cogito,ergo sum

アクセスカウンタ

zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第49話 イブ前は静かでいたい生徒会長

<<   作成日時 : 2013/05/04 22:05   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 5 / トラックバック 0 / コメント 2

「はあ。大した情報は、引き出せないか…。」
 俺はため息をつきながら、報告書にサインをする。
「溜息をつくと、幸せが逃げるわよ。一夏君。」
 もう、とっくに、逃げまくってますよ。
 毎日、毎日、死亡フラグが立って、千冬姉のお説教に拳骨。
 締めは、地獄の懲罰トレーニング。
 この所、キツイの何のって。
 でも、慣れてしまう我が身が、何とも恨めしい。
 やれやれ。
 頼むから、これ以上、騒動は起きないでくれ…。

「そう言えば、会長は、クリスマスイブは、どう過ごされるんですか?」
 虚さんが聞いてくる。
 イブは、終業式だからな。
「例年通りですと、千冬姉と過ごしてますよ。」
 俺の家では、誕生日、クリスマス、年末に初詣は、一緒に過ごしてる。
 今年は、俺がレストランを予約して、千冬姉にドレスの一着でもプレゼントするつもりでいる。
 それくらいの収入は、十分にあるしな。
 最近、脳からの指令を正確に伝えなくなった神経をサポートして、きちんと伝える技術を俺が開発して、さらに収入が増えた。
 別に、増えなくてもよかったが、他社から引き抜かれないために必要だと、村山さんは言ってたっけな。
 それ位は、解るけど、ちょっとな…。
 やれやれ…。
 さて、今日の仕事は、これで終わりと。

「じゃあ。後は、お願いします。何かあったら、連絡してください。」
「かいちょ〜う、手伝って〜。このままじゃ、私、クリスマスないよ〜。」
 のほほんさんが、涙目で俺に泣きついてくる。
 また、仕事溜めたのかよ。
 まったく…。
「のほほんさん。仕事はきちんとしろって、言ったよな?」
「そうなんだけど〜。会長は、凄腕だから、ど〜うしても、楽を、したくなって…。痛っ!」
 言い終わらないうちに、虚さんの拳骨が炸裂する。
 ちなみに、虚さんの今日の仕事は、当然ながら終了。
 姉妹なのに、どうしてこんなに差が出るんだ?
「本音。何度も言うけれど、いつになったら、きちんと仕事を片付けるようになるの?何時になったら、会長の手を煩わせないようになるの?それとも、毎日、折檻されたいのかしら?そうなら、そうでもいいわよ…。」
 怖え…。
 いつも思うが、のほほんさんを叱る時の虚さんは、半端なく怖え…。
「かいちょ〜う、助けてよ〜。」
 のほほんさん。
 俺の護衛を、きちんとしてくれてるのと同じように、生徒会の仕事もきちんとやってくれ…。

「ダメだ。勝てねえ…。」
「全部、裏をかかれる…。」
「お姉さんを、労わって…。」
 先輩たちが、アリーナでうつぶせに倒れている。
 白式のスラスターは、新開発したものにして、機動性も、運動性もさらに高くなっているから、どんなものかと試してみたが、予想以上だな。
 今のままで、OKか。
 後は、他の武装を改良すれば問題ない。
 あれは、できれば多用しない方が、いいしな。
 切り札はとっておきたい。
 楯無さんの実家に行った時はテストの必要を感じて、使ったが、よほどの事がない限りは使う機会はないだろう。

「もう、上級生でも、相手は無理か。むしろ、向こうが、鍛えてもらっているのと同じだし。」
 ブッフバルト先生と手合わせした後、俺は白式の調整をしながら、先生と話していた。
「さすがに、ブッフバルト先生相手だと、違いますけどね。ゲイルスクゲルの性能を最大限に活かしていますから。」
「それだけ、今のゲイルスクゲルの性能が、高いという事もあるけどね。ドンナー・シュペーアと、リーゼン・シュラークもいい兵装だもの。」
 リーゼン・シュラークはAICとしても使用できるから、補足されないようにするには、本当に疲れる。
 ゲイルスクゲルは、ハイパーセンサーの改修もして、高感度ハイパーセンサー並みの性能に、なっているからな。
 精神を今まで以上に極限まで研ぎ澄ませて、先生の動きを読む必要がある。
 そっちは、千冬姉の地獄のシゴキのおかげか、大分できるようになった。
 後は、勝てるようになるだけか。
 ブリュンヒルデ相手になると、それがどんなに困難なのかは、毎日手合わせをしていると、骨身に染みる。
 今日も、あと少しだったんだが、時間切れになった。
 おまけに、筋肉が悲鳴を上げている。
 もっと、効率的に体を使わないとな。

「織斑君。」
 あ、遠藤先輩だ。
 そう言えば、いつも、放課後の鍛錬が終わると来るな。
 何だろう?

