cogito,ergo sum

アクセスカウンタ

zoom RSS ガールズ&パンツァー 二次創作 第9話 「2回戦始まります!」

<<   作成日時 : 2013/04/01 23:54   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 山岳地帯の麓を模した試合会場で、2回戦第1試合、ヴァイキング水産高校とプラウダ高校の試合が行われていた。
 しかし、それも長くは続かなかった。
 第二次世界大戦での傑作戦車、T−34シリーズ。
 これを主力とするプラウダ高校の前に、ヴァイキング水産高校は、抗う術もなかった。

「試合終了、プラウダ高校の勝利。」

「ま、当然と言えば当然か。」
「さすがに強い。」
「戦車も、強力な物を揃えていますから…。」
 2回戦第2試合はアンツィオ高校との試合なので、大洗女子チームは全員が濃紺のジャケットと白のプリーツスカートの試合用の制服に着替えて、試合を見ていた。

「そっか。隊長はカチューシャさんか…。」
「みぽりん、知ってるの?って、去年、決勝はプラウダとだったっけ。」
「うん。去年は副隊長。決断力は優れてるし、罠も巧妙だから要注意なんだ。副隊長はノンナさんかな。いつも沈着冷静で、サポート役はうってつけだから。」
 あんこうチームは試合が終わった後、プラウダの印象を話し合っていた。
「あのクールそうな方が、ノンナさんですか?」
 華が、85mm砲を搭載した、T−34−85から出てきた、長い黒髪の整った顔立ちの少女を指差す。
「うん。」
「射撃センスが、抜群の方ですね。要注意ですわ。強力な砲を持った戦車の砲手を車長と兼任されたら、相当に厄介ですわ。」
 日々の訓練で、砲手としての腕にさらに磨きがかかった華は、ノンナを警戒し始める。
「五十鈴殿にとっては、ライバルでしょうかね?」
「多分な。いずれにしても手強い。操縦の腕もいい。」
 操縦手として、天賦の才を持つ麻子は、試合を見てプラウダの操縦手の練度の高さを、認めていた。
「手強いのは、相変わらず。去年は、包囲しようとした時に、各個撃破できたけど、二度、同じ手が通じる相手じゃない。とすれば…。」
 みほは、さっそくプラウダ対策を考え始める。

「その前に、やることがあるんじゃないの。西住流のお嬢さん。」
 イタリア軍の軍服を着て、鞭を持った、黒いリボンのツインテールの小柄な少女。
 アンツィオ高校の隊長アンチョビが、みほの前に立つ。
「私たちに勝たないと、プラウダとは戦えない。忘れてるんじゃないの?」
「とっくに、作戦は、組みあがっているぞ。」
 麻子が、横目でアンチョビを見る。
「みぽりん、そっちの手の内も読みきって、とっくに作戦立て終わってるの。てか、何、偉そうにしてるの?みぽりん、去年プラウダの包囲網を破って、優勝に貢献してるんだよ。それ忘れてない?」
 沙織が、アンチョビの態度に嫌悪感を示し、言い返す。
「あんた達みたいな、初心者相手だったら余裕よ。彼女がいかに絶妙な作戦立てても、まともに機能しなければ、机上の空論。精々、全国大会の空気を楽しんでなさい。しっかり勝ってあげるから。」
 そう言って、アンチョビは自分たちの戦車の元に帰った。

