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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第48話 更識家訪問始末記

<<   作成日時 : 2013/04/27 23:34   >>

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 神奈川県鎌倉市にある、鶴岡八幡宮。
 源氏が篤く信仰していた神社に、俺はいた。
 より正確に言うと、俺ともう1人だ。
「行きましょう。一夏君。」
 楯無さんである。
 俺はこれから、戦いに向かう。
 良くは解らんが、そんな気がする。
 なので、ここで戦勝宿願をしていたわけである。
 何で…?

「私の家に、行くわよ。一夏君。」
 はっ?
 何で、ですか?
 行く理由が、ありませんが。
「理由がないと、行きませんよ。色々、忙しいですし。」
 俺の発案で、亡国企業が送り込んだ産業スパイを、結構捕まえることができたので、取り調べの結果、得られた情報を元に、俺と千冬姉に山田先生。
 それに、IS委員会、インターポール、ユーロポールも加わり、組織の全容解明に、全力を注いでいる。
 ゴーレム自体は、鳳笙と神札で無効化できるので心配ないが、向こうには、サイレント・ゼフィルスがある。
 封月で無効化すれば、それで終わりだが、今は、ある理由から、俺が決着をつけるのはどうかと、思っている。
 もちろん、協力するのにやぶさかじゃない。
 ただ、色々と面倒になる可能性があるので、プランを考える必要がある。
 なので、色々とプランを考えている。
 他にも、色々とやってる事があるので、忙しい。
 仕事の方も、俺が片づけた技術的課題が増えるのに比例して、仕事が増え続けている。
 給料が増えているとはいえ、忙しさは半端じゃない。
「私の両親が、会いたがってるのよ。何しろ、更識家当主の私が、足元にも及ばない程の、剣術や武術の達人。興味を示して当然。」
 あ、そうか。
 楯無さんは、世の暗部を密かに処理する一族である、更識家の当主。
 当然、ご両親も、剣術や武術の達人だろう。
 簪も、そうだしな。
 それで、俺に会いたいのか。
 納得はしたが…。
 どうするか…。大詰めなんだよな…。
 考えていると、虚さんが、俺に頭を下げる。
 はあ…。解りました…。
「解りました。そういう事でしたら、お邪魔させていただきます。いつですか?」
「今週の土曜日よ。」
 急いでやれば、金曜日で終わるな。

 というわけで、俺は楯無さんの実家がある、鎌倉に来ているわけである。
 何でも、八幡宮が建立された時から、この地を守ってきた一族だったそうだが、源頼朝が鎌倉幕府を成立させたときに、直々に、だが密かに日本の暗部を処理し、幕府を支える一柱となる事を、頼朝に命じられたそうだ。
 その後は、幕府滅亡後に後醍醐天皇から、引き続き守る事を命じられたことから、表舞台の出来事とは関わりなく、日本を守り続け、明治維新後、国際社会にデビューしてから、各国の頭痛の種を密かに取り除くことになり、今に至る。
 古い一族なんだな。
 恐れ入ったぜ。

『よし。これで、一夏君を両親に会わせることができるわ。まずは、第一段階成功。』
 いくら、3年生の寮でルームメイトとはいえ、冬期休暇までの期間限定。
 そして、1年生には、一夏に想いを寄せる専用機持ちが、7人。
 さらに、仕事で関係する二階堂グループの令嬢である冬菊も、一夏に想いを寄せている。
 同年代で、既に8人。
 そして、友人の弾の妹の蘭も、一夏に想いを寄せている。
 調査によると、両親や祖父も、一夏が蘭の婿になるのを望んでいるとの結論が出た。
 さらに、アメリカ海軍には、ナタルがいる。
 信じられないことに、教師陣では、真耶も一夏に気があるようで、一夏が卒業したら結婚も考えている可能性があると、女の勘で、楯無は気づいた。
 油断など欠片もできないのが、今の状況。
 こうなれば、先手を打って、自分の虜にして。同時に、両親の許しも貰う。
 千冬は、自分に見向きもしないくらい、一夏を惚れさせて奪うならいいといったという情報が、既に入っている。
 初代ブリュンヒルデの千冬には遠く及ばないが、楯無とて、現役の国家代表。家事全般も、水準を大きく超える。
 女として、そこらの女子生徒に劣る事はないという、自負がある。
『なら、作戦で勝てば、私が優位に立てる。織斑先生。私は宣言した以上、弟さんを、一夏君を貴方から奪いますので、あしからず。』

 何か、楯無さんの表情が妙だな。
 企んでるっぽいぞ。
 嫌な予感が、するな。
 虚さんのお願いでもあるし、更識家の人達の、剣術や武術の腕前も見たいという、俺の欲求もある。
 確かに、行ってみたいなとは思ってはいたんだが、今回は、なんかまずい気がする。
 より正確に言えば、今回もか。
 この人が何か考えると、碌なことないからな。

「ここが、私の実家よ。」
 見事な、門構えだな。
 これだけ見事な武家屋敷は、そうそうないぞ。
 一言言えるのは、何だかんだでお金持ちだってことか…。
 庶民の俺には、別世界だな。
 ついでに…。

「7時方向、距離800。スナイパー、3ペア。使用弾種は、7.62mmNATO〜338ラプアマグナム。そんな所ですか。5時方向も同様。連射性と命中精度を両立させたいとなると、セミオートなら、ワルサー WA2000。ボルトアクションなら、シグブレーザー R93ですか。」
 小悪党が近づこうものなら、即、あの世行きか。
「プラス。バックアップが、トータルで1個小隊。全員凄腕。抜かりなしですね。さすがは、更識家ですか。」
「さすがね。今まで、そこまで正確に言い当てられた事、なかったのよ。鍛錬を抑えめにしても、伸びてるか。」
 イメージトレーニングの、成果だけどな。
 自己流の鍛錬を禁止されて、何かないかと模索して始めたイメージトレーニング。
途中から、精神を鍛えることも目標になり、その過程で感覚が以前とは段違いに研ぎ澄まされている。
 これくらいなら、難しくもない。

「で、門から入るまでに、さらに1個小隊。いつ敵が襲って来ても、おかしくないですか…。」
 俺は、HK454CTのマガジンの弾数を確かめて、サバイバルナイフの位置を確認する。
 よし。何かあっても、十分切り抜けられる。
「そういう一族だから。」
 楯無さんが、苦笑する。
 というより、苦笑するしかないんだろうな。
 大変だよな。ホント。
「じゃあ、案内するわ。ついてきて。」
 さて、向こうは、どう出るかね?

「やってくれたわね…。姉さん…。」
 ブッシュネル社製軍用双眼鏡フュージョンで、更識邸に入る一夏と楯無を見ながら、簪は憎らしげにつぶやく。
「思わぬところから、伏兵が来たな。人の嫁をかっさらうとは、いい度胸だ…。」
 ラウラは、エルマ社製スナイパーライフル SR100に、シュミット&ベンダー社製狙撃用スコープ 3−20×50 PM II/LP/MTC/LTを装着。338ラプアマグナムを装填しながら、言う。
「とにかく、作戦通りに行きましょう。」
 鈴の声に頷くと、全員が動き始める。

「ようこそ。話は、娘から聞いているよ。私は、更識守継。楯無の父だ。そして、先代の楯無でもある。」
 市議会議員を4期務めてから、今は鎌倉市の市長をしているそうだ。
 成程。
 どうりで、“気”が尋常じゃない。
 相当に強いな。この人。
 さすがは、楯無さんの親父さんで、先代楯無だけのことはある。
「母の陵子と、申します。娘から、お話は、かねがね伺っております。娘のISの改修をしてくださったり、簪との和解のきっかけを作ってくださったり、どれほど感謝しても、したりない程です。」
 簪と楯無さんの和解の件では、手紙を貰ったが、文からは、どれだけ、2人の事を心配し、和解したことを嬉しく思っているかが、よく解った。
 そして、お袋さんも、親父さんには及ばないものの、やはり強い。
 これぐらいでないと、更識家の人間は、やってられないって事か。
 世の暗部を、人知れず処理する一族。
 その一族であること自体、リスクだしな。

