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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第46話 冬銀河寄り添う花知る心南斗の星の貴き心<前編>

<<   作成日時 : 2013/04/13 23:55   >>

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 ふう。終わった…。
 こうして、何かしてないと、自分自身がどうにかなりそうな気がする…。
 元はと言えば、自分が蒔いた種だけどな。

 白式の改修後の、第四形態移行。
 その結果の白式は、文字通り、怪物と言っていいほどの性能を持つ…。
 何でだろうな…?
 俺は、こんな事、望んでいなかったのに…。
 白式を待機状態に戻して、俺は整備室の壁に背中を預けた。

 あれ?
 ここって…。
 思い出した、湖のほとりにあるコテージ…。
 そうだ。白式が第二形態移行する前に…。

「久しぶりね…。でも、元気とは言えないようね…。とても、苦しんでいるもの…。」
 あの時の、女の子…。
 俺の心の内は、お見通しか…。
「自業自得さ…。皆を守りたくてやった結果が、物の見事に裏目に出たよ…。このままだと、俺は破壊と災厄を撒き散らして、大切なものを失って、多くの物を灰燼に帰してしまうかもしれない…。」
「そうは、思わないわ…。」
 何の疑いもなく、むしろ、確信を持った口調でそう断言してきた。
 気楽だよな…。
 心の内は解っても、それを実感することはできないか…。
「気楽な事、言うな…!気楽な、事…、言うな…。」
 このまま行けば…、俺は、只の破壊者になりかねないんだ…。
 それが…、どんな事か…、解るか…。

「自分を、信じられない?」
「信じたいよ…。けどな…、信じても、そうなるとは限らないだろう…。ほんの少しでも、疑いや、恐れがあったら、自分を、完全に信じられないんだよ…。」
 信じられれば、どんなにいいだろう…。
 でも…、第四形態移行後の白式は、疑問と恐怖を持たせるには、十分すぎるんだ…。
「あなたは、どうしたい?壊したい?守りたい?それとも、何もかもやめる…?」
「守るさ…。だからこそ、手を尽くしてるんだ…。」
 自分に対する恐怖を必死に抑えようとする俺の手に、その子は優しく手を重ねる。
「なら、平気。どんな大きな力でも、それをどう使うかは、あなた次第だもの。優しくて、暖かい心を持っているあなたなら、力を誤って使う事は絶対に無いわ。」
 次の瞬間、風景が変わった。

 今度は、あの時の女性騎士。
 せっかく、力を貸してもらったのに、もう、駄目かもしれないな。
 御免…。
「久しぶりですね。今は、苦しみを乗り越えるために、心を鍛えている。それは、とても辛い事…。大きな試練…。乗り越えられないかもしれない…。」
 反論の余地が、ないな…。
 そう、その可能性もある…。
 十分すぎるほどに…。
「でも、これまでも同じだった…。」
 えっ…?
 それって…。
「今まで、鍛錬を積んできましたけど、今のあなたに、必ずしもなれたとは、言えないでしょう?違いますか?」
 そう…、だろうな…。
 でも…。
「貴方には力があります。それは、紛れもなく守るための力。けれども、貴方がそれを振るわなくなったら、どうなりますか?守るための大きな力は、失われます…。その身と引き換えにすれば、あるいは守れるかもしれません。けれども、それとは違う結末も、待っているかもしれません。それでも、いいのですか…?何より、貴方がいなくなるという事は、守るための大いなる力が、失われるという事…。」
 静かに、語りかけてくる。
 あの時と、同じだ…。
 只、静かに、語りかけてくるだけだ。
 そこが、逆に堪えるかな。
「一つだけ、聞きたい。」
「どうぞ…。」
 俺は、俺が一番したい質問をする。
「俺は、大切な人達を守れると思うか…?俺は、鍛錬をこれからも続ける。心身双方でだ…。その上で、何があっても、俺は、守る側にいられると、思うか…?」
 さあ、どう答える?
 俺次第かな…。

「貴方は、自らを、守る側の人間であり続けようとしている。それは、貴方という人間の、あり方その物…。そして、心の定義…。大丈夫です。今は、辛く、苦しくても、また、貴方はそこに行けます。誓いの地へ…。」

