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zoom RSS ヨルムンガンド二次創作 第27話 フィースト・オブ・ザ・ウィッチ Phase7

<<   作成日時 : 2013/09/25 22:54   >>

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『さて、どうするかが問題だ。一旦は、黙認した。アールの言葉を聞いて方針を変更したとはいえ、最初に止めなかった事は、事実…。』
 ヘックスがソフィを狙った件の事後処理について考えていたブックマンは、事態の推移から、ココの怒りは間違いなく自分に向けられると確信し、重い溜息をついた。
『おまけに、こんな連中とヘックスが絡んでいたのだから、お嬢さんの怒りの火に、油を注ぎこむ結果となる。』
 デスクには、ある組織の資料があった。
 CIAが、以前から全容解明に動いていた組織で、ヘックスは水面下で手を結んでいたのである。
『利用するだけ利用して、壊滅させるつもりだったのは疑いないが、さて、どうしたものか…。』
 やや苛立たしげに、指でデスクを叩くが、少ししてそれが止まる。
「それ、利用できるな。」

 夜、ソフィは夜の街を見ながら、黙ってワインを傾けていた。
『最後のは、間違いなく、僕と同じ道をたどっている…。何故ヘックスと一緒に…?手を組んだというのは、考えづらいけど、それが一番妥当か…。大方、後で潰すつもりだったかな?』
 考えながら、グラスにワインを注ぐと、ココが隣に来る。
「こらこら。そんな顔で酒を飲んでちゃいかん。」
「そんな顔で、飲んでますか?」
「飲んでるぜ。思いっきり。」
 バリーが、イペリコ豚の生ハムを持ってくる。
「最後が、ちょっとね…。古傷が疼く。そんな感じです…。」
 ソフィの一言で、ココは全てを理解した。

「寝たか…?」
「やっとね。今は、エリが傍にいる。要人警護のスペシャリストだからね。心配ない。」
 あえて呑ませて、眠らせることにしたココは、別室にレーム達を呼んでいた。

「もう、知ってると思うけど。今回、ヘックスは、ソフィを少年兵に仕立てた連中と手を結んでいた…。」
「何でだよ?あの女、偏執的なまでに、テロリストを殺しまくってたんだろう?」
 ルツが、納得できないという表情になる。
「使えるだけ使うと共に、内情を調査。後で、潰す気だったんだろうな。ソーを含めて、CIAも知らなかった。そう見るべきだ。有効だったが、手綱を握るのはきつかった手駒。それが、ヘックスだな。」
「そうだな。そう考えれば、話は分かりやすい。」
 アールの意見に、マオが賛同する。

「さてと。ソフィは俺たちのボス。このままって訳には行かないぜ?そっちに今後の行動方針はあるのか?ないなら、この件に関しては、俺達でも、独自に動く。」
 バリーが、ココにはっきり言う。
「こっちもさらに調査を進めるよう、本社に指示を出したよ。他にも、当たれそうなところは、全部当たる。アンテナの数と方向を増やして、あらゆる情報を収集・分析して、1日も早く全容を解明して、潰す。けど、今回の場合、気になる事がある。」
「CIAか…。」
 アーサーが、腕を組んで考える。
 ソフィの部隊随一の情報収集の専門家でもあるアーサーは、既に、独自に行動を開始していたが、CIAが何らかの形で関わってくる可能性を、考慮していた。
「そっちは、あると考えて備えたほうが賢明だな。」
「俺も同感だ。ブックマンにとって、今回の件が、痛手になるのは間違いない。下手をしたら、奴の首が飛ぶ。」
 ミロが自分の首を、掻っ切る様な仕草をする。

 自分の部下が、よりにもよってテロ組織とつるんでいたことが判明したら、CIAにとっても、その上のアメリカ大統領にとっても、収拾のつかないスキャンダルに発展し、組織の存続、次の選挙に計り知れないダメージを受ける。
 それを防ぐ為に、ブックマンに責任を押し付けて、首を飛ばす。
 そのシナリオは、ブックマンも十分に理解しているだろう。
 となれば、今回の件を利用して、ココ達と可能な限り良い関係を保ち、事が露見することを、防ぐ必要がある。
 しかし、その為には、相応の対価が必要になる。
 何を提示してくるか、ココはそれを考えていた。
『いずれにせよ。ちょっと、ソフィの方を何とかしないとね。口にはあまり出さないけど、ショックだったはず。どこかでリフレッシュさせないと…。それにしても、私が、こんな風になるなんてなあ…。』

