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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第54話 先を行く者達

<<   作成日時 : 2013/06/08 23:57   >>

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「やっほー、いっくん。元気にしてたかな?」
「まあ、元気ですけど。」
 何しに来たんだ?この人。
 それにしても、特殊作戦群の演習施設に来るなんて、何考えてるんだか。
 後で問題になるとか、考えてるわけないか。束さんだし。
 頼むから、騒動だけは起こさないでください。

「で、何の用ですか?何か、あったんですか。」
「ちょっと、白式の様子を見に来たのと、あと、紹介したい子がいるんだ。私の助手兼新型ISの専任だよ。」
 助手兼、束さんの新型ISの専任か…。
 嫌な予感が、するんだよな…。
 誰かに言われて開発したわけじゃないから、相当に趣味に走りまくってそうだな。
 頼みますから、本当に問題は起こさないでくださいね。束さん。

「そんじゃ、まず白式から。うりゃ。」
 展開した白式にコードを接続して、束さんは、白式のデータとフラグメントマップに、目を通し始める。
「また、凄い事になったね。いつかは、こういう事もあるかと思ったけど、予想より、ずっと早いね。プラント装甲は、展開装甲と比べて、即応性のレベルが段違い。第四形態移行を経て、物凄く基本スペックも高い。けど、こんなとんでもないじゃじゃ馬を扱えるのは、ちーちゃんにいっくん、それに過去のブリュンヒルデだね。ヴァルキリークラスじゃ、改修後の白式も使い余すね〜。技量だけじゃなく、想像力も相当に要求される。完全に性能を引き出せるのは、改修者のいっくんとちーちゃんだけ。他のパイロットじゃ無理か。いっくんはISの設計者としても、私に次ぐクラス。ちーちゃんは第1世代実用化からIS開発に携わっているし。結論から言うと、そんな感じかな。それに他国じゃこれは理解不能。私は当然、解るけど。」
 俺と千冬姉しか、性能を引き出せない!?
 何だ?そりゃ…。
 いつから、そんな怪物作れるようになったんだ?俺は。
 そんな覚え、ないぞ。
「さすがに、努力家のいっくんだね〜。昔から、勉強も剣術も武術も、一切手を抜かないで、頑張ってたもんね〜。」
 いい子、いい子と、束さんは、頭を撫でる。
 あの…、皆さんの前なんで、やめて下さい。
 恥ずかしいです…。

「けど、また強烈なフラグメントマップだね。各部が進化のステップをシミュレートして、最適なフラグメントマップを作って、最終的に形態移行をしてる。でも、細部は複雑すぎて、私でも理解不能だよ。いっくんは、それなりに理解してるだろうけど、他国の科学者じゃ、概要も解んないだろうね〜。これは、惑星レベルの生物の進化のステップだもん。」
 束さんでも、駄目なんですか?
 じゃあ、自分で調べるしかないか…。
 他に頼れる人、いないしな…。
 他にも勉強する分野、広げるか…。
 でないと、いざという時、物凄く困る。
 他国の力を借りると、物凄く危ないからな。
 装備の開発も、結局は自分でやらないと。
 芝崎はいいのを作ってるから、そっちが結構使えるのが救いか。
 でも、総合的には、やっぱり救いのない状況だよなあ…。

「束様…。」
 うん?女の子の声…。
「一尉。新しく入隊した、ISのパイロットでもいるんですか?しかも、束さんと知り合いの。」
 だとしたら、相当に意外だな。
「いないわよ。」
 へ?
 じゃあ、今の声って。

