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zoom RSS ガールズ&パンツァー 二次創作 第7話 「探り合いです!」

<<   作成日時 : 2013/03/18 23:32   >>

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「こちら、カバチーム。ファイアフライ発見。距離1500。」
「サイチームも発見。距離1300。」
「カメチームも発見したよ。距離1400。」
「了解しました。各車合図と同時に、砲撃。カバさん、サイさん、カメさんが砲撃後各車は砲撃を開始してください。敵の足を一旦止めます。訓練通りに、落ち着いて、よく狙ってください。」
 大洗女子チームが隠れている森林エリアは木が密集しているが、隙間は砲身の直径に比べれば広い。
 みほは、なるべく、見つからないように各車の位置を慎重に調整していた。

「五十鈴さん。相手との距離は?」
「そろそろ1000を切ります。」
「800になったら、教えてください。」
「解りました。」

「静かね。不気味なくらい。大きいのを狙ってくる気ね。ファイアフライを除けば、火力は向こうが上。でも、近づかないと、装甲が抜けないってのは、きついわよね。」
 シャーマンは中戦車として十分な防御力を持つが、大洗には、あんこうチームのティーガー、カメチームのケーニヒス・ティーガー、レオポンチームのブラック・プリンス、カバチームとサイチームのIV号中戦車/70(A)と装甲と火力が優れている車両があり、正面からの攻撃では、苦戦は必至だった。
「こうなったら、何かしない内に側面に回り込んで撃破するしかないわね。全車、速度を上げて。回り込むわよ。」
 サンダースチームの速度が上がる。

「距離900。」
「各車装填。撃ち方用意。」
 華の報告を聞いて、みほは、全車に砲撃用意の指示を出す。
全ての戦車砲に砲弾が装填され、砲手が精神を集中させて、引き金を握る。
「距離800を切りました。」
「撃て!」
 大洗女子チーム全10両の戦車砲が、発射される。

 森から発射音が響く。
「来るわよ。散開!」
 しかし、指示を出すのがわずかに遅く、2両のファイアフライの正面装甲にあんこうチームの88mmとレオポンチームの17ポンド砲が命中。
 散開した残りのシャーマンの内、1両の正面装甲に、アヒルチームの75mm砲の砲弾が、命中する。
 他の砲弾は、散開する前の位置に周辺に着弾していた。
「シット!」
 いきなり3両が行動不能になる事態に、ケイが声を上げる。

「森の中の木と木の間から、こんなに正確に…。」
「木と木の間のように狭い視野からも命中させられるように、訓練していたのね。訓練メニューを厳しくしたのよ。みほさんも、意外に厳しくていらっしゃるのね。」
 驚くオレンジペコとは対照的に、ダージリンは、みほがこういった状況を想定した訓練を積んでいたことを、瞬時に悟る。

「ファイアフライ2両撃破。シャーマン1両撃破。凄いです。西住殿。」
「次の段階に移ります。全車手筈通りに、お願いします。」
『さすがケイさん。平凡なレベルの隊長なら、ああも早く散開はさせられない。さすがに練度も高い。』
 戦果は上がったが、みほは、浮かれている気にはなれなかった。
 聖グロリアーナの時も、1両も撃破されなかったものの、勝利するまでに予想以上に時間を要したので、訓練のレベルを上げたが、サンダースの練度も高かったのである。

「隊長。森が。」
 森の中から、煙が出てきた。
「スモーク。身を隠すつもり?でも、あれじゃあ、向こうからも攻撃はできない。包囲させて、晴れた時に近距離から一気に勝負をつける気?それじゃ、単純すぎる。離脱?それなら、いちいち、こんなことする必要はないわ。何なの?」
『考えすぎると、却ってまずいかも。』
 考えるという事は、相手に時間を与える事にもなる。
 ケイはそれを考慮して、行動することを決めた。
「全車、一斉砲撃。当たる、当たらないは、気にしないで。余計な事をする前に足を止めるわよ。」
「「「イエス、マム。」」」
 7両になったサンダースの砲撃が始まる。

「相手の行動が読めない以上、考えすぎて時間を与える事を避けたのね。下手に時間を与えれば、みほさんに何をやられるか、解らないもの。」
 ダージリンは、ケイの考えていることを理解していた。
 指揮官には、様々なタイプがあるが、みほは戦略家よりの指揮官で、相手の一手先を読み、相手より広い視野で作戦を立案する。
 ケイは典型的な戦術家タイプであり、決断力に優れるが、視野の広さ、読みの深さはある程度限定される。
 その違いで、ケイはみほの考えを読み切れず、みほは、ケイには及ばないが、戦略家タイプの中では、決断が速い。
 それもあって、先に手を打ち、ケイを混乱させていた。

「ゴーグルを着用して、偵察を。各車、全方位警戒。車長は通信手を臨時に兼任。」
『とにかく、中を調べないと…。』
 サンダースチームはリング状になって、全方位を警戒する。

「なんだか、サンダースらしくないですね。勢いが一番の武器なのに。」
「そうね。本当に…。」
 オレンジペコに答えて、ダージリンは紅茶を一口飲もうとした時、一瞬動きが止まる。
『サンダースらしくない…?』
 一口紅茶を飲んだダージリンは、考え込む表情になった。

「サンダースとは思えない、消極的な戦い方ですね。」
「そうね。」
『それこそが、みほの本当の狙い。チームの特色と武器を、同時に封じる事こそが…。』
 エリカに答えながら、まほは、みほの狙いに気づいていた。

 一方、大洗女子チームは既に、森林を出て、後方にある丘の後ろに集結していた。
「西住殿。サンダース、まるで、西部劇の幌馬車みたいに、円になってます。」
「偵察、お疲れ様。秋山さん。」
「いえ。私は、こうして、みなさんと戦車道をしていられるだけで、本当に嬉しいです。砲弾は重いですけど、装填するのも楽しいですし。」
 大の戦車好きだった優花里は、同年代の友人がほぼ皆無で、大洗女子で戦車道が復活して、ようやく友人ができて、楽しい日々を送っていた。

「ジャンボウを囲んで、前方左右に、ファイアフライが1両ずつ。あとはシャーマン4両で後方を固めている。相手は、多分、もう一回、パンツァーカイルで来るつもりか…。そうじゃなくても、左右にファイアフライを配置しているから挟撃にも対抗できる。よし。」
 みほは、次の手を決めた。

「こちら偵察班。戦車は、影も形も見当たりません。」
「嵌められたわね。戻って!大至急!!各車、主砲装填!いつでも撃てるようにしておいて。ナオミ、ケイト、ジュンコ。私についてきて!アリサは残り2両と一緒に、全速で、森を迂回!迎撃するわよ!」
『さあ、どっちが当たりを引くかしらね。』
 10対7。
 主力のファイアフライは、半数を失っているにも関わらず、ケイは心が躍っていた。
 こういった、危機的状況を好む傾向があるというのもあるが、西住流らしからぬ柔軟さと、トリッキーさで戦うみほとの試合が、楽しくて仕方なかったのである。

「カバさんとサイさんは、所定の位置で、出鼻を挫いてください。その後、包囲殲滅します。ケイさんは、攻める時は積極的な人です。それを忘れないで。」
 大洗女子は、あんこうチームをリーダーに、フラッグ車のカメさんチームをシャーマンで護衛し、もう一方は、レオポンチームをリーダーにシャーマン3両でチームを編成。遭遇した敵を撃破して、戦力を集中する戦術を取っていた。
「あれは、ジャンボウ。それにファイアフライ。秋山さん、装填お願いします。五十鈴さん、ファイアフライに集中してください。」
「了解。」
「解りました。」
 優花里は88mm砲の砲弾を装填し、華はファイアフライに狙いを定める。
「西住ちゃん。残りの足止めは任せていいから。ファイアフライをちゃちゃっと片付けて。お願いね〜。」
「解りました。気を付けて。フラッグ車をやられたら、こちらの負けです。」
「大丈夫。任せて。護衛もいるしね。」
 華が狙いを定めている間、既に優花里は装填する用意を終えていた。

 カバチームとサイチームの88mm対戦車砲が発射され、サンダースの足を一旦止める。
「ナオミ来るわよ。ファイアフライなら、ティーガーの正面を抜ける。頼むわよ。」
「イエス、マム。」
 無口だが、優れた砲手であり、車長でもあるナオミはティーガーに狙いを定める。
 そして、双方が、引き金を引く。
 その瞬間、麻子はスピードを落とし、左に進路を変える。
 さっきまでいた場所に、ファイアフライの17ポンド砲の砲弾が着弾する。
 ファイアフライは一瞬回避が遅れ、砲弾が正面装甲をわずかに掠るが、直撃には至らなかった。
「装填、急いで。」
「はい。」
 ファイアフライの装填手が、砲弾の装填を始める。

「装填完了。」
「次で決めます。冷泉さん。ファイアフライに全速で突撃してください。」
 ケーニヒス・ティーガーの防御力はティーガーを凌ぐが、リスクを背負ったままの戦闘は、みほは、可能な限り避けたかった。
「解った。」
 発見された時、ティーガーの車体にはエンジンが無く、見つかったエンジンの中から、同じマイバッハ社製で、出力800hpのHL234 4ストロークV型12気筒液冷ガソリンエンジンを搭載し、最高速度は、46kmに向上している。
 対して、ファイアフライは最高速度40kmである。
 この速度差を活かして、一気に詰め寄ると、華は引き金を引く。
 至近距離からのティーガーの88mm砲の砲撃はファイアフライにとって、ひとたまりもなかった。
「西住殿、次の装填、すぐにいけます。」
「解りました。ジャンボウを撃破します。冷泉さん。側面に回り込んで。」
「ん。」

「大胆ね。でも、このジャンボウをそう簡単に叩けるかしら?こっちの76mm砲なら、ティーガーの正面は抜けるわよ。」
 ジャンボウが砲撃を始める。
「気を付けて。ティーガーでも、あの砲の直撃を受ければ、正面を抜かれます。可能な限り早いランダム回避でかわして、合図で後方に回り込んでください。秋山さん、装填、出来る限り早く。」
「解った。少しきついぞ。」
 麻子は、早い間隔で、ティーガーをジグザグ走行させる。
 こうなると、自動追尾装置がついていない、第二次大戦時の戦車では、命中させるのは難しい。

「向こうの操縦手。いい腕してるわね。こんな短期間で、ここまで鍛えるなんて、みほも大したもんね。楽しめるわね。気合入れていくわよ。弾が尽きるまで撃ちまくらないと、あれは叩けないわ。とにかく早く装填して、早く撃って。」
「「イエス、マム!」」
 ケイも装填を手伝って、発射間隔を速くする。

「ひょっとして、2人がかりで装填してるんじゃないですか?いくら76mmだからって、発射間隔が早いですよ。砲塔のレイアウトを考えると、出来ないわけじゃありませんし。」
「同感です。そろそろ、回り込みます。冷泉さん、五十鈴さん、お願いします。」
「解った。」
「解りました。」
 再び76mm砲を回避する。
「今です!」
 麻子は一気に、回避の間隔を大きくして、後方に回り込む。
「装填完了。」
「撃て!」
 ティーガーの88mm砲が、ジャンボウの車体後方に命中し、行動不能の白旗が上がる。

「試合終了。大洗女子学園の勝利。」

「やったー!勝った。勝ったよ。みぽりん。」
 沙織が、みほに抱き着く。
「勝ちましたね。西住殿。」
「うん。皆のおかげ。」
「そうですね。冷泉さんの操縦。お見事でしたし。」
「う、うん。」
 こういうのに慣れていない麻子は、微かに頬を染める。

「やれやれ。いきなり、ああ来る?いつから、あんな大胆になったのよ。それとも、チームのメンバーかしら。」
 敗北したが、ケイはどこかすがすがしい気分だった。
 それは、ファイアフライの車長のナオミも同じだった。

