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zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第39話 謎と戦いの日

<<   作成日時 : 2013/03/02 23:17   >>

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「そろそろか…。」
「ですね…。」
 千冬と真耶、ヘンリエッテ。
 そして、4人の武装教官、IS学園に在籍する、全ての専用機持ちが、第6アリーナで何かを待っていた。
 より正しく言えば、誰かをと言うべきだろう。

 思ったより、早かったな。
 数が数だから、結構かかると思ったんだけど。ま、束さんだからな。
 相変わらず、箒は、表情硬いな。
 できれば、仲良くしてほしいんだがな…。
 あまり、他人が首を突っ込んでいい事じゃないし、どうすればいいんだか…。
 と、噂をすれば、何とやら。
 束さんの人参型の飛行艇が、降りてきた。

「やっほー。束さんだよー。」
 相変わらずだな…。
 この人が、ISの生みの親にして、世界屈指の天才科学者なんだから、世も末だよ…。

「いっくん。体大丈夫?大変だったねー。生身で、あいつらと、戦わせられたんだから。」
「はあ。まあ。この通り、体は大丈夫ですし。人質になった人も助けられたから、とりあえず、結果オーライという事で。」
 そう言うと、「しょうがないなあ。」と、言いたげな顔で束さんは微笑む。
「でも、あんまり周りを心配させちゃ、駄目だよ。ちーちゃんも私も、気が気じゃなかったんだからね。手助け禁止だったから。」
 知っていたのか。
 まあ、束さんくらいになれば、コード249のセキュリティを破るくらい、なんでもないだろうからな。

「じゃあ、用件を済ませちゃおうか。ぽちっとな。」
 何かのリモコンを押すと、上空から、ISが収まっていそうなくらいの大きさの立方体の5つ箱が、降下してくる。
 中には、山吹色の装甲の、新品のISが入っていた。
「じゃーん。これが、武装教官用に束さんが作った、第三世代IS陽炎。しかーし、基本スペックは、第四世代機にも匹敵すると言っていいくらいの、高性能機だよー。」
 ま、先生たちが使うなら、それ位の方が良いか。
 本当なら、第四世代型がいいんだが、5体もあると、さすがに大問題だからな。
 第三世代なら、まあ、大丈夫だろう。
 あくまで、万が一に備えての防衛が、主目的だからな。
「いっくん。調整手伝って。」
「あ、はい。」
 俺は、自分の端末を起動させて、調整の用意を済ませる。
「武装教官は、それぞれのISを装着しろ。」
 千冬姉の言葉で、山田先生を含む、IS学園の武装教官の精鋭5人が、陽炎を装着する。
「それじゃ、始めます。」
 千冬姉がまとめておいた、データを基に、調整を開始する。

 ふーん。汎用型か。
 近距離戦闘も、砲撃戦も可能。
 エネルギー兵器も、実弾兵器も用意されているか。
 基本スペックは、確かに高いな。
 初期の白式に、匹敵する。
 機体のスペックを見ながら、先生たちのデータに目を通しつつ、設定を続ける。
 よし、ノルマ終わりっと。