「あ。ちょうどいいか。白式に関しては、終わったし。おいで、くーちゃん。」
「はい。束様。」
 13、4歳位だろうか。
 純白のブラウスに、青のスカート。
 雪を連想させる、長くて綺麗な銀色の髪。
 まさに、美少女って、感じだよな。
 ただ、目は固く閉じられていた。
「この子が、束さんの最新IS黒鍵の専任搭乗者にして、助手のくーちゃんだよ。くーちゃん。こっちが、いつも話していた、いっくんだよ。」
 束さんが俺を紹介すると、目を開いていないにもかかわらず、まっすぐに俺を見る。
「クロエ・クロニクルと申します。束様から、いつもお話はお聞きしております。」
 スカートを軽く持ち上げて、良家の子女のように上品に、俺に挨拶してきた。
 どこかのお嬢さんでも、預かってるのか?
 クロエって、フランス風の女の子の名前だよな。
 でも、クロニクルは英語で年代記を意味する。
 フランス系の移民?
 それとも、フランスへの移民?
 いずれにしても、立ち居振る舞いに雰囲気からすると、名家の出だよな。
 高い確率で。
 そんな事を考えていると、くーちゃんことクロエさんは、俺に右手を差し出してくる。
 しかも、手の甲を上にして。
 うん?なんか、この子も顔が赤いぞ。
 どうも、俺の周囲の女の子は、風邪気味の子が多いな。
 駄目だぜ。健康には気を使わないと。
 それは、あとで言っておくとして。
 やっぱり、あれだよな…。
 皆が見ている前だとあれだし、ラウラが怖いが…。
「織斑一夏だ。よろしく。」
 俺は、クロエさんの手の甲にキスをする。
 ううっ…。皆の視線が…。
それに、ラウラが怖い…。
拗ねた…。
30分で済むんだろうか…。
 軽く1時間は、かかる気がする…。

「各員、ターゲットを破壊しつつ、目標地点へと向かえ。相手は、最新型のターゲットで、スペックは全ての面で最高値に設定している。甘く見ると、大火傷をするぞ。演習開始!」
 目標地点に向かう途中で、ターゲットが出てくる。
 まずは、道を開かないとな。
 発射された流星は、ターゲットが発射したミサイルを破壊しつつ、回避の暇も与えずに、撃破していく。
 俺は、右手に縁覚。
 左手に唯識を持ち、式神と銀蘭のビットを展開しながら、ターゲットを掃討していく。
 どうもなあ…。
 レベルが低い。
 これじゃあ、単に燃えないごみを増やしているだけだ。
 戦術パターンは豊富だけど、今までの実戦で、俺も、その面はだいぶ蓄積してるから、先が読めてすぐに手を打てる。
 どうすっかな…。

「ふ〜ん。いっくん、また伸びたね。」
 演習に参加している一夏の分析をしていた束は、以前に比べて一段とレベルが高くなっているのを確認していた。
「最新型でも駄目か。ま、だから、くーちゃんを連れてきたんだけどね。じゃ、お願い。見ればわかるけど、物凄〜く強いから、そのつもりでね。」
「承知しております。」
 そう言うと、クロエの姿は消える。

『ここまで、成長していたの…。』
 自衛隊の最新鋭第3世代IS、震電を駆って演習に参加していた春香は、一夏の成長ぶりに、驚愕していた。
 元々、剣術と武術に秀でて、学校の成績も優秀で努力家だった一夏は、春香の教えをどんどん吸収していき、個人戦闘から、他の操縦者と連携しての戦闘も高いレベルで可能になるまでに、通常の半分以下の時間しか必要としなかった、非常に優秀な教え子であったが、入学してからの8か月の間での成長は、春香の予想を大きく上回っていた。
『第5世代にして、第四形態にまで移行した、一夏の専用機白式。ハイスペックは当然としても、相当に扱いづらいわね。私でも、まず無理。篠ノ之博士の言う事も頷けるわ。それに、今の白式は、一夏が改修した物。とすれば、IS開発の世界では、紛れもなく、篠ノ之博士以外に、右に出る者のない存在。とんでもない事になったわね。』
 一夏の帰属は、仮に決めておくという形で、IS委員会と国連安全保障理事会。
 そうでもしないと、国際関係がおかしくなる。
 既に、それほどの存在になっている事は、知っていた。
 だが、実際目にすると、その理由が嫌になる程頷ける。
 一夏が帰属した国家は、ISに限らず、軍事技術は飛躍的に発展する。
 軍事大国となり、国際社会に対する影響力も増す。
 故に、どの国も一夏を欲しがっている。
 どれだけ、微妙な立場にあるか、納得していた。

