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zoom RSS ガールズ&パンツァー 二次創作 第11話 「準決勝スタートです!」

<<   作成日時 : 2013/04/14 17:05   >>

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『プラウダの傾向から考えると、守りに適した装甲の厚い戦車が出てくるのは、確実。JSシリーズか…。それに、心理的にも安心させる効果があるKV−2。後は駆逐戦車の類が出てくるかだよね。15両中、囮等に使うためにも、T−34系が、8両は必要になるはず…。KV−2に、JS−2か3が2両は多分出てくる。後はT−34が76mm砲搭載型か85mm砲搭載型かどちらかか…。』
基本構想は定まった物の、細部が定まらずに、みほは帰宅してから、何度もシミュレートを重ねていた。
 準決勝時の大洗女子の編成は、フラッグ車のケーニヒス・ティーガー、E−75をベースにした改造型ケーニヒス・ティーガー、ブラック・プリンス歩兵戦車、エンジンがなかった車体に、ストックしていたエンジンを搭載したT−26E4 スーパーパーシングの重戦車4両に、ISU−122BM重駆逐戦車の122mm加農砲BL−7とマイバッハHL234 4ストロークV型12気筒液冷ガソリンエンジンを使用してレストアした、ISU−152BM重突撃砲2両。主砲を17ポンド砲に換装、ファイアフライに準じた改造をした、M4A6シャーマン中戦車5両。100mm戦車砲D−10Sを搭載した、T−34−85中戦車2両の中戦車7両、IV号中戦車/70(A)の中量級突撃砲2両。
 重量級車両6両に、中量級車両9両と編成としては申し分ないし、練度もさらに上がっている。
『15両編成になると、より防御力の高い重戦車を、フラッグ車にする可能性も出てくる。JS−3を想定した方が、正解かも。切り札的な戦車を、惜しみなく投入すると考えた方が、いいのかな?とすると、T−34は85mm砲搭載型が8両。中戦車部隊はこれで編成して、重戦車か。KV−2は出てくるとして、後、6両。フラッグ車をJS−3と仮定して、残り5両もJSシリーズかな。側面を狙えば、勝機はある。後は、こちらが冷静に行動できれば、でも…。』
 みほは、外を見る。
 試合会場は、北の方なので既に雪が降っていた。
『防寒装備があっても、不安があるな。皆、本格的な雪原での試合は、初めてだから…。休める所があれば、いいんだけど。休める…?』
 みほはしばらく考え込む。
「よし。これで行こう。後は、戦車の編成の予想が当たるかか…。」
 みほは再び、ノートパソコンに向かって、過去のデータから、予想を再開した。
『両翼にJSシリーズを2両ずつ展開させて、やっぱり正面は厚くしてくる可能性が高い。フラッグ車を守り、こちらに砲火を集中させるのにも、適切だし。ノンナさんがいる以上、JSシリーズがもう1両いる可能性も考慮するべきか。あくまで予想だけど、最悪の展開を考慮したが方がいい。向こうも必死だろうから。』
 プラウダの編成を予想し終わったみほは、電気を消してベッドに入る。

「よし。今日はこれまで。」
 桃の声で、訓練が終わる。
「慣れてきたけど、戦車には暖房ないから、ホント寒い。」
「冬用の制服なければ、手が動かなくなるところでしたわ。」
「私は眠ってしまいそうだった。」
 慣れない冬の戦車の中で、大洗女子のチームは最初こそ動きが鈍かったが。訓練を積むにつれ慣れてきた。しかし、予想以上の寒さに、完全には、慣れ切っていない。
「後、2日。この寒さに慣れるんだ。試合会場はもっと寒い。気を引き締めろ。いいな。解散。」
「お疲れ様でした。」

「お風呂いこ。お風呂。暖まりたい。」
「そうだよね。でも、慣れないと。」
「試合中じゃ暖かい物飲んで、休めないしね。」

『やっぱり、寒さ対策必要か…。』
「西住ちゃん。ちょっと生徒会室までいい?」
「え?はい。私も、ちょっとお話がありますから。」
 杏の提案は、みほにとっても渡りに船だったので、ちょうどよかった。

