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zoom RSS 機動戦士Zガンダム〜ネオ・ジオン戦役〜 第39話 決戦前

<<   作成日時 : 2013/03/08 23:56   >>

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「確認しました。戦艦プロヴィデンスです。」
「うむ。」
 既に、グレミーと一戦交えたことは、報告されていたので、ハマーンはサダラーンで、迎えに来ていた。
『グレミーが、噂のニュータイプ部隊まで投入してきたというのに、損害は軽微と言っていい。強化処理自体、それなりに強いのだが、よく精神が安定している。戦いぶりも、見事だ。私の片腕となり得る。喜ばしい事だ。』
 プロヴィデンスから、マシュマーとイリアを乗せた、シャトルが到着し、ハマーンがランスを連れて出迎える。

「ハマーン様自らの、お出迎え。このマシュマー・セロ。歓喜にたえません。」
「待っていたぞ。マシュマー。」
「ありがたきお言葉。されど、グレミーを仕留め損ないました。伏してお詫び申し上げます。」
 マシュマーが、グレミーを仕留めることが出来なかったことで、深々と頭を下げ、謝罪する。
「いや。あれは、キャラの艦隊の動きを察知しての、戦略的な撤退。お前に手落ちはない。それに、ニュータイプ部隊を、相手にしながら、これだけの兵力を温存したことは、称賛に値する。よくやってくれたな。」
 実際、ハマーンはマシュマーの手堅い戦いぶりを、高く評価している。
 グレミーの撤退の理由も悟っていたので、責める気は、毛頭なかった。

「本格的な戦闘になれば、グレミーも、惜しまず切り札を、出してこよう。激戦になるは、必至。そうなれば、兵力が必要になる。その時に、お前が温存してくれた兵力が、必要になる。その時には、頼むぞ。マシュマー。」
「はっ!わが艦隊の将兵、全て、ハマーン様とミネバ様に、忠誠を誓う者達でございます。死力を尽くして、お役にたつ所存。」
「頼りにしている。長旅で疲れておろう。今は、ゆっくり休め。兵たちには、飲酒も許可してやるがよい。」
「仰せのままに。」

 サイド3の宇宙港に、サダラーンとマシュマーの艦隊が入港してから、マシュマーはキャラや他の部隊の指揮官と、今後の戦略を協議している間、ハマーンはイリアから、マシュマーについて、報告を受けていた。
「報告書は読んだ。安定している。いや、暴走の危険はゼロか。」
「はっ。そう考えて、よろしいかと。」
 イリアの言葉を聞いて、ハマーンは満足そうに頷く。
「これからの、戦いは、厳しい物になろう。兵力では、こちらが圧倒的に勝るが、それは、グレミーとて、十分理解しているだろうからな。何か、切り札を隠しているはずだ。ニュータイプ部隊以外のな。」
「はっ。マシュマー様も、その事を、考えておられました。後退したにしても、根拠地があっての後退だろうと。そして、移動が可能なように、核パルスエンジンが搭載されたままの、廃棄された資源採掘用小惑星を、利用している可能性が高いと、お考えです。」
「成程。そのような物があっても、おかしくは無いからな。マシュマーの考えは、間違っておらぬだろう。それにしても…。」
 ハマーンが愉快そうに、笑いながら、イリアを見る。
「何か?」
「すっかり、上官と、認めておるようだな。お前に認めさせるとは、大したものだ。」
「はっ。」
「喜ばしい事だ。優れた指揮官が、次々と失われている中で、マシュマーは貴重な人材だ。サポートを頼むぞ。」
「はっ。お任せください。」
 恭しく一礼して、イリアはハマーンの執務室から去る。

「以上の理由から、グレミーは、明らかに各種工廠及びプラントを有した根拠地を、有しているだろう。そして、移動用の核パルスエンジンも、搭載されている可能性が高い。他にも、何かを隠しているだろう。長距離偵察が、必要と考える。」
 自分の意見を言って、マシュマーは席に着き、用意されている水を飲む。
「まっ、何かを隠してるってのは、間違いないだろうさ。だが、そんなのは、最初の防衛線が交戦に入った時点で、解る事だろう?今は、戦力を温存しているべきじゃ、ないのかねえ?」
 キャラが最初の防衛線が交戦に入った時に、情報を収集し、後方に送ればよいのだから、いたずらに戦力を裂くのはどうかと反論する。
「いや。マシュマー様の意見は正論だ。ガザDの、長距離偵察仕様がある。これなら、戦力を温存できるのではないだろうか?」
 サイド3防衛部隊の指揮官の1人が、長距離偵察用MSでの、偵察を提案する。
「そうだな。ドダイ改も併用すれば、問題ないだろう。」
 他の指揮官も、賛同の意を示す。
 こうして、マシュマーの提案が採用された。
「では、次に交戦の際の、防衛線構築についてですが…。」
 その時、ハマーンが協議を行っている会議室に入って来た。

「以上のように、グレミーの切り札を探るために、余剰になったガザDを改修した長距離偵察型を使用しての偵察をするべきという意見が、多数を占めました。」
 進行役の士官から、今までの会議の結果を、ハマーンは聞いていた。
「それがよかろう。準備が整い次第、索敵を開始せよ。」
「はっ。」
「防衛線だが、あくまでグレミーの戦力を削るのが目的だ。個々の防衛線はさほどではない。故に、無理はするな。全速で本隊と合流し、補修・整備を受けよ。戦列復帰が可能になった艦は、前線に投入する。後方には、工作艦を、可能な限り展開させよ。前線と後方の連携が、勝敗を分けることを、決して忘れるな。」
「「「「はっ!」」」」
「うむ。では、防衛線を担当する指揮官の選定に入る。防衛戦は、第4陣までとする。志願する者がいれば、遠慮なく名乗り出よ。」
 ハマーンは、全員を見渡す。
「ハマーン様。防衛戦と戦闘に入る前に、このキャラ・スーンに戦う機会をお与えください。」
 キャラが、作戦修正を求める、発言をする。
「何か、策でもあるというのか?キャラ。」
 ハマーンが、キャラの方を見る。
「はっ。防衛戦の主目的が、戦力を削るのならば、敢えて、その前に出来る限り戦力を削るべく仕掛けては、如何でしょうか?私がその任にあたりたく存じます。」
『愚策だな。』
 マシュマーは、そう判断した。
 そもそも、キャラは度が過ぎると言っていいほど、攻撃的な指揮官である。
 不利な状況になっても、撤退はしないだろう。
 さらに、数においても劣る以上、如何に蛮勇を振るおうと、切り札を出し惜しみしないグレミーとぶつかれば、敗北は明らかだと、判断したのが理由である。
 結果、グレミー軍の士気は上がり、防衛線の被害を大きくするだけである。
『おそらく、グレミーを討ち取るつもりだろうが、そう、うまくいくまい…。』
 取るべき策では、ない。
 そう考えながら、ハマーンがどう判断するかを、見守る。

『ふむ。このあたりか…。』
 ハマーンはある理由で、決断した。
「よかろう。お前に任せる。」
「はっ。ありがたき幸せ。」
 キャラが、恭しく礼をする。
「では、防衛線の指揮官と、本隊の陣形だが…。」
 決めるべきことを全て決め、会議は終了する。

「ハマーン様。お聞きしたい事があります。」
「解っている。キャラの事であろう?」
 執務室で書類にサインを済ませると、ハマーンは来客用のソファを薦め、従兵にコーヒーを持ってこさせる。

「キャラの策が無謀であることは、私も理解している。だが、敢えて許したのは、一つ理由があってな…。」
 クリームをたっぷり入れたコーヒーを、ハマーンは口にする。
「理由とは…?」
「奴は、使いようが無い。あれ以外にはな…。キャラの戦い方は、サイド4の攻略に向かったキャラの救援をした、お前が誰よりもよく知っているであろう?」
 その言葉で、マシュマーは、ハマーンの意図に気づいた。
「本隊の一部にしても、奇襲部隊にしても、連携しての作戦行動は、不可能。そう仰りたいのですか?ハマーン様。」
「そういう事だ。強化処置を施してはみたが、無理であったな。お前の様にはいかなかったよ。あれは、破壊にしか役に立たん。ならば、その力を存分に使わせてやる方が、メリットになる。あれにも、NT用MSとして、ゲーマルクを与えている。グレミーの戦力を、それなりに削る事はできよう。」
 そう言いながら、ハマーンは、ゲーマルクの資料を渡す。
「拝見させていただきます。」
 マシュマーは、ゲーマルクの仕様に目を通す。
 AMX−015 ゲーマルク。
 高い火力を持たせた、NT用MSというコンセプトのもとに開発された、NT専用MSである。
 全身に、メガ粒子砲を装備し、厚い装甲が施され、特殊なコンセプトのファンネルが装備されている。

「確かに、これならば、戦力を削れましょう。しかし、ニュータイプ部隊が出てくれば、どうなるかは、未知数です。私が矛先を交えたのは、キュベレイの量産型と思われるMS5機と、巨大なMSでしたが、あれで全てとは限りますまい。その時、どこまで対抗できるか…。」
 マシュマーは、考え込む。
「実はな、マシュマー。そのニュータイプ部隊こそ、最も、削って欲しい戦力だ。後々、面倒になる。酷薄と思うだろうが、キャラにとっての花道はこれしかない。私はそう判断した。」
「確かに…。」
 冷酷だが、正しい判断。
 マシュマーは、そう判断した。
 強化処置は、ニュータイプ能力を得る代償に、精神が不安定になるリスクが高い。
 マシュマーは、不安定さが全くないが、それは、非常に希少なケースである。
 指揮官として、他の艦隊との連携は無理だろう。
 同じ強化人間として、マシュマーはそれを認めざるを得なかった。
「お前にとっては、辛い事であろうな…。だが、堪えてくれ。」
 マシュマーを気遣うように、ハマーンは言う。
「私は、ハマーン様とミネバ様に忠誠を誓った身、ネオジオンとザビ家の為ならば、いかなることにも耐えて見せましょう。お優しきお言葉、感謝いたします。」
 マシュマーは跪いて、恭しく言う。
「そうか。そう言ってくれると、私も気が楽になる。貴重な人材が多く散った。お前は、欠く事の出来ぬ男だ。それを忘れるなよ。」
「身に余る、光栄にございます。」
 ハマーンの言葉は、決して偽りではなかった。
 エゥーゴ、サイド4のウラキを中心とする駐留部隊、サイド7の駐留部隊、カラバ、それらの部隊との戦いで、多くの人材を失ったネオジオンにとって、マシュマーは欠かせぬ人材となっている。
 強化人間でありながらも、指揮官の手腕も優れており、冷静な判断と手堅い戦い方が出来る、数少ない指揮官であるマシュマーを失えば、ネオジオンが受けるダメージは、相当なものになる。
 それだけは、避けねばならなかった。
「そろそろ、偵察部隊が出撃するころだ。供を頼む。」
「はっ。」

 ドダイ改に外観が大きく変わった、ガザDがある。
 AMX−006R ガザD 長距離偵察仕様
 旧式になった、ガザDの改修型の1つである。
 肩部バインダーを複合センサーとし、バーニアを推力向上型に変更。
大型プロペラントタンクと高精度カメラを装備し、長距離での偵察を可能としている。
武装は、自衛の最低限の物にされ、主武装のナックルバスターは撤去されている。
 改修は、さほどコストもかからず、優れた偵察機能を持ったMSとなった。
 隕石群と、通常航路の双方に向かわせ、偵察を行う事になっている。
 グレミーの行動が完全に読めない為に、保険を掛ける方がよいと、判断されたのである。
 次々と、偵察部隊が出撃していく。
『さて、グレミーの手の内、どれほど、解るかな…。』
 偵察部隊の出撃を見ながら、成果はどの程度か、ハマーンは考えていた。

後書き
ハマーン陣営の動きです。
とどのつまりは、ハマーンはキャラを使えぬ人材と見て、切り捨てることを決定。
事実、原作を見ても他の部隊との連携ができるとは、思えませんでしたしね。
鉄砲玉以外に、使い道はないでしょう。
索敵をだし、グレミーの戦力の調査を開始したハマーン。
ジオンとジオンの戦いの火蓋は、間もなく…。


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内 容 ニックネーム/日時
本多知恵子さんが関わった作品を見直すと同時に、安倍総理がTPP交渉に参加するか否かで、アニメや漫画、同人誌等を生み出している二次創作業界に悪影響が出る事が心配でたまらない、ZESTです。

今話では、今迄好き放題やっていたキャラに、溜め込んでいた借金の納め時がやってきました。
サイド4攻略戦にて、マシュマーへの抗命罪で軍法会議に掛けられたシーンが今迄無かったので、ハマーンが強化処置を施し、ゲーマルクを与え、プルクローン部隊の戦力を削る決死隊としたのは、妥当の判断でしょう。

対照的に、ZZ本編では、自身が死んだ後、ハマーンからは死を悼む言葉を掛けてもらえなかったマシュマーが、イリアに上官として認めてもらえたばかりでなく、ハマーンから自らの片腕となり得る人材と言わしめた事が、かなり良かったですね。
しかしその分、マシュマーが仮に戦死したとしたら、ハマーン達ネオ・ジオンが受ける精神的ダメージはとんでもない事になりそうですが(汗)。

決死隊となったキャラと彼女のストッパーである副官のクルスの今後の運命を想像しつつ、次回も楽しみに待っております。
ZEST
2013/03/10 14:15
戦争は、戦場に着くまでに勝敗は、ほぼ決まっている。
某提督の意見ですが、戦場に着くまでには補給が、戦場に着いてからは情報が勝敗を決める。
最初に、この2つが駄目なら戦術なんて無意味だと言う意見でした。

今回のハマーンは流石に、この2つを確実に押さえていますね。
用兵学的には、グレミーより優れていそうです。

キャラを捨てゴマですか…個人的には、好きなキャラクターなので、悲しいですがZZの時も、散り所を自分で分かっていた印象がありますから、仕方ないのかも知れません(´д`)
タケゾウ
2013/03/13 12:32
ZESTさん。
コメントありがとうございます。

>今迄好き放題やっていたキャラに、溜め込
>んでいた借金の納め時がやってきました。
 原作を見ていても、戦力になるかどうかは
 っきり言って疑問でした。
 それでも、どうにかならないかと考えなが
 ら執筆を続けていたのですが、結局、こう
 なりましたね。
 自制心の無さが、墓穴を掘ったというとこ
 ろでしょう。

>ハマーンからは死を悼む言葉を掛けてもら
>えなかったマシュマーが、イリアに上官と
>して認めてもらえたばかりでなく、ハマー
>ンから自らの片腕となり得る人材と言わし
>めた事が、かなり良かったですね。
 マシュマーは、決して無能ではないと思う
 んですよね。
 原作では失敗だらけでしたけど、パイロッ
 トとしての腕も悪くなかったですし、強化
 後も、冷静な判断力はそれなりに残ってい
 ましたから。
 そこのさじ加減をきちんとすれば、優秀な
 指揮官になれると考えていました。
 ですが、おっしゃるように、失った時のハ
 マーン陣営が被るダメージは大きいでしょ
 うね。

>副官のクルスの今後の運命
 どれだけ、戦力を削れるかは、ある意味彼
 次第でしょう。
 副官ですが、指揮官としての適性は、キャ
 ラ以上だと思いますよ。
CIC担当
2013/03/15 15:37
タケゾウさん。
コメントありがとうございます。

>某提督の意見ですが、戦場に着くまでには
>補給が、戦場に着いてからは情報が勝敗を
>決める。
 銀英伝のヤンですね。
 補給がなければ、兵は飢えますし、兵器の
 運用もままなりません。
 情報がなければ、戦略も戦術も立案できま
 せん。
 この2つを重視しない指揮官は、戦う事な
 んてできませんからね。

>用兵学的には、グレミーより優れていそう
>です。
 旧ジオン残党をまとめ上げて、ネオジオン
 を立ち上げたのは、ハマーンですからね。
 そのあたりの手腕は、グレミーより上でし
 ょう。
 そこの所を、グレミーがどう考えているか。
 それが、戦いの趨勢に大きく関わると考え
 ます。

>散り所を自分で分かっていた印象がありま
>すから、仕方ないのかも知れません(´д`)
 いろいろ考えましたけど、結局こうなるし
 か道はありませんでした…。
 もう少し、自分を抑えることができれば、
 違っていたと思いますがね。
CIC担当
2013/03/15 15:46

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