 なんだ?いきなり、深い霧が立ち込める。
 先には、何かが見える。
この反応。
 ISか?
 僅かだけど、ハイパーセンサーに影響が無くもない。
 俺は、ハイパーセンサーに頼りきりじゃないから、なんてことないけど気にはなるな。
 まてよ…。
 そういう事か…。

「さすがは白式。ハイパーセンサーが僅かに影響を受ける程度。他のISではこうはいきませんね。」
 やっぱ、そういう事か。
 かなり特殊で、高性能な電子戦兵装だな。
 アメリカに行く前に、ハイパーセンサーをかなり改修して、第四形態になってから、さらに性能がアップしたから、白式には僅かに影響がある程度だが、他のISなら、どうなっているか。
 けど、それだけじゃないだろうな。
 束さんが、自発的に作ったんだ。
 趣味に走っていても、相当に強力なISだろう。

 っと。
 衝撃砲?
 違う。
 大気中の元素を凝縮して、打ち出したってとこか。
 同じ打ち出すにしても、ハイパーセンサーがとらえた情報が違う。
 砲身から打ち出されたというより、スリングに似たデータだった。
 大気中の元素を、自在に操る事が出来ると見るべきだな。
 防御にも、転用可能だろう。
 元素を集めて、シールドも作れるだろうしな。
 この霧も、それがタネか。
なかなかどうして、強烈なISを作ってくれたもんだ。
 攻防共に、即座に対処ができる。
 白式とは、別のアプローチの第5世代か。
 しかも、通信から攻撃までの時間が従来のISでは、考えられない程短い。
 ハイパーセンサーの情報から、すぐに理解できた。
 即時対応機能を、高める要素の一つだろう。
 操縦者の操作に対するレスポンスが、優れていればいるほど、ISの行動は速くなる。
 これは、普通にやりあっても面倒だな。
 白式のOSも、操作に対するレスポンスタイムは、相当に短いが、相手のIS。
 十中八九クロエさんが搭乗者だろう。
 互角か向こうが勝る。
 けど、それだけじゃ、俺には勝てないぜ。
 おっと、来た、来た。
 今度は、圧縮した大気の刃に、それを応用した竜巻か。
 攻撃までの時間が、早いな。
 でも、ポイントさえ読めれば、回避は難しくもなんともないぜ。
 クロエさん。

『霧海も凍霞も、攻撃では通用しそうにない…。束様が言われるとおりね。』
 ハッキング、ECM、ECCM等の機能を持つ、特殊電子兵装「霧海」で、ハイパーセンサーの能力を低下させて、大気の状態を操作して相手を攻撃する、大気操作兵装「凍霞」で主導権を握ろうとしたが、霧海の能力でも、白式のハイパーセンサーはほとんど影響を受けない。
 従来のISより、搭乗者の操作に対するレスポンスタイムが短いにも関わらず、一夏と白式にとって、脅威にもなっていないようにクロエは思えた。
『束様が開発した、最新鋭の黒鍵の性能が、脅威にならないなんて…。』
 クロエは、束の話を思い出す。

「黒鍵は、間違いなく私が作った、世界最新鋭のISだけど、それだけで勝てるほど、いっくんは甘い相手じゃないよ。私とアプローチは違うけど、向こうも第5世代IS。しかも、いっくんは、IS関係では、私に次ぐ天才。操縦者としてのレベルも、相当に高いからね。注意しておくように。」
 習志野に向かう途中で、束はクロエにそう言い聞かせていた。
 ISの生みの親である束の最新鋭ISを持ってしても、対抗できない相手は、初代ブリュンヒルデの千冬くらいだと思っていたが、一夏もまたそうだとはっきり認識した。
 そして、一夏の攻撃が始まる。
「そう簡単に…。」
 しかし、一夏の攻撃は、クロエの回避行動を、知っているかのようだった。
 回避しても、被弾しダメージを受ける。

 う〜ん。まだ、機体を、使い切れてないな。
 技量は、中々なんだけどな。
 気配も消していない。
 そこまでは、スキルないかな。
 こりゃ、武術に関しては素人か。
 もうちょっと、そっち頑張らないとな。
 クロエさん。