「あったま来た!!上等じゃない!目に物、見せてやるわよ!」
「お。やる気だね。」
 杏が、沙織を見て、嬉しそうに言う。
「私も、いい気分はしません。初心者で右も左も解らなかった私たちを、一生懸命指導してくれたみほさんの前で、あんなこと言われて負けたら、私、みほさんに、顔向けできません。」
 いつもはお淑やかな華も、さすがに腹を立てていた。
「来た、見た、勝った。だが、それは、こちらの台詞だ。」
 カエサルが、アンチョビの後ろ姿を見ながら言う。
「ヴェーザー演習作戦のデンマーク。それが、奴らの末路だ。」
 第二次大戦時、わずか数時間で占領されたのがデンマークである。
 エルヴィンは、アンツィオ高校をデンマークに例え、すぐに勝利すると暗に言う。
「みなさん。私たちは、十分に作戦を練って訓練を積んできました。落ち着いて、いつも通りにいきましょう。私も落ち着いて、きちんと指示を出していきます。こうして全国大会に出たからには、優勝したいですし。私もそのつもりで、どの優勝候補と戦う事になっても大丈夫なように、作戦は立てはじめています。いつもの私達で行きましょう。」
 みほは対照的に、いつもの調子で皆の怒りを鎮める様に、笑顔で穏やかに言う。
「はい。」
「甘く見たことを、後悔させてやるぜよ。」
「ストレート勝ちです。」
「悔し涙で、池を作らせるんだから!」
「ムンクにしてやる。」
 アンチョビの態度は、大洗女子チームのメンバーの闘志を燃え上がらせた。
「じゃあ、行きましょう。」
「「「「「「「「「おう!」」」」」」」」」

「アンツィオ高校、随分強気ですね。あたかも勝ったみたいです。」
 遠くから見ていたオレンジペコは、だいたいの事情を察した。
「こんな言葉があるのよ。無知は偏見の子供。彼女は、大洗女子を知らなさすぎる。大方、1回戦もまぐれで勝ったとでも、思っているんでしょうね。サンダースは、その程度の実力では、ないのだけれど。」
「ホント。後でどうなっても、知らないよ。悪魔の微笑みが出た事にも、気づいてないんだから、お気楽よね。」
 声を聴いて振り向いたダージリンの傍に、双眼鏡を持った、サンダース付属の制服を着たケイがいた。
「あら。来ていらっしゃったの。」
「みほの試合は、全部見たいのよ。それにしても、アンツィオも馬鹿やったわね。調子に乗って墓穴掘るのが、関の山ね。ぱっぱと終わるわよ。この分だと。」
「2回戦の残りの試合は3日後なのだけれど、私たちの試合もできそうね。そうなっても、一向に構わないわ。」
 ダージリンは楽しそうな表情で、紅茶を飲む。

「それでは、2回戦第2試合、大洗女子学園対アンツィオ高校の試合を始めます。一同、礼。」
 それぞれの戦車に行き、決戦の準備は整った。

「いい。あんな素人集団。とっとと片付けるわよ。ありあわせのパーツで揃えた戦車なんて、敵にもならないわ。」
「ベン・ノウタ。スア・エチェレンツァ・コマンド・スプレモ(了解しました。統帥閣下。)。」

「みなさん。作戦通りに、いつもの私達で行きましょう。私の事で怒ってくれるのは、すごく嬉しいです。でも、それで、私たちの戦いができないのは嫌ですから、いつも通りにいきましょう。」
「だね。その方が、相手に、吠え面かかせてやれるって、もんだし。」
 杏子が、賛成の意を示すかのような口調で、通信を入れてくる。
「静かなること林の如く。侵掠すること火の如く。風林火山の極意を見せてくれよう。」
 照準器を覗く左衛門佐が、静かだが力強く言う。

「試合開始。」

「アッソ(突撃!!)!!」
 アンチョビが車長を務め、フラッグ車でもあるP40重戦車を先頭に、パンツァーカイルを組んで、大洗女子チームに突撃する。
「パンツァー、フォー。」
 横列に展開した、大洗女子チームも前進する。
「フオゥコ(撃て!)!」
「展開。各車、砲弾を装填。撃ち方用意。」
 P40の75mm砲。M42T da 75/34の75mm砲が砲撃を開始すると、大洗女子チームの横列が、引き裂かれるかのように別れる。
「所詮、にわか作りのチームなんて、この程度よ。サンダースも、なんでこんなのに負けたのかしら?」
 アンチョビは、一気に蹂躙しようとするが、その時すでにアンツィオチームは、左右に展開した大洗女子チームに包囲され、それぞれの砲手は既に至近距離で狙いをつけていた。
「撃て。」
 ブラック・プリンスに加えて、換装したシャーマンの、17ポンド砲計6門。
 ティーガー、ケーニヒス・ティーガー、IV号中戦車/70(A)の、88mm砲計4門が発射された。
 アンツィオ高校の戦車の防御力は、決して高くない。
 100m程度で、大洗女子チームの攻撃をまともに喰らって、まともな戦車など1両もなかった。
 やや、遅れて、次々と行動不能を表す白旗が出る。

「試合終了。大洗女子学園の勝利。」

「驕る平家も、久しからず。だぜよ。」
「フィンランドで、ソ連軍兵士が味わった気持ちが理解できたか?」
「あぐらをかいている内に、衰退した関東管領家だな。」
「アクティウムだろう。」
 カバの4人が、自分たちを侮ったアンツィオをそれぞれ例えていた。

「やった!」
 ティーガーでは、沙織と華がハイタッチをしていた。
「やりましたね。西住殿!次は準決勝ですよ。」
「うん。次も頑張ろう。」
 嬉しさのあまり興奮する優花里に、みほはにっこり笑いかける。
「はい。装填はまかせてください。」
「大口をたたいた割には、退屈な奴らだったな。猪突猛進して、落とし穴に落ちるイノシシだ。」
 麻子が、心底つまらなさそうに言う。

「あーあ、言わんこっちゃない。侮った結果が、この様ね。」
「まあ、自業自得ね。」
 当然の結果という口ぶりで、ダージリンは一口紅茶を飲む。
「ケイさん。こんな言葉をご存知?優しさほど強いものはなく。強さほど優しいものはない。」
 一瞬考え込んだが、ケイは、ダージリンの言いたいことを、すぐに理解した。
「確かにね。そうでもなきゃ、初心者集団が、これほどの腕になるわけないか。みほの優しさが、大洗女子をここまでの強豪に育て上げた。それができるから、みほは優しい。納得できるわ。」
「ええ。本当に。」
 ケイとダージリンの視線の先には、嬉しさを爆発させる1年の中にいる、笑顔のみほの映像があった。

『さらに、強さを増した。プラウダも、おちおちしていられないわね。どうするつもりかしら?カチューシャ。他人事じゃないけれど。』
 まほは、既に大洗女子との戦いの作戦立案に入っていた。
 自分以外に、戦略面でも戦術面でも、対等以上に勝てる指揮官はいない。
 そう、確信していたのである。

「はい、はい。解りました。ありがとうございます。」
 試合後、電話をしていたみほは、電話を切ると、杏の所に走っていく。
「新しいチームの練習状況、良好です。」
「OK、OK。それにしても、西住ちゃんもちょっとした人脈を、持っているね。富士教導団から、教官を連れてくるなんて。」
「家に、何度か来ていて、親しくなったので、もしかしたらって話してみたら、引き受けてくれたんです。後は、準決勝までに全チームでの訓練を重ねていけば、問題ないですね。」
「とりあえず、帰り支度しよ。あんまり味気ない試合だったから、帰ってから練習したいしね。」
「あれ?何か、あったんでしょうか。」
 目を回して、担架に乗せられた少女たちが、野戦医療施設に連れて行かれる。

「ま。あの距離から、17ポンド砲と、88mm砲の集中砲火をプレゼントされれば、アンツィオの戦車じゃ、ああなるって。」
「あ。ケイさん。来てたんですか。」
「うん。相手の勢いを逸らした途端に、バン!凄かったじゃない。最短記録だそうよ。」
 まるで、自分の事のように、ケイは喜んでいた。
「乗りと勢いだけで挑んだら、どうなるか。いい薬になると思うわよ。」
「ダージリンさん。オレンジペコさん。こんにちは。」
「こんにちは。さすがね。チームの練度はますます高くなっているし、プラウダは不幸ね。とんだ貧乏くじだわ。カチューシャさんのトラップ、通用するかしら。」
「さあ。どうでしょうね?」
 みほはにっこりと、笑った。
「なんかもう、それで先が見えた気がする。ホント、プラウダに同情するわ。」
 意味が解らずに、みほは首を傾げる。

「みぽりん。帰ろう。」
 沙織が声をかけてくる。
「じゃあ。これで。帰ってから、プラウダ高との試合に向けての、訓練がありますので。」
「また、エキサイティングな試合を見せてね。」
「がんばります。それじゃ。」
 お辞儀をして、みほは、あんこうチームのメンバーの所に行く。

「は〜あ。うちに転校してくれればって、思うわね。」
 ケイが残念そうに言う。
 シャーマン系の戦車を40両以上所有し、その気になれば、まだ増やすことができるのがサンダースである。
 みほの作戦に必要な戦車を調達するのは、簡単な事だった。
「奇遇ね。私もよ。」
 聖グロリアーナは練度が高く、連携が巧みなので、みほが緻密な作戦を立てても、完璧に動く自信が、ダージリンにはあった。

「ああ、すっとした。」
「身から出た錆。当然の報いよ。」
「全員、目を回して気絶してたけど、ベッドの上で反省してるといいわ。」
 アンチョビの態度に怒り心頭だった、大洗女子のメンバーは、すっかり上機嫌だった。
「もう。それまでね。準決勝のプラウダは、アンツィオとは比べ物にならない位、手強いから。」
「戦車見ましたけど、性能面では、うちと同クラスですよね。はっきり言って。」
「後は、作戦次第だけど、西住隊長がいれば、心配ないわよ。」
「それに、あたしたちだって、最初のあたしたちじゃない。うんとレベルアップしてるしね。準決勝までの訓練で、もっと腕に磨きを掛けようよ。」
「もちろん。」
 1年生もすっかりやる気になっているのを見て、右も左も解らなかったメンバーに様々な指導やアドバイスをしていた日々を思い出して、みほは、今まで、皆で努力してきたことが確実に実を結んでいることを実感していた。

後書き
ベスト4への切符を掛けた、2回戦がスタートです。
第二次大戦の傑作戦車T−34を擁する、強豪。
防御力に優れ、機動性にも優れています。
しかも、85mm砲に換装して、より攻撃力を高めたタイプもあるので、要注意です。
第二次大戦当時も今と変わらず、戦車を国産化した国は、限られます。
さらに、その中でも傑作と言えるレベルの戦車を開発したのは、アメリカ、イギリス、ドイツ、ソ連。
他の国は、発展しませんでしたね。日本もそうですけど(泣)。
そして、戦車を国産化した数少ない国の一つ、イタリアの戦車を使用するアンツィオ高校ですが、何とか話を作ろうと考えるも、思いつかなくて、断念です。
何しろ、7.7mm機銃なんて豆鉄砲を主砲とする戦車も、使用していましたから…。
この国は、戦車に限らず、軍自体も弱かったのですがね。
結局、ザコ扱いになりました。
イタリア軍ファンの皆さん、すみません。
第2試合は、まだ終わっていません。
11連覇を狙う、本命黒森峰。
高い練度による、一糸乱れぬ行動と堅い守りが持ち味の、聖グロリアーナ。
そして、そこに絡む人間模様。
いろいろありそうです。





Viva! 知られざるイタリア軍
イカロス出版
吉川 和篤

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by Viva! 知られざるイタリア軍 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



スケール限定シリーズ 1/35 イタリア 重戦車 P40 89792
タミヤ
2009-12-16

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by スケール限定シリーズ 1/35 イタリア 重戦車 P40 89792 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル






ブログ村のランキングに参加しております。
来てくださった方は、よろしければクリックをお願いいたします。
励みになりますので。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

相互リンクはいつでも大歓迎です。
リンクをしてくださる方は、コメント欄にお書き下さい。
リンクの設定をした後に、お知らせします。

目次に戻る。





きゃらスリーブコレクション ガールズ&パンツァー 西住みほ (No.153)
エンスカイ

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by きゃらスリーブコレクション ガールズ&パンツァー 西住みほ (No.153) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
ブログランキング・にほんブログ村へ
ガールズ&パンツァー 二次創作 第9話 「2回戦始まります!」 cogito,ergo sum/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる