな。今度からは、本気でお前を倒しに行くので覚悟しろ。」
 それだけは勘弁してくれ、千冬姉!
 マジで死ぬ!!
「案ずるな。殺しはせんし、その分鍛えてやる。ところで、さっきの技は何だ?初めて見るが。」
「俺の流派の奥義。連槍刃です。刀身を抵抗にして、槍による渾身の一撃を加えた後、素早く槍を手前に引き戻して、今度は槍の穂先を抵抗にして刀による一撃を浴びせる。雑念が入れば、隙だらけになりますから無茶苦茶難しいですし、剣術も槍術も相応の腕前にならないと使えませんけど。破壊力は抜群ですよ。」
 プラス全身の筋肉に大分負荷がかかるから、中々にキツイ技だけどな。
「今度からも、奥義は使え。というより、使わせてやろう。皆にも良い勉強になる。」
 何か俺の一方的な犠牲の上に、成り立っている論理じゃねえの?
 鍛えてもらえるのは、ありがたいけど。
 まあ、いいか。
 余計なこと考えないで、済むから…。

 鈴から始まり、最近はシャルロット達が弁当を作ってくる。
 皆、栄養に気を配って、少しでも体にいいものを作ってきてくれる。
 今度、お礼しないとな。
 ちなみに、今日は箒の番。
 えびでんぶ、甘く煮たしいたけ、錦糸卵、穴子のちらし寿司。
 里芋の煮っ転がし。
 きんぴら牛蒡。
 ほうれんそうのおひたし。
 いわしハンバーグと、色んなおかずが並んでいる。
 デザートは、金柑を蜂蜜につけ込んだ物だ。
「そこ、いい?」
「ああ、エデンさんか。いいぞ。」
 えっ!
「「「「あああっ!!」」」」
 何でキス!?
「私が一夏って呼ぶ以上、一夏も私もアンナって呼ぶの!いい!?」
 解った!解ったから、落ち着いてくれ!
 聞こえるだろ!アサルトライフルをコッキングする音が。
「あら。私が誰とキスしようと、自由でしょ。」
 イスラエル製 IWI ネゲブ軽機関銃。
 しかも、7.62mmNATO弾を使用するタイプでもコンパクトな、NG7 SF…。
 つうか、全員、落ち着け!!

「ほう。最近では、アサルトライフルやら軽機関銃で男を争うのが、女子のトレンドか?うん?」
 ほら…。来た…。
「いい加減、自重と言う言葉を辞書に加えろ!馬鹿者共!!」
 千冬姉の拳骨が、炸裂する。
 ちなみに、俺には4発。
 何でだよ!俺は、無実だ!!
 口にはできないけど…。

「それにしても、PICだけで機動制御するなんて、イスラエルも野心的な設計するよな。」
 アンナも加わり、昼食再開。
 ISの機動制御のメインはPICだが、実はそれだけだとエネルギーの消費量が高い。
 故に、通常のスラスターが使用される。
 あの円状のユニットは小型のPICユニットを並べることにより、効率的に機動制御するための物だとすぐに理解した。
 ああいうあり方も、ありだな。
 俺の場合は磁気推進スラスターの実用で、その点の問題は解決してるけど。
「でも、燃費の面ではまだ問題ね。これからって感じ。」
「新機軸は、じっくりと練りこんでいった方がいいさ。じゃあ、俺は講義と放課後の会議の資料に目を通さなきゃならないから。お先に。」
「大変ね。」
「慣れたよ。」

『『『『『『『『ライバル…。』』』』』』』』
 一夏の後姿に手を振るアンナを見て、セシリア達はまたライバルが増えたと、確信した。

「そうだ。箒。」
「何だ?」
「弁当ありがとな。凄く、美味かった。」
「そ、そうか。また、体が弱っていそうなら何か作ってやろう。」
 箒が嬉しそうに言うのを見ると、一夏は笑顔になって食堂を出る。

「書類は揃っているな。いい機会だ。1日ゆっくりと骨休みをしてこい。と言っても、今日は社の会食か。健康にいい食材をたっぷり使った、高級中華。力も蓄えてこい。」
「はい。」
 さてと、骨休みといけますかね?
 そうはならない気が、するけどな…。
 あれも完成したから、いざ何かあっても大丈夫だろう。
 それに、皆が気を使ってくれるのは嬉しいけど、ちょっと辛いしな…。

後書き
またまた転入生です。
しかも、イスラエル代表候補にして諜報機関の人間。
さらに、イスラエルとドイツは外交面では微妙な関係にあるので、人間関係に不安が無いわけでもありません。
建国の父と言われるベングリオンもそうですけど、ネタニヤフ首相とかどうも強硬な発言と姿勢がイスラエルの特徴の様になっている感じですから。
そして、そのイスラエルが絶対に戦争に負ける訳には行かないので総力を挙げて開発した第3世代IS。
イスラエル製のISは原作で福音の設定を見た時から、出したいと考えていたので出してみました。












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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
荒唐無稽な俺TUEEEEEEではなく、納得できる一夏無双に好感が持てます。
どんどん高みに昇って行く一夏に反して、イチカレディースは十年一日の如く。
操縦の技量は上がっても、メンタルな面での粗暴さが目立って、心の成長が感じられないのが痛いなあ。

全員が全員、告白しないクセに束縛がひどく、ただの好意の押し付けになってしまい、結果的に理不尽な暴力を振るうDQNにしか見えないんだねえ。
他者や隠れた事情などを鑑みることができるようになれば、一皮も二皮もむけるんだろうけど。

あと、一夏の朴念仁ぶりは、もう異常としか言いようがないので、何か精神的な疾患なりトラウマなりがあるんでしょうね。
そろそろ、そのあたりの心理的要因でも明かしてほしいところでもあります。

さて、ストーリーの方は、一夏の決意がどんな形で現れるのか、楽しみです。
ulysses
2013/11/11 22:02
ulyssesさん。
コメントありがとうございます。

>荒唐無稽な俺TUEEEEEEではなく、納得でき
>る一夏無双に好感が持てます。
 理由が無い強さは、面白くないですからね。
 やっぱり、長年の修練の積み重ねが強さを
 作る。
 私は。そう思います
 継続は、力なりですよ。

>全員が全員、告白しないクセに束縛がひど
>く、ただの好意の押し付けになってしまい、
>結果的に理不尽な暴力を振るうDQNにしか
>見えないんだねえ。
 互いにけん制し合って緊張状態になってい
 ると、私は考えます。
 後は、女同士の友情というやつですかね?
 加えるとするなら、愛情表現という物をま
 だ理解できていないのでしょうね。
 だから、告白も愛情表現もうまくいかない。
 けど、一夏を他の女の子に取られるのは嫌
 だ。
 結果、一夏は地獄を見る。と、こんな感じ
 ですか。
 こんな様だから、千冬にとっては小娘なん
 でしょうね。
 千冬から結婚の許しをもらえるのは、何時
 になるやら…。

>あと、一夏の朴念仁ぶりは、もう異常とし
>か言いようがないので、何か精神的な疾患
>なりトラウマなりがあるんでしょうね。
>そろそろ、そのあたりの心理的要因でも明
>かしてほしいところでもあります。
 まあ、原作読んでても一遍死んでこいと、
 言いたくなりますからね。
 私の方は、さらに酷いですが。
 ちなみに答えの欠片は、あちこちに散りば
 めていますよ。
CIC担当
2013/11/14 18:44

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