「いっくん、成長したねえ。あ、あとで、フラグメントマップ見せて。いろいろ気になるから。箒ちゃんもね。」
「はい。」
「解りました。」

「それでは、テストを開始する。」
 俺がオペレーターを担当するので、インカムをつけて、5機分の状態をディスプレイに表示する。
「それでは、上昇してください。」
 俺の声に従って、先生たちが上昇する。
 思ったより早いな。第三世代ISとは思えない。
 上昇した後は、各々、様々な機動を始めるが、各機とも問題はない。
 束さんは変わった人だけど、作る物は確かだからな。
「織斑、ターゲットを出せ。」
「はい。ターゲット射出します。全ての武装を使って、撃破してください。」
 陽炎の兵装は多機能ブレード「愛宕」、高収束荷電粒子ランチャー「紅炎」、ビームアサルトライフル「帝釈」、腕部内臓レールガン「愛染」。
 そして、既にワンオフアビリティまである。
 先生たちはそれぞれ、フォーメーションを組んだり、近接戦闘を挑んだりしながら、それぞれの武装の特性を掴んでいく。
 こういう所を見ると、キャリアの違いが嫌になるほど解るな。
 うん。これといって、異常は無し。
 後は、ワンオフアビリティだけか、俺はターゲットの第2陣を出して、全方位から、攻撃を仕掛ける。
 しかし、全て、撃破される。
 通常兵装ではなく、ワンオフアビリティでだ。
 特定範囲拡散プラズマ砲「明王」。
 拡散式プラズマ砲のパーツを、ナノレベルで、周辺に散布。
 必要に応じて、組み上げて、特定の範囲に拡散プラズマ砲を発射して、敵を殲滅する。
 龍咆のプラズマ砲バージョンだが、拡散方式だから、どう動いてもダメージを負う。
 シールドが無いISにとっては、厄介極まりない、ワンオフアビリティだ。
 手堅い設計だから、稼働時間も長い。
 多分、千冬姉の要求だろうな。
 束さんらしくないし。
「よし、テスト終了。待機状態に戻せ。」

「じゃあ、白式と紅椿の、現在の状態を、見せてもらうよ。うりゃ。」
 コードを差し込むと、白式と紅椿のデータが表示される。
「紅椿も、大分、経験値が、溜まってるね。ふんふん。基本的には、やっぱり、近接戦闘を得意とする機体に、なりそうだね。ま、可能性は、まだまだいろいろあるけど。」
 だろうな。箒は雨月と空裂を使いながらも、近接戦闘で戦うタイプだからな。
「絢爛舞踏は、自在に使いこなせてるか。よしよし。それじゃ、いっくんはと。あれ?当初は近接戦闘型だったのに、汎用型になってるね。基本スペックも相当に高くなってるし。第三形態移行までいったから、当たり前と言えば、当たり前か。それにしても、フラグメントマップが、前と全然変わってるねえ。えーと。あれがこうなって。そこがそういって…。」
「これ、今までのデータです。」
「ん。ありがと。」
 早速、束さんはデータの比較を始める。

「ある程度、経験を積むたびに、随分変わるね。まるで、最適なフラグメントマップを模索してるみたい。」
「そうなんですよね。白式のフラグメントマップって、蓄積された経験を基に、自動的にシミュレートが行われて、最適なフラグメントマップを、模索しているみたいなんですよ。」
 結論を出した時には、俺自身、びっくりしたしなあ。
「それだけじゃないね。白式の根本的なシステムがまだ未完成だって、判断してる。今でも、完成形はなんなのか、模索してるみたいな感じだよ。これは予想外だなあ。この緊急防衛システムも、その一環だね。何らかの形で、ISを展開できない状態場合に、搭乗者を防御する為に、構築されたみたい。ただ、これでも、完成とは白式は判断してないね。ログを見る限りは、75%。4分の3てとこ。残りがどうなるかは解らないけど、完成しても、それをさらに高性能にする道を、模索する。私はそう見るなあ。」
 何だよ…。その、とんでもない機能は…。
 直訳すると、底無しに強くなるって事かよ…。
 無茶苦茶だぞ。
 ていうか、特殊すぎるだろう。
 よく、俺で起動させられたな。
 何でだ?

「さて、気を取り直して、束さん専用のISもご披露しましょう。」
 上空からまた、立方体が降下して、ISが出てくる。
 今度は、黄金の装甲のISだ。
「これこそが、束さんの専用機、伊邪那美です。操作方法があまりにも特殊だから、束さん以外には一切使えませんので、あしからず。」
 束さん、自分専用のIS作ってたのか。
 操作方法が特殊ってのは、気にかかるな。
 何だろ?
 ていうか、ビットくらいだな。兵装は。
あれだと、戦う時、不自由しないか?

「ん?この反応。敵か!」
「こんな時にか。オペレーティングルーム。敵をアリーナにおびき寄せる。中に入ったら、バリアーを出力全開にして、封鎖。学園のセキュリティレベルも最大にしろ。」
『嗅ぎ付けたのかはどうか知らんが、恐らくデータ収集だな。そうそう、好きにはさせんぞ。』

「武装教官は第1〜第5アリーナに1人ずつ。私は第6アリーナを担当する。ボーデヴィッヒ、デュノアは第1アリーナに。サファイア、ケイシーは第2アリーナに。凰、篠ノ之、布仏本音は第3アリーナに。更識、高階、ブッフバルト先生は、第4アリーナに。楯無、オルコット、布仏虚は第5アリーナに。織斑と束は、私と共に第6アリーナへ。迎撃し撃破しろ。」
「「「「「はい!」」」」」
 全員が、千冬姉の指示で、それぞれの担当アリーナに、散っていく。

「懲りないねえ。あんなの何回性能アップしたって、ISには勝てないんだけどね。あ、そだ。ちーちゃん、いっくん。後で、お話あるから。あのゴーレムシリーズを開発した人に心当たりあるんだ。」
「そうか。解った。」
「解りました。」
 そして、ゴーレムが、各アリーナに来た

「ずいぶん、外見が変化したね。」
「そうだな。以前とは、似ても似つかない。」
 両腕は白兵戦用のプラズマブレードと、レーザー砲4門の複合兵装となっている。
 それに、凄くスマートだ。
 その分、機動性と運動性能は高いだろうな。
 近接戦は、苦戦しそうだ。

「俺は、ここで新装備を披露しますよ。前から、構想暖めて、完成したやつです。」
 俺は、近接戦闘に使う、多機能ブレードを実体化する。
「あ、ホントだ。雪片じゃないんだ。」
 多機能ブレード、末那識。
 雪片のデータをベースに、俺の独自の理論を導入して開発した。
 今までと同じ二刀流だが、ちょっと違ったりする。
「じゃあ、ちゃちゃっと片付けようか。あ、一体は束さんに頂戴。テストしたいから。」
「解った。織斑。手早く済ませるぞ。」
「はい。」
 返事をして俺は、右の末那識の切っ先をゴーレムに向けて、雨月を発射する。
 突然の攻撃に、ゴーレムは素早く回避するが、それを読んでいた俺は、そこに再び雨月を発射する。
 クリーンヒットだな。
 さすがに、機能に影響したかな?
 俺は、左の末那識を零落白夜に変えると、切っ先を向けて、雨月のようなエネルギー砲を発射する。
 バリアーを無効化し、威力も高いので、物の見事に貫通し、あちこちから火花が散る。
 上々だな。
 そして、千冬姉が、止めを刺して終わる。
 う〜ん。近接戦になると思ったが、それにもならなかったな。
 思ったより、機動性も運動性も高くなかったし、ちょっと過大評価し過ぎたかな。

「ふうむ。束さんがいない間に、いっくんは成長していたんだね〜。」
 束さんが、ビットでゴーレムの相手をしながら、感慨深くしている。
 よくあの状態で、ビットを操作できるな。
「努力してましたから。でも、このブレード。末那識というんですけど、本領は発揮してないんですよね。式神も改良しましたけど、使う必要もなかったですし。」
 亡国企業、手抜きでもしたのか?
 それとも、技術関係の部署のモチベーションが下がったのか?
 ま、いいか。
 楽に終わるし。