「私、ソフィの傍にいる。皆は、これからどうすべきか、トージョとアーサーの意見を参考にしながら、対応を考えておいて。」
 ココは、ソフィの寝室に向かった。

「今は、ココさんが傍にいたほうがいい…。何だかんだ言っても、まだ15。どんなに修羅場を潜り抜けて来ていても、まだ子供だ。守ってやらないとな。」
 マオがドアを見ながら、言う。
「賛成だな。普通のガキなら泣き叫んでいるのに、ソフィは涙の一滴も流さない。あれはまずいぜ。絶対。」
 ルツが、天井を見上げる。
「で、対応だけど、ブックマンは、おそらくこっちにコンタクトを取ってくる。このままじゃ、身の破滅だからな。」
 トージョが、今後のブックマンの行動の予測する。
「正気か?下手をすれば、ココさんにぶっ殺されるぞ。」
「そうしないと、ブックマンがぶっ殺されるぜ。身内にな。」
 ウゴに、トージョが答える。
「それもあるが、ソーはお嬢を殺させたくなかった。利用する気だ。その辺りから、今の危機を打開するだろうさ。俺はボスニア紛争のあいつを良く知ってるが、しぶといぜ。何らかの交渉材料を、持ってくるだろうな。」
「その前に、俺のスナイプで、地獄へ堕ちるって可能性を入れておけよな。アール。」
 ルツの目が鋭くなる。
「お前の気持ちは、解るさ。俺だって、ソーの奴をハチの巣にしたくて仕方ないんだ。だが、そんなことしたって、ソフィの為になるか?ここは、奴が交渉を持ちかけてきたことを逆手にとって、あいつの過去に決着を付けさせるために利用する方が得策だ。奴にしても、ヘックスが組んだ連中を、放置しないだろう。」
「つまり、CIAの情報網を利用するのか?アール。」
 アーサーがアールに問う。
「望まなくても、ソーとしては、奴らの事を調べつくす必要がある。今の状況を打開する、唯一のカードだからな。」
「確かにな。」
「俺も、同意見だ。」
 トージョが手を挙げ、レーム達が頷くと、ルツも割り切れなかったが、納得するしかなかった。
「言っておくが、奴らのボスを殺るのは俺だ。お嬢の許可も貰ってるしな。それだけは、忘れるな。」
 それだけは、譲歩しない。
 反対する理由もなかったので、全員が了承した。
「それじゃあ、話の続きだが。」
 アーサーの言葉で、議論が再開する。

「で、例の件は?」
「はい。東欧までは、絞り込めました。現在、欧州の児童密売ルートを中心に、調査を進めています。」
「ユーロポールやICPOも、そのルートに関しては情報を欲しがっている。協力体制を構築して、スピードを速めよう。」
 ブックマンは、ソフィを少年兵に仕立て上げた組織の解明に、精力的に動いていた。
 アーサーたちの考えは、見事に的中していた。
 できる限り情報を収集してから、ココ達との関係を良い物にしておいて、現在のオペレーション・アンダーシャフトを成功させるのが、ブックマンの目論見である。
『こう見えても、諦め悪いからね。私。』
 いつも通り、大量のランチを平らげながら、今後の計画を練っていた。

 その頃、ココ達はモナコで休暇を取っていた。
 ソフィの、メンタルケアを兼ねての事である。
 あまり乗り気ではなかったが、自分に気を使ってくれていることはソフィも気づいていたので、礼を言って、モナコで心を休ませていた。

「綺麗ですね。地中海は。」
「そうでしょ。後で買い物行こうね。あ、カジノも行こうよ。ソフィ、昨日も、大勝ちしてたでしょ。今夜も勝てるよ。」
 ココは、ソフィを伴って、毎晩モナコのカジノに出かけていたが、ソフィは異常にギャンブル運が強く、毎晩大勝していた。
 無論、それだけでなく、人脈作りも兼ねてである。
 しかし、次の日の夜は、ココ達の姿は、モナコの港にあった。

「これはこれは、ブラック課長。その節はどうも。まさか、部下を差し向けてくるとは思いませんでした。」
「きつい、お嬢さんだな。その件は済まなかったね。部下の手綱をきちんと握れなかったために、不愉快な思いをさせた。」
 ココの強烈な皮肉に、ブックマンは素直に謝罪した。
「少し、勘違いをなさっていますね。謝罪すべきは、私ではないと思いますが。若年性認知症を、発症なさいましたか?早めに、専門医の診察を受けられることを、お勧めしますよ。」
「いや、これは失礼。ミスターアルムフェルト。ヘックスの件は済まなかった。厄介だが、役に立つ手駒だったのでキープしておいたが、監視が緩んで、とんだ迷惑をかけた。赦してもらえると、ありがたい。無論、タダでとは言わない。」
「具体的に言っていただけると助かります。ブラック課長。」
 ソフィの目は、笑っていなかった。
 古傷を抉られたようなものだから、当然である。

「ヘックスが一時的にとはいえ、偽りの同盟をしていた組織。その情報だよ。これでは、駄目かね?」
『CIAでも、調べていたのか…。』
 予想通りだったので、ソフィは別段驚きもしていなかった。

「ブラック課長。その件に関しては、HCLIでも調べています。民間と侮ると、後れを取りますよ。何より、私は武器商人。武器を売りながら、世界中を飛び回ります。様々な情報を、得る事が出来ます。当然、あなたの取引材料となる情報もね。」
「成程。それもそうか。だが、君たちはここで私を、殺せんだろう?まさか、CIAを敵に回すわけにも、いかん。私を殺した瞬間から、合衆国にとって、有害な存在になる。そう、思わないかね?」
 ココが自分の情報収集能力をアピールするが、ブックマンは笑みすら浮かべて、CIAの強大さを強調する。

「そいつは、楽観視しすぎだぜ。ソー。」
 アールが、近くの物陰から姿を現す。
「ほう?それは、どういうことかな?」
「CIA。いや、今の大統領にとっては、あんたは癌みたいなもんだ。このままだと、自分達にもその害が及ぶ。なら、どこかで死んでくれれば、そこで害が及ぶことはない。臓器だって、癌が広がれば、摘出することもある。今のあんたが、まさにそれだ。さらに言えば、あんたは確かに優秀だが、あんた以上の駒を、CIAが持っていないわけじゃない。つまり、あんたがここで死んだとしても、既に、向こうは幕引きのシナリオを用意している。あんたが、その程度を、理解していない筈がない。違うか?だからこそ、ここまで来たんだろう?その状況を、打開するために。」
 そう言って、アールはベレッタの銃口を、ブックマンに向ける。
「俺の前に姿を現せばどうなるか、解っていなかったのか?ソー。」
 アールの指は、既にトリガーに指を掛けていた。

「そこまでにしましょう。ブラック課長。先程の条件が真実であることを、証明できますか?」
 ソフィの言葉を聞いて、ブックマンはジャケットのポケットから、USBメモリーを取り出す。
「現在の調査状況だ。」
 ココは、それを受け取る。
「後程、中身を確認してから返答します。解っているとは思いますが、もし、この中身がゴミだったり、返答前にこの地を離れるようなことになれば、あなたは、棺桶に入って国に戻ります。」
「解っているさ。ではな。」
 自分の携帯の番号が知られていることぐらいは、既に理解している。
 ブックマンは、後は待つだけだった。

「中身は、本物だな。欧州の児童売買と関連しての、詳細な調査報告がびっしり入っている。」
 USBメモリーの中を確認したトージョが、太鼓判を押す。
「取引成立だね。ま、精々、利用させてもらおうか。」
「それでいいと、思いますよ。」
 そう言って、ソフィはバーに向かった。
「1人酒は寂しいだろ?俺も付き合うぜ。」
 アールが付き添い、護衛でミロとフェリが付く。

『どうにか、首は繋がったか。際どかったがね。』
 ココからの連絡を受けたブックマンは、宿泊しているホテルで胸を撫で下ろしていた。
『とはいえ、きちんと情報収集しないと、何時殺されても、おかしくないか。まあ、いい。あの、お嬢さんと楽しく踊れる対価だと思えばね。』
 海兵隊を除隊し、諜報の世界に入ったブックマンだが、諜報の世界ならではのスリルを好んでおり、今までにないそれを、体中で感じていた。

後書き
ヘックスとの戦いに勝利しても、この事件は決着しません。
直属の上司である、ブックマンの動向。
これを考慮する必要が、あります。
そのブックマンは、部下のヘックスがよりにもよってテロ組織と水面下で組んでいた事で、窮地に。
状況を打開するために、収集した情報をチップに一世一代のギャンブルに出ます。
場所は、世界中のセレブが集まりカジノが賑わう欧州随一の保養地モナコ。
どうにか、ブックマンは勝つことが出来ましたが、これからも大変です。
でも、それを楽しむあたり、ブックマンのブックマンたる所以ですかな。
モナコで心を休めていたソフィも、ブックマンを殺すより、過去に決着を着ける事を選択。
さあ、どうなるでしょうか。
原作ですと、この次の相手はあの人なわけですが…。





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