「体、大丈夫?」
「大丈夫ですよ。さすがに、前回のモンド・グロッソのブリュンヒルデのブッフバルト先生相手だと、体中の筋肉が悲鳴を上げますけど、まあ、俺の改修の結果ですし、それで先生が実力を十二分に発揮できるなら、俺にとっても、メリットになりますよ。たっぷり、鍛えてもらえますからね。」
 う〜ん。
 ちょっと、心配し過ぎなんだよな。
 確かに、体中の筋肉は悲鳴を上げてるけど、しばらくすれば治る。
 ちょっと、そこの所、晩飯の時に話すか。

「それじゃあ、最後の締めにいきますんで。」
「話は、聞いているわ。楽しみにしているわね。」
 じゃあ、初のお披露目と行きますか。
 設定は、終わっているしな。

「席が、埋まっちゃいましたね。」
「一夏が開発した、新しいシミュレーターだからな。皆、興味を持つだろう。」
 オペレーティングルームで、真耶と千冬はアリーナが満員になっていることについて、話していた。
「驚くに値する物だからな。正直に言って。」
「そうですね。同感です。」
 2人は、一夏に資料を渡されて、事前に知っていたが、知った時は驚愕した。

『織斑君。始めますよ。』
『お願いします。』
 既に白式を展開した一夏が、アリーナにいる。
 そこに現れたのは、IS学園を襲撃したゴーレムに似たターゲットだった。
 数は4体。
 出現した直後に、一夏に攻撃を仕掛ける。

 残骸や映像の分析も、役に立つな。
 それに、既存の技術を活かせば、シミュレーションシステムにも、まだまだ発展の余地はあるか。
 開発した甲斐は、あったな。
 相手は、腕部に内蔵されたレールガンを発射しつつ、包囲網を狭めてくる。
 機動性、運動性、反応速度は第4世代の初期レベルに設定しているし、思考システムは、プロセッサーの性能を高めて数を増やすことで、より高度な戦術を構築可能になっている。
 しかも、レベルの設定に関する部分は、拡張性を大きくとっているので、より高性能な物にすることが、可能になっている。
 これなら、今までの鍛錬に加えて、さらに鍛錬ができる。
 体の事を、考えながらだけどな。
 
俺は、レールガンを回避しつつ、白銀のエネルギーブレードを展開して、正面の一体の両腕を切断して、膝の鋼牙で沈黙させる。
 今回は、射撃兵装を使う気はない。
 しばらくは、思考にできる限り早く行動が伴わせる為の、訓練にするつもりだからな。
 それを考えると、これからはさらにレベルを高くする必要がある。
 ゴーレムシリーズの制御系を一新して、という手もあったが、レベル的に難があるし、今までの事を考えると、やめる方がいいと考えた。
 一体目を片付けると、ランダムに攻撃を回避しながら、上空に回避して、すぐさま、プラント装甲のプラント生成能力をオフにして、展開装甲の能力でブレードを形成。
 頭から、真っ二つにする。
 半分を撃破されて、ターゲットは戦術を変更し、一体を近接戦闘に、もう一体を、後方からの支援攻撃に振り分けた。
 レーザーにレールガン、ミサイルと景気よく撃ってくるが、全てを回避する。
 その間に、プラズマブレードを展開したターゲットが、俺に襲い掛かってくる。
 ふうむ。第4世代となると、格闘戦能力も結構高いな。
 けど、まだまだだ。
 俺が習得した格闘技は、古武術に空手、軍隊格闘技等だと思われているみたいだが、他にもあるんだぜ。
 おっかない代物だから、めったには使わないけどな。
 ただ、近接戦闘で早く相手を仕留めるには、これが有効なのは事実だから、使うか、久しぶりに。

