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zoom RSS 機動戦士Zガンダム〜ネオ・ジオン戦役〜 第40話 矢、放たれし時

<<   作成日時 : 2013/03/29 23:57   >>

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「フルンティング、ブルトガング、リディル。推進機構異常なし。」
「エネルギーチャージ。各部問題なし。」
「臨界到達時間。想定内。」
 ノイエライヒトゥームの司令室で、グレミーは超大型戦艦ほどの小型隕石を使用した、防御衛星のチェック状況を、報告されていた。
「うむ。使えるな。」
 マシュマーとの戦いで被った損害の回復には、少し、時間がかかるが、ハマーンとの決戦には間に合うという、技術陣からの報告を受けていた。
『大艦巨砲主義の拡大で、邪道を言われても反論はできんが、兵力の差を埋めるには多少の邪道は、やむをえまい…。』
 ハマーン陣営に内応工作を仕掛けても、成功の見込みがない以上、これら防御衛星群を、最大限に活用するしかない。
 ニュータイプ部隊に次ぐ、グレミーの切り札だった。
『あとは、最後のカードを、どこで切るかだな…。』
 艦やMSの整備補修、軍需物資の積み込みといった事は、担当士官に任せて、グレミーはハマーンとの決戦における戦略構想に、思考を集中していた。
『いずれにしても、味方の士気を高め、敵の士気を下げねばな。量産型MSでは、ドーガの方に性能面や運用面で、軍配が上がる。』
 しばらく考えた結果、グレミーはあることを命じた。
『おそらくは、ハマーンも同じことをしているだろう。向こうの布陣を知っておくに、越したことはない。』
「偵察仕様のドーガを、ドダイ改で発信させよ。敵の布陣を探れ。」
 ハマーンに続き、グレミーも偵察を開始した。
 しかし、ブライトもまた、偵察仕様のジムVカスタムで、両軍の動きを探っている事は、ハマーンもグレミーも気づいてはいなかった。

 ブライトは、ロンド・ベルの艦長及び各MS部隊の指揮官を招集し、作戦会議を開いていた。
「以上のように、ハマーンはサイド3の守備艦隊を含む駐留軍を、既に展開している。ソロモンとアクシズでは、別働隊がすでに待機しているとの情報を入手した。」
 サイド3を中心とする宙域図に、ハマーンの戦力配置が表示される。
「グレミーは、超大型戦艦クラスの小隕石を利用した、防御衛星を3つ用意し、拠点の防衛にあたらせている。現在は、核パルスエンジンにより、航行し、サイド3に向かっている。到着はこのままの速度を維持すれば、3日後と推定される。」
 宙域図が広範囲になり、グレミー軍の位置が、表示される。
「さて、我々が動くタイミングだが、双方が可能な限り疲弊した頃か、どちらかが倒れた後だ。どちらが勝利しようとも、損害は大きい。そこを狙う。現在も偵察は続行しているので、情報を基に、出撃のタイミングを決定する。ラーカイラム、ネェルアーガマ、アーガ。この3隻は、ハイメガ粒子砲を装備している。これを利用しつつ、部隊を展開し、撃破する。いずれにせよ。両軍が衝突してからが、タイミングの見極めになる。各部隊は、いつでも出撃できるように、準備を怠らないように。」
 会議は終了し、各部隊の指揮官は母艦に戻る。

「タイミングの見極めと言ったが、到底、楽とは言えんな…。」
 ラーカイラムの食堂で、ブライトは溜息をつく。
「問題が、例の衛星だな。」
 ネェルアーガマから来ていたアムロが、腕を組む。
「詳細は解らんが、この際、カミーユの予想を前提として考えて、おそらく問題はないだろう。寡兵という弱点を補うには、時として邪道を行わねばならんのは、事実だ。一年戦争の時も、ア・バオア・クーの戦いの前に、ジオンはソーラレイを使用した。あれで、連邦は、レビル将軍を含む主力部隊にかなりの損失を受け、苦しい戦いになったからな。」
「そうだな。おそらくそうだろう。だとすると、ハマーンはどう破壊するかだ…。」
「艦砲射撃やミサイルの波状攻撃に、強力な射撃兵装や爆弾の類を装備したMS隊で、内部から破壊。こうなるしかないが、損害は大きいだろうな。」
「だが、それしかないのも事実だ。連射はできんだろうから、チャージ中に狙うしかない。」
 ブライト、アムロ、クワトロが、意見を出し合う。

「小規模の部隊を編成して、戦場を密かに迂回。内部に侵入して破壊という事も、考えられます。つまり、シロッコがやろうとしたことをです。」
「成程。盲点だったな。」
 カミーユの意見に、ブライトは頷く。
 総力戦ともなれば、艦艇やMSの残骸、ダミー隕石等、身を隠すものは幾らでもある。
「もっとも、帰還率はかなり低い作戦ですが…。」
「いや。おそらく、それだな。少数の犠牲で、厄介な衛星を無力化できれば、採算は取れる。」
 アムロが、カミーユの予想は、ほぼ間違いないと判断する。
 いかに、数に勝るとはいえ、総力戦で衛星の攻略部隊を編成すれば、陣容は薄くなる。
 自らつけ込む隙を与えるほど、ハマーンは愚かな指揮官ではない。
 それを考慮すれば、必然的に、カミーユの予想が正しいという結論が出る。
「あとは、新しい情報を待つしかないな…。」
 短慮や焦燥は禁物だと解っていても、ブライトはそれを抑えるのに、相当な忍耐力を必要としていた。
「少し、気分を入れ替えませんか?コーヒーでも飲んで。」
 全員が、頷いた。

「グレミーめ、面倒なものを…。」
 偵察の結果、核パルスエンジンで、本拠地らしき資源惑星と共に、防御用と思われる小規模の衛星が確認されたという報告が、ハマーンの元に届いた。
 何より、衛星の詳細が分からない。
 グレミーの切り札だという事は解るが、性能、その他諸々が解らないようでは、戦術が立案できない。
 破壊するしかないが、小規模とは言え隕石を破壊するのは、楽な話ではない。
 ソーラレイのような兵器は、今のネオジオンにはない。
 先陣である、キャラの艦隊と交戦状態に入るまで、推定では2日。
 その間に、なんとしても、対応策を考えなければならない。
『マシュマーの意見を、聞いてみるか…。』
 事実、マシュマーの予想通り、グレミーは核パルスエンジンを備えた根拠地を、密かに用意していた。
 今の資料では不足だろうが、参考にはなる。
 ハマーンは、そう考えた。

「こういった予想は、当たって欲しくない物だな。」
 グレミーが根拠地を用意していたことが、的中したことを知り、マシュマーは苦い顔になる。
「当たらないよりは、よいでしょう。できれば、無かった方が良いとは思いますが…。」
「今更言っても、仕方ないな…。さて、この3つの衛星。おそらくは、根拠地を防御する為だろうが。それだけではないな…。」
 マシュマーは資料に目を通しながら、自分ならこの劣勢をどう挽回するかを考えた。
『ドロス、ドロワのような空母か?いや。もう兵力はあるまい。防衛部隊程度はいるようだが…。すると残りの可能性は…?この劣勢を覆す策は…?』
 マシュマーは、一年戦争から今に至るまでの、連邦、ジオン両軍の起死回生の策は何だったかを、一つ一つ思い出し始めた。
『コロニー落としのように、サイド3、ソロモン、アクシズに衝突させる気か?それにしては、小さすぎる。データによると推進機関は、通常艦艇の物を複数使用している。無論、数が揃えば、推進力は得られるだろう。が、核パルスエンジンに比べたら、ささやかな物。残る可能性は…。』
 マシュマーの頭に浮かんだのは、連邦によるソロモン攻略戦。ア・バオア・クー攻略戦前のソーラレイ。そして、エゥーゴが使用した、コロニーレーザーであった。
「そういう事か…。やってくれるな。グレミーめ。これなら、必要な物資の調達はさほど難しくはあるまい。イリア、本日の予定は?」
「はっ。2時間後に、我が艦隊の幕僚会議が、入っております。」
「2時間後だな。私は、ハマーン様の所に行ってくる。もし、私がそれまでに戻らなかったら、済まぬが皆を待たせておいてくれ。」
「はっ。」

「成程。それなら、頷けるな。根拠地といい、厄介な物ばかり用意しおって…。」
 ハマーンが、イラついたようにデスクを指で叩く。
「キャラの艦隊。さほど、グレミーの戦力を削ぐことは適わぬかと。」
「こちらの期待通りには、いくまい。だが、通常戦力をそれなりに削いでくれるだけでも、メリットはある。だが、各防衛ラインには、連絡する必要があろうな。」
 部下に命じて、緊急の暗号通信を送るように、ハマーンは命じる。
「こちらも、何か、対策が必要だな。多少の犠牲もやむを得ぬ。」
「あえて、冷酷に徹するのであれば、このマシュマーに策が、ございます。」
 気は進まなかったが、状況が状況だけに、決意して、マシュマーは自分の立てた策を話す。
「よかろう。その策を用いよう。確かに、非常ではある。が、最も、損害の少ない策でもあるからな。」
「他にも、何か策はないか、模索する所存です。」
「頼む。私も何か考えておこう。6時間後に、作戦会議を開く。」
「はっ!では、私は、自分の艦隊の作戦会議が、ありますので、失礼いたします。」
「うむ。」
 恭しく一礼したマシュマーが、執務室を出ると、ハマーンは大きな溜息をつく。
「グレミーめ。手こずらせた対価は、必ずや支払わせてやるぞ。」
 憎らしげに、ハマーンは呟いた。

「敵部隊発見!」
「よし、スクリーンに出しな!」
 キャラの艦隊旗艦アストリアのメインスクリーンに、グレミーの根拠地であるノイエライヒトゥームと、それを護衛するかのように配置されている小隕石映る。
 既に、グレミーは艦隊を展開していた。
「巣穴に引っ込んでないで、出てきた度胸は褒めてやるよ。MS隊全機発進!あたしもゲーマルクで出る。グズグズするんじゃないよ!」
 キャラの艦隊の各艦から、次々とMS隊が出撃していく。

「ふっ。敵が現れれば、必ず出撃するイノシシが。まずは、様子を見るという事すら、知らんのか?」
 グランツのブリッジで、キャラのあまりに考えなしの総出撃を見て、グレミーは嘲笑する。
「まあ、いい。初めての戦果を上げさせてもらおう。エネルギー充填率は?」
「臨界まで、残り1分。」
「MS隊、第1波発進。第2波の出撃用意もさせろ。」
 スクリーンには、衛星のエネルギー充填状態が表示され、間もなく臨界に達しようとしていた。
 常識的に考えれば、衛星を見たら、MS隊を展開するのはいいとしても、様子を見る。
 それもしない、キャラの行動は、嘲笑されても仕方のない物だった。
「エネルギー臨界点に達しました。照準固定。」
「撃て!」
 3つの衛星から、太いエネルギーの矢が放たれた。

後書き
カミーユの予想が当たり、マシュマーも同様の結論に至ります。
破壊するのは、中々面倒だけに、ハマーンもうんざりして当然でしょう。
マシュマーには、何か策があるようですが、これもカミーユと同等の結論に至るかが、興味深いですね。
後は、この衛星群がどれだけの脅威になるかが、問題でしょう。
兵器の能力を最大限に活かすには、それだけの能力が求められます。
そして、遂に、キャラとグレミーの戦いの火ぶたが、切って落とされました。
宇宙に放たれた矢は、キャラを打ち取る事が出来るでしょうか。


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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
いよいよ、前哨戦が始まりますね。
恐らくグレミーの兵器の最初の犠牲者がキャラでしょうか?
その隙をついて、マシュマー達が兵器を破壊出来るか、どうか…

エゥーゴとしては、今のところ両雄の戦いを見定めて漁夫の利を最大限に得たい所ですね。
タケゾウ
2013/04/01 12:25
タケゾウさん。
遅くなりましたが、コメントありがとうござ
います。

>恐らくグレミーの兵器の最初の犠牲者がキ
>ャラでしょうか?
>その隙をついて、マシュマー達が兵器を破
>壊出来るか、どうか…
 どのタイミングで破壊するかも、重要でし
 ょうね。準備も必要ですし、何より、犠牲
 を可能な限り少なくするのも、戦いにおい
 ては大事ですから。

>エゥーゴとしては、今のところ両雄の戦い
>を見定めて漁夫の利を最大限に得たい所で
>すね。
 一番合理的ですからね。
 ZZでも、ピーチャにルールカも、それで、
 いく気でしたから。
CIC担当
2013/04/05 15:46
文章の考案で、コメントが遅れて申し訳ありませんでした、ZESTです。

グレミーとキャラの戦いが遂に始まりましたね。
最初の動きから、キャラの方に死兆星が灯いてしまいましたが、果たしてどうなる事やら。

そして、ロンド・ベルも、ネオ・ジオン、グレミー軍との決戦への準備が進められている様ですね。
後は、オクトバーが、カミーユ達旧アーガマ隊の面々に見せたものが気になりますね。

尚、今回は最新話の方にもコメントを入れましたので、拝見頂ければ幸いです。
ZEST
2013/04/07 11:13
ZESTさん。
コメントありがとうございます。

>最初の動きから、キャラの方に死兆星が灯
>いてしまいましたが、果たしてどうなる事
>やら。
 死兆星が輝いたら、その末路は…。
 グレミーとしても、ここは当然勝たねばな
 りませんから、粉砕しようとするでしょう。
 そうなれば、もはや決まりでしょうね。

>そして、ロンド・ベルも、ネオ・ジオン、グレ
>ミー軍との決戦への準備が進められている
>様ですね。
>後は、オクトバーが、カミーユ達旧アーガマ
>隊の面々に見せたものが気になりますね。
 連邦は、ほとんどの部隊が動かず、実質、
 ネオジオンとの戦いの戦略を練っているの
 は、ロンドベルのみですから、色々、大変
 でしょう。
 オクトバーが見せた物は、それに関わりが
 あります。
 少し、驚くかも。
CIC担当
2013/04/09 22:57

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