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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第50話 深淵の混沌

<<   作成日時 : 2013/05/11 23:05   >>

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「最悪を、遥かに超えているわ…。それ以前に、織斑一夏は、本当に人間なの?」
 報告書に目を通したスコールは、絶望的な気分になっていた。
 更識家の本邸を、グレイが独断で襲撃したが、兵装だけを展開した一夏が、虫でも払うように撃破して、全機が捕獲されている。
 今頃は、解析に回されているだろう。

「この所、やつの実力が、凄まじい速度で向上している。そして、おそらく…。」
「ゴーレムに対する、有効な対抗手段を、実用化しているわね。性質が悪いったらないわ。これでは、ここが突き止められるのも、時間の問題よ。この所、各企業に放った産業スパイが、次々と逮捕された上に、ブラッドとバーミリオンも捕縛されている。特に、バーミリオンは、7年前の事に関わっているわ。それも含めて、厳しい尋問を受けているのは、確実ね。おそらく、極めて強力な自白剤が使用されるのも、時間の問題だわ。後の事は、どうとでもなる。」
 どうしようもなく、自分たちが不利な状況にあることを、スコールとエムは認識していたが、ゴーレムの開発を指揮しているグレイには、その自覚が見られない。
その事が、2人を苛つかせる。

「準備をしておいてちょうだい。例の事だけど、実戦投入しても問題ないそうだわ。」
「解った…。これ以上、奴の好きに、させるわけにはいかないからな。」
 エムが、部屋を出る。
『好き勝手が過ぎたわね。オータムの事を、知らないわけではないでしょうに…。痛手がないわけではないけど、これ以上、好き勝手されるよりは、よほどましだわ。』
 サイドボードから、高級ブランデーの瓶を取出し、グラスに入れて一気に飲み干す。
 この所、スコールの酒量は加速度的に増していた。

「お客様ですと、こちらをお勧めします。タンパク質の含有量も多くて、グルタミン酸も豊富ですし、疲労回復や筋肉増強に最適です。お話を伺う限りでは、相当にハードなトレーニングをされているようですから、これに、いくつかアミノ酸のサプリメントを追加されるのが、よろしいですね。」
 日曜日、俺は楯無さん、遠藤先輩と、買い物に来ていた。
 医務室の先生に言われた通り、トレーニング後にプロテインドリンクにアミノ酸系のサプリメントを、買おうと思ったからだ。
「最近は、疲労回復にも、ウェイトを置いているんですね。成程。」
 仕事の関係上、医学書も多く読んでいるので、こう言った事も結構解る。
 只鍛えるだけじゃなく、その後の事も十分に考慮した成分になっていて、飲みやすくなっているのが、特徴だ。
 それだけ、身近になってるってことかな。
「アミノ酸系ですと、かなりお高くなりますが、こちらが最適かと。お話を伺う限り、普通の食事ですと、疲労回復に必要な各種栄養素やアミノ酸を補いきるのは、困難と言わざるをえません。こちらは、アスリートでも愛用者が多いので、実績もあります。」
 なるほど、大分高いな。
 ま、今の俺なら、問題ないけどな。
 とりあえず、1か月分購入して、使い切った後に医務室で検査を受けて、その後、どういった物を使用するか、先生に相談に乗ってもらうか。

「先輩たちは、買い物しないんですか?俺は、後は本屋に行って終わりですけど。」
「服を買いに行くつもり。」
 遠藤先輩がいるから、前みたいなことはないな。
 楯無さんも、さすがに先輩の手前、そういう事はしないだろう。
 もう、ランジェリーショップは、うんざりだ。
「じゃあ、お昼の後に行きましょう。この近くに、スペイン料理の美味しい店があるんです。」
 取引先との会食で知った店があるので、そこを勧めた。
「なら、そこに行きましょう。」
「ええ。」

「美味し〜い。」
「本当。」
 スペイン産の最高級イベリコ豚を使った生ハムや、有機栽培の野菜に新鮮な魚介類をふんだんに使ったスペイン料理に、二人はすっかり満足している。
 俺も、ここの料理はお気に入りなので、お勧めのワインを飲みながら、料理に舌鼓を打っている。

「一夏君て、似合うわよね。そういうの。」
 そうですか?
「うん。カジュアル系なのに、すごく、大人の男性の雰囲気なのよね。仕事柄、ファッションをチェックしているのもあるけど、センスもいいわ。周囲も、あなたに釘づけよ。」
 そう言えば、女性客の視線がみんな俺に向いている。
 ちなみに、今日の服装は、白のシャツにイタリアのブランドの新作の、カジュアルスーツに、カジュアル用のアルスターコート。
 襟元は、セシリアにプレゼントされた、カジュアル向けのスカーフとブローチ。
 チェックをして、いいと思ったので、仕事の合間に買った物だ。
 合格点か。

「ねえ。ついでだから、織斑君のカジュアル系の服も買いましょうよ。ええと、この辺だと、どこがいいかな?」
 遠藤先輩が嬉しそうに、ネットで探している。
 いや。別にいいですから。
 俺は、後は目当ての本だけですし。
「それと、一夏君は、スキンケア用品と、ヘアケア用品も選ばないと。」
 楯無さん。
 俺は男であって、女性じゃないですよ。
 そりゃ、最近は男用のスキンケア用品もありますけど。
「じゃあ、ここで、決まりね。」
「そうね。そこなら、全部揃うわね。」
 あのー、勝手に進めないでくれます?
 俺の意思を、尊重してくださいね。

「で、一つ、聞かせてください。」
「どうしたの?織斑君。」
「何?一夏君。」
 どうしたも、こうしたもないですよ。
「どうして、スキンケア用品とヘアケア用品で万単位のお金を使うんですか?」
 まずは、スキンケア用品。
 クレンジング、ピーリング、洗顔、化粧水、美容液、クリーム。
 そして、定期的にやるパック。
 どれも、7千円を下らない。
 ヘアケア用品にしても、シャンプー、コンディショナー、トリートメント、パック。
 こっちも、単価が3000円以上する。
 しかも、普通の市販品の半分以下の量でだ。
 何が悲しくて、髪を洗うために、毎月万単位の金が必要になるんだ?
 意味が解らん。

「あのね。織斑君。これから、いろいろ技術者以外の仕事も増えるし、せっかく、ルックスに恵まれているんだから、スキンケアには、もっと気を使わないと駄目よ。」
 何か、遠藤先輩の迫力が、半端じゃない…。
 何で、そんな風になりますかね?
「髪だって、こんなに綺麗なのよ。世の女の子が望んでも、ほんの一握りしか得られない、綺麗な髪の毛を大事にしなさい。」
 そんなこと言ったって、千冬姉もそんなにヘアケアには、お金使ってませんよ。
 多分、鈴たちだって。
 セシリアはお嬢様育ちだから、高いの使ってそうですけど。
「とにかく、織斑君は、こういうのを含めたおしゃれに、もっと気を使わないと駄目よ。」
「そう。代表候補や専用機持ちは、こういうのも仕事なんだから。」
 聞いてませんよ。そんなの。
「第一、医学書とか技術関係の本で、トータル100万円以上使っているのに、何、言ってるの?」
 あのですね。楯無さん。
 これは、仕事です。
 いい物を開発するには、勉強が欠かせませんし、論文も最近読んでないんですから。
「「とにかく、総合的に、身だしなみに気をつけなさい。いいわね!」」
「はい…。」
 くそ…。
 逆らえねえ…。
 チクチョウ…!