 プラズマブレードを展開したターゲットの腕を掴むと、関節を破壊して、放り出す。
 一旦、離れようとするが、逃がさずに、頭部も首を破壊して、胴からもぎ取って、放り出す。
 もう一体も、エネルギーブレードと関節破壊で仕留める。
 いい出来だな。
 体も、忘れてないか…。
 こっちは、複雑な気分だな…。

「何ですか…?あれ…。サブミッションに似ていますけど、それとは違います。完全に、相手を破壊する為の格闘技に、見えますが…。」
 真耶は、青ざめた表情で千冬に尋ねる。
「パンクラチオンと言ってな。エジプトが起源になる、古代ギリシャの格闘技だ。いや、格闘技と言っていいのか、解らんな。古代ギリシャで広まったパンクラチオンは、打撃と関節技が主の、総合格闘技に似た物で、ギブアップも認められているが、一夏のは、そちらとは別系統のパンクラチオン。相手を破壊する事を目的とした系統だ。敗者は、即ち死者。殺し合いの術と言っても、過言ではない。目つぶしと急所の攻撃以外は、何をしても構わない。相手の肉を噛み千切ったという記録も、あるそうだ。」
「何故、一夏君が、そんな格闘技を…?」
 格闘技ではなく、殺し合いの術。
 そんな物を、一夏が身につけている理由が、理解できなかった。
「一夏の師匠の知り合いが、使い手でな。古武術も剣術も、とどのつまりは、相手を傷つけ死に至らしめる術だという事を、深く理解させて、無闇に力をふるう事を戒める為だ。故に、今まで一夏は使わなかったが、亡国企業の正体が、解るにつれて、戦闘は激化し、どんな事態になるかが解らなくなる。そうなれば、純粋に相手を破壊することを目的とした方が、良い場合もあると考えたのだろう。だから、確認を兼ねて使ったといったところか。忘れていないかをな。どうやら、骨の芯まで染み込んで、忘れてはいなかったな。」
 千冬の話を聞いて、亡国企業を撃滅するまでの道程が如何に厳しいかを、真耶は再認識した。

 大丈夫だな。
 何か、白式の事で、心がすごく軽くなった。
 いざとなれば、相談に乗ってくれたり支えてくれる人がいるから、その人達の力を借りようって、素直に思える。
 後は、亡国企業だな。
 産業スパイから、それなりに情報が得られるかと思ったら、揃いも揃って貝になってるそうだ。
 さて、どうするかね?
 まあ、その事は、警察に任せよう。
 俺は俺のやり方で、真相に迫るとするさ。
 さてと、白式の整備をして、週末はプロテインやアミノ酸サプリの買い出しに行くか。
 後、千冬姉に、イブは開けておいてもらわないとな。

「じゃあ。今週、買いに行くんだ。」
「はい。これで、筋肉もきちんと作られますし、栄養も補給できますよ。」
 遠藤先輩が、ベリーをふんだんに使ったタルトと、ハイビスカスのお茶を差し入れに来てくれたので、小休止を取っていた。
 甘酸っぱくて、爽やかで、美味い。
「良かった。これで、心配が減るわ。」
「まだ、あるんですか?心配。」
「ええ。沢山。」
 それは、無いと思うんですけど。
「あるわよ。本当は、卒業まで、こっちにいさせたいんだから。その真面目過ぎな性格とか。鍛錬で無茶し過ぎる傾向とか。とにかくいろいろ。」
 問題山積と書かれた扇子を広げながら、楯無さんが言う。
 俺って、そんなに問題児かよ…。
「それでね。織斑君。よければ、一緒に行っていいかな?」
「ダメです。私が一緒に行きますから。護衛でもありますし。」
 決定事項と書かれた扇子を広げながら、遠藤先輩を正面から見る。
「楯無さん。少しは先輩を敬ってもいいと、思わないかしら。織斑君には、上級生との交流も、貴重な経験よ。」
 何で、俺の買い物で、2人が睨み合いになるんですか…?
 おまけに、火花まで見えるし…。
 皆で行けば、いいだけでしょうが…。