「お初に、お目にかかります。織斑一夏と申します。私こそ、楯無さんには、迷惑をかけっぱなしで、真に、恥ずかしい限りです。」
 茶道、華道、日本舞踊、舞、能楽等。
 様々な教養を身に着けていく過程で、体に染み込んだ礼節に則った挨拶を、一夏はする。
「そう、自分を責めることも、ないだろう。私も更識の人間。君の立場の難しさや、卓越した実力ゆえに苦しみを抱えている事は、それなりに耳に入る。」
 表向きは市長として執務をこなしているが、それでも独自のルートから、様々な情報は流れ込んでくる。
 その中には、一夏の物も少なからずあった。
 1学期で、更識の当主にして現役の国家代表である、楯無を破る強さを持ち、その後も、厳しい鍛錬を重ね、今や、世界でも5本の指に入るIS操縦者にして、世界でただ1人、第5世代ISである、白式を駆る。
 しかも、自らの改修案で、白式を第5世代にしたとなれば、情報はすぐに耳に入る。
 さらに、剣術や武術の達人、射撃、軍隊格闘術を含む、戦闘のエキスパート。
 どんな人間かと興味を持っていたが、一目見て、一夏が噂以上の手錬だという事が理解できた。
 だが、それを見抜くことができるのは、やはり相当の手錬のみ。
 一夏は、自らの“気”を巧みに隠している。
『あまり、そう言った事を知られたくはないのかな…。興味深い。』
 一夏という存在に、守継は興味を持った。

「一つ聞いていいかな。」
「はい。」
 うん?何だ。
「どうして、己が“気”を隠すのかね?我々程でなければ、君の強さは到底見抜けない。それに、僅かでも漂わせていれば、ゴロツキが絡んでくることも、ないと思うが…。」
 ああ。そういう事か。
 まあ。確かにそうだけどな。
「私は、誰かを恐れされるために、鍛錬を重ねてきたわけではありません。誰かを、守る為です。そして、今までの鍛錬は、己が心を鍛え、貫くべき信念を、見つける為でもありました。それが答えです。」
 もっとも、1学期の楯無さんとの決闘は、やり方に腹が立って、“気”を出しちゃったけどな。
 まだまだ、鍛錬不足か。
 冬休みは、どこかで鍛錬をしてくるかな。

「成程。君という人間が、解った気がする。済まなかったね。興味本位で、無礼な事を、聞いてしまったようだ。」
「別に、腹を立てているわけではありません。お気になさらず。」
 謝罪する守継に、穏やかな表情で一夏は言う。

『穏やかで、優しい。それにとても清廉で、どこか神聖さすら感じさせるわね…。楯無も簪も、恋をする訳が解るわ。』
 陵子は一夏を見ながら、そう思っていた。

「まずい。お父さんもお母さんも、一夏に好印象。このままは、まずい。」
「簪、落ち着いて。取り返しがつかない状態になる前に、ターゲットを奪還して、即撤収よ。道は、こっちでいいのね?」
「うん。私たち、更識一族と親しい人間だけの、専用通路。ここなら、警備に見つからずに、家に入れる。」
 玲子と話しながら、簪は、後続の鈴、セシリア、箒に合図を送り、前進を続ける。

 ん?
 随分、妙な所から、近づいてきてるな。
 しかも、警備の人達が気づいていない。
 秘密の通路って、やつかな。
 で、何で、あいつらが来てるんだ?

「そう言えば、君は、茶道もやるのだったな。遠州流師範の免状も、持っていると聞いている。」
「はい。亡き師に教わったものの一つです。剣や武術を修める者は、教養も持ち合わせ、礼節も身に着けなければならないと、言われまして。」
 自然に伸びた、背筋。
 それに伴う、姿勢の良さの理由を、守継は理解した。
「成程。知的で成熟した感じがするのは、そのせいかな。」
「ええ。それに、とても落ち着いていらっしゃいますわね。昨今、髪を伸ばした男性は、品がない人も少なからずいますが、あなたは違う…。むしろ、その方があるべき姿のように思えるほど、清廉で、気品を感じます。それに、ファッションセンスも、よろしいんですのね。」
 今日の一夏の服装は、ミディアムベージュのカジュアルスーツに、セシリアからプレゼントされた、アイボリーホワイトのスカーフにブローチ。アルスターコートである。
 最近、コートに関して、フォーマルでは、インバネスコートを。カジュアルでは、アルスターコートを着ている。

「ふん。人の嫁をかっ攫う奴がいるかと思えば、次は妙な邪魔者か。」
「ここから狙えるのが、4人。十中八九、陽動だね。」
 ラウラが不愉快な表情のまま、狙撃の準備をしている間に、シャルロットはブッシュネル社製、観測手用スコープ、Legend UltraHD 12−36×50で、状況確認をする。
「背後関係を、聞く必要がある。向こうの援護をしつつ、陽動役を、戦闘不能にする。そろそろついているだろうから、合流したら、終わらせる。」
「解った。」
 ファマスとストームのマガジンを確かめて、シャルロットは、観測手役に専念する。

「いや、実に見事なお点前だ。清夏か。名に如く、何とも、清々しい気持ちにさせてくれる。このような、良い気分になったのも、久しぶりですな。」
 守継は、一夏の茶人としての手並みを、絶賛する。
「恐縮です。ところで、奇妙な客人が、近づいてきていますね。」
 茶室で、歓談しながら、一夏は、簪たちとは違う気配を捉えていた。
「お恥ずかしい。どうにも、こういう日に限って、無粋な連中が来る。」
 茶器を浄めながら、守継は謝罪する。
「大丈夫ですよ。既に、加勢が来ています。私も、少し、体を動かそうと思いましたが…。」
「どうかなさいましたか?清夏殿。」
 陵子は、一夏を茶人の号で呼ぶ。
「少し、発散させた方が、よろしいでしょう。」
『成程。加勢は簪か。大方、彼を取り返しに来たな。確かに、発散させた方が良さそうだ。』
 一夏の言う事の意味に気づいた守継は、苦笑した。

「邪魔すんじゃないわよ!!馬鹿!!」
 鈴が、怒気を叩き付けるように、ノリンコ QBZ−97Bで、襲撃者たちを戦闘不能にしていく。
「間が悪いのよ。まったく。」
 玲子が、FN F2000タクティカルを撃ちながら、ぼやく。
「どうして、いつも。こう…。」
 ブッシュマスター ACRを撃ちながら、箒は自分の恋愛運の無さに、溜息をつく。
「もう少し、空気を読んでくださいまし!」
 イラつきながらも、セシリアは、コルト M4A1で、次々と襲撃者を仕留め続ける。
「更識を襲撃したこと、人の恋路を邪魔したことを、後悔させてあげる…。」
 レールシステムを搭載した、ステアー AUGA3の引き金を引く簪の表情は、冷たかった。

「次。2時方向、距離780。」
「足を狙う。苦痛にのた打ち回りながら、嫁を奪う機会を邪魔したことを、後悔しろ…。」
 高い精度で、ドイツ陸軍の特殊部隊で運用されている、SR100から飛び出した、338ラプアマグナムは、脹脛に命中し、脛骨を砕き、襲撃者は、苦痛にのた打ち回る。
「自業自得だね。じゃ、次、行こうか。」

 終わったか。
 何かよく解らんが、全員イライラしてたみたいだからな。
 族を片付けさせるのを兼ねて、発散させることにした。
 ストレスの類は、堪ると体に悪いしな。
 それに、個人戦闘のスキルを図るのにも、ちょうどいい。
 案の定、さっさと片付いたか。
 相手も結構なレベルだったが、運がなかったな。
 それにしても、何でイライラしてたんだ?
 考えても、まるで解らん。
 まあ、いいか。

 う〜ん。よくなかったかも…。
 外に出て、俺はそう思い直した。
族は戦闘不能になるレベルで、もちろん命に別状はなかったが、かなり痛めつけられている。
 やれやれだ。
 もうちょっと、手加減しろよな。
 まったく…。

「一夏。僕、聞きたいことがあるんだけど…。」
 ファマスのマガジンを交換したシャルロットが、何やらどす黒い気を発しながら、俺に近づいてくる。
 怖え…。
 何だ…?この寒気は?
「いや。楯無さんに誘われて、来ただけだが…。」
 嘘は言ってないよな。
 事実、その通りだから…。
「一夏さん…。どうして、何も考えずに、来られたのでしょうか…?」
 セシリアまで…。
 考えなしって…。
 何か、意味でもあるのかよ?
「ご両親にも、会ったんでしょ?簪の予想通りだと…。」
 そりゃ、会ったけど、それがどうしたんだ…?
 つうか、どうして怒ったような感じになると、目が虚ろになるんだ?鈴。
 頼むから、落ち着けって…。
「一夏…。相手のご両親に会う事の意味、知ってる…?」
 玲子、落ち着け…!
 お前まで、セシリア達みたいになってどうする!?
 昔のお前に、戻ってくれよ!!
「一夏。お前は、浮気という言葉を、知っているか?罪は重いぞ。」
 ラウラがナイフとG36Cを持ちながら、殺気を漂わせて近づいてくる。
 てか、浮気してねえじゃん!!
 誰とも付き合ってねえぞ…!
「一夏、やはり、お前は、斬る必要がある…。」
 箒が緋宵を抜き、切っ先を俺に向ける。
 何で、斬られなきゃならないんだよ!?
 俺が、何やったんだよ!?
「一夏、やっぱり、姉さんだと有利なんだ。そうなんだ…。」
 だから、小太刀抜くな。簪。
 いつもだけど、その時のお前は、無茶苦茶怖いぞ。
 頼むから、しまってくれ。
 ん?
 たく、こんな時に。
 ああ、もう!
 こっちのほうが、イラついてきたぜ…。
 あれ使うか。
 必要あるし。

「ちょっと離れてろ。いつもの連中が来た。」
「そうか。懲りん奴らだ。」
 ラウラが、精神のチャンネルを即座に切り替える。
 さすがに、軍人だな。
「いや。俺だけでいい。正直、憂さ晴らしがしたいしな。」
 そう言って、俺は大口径加農砲「須佐之男」と雷神を実体化する。
「危ないから、下がってろ。威力が、半端じゃないからな。」
 それじゃ、いくか。
 俺は須佐之男を、立て続けに発射する。
 見事に命中し、ゴーレムは機能停止して海に落ちる。
 一気にカートリッジを空にしたので、交換する。
 次は、須佐之男と雷神双方を使う。
 さすがに、ヤバイと判断したのか、ゴーレムは回避しようとするが、そうは問屋がおろさない。
 弾道が変化して、ゴーレムに命中し海に落ちる。
「偏向射撃!?」
「そんな。あれ、普通のHEIAP弾の筈だよ。一夏が改造したの?」
「いや。してないよ。」
 そう。確かに改造してない。
 改造はな…。
 にしても、多いな。
 雷神を使うか。
 次の瞬間、皆が息をのむ気配が伝わった。
 ま、当たり前か。
 カートリッジ式の大口径荷電粒子砲であるはずの雷神が、零落白夜の巨大な刃を発射口から発生させてるんだからな。
 そして、刃はゴーレムのシールドエネルギーを、一気に奪いつくし、機能停止して、全滅する。
 須佐之男と雷電を量子化して、俺はIS学園に回収の手配を済ませる。

 一夏の戦いの様を、セシリア達は呆然としながら見ていた。
 須佐之男も雷神も、ISの兵装の中ではかなりの重量級。
 通常ならば、両手で扱う。
 だが、一夏は、それを生身で、しかも片手で扱ってみせた。
 発射時の衝撃に、よろめくこともなかった。
 さらに、偏向射撃までしてのけた。
 カタログスペックでは、双方にそのような機能はない。
 ましてや、雷神が零落白夜を発生させるなどとは、どう考えてもありえない。
 嘗ては、最新鋭ゴーレム6体と生身で戦ったことはあるが、3体を倒したところで、一夏は、生きている方が不思議なほどの、重傷を負っていた。
 その後は、白式が緊急防衛システムを構築し、倒すことができたが、経過を見守る必要が生じて、5日間の入院生活を送った。
 だが、今の一夏は、あの時とは違う。
 おそらく、あの時と同じ状況でも、一夏は、ゴーレム相手に後れを取る事は、決してないだろう。
 ヘンリエッテが教官に着任し、悩み、苦しみながらも、一夏は、恐ろしいスピードで、成長している。
 その事を、皆は思い知っていた。

「で、一夏さんの事をどう思われますか?あなた。」
 夕食を済ませた後、陵子は本に目を通している守継に、一夏の印象を尋ねる。
「そうだな。どちらが、心を物にしても、我々には、よい息子ができる。孫の顔が楽しみだ。ま、ライバルが多いから、一筋縄ではいかんがね。今日は、色々あって、彼の腕前を見れなかったが、今度は私が呼んで、見せてもらおう。」
「そうですわね。では、部屋の用意もさせないと。」
 結論として、楯無と簪の両親は、一夏をすこぶる気に入っていた。

 やれやれ。
 えらい目に遭ったぜ。
 セシリア達は、千冬姉にさんざん説教されて、反省文と懲罰トレーニングを課せられた。
 何でも、俺を連れ戻すために、襲撃しようとしたらしい。
 完全にまずいだろ。それ。
 犯罪だって。
 そして、俺も千冬姉から、説教を喰らった。
 隙だらけの性格を何とかしろとか、これ以上、頭痛の種を増やすなとか言われて、今まで以上の地獄のトレーニング。
 何とか、耐えられたけどな。
 CQCと剣術の稽古では、6本に1本は、取れるようになったからな。
 当面の目標まで、あと3本。
 頑張るか。
 何はともあれ、ゴーレムのサンプルもまた入ったし、そこから、色々な事が解った。
 コアもどきを核とするシステム自体は、相変わらず、変わりなし。
 ジェームズ・グレイは、自分の理論の完成に拘ってるな。
 けど、それじゃあ、どんなに改良しようが、どん詰まりだ。
 ま、今は、連中の本拠地を突き止めるのが、最優先事項。
 こっちも、分析しつつ、対抗手段の改良はしているからな。
 それに、第四形態移行後に加わった、ワンオフアビリティ。
 兵装のスペックや特性を操作する、特殊デバイス制御機構「思兼神」。も、問題ない。
 これがあれば、即座に且つ、バリエーションに富んだ戦いができる。
 俺を誘拐して、千冬姉や箒を悲しませてくれたのも、ジェームズ・グレイである可能性が高い。
 なら、きっちり、償いをさせてやる。
 覚悟しておけよ。
 そう決意して、俺は白式の改良案を纏めるために、機体データに目を通す。

「さすがだな。いいデータが、集まってくる。」
 端末には、パターンデータが、大量に表示される。
 そして、その男がいる研究室にある、大量のスーパーコンピューターは、システムの構築を開始する。
「強くなって貰わんと困るぞ。そうでなければ、良いデータは得られん。子供の時でさえ、良いデータが取れた。今度はどうかな?」
 男は、歪んだ笑みを、浮かべる。
「ISなど、この私が蹴散らして見せる。篠ノ之束。あの小娘に、この私が劣る物か!私の理論が完成した暁は、その事を思い知らせてやる。だからこそ、幹部連中に、私が自由に動く事を承諾させる為に、便宜を図ってやったのだからな。歴史に寄生する、亡霊どもにな…。」
 亡国企業の正体を知り、ゴーレムを開発し、一夏を攫い、束とISを憎む男。
 ジェームズ・グレイは、さらに性能が向上した、新型ゴーレムの最終調整を始めた。

後書き
一夏が、更識家の本邸に行く話です。
ここで一気に自分の物にして、一気にゴールへの道を独走したかった楯無ですが、世の中うまくいきません。
セシリア達が、指をくわえてみている筈はなし。
とはいえ、犯罪行為と言ってもいいレベル。
何、やってんだか。
そして、初お目見え。
白式の新たなワンオフアビリティ「思兼神」。
兵装の特性やスペックを自在に操作する、とてつもない能力です。
今の白式が、どれだけ異常に進化したISかが解ります。
元ネタは、そらのおとしものfの11話で、ニンフが使用した能力です。
そして、こちらも初登場。
ゴーレムシリーズの開発者、ジェームズ・グレイ。
負けて、怒り心頭かと思いきや、良いデータが入ったと喜んでいる始末。
まだあきらめる気がないようですが、それより理論は解決していないとなると、ゴーレムは更なる性能向上がありそうです。
しかも、苦戦する可能性すらありそうです。




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