「それにしても、この多機能ビット「神魂」だけにも、対抗できないのかな?テストにもならないよ。」
 動き鋭いからな。
 ゴーレムも必死に回避しようとするが、その先を既に行っている。
 かなり柔軟な思考力が無いと無理だよなあ。あれ。
 だからこそ、ISは人間が運用してこそ、最大限に性能を発揮する。
 ハイパーセンサーはまだまだ思考の柔軟性と言う面では、人間の脳には大きく劣る。
 計算速度は速いけどな。
 待てよ…。
 思考の柔軟性。
 束さんにしか扱えないIS…。
 はあ。そういう事だったんですか…。
 なるほど、束さんにしか扱えませんね。
 納得です。

「そろそろ終わらせよう。一応、一通り、使うか。まずは、これ。」
 距離を取ろうとしたゴーレムが、叩き落とされたかのように、地面に激突する。
「ハエにでもなったのか?あのゴーレムは。」
 ぽつりと、千冬姉が呟いた。
 
 ゴーレムのPICに、別の慣性制御の介入を確認。

 なるほど、あれはそういう装備か。
 結構、エグイな。
「じゃ、止めね。」
 何とか上空に戻ったゴーレムに、高出力のエネルギー砲が、どこからともなく発射される。
 何とか、距離を取ろうとしたゴーレムの背後から、また発射される。
 それが、二、三度続いて、ゴーレムは各部を破壊され、只の残骸になった。
 自分の専用機だからって、無茶苦茶な物、作らないでくださいね。束さん。
「加勢は必要ないぞ。あの程度なら、何の問題もない。」
 千冬姉は、確信を持って言い切る。

「速い…。
 第1アリーナでは、再び現れたゴーレムに、ラウラが少々手こずっていた。今までにない、スマートな外見通りに、機動性が高く、攻撃の命中率が、半分程度になっている。
「ラウラ。僕が援護と牽制をする。その隙に!」
「了解した。」
 オルドルを展開し、複雑な機動で攻撃を仕掛けながら、トネールとルー・トロワを命中させていく。
「まずは、その忌々しい腕を、頂く!」
 ツヴィリングのチャージサイクルを最短にし、シュベルト・プファイルの小口径レールガンと共に、肩部関節付近を集中的に狙う。
 と、同時に、ワイヤーを腕部ブレードの根元に巻きつけて、イグニッションブーストで、急接近し、シュベルト・プファイルのプラズマブレードで、肩口から両腕を切断する。
「砕け散れ!!」
 AICで動きを封じると、ラウラはツヴィリングでゴーレムを穴だらけにして、撃破する。

「さすがですね。では、そろそろ私も、終わらせましょうか。」
 第1アリーナに向かった真耶は、ゴーレムの攻撃を回避しつつ、確実にダメージを与えていた。
 そのダメージが蓄積して、確実に動きが鈍くなっている。
 嘗ては、代表候補の1人として、他の候補と鎬を削った真耶の戦闘力は、高い。
 まして、今使用しているのは、基本性能は、初期第四世代クラスの陽炎。
 高性能なISを駆る真耶の技量は、明らかにゴーレムを大きく凌いでいた。
「そこですね。」
 最も、ダメージを受けた所に、高収束荷電粒子ランチャー「紅炎」を命中させて、ゴーレムの機能を停止させた。

「機動力はなかなかだな。でも、あたしのケルベロスの方が、上だな。そら!」
 ダリルが、テルシオの銃剣でダメージを与えつつ、回避機動を予測して、ビームとグレネードを発射する。
「おまけだ!」
 ケルベロスファングを、スラッグ弾で発射する。
「ちょっと、後輩に少しは残すもんでしょうが。」
 ウィラジュリとバニップでダメージを与えながら、フォルテが、ダリルに文句を言う。
「お前こそ、先輩に譲れ。実戦データを取るいい機会なんだよ。じゃ、こいつは自由にしてと。」
 ドールプレイヤーで、テルシオを自律誘導にして、ジャッジメントを実体化させる。
「にしても、贅沢なISだな。ライフルを自律誘導にして、白兵戦用兵装に切り替えても、まだ、射撃兵装があるんだからよ。」
 散弾とスラッグ弾を絶妙に使い分けつつ、ジャッジメントで、ゴーレムの装甲を斬り裂く。
「だから、譲ってくださいって、お願いしてるじゃないですか。そうするんだったら。こっちにも考えがありますよ。こういう風なね。」
 腕部にダーラマランで加速された、ウィラジュリが命中して、肩から下が吹き飛ばされ、脇腹周辺が抉られたようになる。
「あっ、汚え!それ使ったら、ジ・エンド寸前じゃねえかよ!」
 ダリルがフォルテに、文句を言う。
「じゃ、一緒にやるって事で。」
「おう。乗ったぜ。」
 ダリルが、フォルテの提案を受け入れる。
「「せーの!」」
 全ての射撃兵装が発射され、ゴーレムはあちこちを吹き飛ばされ、倒れて動かなくなった。

「あらあら。困った物ね。」
 武装教官の1人、元フランス代表のベル・バスティアは、獲物を獲り合うようにしていたダリルとフォルテを見て、苦笑する。
 多機能ブレード「愛宕」と、腕部内臓レールガン「愛染」を主に使用して、フィギュアスケートのように、華麗な機動で、ゴーレムにダメージを与えていく。
 ゴーレムは腕部のプラズマブレードで、斬りつけようとするが、掠りもしない。
 やがて、隙を突かれて、右肘から下を、斬り落とされる。
「動きが大きいわね。」
 素早く回り込み、左肘に愛染を命中させ続け、千切れるように、肘から下が落ちる。
 どうにか離脱しようとするが、アリーナは最大出力のバリアーで閉鎖されているので、不可能である。
 接近しながら、ベルは、空裂で足を斬り落とす。
「チェックメイト。」
 至近距離からの雨月で、胴体は、蜂の巣になり、地面に落ちる。
「さすがは、篠ノ之博士お手製ね。第三世代とはいえ、相当なハイスペックだわ。」
 ベルは陽炎の性能に、すっかりご機嫌だった。

「逃がすわけ、ないでしょうが!!」
 鈴は、拡散モードの龍咆で、機動性を活かそうとするゴーレムにダメージを与える。
「はああっ!!」
 絢爛舞踏の無尽蔵のエネルギーを使用した、連続イグニッションブーストで、箒は強力な一撃を加える。
「隙あり!!」
 ゴーレムの動きが止まった隙に、鈴は、火剣を命中させる。
 内蔵されたHEAT弾の威力で、右肩と左大腿部が飴細工のように溶けた。
「これで、あの機動性はかなり落ちたはずよ。そろそろ、止めを刺すわよ。」
「承知した。ゆくぞ!!」
 雨月と空裂を命中させて、間髪入れずに最大出力の龍咆が命中し、上半身が抉られ、ハイパーセンサーでもあった、頭部が落ちる。
「今までより、大分強い筈だったのにね…。」
「ああ。いつの間にか、私達は、これほど強くなっていたのだな。もっと精進すれば、さらに強くなれる。もう。1人でも、ゴーレムは確実に倒せる。その手ごたえはある。連携した方が、効率はいいがな。」
「そうね。」

『いい連携ね。もう2カ月も、訓練を積めば、完璧か。にしても…。』
 元イタリア代表のダリア・ブランは、本音の戦いを見ていた。
『強いわね。この子。能ある鷹は、爪を隠すか…。』
 本音は、ゴーレム相手に完全に押していた。
 一夏が開発した専用IS不知火の性能の高さもあるが、本音自体、明らかに代表候補の中でも上位レベルの実力だった。
「全然、当たりませ〜ん。」
 不知火の機動性を活かして、ゴーレムのレーザー砲を容易く躱している。
「援護射撃するわ。近接戦闘に専念なさい。」
「は〜い。」
 ダリアの援護射撃を受けつつ、本音は、多機能プラズマブレード「閃電壱型丙」で、確実にダメージを与える。
「よいしょっと。」
 空裂で、広範囲に大きなダメージを与えると、立て続けに、雨月でさらにダメージを与える。
「はい。動いちゃ、駄目よ。」
 紅炎の一撃で、ダリアは一旦離脱しようとするゴーレムを止める。
「じゃあ、これで終わり。」
 上空からのイグニッションブーストで、ゴーレムを、頭から両断する。
「おしま〜い。不知火は、相変わらず、凄いな〜。さすが会長お手製。」
「ていうか。前より、太刀筋にキレがあったわよ。訓練してたの?」
「一応、会長の護衛だからね〜。」
「なら、仕事にも専念しろ。また、書類をため始めたと、耳にしたぞ?」
「それは、それという事で。」

「はっ!」
 打鉄弐式の夢現が、ゴーレムの装甲を斬り裂き、さらにダメージを与える。
 巴御前と装備が似ていることもあり、玲子と簪の連携は絶妙だった。
 2人の回避機動を予測しつつ、ゴーレムはレーザー砲を発射するが、玲子が大きく後退して、アウトレンジから那須与一で攻撃すると、春雷で簪が攻撃を繋ぎ、玲子がイグニッションブーストで肉薄し、如月でさらにダメージを与える。
 互いの兵装を最大限に活かしながらの連携で、ゴーレムのダメージはかなり蓄積されていた。
「私が引きつける。」
「解った。」
 玲子が戦衣を、機動力向上に使用しながら、飛燕と閃電でダメージを与えている隙に、簪は山嵐を一斉に発射する。
 高性能炸薬を弾頭に使用した、48発の独立稼働型自立誘導ミサイルは、容赦なくゴーレムを襲い、そこには、細々とした、部品の欠片しか残っていなかった。

『いい連携ね。織斑君が熱心に指導したって聞いているけど、本人たちも随分努力したんでしょうね。そうさせる織斑君の人柄もたいしたものだわ。さて、こっちも終わりでいいわね。データは取ったし。』
 前回のモンド・グロッソのブリュンヒルデである、ヘンリエッテにとって、敵にもならないが、今後の事を考えて、あらゆるパターンでデータを収集していた。
「じゃあ。幕を下ろしましょう。」
「そうですね。さすがに飽きましたし。」
 元フィンランドの特殊部隊ウッディ・ジェーガー連隊に所属していた、アイリ・ベルマンも、久方ぶりに歯ごたえのある相手かと思ったら、すぐに戦って拍子抜けした。
 結局、ヘンリエッテと共に、データ収集を行っていた。
 今までとは格段にスピードとパワーが増した攻撃に、ゴーレムは対応不能になる。
 シャイネン・ランツェの大小のレーザー砲の攻撃も加わり、瞬く間に、装甲はボロボロになる。
 それでも、プラズマブレードで攻撃を仕掛けてくるが、ツヴァイ・シルトで跳ね除け、イグニッションブーストのスピードを乗せた、シャイネン・ランツェの一撃でゴーレムの胴体に大穴を開け、アイリが愛宕で頭から真っ二つにして、機能を停止させる。
「何のつもりか知らないけど、つまらない物を作った物ね。根本的な弱点は解消されていないし、何より、この学園の専用機持ちのISは、ハイスペックな物ばかりだし、生徒たちは毎日の訓練で、技量を高め続けている。資源と時間と金銭の浪費だわ。」
「ええ。本当に。うちで学んでいる代表候補達を、馬鹿にしていますね。」
 2人は、肩をすくめる。

 第5アリーナの戦いは、一方的な物になっていた。
「そんなんじゃ、お姉さんには傷一つつかないわよ。」
 水のヴェールで、ゴーレムを拘束して、地面に叩きつける。
 そこに、セシリアが、スターライトアローと、ビットで攻撃をする。
 機動性を活かそうにも、推力偏向式のスラスターを装備した、ブルーティアーズはそれをことごとく上回り、ビットの偏向射撃で、確実にダメージを与える。
 改良されたアクア・クリスタルを増設し、防御に専念する以外の膨大な量で生成される水のヴェールで、強大な防御力と攻撃力を手に入れた、ミステリアス・レイディを駆る楯無に動きを阻まれ、そこに、正確なセシリアの射撃が、襲い掛かる。
 ゴーレムに、完全に勝ち目はなかった。
「セシリアさん。いい物見せてあげるから、ちょっとどいてて。」
「あ、はい。」
 セシリアは、楯無の傍に来る。
「前までは、水を総動員しないと使えなかったんだけど、一夏君のお陰で必要なくなったし、威力も上がったの。見せてあげる。ミステリアス・レイディの切り札の一つを。」
 蒼流旋のアクア・クリスタルが通常以上に水を生成し、ゴーレムの胴体の中心に集中する。
「ミストルティンの槍!」
 そして、一気に爆発した。
 そこには、何も残らなかった。
 従来のミステリアス・レイディならば、全ての水を使用しなければ使えなかった、攻撃手段。
楯無自身も重傷を負いかねない諸刃の剣だったが、それを懸念した一夏が、蒼流旋だけでも、使用できるように改良をしたのである。
 アクア・クリスタルの改良と、増設で、楯無自身の安全は確保され、さらに威力が増した。
 故に、これは模擬戦では封じている。
 相手を、瀕死の重傷にしかねないからである。
「う〜ん。やっぱり威力がすごすぎるわね。跡形もなくなっちゃったもの。」
 小型気化爆弾数個分の威力だったが、今は、大型気化爆弾をも上回る、威力になっている。

『とんでもない隠し玉ね。頼むから模擬戦では、使わないでね。楯無さん。』
 元オーストリア特殊部隊の隊員だった、フリーダ・クリッツェンは、あまりの威力に、唖然とした。
 そのフリーダ自体も、一方的にゴーレムを叩きのめしていた。
 陽炎のハイスペックぶりに、元軍人としての血が騒いでいたのである。
『いい具合に、叩きのめしたし、向こうも面白い物使ったし、こっちもあれを使いますか。』
 距離を取ると、フリーダは攻撃をやめる。
 好機と見たのか、ゴーレムがレーザーを発射するが、フリーダは易々と回避する。
 次の瞬間、ゴーレムを中心にした一定の範囲に、プラズマ砲が大量に発射される。
 どうにか逃げようとするが、範囲を変えて再び発射される。
 続けざまの発射に、ゴーレムは只の不燃ゴミに変わっていた。
「これが、陽炎のワンオフアビリティよ。」
 明王が、発射された。
 大量にゴーレムを投入してきた時を考慮し、束が搭載して、当初から使えるように、調整をしていた。
 こうして、全てのゴーレムは破壊され、残骸は回収されて分析に回された。

「それにしても、あんまり性能向上していなかったな、あのゴーレム。」
 そう言いながら言うと、千冬姉は俺の方を向く。
「いや。以前より大分性能は、向上している。お前がそう感じないのは、それだけ、お前が伸びたからだ。」
「実感ないけどな。」
「とにかく、もう焦る必要は何処にもない。じっくりと自分を成長させていけ。3年間はこの学園にいる。その間に訓練を続ければ、確実にお前は今以上に強くなる。とにかく、焦るな。ブッフバルト先生からも、言われただろう?年長者の意見には、耳を傾けろ。ケイシー達も今の実力になるまで、じっくりと自分を成長させていったんだ。お前なら、卒業するころには、目指す場所に立っている。それとも、また混浴がしたいか?私も偶には、弟と風呂に入るのも悪くないしな。」
「じゃあ、束さんも入ろうかなあ。」
 千冬姉は、にやりと笑い、束さんはにこにこ笑っている。
 が、後ろからは、怨念じみた、凄まじく恐ろしい感じが漂ってくる。
「いえ。遠慮しておきます。」
 死亡フラグは嫌だからな。
「そうか。まあ、家に帰った時には、一緒に入るのもいいだろう。姉弟だし恥ずかしがることもあるまい。」
 再び、千冬姉はにやりと笑う。
 家にいる時は、さっさと上がろう…。

