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zoom RSS ヨルムンガンド二次創作 第22話 フィースト・オブ・ザ・ウィッチ Phase2

<<   作成日時 : 2013/03/20 21:41   >>

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「やあ。呼び出して、悪かったね。」
「久しぶりだな。ソー。」
 夜。
 シチリア島のあるレストランで、ブラックが会っていたのは、アールだった。

「もう。何年振りだろうな。レナート。君との仕事が終わってから。」
「ユーゴ紛争が終わってからだから、かれこれ10年てとこか。で、今更、俺に何の用だ?あんたとは、仕事上での付き合いだけ。今の俺は、武器商人、ココ・ヘクマティアルの私兵だ。どっちかっつーと、ソーとは、敵同士だぜ?スケアクロウなんていう小物が、うろちょろしてるしな。」
 傍目には、昔話をしているようだが、アールの目は全く笑っていない。
 隙があれば、いつでも薄手のジャケットに隠れている、ベレッタを抜く用意はできている。
「彼は、金をせしめることができそうな相手なら、いつもうろちょろしてるさ。私の直属じゃないが、年がら年中、お嬢さんに付きまとっているわけじゃない。いくつか、金をせしめることができる候補を、並行してマークしてるんだよ。」
 そういって、切り分けた仔羊のソテーを口に運ぶ。
 もう、3皿目だった。
 アールはデカンタに入ったワインと、つまみのプロシュートにチーズが数種類だけだった。

「さらに言えばだな。ソー。CIAは、お嬢を始末する気らしいな?殺し屋を差し向けてきた可能性、濃厚だ。」
「ほう。初耳だな。」
「差し向けたとすれば、最も危ない連中であるパラミリ。国際法すれすれの監禁や拷問も、行う連中だそうだ。ここまでくると、俺たちも黙っているわけにはいかなかったしな。だからこそ、来た。あんたのニヤけた面をみて、真偽を、確かめるためにな。」
 ワインを一口飲んで、アールはブラックの表情を観察する。
 イタリア陸軍の精鋭であるベリサリエリで、情報将校であったアールはブラックと仕事をしていく中で、そういった事が、できるようになった。
「沈黙は、イエスと捉えるぜ。今、かなり対象を絞っている。2、3日中には、裏付けが取れるだろうさ。」
 チーズを口に運ぶアールの体から、軽く殺気が漂う。

「レナート。私は本当に、何も知らないぞ。確かに、君の護衛対象であるお嬢さんは、CIAでも注目の的ではある。海運の巨人、フロイド・ヘクマティアルの実子で、幼少のみぎりから、世界を股にかけてきた凄腕の武器商人。彼女が動くと、少なからず、世界に変化を及ぼす。そういった人間の動きを監視するのは、私らの仕事だからね。」
「知ってるよ。CIA国家秘密局欧州課長ジョージ・ブラックさんよ。だがな、どんな理由があろうと、俺は、護衛対象であるお嬢に傷一つつけようとする奴は、許さないぜ。ソー。あんたでもな。さて、本題に入ろう。俺を呼び出した理由だ。昔話だったら、帰るぜ。殺し屋第2弾でも送り込まれたら、面倒この上ないからな。」
 アールはデカンタにワインを残したまま、席を立とうとする。
「最近。新しく入ったと思ったら、コンテナ船を任された、若様がいるだろう?」
 パスタを咀嚼して飲み込んだ後、ブラックはアールの方を見る。
『ソフィの事を?何でだ。』
 気になったので、アールは席に座る。
「ソフィの事か?話せることはないね。おおかた、どうしてそうなったのか知りたいんだろうが、誰も知らない。お嬢を含めてな。プラス、俺に仲間を売る趣味はない。それとも、食い物の代わりに、鉛の弾を食らいたいか?いくらなんでも、不用心だぜ?護衛くらいは、連れてこい。」
 アールはしばらく、ブラックの様子を伺う。
 事と次第によっては、ココと協議し殺すこともすでに考慮している。
 明言した通り、ココに害をなすなら、昔、仕事をした仲でも容赦をする気は、アールにはない。
『どうする。ソー?』

「そう怖い目をしないでくれ。ただ印象を聞きたいだけだよ。」
「あんたに話すと、それだけでもヤバそうなんでね。言っただろう?あんたは敵みたいなもんだ。いや、既に敵かもな。」
 アールは空のグラスに入れて一息で飲んだ後、今度こそ席を立ち、レストランを出た。

『昨日の友は、今日の敵になりかけてるかな。』
 しばらく食事を続けて、会計を済ませる時、アールから頼まれたといってメモ帳を折りたたんだものを渡された。
 外に出て目を通した後、ブラックはすぐにアメリカ行きのチケットを用意させ、空港に向かった。
 その様子を、アールは物陰から気づかれずに見て、ブラックの姿が見えなくなった後、宿泊しているホテルに向かった。