「それにしても、寒いね。半纏が恋しくなるよ。」
「そうですね。」
 生徒会室には、こたつが用意されていて、さらにあんこう鍋に、唐揚げや照り焼き等の料理が並んでいた。
「北緯50度を、越えてますからね。」
 柚子はこたつの中に手を入れて、暖めていた。
「まったく!何で、試合会場をルーレットで決めるんだ!!」
 寒さで、桃は、すっかり機嫌が悪くなっていた。
「私は、結構楽しかったですけど。あ。逆に暑いところは大変でしたね。北アフリカ戦線の軍服に似た制服を作っても暑かったですし、日焼け止めも必要でしたし。」
「紫外線は、お肌の大敵だからね〜。」
 杏が、納得したように頷く。

「それで、私からお話なんですけど。何かしらの寒さ対策をしておきたいんです。だいぶ、慣れては来ましたけど、大洗周辺の気候とは、あまりに違いますから。」
「実は、その点で、私達も相談したかったんだよね。プラウダは雪原や寒い中での試合に慣れてるけど、こっちは初めてだからね。」
 杏子がちょうどいいと言わんばかりに、用件を切り出す。
「各車に、温かい飲み物を持たせてはいかがでしょうか?しょうが湯は最適だと思いますが。」
「それいいね。採用。」
「後は、念の為、九七式炊事自動車を用意しておきませんか?オーブンとかも追加してますから、いろいろ作れますし。」
「そうだね。料理の内容は、小山に任せるよ。」
「はい。」
「さ。対策も決まったところで、あんこう料理といこうか。今まで頑張ってくれた西住ちゃんの労を労いたかったから、呼んだっていうのもあるしね。もちろん、優勝したら、皆で食べるよ。」
「はい。」
 みほが、嬉しそうに笑う。

「いいんですか?会長。その…。」
 みほが帰った後、柚子が杏に話しかける。
「今はさ。西住ちゃんを信じようよ。最初さ、想像してた?素人だらけのチームが、聖グロリアーナ女学院との親善試合で、パーフェクトゲーム。好敵手と認められて、向こうは決勝でリベンジを狙って、私達は、準決勝まで勝ち上がってきた。ここまで連れてきてくれて、ここまで来れるように、指導してくれたのは、西住ちゃんだよ。これ以上、重荷を背負わせるのは、やっぱり駄目だよ。それにさ。プラウダは強いけど、西住ちゃんの作戦なら、きっと大丈夫。私はね。そう思ってるよ。安心して、任せられる。」
 杏は真っ直ぐに、柚子を見る。

「ゆかりんの家って、床屋さんなんだ。」
 翌日、まだ、完全に作戦を決めきっていないみほを案じて、沙織の提案で、対プラウダ戦の作戦会議を開くことになり、場所は優花里の実家になった。
「ただいま。」
「おかえりなさい。あら、お客さん?」
「あ、いらっしゃいませ。」
 優花里に良く似た女性と、パンチパーマの男性が客を出迎える様に、挨拶する。
「違うよ。いつも話してる。戦車道のチームの人達。お父さんとお母さんです。」
「西住みほです。」
「五十鈴華です。」
「武部沙織です。」
「冷泉麻子です。」
 自己紹介をされた、優花里の両親。特に父親は呆然となる。
「優花里の母です。いつも娘がお世話になっております。」
「お、お世話になっております。」
 よほど驚いたのか、父親は土下座までした。

「戦車に関係するので、一杯だね。」
 沙織が、部屋を見回して驚く。
「小さい時から、戦車が大好きで。でも、話しが合わなくて…。」
「でも、今は話しが合うよね。私達と。」
 優花里の小さい時の話を聞いて、みほが今の事を話すと、優花里は嬉しそうな笑みを浮かべる。