「お話を聞いての感想は、如何ですか?織斑先生。山田先生。」
 IS学園医務室。
 不測の事態が起きた時に備え、大学病院を凌ぐ設備とスタッフを揃えたそこで、千冬と真耶はある事を、聞かされていた。
「理由は、解らないんですか?」
 あまりの事態に、千冬は考え込む表情になり、真耶は原因を聞こうとする。
「超回復という現象を、ご存知ですか?」
「はい。専門家なみにとはいきませんが。」
 超回復とは、筋力トレーニング後、24〜48時間の休息を経てトレーニング前より、筋肉の総量が増える現象である。
 トレーニングにより、一旦、筋肉は壊れて総量は減るが、適度な休息を取ると、その間に筋肉の総量は増える。
 これにより、効果的に筋肉を鍛えることができる。

「この所の織斑君の定期検査の結果を、精査した結果…。」
 医務室の医師は、端末を操作して空中投影ディスプレイに、一夏のフィジカルデータを表示する。
「超回復が始まるまでの時間が、短くなっています。現在は凡そ、一晩。つまり、翌日には超回復により、彼の筋肉は、前日のトレーニングより強くなっています。」
「こんな事、あるんですか…。」
「例がない訳では、ありません。さらに、織斑君は生活にも気を使っていますし、3年生の寮での生活で、周囲が今までの自分たちの経験を伝えることで、無意識に、適切な食事を摂取することができるようになって、より効率が増しています。さらに、骨のサイクルにも、同じ現象がみられています。最後に、運動性慢性疲労のリスクが、極めて低下しています。体が、鍛錬のダメージを急速に回復させようと順応していると結論付けることが、自然でしょう。もっとも、ここまで来ると、もはや学会物。結論から言えば、定期検査をきちんとしていけば、織斑君は自分なりの鍛錬をしても、差支えないという事に、なります。」

「難しい顔をしないでください。織斑先生。いえ。難しい顔をしないで、千冬。」
 真耶が書類仕事をしに行った後、医師は砕けた口調になった。
「私と同じ体質を、一夏が持ち合わせている。とても、落ち着いていられんよ。博子。」
 IS学園医務室室長。
 水田博子。
 江戸時代以前から、代々、医者の家系だった水田家の次女である。
スポーツ医学の権威であり、外科、脳外科、心臓外科、整形外科、神経外科、救急医学、内科、小児科、内分泌科、神経内科、心療内科の博士号を持つ、才媛である。
 千冬が現役時代、医学面から千冬をアシストしたことから、友人同士である。
「そうね。おそらく、あなたの言う通り。一夏君の場合。地力を無理なく養っていく中で、目覚めた。と考えるのが妥当だわ。どうにか、実力を伸ばそうと試行錯誤していく中で、ストレスがかかった結果、体が結論を出した。私はそう見ているわ。これからも、定期的に検査をして、慎重に見ていくけど。そうとしか、答えが出ない。通常、一夏君のようなケースだと、蓄積されたストレスが、免疫系を暴走させて、体を攻撃するけれど、違った。ストレスの根本を解決する方法を、学習したのね。確証が得られなかったから、今まで、トレーニングのレベルアップは、慎重にしてもらってたけど、出たら出たで、複雑ね…。」
 日進月歩で医学は発達し続けているが、人間はさほど人間の事を知らない。
 博子はその事を、改めて、実感していた。
「一夏の、フィジカル面は任せた。頼む。」
 千冬は、深々と頭を下げる。
「任せて、完璧にサポートして見せるわ。生徒たちのフィジカル面のサポートは私の仕事だもの。特に、一夏君は、大切な人たちを守ろうと、いつも、必死。大輪の花が咲くまで、枯れるような事態を、決して、招かせるものですか。それで、今後の、トレーニングメニューだけど。今日、プロテインにアミノ酸のサプリメントを買いに行っているけど、それを考慮して決めるわ。山田先生と、同席して。」
「解った。」

「似合う。一夏君、それ、すっごく似合う。」
「そうですわね。大変、お似合いですわ。」
 いや、まあ、悪くないけど、メーカーがな…。
 ピンクハウスなんだよな…。
 可愛い服大好きな女の子、御用達。
 どういうわけだか、メンズファッションも手掛けている。
 デザインは、いいんだ。デザインは。
 値段も、手ごろだし。
 ちなみに、今、着ているのは、セーラー。
 つまり、海軍の兵士の軍服を、カジュアルジャケットにした奴だ。
 セーラー服は、そもそも軍服だから、別におかしくはないんだが、楯無さんと遠藤先輩の視線が、なんかヤバイ。
 ここらで終了して、いいと思ったのは買って出よう。
「じゃあ、今試着したの、全部。」
 三十六計、逃げるにしかず。
 情けないなあ…。
 はあ…。

「よりによって、あそこはないと思いますが…。」
 最近知った、ケーキ専門店でお茶にする。
 ちなみに、服は、もう実家に送っている。
「でも、悪くなかったでしょう?すごく、似合ってたし。」
 そういう問題じゃないと、思いますが…。
 おまけに、店長さんの懇願で、撮影までする事になった。
 やれやれだ…。

「あの、織斑君。お願いがあるんだけど、いいかな…?」
 遠藤先輩が、もじもじしながら聞いてくる。
「内容にも、よりますが。なんでしょうか。」
 多分、大丈夫だとは思うが、念の為、警戒はする。
 この所、俺は、運に見放されてる気がするから。
「名前で、呼んでいい?一夏君て。その代り、私の事も名前で呼んでいいから。卯月って。」
 2つ年上とは言え、やはり俺の方が身長は高い。
 最近、また身長が伸びたので、前以上に、俺が遠藤先輩を見下ろす形になる。
 というか、その小動物的な目は、勘弁してください。
 何故か、罪悪感が湧きますから。
「いいですよ。卯月先輩。」
「ありがとう。一夏君。」
 卯月先輩が、すごく嬉しそうにする。
 反面、楯無さんが、どこか不機嫌そうだ。
 何で、ですか?
 色々、あったけど、いいリフレッシュになったな。
 明日からは、突貫工事になるし。
 経緯は、相変わらず不愉快だけどな。

「うん。いい物を選んだわね。疲労回復も、充分に考慮されているわ。これなら、やりすぎない程度なら、以前の、織斑君なりの鍛錬を織り込んでも、いいわね。」
 よっしゃ!
 これで、以前よりステップアップのスピードが速くなる。
 イメージトレーニングと組み合わせれば、かなり効率よく自分を鍛えることができる筈だ。
 千冬姉に近づくスピードも、速くなる。
「但し、今まで通り、定期検査は、きちんと受けてもらうわよ。フィジカルチェックをきちんとするのが、大前提だから。」
「はい。」

「織斑君。くれぐれも、自分の体を労わってくださいね。運動性慢性疲労や、横紋筋融解症のリスクを招かないように。ちゃんと、頭に入れておいて下さい。」
 山田先生が、無茶をしないように、念を押す。
「山田先生の、言う通りだ。くれぐれも、無理をせず。休息もきちんと取れ。プロテインとサプリメントも、有効活用しろ。いいな。」
「はい。」
 解ってるって。千冬姉。
 きちんと休息を取るのも、鍛錬には大事だという事は、スポーツ医学の本を読んで、理解したよ。

「織斑はこれから2日間、各国政府の要請により、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、高階、鳳、更識、楯無のISを改修するので、授業は休むことになる。」
 翌日のSHRで、千冬から一夏が授業を休むことを伝えられ、クラスは静まり返る。
「よって、専用機持ちの中で改修が済んでいない者は、芝崎インダストリーが開発したHEG。国連が開発したEOSのテストに協力し、レポートを提出してもらう。」
 EOS。
 正式名称は、Extended Operation Seeker。外骨格攻性機動装甲とも呼ばれる。
 災害救助等の国際活動で使用する事を想定に開発された、パワードスーツの一種である。
「ゴツイわね。EOS。HEGの方が、ISに近い感じ。」
 EOSを見た鈴が、HEGと比較する。
「HEGのデモンストレーションは見ましたけど、あれは見事でしたわね。元は装着型汎用重作業機器の名の通り、建設工事や土木工事といった分野での運用を想定して開発されていますけど、各部にISのノウハウを活用していますし、何より搭乗者の安全を最優先していますから、絶対防御とまではいきませんが、保護機能の類も充実していますわ。それに、思ったよりとても軽快ですわよ。」
 セシリアが、オルコット家の当主として招待された、HEGのデモンストレーションでの事を話す。
「何より、開発者は一夏だからね。差は出ると思うよ。」
「同感。手術器具でも、他のメーカーとは雲泥の差だって、話だし。」
 シャルロットと玲子は、HEGの開発者が一夏だという事を考慮すると、EOSの性能は、あまり期待できないと見た。
「慣れれば、新兵装のテストベッドにも使えそうだが、それ以外ではあまり期待できそうにないな。」
 似たような機器で、ISの新型兵装を試験した経験から、ラウラもEOSには期待していなかった。
「パワーアシストの類も、歴然とした差がある。稼働時間もその他の性能でも、話にならないと、思う。」
 簪が、スペックを比較して、結論を出す。
「何はともあれ、やってみよう。まずは、EOSで国連の技術を見せてもらおう。」

 今頃、HEGとEOSのテストか。
 資料は見たけど、EOSって、まだまだだよなあ。
 試験機の類を、出ないんじゃないのか?
 はっきり言って、運用面でもきついぞ。あれ。
 稼働時間も短いし、常に稼働はできない。
 新開発の燃料電池は、特に重い。
 少し手を加えれば、いい線いくのに、残念だな。本当。
 おっと。俺の仕事はセシリア達のISの改修だ。
 今回は、向こうもそれなりに痛手を被ったようだし、委員会の一部門にして、アラスカ条約のお目付け役、法務局の局長は、国際法の権威で、永世中立国スイスから選出されているので、今回みたいなことも少ないだろう。
 というか、千冬姉にビビッてそうなったらしい。
 存在自体が怖いのか。
 普通にしてれば、そういう事はないんだけどな。
 やれやれ。

「な、何ですの?このEOSとかいう、欠陥品は。」
「HEGの方が、100倍マシよ。」
「だね。汎用性は高いし、パワーも、機動性も運動性も全部上。」
「何より、操縦者の保護にもウェイトが大きく裂かれているのが、大きな違いだな。」
「というか、却って足手まといよ。EOS。役に立つわけ?」
「立たないと思う。HEGは、フル稼働で6時間。ビルの工事現場でも鉄骨を運んで飛行して、そのまま溶接もできたりと、汎用性がすごく高いし。元々、機能拡張を大前提にして設計されている。EOSはフル稼働で10分台。性能も、HEGには遠く及ばないし、操作性も雲泥の差がある。HEGが普及すれば、建設現場や土木作業工事は、期間が一気に短縮される。」
 セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、玲子、簪は、それぞれ感想を言いながら、レポートを書いているが、HEGとEOSの性能は歴然としており、どちらが世界に普及するかは、認識が共通していた。

「差が大きいですね。HEGとEOS。」
「IS関係の技術を応用しながらも、男でも操縦可能。加えて豊富なオプションに、機体の拡張性の高さ。基本スペック、稼働時間、操縦性。どれをとっても、EOSでは対抗できん。ガラクタ以外の何物でもない。」
 職員室で、レポートに目を通していた真耶と千冬は、HEGとEOSの性能の差を、改めて認識していた。
「だが、こんなガラクタでも、使い道はあるかもしれん。そんな気がする。そこの所は、一夏の意見を聞いておきたい。」
「確かに、使い道はありますね。」
 HEGとEOS。
 性能は歴然としているが、共通している点を、2人は危惧していた。
 男でも、使用できるという点を。

 亡国企業のスコール直属の技術チームの研究施設で、スコールはある資料に目を通していた。
「資料は、読ませてもらったわ。エムにとっては、見るのも不愉快かもしれないけれど、この際、やむをえないわ。あのマッドドクターの、スタンドプレーを許すわけには、いかないわ。性能はゴーレムには劣るけど、搭乗者がいて初めて稼働するという点で、十分に補えるはずよ。今は、何機出せるの?」
「現在は24機が、最終調整に入っています。司令塔は、特別な調整が必要になりますので、時間が必要になりますが。」
「解ったわ。入念にお願いね。」
「了解しました。」