『こうなったら、ワンオフアビリティーを使って。』
 黒鍵の最後の切り札。
 自らの姿を周囲と同一の色の色素で形成された極めて薄いヴェールで覆い、完全な不可視状態になる、ステルスシステム「花霞」。
 当然、レーダー、熱探知も不可能。
 しかも、周囲の景色が変われば、ヴェールも書き換えられる。
 極めて強力な、ステルスシステムである。
「これなら…。」

 ハイパーセンサーでも、ほとんど補足できないか。
 ワンオフアビリティーだな。
 相当に強力な、ステルスシステムか。
 でも、それで俺を欺けると思ったら、甘いぜ。
 ほい。そこ。

 式神が、黒鍵を捕捉。
 黒鍵のシールドエネルギーが、減り続けていく。
「そんな…。どうして…。」
 杖状の複合射撃兵装「天沼矛」で、クロエは式神を落とそうとするが、かすりもしない。
 そこに、鳳仙花が襲い掛かる。
「どうして…。花霞を展開した黒鍵を捕捉できるISが、この世に存在するとでも…。」
 呆然としながらも、クロエは必死に応戦するが、イグニッション・ブーストで急接近した一夏が、零落白夜を発動した末那識で止めを刺す。

「いっくん。本当に強くなったよね。スペックでは、決して負けてない筈なんだけど…。」
 期せずして、第5世代ISとなった白式のスペックを確かめる目的で、束はクロエを連れてきた。
 結果は、一夏の完全勝利。
 技量に、天と地ほどの差がある。
 一夏の成長ぶりを、束は改めて認識した。

 さすがに、束さんお手製IS。
 あのワンオフ、エグすぎないか。
 発動されたら、並みのパイロットじゃ、手も足も出ないぞ。
 燃費もいいし。
 やれやれだ。
 でも、クロエさんには、もうちょっと努力してほしいな。
 素質は、あるんだからさ。

「私の、完敗です…。」
 クロエさんが、俺の所に来て悔しそうに言う。
 多分、勝てると、思ってたんだろうな。
 確かに、黒鍵の性能を考えれば、そう考えるのが普通だからな。
「素質はあるし、技量も中々だけどな。もっと、考えて、戦わないとな。例えば、人間に何で五感があるのか、もっと考えて戦ったほうがいい。それができないと、壁に当たった時に大変だぞ。」
「壁…、ですか…?」
「ああ。じゃあ、俺は白式の整備があるから。言った事、参考にしてくれると嬉しいよ。」
 俺は、整備区画に向かう。

 小刻みに改修している成果は出てるけど、日に日にあちこち進化してるな。
 事と次第によれば、第五形態移行か?
 これ以上、問題は、冗談抜きで勘弁だ。
 そんな事を考えていると、束さんが来る。