「基本的には、退いてからのカウンターか。でも、去年、みぽりんに、散々にやられたんでしょ?アレンジしてくるんじゃないかな?」
「その可能性はあるな。逆に、徹底的に攻めてくるかもしれない。」
 沙織と麻子が、プラウダが従来とは違う戦術でくる可能性を、指摘する。
「今までの、プラウダ高校の戦い方は、T−34の防御力で敵の攻撃を跳ね除けて、一気に叩く、力攻めでしたけど、それ自体が、罠かもしれませんよ。」
 母に頼んで全国大会の全ての試合を録画していた由香里が、1回戦からの戦いが罠の一部ではないかと、意見を言う。
「否定はできませんわね。みほさんは、どう思われます。」
「私も、そこの所で判断が、まだついてないの。独ソ戦の中で性能が向上していったドイツ、ソ連の戦車の性能は、西側を一回りも二回りも上回るから。」
 大規模な戦車戦が幾度も起きた、東部戦線で、ドイツ、ソ連双方とも、相手を上回る戦車の開発に血道を上げたが、進化は恐竜的で、同クラスの中戦車。たとえば、M4シリーズと、T−34シリーズでは、明らかに性能に差があり、重戦車にしても、JSシリーズは、パーシングやブラック・プリンスといった戦車を凌ぐ強力な重戦車となった。
 攻撃、防御、どちらを主体にしても、充分に戦えるだけに、みほも判断に迷っていたのである。

「隊列そのものを、どっちにも対応できるようにしてみようよ。もう、それができるくらいの練度に、なっているでしょ。準決勝は15両だけど、その編成でも、不安はないし。」
「成程。それが無難ですね。重量級で牽制して、中量級が機動力を活かして、敵をかく乱する。」
 由香里が、沙織の案に賛成する。
「そっか。うん。それで行こう。迷いがすっかり晴れたよ。沙織さん。由香里さん。ありがとう。」
 みほが、2人に頭を下げる。
「気にしない、気にしない。同じ戦車で戦ってるんだから。」
「西住殿にお礼を言われるなんて、夢みたいです。夢じゃないんですよね?現実なんですよね?」
 顔を真っ赤にした由香里を見て、皆、笑った。

「みなさん。夕ご飯できましたよ。」
「え?いいんですか。」
 由緒ある家で育ったみほは、礼儀作法についても厳しくしつけられているので、図々しいと思える事は、できない。
「いいのよ。今日は、記念すべき日だもの。由香里が、友達を家に連れてきたんだから。」
 由香里の母が、笑顔で言う。
「せっかくのご好意ですし、ごちそうになりましょう。」
「そうだね。では、頂きます。」

「それにしても、まさか、西住さんが、由香里の友達にねえ。世の中、何があるかわからないわね。」
「どういう事ですか?」
「お母さん。ストップ、ストップ!」
 由香里が顔を真っ赤にして、母親の言葉を遮ろうとする。
「由香里にとって、西住さんは憧れだったんですよ。中学校の戦車道の大会から、ずっと西住さんの試合は録画して、保存版もあるくらいですから。」
「そうなんですか?」
「ええ。だから、戦車道が復活して、西住さんと同じ戦車に乗ることが決まってから、本当に、毎日、活き活きとしているんです。西住さんと他の皆さんに、親として心から、お礼を申し上げます。」
 優花里の母が、手をついて礼を言う。
「そんな。どうか、手を上げてください。私も、親しくしてくれる優花里さんには、本当に感謝してくれるんです。」
 勝つことを何よりも尊ぶのが、西住流。
 だが、そうではない、自分の戦車道を見つける手伝いをしてくれた、大洗のチームメイトに、みほは心から感謝していた。

 そして、準決勝の日が来た。
「さむ!何、この寒さ。」
「ここで試合…。長引くと、大変ですね。落ち着きながらも、できるだけ早く終わらせないと、こちらが不利になるかもしれません。」
「私もそう行きたいけど、プラウダはそれを簡単にさせてくれる相手じゃない。敵の戦車を発見したら、できる限り撃破しないと。罠を張るにしろ、守りを固めるにしろ、戦力不足にさせれば、隙が見えるかも。」
 唯一、雪原での戦いに慣れているみほが、皆の様子を見て。基本戦術を考える。
「その、プラウダが来たぞ。」
「西住殿の予想が、当たりましたね。KV−2重戦車1両、JS−2重戦車4両、JS−3重戦車2両、T−34−85中戦車8両。」
 双眼鏡で、優花里が車種を確認する。
「うん。できれば、こっちを甘く見てほしかったけど、そうもいかないみたい。とにかく、いつもどおり、ベストを尽くして戦うだけだよ。」
 KV−2、JS−3といった強力な重戦車が、加わっているのを見て、プラウダ戦は厳しい戦いになると、みほは確信していた。
「私、信じてます。皆で力を合わせて戦えば、どこにも負けないって。私だけじゃない。皆も、そう思ってますよ。」
「え?」
 優花里に言われて、みほは後ろを見る。
 今まで、戦ってきたチームの皆が、みほを信頼の目で見ていた。
「そうだね。そうだよね。優花里さん。頑張ろう。」
「はい!」
 プラウダ高校の戦車、15両が、横一列に並んで止まり、トラックが走ってくる。
「ZIS−6 6輪貨物トラック。世界初の自走ロケット砲、BM−13を搭載したトラックですね。」

「地吹雪のカチューシャに、ブリザードのノンナか…。」
 プラウダ高校との戦いに向けて、訓練を積み重ねながら、杏子は隊長のカチューシャと副隊長のノンナについて、調べていた

「まさか、あなたが無名校をここまで引っ張って来るとは、思わなかったわね。ありあわせのパーツで完成させた戦車ばかりだけど、性能は良かったわね。驚いたわ。でも、去年の用にはいかないわよ。覚悟しなさい。」
 小柄なカチューシャは、相手から見下ろされるのを嫌うため、こういう場合、ノンナに肩車をさせる。
「肩車させて、何、偉そうにしてんのよ。」
 呆れた沙織が、小声で呟く。
「聞こえたわよ!!よくもカチューシャを馬鹿にしたわね!粛清してやる!!行くわよ、ノンナ。じゃあ、覚悟しててね。ピロシキ〜。」
「до свидания(さようなら)。」

「今回の試合会場は、雪原地帯で、森も多くあります。伏兵の可能性がありますので、各車は、いつも以上に警戒しつつ、いつでも、砲撃できるようにしてください。攻撃的に出ても、退いてからのカウンターに出ても、対処できるように、隊形を組みます。慌てず落ち着いて、確実に、相手を撃破していって下さい」
 みほが、全員に、今回の戦術について、説明する。
「互いの知恵比べか。プラウダがどんな罠を仕掛けてくるかだね。」
「森に潜む可能性があるという事は、さらに、戦力を投入する可能性が、あるな。引きずり出しつつ、撃破して、敵が弱まったところを、食い破るべきか。」
「サンダースの作戦も、研究しているはずだ。あの時の様にはいかないな。」
 杏子、周瑜、エルヴィンが考え込む。
「火力では、こちらもそう劣らん。各チームの砲手の腕の見せ所だ。」
「いずれにせよ。勝つために全力を尽くすのみだ。」
「ま、結局はそうだよね。西住ちゃん。私たちは、西住ちゃんの指揮に全面的に従う。信じた以上は、どこまでもね。頑張って、プラウダに勝とう。」
 皆が、杏子の言葉に頷く。
「解りました。なら、私も信頼に応えます。」
「全員、速やかに、搭乗!」
 桃の声で、各チームが戦車に搭乗する。

 試合が開始され、大洗女子チームは、周囲を警戒しつつ、進んでいく。
「森が多いと、やっぱり見通しが悪いですね。木と木の間隔が、かなり狭いですし。」
「でも、逆に言えば、相手も森に伏兵は敷きにくいかもしれませんね。砲撃するにも、苦労しますし。」
「そうなんだけど…。」
『カチューシャさんがその程度、弁えてないはずがない。こちらを焦らして判断を誤らせる気?』
「こちら、カモチーム。敵の偵察らしき人影が、微かに見えました。」
「各車警戒。砲弾をいつでも装填できるように、砲手も備えてください。
「「了解。」」

「偵察員より連絡。敵部隊発見、時速30kmでこちらに向かってきます。周囲を固めつつ、前方に改造車と思われるケーニヒス・ティーガーに、ブラック・プリンスといった、火力の高い戦車が配置されています。」
「こちらがどう出ても、対処できるようにしてるのね。相変わらず、可愛げがないんだから。」
 みほの抜かりの無さに、カチューシャはボルシチを食べながら、憎まれ口を叩く。
「じゃ、こっちも行くわよ。」
 プラウダ校も、行動を開始する。

『こちらを、引きずり込んでからの戦術かな?動きがなさすぎる…。』
「こちら、アヒルチーム。T−34−85、4両を発見。距離1600m。」
「各車警戒。砲弾を装填。攻撃用意。1000mで砲撃を開始。」
「装填完了。」
 優花里が、素早く88mm砲を装填する。
 大洗女子チームの前衛は右翼が、あんこうチームのケーニヒス・ティーガー改、レオポンチームのブラック・プリンス歩兵戦車、JSU−122BM重駆逐戦車の122mm加農砲BL−7に戦車砲を換装した、JSU−152BM重突撃砲に搭乗する、新編成された、グリズリーチームで編成され、左翼は、新たに編成された、100mm砲を搭載した、T−34−85に搭乗する、ミンクさんチーム、ラッコさんチーム、新編成された、ユキヒョウチームで編成され、他のチームが、フラッグ者であるカメさんチームを護衛するように配置されている。
「距離1000m。砲撃開始。」
 前衛の6チームが、砲撃を開始する。
 あんこうチームの88mm砲とレオポンチームの17ポンド砲が、T−34−85に集中砲火を浴びせ、グリズリーチームの122mm砲が、T−34−85に命中する。
 左翼はミンクさんチームの100mm砲が、T−34−85を撃破し、ラッコさんチームの100mm砲とユキヒョウチームの122mm砲が、T−34−85を袋叩きにする。
「やりました!一気に4両撃破です!」
 優花里が、嬉しそうに声を上げる。
「西住ちゃん、これちょっと罠くさくない?」
 杏から、無線が入る。
「会長も、そう思われますか?」
「こっちの主力戦車の戦車砲じゃ、T−34−85なんか、ひとたまりもないくらい、解る筈だよ。囮の類だね。試合前に西住ちゃんが言った通り、確実に撃破して、相手の防御を削り取った方がいいと思うよ。」
「私もそう思います。各車前進再開。但し、今まで以上に、警戒を厳重に。」
「「「「「了解!」」」」」

「囮が、全滅!?」
 待機している地点で、カチューシャは囮として出した、4両が全滅した報告を受けて、愕然とした。
「やはり、侮れませんね。大洗女子、戦車の性能もそうですが、メンバーの練度も。」
「言われなくても、解ってるわよ!!」
 ノンナの冷静な指摘に苛立ちながらも、カチューシャは作戦の修正にかかる。
「T−34の残り4両は、私に続いて。敵を包囲網に入れて、後方を遮断するわ。」
 自ら乗車する戦車であり、フラッグ車でもある、第二次大戦期における、ソ連最強の重戦車、JS−3に搭乗する。
「ノンナ。残りの6両をこの通りの配置につかせて。」
「解りました。」
 残りの戦車の配置を書いた、紙を渡す。
「相手は、毎時30km。思ったより、早く近づいてくるわね。行くわよ!」
 カチューシャ率いる、囮部隊が大洗女子チームの方向に向かうと、ノンナは、自分が乗車するJS−3の無線を使って、各車に指示を出し、準備を整える。

「あれ以来、全然こないね。」
「うん。だからこそ、却って不気味なの。カチューシャさんが4両撃破されて、黙っているはずはない。何か、罠を準備しているはず。」
 みほは双眼鏡の倍率を最大にするが、敵戦車の影も形も見えない。
「西住殿。よければ、これ、使ってください。」
 優花里が布袋に入れて持ちこんだものを渡す。
「これ、砲隊鏡。優花里さん、持ってたの?」
「はい。前に見かけて、どうしても欲しくなって、買ってもらったんです。」
 砲隊鏡は、砲兵が重砲の着弾観測をする際に使用する、測距儀の一種で、双眼鏡より、遥かに遠くを見ることができる。
「ありがとう。すごく助かる。」
 みほは優花里の手を取って、礼を言う。
「西住殿にお礼を言ってもらえるなんて、夢のようであります。」
 嬉しそうにする優花里を見て、微笑むと、みほは砲隊鏡で、周囲を警戒する。
「各車警戒!JS−3、1両。T−34−85、4両接近。尚、JS−3はフラッグ車です。距離5000。その後方3700に民家を模した遮蔽物と、教会らしき建造物を確認。」
「一気に、大博打に出てきたな。遮蔽物が罠か。」
「向こうにばかり、有利じゃないですよ。麻子さん。」
 みほが微笑みながら、言う。