「さて、今日は、皆、ご苦労だった。この学園の専用機持ちの力量が、また伸びていることも確認できて、満足している。風呂にでも入って、疲れを癒せ。安心しろ、ブッフバルト先生や楯無たちは、今日は、一緒には入らん。」
 その言葉を聞いて、箒たちは安心して、女子用の浴場に向かう。
「んじゃ、俺も行きますんで。」
 さて、のんびり入ってきますかね。
 て、あれ?
 何で、千冬姉と、束さんが?
「行くぞ。一夏。」
「いっくんとお風呂は、久しぶりだね。」

 で、何でこうなるんだ?
 しかも、2人ともまるで恥ずかしがらない。
 千冬姉にしてみれば、弟の俺に下着姿だろうが、裸だろうが恥ずかしくないのかもしれないが、束さんは何でだ?
「ふふ。いっくんも大きくなったね。昔は、私より背が小さくて、可愛かったのに。」
 胸に抱きしめて、頭を撫でる。
 相変わらず、その…、でかい…。
「ほう。やはり、胸が大きい女子が好みか?」
「そういうんじゃねえって。て言うか、本題に入ろうぜ。目的が無いなら、千冬姉が、こんな事するわけないだろ。」
 理由がないと、混浴を許すわけないし、千冬姉も公私混同はしないはずだ。

「束。ゴーレムシリーズの開発者に、心当たりがあると言っていたな?」
 防諜システムを最高レベルにして、千冬姉は束さんに訊ねる。
「うん。私の予想に間違いがなければ、その人だね。」
「名は?」
 千冬姉の表情が、鋭くなる。
 当然か。
 俺も、表情が硬くなってるのを、感じる。
「意外な分野の人だよ。ジェームズ・グレイっていう人。」
 その名前、前に読んだ論文の製作者と同じ?
「束さん。ひょっとして、脳生理学の天才と呼ばれた、ジェームズ・グレイ博士ですか?オックスフォード大学から医学と理学の博士号を授与された。」
「よく、知ってたね。いっくん。そのグレイ博士。行方不明だと思っていたら、まさか、亡国企業にいたとはねえ。」
 マジかよ…。
 興味深い論文を書いてたから、出来る限り取り寄せて目を通していたのに、こういうオチが、待ってたとはなあ…。
「一夏、後で、職員室にこい。お前に見てほしい物がある。束は、一旦、学園を離れろ。あまり長居をすると、面倒なことになる。データは後で送っておく。」
「解った。じゃ、その前に、いっくんの背中流して、髪洗おうね。」
 まさかとしか、言いようがないなあ。
 あの論文の製作者が、ゴーレムを作ってたなんてなあ…。

後書き
武装教官用のISについては、前から考えていました。
学園に不測の事態が起きた際に、ハイスペックなISがあったほうがいいと考えまして。
コアの数に限界があるとはいえ、そこはやりくりできたはずでしたしね。
学園の専用機持ちVSゴーレムの第2戦ですが、今回はそれぞれが自分の力量を確認する機会、そして、教官たちの力量がどのレベルにあるかを書くのが目的でした。
目的は達することができたかなと、思います。
一夏はゴーレムのスペックがさほど向上していないと考えていましたが、それは一夏自体がそれだけ強くなっていた事の証。
これで、無理なトレーニングをすることもないでしょう。
そして、ついに明らかになったゴーレムシリーズの製作者。
彼も、話に大きく絡んできます。








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