 あれ?
 俺、寝てたのか?
「起きたわね、一夏君。」
 この声…。
「楯無さん…。あの、俺、俺どれ位。」
 どれ位、眠ってたのかを聞こうとしたら、楯無さんは俺を抱き寄せた。
「大丈夫?心配していたのよ。来たら、何かに怖がる子供みたいに、泣きながら眠っていたから。」
 そう言って、俺の涙をハンカチで優しく拭ってくれる。
「怖いっていうか、いろいろ、自問自答するような感じの夢で、それで、だと、思います…。」
 事実、そうだったからな。
「そっか…。色々、大変すぎるからね。一夏君は…。」

『少しは進歩したけど、まだかな…。』
 多少は、何があったかを話せるようになったが、解決のためのアドバイスを、一夏は求めようとしない。
 結局は、何とか自分で、解決しようとしてしまう。
 厳しい鍛錬を自らに課し、それを乗り越え、強くなり続けてきたことが完全に裏目に出ている。
 それが嫌になる程、楯無には解っていた。
 世の暗部を秘密裏に処理する、更識家の長女として産まれ、楯無の名を継ぐ事を、運命づけられた自分。
 少なからぬ。苦悩があった。
 弱音も、ずいぶん吐いた。
 だが、決定的に違うのは、楯無には両親を含む家族がいたが、一夏には、学生にも拘らず、家を支え自分を養い、守ってくれた千冬しかいなかったことである。
 まだ、親の庇護が必要な少女の細腕で、弟を懸命に守っていた千冬を見てきた一夏に、それをしろという事がどれだけ難しい事か、楯無は改めて認識していた。

「一夏君。起きてる?」
「はい。まあ…。」
 というか、眠れない。
 あの人は、大丈夫だと言ってくれた…。
 でも、本当にそうなのか…?
 俺には、解らない…。
 確信が持てれば、どれだけ楽だろうか…。
 何より、言っていいのだろうか…?他人に…。
 先輩たちは、二つ返事で聞いてくれるだろう。
 でも…。

「ちょっと、ごめんね…。」
「楯無さん。何ですか?」
 駄目ですって、ベッドに入ってきたら…。
「ちょっと、お話がしたかったの。」
 話ですか…。

「私は、更識家の長女。生まれた時から、楯無の名を継ぐ事を、運命づけられてきた。汚れ仕事だけど、いろんな人を守るための仕事。だから、それを全うできるように、厳しい鍛錬を積んできたわ。そういう所では、一夏君と、少し似ているかもね。でも、さすがに大変だった。へこたれそうになったことも、何度もあった。自分には、無理だって思ったことも、何度もあった。その時、どうしたか解る?」
「いえ、解らないです…。俺は、いつも無我夢中で、強くなって誰かを守れるようになる事しか、考えていなかったから…。」
 考えてみれば、ずっとそうだったな…。
 一生懸命に働いて、俺を育てて、守ってくれている千冬姉に憧れて、一生懸命鍛錬を積んで、亡国企業に誘拐されてからは、もう、そんなことがないように、さらに鍛錬を積んできた。
 ま、IS学園に入学するとは、思わなかったけどな。

「そっか…。一夏君は強いね。素敵なお姉さんが。織斑先生が、傍にいたから。どんな時でも、頑張れたんだね。でも、逆に言えば、言えなかったか…。辛い時とか、苦しい時とか。織斑先生が頑張っていたのは、一夏君の為だから。一夏君は、織斑先生にとって、この世で、たった一人の家族だから。」
「そう…、かも…、しれません…。千冬姉の友達は、普通に学生してて、遊んだりしているのに、その間、ずっと働いていましたから…。そんな千冬姉を、心配させたいために、必死でしたから…。」
 やっぱり、根っこは、そこか…。
 例えるなら、いじめられているのに、親不孝をしているように感じて、親に助けを求められない子供と、よく似ているわ。
 学校の成績にしても、心配をさせないように頑張った結果。
 剣術や武術は、織斑先生の勧めもあったけど、憧れていた織斑先生の背中を見ながら、少しでも喜んでほしかったのね…。
 だからこそ、今、苦しんでいることは、口が裂けても言えない…。
 もし、言ったら、大好きなお姉さんを、苦しませたり、悲しませる事になるかもしれない…。
 それは、一夏君にとって、何よりも辛い事だから…。
 その思いで、一杯一杯。どうしたらいいか、結論が出せないでいる。

 難しいわね…。
 十中八九、織斑先生もそれを知っている。
 だから、差し伸べる手がない。
 自分の存在が、一夏君を苦しめてるという見方も、できるから…。
 互いに、相手をとても大切に思っているから、織斑先生も、一夏君も辛い…。
 その中で、一夏君は苦しみに負けまいと、必死。
 暗闇の中で、結論というゴールを見つけようと…。
 予想は大当たりだけど、こっちも辛くなってくる…。
 サポートの仕方が、物凄く難しい…。
 今度の休み、少し、外に遊びに行こうかな。
 一夏君も、気晴らしになるだろうし…。
「千冬姉…。」
 眠っている一夏君は、織斑先生の名前を呼びながら、涙を流している。
 いわゆる、シスコンとは違う。
 それだけ、一夏君と織斑先生の関係は、特別なのね…。
 でも、今だけは、私に甘えていて。
 私は、一夏君をできる限り優しく抱きしめて、眠りに入った。

「偶には、上級生とのお出かけも、悪くないでしょ?」
「キャノンボール・ファストの後、デートしたばっかりだと思いますが?」
 一夏君は優しく苦笑しながら、言う。
 今日の一夏君の服装は、カジュアル系のスーツに、アルスターコート。
 カジュアル系も、素敵よね。
 普段外出するときは、フォーマル系に偏りがちなんだけど、仕事のせいだって言ってたっけ。
 外部とはいえ、技術顧問で重役。
 しかも、芝崎インダストリーは、ISや医療等を含む製造メーカーとしては、世界にも名が知られている。
 海外の会社との打ち合わせや商談もあるし、飲酒ができる年齢になってからは、会食も増えてきている。
 どうしても、フォーマルやビジネス系に、なっちゃうわね。
 でも、普段用は普段用で、ちゃんと買っておきましょうね。
 織斑先生は、その分のお金を毎月振り込んでいる。
 なんでも、20歳になるまで、自分の収入は、可能な限り使わないように、言われてるらしい。
 時々、溜息をついているのを見る。
 少しは、大人に見てほしいんでしょうね。

「楯無さんは、何か服とか買うんですか?」
「ランジェリーショップには、寄るわよ。下着だって、女の子にとっては、立派なおしゃれなんだから。」
「自分で行ってくださいね。当たり前ですけど。」
「ダメ。一夏君も行くの。選んでもらうんだから。」

 ちょっと待ってくださいよ…。
 行けるわけ、ないじゃないですか。
 ランジェリーショップに、男が入ったら、即、甲番行きですよ。
 何、考えてるんですか。この人。
「近くの店で、待ってるという事で、手を打ってくれませんか?」
「ダメ!一夏君の好みも知りたいし。」
 知ってどうするんですか!?そんな事!!
 意味ないでしょう!!
 第一、護衛でラウラも近くにいるんですよ。
 俺の、命の危機じゃないですか!!
「大丈夫。最近は、カップルで行くことも多いから、事前に店員さんに言っておけば、問題ないわ。さ、行くわよ。」
 言っても、無駄か…。
 はあ…。

 で、来てるわけだが…。
 やっぱり、居辛い…。
 千冬姉の下着を干したり畳んだりするのは平気だけど、それとは別だ。
 しかも、楯無さんのは、高級な上に、デザイン的にヤバイ。
 露出が、結構大きい。
 お、落ち着け、織斑一夏。
「ね。一夏君は、こっちの白のレースと、ブルーのレースはどっちが好み?」
 楯無さんが持ってきたのは、高級なレースの下着。
 しかも、ブラは下半分くらいしか、胸を覆っていないし、ショーツは、前はビキニっぽいし、後ろなんてティーバッグじゃねえか!
 高校生なのに、何考えてんだよ!?
 まさか、簪も、なわけねえか。
 簪は、大人しいだろう。
 うん。
 そうあって欲しい。
 とにかく、色で選ぼう。
 一番、大人しいのは、やっぱ白か。
「色的に、俺は白が好きですが…。」
 白式のカラーリングが白だからじゃないが、俺は、清潔感があるので、白が好きだ。
 ブルーも、嫌いじゃないが。
「じゃあ、白にするね。ついでに、黒とハニーゴールドと、そっちの、薄い水色の、アンティークレースの下着も。」
 どれも、きわどいデザインばっか…。
 もう、いい。
 考えるのやめよう。
 疲れる…。
「大変ですね。振り回されっぱなしで。」
 店員さんが労わる様な目で、俺を見る。
 ありがとうございます…。

 それから、あちこち回って、今はイタリアンの店にいる。
 楯無さんが、よく来る店だそうだ。
 うん。パスタのゆで加減がちょうどいい。
 ソースも美味い。
 参考にさせて、もらおう。
「すいません。なんか、気を使わせちゃって。」
「ばれてたか。」
「まあ…。そうですね…。」
 解ってた。
 今日、出かけたのは、楯無さんが、俺の気晴らしになればと考えてくれていたのが。
 情けないよな…。
 IS学園最強が、こんな無様な状態じゃ…。
「一夏…。」
「一夏さん…。」
 店の入り口には、箒とセシリアがいた。

「偶には、私たち上級生にも、一夏君を貸してくれてもいいでしょう?下級生ばかりいい思いをするのは、不公平だもの。」
 あれから、4人用の席に移ったが、箒とセシリアは、なんか機嫌が悪そうだ。
「どのみち、一夏は冬休みが始まるまで、3年生の寮で暮らして、楯無さんはルームメイトではないですか!」
「そうですわ!それに、一夏さんは、1年生。私たちと一緒にいるのが、自然です。」
 あー、とりあえず。何か、注文しろよ。2人とも。
 お前らの、怨念じみたオーラで、周囲が怖がってるぞ。
 その後、ランチコースを2人は頼んだ。
 俺の奢りで。
 まあ、別にいいけど、外で喧嘩はやめろよ。

「じゃあ。私たちは、まだ行くところがあるから。」
「私たちも行きます。」
「そうですわ!楯無さんの毒牙にかけるわけには、いきません!!」
 楯無さんは毒蛇じゃないぞ。セシリア。
 ん?この反応。

「おふざけの時間は、終わりですね。」
「みたいね。」
「ああ。」
「そうですわね。」
 楯無さん、箒、セシリアもハイパーセンサーで、補足した。

「行きましょう。一夏君。ちょうどいいから、大切なことを教えてあげるわ。」
 大切な事…?
「とにかく、行きましょう。」
「そうだな。」
「そうですわね。」
 全員、ISを展開して、迎撃に向かう。
 できる限り、海上で戦いたい。
 一般の人を、巻き込みたくないからな。
 俺たちは、街から離れた海上に、向かう。

『性能向上型だな。ビットらしいのを積んでるし、それに肩部は多分衝撃砲だ。四肢の荷電粒子砲に、プラズマブレード。高機動時の、砲撃戦に白兵戦。双方を想定しているな。』
 どれだけ、改良しているかは戦ってみないと解らないか…。

「すまん。全員呼び寄せるのに、少し手間取った。」
 鈴、シャルロット、簪、玲子、サファイア先輩、ケイシー先輩、のほほんさん。虚さん。
 ラウラは、学園の生徒の専用機持ちを、全員連れてきた。
 総力戦か。
 数、結構いるしな。
 でも、今の白式にとっては、手間にもならない。
 そう言っても、俺と戦うよな。皆は。
 当然のように…。
 なら、その気持ちにこたえるために、俺はここできちんと向き合わないと。

後書き
一夏が、自分で何とかしてしまおうとしてしまう理由。
楯無なりに、一つの答えが出ました。
普通に考えても、自分を養い守る為に頑張ってくれている千冬を見て、一夏がいい子でいようとしてしまったとすれば、ある意味当然と思ってしまうのではないでしょうか?
同年代の学生は、遊んで、学生生活を楽しんでいるのに、千冬は懸命に働いている。
家庭環境は、パーソナリティーの形成に影響を与えますが、まずい形での影響になっていたような気がします。
少しくらい言っていいとは思いますが、一夏と千冬のようなケースでは難しいでしょうね。
それでも、一夏なりに答えを出したみたいです。
それは何でしょうか?


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