「オーバーホールと、改修ですか?」
 早朝の鍛錬が終わった後に、山田先生が俺にセシリア達のISのオーバーホールと、更なる改修の依頼が各国から来ていると、知らせてくれた。
「普通。開発国から、スタッフが来てやるものだと思いますけど…。」
 以前の改修にあたっては、かなり丁寧に内容を纏めた物を渡してある。
 あれなら、水準以上の技術者なら理解できるから、わざわざ、俺の手が必要だとは思えない。
 あれをベースに、発展させることは十分にできるはずだ。
「それは、まあ。そうなんですけど…。」
 成程な…。
 大体、筋書きが読めた。
「圧力がかかったってところですか?日本が、最先端技術を、独占し過ぎだと。」
 帰属に関しては、今はIS委員会直属だが、国籍は日本。
 それ故に、打鉄弐式や巴御前を開発した技術や、白式と紅椿を含む改修技術。
 特に、白式は世界で唯一の第5世代IS。
 各国は、第3世代の実用化にすら、至っていない。
 なのに、日本国籍の俺が、白式を第5世代に改修したことで、各国はどうにかして、俺の技術を、少しでも手に入れようとしている。
 本来なら、IS委員会直属の俺が気にすることはないし、圧力をかけられること自体が筋違いもいい所だが、政治家と外務省がそろって腰が引けたか、何らかの恩恵をもたらす事を、先方が確約したといったところか。
 さすがに、俺も気分が悪くなる。
 フランスやイギリスの件も、十分に気分が悪くなったけどな。

「一体、どういう事ですか?理事長。」
 その頃、千冬は、理事長室で轡木に直談判していた。
「織斑先生。どうか、落ち着いていただけないでしょうか?お気持ちは理解しているつもりですし、私も非常に腹立たしい。それに、完全に決定したわけでは、ありませんよ。」
 そう言って、日本政府の担当者をちらりと見る。
 だが、千冬の視線は、凄まじい怒気に満ち溢れていた。
 自分にとって全てともいえる一夏を、夏季休暇の頃から道具のように扱われて、怒りは日に日に積もっている。
 いつ、理性という堤防が決壊するか、解らない状態だった。

「織斑先生。お気持ちは、私なりに理解しているつもりです。ですが…。」
「ですが…?何でしょうか?」
 応接セットのソファに座って、千冬は政府の担当官の話を、聞く。
 しかし、全身から溢れている怒気に呑み込まれて、日本政府の担当者は今すぐにでも、逃げ出したいくらいだった。
「今回の事に関しては、高度な政治問題でもあるのです。彼は、IS委員会直属ではありますが。国籍は、日本。故に、我が国が、技術を独占しているという声もあり、このままでは、外交にも支障が出ます。そこを汲んで戴ければと。」
「国籍が日本だからと言って、いつから、白式がこの国のISになったのですか?白式は、現在、どの国にも属さないIS。当然、技術も日本の物ではありません。紅椿も同様。違いますか?」
 鋭利な刀のように、千冬の視線が、担当者に突き刺さる。
 何より、千冬の言う事は、反論のしようがない事実だった。
「いずれにせよ。今回は言いがかり以外の、何物でもありません。担任として、織斑に会わせる気は、毛頭ありません。密かに会おうとすれば、即座にIS委員会の耳に入ります。議長国が日本だとしても、あくまで日本とは、立場は別。これが、私の答えです。さらに言わせていただきますが、不当な要求を突き付けられようとしている、国民。しかも、まだ16歳の学生も守ろうとしないとは、日本政府は何をお考えですか?それとも、織斑は守るに値しない存在か、この国、いや、IS先進国の道具か奴隷であって、人権すら認められていないのですか?日本政府のIS及び外交関係者は、いかなる哲学、道理に基づいて、織斑を犠牲として祭壇に供えようと、しておられるのか?お答え願いたい。」
 矢継ぎ早に、質問を浴びせられた担当者は、どれ一つ答えられなかった。
 事実、政府は、一夏の人権に関しては、高度な政治判断という理由で考えてもいない。
 さらに、以前に、フランスと裏取引した件から窺がえるが、政治家は、明らかに一夏を、国益を得るための道具と見ている傾向が強い。
 無論、千冬はその事は承知している。
 その上で、相手が答え辛い質問を、矢のように浴びせかけた。
 担当者の顔は汗まみれになり、ハンカチでぬぐい続ける。