『厳密に言えば、人間ではない。けれども、あのドクターに対抗するには、このカードを切るしかないわ。向こうにしても、ゴーレムしかカードはないのだから、その点ではとりあえず互角ね。』
 アジトへ戻る途中、護衛に守られながらスコールは今後の事を、考えていた。
『本当は、私かエムが指揮を執るべきだけど、織斑千冬。それに、前モンド・グロッソのブリュンヒルデのヘンリエッテ・ブッフバルト。他にも各国の元代表候補、元国家代表、元軍人。優秀な人材が集まっているのにも加えて、生徒たちの技量も、こちらの予想を遥かに上回る高さ。おいそれとは、出られない。これ以上、ISを失うわけにはいかない。』
 メンソールの煙草に火を点けて、紫煙を吐き出す。
『それでも、いつかは戦わざるをえない。その時も、さほど遠くはないわね。』
 煙草を吸い終わったスコールは、エムからの報告書に目を通し始めた。
『やはりね。そういう事だったのね。これで、全ての疑問に答えが出たわ。準備にかかるとしましょうか。』

後書き
亡国企業の方では、スコールとエムが、遂に行動開始。
実動部隊を存亡の危機にさらされている状況では、まあ、当然と言えば当然です。
ただ、無人ではないようですね。
あくまでも、有人機。
しかも、エムに何らかの関係があるようです。
実質的な内部抗争。
未だ、実像が明らかになっていない、亡国企業という深淵は混沌としてきています。
一夏は一夏で、体質に変化が。
以前の様な、ハイリスクな訓練が可能な体質に。
千冬としては、かなり複雑な様子。
結論として、周囲がきちんと見守っていくという所に落ち着きました。
セシリア達は、原作で登場したEOSと一夏が開発したHEGのテスト。
話になりません。
ただ、改良によっては性能も向上し、男性でも使用可能なEOSに、千冬たちは危惧を抱いているのも、事実。
亡国企業は、EOSに興味を持つかで状況が、変わる可能性もありそうですね。




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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
一昨日から見始めたんですけど、本当に面白いですね!   もうこれが原作でいいのでは?笑             ところで、ISキャラでは誰が一番好きですか?       私は楯無が大好きです!
クンクン
2013/05/12 01:34
クンクンさん。
コメントありがとうございます。

>本当に面白いですね!もうこれが原作でい
>いのでは?
 楽しんでくださって嬉しいです。

>ISキャラでは誰が一番好きですか?
 一夏か、シャルロットか箒の究極の選択に
 なっています。
CIC担当
2013/05/16 01:36
こんばんは!
いつも楽しく読んでいます。
一夏の現時点のISとニュータイプが操縦するニュータイプ専用機体、どちらが勝ちますかね?(笑)
千冬×一夏、一夏×真耶の絡みをたくさん見たいなと厚かましくリクエストします。
体調も気をつけてお過ごしください
ザクザク
2013/05/18 20:26
ザクザクさん。
コメントありがとうございます。

>一夏の現時点のISとニュータイプが操縦す
>るニュータイプ専用機体、どちらが勝ちま
>すかね?(笑)
 どうでしょうね?
 考えたこともなかったです。
 でも、これって面白そうですね。
 何かのネタになるかも。

>千冬×一夏、一夏×真耶の絡みをたくさん
>見たいなと厚かましくリクエストします。
 一夏と真耶の絡みですか。
 なるほど。面白い話が書けるかもしれませ
 んね。
 一夏は、地獄を見るでしょうけど(笑)。

>体調も気をつけてお過ごしください
 ありがとうございます。
 お互いに気を付けましょう。
 梅雨入りも間近ですし、夏は熱中症のリス
 クがありますしね。
CIC担当
2013/05/21 21:21

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