「一同、礼。」
「「ありがとうございました。」」

「みほ!完全にしてやられたわよ!相変わらず、作戦立てるの上手だけど、あんなトリッキーな作戦をとるとは思わなかったわよ。それに、あんなエキサイティングな一対一の勝負ができるとは思わなかったわ!」
 みほを見るなり、ケイは抱き着いた。
「変わったわね。去年のみほとは随分違う。去年はしてやられたって感じだけど、今年は、トリッキーでパワフルだった。」
「私、大洗に来て、変わったんです。皆と。」
 そう言って、みほは皆を見る。
 最初は初心者だったが、共に練習してきた、仲間たちを。
「そっか。とにかくおめでとう。こうなったら、勝てる限り、勝ちなさいよ。楽しみにしてるわ。」
 親指を立ててウィンクすると、ケイは引き上げに入る。

『いままでのみほとは明らかに違う。これが、大洗で手に入れた物…。』
「来るわね。決勝まで。その頃には、さらに成長して、今までにない、手強い相手になる。エリカ、心しておきなさい。」
「はい。」

「さて、次は私たちの出番ね。みほさん達の手前、無様な戦いだけは、見せられないわよ。」
「はい。」
 ダージリンとオレンジペコが、戦車に向かう。

「試合終了。聖グロリアーナ女学院の勝利。」
 聖グロリアーナの隙のない堅固な連係の前に、BC自由学園は無残にも全滅しているが、ダージリンは優雅に紅茶を飲んでいた。
「聖グロリアーナ、戦車を変えてきましたね。主力はコメット巡航戦車。装甲は厚いし、何より77mm砲は強力です。チャーチルは17ポンド砲に砲を換装して、エンジンも換装して最高速度を上げていますね。それに、駆逐戦車として、まさか、トータス重突撃戦車を投入してくるなんて、試作車両が8月に完成してますから、ルール上投入できますけど…。」
「うん。さすがにあれはね…。」
 優花里だけでなく、みほもトータスを見た時は驚いた。
「主砲の32ポンド砲の前だと、ケーニヒス・ティーガーの装甲でも、ボール紙みたいな物です…。」
 事実、直撃を食らった戦車は衝撃で吹き飛び回転して、木にぶつかって止まった。
「今度は、親善試合の様にはいかない…。」
 好敵手が、さらに強大な存在になった事をみほは実感していた。

「みほさん。覚悟していて下さいましね。今度はあなたたちが苦戦する番ですわよ。」
 新しい紅茶を飲みながら、ダージリンは笑みを浮かべていた。

「明日は、プラウダ高校。明後日は黒森峰女学院の試合ですね。」
「結果は、解っているけど。見に行かないとね。」
 桃に杏子は試合を見に行くことを伝える。

 翌日、プラウダ高校は、ポンプル高校を全く寄せ付けずに勝利し、黒森峰女学院は、知波単学園を文字通り叩きつぶし、優勝候補の1回戦は全て終わった。

後書き
第1回戦が終了です。
ノリと勢いの指揮官に見える面もあるケイですが、その実、優秀な指揮官。
且つみほの事を知っているので、相当手の込んだ罠を仕掛けていると見せかけて、くだらない小細工を使わせました。
相手が3流指揮官なら、一気に突撃していましたが、みほだからそれができなかった、それをみほは最大限に利用し、勝利するための下地を作って、勝利。
解る人は解ると思いますが、元ネタは銀英伝の、ラグナロク作戦におけるヤン対ロイエンタールの緒戦です。
これで、2回戦に駒を進めましたが、聖グロリアーナは、強力なコメット巡航戦車を中心に、部隊を編制。
さらに、第2次大戦末期に完成しましたが投入はされなかった、32ポンド砲を搭載するトータス重突撃戦車も出してきます。
プラウダ高校と黒森峰女学院は、当然のごとく勝利。
2回戦はどうなるでしょうか?





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