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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第58話 一夏の仕事始め

<<   作成日時 : 2013/07/13 23:52   >>

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 相変わらず、デカいな。
 初めて来たわけじゃないが、やっぱりそう思う。
 俺達、庶民とは違うわ。
 別に、貧乏という気はないけどさ。
 今日は、1月3日。
 仕事の関係で、冬菊の家に招かれている。

 俺は、今まで芝崎インダストリーの技術顧問だったわけだが、開発関係に相当に深く関わった結果。
 今年から、社外取締役に就任することが決定している。
 社内で出世して就任した取締役とは違い、IS学園の特記事項の関係で、俺はあくまで社外の人間なので、普通の取締役とは違う。
 ただ、俺みたいなのは会社法が改正された後でも、相当にレアケースだ。
 従来の会社法では、社外取締役は、業務を執行せずに経営が適正かどうかを監視して、経営の透明化を図る為に規定されていたが、IS学園の特記事項の関係で、在学中は、あらゆる国家、企業、団体に帰属しない。
 ただ、在学中に外注扱いのテストパイロットや、外部相談役に就任することを考慮して、各国の会社法の類が改正されている。
 で、その関係で、俺は、社外取締役に、就任することになった訳である。
 考えてみれば、経営関係にも随分関わってきたからなあ。
 しかも、深い部分まで。
 気が付いたら、企業経営まで理解しているし、経営学についても独学した。
 ただ、こうなった以上、卒業後の事も真剣に考えないとな。
 いくら社外の人間とはいえ、繋がりが深くなりすぎている。

「これは、織斑取締役。今年もいろいろお世話になるかと思いますが、よろしくお願いします。」
「明けまして、おめでとうございます。その際は、ご期待に添えられるよう、全力を尽くす所存です。」
 冬菊の親父さん。
 つまり、神無月グループの会長さんと、互いに新年の挨拶をする。
 国内の大企業にも、かなりの知り合いが増えた。
 いつの間にか、IS学園の一学生じゃなくなったな。
 やれやれ。

『ふむ。一段と風格が増してきたな。』
 冬菊の父は、一夏を見ながらそんな感想を持つ。
 一夏が、今年から、芝崎インダストリーの社外取締役に就任することは、去年の内に知っていた。
 元々は、技術関係の人間であったが、様々な開発業務に携わりながら企業経営を、現場の空気を感じながら体で覚え、おそらくは独学もしたのだろう。
 企業経営に携わることのできる、人材になっている。
 デザイナーの中には、企業を切り盛りできる人間がいるが、一夏ほどの人間は、ほとんど見たことがない。
 その意味では、一夏は非常に稀有で優秀な人材だし、卒業後に一夏をヘッドハンティングしようとしている経営者も、大勢いる。
『まあ、私もその1人ではあるが。娘の恋も実るし、しっかりとした跡取りもできて、我がグループは盤石になる。当人同士の気持ちが一番だが、冬菊には頑張って、彼の心を、射止めてもらいたいものだな。』

「皆様。明けましておめでとうございます。昨年は、我が神無月グループをお引き立ていただき、真にありがとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。今日は、新年を祝う、宴の席を用意いたしました。調理はわが娘、冬菊が取り仕切っております。」
 ずらりとならんだ、財界の大物達の中で、16歳の一夏は一際目立ち、注目もされる。
 その中でも、一夏は凛とした姿勢を保ったままでいた。
「皆様。明けましておめでとうございます。今日の祝いの席を取り仕切らせていただきました、神無月冬菊でございます。若輩の身ではありますが、精一杯おもてなしをさせていただきます。どうぞお楽しみください。」

 冬菊達の挨拶が始まると、女中さんたちによって、料理が運ばれてきて、屠蘇が注がれる。
 うん。美味い。
 さすがは、冬菊だな。
 接待で、和食の名店にもあちこち行ったけど、見事な腕前だ。

「織斑取締役。明けましておめでとうございます。昨年は、いろいろ世話になりましたな。さ、どうぞ。おひとつ。」
 取引先の企業の一つの社長が、屠蘇を注いでくる。
「こちらこそ。よろしくおねがいします。良い年でありたいものですね。幸い、兆候はあります。取引をしている中小企業に、明るい兆しが見えてきました。各種部品の生産で無理を言ってしまいましたが、雇用を増やす余力が出てきたので、それが理由でしょう。この流れが続けば、雇用情勢は良くなるでしょう。」
 俺は、屠蘇を一気に飲み干し、現在の状況を少し話す。
 俺が開発した製品は、精度の高い部品が多く必要になる。
 けど、全てを芝崎の工場で生産するのは、事実上不可能だ。
 そこで、高い技術力を持つ、日本の中小企業に依頼して、意見交換をしながら、さらに精度を高めた、良質な部品の生産を依頼していた。
 それが、雇用を生み出し、雇用情勢に、明るい兆しが見え始めたと。
 そんな所だ。
「我が社も、業績が回復し始めましてな。従業員の給与も、多少は上げ幅を大きくすることが出来ましたよ。そこでですな。去年、お話した例の件ですが…。」
 ああ。例の販売提携の話か。
「明日に、正式に返答させていただきます。悪い返答ではないでしょう。」
 向こうも、利益を上げたいだろうしな。
 というより、美味しい話が近くにあるから、それで甘い汁を啜りたいわけなんだが。
 まあ。販売網は広いから、こっちとしてもメリットはある。
 一つ注文を付けるとすれば、より広い範囲に利益を還元してもらいたいね。
 企業の社会的な義務。
 つまり、利益の社会への還元。
 雇用を増やす事なんかは、特にそうだ。
 企業は、株主だけを見ていればいいわけじゃない。
 従業員や、傘下の企業の事も考えないと、後で必ず痛い目に遭う。
 俺は、社外とはいえ取締役だが、同時に技術顧問。
 現場で、中小企業の人達や従業員と接する機会が、他の取締役よりずっと多い。
 それが原因かはわからないが、俺はそう思う。
 まあ、そこまで、口出しはできないけどな。
 他社の、考え方だから。

「いかがですかな?楽しんでいただけていれば、いいのですが。」
「これは、神無月会長。お招きありがとうございます。御嬢さんのお料理に舌鼓を打っていますよ。」
 俺の傍に、冬菊の親父さんが来る。
「それは良かった。娘が、たいそう張り切っておりましたからな。織斑取締役は、自身も料理の腕はかなりの物で、パティシエとしても独立できると、イギリス政府の高官から、太鼓判を押されるほどの方。蕎麦やおせちも、絶品とのお話でしたから不安でしたが、安心しました。」
 セシリアからだな。
 こんなに早く広まるとは、思わなかった。
 作る機会ないから、いいけど。
「御嬢さん。いいお嫁さんになれますね。後は、幸福にしてくれる人を見つけるだけ。でも、しっかりした方ですから、大丈夫でしょう。」
 世間一般だと、大富豪のお嬢様は世間知らずだと思われがちだけど、家の教育方針が影響しているのか、冬菊は凄くしっかりしている。
 人を見る目も、確かだ。
 ろくでなしを、見染める事も無いだろう。
「恐縮です。実は、あれはもう、既に見つけているようでしてな。今、必死にアプローチをしていますよ。では、他の方へのご挨拶があるので、これで。」
 へえ。そいつは知らなかった。
 ん?じゃあ、何で、湯殿山で俺の身の回りの世話をしてくれたんだ?
 凄まじい鈍感で気づいてもらえないから、気晴らしか?
 それとも、恋のライバルでもいるのか?
 いずれにしても、大変そうだな。
 頑張れよ。冬菊。

『織斑君。明けましておめでとうございます。お仕事、頑張っていますか?』
 各企業からの挨拶とおべっかを聞きながら、注がれる屠蘇を飲み、相手に注ぎ返していた一夏の元に、真耶からのコアネットワークの通信が来た。
 無論、何重にもプロテクトが掛けられている。
『屠蘇はともかく、おべっかはお腹いっぱいですね。状況はどうですか?』
『今の所、順調です。亡国企業の構成員も、確認されていません。予定通り、明日夕刻1600に到着ですね。』
 多くの欺瞞情報をばらまき、それに気取られている間に、日本に向かえるように決定したフライトプランが順調に消化されていることを確認して、一夏はほっとする。
『まずは、一安心ですね。後は、明日迎えに行ってIS学園に入れば、こちらの勝ち。ただ、その時にも念の為、欺瞞工作をしておきたいですね。』
 最後まで、念を入れておきたい。
 一夏は、そう考えていた。
『じゃあ、こんなアイデアはどうですか?』
 真耶が、ある提案をする。
『成程。目くらましにはちょうどいいですね。それを使って、向こうの襲撃計画を知る事も、できるかもしれないですし。それで行きましょう。』
 真耶の提案を、一夏は採用することを決定した。

 よし。最後の仕込みもOKだな。
 IS学園に入っても、襲撃する可能性はゼロじゃないが、それに対する備えは堅固にしているから、大丈夫だろう。
 セシリア達は寮にいるから、いざとなったら協力してもらえる。
 俺1人でも、10体や20体、ガラクタにするのは大した手間じゃないけど、あまり1人でやり過ぎるのは、良くないしな。
 通信の最後で、瑞鶴の専任は学園に到着したそうだから。あと3人。
 亡国企業には、絶対に手は出させないぜ。
 鍛錬と、日々の改修の成果を出して、叩き潰してやる。

「織斑様。大変申し訳ありませんが、茶室に起こしいただけませんでしょうか?旦那様からのお願いでございます。」
 うん?会長からの。
 なら。聞かないわけにもいかないな。
 俺は中座して、茶室に向かった。

 あれ?冬菊。
 どういうことだ?
「申し訳ございません。私が父に我儘を言って、お越しいただいたのです。その、贈り物のお礼も言いたかったですし…。」
 ああ、それか。
 着物のお礼に、和服用と洋服用の小物をプレゼントした。
 気に入ってもらえたか。
 よかった、よかった。
 それにしても、風邪か?
 頬は紅く染まり、瞳は潤んでいる。
「あ。申し訳ありません。お茶を点てさせていただきます。茶人の号をお持ちの一夏さんには、まるで及びませんが。」
 茶器を清めて、暖め終わった後、茶を点て始める。
 表千家か。
 千利休を祖とする、千家流の本家。
 その思想が冬菊の性格とも合っているのか、お点前の姿はとても綺麗だ。
「どうぞ。」
「お点前いただきます。」
 もう、何年もやってきてるんだな。
 茶の味が、それを物語っている。
 とても優しく、自己主張し過ぎない慎み深さが感じられる。
 用意された和菓子も、冬菊が指定したのかな?
 お茶とよく合う。

「結構な。お点前で。」
「お粗末さまでした。」
 さて、こちらもお点前を披露しないとな。
 冬菊の見事なお点前に対して、敬意を表したい。
 俺が習った遠州流は、侘・寂の中に、自然な雅やかさを取り入れた流派だ。
 意識せず、自然に呼吸をするようにその思想を体現して、お点前をする。

『素敵…。』
 肩ひじを張ることなく、日常生活の中の動作の様だが、雅やかさや清々しさを感じさせる、一夏が茶を点てる姿に、冬菊は魅了される。
 嘗て、一夏が、茶人の号と師範の免状を授かった時も、当時の茶道の師も同じ印象を抱いた。
 小学生の頃習い始めた時は、堅苦しく感じていた一夏だが、時間が経つと共に、茶道の空気にすっかりなじみ、好むようになっていた。
 その時から、急速に成長し、茶人清夏が生まれたと言える。
「どうぞ。」
 差し出す動作も、殊更飾ったところはない。
 それなのに、冬菊はさらに魅了される。
「お点前。いただきます。」
 茶碗を手に取り、一口茶を口にする。
『美味しい。それにとても優しくて、清々しい、お味。』
 そう感じて、飲み干した冬菊は茶碗を置く。
「結構なお点前で。」
「お粗末さまでした。」
 そう言って浮かべた優しい一夏の笑顔に、冬菊の胸は早鐘の様に鳴る。

 満足してもらえたのはいいけど、この部屋そんなに暑いか?
 顔がさらに赤くなったし、目も潤んでるぞ。
 本格的に、風邪ひいたのか?
 と、あんまり長居している暇はないな。
 今日中に準備しておいて、明日に備えないと。
 連中が来る確率は、高い。
 今回来る専用機持ちのスキルは、入学時のセシリア達を下回る。
 戦いに出すのは、論外だから。当然出さない。
 幸い、こっちの布陣は強力だ。
 元ブリュンヒルデの、千冬姉とブッフバルト先生。
 陽炎を専用機とする先生たちも、国家代表だったり、軍の特殊部隊の一員だったりした精鋭。
 そして、頼りになる仲間たち。
 ガラクタなんかに、負けはしないさ。

「あの、一夏さん。」
「うん?何だ。」
 そう言えば、何で茶室に呼ばれたんだろう?
 どうも、女の子の行動というのは解らない。
「今日は、お泊りになりませんか?部屋は用意させていますし。両親も、ゆっくり話がしないと。」
 ああ。そういう事か。
 ああいう席じゃ、言いにくいな。
 でも、明日の事があるから、家に戻りたいしな。
 千冬姉に、晩飯を作らないといけないし。
「誘ってくれるのは嬉しいけど、ちょっと用事があるから、家に帰っていたいんだ。また、今度な。」
 とにかく、専用機持ち達を学園に迎え入れないと、明日は、枕を高くして眠れない。
 その為にも、準備は万端にしておきたいしな。
「じゃあ。そろそろ失礼するな。その前に、ご両親に挨拶しないとな。」
 酔いも冷めたし、1人で帰るか。
 財布は一応持ってきてるし、携帯の電子マネーもチャージしてるな。
 さて、行くか。
 立ち上がろうとすると、冬菊が俺の手を握る。
「お願いです。帰らないで…。私は、セシリアさん達とは違うんですよ…。」
 はっ?
 意味わかんねえぞ。
 そりゃ、違うよ。
 人間は、皆違う。
 だから、世の中面白いんじゃないか。
「セシリアさん達は、同じ学校で、同じ寮で、同じ屋根の下で暮らしています。でも、私は離れ離れ。お会いできる機会も、そんなにない。電話でお話したり、メールのやり取りをするくらいが、精一杯…。だから、せめて…。」
 震えてる…。
 必死に、離すまいとしてる…。
 そりゃ、確かにセシリア達は同じ寮で暮らしてるけど、鍛錬以外は、俺は部屋で仕事と研究だから、思ってるようなもんじゃないぞ?
 でも、今言っても、納得してくれないよなあ…。
 どうしたもんかね…。
 そうしていると、携帯のバイブが着信を教える。
 誰だよ?
 千冬姉?

「もしもし。一夏か?」
「そうだけど。どうしたんだ?俺、これから帰るけど。」
 千冬姉からの電話が来たと解ったら、冬菊の手の力が弱くなった。
「ああ。その事だがな。そっちに泊まると、ご両親から連絡があった。偶にはいいだろう。」
 は?
 何だ。それ。
「明日は、大変な一日になる。その前に、骨休みをしておけ。そっちのお嬢さんの、たってのお願いでもあるそうだしな。滅多に会えんのだから、願い位聞いてやれ。私は山田先生と、最終確認をしている。明日の朝に帰ってくれば、問題はないだろう。それではな。」
 そう言って、千冬姉は電話を切った。
 どういうことだ?
 千冬姉は、冬菊の味方か?
 解らん。
 マジに訳が解らん。
 まあ、最悪、風呂でも明日の最終確認はできるけど。

「失礼いたします。御夕食の支度が整いました。織斑様もご一緒にと、旦那様が。」
「今、行きます。さあ、一夏さん。」
 何か、凄え嬉しそうだな。

「いいんですか?オルコットさん達が知ったら、後で、大変なことになりますよ。」
「構わん。おせちに雑煮、他にも家事は、あいつに任せっきりだ。偶には開放してやりたいし、向こうも一夏を好いているというのなら、チャンスはあるべきだろう。」
 既に、明日の最終確認を終えていた千冬と真耶は、行きつけのバーで飲んでいた。
「で、お姉さんとしては、どうですか?先方は、本格的に結婚を考えているんですよね?将来、冬菊さんは、義理の妹さんになるかもしれないんですよ。」
「そこなんだがな…。」
 複雑な表情になり、千冬は黒ビールを流し込む。
 それを見て、真耶は首を傾げる。
「どうも。私自身、どうしていいか解らん。」
「はい?」
 真耶は千冬の言っている意味が、理解できなかった。
「いや。別に、一夏に、結婚するなと言うつもりはない。私以上で、一夏を任せても安心だと思える相手なら、私はそれでいいと思っている。一夏にとってもいい事だし。あ、勿論、相思相愛が大前提だ。無理矢理既成事実を作ろうとする馬鹿女に、一夏はやらん。」
「はあ…。それは当たり前ですけど。じゃあ、今、一夏君が誰か特定の人とお付き合いするのは、反対なんですか?」
「私は、そんなに心の狭い女じゃない。ただ、何だ。変な女にひっかかっては、一大事だ。あいつの人生に悪影響が出る。それを考えると、まだ早いような気も、しなくはない。」
『結局、どっちなんですか?織斑先生。』
 いつもの千冬らしくない、曖昧で矛盾だらけの言動に、真耶は混乱する。

 お代わりを頼んだ黒ビールを、一気に流し込んだ千冬は、再び注がれた黒ビールを見ながら、口を開く。

「あれは、その…。一部の面で、世間知らずだ…。しかも、姉の私の目から見ても、女は魅かれる。それに、今や世界的企業の社外取締役。社会的な地位もある。それ目当ての女が来ないとは、限らんだろう?」
「その可能性は、否定しませんが。あの一夏君ですよ?ああ見えて、人を見る目は、確かですから。そういった女性は、初めから範疇外ですね。気にしすぎですよ。織斑先生。」
 実際に、一夏は人を見る目は確かで、且つ厳しい。
 セシリアの時も、女尊男卑の権化の時は厳しい態度を取ったし、政治家と政治屋の区別を、きちんとつけることもできる。
 よもや、地位や名誉目当ての女性に、一夏が魅かれるとは、考えられない。
「だが、既成事実を作られたらどうする?ボーデヴィッヒより過激な事をする奴なら、世の中、掃いて捨てるほどいるのだぞ。それを考えると、やはり付き合うのは早いのだろうか…?だが、今のままで良い訳もない…。その為にも、やはりしっかりした相手を見つけてほしいが、その過程が気になってな…。」
 千冬が、深い溜息をつく。
『理屈じゃないわね。これは…。』
 カクテルを飲みながら、真耶はそう結論付けた。
 千冬としては、一夏に幸せになって欲しい。
 その為には、きちんとした女性と結ばれてほしい。
 しかし、その過程で何があるか解らない。
 だから、今の時期、一夏が女性と付き合う事がいいのかどうか、結論が出せないままでいる。
『これは、なかなか厄介ね。一夏君も、織斑先生も。』
 一夏の唐変木は直す必要があるが、千冬の過保護もそれはそれで問題である。
 だが、双方ともにやっかいな問題だと結論付けて、真耶は小さなため息をついた。
『私だったら、大丈夫だと思うんだけどなあ…。って、一夏君は生徒よ。そうよ。禁断の愛は、駄目だわ。でも、最近、さらに素敵になって、大人っぽくなって…。』
 様々な事を経験しながら成長する一夏は、それに伴い魅力を増し、専用機持ち以外の生徒も、ますます夢中になっている。
 セシリア達のバトルも、激しさを増す一方だ。
 だが、それを見ながら、真耶は一夏を1人の男性として意識している自分がいる事を、はっきりと意識していた。

「ほう…。真耶。もしや、卒業後に一夏を落とす気か?そのいやらしい体と、子供っぽい顔のギャップで迫るのか?」
 千冬が黒ビールを飲み干して、真耶をじと目で見る。
「えっ?何で、そうなるんですか…?」
「顔が赤い。まして、お前が今まで飲んだ酒量を考えると、そうはならん。そうか。そういう事か。」
「そ、それは…。確かに、一夏君は素敵ですけど、やはり私の生徒ですし。卒業しても、それは変わらないですし。やはり、その…。」
 もじもじしながら、真耶は顔を染める。
「副担任でいる内は、私以上とは認めん。」
「それは、関係ないんじゃ…。」
 そんな2人のやり取りを、バーのマスターは小さく微笑みながら見ていた。

後書き
プライベートで色々ありまして、久方ぶりの更新です。
一夏は、さらに重要なポストについて、新年早々仕事です。
しかし、待っていたのは仕事だけではなく、なんとか、一夏との距離を縮めようとする冬菊。
全寮制のIS学園にいて、いつも鍛錬、研究、仕事と多忙で直接会う機会が無い中で、冬菊も必死です。
無論、一夏は気づきません。
どうにかならんもんですかね?この唐変木。
そんな一夏を、複雑な気持ちで見ているのが千冬です。
大切に守ってきた一夏には、幸せになって欲しいけれど、ろくな女性と付き合う事になりはしないかと、心配で堪りません。
一夏の周りの人間模様を、意識して書いてみました。






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