「どう思う?ソフィ。」
「アールさんの方ですか。相手が相手です。そう簡単に尻尾はつかませてくれないでしょう。なかなか、喰えない人の様ですから。まあ、裏付けが思ったより早く取れたのと、頼まれたことが早く済んだのは、幸いでしたけどね。」
 髪を洗ってもらいながら、ソフィは浴室でココと話していた。
「まさか。本当に、パラミリだとはね。何、考えてるんだか。」
「それに、スタンドプレーのように見せかけて、どこかとつるんでいる形跡が見えます。しかも、上司であるジョージ・ブラックのコントロールを離れて。いえ。離れつつですか…。」
「ま。深刻になってもしょうがないよ。備えは怠らないようにはしておくけど、予定通りにするとしようよ。」
「ですね。向こうがどう動くかを、見極める必要もありますし。」

「ソー。ああ、これ、俺がイタリア軍時代に着けたあだ名な。ブックマン、ブラッディナイオ、アディーブ。ま、とにかくいろんなあだ名が、ある。俺は、CIAに対するイメージからソーって、呼んでたけどな。感覚でいえば、ソーは、ドミニク一味の事は、知らなかったようだな。結構、慌ててたぜ。それと、ソフィ。CIAがお前にも、目をつけ始めた。注意しろよ。今度は、お前相手に、殺し屋が来るかもしれないぜ。」
 レストランから帰ったアールが、皆の前で自分にコンタクトを取ってきたブラックを観察した結果を、話した。
「とすると、要注意ですね。さて、どう来るやら…。」
「見回りは、拳銃だけじゃなくて、アサルトライフルも携帯した方が良さそうだな。」
 レームは今の状況では、警備は通常より厳重にするべきという結論を出した。
「じゃあ。しばらくは、2人ではなく、3人で相互支援しつつですね。僕も用心しますよ。殺し屋を送り込んできても、殺されてやる義務はないですし。」
「心配すんなって。そん時の為に、俺らがいるんだぜ?パラミリを甘く見ちゃいねえが、お前の部下は、全員特殊部隊出身の、精鋭揃い。部下は信用するもんだぜ。」
 バリーがソフィの肩を叩いて、安心させるように言う。
「信頼していますよ。ただ、僕だってつい最近まで私兵でしたからね。つい、自分も戦う方に思考が行くんですよ。」
 ベレッタのマガジンが全弾入っているのを確認して、ホルスターに入れる。

「レーム。護衛について作戦を立てようぜ。念のためにな。」
「はいよ。」
 バリー率いるソフィの部隊とレーム率いるココの部隊が、ホテルの見取り図を見ながら、意見交換をし合う。
「念のため、ココさんも銃を持っていて下さい。持っていないのとは、ずっと違いますから。」
「了解。」
『さて、来るかな?ヘックス。もっとも、明日にはシチリアを離れるけど。』

 東欧某所。
 CIAの極秘のアジトの一つで、ヘックスは資料に目を通していた。
 その時、イリジウム電話の呼び出しが鳴る。
「はい、もしもし。」
「私だよ。ヘックス。」
「課長、お久しぶりです。で、どうなさったんですか?」
「最近、ココ・ヘクマティアルに、殺し屋をプレゼントしただろう?」
 そろそろ、気づかれる頃だと思っていたので、ヘックスは慌てもしなかった。
「それが何か?彼女は、放置するには危険すぎる存在です。」
「その件については、私が判断する。許可がない限り、ココ・ヘクマティアルには、一切手を出さないようにね。」
 ブラックのその言葉で、オペレーション・アンダーシャフトにココが少なからず関係していることに、ヘックスは気付く。
「解りました。でも、理由くらい、聞かせていただけませんでしょうか?」
「使い道があるからね。合衆国にとって、有益な。だから、生かしておく。いいね?片づける危険人物や、性質の悪い武器商人は、山のようにいるだろう?そっちを、始末しておいてほしいんだがね。」
「了解しました。」
「頼むよ。じゃあね。」
 ブラックは、受話器を置く。
『とりあえず、釘は刺した。が、いつ抜けるか解らない。有能ではあるが、扱いづらいな。さて、どうするか。』
 ブラックは、今後起こりうる事態を想定して、打つ手を考え始める。

「そう。ヘクマティアルを利用しようというの。だから、生かすと。でも、課長。彼女は、そう容易く利用できませんわよ。後で、しっぺ返しを食らいますよ。」
 ヘックスはある区画に向かう。
「どう?しゃべった。」
「ダメですね。散々痛めつけたんですが、口を割りません。」
 周囲には、様々な拷問の道具があった。
「ねえ。いい加減に仲間の事を、話して下さらない?そうすれば、司法取引で罪をだいぶ軽くするように取り計らうことを、約束できますのよ。」
 ヘックス。
 ドイツ語で魔女を意味するが、まさに魔女が男を誘惑するように耳元でささやく。
「だ、誰がお前を信用するか…。魔女め。」
 ヘックスは、スプリングフィールド XD45ACPにサイレンサーを装着し、テロリストの眉間に銃口を向けると、ためらわず引き金を引く。
「始末はいつも通りに。」

『課長。言われた通り、ココ・ヘクマティアルには手は出しませんよ。でも、彼女は危険。ですので排除します。彼女には、指一本触れないで。方法は、いくらでもあるのだから。』
 自分の部屋に戻ったヘックスは、デスクの上の資料に目を落とす。
 そこには、ソフィの資料があった。
「素敵な少年よね。私が言い聞かせたら、改心してくれるかしら?そうすれば、あなたも、あなたの部下も死なずに済むわよ。でも…。改心しなかったら、死ぬわ…。そして、あなたを溺愛する、ヘクマティアルも…。」
 ココには手を出すなと言われたが、ソフィには手を出すなとは、言われていない。
 故に、ヘックスはソフィをターゲットにした。

「じゃあ、行こうか。目的地はソロモン諸島だよ。」
「で、何するんです?そんな所行って。まあ、結構、長い航海になりますから、次の取引の準備を整えるのには、ちょうどいいですけど。」
 次の取引も、大きなものになるので、取引の準備には時間がかかる。
 ソフィは、航海をそれに充てるつもりだったが、目的地に行く理由がわからなかったので、ココに尋ねる。
「フフーフ。ちょっとした、ビッグイベントだよ。きっとびっくりする。」
「はあ…。」
 どうも理解できなかったが、取引の準備に取り掛かるために、ソフィ達は、セイレーン号に向かった。

 乗船終了後、アトランティック号とセイレーン号は、ソロモン諸島に向けての航海を始めた。

後書き
ブックマンが、アールに接触。
どういうわけだか、ソフィにも少なからぬ興味を持っている模様です。
ですが、奇妙なことに、CIAから殺し屋がプレゼントされたことは、知らない模様。
常識的に考えれば、かなり奇妙なんですよね。
これって、部下のコントロールが取れていない事ですから。
その間に、ソフィは様々な裏付けに、情報収集を終了。
しかも、ブックマンですら知らない、奇妙な関係についても感触を得た模様。
事態は、奇妙な方向に向かう可能性も、あります。
そして、アールの渡したメモの内容は、何だったのでしょうか?
ヒントは、今回の話にあります。


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
第22話見させてもらいました、何時も楽しく読ませて貰ってます!

アールとブラックの会談、原作より終始殺伐とした感じでやりましたね。まあ、CIAのパラミリが上司であるココの命を狙ったと分かり、そんな時に同じCIAの国家秘密局欧州課長であるブラックから連絡が来た。これで怪しまない方がおかしいですよね。

そして対レックス戦に向けて着々と準備が整って来たソフィ達、そして原作通り(?)ココの護衛であるソフィをターゲットしたレックス。正直自殺行為にしか思えないですね。護衛は要人警護のエキスパートであるKSKを筆頭とした凄腕、しかも対象であるソフィは護衛なんていらないレベルの凄腕と来ている。仮に護衛から引き離して孤立させたとしても、仕留められる気がしませんw

そしてココが何か企んでるようですね、何をするのか気になります。

、、と、長々駄文失礼しました。最近このヨルムンガンドの二次創作を読むのを楽しみになっています。次も凄く楽しみにしています。それでは
X兵隊元帥(曹長)
2013/03/20 23:52
X兵隊元帥(曹長)さん。
コメントありがとうございます。

>アールとブラックの会談、原作より終始殺
>伐とした感じでやりましたね。
 パラミリが、ドミニク一味を差し向けた事
 の、裏が取れた後ですから、こうもなるで
 しょうね。アールとしても、ブックマンを
 7、8割方敵と見ていますから。
 ブックマンが事実を知る知らないにかかわ
 らず、現在はそういう関係。
 場合によっては、ブックマンは棺桶に入っ
 て死んでいた確率も十分にあったでしょう
 ね。

>正直自殺行為にしか思えないですね。
 常識的に考えれば、そうですね。
 でも、ヘックスもなかなかの曲者。
 思いもよらない手段で来る、可能性もある
 かと。
 とはいえ、ご指摘の通り、要人警護のエキ
 スパートであるエリを含めて、ソフィの部
 隊は、全員が特殊部隊の出身者。
 ヘックスの思惑通りに行くかは、まだ解り
 ませんね。
CIC担当
2013/03/22 16:29

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