「さすがは、いっくん。花霞を使っても駄目か。」
 ああ。さっきの極悪ステルスですか。
 名前は、綺麗なのになあ。
「ところで、いっくん。どうやって、黒鍵に攻撃を命中させたのかな?」
「どんな強力なステルスでも、気配は消えませんからね。そういう事です。」
 人間は、五感を持っている。
 それを、最大限に使うのが、屈強の武術家や剣術家だ。
 でも、それだけじゃない、五感の上にあるもう一つの感覚。
 気配を感じる為の、6番目の感覚。
 それを基に、攻撃ができるように、俺は各種兵装をマニュアルで使った。
 気配を基に戦うのは、前からできたしな。
「さすがに、ちーちゃんの弟だね。くーちゃんは、そこまでいってないからね〜。スペックなら、黒鍵は、白式には決して負けないけどね。」
「でしょうね。アプローチは違いますが、第5世代IS。そして、Biological synchronization system.生体同期システム。名づけるとしたら、こんな感じですか?黒鍵に搭載されているインターフェース。それを搭載した、世界初のIS。やっぱり俺の師匠ですね。」
 整備をしながら、俺は束さんと話す。
 まさか、こんなのを考えるとは、思わなかったな。
 パイロットの神経伝達を利用したインターフェースは、俺も理論を構築中だが、完全に上を行かれた。
 当然と言えば当然だが。
「いっくんなら、解っちゃうか。」
「でないと、あの迅速な行動の説明が、つきませんよ。結論に達したのは、戦闘中ですけど。」
「それだけでも、十分凄いよ。本当に、いっくんは成長してるよね。小さい時から努力家だったけど、さらに磨きがかかったかな?」
 よし。整備終わり。
「人間努力を忘れたら、そこで終わりですから。それに、千冬姉なら、俺より、もっと早く勝負をつけてましたよ。まだまだ、努力が足りないですよ。俺は。」
 俺の最大の目標である、千冬姉。
 俺もそれなりに成長したけど、千冬姉に比べたらまだまだだ。
 明日からは、湯殿山。
 もっと、自分を鍛えないとな。
 来年からは、忙しいから。
「そう?いっくんもその気になれば、もっと早く終わらせてたでしょ?束さんの目は、ごまかせないよ。スペックは同クラスでも、いっくんとくーちゃんじゃ、天と地の程の差があるし。第一。ヴァルキリークラスのパイロットでも、もう、いっくんには勝てない。ちーちゃん達ブリュンヒルデクラスじゃないと、いっくんの訓練の相手は、不可能だね。」
 確かに、勝つだけなら、もっと早く勝てましたよ。
 でも、相手の能力を引き出させて、自分を鍛えるという目的もありましたしね。
 それにしても、チートな機体だったな。
 やれやれ。
「白式も、愛情込めてるね。一生懸命改修して、整備して。」
 そりゃ、俺の専用機ですからね。
 そして、共に大切な物を守り続けてきた、相棒。
 当然だ。
「束さんには、感謝してます。いろいろ技術や知識を叩き込んでくれて、白式を作ってくれて。」
 いつか言いたかった。
 今の俺があるのは、いろんな人が、様々な事を俺に教えてくれたからだしな。
 そして、その中には束さんも確かにいる。
「そう思うなら、もう、自分や白式を怖がらないでね。いっくんは、たとえ何があろうと、誰かを守る側の人間なんだから。それに、ちーちゃんも心配するよ。ちーちゃんにとって、世界はいっくんを中心に回っているんだからね。」
 大げさですよ。束さん。
 でも、千冬姉が、俺を本当に大切に思ってくれてるのは、よく解っている。
 両親に捨てられてからは、一心不乱に働いて、俺を養って守ってくれた。
 クリスマスで、少し恩返しが出来たけど、もっと千冬姉の為に何かしたい。
 心から、そう思う。
 亡国企業が俺を狙って、千冬姉がそれを阻む時は、俺も肩を並べて戦う。
 頑張らないとな。
 もっと。
 そう思いながら、プロテインドリンクとサプリメントを飲む。

「千冬さんという人は、本当に一夏さんを、大切に思っていらっしゃるんですね。」
 少し離れて、一夏と束の会話を聞いていたクロエは、自分の所に来た束にそう話しかけた。
「そうだよ〜。私にとっても、大切な存在。箒ちゃんと同じくらいにね。勿論、くーちゃんもだよ。」
 千冬と会った事はないが、クロエは、千冬が、如何に一夏を大切に思っているかが、解ったような気がしていた。
 ある事情で、クロエは天涯孤独の身の上である。
 その自分を拾ったのが、束だ。
 気まぐれかと思ったが、自分を大切に思い、何かと世話を焼き、暖かい食事と、柔らかい寝床。
 ごく当たり前だが、クロエが一生得られない物を、惜しみない愛情と共に与えたのは、赤の他人の束だった。
「さてと、これから、箒ちゃんの所にいくよ。くーちゃんの事を紹介したいし、紅椿の事もあるしね。」
 第二形態になった紅椿の状態の確認と、フルオーバーホール。
 そして、各部の改修と最適化。
 世界中から狙われている束が箒にしてやれることは、ごく限られている。
 それでも、最愛の妹である箒の為に出来ることはすべてやる。
 そう決めている。
『箒ちゃんは、頑張っている。例の手はうまく機能しているし、ちーちゃんやいっくんもいる。それでも、お姉ちゃんとして、出来ることは最大限するよ。箒ちゃん。』
 自分を嫌っている、最愛の妹。
 それでいい。
 今は、その状態である事が、箒にとってもベスト。
 奇妙極まる論理だが、それは事実であり、真実だった。