「どうやら、お答えいただけないようですね。それとも、答えるつもりがないのか、答えを持ち合わせていないのか…。まあ、いい。いずれにしても、担任として、織斑に会う事は、承認できません。織斑は日本の国家代表でも、候補でもない。そこをお間違えなきように、願いたいものです。失礼します。」
 千冬は、理事長室を出た。

「いずれにせよ、俺がこれ以上関わらねばならない理由は、ありません。現段階の性能と、セシリア達の技術で、ゴーレムには十二分に対応できます。それに、俺は道具ではありません。確固とした、自分の意思を持った人間です。」
『織斑君なら、そう言うと思ったわ。』
 一夏は、自分の意思を押し付けたりはしないが、同時に、自分の意思も、そう簡単に曲げる人間では、ない。
 一夏の技術を欲しがる、各国の思惑につきあう理由は欠片もないのに、つきあう訳がなかった。
『でも、相手も、そんなに諦めがいいとは思えない。どう出てくるか…。』
 国家の正義と、個人の道徳。
 その差の大きさを考えると、真耶は、不安を覚えざるを得なかった。

 ふざけやがって…。
 俺は、政治屋の為に、セシリア達のISを、改修したわけじゃねえ。
 大切な仲間の為に、改修したんだ。
 共に戦い、俺を支えてくれる大切な仲間たちの為に…。
 それを、自分たちにとって都合のいいように、解釈しやがって…。
 俺は、自分の意思を持った人間だ。
 奴らの、思惑通りにならなきゃならない、理由なんてない。
 とにかく、俺はやらない。
 オーバーホールにしても、本国のスタッフで十分だからな。
 もっとも、巴御前は、俺が担当することになるけどな。
 こっちはこっちで、やる事がある。
 何としても、亡国企業の尻尾を掴まないと、常にこちらが防戦一方だ。
 さてと、どうしたものかな。
 待てよ…。ちょっと、確認するか。

「織斑です。入っても、よろしいでしょうか?」
「どうぞ。」
 一夏が、理事長室に入ってくる。
「織斑先生。こちらの方にお聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか。お手間は取らせません。一つだけです。」
「いいでしょう。」
「では。」
 一夏がソファに腰を下ろし、政府の担当者に向き合うと、怒りを帯びた“気”が、担当者に向けられ、冷や汗に、脂汗が加わる。
「お話は、伺っています。ところで、今回の要請ですが、IS委員会の許可は下りているのでしょうか?私は、外部顧問の扱いですが、芝崎インダストリーの技術顧問。芝崎の人間と同義と、言ってもいい。この場合、委員会の許可がなければ、私が各国のISの改修に携わる事は、できませんが?」
 その事を指摘された、担当者は、「しまった。」という表情になった。
『どうやら、今までの感覚でやらせようとしていたな。間抜けな連中だぜ。』

 案の定か。
 はっきり言って、馬鹿だな。
 委員会のメンバーは政府から派遣されるが、委員会の職員は、委員会が採用する。
 そして、彼らは国籍がどこであろうと、母国の国益ではなく、アラスカ条約に各国が違反していないかに、思考に関して重きを置いている。
 委員会に連絡を入れてみたが、今回の事は、表だって問題にはなっていないが、夏休みの事に関しては、欧州各国や中国の外交に、影響を及ぼし始めている。
 俺の改修によって、格段に性能が強化されたセシリア達のISは、結果として軍事力の強化に繋がり、発言権を大きくした。
 そして、さらに俺に改修をさせようと、している。
 この情報は、各国大使を通じて、すぐさま世界中に知れ渡った。
 結果が、自業自得ともいえる、外交に対する悪影響だ。
「どうやら、話は終わったようですね。では、失礼させていただきます。あなたも、戻られた方がよろしいでしょう。どうも、お顔の色が優れない。医務室で診察を受けられるのを、お勧めします。医師としての、先生の実力は超一流ですからね。」
 やれやれ、こういうのと付き合うのは、ストレスが溜まるよ。
 最終的に、改修が行われるかもしれないが、それなりの代償が必要になる。
 迂闊な事は、できなくなるだろう。
 セシリア達を、利用するかもしれないが、そんな事をしたら、こっちもそれ相応の対価を、支払わせるだけだ。
 俺は、一個の意思を持った、れっきとした、人間だという事をきちんと理解してもらうぜ。

「お前も、ああいった連中には慣れたようだな。」
「まあな。そうでもしないと、やってられないさ。そうだ。イブは空けといてくれよな。いつも通り。後は、こっちでするから。」
「ん?それは構わんが、どういう事だ?」
 千冬姉は、意味解ってないみたいだな。
 山田先生は、解ってるか。
「その時に、解るさ。」
 それから、ゴーレムの解析に入るが、しばらくして理事長室に来るように連絡が来た。

「解りました。そういうことであれば、仕方ないでしょう。」
「申し訳ありません。君を道具にさせてしまった。」
 轡木は、非常に心苦しい表情をしていた。
「そう、自分を責められる事はありません。向こうも、担当者を始めとする、溝鼠を、寒くて酷薄な世間に放り出さねば、なりませんでしたし、社会的な地位もかなり低下した。今度やれば、各国政府の閣僚が、詰め腹を切る事になります。その程度は理解しているでしょうし、仲間を利用しようとすれば、下種な手段にふさわしい報いを、くれてやるだけです。」
 一夏の言葉を聞いて、轡木は、各国がこれ以上一夏を怒らせるようなことをすることは、ないと考えた。

 ほんじゃま、さっさと終わらせるか。
 ついでに、白式と舞桜もだな。
 下手に力を振りかざそうとしても、それで十分牽制になるしな。
 いつまでも、自分たちの思い通りに行くと思うなよ。
 ガキのいたずらってのは、時としておっかねえぜ。
 特に、最近のはな。

後書き
2学期終了目前の、IS学園。
平穏に過ごしたい一夏ではありますが、亡国企業の事やら、各国の汚い思惑やらで、中々、そうもいきません。
それを見ている千冬は、もはや我慢の臨界点。
日本政府の担当者が、逃げ出したいくらいに激怒しています。
一夏もそれは同じ。
例え、各国で冷や飯食いになる人間が出ようとも、外交的に拙くなっても、怒りが収まる事も無し。
東日本大震災の後に、復興大臣になって宮城県に行って、長幼の序に関して、したり面でお説教をしたことで自爆し、辞任した阿呆がいましたが、政治家なんてあの程度のレベル。
どんなお人よしでも、怒ります。
やれやれですな。




IS〈インフィニット・ストラトス〉 8 (オーバーラップ文庫)
オーバーラップ
2013-04-24
弓弦イズル

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by IS〈インフィニット・ストラトス〉 8 (オーバーラップ文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル








ブログ村のランキングに参加しております。
来てくださった方は、よろしければクリックをお願いいたします。
励みになりますので。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

相互リンクはいつでも大歓迎です。
リンクをしてくださる方は、コメント欄にお書き下さい。
リンクの設定をした後に、お知らせします。


目次に戻る。



IS <インフィニット・ストラトス> ポス×ポスコレクションVol.2 BOX
メディアファクトリー

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by IS <インフィニット・ストラトス> ポス×ポスコレクションVol.2 BOX の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

IS [インフィニット・ストラトス] トレーディングラバーストラップ BOX
メディアファクトリー

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by IS [インフィニット・ストラトス] トレーディングラバーストラップ BOX の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル




テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 5
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い 面白い
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
毎回楽しませてもらってます(*´ー`*)
先日原作の8刊がやっと発売されて自分は一応発売日に買って読んだんですが・・・
どうもこちらの二次小説の方がストーリーが良くて原作の方がどうでもよく感じてしまう位の物も思えます。
次回もよろしくお願いします!
ウニ
2013/05/04 23:42
ウニさん。
コメントありがとうございます。

>先日原作の8刊がやっと発売されて自分は
>一応発売日に買って読んだんですが・・・
>どうもこちらの二次小説の方がストーリー
>が良くて原作の方がどうでもよく感じてし
>まう
 個人的には、千冬と束の奇妙な構図が浮き
 彫りになって面白かったですね。
 黒鍵やクロエといった、これからどう話に
 絡むか、楽しみな要素もありますし。
 ただ、楽しんでいただけるのは、大変うれ
 しいです。
CIC担当
2013/05/08 21:32

コメントする help

ニックネーム
本 文
ブログランキング・にほんブログ村へ
IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第49話 イブ前は静かでいたい生徒会長 cogito,ergo sum/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる