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zoom RSS 機動戦士Zガンダム〜ネオ・ジオン戦役〜 第44話 2つの侵攻路

<<   作成日時 : 2013/06/07 23:01   >>

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 ハマーン軍とグレミー軍。
 それぞれが、遂に砲火を開いた。
 各艦の主砲が斉射され、MS部隊がぶつかる。

「積極的攻勢には、出んか。少々、意外だな。」
 サダラーンの艦橋で、ハマーンは意外そうな表情になる。
 兵力において劣るグレミーは、切り札を惜しみなく投入し、全面攻勢を仕掛けて短期決戦に持ち込む可能性が高いと、考えていたからだ。
 だが、意外にもグレミーは、まずは戦力を探る事を、選択していた。
「敵衛星に反応は?」
「大きな反応は、認められません。」
『本格的な攻勢は、もう少し後か…。少々の牽制で十分だな。』
 オペレーターからの返答を聞いて、ハマーンは右翼のマシュマーの艦隊を、少々前進させる。

『こちらに対する、牽制か…。』
 右翼のマシュマーの艦隊が、一部前進したのをグランツの艦橋で確認したグレミーは、ハマーンの意図を見抜いた。
「ソロモン方面に動きは?」
「今の所は。」
「監視を緩めるな。」
「はっ。」
『今は、短慮は禁物。攻めたいのは山々だが、そうもいかん。』
 ソロモンにいるハマーンの別働隊に、側面を突かれるのを警戒していたというのもあったが、それとほぼ同等に警戒していることがあった。

 その、警戒の対象は、作戦会議を開いていた。
「合流までは、まだ日がある。作戦を完璧にするためには、できうる限り近くで、合流する方がいい。」
「だが、それは向こうにとって、難しくないか?只でさえ、発見されやすいが…。」
「ふむ。偽装すると言っても、限界があるからな。」
 アムロの危惧に、クワトロが同意する。
「仕方ありませんよ。物が物ですから。」
「苦労する価値はありますし、後の戦いも楽になります。幸い、海兵隊も偵察に出てくれていますから、リスクファクターは潰せますし。」
 カミーユとフォウが、2人の言う事の正しさを認めつつも、危険を冒す価値を主張する。
「まあ。確かにな。こっちは、纏めて叩かなきゃならないわけだしよ。」
 ヤザンも同意する。
「いずれにせよ。こちらの戦力が劣る以上、ある程度のリスクはやむを得ません。警戒を怠らぬようにすれば、大丈夫でしょう。向こうも、今回のリスクは、十分承知しています。それでも、作戦に参加する以上、備えはしている筈です。」
 ユウが、自分の見解を述べる。
「確かに、今回は大尉や、カミーユ達の意見が正しいか…。只でさえ、ニュータイプ部隊に、衛星クラスのハイパー・メガ粒子砲を、相手にしなければならない。その意味においては、重要な戦力だな。」
 危惧は消えたわけではないが、最終的に、このままでいく方がいいと、クワトロは判断した。
「よし。あとは、合流後に作戦の最後の詰めだ。その後は、戦闘が待っている。MSの整備とサイコミュの調整は、万全を期してくれ。」

「待ってましたよ。後は、サイコミュの調整だけです。」
 整備ハンガーで、シャマーネが、手を振る。
「前以上に、時間がかかるな。」
 リュビとエムロード。
 宝石の名を持つ、2機のZを見上げながら、クワトロがシャマーネに話しかける。
「かなり特殊なサイコミュを、部分的に採用していますからね。大変ですよ。調整デバイスも改良されましたから、多少は楽になりましたが。」
 話しながらも、シャマーネは、2機の調整に余念がない。
「サイコ・ニュートライザーと言ったかな?確か。」
「ええ。元々は、パイロットの動きに対する追従度を、飛躍的に高める為に開発されましたが、システムとしては安定させるのは、多大な労力が入りますし、運用コストも高いですから、お蔵入りしました。ですが、性能は高かったので、この2機には、部分的に導入されているんです。部分的でも、性能は相当に向上しましたよ。」
 各パラメーターに目を通し続け、繊細な調整をし続けるシャマーネの邪魔をしないように、クワトロは改修された百式の元にいく。

「それでは、合流は先ですか?」
「ああ。そうだよ、マリーダ。」
「つまんな〜い。」
 対照的なマリーダとプルを見て、アムロは思わず笑う。
「その内、合流するさ。頼もしい味方だしね。」
 2人を抱きしめながら、アムロは言い聞かせる。
 既に、手続きの準備は、終えている。
 この戦争が終わり次第、2人は、学校に通い始め、平凡で穏やかな人生を歩んでいくことになるだろう。
 アムロ自身、2人が強化人間だとしても、戦場に赴く必要を感じていない。
 選択肢は、多くある。
 幸せになって欲しい。
 一年戦争の時から、様々な体験をしてきたアムロは切にそう思った。
『俺も全力を尽くす。頼んだぞ。』
 新しく与えられた愛機と、プルとマリーダのNT専用MSを見て、願いを掛ける。

「グレミーが、予想以上に消極的だな。」
 プロヴィデンスの艦橋で、戦況を見ながらマシュマーが呟く。
 理由は解っているが、このままの状況で、グレミーに勝ちはない。
 短期決戦で勝利し、ロンドベルに備えなければ、結局は宇宙の塵になるのは明白である。
「少し、押してみるとするか。サダラーンに繋げ。」

「よかろう。このままでは、千日手になり兼ねんからな。それはこちらも好ましくはない。行動を起こす時期なのだろう。それに準備も必要だからな。」
 マシュマーで牽制させるだけで十分と考えたハマーンだが、それ以上は動かなかった。
 グレミーの動きが消極的だったからであるが、それが、慎重とイコールだとは到底思えず戸惑い、どう出るかを、考えあぐねていたからでもある。
 普通の指揮官なら、一気に攻勢に出ることを選択肢に入れただろうが、戦略家の立場から戦いを指揮してきたハマーンは、慎重になり過ぎて、その方針を取らなかった。
 それが裏目に出て、状況は膠着状態になりつつあった。
 そこに、マシュマーが作戦案を携えて通信を入れてきた。
 作戦案を聞いたハマーンは、戦況を動かすために、動く事を決めた。
「はっ!」
 サダラーンのハマーンとの通信を終えたマシュマーは、戦況を見て、指示を出す。
「敵右翼。攻勢を強めます。」
「動き始めたか。守りを固めろ。」
 グレミーもすぐに指示を出すが、マシュマーの動きに連動して、ハマーンが直属部隊の一部を動かしたので、押され始める。

「予定通りか。全艦、砲火を集中。楔を打て。ズサ隊、第2陣発進。」
 グレミー軍のドーガは汎用性に優れており、操縦しやすいという優れた点を持っているが、常にそれが有利になるわけではない。
 戦況によっては、突出した能力が必要になる局面もある。
 その局面で、必要な能力がなければ状況は不利になる。
 砲火を集中し、ブルトガングとフルンディングへの道を、マシュマーが開き始めた状況で、大量のミサイルを装備するズサを投入され、グレミー軍の左翼は、戦線を支えきれなくなり始めた。

「狙いは、ブルトガングとフルンディングか!後方予備部隊投入。持ちこたえさせろ!」
『今はまだ。カードを切れん…。』
 プルツー達、ニュータイプ部隊を投入して戦況を打開したいが、ハマーンの手の内が完全に読めない状況で投入するのは、リスクが大きいと判断したグレミーは、決断できずにいた。

「戦況が、少し動いたか…。」
「はい。」
 ブライトの予想より、ウラキ達との合流は早かった。
 海兵隊の偵察報告により、戦況を知らされたブライトは、ウラキと作戦を協議していた。
「各個撃破するにしても、ソロモンは叩く必要がある。それに関しては、海兵に任せよう。真価を発揮する状況だからな。」
「それには、我々も参加します。仕事を早く済ませたほうが、後々有利です。」
 ウラキが、ソロモンの攻略に参加する意思を伝える。
「そうだな。こちらで一撃を加えて、相手を出させたうえで掃討。奪取。我々は、その間に次の行動に出るとしよう。何せ、スケジュールが厳しいからな。」
 作戦は、ほぼ出来上がっていたが、時間的な余裕がほとんどない。
 元々、長期戦はブライトたちも望まない。
 ハマーンにせよ、グレミーにせよ、ロンドベルは邪魔者以外の何者でもないので、処理できるのであれば処理をするだろう。
 その間だけは、互いを攻撃せずにロンドベルに牙を剥くのは、明らかである。
「よし。それでいく。但し、相手の状況を見極めつつだがな。効率的に事を進めるためだ。」

 特務艦アルビオンU。
 母艦で、ウラキは作戦の説明を始める。
「きついスケジュールですぜ。こいつは。」
 ベイトが頭を掻く。
「一番きついのは、中佐ですがね。」
 モンシアも渋い表情をする。
「解りきってたこととはいえ、余裕がないですね。」
 アデルが腕を組む。
「纏めて、且つ手早く片付けなければならないから、仕方がないさ。それに、ネオジオンが動き出してから、余裕のあった戦いはなかった。もう、慣れたよ。」
 ウラキは、苦笑しつつ肩をすくめる。
 既に、全員がノーマルスーツに着替えている。
「マドリード、セーラム、メディナ。準備完了。いつでも作戦開始可能です。」
「解った。さて、行くとしよう。さし当たって、この戦いを終わらせないとな。」
 ウラキは、整備ハンガーに向かう。
「まだ死ねませんからな。中佐は、生まれてくる子供が待っているんですから。」
 アデルがそう言って後に続くと、ベイトとモンシアも後に続く。
「ああ。意地でも生きて帰るさ。だから、スケジュールがきつくても、きっちり消化するぞ。あれを扱うのは一苦労だが、今までの経験を活かせば、問題ない。」
「というより、ウラキしか、扱えねえやな。あれは。」
 モンシアが昔の口調に戻ると、全員が小さく笑う。

「アルビオンU及び海兵隊、予定進路に。」
「よし。こちらも出るぞ。総員第一戦闘配置。全方位索敵。MS部隊発進用意。」
 合流した海兵隊は、ソロモン攻略の為にウラキ達と行動を共にしていた。
 ハマーンとグレミーが、ぶつかる中、双方を殲滅すべく、ブライトの指揮の元、2つの侵攻路を進み、ハマーンの重要な拠点であるソロモンを攻略する作戦が、開始された。

「左翼。これ以上は、戦線を支えきれません。」
「やむを得ん。ニュータイプ部隊出撃。マシュマーの艦隊を殲滅し、時計回りにハマーンの本隊の側面を突く。右翼部隊、敵左翼を全力で抑え込め!直衛部隊は、ハマーン本隊との戦いにのみ専念せよ。ブルトガングとフルンディングのチャージが終了したら、直ちに知らせろ!」
 作戦の変更を余儀なくされたグレミーは、それでもハマーンの旗艦サダラーンを撃つ戦術を立案し、実行に移す。
 今まで準備を整えてきたグレミーは、決して無能ではない。
 それを証明するように、グレミー軍は行動を開始した。

「しびれを切らしたか。」
「このままでは、左翼が崩壊。本隊も危険にさらされます。グレミーとしても、苦渋の決断でしょう。」
「そういう事だ。行くぞ。イリア。ニュータイプ部隊を足止めする。」
「はっ。Rジャジャ部隊は、出撃準備完了。それから、例の部隊もいつでも。」
「よし。邪魔な小惑星を吹き飛ばすとするか。」
 マシュマーは不敵な笑みを浮かべつつ、サン・ロチェスに搭乗する。
『来い。グレミー。このマシュマーが、貴様の切り札を叩き潰してくれる。』
 この時点で、マシュマーの意識はグレミーにのみ集中していた…。

後書き
様子見をしつつ、戦いを進めるグレミーとハマーンですが、最初に動いたのはハマーンでした。
ここで、ハマーンとグレミーの差、麾下の指揮官の差が出ます。
明確な目的を持ち、それを果たすために戦術を立案する。
そして、それを実行する能力を持つのが、マシュマーです。
これにはたまらず、グレミーも予定変更を余儀なくされます。
そして、マシュマーもそろそろ、ハイパー・メガ粒子砲を潰すカードを切るようですね。
さて、何でしょう。
ですが、その間に、ロンドベルとウラキ。
それぞれが侵攻路を、進みます。
ブライトは、いかなる策を胸に秘めているのでしょうか?
そして、ウラキが持ってきた物は?


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
就活等の関係で、コメントが長らく遅れてすいませんでした、ZESTです。

今回の話では、アムロが男らしい信念を持っていてかっこ良かったです。
EVOLVE版逆シャアでクェスを助けた時に見せた父親心があれば、宇宙世紀の世界も変わっていたんじゃないかと思います。

次に、カミーユとフォウのZに搭載されているサイコ・ニュートライザーには驚かされました。
この小説の世界では未だ開発されていないサイコフレームの代替品の様ですが、果たしてどんな性能を発揮するのか、楽しみです。

そして、ロンド・ベル隊には連邦の海兵隊の他に、コウ達サイド4の面々もやってきました。
彼等が持ってきた持ってきたものは、果たして…・・・?

最新話の方にもコメントを入れますので、そちらも参照して下さい。

追伸

今回の話の中に、誤字がありましたので、書かせて頂きます。

(誤)レウルーラの艦橋で、ハマーンは意外そうな表情になる。

(正)サダラーンの艦橋で、ハマーンは意外そうな表情になる。
ZEST
2013/06/19 12:58
ZESTさん。
コメントありがとうございます。
就活大変だと思いますが、頑張ってください。

>今回の話では、アムロが男らしい信念を持
>っていてかっこ良かったです。
 ニュータイプは、戦争の道具じゃないとい
 うのが、そもそもアムロのポリシー。
 ララァの時でさえそうでしたから、プルや
 マリーダの時になると、その思いは強いで
 しょうね。
 少年兵に関するテレビ番組や、本はいくつ
 か見た経験がありますが、腸が沸騰しそう
 になるほど怒りを覚えました。
 アムロは優しい人間ですから、自分に対し
 て激しい憤りを持つと共に、プル達に平凡
 で、幸福な人生を送ってもらいたいと思っ
 ていると思いますよ。

>次に、カミーユとフォウのZに搭載されてい
>るサイコ・ニュートライザーには驚かされま
>した。
 EVOLVEは、一通り見ていますので、
 いつか使おうと思っていたネタです。
 どう使われるかは、お楽しみという事で。

>コウ達サイド4の面々もやってきました。
>彼等が持ってきた持ってきたものは、果た
>して…・・・?
 さあ、何でしょうね?
 ふふふふ。

 間違いの指摘、感謝です。
 修正しておきました。
CIC担当
2013/06/23 13:31

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