「そうだ。全て、手筈は整えておいた。」
「ありがとう。ちーちゃん。面倒掛けるね。」
 千冬は実家で、束と話していた。
「で、どうだった?一夏は。」
「強いね。本当に。さすがはちーちゃんの弟。ううん、私とちーちゃんの弟。あのお馬鹿さん達が何したって、歯が立つ相手じゃないよ。ハンデなしで互角以上に持ち込めるのって、ちーちゃんだけじゃない?前のモンド・グロッソのブリュンヒルデの人が、訓練の相手だけど、いっくん、白式の能力を最大限に発揮してないでしょ?」
「まあな。そうやって、一夏は自分を鍛えている。無論、ブッフバルト先生も気づいている。ハンデつきで、どうにか互角に持ち込めるとな。」
 どこか、誇らしさを感じながら、千冬は小さな笑みを浮かべていた。
「ちーちゃんが、目標だからね。ハンデつきで他のブリュンヒルデに勝てるようになるのが、いっくんが自分に課している課題だろうしね。私も、嬉しいよ。何せ、いっくん、白式を第5世代に改修できるまでになってたし。」
「鍛錬と仕事以外は、可能な限り研究だからな。」
「これで、箒ちゃんとハッピーエンドになってくれたら、私は本当に嬉しいよ。どうにかして、くっつかないかな?」
「あの唐変木の朴念仁が気づけば可能性もあるが、私でも方法は解らん。あれだけは、我が弟ながら、理解不能だな。」
「まあね。じゃ、そっちにいって、ぱぱっと要件済ませるから。あ、ちーちゃんも来てね。」
「解っているさ。」

 束との話を終えた千冬は、今も、必死に鍛錬を積んでいるだろう、一夏の事を考えていた。
「思ったより近いか…。私を超える日も、私の傍らから離れるのも…。」
 叶うのならば、ずっと傍らにいさせたい。
 それが、自分のエゴであると解っていても、千冬は考えてしまう。
 一夏にとっても、いい事とは言えないと理解していても。
「私と釣り合う男がいなければ、小姑になるのも悪くないかな…。それならば、大丈夫かもしれんな。」
 一夏が理由ではないが、千冬にとって、周囲の男は南瓜かジャガイモの類にしか、見えない。
 下手をすれば、生涯独身で、一夏が結婚しても同居しているかもしれない。
 そんな事を、千冬は考えた。
「それ以前に、いつになったら、気づくのやら。」
 一夏の唐変木を考えると、千冬は笑った。

後書き
習志野の訓練、2日目です。
原作の最新刊を読んだ時から、黒鍵の詳細な性能は興味津々でしたが、碌に明かされてないんですよね。
高度な電子戦兵装に、大気を使用した欺瞞兵装。
電子戦を得意とするISかと思ったら、生体同期なんていう、不明のカテゴリに含まれる始末。
こうなったら、想像力を絞りつくして、自分で考えてやれと思いまして、考えた次第です。
苦労しました…。
さて、想像以上に成長した一夏を確認した束は、箒の元に行くようですが、何やら謎の手を打っているようです。
箒の、束に対する感情にも、関係があるようですね。
さて、何でしょうね。





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 この度改名しました。今までのHNでも構いませんが新ブログでは上記の名でお返答します。お気に入りの作品のアニメ化は嬉しいものですね。
つきましては、相互リンクの確認ともしよろしければ自分のこれまでの視聴作品
→http://ducunt-volentem.air-nifty.com/gosen_seikouan/2013/06/post-ee36.html やCIC担当さんが望む作品の顔でリンクの紹介欄を作ろうと試みています。自分の顔はこの作品が良いかなと要望があればどうぞご一報を。
うしつぎ
2013/06/15 20:11
うしつぎさん。
コメントありがとうございます。

>お気に入りの作品のアニメ化は嬉しいもの
>ですね。
 そうですね。
 後は、スタッフが気合を入れて素晴らしい
 作品にしてくれれば、言う事なしです。

>CIC担当さんが望む作品の顔でリンクの紹
>介欄を作ろうと試みています。
 それは嬉しいですね。
 決まったら、コメントでお知らせします。
CIC担当
2013/06/16 20:34

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