cogito,ergo sum

アクセスカウンタ

zoom RSS IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第42話 冬空の異国に光る星の河冬南斗なる星の龍<前篇>

<<   作成日時 : 2013/03/16 22:54   >>

面白い ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

 アメリカバージニア州ノーフォーク国際空港。
 ロビーでは、2人の女性がある人物を待っていた。
 1人は、スラックスにシャツとジャケットを羽織り、ダウンコートを着た、どこか男勝りな感じがする20代の女性。
 もう1人は、女性用のビジネススーツを見事に着こなした、モデルの様な美女。
 現役アメリカ海軍中尉にして国家代表である、イーリス・コーリング。
 同じくアメリカ海軍中尉にして、ISテストパイロットである、ナターシャ・ファイルス。
 今日、アメリカを訪れるある人物を待っていたが、1人は酷くそわそわしていた。

「もうすぐだって。落ち着けよ。ナタル。」
「時間がかかり過ぎよ。今は、面倒な入国管理は要らない身でしょう。遅いわよ。」
 2人が話していると、待っていた人物。
 腰まで伸びた黒髪、端正な容貌、強い意志と力を宿す瞳を持つ少年。
 世界でただ1人、ISを扱う事の出来る男性であり、その実力は世界でも5本の指に入る。
 さらに、各分野で業績を上げている天才科学者でもある。
 名を織斑一夏という。

 入国手続きは簡単だったけど、周囲の人たちから逃げるのに結構手間食ったな。
 まさか、殴り倒すわけにもいかないし、ゴーレムより面倒だ。
 やれやれ。
 ラウラがいれば楽だったけど、今回はアメリカが護衛を担当することになっている。
 最新鋭ISの改修をしてもらう上に、俺の護衛も他国任せだと向こうも立つ瀬が無いって事か。
 面倒なポジションに、いるよな。俺。
「こっちよ。一夏。」
 来てくれてたのか。ナタルにイーリ。
 臨海学校での合同演習以来だな。
 あの時は、マジで大変だったな。
 それに、ナタルとは、その、あれだったからな…。
『I LOVE YOU. MY LOVING WHITE KNIGHT.(愛しているわ。私の愛しい、白き騎士。)』
 冗談だよな…。
 俺は年下で、まだガキだし…。

「悪いな。わざわざ迎えに来てもらって。このまま、基地に向かう気でいたのに。」
「いいって事よ。アメリカが頼んだ用事で来てもらったんだから、それくらいはな。」
 俺たちは、軍が用意した車で空港を後にした。
 周囲には、気づかれないように護衛がいる。
 多分、専用機持ちもいるな。

 ノーフォーク海軍基地。
 アメリカのみならず、世界最大の海軍基地である。
 嘗ては、アメリカ海軍第2艦隊の母港でもあった。
 アメリカ海軍麾下の各部隊の総司令部も、ほぼ全てここにある関係で、ISの開発部門の本部も、ここにある。
「久しぶりだな。ミスターオリムラ。その節は世話になったな。」
「お久しぶりです。マクドネル大佐。」
 揚陸艦ニューヨークの艦長で、臨海学校の時の合同演習の時に日本に来ていた。
 あの時は、イーリがいきなり俺に決闘を挑んできた結果で、IS委員会の査問会と軍法会議にかけられそうになったが、千冬姉の口添えで免れたそうだ。それでも、3か月間の減俸処分は食らったそうだが、このケースとしては異例と言っていい程、処分は軽い。
 ちなみにイーリは、軍法会議こそ免れたが、減俸半年でしかも通常1割が2割になったと、ナタルからの手紙に書いてあった。
 こっちは、自業自得だな。
 その代り、結構、たかられたらしい。
 節約しろよ…。
 貯金だって、あるだろう…?
 ナタルも、苦労してるなあ。

「では、明日から作業を頼む。どうかね?ニューヨーク程ではないが、このノーフォークも観光名所としては、中々の物だ。ファイルス中尉に案内させよう。」
「では、お言葉に甘えて。ナタル、お願いしていいかな?」
「ええ。喜んで。」
 ナタルは、嬉しそうにほほ笑む。

「こういっては何ですが、男が磨かれてきましたな。彼。」
 副長のメイヤー中佐が、マクドネルに話しかけてくる。
「色々、あったらしいからな。しかも、IS委員会と国連安全保障理事会直属。理事会にも出席する身だ。そうなるとすれば、我々では想像もつかんことが起きたのだろう。困難や試練は、男というより人を鍛え上げる。嘗て、冬戦争、継続戦争で、ソ連を跳ね除けたフィンランド。北風がヴァイキングを鍛え上げた、ノルウェー。そして、2つの核爆弾を落とされながらも、世界屈指の経済大国になり、我が国にとってアジアで最重要の同盟国日本。皆、試練を乗り越えてきた。彼もそうだな。」
「確かに。ファイルス中尉が、ぞっこんになるわけが頷けます。」
 元々、親日家である2人は、願わくば一夏が橋渡しとなり、日本とアメリカの良好で堅固な同盟関係が続くことを、祈っていた。

「みんな、ニューヨークに行きたがるけどさ。ノーフォークの街並みもいいな。いろんな様式の建物が見られて、楽しいし。」
 大抵、ニューヨークとかワシントンを見に行きたがるけど、ノーフォークもいい街だな。
 見ていて、飽きがこない。
「気に入ってくれて、光栄だわ。一夏って、アートのセンスもあるのかしら。」
「華道の師範の免状、あるからかもな。」
 華道をやっていると、いろんな花を見る機会があるし、それに触れてイメージを作って花を活ける。
 流派の特徴は出るけど、自分が納得できる花を活けることができた時っていうのは、自分の世界。
 小さな剣山の上に、自分だけの世界を作ることができた時だ。
 だから、自然とそういう感覚が養われるのかもしれないな。

「華道って、要するに、フラワーアートよね?師範はインストラクターかしら?」
「英語で言うと、フラワーアレンジメントだな。それくらいになると、号。簡単に言えば、作家のペンネームみたいなものも授かる。」
 これには、ナタルも驚いた。
 ISの操縦、設計・開発。
 各種工学分野での、才能のほかに、芸術に類する分野での才能を持ち合わせているとは、考えてもいなかったからだ。
「多才ね。」
「華道とか茶道。舞や日本舞踊。能楽とかは、剣術の師匠に言われて習ったんだよ。剣の道を究めるだけではなく、教養も身に着けるようにってな。」
「ティーセレモニーも?そっちも、師範?号っていうのも、持ってるの?」
「まあな。茶道は、清夏。華道は聖華。」
 一夏はジャケットのポケットからメモ帳を取り出して、自分の号を書いて、その横に、英語にするとどうなるかを書いた。
「清らな夏に、聖なる華。素敵ね。」
「そうか。そう言われると、少し、照れるな。」
 一夏は、少し照れくさい表情になる。

『本当に素敵ね。一夏は。』
 冬をイメージさせながらも暗すぎない色合いの、スーツを見事に着こなし、腰まで伸びた黒髪は、艶やかで女の目から見てもうっとりしてしまう。
 モデル級の美少年だが、その実、世界でも5本の指に入るISパイロットで、世界でも有数の科学者。
 でも、当人はそれを自慢げに語りもしないし、他人を見下したりはしない。
 清廉潔白で、優しい少年である。
 そして、自らの目標を確固として持ち、それに向かって真っすぐに進む人間だけが持つ、澄み切った瞳。
 そういった物が、ナタルの心を捉えて離さない。
 故に、合同演習の時には、自分の中にある一夏への愛を告げた。
 相当な鈍感だと、後で聞いたがいつか必ず、自分の方に振り向かせる。
 ナタルは、そう決心している。
 尤も、ライバルは多い。
 IS学園の専用機持ちの大部分は、一夏にぞっこんだし、世界でも屈指のコングロマリット(異種企業間連合)、神無月グループの令嬢である冬菊も一夏を見染めたらしい。
「負けないわよ。」
「うん?どうした。」
 不思議に思った一夏が、ナタルに尋ねる。
「こっちの事よ。」
『そう。誰が相手でも、絶対に負けない。織斑千冬。ブリュンヒルデ。貴方にとっては、一夏は全てなのだろうけど、それでも私は、彼がほしい。だから、一夏を、大切な弟さんを奪います。』
 街の風景を興味深く見る一夏を横目で見ながら、ナタルは心に誓っていた。

 うっし。
 やるとしますか。
 ファングクェイクからかな。
 燃費と稼働性を両立させた手堅い設計は優秀なんだけど、その分、どうしても攻撃力にかける。
 それに、遠距離兵装がないのは、モンド・グロッソを考えるとやっぱりまずい。
 それに、個別イグニッションブーストは、OSが未完成だし、燃費もよくない。
 この辺りは、絶対に改善が必要だ。
 結果、そこに重点を置いて改修することにした。
 さすがに、世界最強の軍隊を持つ、アメリカ。
 各種ファクトリーも、十分以上に揃っている。
 組みあがった部品を使って、俺は改修を進める。
 通常のスラスターも、前から構想を温めていた新型に換装して、推力と燃費をアップしておこう。
 それに、射撃兵装だな。
 投げナイフは、新型のエネルギーブレード発生型の「スティレット」に。
 これはこれで、結構使えるしな。
 あとは、保険ということでサバイバルナイフは、刃の部分をチェーンソー状にした、新型の「アリゲーター」装備させてと。

 次は福音だな。
 結構、あちこち手直しがいる。
 強力なのは認めるけど、シルバー・ベルを発射するまでのタイムラグが、ちょっと長いんだよな。
 この点は、改良だな。
 プロテクション・リュミエールと、同じ構想で行くか。
 そうすれば、かなり短時間に発射できる。
 初期のシルバー・ベルはそのまま腕部機構にして、ファングクェイクと部品を共通化させて、新型のシステムを組み込めば、格闘戦も十分に熟せる。
 後は、ウィングスラスターを増設して、高機動性と火力を向上させよう。
 プラス、実弾兵装として、レールマシンカノン「バイパー」を装備
 白式みたいに、エネルギー兵装に強いISやゴーレムが出てきた場合の保険が欲しいしな。
 シルバー・ベルは、攻撃力を向上させつつ、バリエーションを加えて、実弾も発射可能に。
 それと、実弾、エネルギー双方で、切り札が欲しいな
 基本スペックも、向上させる。
 それと第3世代のほとんどに言える弱点である、燃費の悪さも解消したいな。
 各部機構と、システムの最適化をするか。
 後は、スラスターの制御OSの修正をして、アリゲーターを装備させる。

 2日後、改修が終了し、テストの日が来た。
 まずは、イーリからだ。
「これからテストを始める。俺の声聞こえるか?イーリ。」
「感度良好。早く始めてくれ。試したくって、体がうずうずしてんだからよ。」
 やれやれ。子供だな。
「んじゃ。始めるぜ。ターゲットを、各武装で破壊してくれ。今は、個別イグニッションブースとは、使わないでくれな。後でのお楽しみだ。」
「了解。頼むぜ。」
「テストスタート。」
 俺は端末を操作して、ターゲットを出す。

「おらっ!」
 イーリがファングクェイクの拳で、ターゲットが破壊されるが、近くにいたターゲットも余波に巻き込まれて、破壊される。
「一夏、これって…。」
「ファングクェイクに追加した、特殊兵装「SMI」さ。」
 SMI。
 正式名称は、Striking Mechanism Inertia。
 慣性打撃機構という。
 AICを参考にして、拳から一定範囲に指向性を持った衝撃波の一種が放たれて、相手を撃破する。
 こいつの特徴は、範囲の中、もしくは範囲に触れただけでも、ダメージが来る事だ。
 CQCを得意とするISパイロットなら、いろいろと応用はできる。
 無論、脚部にも装備されている。
「こいつはいいぜ。インパルススケイルより、破壊力もあるしな。っと。」
 範囲を早くも飲み込んだのか、うまく中に誘導して、次々と破壊していく。
「SMI制御機構異常なし。各部スラスター、正常稼働。シールド干渉認められず。パイロットと機体の適合率、99.87%。許容範囲内。エネルギー消費率、想定内。」
 OK。いい具合だ。
 換装したスラスターも、調子は良好。
「遠距離兵装は、どうだ?」
「ああ。荷電粒子砲とレールガンと二段構えっていうのは、頼もしいな。レンジじゃ、ファングクェイクには隙はねえな。っと。」
 スティレットで、ターゲットを破壊する。
「エネルギーブレード式。しかも、必要なエネルギーは、バッテリーに内蔵してるから、稼働エネルギーを気にする必要はない。それに、このサバイバルナイフ「アリゲーター」。これだけでも十分に、戦えるな。」
 評判は上々か。
 燃費と稼働性も、ほとんど変わってない。
 想定内だな。
 じゃあ、最大の懸案事項のあれいくか。

「第2フェーズに移るぞ。個別イグニッションブーストを試してくれ。システムを改修して、前よりずっと楽になってるはずだ。」
「そいつは、ありがたいぜ。んじゃま、行くか!」
 4つのメインスラスターを連続でイグニッションブースとさせる、ファングクェイクの第3世代兵装個別イグニッションブースト。
 爆発的な加速能力を得られる代わりに、制御がひどく難しく、成功率は半分にも満たない未完成品だったが、各部機構とシステムを改修して、問題なく稼働するはずだ。
「第1段階、確認。圧縮機構及び制御システム正常稼働。タイムラグ、コンマ00006秒。問題なし。」
「速えな!前より、ずっと速いぜ!!」
 改修の結果、イグニッションブースト時のスピードは、40%向上している。
 イーリが驚くのも、無理はない。
「第2段階、確認。連動率、99.97%。問題なし。各機構問題無し。」

『凄えスピードだな。それに、ずっとやりやすい。』
 第3段階に入っているが、機体には全く異常が見当たらない。
 この段階で、改修前の個別イグニッションブーストを、大きく上回っている。
『いよいよ、最終段階か。どこまで行くか。楽しみだぜ。』
 そして、4つ目のスラスターでのイグニッションブーストに入る。

「最終段階、確認。第1〜第4メインスラスターの各機構及びシステム問題なし、制御システム正常稼働。機体のフラッター認められず。個別イグニッションブースト正常。」
「うおおおっ!」
 SMIで、ターゲットを蹴る殴るで、文字通りボコボコにしている。
 これ、テストで仕事なんだけど、完全に忘れてるな。やれやれ。
 で、視察に来ていた軍のお偉いさんたちから、歓声が上がる。
 スピードは前より、ずっと向上しているからな。そして、それを活かしながら、追加した武装で瞬く間にターゲットを破壊して、ファングクェイクのテストは終了する。
 若干、微調整はいるけど、大した手間じゃないな。

「凄えぜ!こいつは!!」
 イーリは、興奮を抑えきれない。
 すべての面で性能は大幅に向上し、兵装も増え、全ての距離で憂いなく、思う存分相手を叩きのめすことができるISになったのだから、無理もない。
 しかも、稼働性と燃費を重視というコンセプトは、そのままである。
「喜んでくれるのは、うれしいけどな。最終的には、パイロットの腕次第だぜ。そこんとこ、忘れるなよ。ま、心配ないだろうけどな。」
 一夏は福音のテストの準備をしながら、イーリに念を押す。
「解ってるって。あたし自身も、もっとトレーニングしないとな。一夏とやり合っても、今のままじゃ、軽くあしらわれて終わっちまうし。ファングクェイクも泣くしな。とことん、あたしのテクニックを磨きぬくさ。」
 イーリの言葉を聞いて、上層部の人間はほっとした。
 米海軍最大の問題児が、トレーニングに励んでいてくれれば、問題は起きない。
 国家代表としてのスキルも向上するのだから、そのまま努力してほしいと切に願っていた。

「じゃ、つぎ、ナタル行くぞ。」
 俺は通信テストをしながら、端末を操作して、福音の状況を表示させる。
「ええ。よろしくね。」
「こちらこそな。じゃあ、上昇して、とにかく動き回ってくれ。好きなようにな。」
「解ったわ。」
 福音はウィングスラスターが、2対に増えて、腕部パーツが大型になっている。
 ナタルは、増設されたウィングスラスターを稼働させて上昇する。
 うん。速度も設計通りだな。
 さすがに、ナタルも驚いてるか。
 今までとは、段違いの速度だからな。
 さて、機動データのチェックをするか。

『凄い…。スピード。反応速度。運動性。機動性。どれを取っても、今までの福音とは、訳が違う…。』
 増設されたウィングスラスターは、機体の機動性、運動性能等を格段に向上させていた。
 ウィングスラスターには、補助スラスターと姿勢制御スラスターを兼ねたスラスターが各部に装備されている。
 それらが、完全に連動して、凄まじい性能を福音に与えていた。

「各スラスター、同調誤差3.4ピコセカンド。機体制御に、問題は認められず。PICとの同調も問題なし。シールド制御機構。問題無し。」
 福音の改修に際して、各種性能を向上させるに際し、一夏はスラスターの連動及び切り替え、シールドの干渉、PICとスラスターの連動に関して、特別に、システムを構築している。
 それらが完璧に、稼働していた。

「じゃあ、次な。ターゲット出すぞ。いつ出るかまでは言わないし、数も秘密だ。今の福音を使いこなせれば、楽勝だけどな。」
「望むところよ。」
 お。やる気だな。
 んじゃ、設定してと。
 20秒ほどして、ナタルを囲むように、米軍の最新鋭無人ターゲット NMF−03 スコーピオンが出る。
 制御OSは俺が手を加えたので、今までとはスペックが違う。
 さて、どこまで行くかな。

「この程度なら、十分許容範囲内ね。それに…。」
 今までの半分以下の時間で、シルバー・ベルが発射され、包囲して襲いかかろうとしたスコーピオンが撃墜される。
 威力も、4割向上させたからな。
細々とした部品しか、残ってない。
「今のこの子には、スペックアップしたスコーピオンでも、太刀打ちできない。もうちょっと、私を高く評価してほしかったわね。一夏、罰として今夜はホテルでディナー。ロイヤルスウィートで私と一緒に泊まる事。いいわね?」
「それは、関係ないだろ?出現させた後は、AIが独自に戦術を決定するんだからさ。」
 その間に、隊形を整えたスコーピオンは、一斉に襲いかかる。
「はいはい。その程度じゃ無理。」
 腕部に内蔵された、初期型のシルバー・ベルが発射されスコーピオンを撃破する。
 これにも、ウィングスラスターのシルバー・ベルと同様の改修が、してある。
 でも、終わらないのが、世の中だったりする。
「面倒だから終わらせるわ。その後、今夜の予定について、ゆっくりと話し合いましょうね。一夏。シルバー・ネメシス!」
 全てのシルバー・ベルの、一斉斉射。
 臨海学校の時は、ゴーレムの第二陣全機に多大なダメージを与えた、福音の最大の攻撃手段だ。
 当然、訓練用のターゲットのスコーピオンじゃ、話にならない。
 演習場の地面が、あちこち隕石の落下後みたいになる。
 ちょっと、難ありだったから手を加えて実用的にしたけど、やりすぎたかもしれないな…。
 どっちも腕利きだから、尚更そう思う。
 マジで亡国企業は、手を出すのはやめた方がいいな。
 生きているかどうかの保証すら、もうできない。
「シルバー・ベル発射機構。エネルギー弾生成時間は、初期の4割程度。発射時間も同程度にまで短縮。発射時の姿勢制御システム、問題無し。シルバー・ネメシス使用時も同様。後は、微調整のみと。」
 上出来。上出来。
「ナタル。バリエーションを、試してくれ。」
 数をかなり増やして、包囲させる。
「その程度じゃ無理。」
 発射されたシルバー・ベルは、2か所で衝突する。
 片方は、より小型のシルバー・ベルが広範囲に降り注ぎ。片方は広範囲の爆発を起こして、スコーピオンを全滅させる。
 でも、それで終わりじゃないんだな。これが。
「こっちも、試すわ。」
 シルバー・ベルではなく、実弾が一斉に発射される。
 炸裂弾と散弾の2種類。
 それぞれが、外部を極限まで薄くして、大量の炸薬や散弾が詰められている。
 第二次大戦時、ドイツ空軍が使用した、マインゲショス(薄殻榴弾)が元ネタだ。
 同口径だが、炸薬の量が違うので大型爆撃機でも喰らえば、イチコロという物凄い威力を誇った。
 さらに、レールマシンカノン「バイパー」が発射され、あたりを掃射して、スコーピオンはほぼ全滅する。
 残りは、近接戦闘を試すために、ファングクェイクにも搭載されているSMIにアリゲーターで、片づける。
「じゃ、最後の2つ。前もって言っておくけど、普段でも使いどころは考えてくれ。エネルギー消費量が半端じゃないから。」
「解ってるわ。」
 ま、ナタルなら兵器か。
 そんじゃ、残り2つ。
「行くわよ!」
 ナタルの前で、エネルギーが収束して発射され、大量のスコーピオンが、跡形もなく消し飛ぶ。
「よし。ラストだ。」
 再び大量のスコーピオンを出現させると、今度は溶岩の様な何かが、同じように全て消し飛ばす。
 うん。最後の切り札も、大丈夫だな。
 超大出力荷電粒子砲「ライト・オブ・ジャッジメント(審判の光)」と、超高圧縮衝撃砲「ハマー・オブ・ジャッジメント(審判の鉄槌)」。
 福音の切り札と言っていい、兵装だ。
 けど、威力に比例して、エネルギーの消費量も大きい。
 これで、俺の仕事はお終い。
 予定より少し早いけど、明日には帰るとするか。