「プラウダも、大胆な行動に出ましたね。」
「本当は最初の4両で、引き込む予定だったんでしょうけど、全部撃破されてしまったから仕方ないわ。カチューシャさんとしても予定外の行動ね。」
 カチューシャが囮になったことに、オレンジペコは驚いていた。
 ダージリンも驚いていなかったわけではなかったが、囮部隊の全滅を受けての、苦肉の策だという事を、理解していた。
「この後は、遮蔽物に囲まれた場所に引きずり込んで、包囲殲滅といったところかしら?でも。」
「でも?」
 ケイの返答をダージリンは待つ。
「みほが、想定していないとは、思えないのよね。あの状況を利用するような。そんな気がするのよ。根拠はないけど。」
 みほの策は、戦理にかなっても、常識や固定概念に囚われない。
 それ故に、読みにくいので、みほが何を考えているかわからなかった。

「全車、敵の囮部隊の後退に、釣られるようにしてください。砲撃は控えめに、ぎりぎりあたる程度に。」
「別の意味で難しいな。」
 左衛門左が苦笑する。
「ゴモヨ。解ってるわね。」
「うん!」
 風紀委員で構成され、スーパーパーシングに搭乗する、カモさんチームの車長、通信手、装填手を務める園緑子こと、通称そど子が、砲手の後藤モヨ子こと、ゴモヨに言う。

「見えたぞ。」
「全車、打ち合わせ通りに砲撃開始。敵が砲撃した際は散開しつつ回避。その場で、小隊ごとに隊形を組みなおしてください。」
 大洗女子チームが砲撃を開始するが、みほの指示通り、ぎりぎり直撃だけは免れる。

「やってくれるじゃない。適当に反撃しつつ、全速後退。相手を誘い込むわよ。」
 T−34−85の85mm砲4門とJS−3の122mm砲が、発射されるが、訓練に訓練を重ねた操縦技術で、全て回避する。
「このまま、追撃に入ります。おそらく。民家に囲まれた開けた場所に、我々を引き込むつもりのはずです。その際、私たちはその目の前の、教会のような建物の中に、退避してください。」
 みほの指示に首を傾げないわけではないが、全員がみほを信頼しているので、みほの指示を信じた。
 やがて、囮を務めていたカチューシャ達が、左右に分かれ、各所に隠れていた、プラウダ高校の戦車が現れる。
「全車、全速!」

「全車、あの建物に、砲撃!榴弾を使用!」
 プラウダ高校の残存戦車11両が、一斉に建造物に、砲撃を開始する。

 砲弾が命中し、その振動で、天井から小石状の欠片が、パラパラと落ちてくる。
「大丈夫。落ち着いて。」
 怯えるチームメイト達に、みほは声をかける。
 次の瞬間、20口径152mm榴弾砲M−10 M1938/40の榴弾が命中し、入口の30cmほど上に、大きな穴が穿たれる。
「KV−2の152mm榴弾砲ですね…。」
 優花里の表情が、暗くなる。
『いける。これなら、充分。』
 対照的に、みほは笑みを浮かべていた。

 少しして、白旗を持った、プラウダ高校からの伝令が来る。
「カチューシャ隊長からの言伝を、預かってまいりました。「いまなら、土下座をすれば許してやる。猶予は3時間。」では、確かに伝えました。3時間後に返答を聞きにまいります。」
 伝令は、すぐに戻る。

「ふざけるな!!何が降伏だ!!そんな事をすれば…。」
 桃が泣くのを堪えるような表情になって、叫ぶ。
「桃ちゃん…。…!」
 柚子が何かに気づいて、止めようとする。
「我が校は、無くなってしまうんだ!!」
 全員が、桃の言葉を聞いて呆然となる。

『もう、隠せないか…。』
 言うべき時が来たと、杏は悟った。
「河嶋の言うとおり。もし、この大会で優勝できなければ、我が校は廃校になる。」
 非情な現実を、杏子は伝える。

後書き
いよいよ、プラウダ高校との準決勝第一試合。
T−34とKV−2は当然として、残りはどうしようか考えた結果、JS−2、JS−3と、第二次世界大戦のソ連最強の重戦車を、惜しまず出すことにしました。
戦術はだいぶ悩みましたね。
プラウダは、原作通り相手を罠に嵌めて包囲殲滅にすることは決めていましたが、肝心の大洗女子学園側の戦術が、中々決まらなかった時に、第9話の動画を見て、退避した教会みたいな建物を利用できないかと考えて、そこから、戦術が組みあがりました。
さて、みほはどういった策を用意しているのでしょうか?
ヒントは、今回の話にあります。


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