「さすがですな。ミスターオリムラ。ここまで性能を高めるとは。」
 俺に声をかけてきたのは、ノーフォーク海軍基地に司令部を置く、アメリカ海軍艦隊総軍司令官ウイリアム・ゴートニー海軍大将だった。
「閣下自らのお出でとは、恐縮です。」
「我が国が無理を言って来てもらったのですから、挨拶ぐらいはしないと、礼を失することになります。当然の事です。ご苦労でした。」
 ふーん。
 政府のお偉いがたは大嫌いだが、軍はまだ良識的だとみてよさそうだな。
 50代の、温厚そうな人だ。
 軍人というより、近くの商店街で子供たちに人気がある、おじさんという感じがする。
「ありがとうございます。私も、満足していただけてほっとしています。今日は微調整を終えて、明日には帰国する気です。
「たしか、予定では、明後日に帰国では?毎日忙しいと聞いております。この基地には、海兵隊の訓練施設を含む、各種訓練施設には事欠きませんし、自由に使っていただいて構いませんよ。励まれるのは結構ですが、体には気を使わないと、後で大変なことになりかねません。ノーフォークの街並みを、気に入っていただけたと聞いておりますので、いろいろと観光をなさって、英気を養われてはいかがですかな?」
 そうだな…。
 前にも倒れて、散々心配させたし、今でも医務室と冬菊の家の病院での定期健診とかがある。
 なんでも、まだ、トレーニングメニュー、食事と、検査結果と神札の結果を突き合わせて、今後の事を、考える必要があるそうだ。
 やれやれ…。
 ん…?
 ハイパーセンサーからの情報が、伝わってくる。
 はあ。本当にやれやれだ。
 ナタルとイーリは整備と補給が必要だから出れないし、ここは俺が行くか。

後書き
一夏のアメリカ出張編。
今回は、前後編。
まずは、前篇。
依頼されていた、ファングクェイクと福音の改修です。
ファングクェイクは、既存の兵装の強化と、ワンオフアビリティーの改修です。
稼働率と燃費の良さという特徴も崩さないように、気を配っています。
福音は、ウィングスラスターを、増設。初期型のシルバー・ベルを固定兵装にし、威力を向上させ、さらにバリエーションを増やしつつ、実弾兵装も使用可能に。
さらに、燃費を向上させつつ、ファングクェイクと装備を共通化させて、近接戦闘能力も向上させながら、切り札的な兵装を追加。
強力なISになっています。
ナタルもイーリも、日々訓練を行っている、現役の軍人。
これで、基地が襲撃を受けた時でも、リスクは減るでしょう。
でも、間が悪い時というのはあるものです。











ブログ村のランキングに参加しております。
来てくださった方は、よろしければクリックをお願いいたします。
励みになりますので。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

相互リンクはいつでも大歓迎です。
リンクをしてくださる方は、コメント欄にお書き下さい。
リンクの設定をした後に、お知らせします。

後篇に続く。

目次に戻る。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
面白い 面白い 面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
ブログランキング・にほんブログ村へ
IS<インフィニット・ストラトス>二次小説 第42話 冬空の異国に光る星の河冬南斗なる星の龍<前篇> cogito,ergo sum/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる